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初級者結果発表

2024年11月20日週の兼題

氷柱

【曜日ごとに結果を公開中】

【入選までもう一歩】

選者コメント

家藤正人

みなさまこんにちは。初級の選者、家藤正人です。

月曜日は、入選にもう一歩という句をご紹介します。


・月曜日の「選者コメント」に掲載されている俳句については、作品検索はできません。

・月曜日の「ステップアップのためのヒント」に掲載された句、入選句、優秀句については作品検索が可能です。


月曜の「選者コメント」や「ステップアップのためのヒント」を参考に、目指せ金曜優秀句への道!!


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▼【季語なし&違う季語】

晩冬でポタポタ落ちる水の音

川口睦月


優先席空かず古傷の晩冬

綾瀬 薫


氷住や夫を押しつつ汗ひかり

君塚謙


冬の日の手を温める息愛しくて

かおでかおうじ


ロビーにて何も言わずに氷柱花

珈琲あたためますか。


あいうえお思い切り踏む霜柱

アガニョーク


氷爆や映る平和のノーベル賞

鈴鹿鈴鈴


借宿の氷柱想わす子の涙

三角俵


サラリーマン、新婚おかえり今いたの

安岡のセメントさん


通勤の冷えたハンドル目に朝日

四駆


●ピックアップコメント:

季語の入ってない句や違う季語が入ってしまっている句をピックアップ。

なかには判断の微妙なものもあります。たとえば珈琲あたためますか。さんの「氷柱花」はロビーという状況から察するにむしろ「花氷」ではないかなあ。

兼題として季語が出題された場合は、その季語を一句に詠み込むのがルールです。

俳句ポスト365では各回の出題に全員が取り組むことで切磋琢磨を目指しております。

今募集中の兼題は、2月19日締切の「雲雀」です。ご投句お待ちしてます。


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▼【基本のリズムは五七五】

氷柱立つ明け方に読むラインひとの言葉の鋭さよ

八代兵衛


氷柱風にしたたり見ぬ夢は今夜一言物申す

せかいの健さん


●ピックアップコメント:

五七五の俳句としてはいささか音数が多すぎます。かといって五七五七七の短歌のリズムにぴったり合うわけでもなく、判断に迷います。

もし短歌としてお作りなのであれば、俳句ポスト365では短歌の良し悪しは判断できませんので、短歌を取り扱う投稿先をお探しの上、そちらへの応募をおすすめします。

俳句としては五七五の十七音よりも音数の多い形を「字余り」とよびます。韻律が崩れることが多く、難しい技ですから、まずは基本の五七五・有季定型から一緒に始めて参りましょう。


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▼【季重なり】

氷柱落ち水面に響く冬の音

いづみり


氷柱を窓外に見てネギマ鍋

青木みかん


氷柱持ち見せる手袋新しや

どれみ


キタキツネ氷柱を見るたび逃げ回る

和九庭三尾


冬の朝風に向かいて鼻氷柱

太極


陽射しにて雫の氷柱なお寒き

戸路井道尾


スキー宿氷柱のロック夢のあと

赤松土着人


スキー場氷柱まぶしき雫なり

麻座輝貞


氷柱より滴る水を飲む野猪

紗凡


氷柱を折り指し示す狐

をいなり


スキーする子らにホテルの氷柱かな

春の新々


氷柱多肉植物凍りけり

いしい真帆


銀の糸冬空裂きて氷柱生ゆ

氷室雪月


ドカ雪の軒に氷柱の棒グラフ

丸  太かし


氷柱見て鼻たれ小僧くしゃみする

米 太郎


氷柱越し寒き景色見る幼子

青畳大将


下校時は氷柱集めてかじかむ手

中村主水


氷柱かな華厳の滝の水の音

小塚ちか丸


袋田の滝は華やか氷柱咲く

生田萩の


初めての雪郷初めての氷柱

神戸 美優


本物のつららツリーに光る朝

谷本真理子


合格の知らせ喜ぶ氷柱かな

ピアニカたろう


滝の水氷柱となりて凄まじき

オイBジー


●ピックアップコメント:

一句の中に複数の季語が入っている状態を季重なりと呼びます。

季語とはしらずにうっかり季重なりになってしまった! というのも俳人あるあるです。ピックアップ中で意外に思われそうなものだと「くしゃみ」「かじかむ」「合格」なども季語なのです。谷本真理子さんの「ツリー」も内容的に「クリスマスツリー」あるいは「聖樹」だと考えるのが妥当でしょうか。

