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初級者結果発表

2022年1月20日週の兼題

雛祭

【曜日ごとに結果を公開中】

【入選までもう一歩】

選者コメント

家藤正人

みなさまこんにちは。初級の選者、家藤正人です。

月曜日は、入選にもう一歩という句をご紹介します。

月曜日の選者コメントに掲載されている俳句についてはアーカイブへの掲載はありません。作品検索での検索はできません。

火曜日以降の入選句についてはアーカイブにご自身のデータが保管されます。


入選へのヒントを参考に、目指せアーカイブ掲載への道!!


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▼【季語なし&違う季語】

誕生日ケーキはいつもひし形よ

中野 三日月

松島に芭蕉為せるや夜の月

ナイビ

君が好きどうしようもなく梅を飲む

ひげ

カシャと踏みける一粒は雛納

宇野翔月

桃の花初孫抱いて写真撮り

岩本春

雨音や春へのリズム桃の花

吉田 無学

雛仕舞い長女に渡すクルマの鍵

酒楽康庵

失格も桃季に咲きけり梨の花

小暮 修

風雪に咆えや冬田の藁マンモス

松 鳶裕

右大臣飲み交わせらる歳の春

雛納め淋しき我が家に逆戻り

大山かりうむ

壁伝いそびえ立ちたる燕の巣

辻房瓦

桃の香や佇む心の鼓うて

閖光子

負えますかわたしの咎を流し雛

髙石蓬莱


●ピックアップコメント:

季語の入ってない句や違う季語が入ってしまっている句をピックアップ。

「誕生日ケーキはいつもひし形よ 中野」も雛祭の日がお誕生日なのかもしれませんが、季語「雛祭」が入ってないとなると無季の句となります。

俳句ポスト365では毎週「兼題」と呼ばれるお題を出していますが、季語が出題された場合はその季語(あるいは、その季語の傍題)を必ず詠み込む、というのがたった一つのルール。

各回の出題に全員が取り組むことで切磋琢磨を目指しております。

今募集中の兼題は、4月19日締切の「暖か」です。ご投句お待ちしてます。


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▼【季重なり】

如月や出番を待ってるお雛様

宮沢寿風

雛眠る冷い蔵にも春近し

七七喜

桃の花女雛と男雛ひな祭り

勝本邪気

御箱から春を出しましょ雛祭

松林里香

寒さ気の落ち着く時候雛祭

針優

雛祭花咲き乱れ学卒業

水口 フツオ

空堀に桃花こぼるる雛祭

白月 かなで

女子校の卒業式は雛祭

かなた小秋


●ピックアップコメント:

一句の中に複数の季語が入っている状態を季重なりと呼びます。

「雛祭」の現場には様々なものが存在します。その中には他の季語も。「桃の節供」とも呼ばれる雛祭では桃の花も飾りますが、これも同じく季語なのですね。「空堀に桃花こぼるる雛祭 白月 かなで」も光景は美しいのですが「桃の花」の主張が強く、雛祭が脇役のようになってしまっています。

季語が複数入っている名句もあるので、「季重なり」は絶対にダメ! というわけではありませんが、複数の季語を作品として成立させるのは、上級者コースのウルトラ技。まずは、一句一季語からコツコツ練習です。


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※今回の兼題「雛祭」初級者投句欄へのご投句は、投句数3595句、投句人数1461人となりました。

以下の句はアーカイブに掲載決定!

