瀬戸 岬
鷺沼くぬぎ
詩小桃
へたおかむこ
Mat ひめりんご
森脇レイ
風待ラテ
むさし野まさこ
杉崎拙訓
弥栄弐庫
椎名花風
故里恋心
豆祭 くぐい
大月 銀
夏野夏湖
チバミロ
くらきまあこ
茂田野マイ子
糸田 つぶさ
藤井桃圓
若狭
白川ゆう
夢バーバ
杉田ひらさこ
松本マンボウ
野野あのん
糸川綾
かまど猫
月野風花
ピコリス
青井游
湧別川
ともや10才
盛堂恒子
南回帰線
世良智
神津三徳
児玉すず子
終山人
なかの巡界
汐海 岬
ルック鷹丘
絡丸いと
千里灰汁太
一期一会
大壽
川端妙松
大石鉄馬
御雰小雰
海瀬マルコ
水口 真奈
喜祝音
山川十日
いもがらぼくと

選者コメント
家藤正人選
初級コースの金曜日掲載は中級への昇級の目安。中でも特に目を惹く句についてピックアップコメントをお届けします。
「柿色の全き柿の影静か 鷺沼くぬぎ」
精度の高い一物仕立てに惚れ惚れします。一物仕立てとは、十七音全部を季語の持っている情報だけで作る手法のこと。柿色の影が見えているということは、樹上の柿が光に透けているのを見上げているのだと推察します。鳥に突かれず、全き形を保っている柿のシルエットのなんと美しいことか。描写に徹しながらもラスト三音「静か」によって、その姿に心打たれる作者の静謐な感動が差し込まれているのも心憎い。
「山姥の出そうな森で柿食む夜 詩小桃」
うーん、なんとも気味の悪い森。柿もまたずるっと吸って食べるような熟れ具合を想像いたします。秋には柿の他にも様々な実りがあるわけですが、「柿」である必然性をいかに確保するかは大事なポイントです。栗では昔ばなしの印象が強くなりすぎるし、梨では音も味覚も爽やかすぎる、茸では採ってすぐ食う即時性に欠ける……など、比較検討すると柿は良い選択だと再認識できます。夜の森に畏れを抱きながら食う柿は喉に甘く絡まるようであります。
「柿熟るる空き家の床を三度拭き 瀬戸 岬」
柿のたわわに実り、熟れるままに任せている空き家。この「空き家」との関係性をどう捉えるかによって味わいが変わってきます。たとえば「空き家」=住む者のいなくなった実家と考えれば、いつか帰ってくる誰かのため健気に保守する哀惜を思わせます。一方、「空き家」=入居を決めた中古物件、といった読みもできるでしょう。そうなれば「三度拭き」は新生活を始めるための丁寧な最初の掃除と、早くも湧き始めている新たな愛着を思わせます。庭に生えた「柿」をレトロな象徴と見るか、豊かな実りと見るか。味わいがいのある一句でした。
いずれもお見事でした。自信がついたら中級にもぜひ挑戦してみましょう!