季語が複数入っている名句もあるので、「季重なり」は絶対にダメ! というわけではありませんが、複数の季語を作品として成立させるのは、上級者コースのウルトラ技。

ここに紹介した以外にも季重なりの句はあり、火曜日以降に紹介される場合もありますが、比較的許容しやすい季重なりとして受け止めているものもあります。

やはりまずは、一句一季語からコツコツ練習して参りましょう。


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▼【来月もまた会おう!】

息熱く駆ける大地汗は氷柱

髙橋亜流


遅いってだらけたつららコレクション

みのけんた


氷柱一筋山に落つるる

野口 ココア


鼻垂れて窓の外見りゃ氷柱垂れ

北野順


氷柱触れ閉鎖病棟檻温し

xSi-Ta


氷柱を垂れし輝く街路灯

熊谷子南


残業後見上げる空に鉄氷柱

畑中 康太


玄人も氷柱の腕に勝てはしない

朝霧 絃葉


風巻ひて氷柱微かに奏でたり

さかい癒香


紙鬼面仕舞いは一対の氷柱なり

ブラックプードル陸


澄み空の光流るる氷柱かな

渋井素不意


晴れわたりパン落ち割れ氷柱や

放蕩


氷柱の子白い帽子に青い脚

陶豪


果てるなら喉に氷柱を突き立てし

鈴木 翠月


彼の家シャンプーポンプにつらら伸び

えびてん


●ピックアップコメント:

投句してくれてありがとう!

まずはしっかり「氷柱」をいれた投句をしてくれてうれしい。これから一歩一歩学んでいきましょう。次回の兼題は、「雲雀」です。これからの投句も楽しみにしています。


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▼【入力にはお気を付けて】

朝摘みの母の赤き手氷柱垂る。

はなみずき松﨑


猪子つき軒の氷柱を折りし子ら猪子つき軒の氷柱を折りし子ら猪子つき軒の氷柱を折りし子ら

深芳 睦水


●ピックアップコメント:

入力や変換が気がかりな句をピックアップ。

はなみずき松﨑さんは末尾に「。」(句点)が入っております。作者の表現意図として「、」(読点)や「・」(中黒)を使う例も稀にありますが、末尾の「。」はあまりお目にかかりません。おそらくは入力の終わりに癖でエンドマークをつけてしまったのかなあ、と推測します。

深芳 睦水さんはひとつの入力欄に同じ句が三度書かれています。投句としては「猪子つき軒の氷柱を折りし子ら」であるのはわかりますが、投句データとしては入力の通り三重になってしまいます。

せっかくの投句も内容が正しく伝わらなくてはもったいない。みなさま、送信の前には今一度入力内容をお確かめください。



※今回の兼題「氷柱」初級者投句欄へのご投句は、投句数3824句、投句人数1566人となりました。


以下の①②については入選決定!