金曜日「優秀句」へのステップアップのためのヒントをご案内します。

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▼【類想】

いとけなき日並ぶおもちゃのひな祭り

kikuti-aya

思い出もそっと取り出し雛飾り

Mat ひめりんご

お披露目の着物華やか雛祭り

miwapon7

男系が悔し縁なき雛祭

PE天使

ほかほかのピザもきたきた雛祭り

アリマノミコ

コロナ禍で淋し笑顔の内裏びな

いしかわ

今はただ子の幸願う雛祭

いわつよ8

人形と目合う深夜の雛祭

うえばまさき

性差なく変異を望む雛祭

オイラー

雛祭り園児はしゃぎて駆け回り

おぐらゆうた

千代紙の折り目正しい雛祭り

かえる L

三世代かしまし五段雛飾る

キイロイトリ

柴犬が喜び回る雛祭

きく丸

雛祭り寝る場所狭き団地かな

きのと

25年押し入れ眠る雛人形

さかぴー

少年の扇ぐすし飯ひな祭

ちばくん

雛人形物置きの隅眠りをり

つくばみらい亭

夕暮れの雛人形の母に似て

ところ啓泉

折り紙に託す幸せ雛まつり

なかにし空人

夕暮や娘巣立ちて雛出さず

ニッシャン

雛祭思い出たどる段の菓子

にゃんみー

雛祭写真のわたし澄ましてる

ねこか花はっか

雛祭ボクもボクもと泣いた兄

ノセミコ

子が嫁ぎ初孫まだか雛祭

のっぽさん

雛祭男の子にはほろ苦し

のろのろ爺

色少し褪せた毛氈雛祭

はづき昼花火

家中の人形並ぶ雛祭り

ぱらん

ミニチュアのままごとセットも雛壇に

はら美華子

川下り揺れるさげもん雛祭

ひぎけま

不揃いのこけしを父と雛祭り

ふじ康月

雛段にそつと供へし甘い菓子

ふみちゃん

色付きの菓子を取り合い雛祭

ぽんたちん

幸多かれと娘と飾りし雛祭り

みかん

三姉妹過ぎし日語る雛祭り

みきお

コロナ去れ窓越し町家の雛巡り

みちか

右左毎年もめる雛飾り

みつこ

ひなまつりおてんば髪結いすまし顔

みなとみらい

雛祭り三年眠るままの雛

むらのたんぽぽ

ひな飾り内裏の太刀は今何処

やっせん坊 池上

雛祭り母の味する五目寿司

ややま

内裏様右か左か我が家流

ヨシキ浜

さてそなた右か左か雛祭

よしよし0728

雛祭り親子三代すまし顔

りこ

セピア色姉妹の写る雛祭

リコピン

ひな祭り届く喜び祖母の寿司

わきのっぽ

晴れ舞台すました女雛雛祭

渥美 さや香 

雛祭ジェンダーレスで仲間入り

伊藤安房

雛祭色あせ今も雅なり

伊藤善隆

思ひ出は遠し雛祭にひとり

伊豆子

はにかみ笑みうかべる吾子ひなまつり

伊呂八 久宇

親心せめてお寿司よ雛祭り

磯貝あさり

すまし顔心高ぶる雛祭

烏野雛子

雛祭屋根裏に眠る人形

卯花かろん

古民家に大集合の雛祭

浦野米花瑠

無邪気さや孫達騒ぐひな祭り

詠野孔球

雛祭飾らず過ぎた三十年

苑 朱伽

怪獣とヒーローもいる雛人形

横山雑煮

袖振りて主役は私雛祭

横山子守熊

雛祭あられ握りて撒く子かな

横道其子

階段を埋める雛壇村おこし

下村ひじり