金曜日「優秀句」へのステップアップのためのヒントをご案内します。


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▼①【類想】

氷柱やまるで儚きファンタジー

平本文


ミステリー物的証拠の氷柱かな

コロキムラ


幼子の手赤く染める氷柱かな

福野 馬子


軒氷柱しずく一滴背に入りぬ

放浪者


茅葺に見上げる先の大氷柱

庚子 山法師


軒先に氷柱が伸びて朝陽映え

愛生園風来坊


氷柱なめたまげる顔の孫愛し

さなさな


輝く目氷柱指さす好奇心

高伊あいす


軒氷柱素手取る子らと登校す

武本松明


裏路地の軒へ連なる大氷柱

東 紫音


家が牙を剥くかの如き氷柱かな

近藤鹿子


バーボンを氷柱のロック星明り

喇叭鳥


チャンバラのつららは足るか温暖化

駒茄子


味噌汁の湯気あがる朝つらら垂る

らぱん163


窓を開け氷柱越しの灯りかな

南全星達


軒下の氷柱くぐる緊張感

梅まんまる


背伸びしてキラリ輝く氷柱食う

青木純平


氷柱折りチャンバラ遊びの童達

古都酔仙


氷柱手にいざ出陣と駆ける子ら

岩見綾琴


軒下につらつら連なる氷柱が

柳原甲賀


マンモスの赤んぼの牙の氷柱かな

渡延 音珂


遠き日の氷柱刀にガキ大将

リンリン


登校の道あちこちに氷柱片

藤本真澄


つらら越し見える景色絵のごとく

山田いね子


氷柱折回して遊んだ遠い日々

富利闌寿


目覚めれば氷柱連なる山の宿

草堂Q幸


氷柱を箒で落とす小学生

武田 雀斑


子等の声侍のごと氷柱斬り

奥山 言成


静けさや朝日輝く滝氷柱

数哩


音楽を奏でているや軒氷柱

小林澄精


氷柱折れチャンバラごっこ昭和の子

辻井風子


昨日より太くなりたる軒氷柱

佐藤香子


懐旧す氷柱取ってと泣く子ども

天然大師


すぐ折れた氷柱使ってチャンバラす

石鎚ぽん


旅先でライトアップの氷柱かな

詩小桃


窓越しの氷柱きらきら午前九時

生田 大五郎


氷柱垂れ犬小屋の前登下校

フルスイングトモライザー


氷柱に陽のあたりてか細くなり

牧 ひろ


恐竜の牙のごとくの氷柱かな

森田一華


大氷柱昇る朝日を弾きけり

平尾志浪


宿の朝氷柱あらはる青き空

しわしわ


きらきらと朝日に光る氷柱かな

桜井タケ女


外湯出て頬に雫や軒氷柱

新太子


茅屋屋根の氷柱のれんや陽にまぶし

山内志津子


心待ちオンザロックに氷柱かな

松田華月


湯の町や氷柱並びて帰り道

榊麻茶硫


温暖化氷柱も出来ぬ令和かな

小原ヒデボウ


氷柱折り魔法の杖にできるかな

黒井 猫


数年前記憶の中の氷柱のみ

研田千響


宿の朝結露拭き見る氷柱かな

四季をりをり


氷柱の先ダイヤのごとき一滴

初老俳人


氷柱折りちゃんばらする子らいまいずこ

稲井春


軒先に背比べする氷柱かな

鬼塚樹童


無人局蛇口に氷柱缶コーヒー

ハマゴー大佐


チャンバラに程好き氷柱えらびかた

毎原つかさ


弟と氷柱を差してチャンバラす

明朗


軒氷柱ぽったぽったと村静か

水浜ギコ


温暖化氷柱知る妻知らぬ吾子

橘 春香子


ぬかるんだ午後の氷柱細くなり

こーがはるちゃん


銀世界氷柱の中は万華鏡

きなこ


ポタポタと氷柱の溶ける音がする

山田桜


旧隧道氷柱に声の弾む児ら

ほのぼぉの(蚊帳のなか)