信濃路や皆待ち侘びる雛祭り

夏女

雛祭美しきかなお雛様

夏川涼

雛祭り彩り賑やかちらし寿司

夏野星一

淋しさは男系家族で雛もなし

暇親爺

雛祭りいつかこの娘も母親に

河村 呂便

ただいまと赤いほっぺや雛祭

花根ひろこ

雛人形白きお顔がすましみる

華村夏姫

雛祭り思いで話も静かなり

海原 洋

雛祭りちらし寿司食べ笑顔咲く

海笑里

ひさびさに出した男雛に笏は無し

街の小太郎

白髪(はくはつ)の三姉妹笑む雛祭り

楽和音

雛祭祖母と母と妻と娘

甘蕉

母笑みて乙女に戻る雛祭

丸岡彩映

雛祭りあられ頬張る帰り道

帰宅部めんそ

はにかむや晴れ着の娘雛まつり

吉見 小鈴

雛まつり酢飯ぱたぱた幼き手

吉田海音

灯をともし幸多かれと雛祭

宮澤博

長男は刀を弄る雛飾り

玉悦子

雛祭母の皺の手酢を振りて

空 ひろ

何処かな押し入れぼんぼり雛人形

桂駄七

ひな祭り錦糸たまごは祖母の手で

蛍草飛田

雛祭あの子のほっぺもピンク色

月乃藍色

雛祭ホコリ被った雛人形

犬鳴樹海

雛祭瞼に浮かぶ昭和かな

古寺 憲子

雛祭ポツンと座る男の子

古都酔仙

母と祖母共に祝いし雛祭

湖上蓮花

雛祭舞台は狭き四畳半

呉暮子

雛祭りあられ並べて数え唄

光 伎和

ひなまつり飾ることだけわが家では

孝崎有辺

旅先のもてなす宿の雛飾り

宏楽

三兄弟寿司食べるだけひな祭り

恒人樹

ひな祭り年経て孫はお年頃

高橋昂昉

青き眼も酢飯味わう雛祭

高倉麻呂助

三十路娘に良縁あれと雛祭り

高田女

ひな祭り媼をかこみちらし寿司

高田翠穂

屋根裏にしまわれたまま雛人形

黒岩美路

雛祭一段目には縫いぐるみ

今井佳香

儚げな見目麗しき雛人形

佐原波

出す人も見る人も老け雛祭り

佐々木四郎

雛壇の毎年悩むみぎひだり

佐々木葉一

昭和ゆき屋根裏の家雛の家

佐山夕子

振袖が華麗に映える雛祭

佐倉たかしろ

茶だんすに飾っただけの雛祭り

佐藤けい

遠き日の母の酢飯や雛祭

佐藤夏みかんの亭主

雛祭自分史綴る祖母の皺

佐藤俊

遠き日の雛壇の緋や今もなほ

彩桜里

幼き日祖母と歌いし雛のうた

坂本 節子

ありったけ人形飾り雛祭り

桜木レイ

三代のつなぎしつどひ雛祭

三田光陰

ひなまつり飾りをつけましょちらし寿司

山はしともみ

初孫の迎えて嬉しひな祭り

山葵

桃色のあられ集めてひな祭り

山次

母頬笑むアルバムに酒ひなまつり

山川 一露

雛祭あられ求める息子たち

山太平

娘と友と語る九十の雛祭

児玉すず子

雛祭還暦となる女雛かな

寺嶋杳杳

嫁ぎたる子の幸願ふ雛祭

篠川 翠

マンションの狭さ七段雛祭

樹矢沙汰

雛祭猫が蹴散らす壇の上

十津川ポロ

土雛も共に七十二の齢

春よ来い

樟脳のかおり纏いし雛人形

春日京丸

花嫁の姿を思ひ雛祭

緒方風鈴

吾子ひざにモノクロの母ひな祭り

緒里乃

雛祭幼き我の歌聞こゆ

小さなベジムーン

童歌娘と歌いつつ雛飾る

小熊 伸子

卒寿母特上お寿司雛祭

小野小マーチ

雛祭娘と共に写真撮る

招き猫(後藤田郁子)

ほほ笑みの似たらむ吾子と女雛かな

松雪柳

きょうだいは男ばかりの雛祭り

松前 三月

還暦の古雛鼻の欠けしかな

松本千春

雛祭昔を偲ぶ脳内裏

祥風

娘が嫁ぎ猫妻私雛祭り

上田湧水

忙しなき旧女子会の雛祭

上野 鈴女

代わり厄の始末は如何に雛祭り

城山 英

吾子巣立ち雛は奥に眠りおり

心和香

雛壇やはしゃぐ五十路の少女かな

新井初夢

愛猫が走り回るや雛まつり

新山晶花

六畳のサイドボードの内裏雛

森水尾

母共に遠い記憶のお雛様

森田かすみ

雛祭姉妹並んでハイチーズ

深空汐音

オンライン孫の後ろに雛かざり

神興ひさし

ひな祭りひそひそ話か隣の間

須田渉

雛祭り家族の笑顔てんこ盛り

水野 孝

娘は嫁ぎ老たる母と雛祭り

水野 寿香

愛猫や二段目にをり雛祭

酔丑

母の味まねてちらしの雛祭り

雛子なな

わが娘へと伝え続ける雛祭

杉嶋正伸

うす桃の頬とあられや雛祭り

瀬良なずな

白いあられだけを食べる雛まつり

成就院まこと

非毛氈少し色褪せ雛祭

星影りこ

樟脳の香和らぎて雛祭

正念亭若知古

凜として高祖母座せり雛祭

正木羽後子

二間ある一間を占める雛の段

清水猿虎

雛祭男世帯に縁は無し

清水良一

三歳のすまし顔した内裏雛

西牡丹

雛祭り次女のためかな男子なし

西愼行治

ひな人形嫁ぐ娘の置きみやげ

青い手まっちゃん

六畳は娘のための雛飾り

青玄

雛祭り母の笑顔とちらし寿司

石波リサ

末っ子の長女専用雛祭

石本コアラ

雛飾る孫より妻の楽しめリ

相沢 閑邦子

赤リボン父とカメラと雛祭り

増井鴨せいろ

初めての紅ひく吾子や雛祭

村上卯乃

雛祭卒寿の母も赤い頬

太平楽太郎

男の子妬んで過ごす雛祭

大久保槿花

コレは何飾る度問う雛祭

大江戸小紋

思春期の仏頂面や雛祭

大阪楽乱

長男がやきもちを焼く雛祭り

大神 阿修羅

雛祭り袂揺らして姫はしゃぐ

大西泉花

雛飾り育ち行く子ら健やかに

池ばーちゃま

ひな祭りじじばばとするリモートで

池谷萩邨

雛祭一番笑顔じじとばば

中井 昌太

雛祭りセピアの中に父娘

中川 泗水

吾子嫁ぎ雛に目隠し蔵の中

中島裕貴

姉に来て僕には来ない雛祭り

中林おもち

雛祭ママもかつては女の子

朝井まり

雛の間駆け回る吾子懐古誘う

津田愛光

姉だけよ横目でながめるひな祭り

鶴城

雛祭り子は皆息子ちらし寿司

庭野環石

ご満悦リカちゃん並ぶ雛祭

田中ガムラス

無垢な手に萬の未来雛祭

渡辺香野

亡き祖母の来し方思ふ雛祭

島邑奈於

猫パンチ冠ポロリ内裏雛

桃衣ゆらら

ひなまつり右が左で…左が右で?