窓夜明け氷柱つらなり輝けり

恵みの雨


蛇口今朝鼻垂れ小僧よ氷柱たる

山中 遊民


露天風呂ひとり占めなり岩氷柱

みなづき はるるん


鍵盤の如く連なる氷柱かな

いまいさちこ


温暖化つらら見ぬ日は幾年か

美恵ノ海


氷柱の美まさしく溶けるクリスタル

越山静山


軒先の氷柱目指して子ら走る

シェリーまいらぶ


途中まで軒下氷柱持って登校す

泉川和子


温暖化氷柱の長さがバロメーター

中野京美


日を受けて氷柱の命煌めけり

大空晴子


軒先を避けて歩むツララかな

小林抹茶


アラフィフも嬉し突きたし氷柱かな

おはぎの母


氷柱とけ命の雫点滴や

葦の丸屋


氷柱でき一面白に染まる朝

すずしず


天地さす剣のごとし氷柱かな

野口立香


氷柱見て祖母の家懐かしく

ローズ喜子


このごろは太くならない氷柱かな

吾亦紅也


氷柱取りはしゃぐ息子に我重ね

師走竹万


恐々と氷柱眺めつ登校す

一谷いちにょ


飲水とも凶器ともなる氷柱かな

島れんぎょう


宿の朝きらり氷柱とご対面

佐藤コロン


俺が勝つ氷柱で戦登下校


氷柱とけポタリポタリのリズム感

越後縮緬


神秘的蛇口の氷柱向こう側

中川肱洲


我らゆえ地球温暖氷柱消ゆ

秦きるめ


遠き日のチャンバラごつこ軒氷柱

西野和香


はしゃぐ子らつららを折って角に見せ

石井ヒヨコ


廃駅の軒端を飾る氷柱かな

白井和玄


日射し受け氷柱滴る清水かな

トラマロ


弟と氷柱片手に登校す

古葉寅万


氷柱落つランドセル背負う孫の笑み

徳川綱吉


温暖化されど氷柱現れる

野上さち


あれとって指さす先に初氷柱

白花翠葉


陽射し受けやがて細りし氷柱かな

黒住景雪


この気候氷柱も語り草となり

今日女


朝登校服の氷柱や見上げけり

純全


いざ勝負勇者の剣氷柱なり

ナンプラー大好きママ


陽の射して氷柱の涙ぽとぽとり

長嶺阿蘇


キラキラと氷柱の校舎朝の声

北や丸


氷柱手に戦いごっこ始まるぞ

滝沢 樹里


密室のトリック鍵は軒氷柱

北川茜月


氷柱折り大きさ競う通学路

四十 カラ


コークハイ身を乗り出して氷柱折る

新城 三九


軒下に御簾のようなる氷柱かな

伊柄庄一


田舎宿旭のさす氷柱まばゆしく

松下節子


夕日あびプリズム光つららかな

松瀬章章


傘で突く氷柱キラキラ通学路

山崎鵜真


氷柱初見鍾乳洞に姿見ゆ

山田正山


風の子が氷柱でチャンバラカシャンポキッ

写雅句


氷柱より雫となりて石を打つ

中山雪うさぎ


軒氷柱ひなびた宿の露天風呂

詠野孔球


カーテンの如横に伸ぶ氷柱かな

太田桜


軒氷柱折れて地面に突き刺さる

草刈明峰


廃校の軒に氷柱の二つ三つ

みさよ


つむじにヒヤリ見上げた氷柱陽にとける

闘乱風


氷柱折り童興じるフェンシング

光顕


頬染めて氷柱に伸ばす小さな手

おくら


早暁の光煌めく軒氷柱

大石鉄馬


氷柱持ち冷たさ忘るわらはども

河村 呂便


山小屋の朝日を浴びる氷柱かな

石川翠峰


ポタポタッ頭上の牙や軒氷柱

はしもと紫雲英


山小屋や氷柱朝日の輝けり

清水まちつぼ


始発待つ静寂の駅軒氷柱

花てまり


氷柱を取ってチャンバラ懐かしき

白色


日が差せば細くなりゆく氷柱かな

未生 蓮


キンコンと鉄琴代わりの氷柱かな

天鳥そら


水の精の変化解けゆく氷柱かな

尾藤ことさん


軒下の氷柱みるなり温暖化

ぴょん吉 龍


山寺の手水の杓に氷柱あり

林一芳


氷柱折り透かして見るや堅蕾

立花かおる


仰ぎ見る空の青さや軒氷柱

上野蕗人


目覚めれば氷柱輝く窓の外

高崎怪人


湯の宿の朝日輝く氷柱かな

Mat ひめりんご


氷柱剣異世界に子を誘って

気まぐれちゃちゃ


陽を浴びて氷柱の雫爛々と

春乃一朗


陽が包む雫のリズム軒氷柱

ルピナス


朝日浴び見てと輝く氷柱かな

渡野りす


陸奥の氷柱でつくるロックかな

ビッグネット


リズムよく氷柱連なる軒の下

大泉竹芳


氷柱や銀山のライト眩しく

小澤五月


夜の空きらきら星と氷柱かな

たがわぱてい


宵闇に光る刀剣垂氷なり

草 自生


氷柱指し恐竜の歯だと言う孫

嗣子孫々


朝日うけダイヤのごとし大氷柱

明日葉子


カーテンを開け眩しき氷柱よ

逢花菜子


氷柱をエイヤと竿で兄落とし

鈴木ふよう


青空を封じ込めたる軒氷柱

冬藻翠花


露天風呂仰ぎ目に入る氷柱かな

白山


陽射し受け氷柱の雫リズミカル

菜園ベジタベル


温暖地出来ぬ氷柱テレビにて

アボカドブロッコリー


旅の空氷柱にはしゃぐ親子かな

内田ねこ


剣豪は氷柱掴んだガキ大将

凪涼夏


氷柱から零れる水や孔穿つ