湯原るるか

母逝きて娘は嫁ぎ雛祭り

藤永桂月

折り紙の人形飾るひなまつり

藤丸 遼

ひととしの我が厄落とす雛祭り

陶豪

雛祭ケーキ口開け三姉妹

道隆

雛まつり爺もはしゃいで飾りつけ

南の島の王子さま

プリンセスドレスでケーキ雛祭

南ひめのさんしょ

厨より鮨酢のにほふ雛の日

南冥

ひな祭り女の子だけお祭りだ

認証ラベル

初孫の期待膨らむ雛祭

梅尾幸雪

雛祭めでたさ競う誕生日

八木獺八

ひな祭りひとり男のこ混じりけり

反芻医

雛祭祖母張り切りて菓子あふれ

美浦雪柳

過ぎし日の赤毛氈よ雛祭り

畢竟 如何

五十年過ぎし想いの雛祭り

浜千鳥=岩井壮介

雛祭り子の独立を祝うごと

平野佳音

童謡に亡き母愛し雛祭り

北村リトルミイ

お転婆も淑女に見ゆる雛祭

北乃薫衣草

ひな祭り還暦姉妹ぼんぼり灯す

夢坊主

雛祭りすがらに待てりちらし寿司

名尾馳

すまし顔紙の冠ひな祭り

明後日めぐみ

雛祭り友と笑顔のセピア色

木風杏

雛祭母に似ている白き肌

祐宇

雛祭り遺影の姉は年下に

藍時 湘

お互いの顔見られざる内裏雛

立山穂高

雛壇のあられ桃色摘む孫

流流

雛飾りお内裏様は右左

林和志

雛祭母と祖母とが華やいで

鈴木 翠月

雛の間に一人紅ひく幼き日

和紫子

床の間の吾子もおすまし雛祭

丼上秋葵

雛祭ベッドの母ひく古き紅

幟 ゆき

雛人形真似て紅さす子の我よ

杼 けいこ

雛祭り温顔の雛妣に似たり

梔子芳香

雛祭り吾娘の笑顔とちらし寿司

濱野ぽにょりん

飾り餅舐めた幼き雛祭

珈藤絵本

雛祭着飾る女雛はしゃぐ子

珈琲牛乳

雛祭り何時の頃から箱暮らし

眞熊

雛の日や空気も染まる桃色に

鵯野己

雛祭り木目込で雛自作かな

槇まこと

雛祭あられ噛む音響きけり

髙山善裕



●ピックアップコメント:

様々な類想が大集合しております。

人形の様子、雛祭の過ごし方、食べ物や着飾りなどなど。おそらく中級以上でも類想の傾向としては同じなのではないかと予想しています。発想の根っこは同じでも中級での入賞句と比較すると、発想素材に対する調理の仕方が学べるかもしれません。

たくさんの類想を見ることによって、自分の中に類想のデータベースが構築されていきます。今回見かけた発想のおかげで、陥りがちな類想も避けられるようになるかもしれません。


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▼【季語の解釈】

大声の「バーイバーイ」や雛流す

ポンタロウ

植木屋の一服に出た雛あられ

桐山榮壽

雛霰八十路の母とつまむ午後

月見草子

菱餅に定規を当てる五年生

笹森茂樹

黒人のいろにも似せて雛を折る

大野美波

姉嫁ぎ正座の父の雛じまい

中西雨露

桜田門外の変弥生三日はあられ食ふ

東田 一鮎

雛祭人形流し思い流るる

緑の洞窟愛好家

嬰児の穢れを祓う流し雛

翡翠



●ピックアップコメント:

季語「雛祭」の解釈についてピックアップ。

歳時記の規模によりますが「雛祭」の項目には様々な傍題が掲載されています。しかし小さな歳時記では傍題に含まれているものが、大きな歳時記では別の季語として独立していたりもします。「雛あられ」「菱餅」「雛流し」などなど雛祭に関連した物や行事ではあるのですが、それぞれの独立した意味があることを考えると今回の兼題「雛祭」とはまた違った表情を持ち始めます。


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▼【文法と表記】

魘さる夜欠けた女雛の目は吊り目 はなばた俳句会@杜若友哉

帰へろうか少女のわたしに雛祭 能千

雛祭り子想い懐かりし三畳間 本田龍源


●ピックアップコメント:

文法や表記に気になる点のある句をピックアップ。

「魘さる夜欠けた女雛の目は吊り目 はなばた俳句会@杜若友哉」のチェックポイントは「魘さる」(うなさる)。「魘さる」はラ行下二段活用ですので、現状は終止形「魘さる」となり、ここで文章が切れてしまいます。続く「夜」へと掛かるなら「魘さるる夜」となる必要があります。

「帰へろうか少女のわたしに雛祭 能千」は送り仮名の付け方。歴史的仮名遣いを「かへる」と正しく認識しているのは良いのですが、「帰(かえ・かへ)」に対して送り仮名は「る」の一文字でOK。

「雛祭り子想い懐かりし三畳間 本田龍源」の「懐かり」は文法的に謎が大きい……。「なつかり」でしょうか? 「懐」一文字で「なつかし」と読ませている? もしその読み方であれば「なつかしかりし」となるので意味は通るのですが……。


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明日から火曜日、水曜日、木曜日、と入選句を発表します。入選句の評価は火、水、木ともに同じランクです。順不同での掲載です。

そして金曜日は、初級者投句欄の優秀句発表です。

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