里馬咲幸


別れ際さいごの言葉つららかな

輝南心音


匙を持ち氷柱たたいてコンサート

k幸女


窓越しに癒す湯船で見る氷柱

齋藤鉄模写


橋の下氷柱が頭上で凶器化す

ヌートリアみゆう


より長き氷柱をくらべ競ひたり

ふみの燕


陽がのぼり軒下濡らす氷柱かな

加茂野端子


軒下の氷柱頬張る下校かな

伴田 至誠


朝陽受け氷柱滴る里の家

笹本ミワコ


肩車吾子のもぎとる氷柱かな

十四志


滝音を封じ込めたる氷柱かな

杉崎拙訓


赤い目であけるカーテン軒氷柱

小仲翠太


軒先の氷柱煌めく朝かな

荒木ゆうな


特大のダイヤモンド氷柱かな

薔薇紫


乱歩めく太い凶器の軒つらら

伊達ノ半蔵


驚きの氷柱や旅の朝

島田 志風


銀竹にでこぴんをする孫の朝

後藤竹徳


陽に照りて宝石のごと氷柱かな

弥生匠太郎


軒つらら朝日あびたる富士の山

千寿 ココ


鬼の歯のごとき氷柱や白光り

夢佐礼亭 甘蕉


凶器無し溶けた氷柱のミステリー

ぴょんばぁ


軒先の氷柱は不揃いにドレミ

小暮修


軒氷柱かがやく朝や青空や

だだちゃ豆


プリズムのごと氷柱透く陽ゆらゆら

玉照


軒先の長き氷柱に朝日かな

濱田てるてる


窓拭う覗いた氷柱は陽を集め

梅街はるき


白き外子ら歓喜せしミニ氷柱

チョコの母


氷柱折り太さ比べて遊んだ日

乃邑歳幸


氷柱折りオンザロックだよ露天風呂

平谷河女


朝日受け光る氷柱と青い空

中矢しる子


跳ねる子や軒の氷柱に手が届き

熊手の父


首筋の水滴軒下の氷柱

上野仙人


口開けて雫待つ吾子氷柱かな

松 緑女


幼子の氷柱刀に遊ぶ原

津軽 りんご


反射する氷柱のしずく地面割る

宇都宮千瑞子


都会っ子頭上注意と軒氷柱

松和幸太郎


ぽたぽたとぽたりぽた無音やつらら

紅い靴


氷柱から滴るリズムにウトウトす

愉来理あゆむ


朝の窓氷柱とホットな朝食と

高崎孝雄


軒先の氷柱叩いて演奏す

さわだ佳芳


氷柱折る聖者の剣手に入れる

犬人間陽子


折り取りて氷柱を舐めし無人駅

柏葉柏


氷柱に触れたい南国育ちの吾

晴山喜作


吾子の手に氷柱の神剣空青く

椎名 萌湖


朝日浴び氷柱溶けゆくぽたぽたり

太陽あんこ


はしごかけ氷柱もぎ取り背比べ

華花開く


扉開け氷柱のかなた蒼き空

藤田 圭


点滴のごと氷柱落つ朝10時

大空輪夢


夕べよりちょびっと伸びた氷柱達

茶子父


氷柱割り飛び散る歓喜めんこいこ

たなか ゆきの


傘の先丈を比べる氷柱かな

青村秋入


8歳が氷柱握れば剣と化す

外町よしのり


チャンバラをやりたい取って氷柱指す

緒方悠十


氷柱溶け眩しく跳ねる水溜まり

宇佐美 麦洲


軒先の氷柱一列背くらべ

大家由美子


狙い撃つ子らの歓声氷柱散る

永田みゆき


朝日浴び氷柱の雫く銀の玉

みっちゃん


幼子の槍か剣か氷柱折る

時雨 鳥


●ピックアップコメント:

初級・中級に関わらず、類想は似通ったものが集まります。

寒い・凍ってる、といった温度にまつわる類想はもちろん、氷柱の鋭さや形状からの類想も多かったですね。好奇心が刺激された結果、叩いて落としたり、落ちた氷柱を武器にして振り回したり。かつて一人の男の子であった身として大いに共感はするのですが~(笑)。


たくさんの類想を見ることによって、自分の中に類想のデータベースが構築されていきます。今回見かけた発想のおかげで、陥りがちな類想も避けられるようになるかもしれません。


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▼②【二重切字】

荒磯や風に流れし氷柱かな

伊藤 穣


君が里熱く語るや氷柱かな

漆崎 明


●ピックアップコメント:

俳句の世界でいわゆるタブーの一つに「二重切れ字」があります。紹介したのはいずれも「や」と「かな」の重複ですね。

切れ字はスポットライトのようなものです。一句の中に複数のスポットライトが存在すると、どちらを主役にしたいのかわかりにくくなってしまいます。

季重なり同様、複数切れ字が入った名句もあるので、絶対にダメ! というわけではありませんが、上級者コースのウルトラ技と考えて良いでしょう。まずは、切れ字は一つから!


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明日から火曜日、水曜日、木曜日、と入選句を発表します。入選句の評価は火、水、木(ステップアップのためのヒントに掲載分も含む)ともに同じランクです。順不同での掲載です。

そして金曜日は、初級者投句欄の優秀句発表です。


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