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初級者結果発表

2023年3月20日週の兼題

野遊

【曜日ごとに結果を公開中】

【入選までもう一歩】

選者コメント

家藤正人

みなさまこんにちは。初級の選者、家藤正人です。

月曜日は、入選にもう一歩という句をご紹介します。

・月曜日の「選者コメント」に掲載されている俳句については、作品検索はできません。

・月曜日の「ステップアップのためのヒント」に掲載された句、入選句、優秀句については作品検索が可能です。

月曜の「選者コメント」や「ステップアップのためのヒント」を参考に、目指せ金曜優秀句への道!!

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▼【季語なし&違う季語】

お茶どうぞ孫と狭庭でおままごと

わたの実


いきたしと願いし道後妣と行く

季和


籠の鳥野に放たれば花盛り

小林無茶苦茶


孫の声土手の起伏に響きたる

西牡丹


息を吸い心のままに歩く山

長月一葉


遥か野へ季節の息吹追い求め

田所 工事


休耕田野原となりて子等遊ぶ

内堀 道


とりあえず場所とりビール塩むすび

あすか風


若葉萌ゆコロナ禍知らぬブナ林

さちこ


風光る車窓広がる里の色

タケイアヤコ


残業を癒す車窓の春夕焼

ちゅうしん


イヌフグリここぞとばかり野辺に咲く

みち


夏草や片方だけの子供靴

ロストボール明神


晩春の過ぎた旧年頬濡らす

杏子 羽具


晩春やベッドに軽き手を感じ

宇都宮 千瑞子


手にのった花びら愛し春を飲む

加藤春月


わか葉生え友と競った木登り

海原


さくら散りお地蔵さんの衣替え

岸田菊江


昼桜青突き抜ける空と別れ

宮沢 十一年


しゃがみこみ夫の愛でにしすみれ追う

宮内恵子


青空に桜が咲いてプロローグ

桐山榮壽


芝桜しっぽ追いかけ目が回る

高木友


春風が運んだ球は世界一

佐脇浪漫


春雨の電車息子よ乗り遅れるな

才川眞猿


規制緩和行き交う人は顎マスク

雑踏乃抹人


ホキョキョキョキョうぐいすたちにも新学期

紫みちよ


菜の花や蝶と遊び風任せ

時間餅


切取りし乳房のごときアネモネかな

秋好 雅煌


サクラ散り花咲ぬ木に花が咲く

小夏コナ


どこまでも歩いて行ける春日和

小林抹茶


ムスカリを摘みままごとの果物屋

上野麻酔


吾子摘みし蒲公英の上てんと虫

新太子


ついてこい父さん白鳥水面蹴る

石塚隆君


春日和肩寄せ合って夫婦花

増田 松月


春うらら野に駆け笑う童たち

池 かれは


茎を巻き冠作りれんげ草

池ばーちゃま


麗らかや逍遥といくイタリアン

竹井勉


踏青や友のハモりの憶い出づ

仲村江子


幼子の足を見上げる初蛙

天田雀帆


夫寝る湯けむりの空花あかり

藤本の妻


ビオトープスルメでザリガニ都会の童

二乃腕修正


愛鳥の灰の羽の香木の芽風

富永夏海


菜畑に蝶追い黄色に染まる子等

風来坊


敷きシート赤子を寝かせ春暑し

望月幸人


野に山に友と戯れ山桜

北山泰久


退勤の家路の右の花筏

睦月杏児


目をほそめ桜花絢爛はな嵐

夢生眠


来年は桜の元でちょっと美酒

野戸鎧球


わらび取りアメンボ遊ぶ水溜まり

野々原雀


麗らかにさくら輝き肩に舞う

矢吹 雅民


青き踏む笑む吾子吾と息切らし

矢沢どんぐり


雨上がり指を四角に撮った虹

悠生


風の道模様替えする花筏

竜眼ジジ


野のご飯山の泉へ水汲みに

鈴木わら


●ピックアップコメント:

季語の入ってない句や違う季語が入ってしまっている句をピックアップ。

「野遊」は春の人事の季語。春になり、暖かい日を浴びて野山で遊ぶことを指します。

「野山で遊ぶ」というわかりやすさのためか、具体的な行動を描いた句が多かったのですが、結果的に季語「野遊」そのものは抜け落ちてしまった句が多数ありました。

俳句ポスト365では各回の出題に全員が取り組むことで切磋琢磨を目指しております。

今募集中の兼題は、6月19日締切の「蜘蛛」です。ご投句お待ちしてます。


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▼【季重なり】

野遊びは桜踊るステージだ

さかあや


野遊びや幼きあの日レンゲ草

つついぐれちゃん


野遊びや園児らはしゃぎ蓮華つむ

わーわ


今日も又わらび探して野遊びす

井上教


野遊の声響く河原とつくしんぼ

遠澤人麻呂


夕焼けに野遊び独り長い影

下町古娘


石垣にすみれ鮮やかピクニック

岩田 ナディア


野遊の二度舞う桜にまた一献

九十九


子二人が野遊してるのどかな午後

春風


野あそびや空から蛇が落ちてくる

松山プネウマ


手つなぎの野游せり摘み母の味

森  茉那


野あそびにカワセミがきてしんとする

青木みかん


四葉のシロツメクサ野遊の土産

美月つみき


野遊びに青葉の舞い降る小径かな

翡翠 詩憶


子らの声抱かれて野遊びは夕焼け

餃子大王


残雪に足跡刻む野遊びよ

大渕航


●ピックアップコメント:

一句の中に複数の季語が入っている状態を季重なりと呼びます。

野遊に出掛ける春の野はまさに季語の宝庫。その場で出会ったものを描こうとすると、期せずして季重なりになってしまうこともあります。蓮華、つくし、わらび、白詰草などなど。季語だと認識しないままに使ってしまうケースには春の季語「のどか」や夏の季語「夕焼け」もありますね。

季語が複数入っている名句もあるので、「季重なり」は絶対にダメ! というわけではありませんが、複数の季語を作品として成立させるのは、上級者コースのウルトラ技。

ここに紹介した以外にも季重なりの句はあり、火曜日以降に紹介される場合もありますが、比較的許容しやすい季重なりとして受け止めているものもあります。

やはりまずは、一句一季語からコツコツ練習して参りましょう。


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※今回の兼題「野遊」初級者投句欄へのご投句は、投句数4220句、投句人数1758人となりました。


以下の①、②、③、④については入選決定!

金曜日「優秀句」へのステップアップのためのヒントをご案内します。

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▼①【野遊と場所】

君と乗るジェットコースターに野遊して

やのかよこ


野遊やオバサン駆けっこバーゲン会場

美宮広


新畳に盃ふたつ野遊びのごと

大泉ちんちろりん


野遊や大石仏の日本寺

中川 鉄庵


野遊びにピースサインの都庁かな

縞子勾苑


野遊や初めて走る芝跳ねる

照三平六


野遊の歓声響く草野球

こう@野の花


野遊びのホールインワン拳上げ

こーがはるちゃん


霊園に野遊しをる我らかな

三上 栞


野遊びの児らと婆らの薬師堂

宮里すみ子


野遊や駈ける野もなくジム通い

酒楽康庵


城まつり野遊び尽きぬ子供たち

赤羽ナナ


●ピックアップコメント:

「野遊」は文字通り野に遊ぶこと。しかし、取り合わされた言葉や場所によって、解釈に迷う句もありました。

たとえば「ジェットコースター」や「バーゲン会場」。屋内や遊戯施設での活動の光景だと考えると、野遊であるかは疑問が残ります。また、草野球やゴルフなどの場面も、専用の施設内で遊んでいるのであれば同様です。野原の傍らで行われている草野球を見かけたり、野の穴に石を打ち込んだりする遊びをゴルフに喩えていると解釈すればセーフか……?

その他、人工芝の上で遊んでいるような句もありました。

いずれも解釈によっては成立しなくもないですが、季語「野遊」が正しいか、読み手を迷わせる内容になっていないかは注意が必要です。


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▼②【野遊と動物】

居場所なき沼狸らの野に遊び

あずき 游瑚


ハクビシン畑にひらり野遊か

えちご散ざん


野遊のカナヘビと目が合うており

永井春蘭


野遊や見つめる鹿の雲水峡

華花開く


野遊の脇猛スピードで雉子が行く

山本直子路


菜園で野遊び雀跳ねる土

西野綾乃


ジョウビタキ翔ける野遊さそうごと

竹内揚羽


野遊に慣れぬ飼い猫植え込みに

にいやのる


●ピックアップコメント:

季語「野遊」の解釈に迷う例として、動物と取り合わせた句もありました。

なかには季語である動物(「鹿」「雉子」など)も含むのですが、季重なりについては今回は置いといて……。

「野遊」は原則「(人が)山野に遊ぶ」ことです。しかし、なかには「(動物が)山野に遊ぶ」意味で使われている句もあります。そうなると、人の行為を意味する本来の「野遊」からは離れてしまいます。

読み方によっては、野遊の場で見かけた動物の姿を描いているだけと解釈できるものもあるのですが、季語「野遊」の本意については留意しておきたいところです。


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▼③【二重切字】

野遊や風ひんやりと筑波かな

アルティメットバハムート


野遊びや草木の色も映えにけり

夏川涼


野あそびや五時のチャイムを憎みけり

轟湊


野遊や我が肉体は弱りけり

小野小マーチ


野遊や望郷の念にかられけり

小林浦波


野遊や眼下に望む水面かな

笑み


野遊や万葉人となりしかな

上山凡仁


野遊や子らの跳ねたる地球かな

天神川


●ピックアップコメント:

俳句の世界でいわゆるタブーの一つといわれているテクニックに「二重切れ字」があります。「や」と「かな」、「や」と「けり」の重複ですね。

切れ字はスポットライトのようなもの。一句の中に複数のスポットライトが存在すると、どちらを主役にしたいのかわかりにくくなってしまいます。

季重なり同様、複数切れ字が入った名句もあるので、絶対にダメ! というわけではありませんが、上級者コースのウルトラ技と考えて良いでしょう。まずは、切れ字は一つから!


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▼④【類想】

俳句づくりの上での思考や発想が似通ってしまう事を「類想(ルビ:るいそう)」と言います。


野遊びや走る児追ふ児泣きだす児

k陽一郎


野遊びやズボンの尻の草の汁

NOWARもとみな


野遊や終日(ひねもす)われは童なり

syuusyuu


野遊やチキンさらわれ吾子の泣く

あすかきょうか


野遊びしわんぱく過ぎて絆創膏

アボカドブロッコリー


日本中野遊したね亡き母よ

アルル


待ち合わせ野あそび土手を漕ぐペダル

いたっく うらら


夕暮れに野遊の子を背負ひたり

いまいやすのり


ハイキング花みつけては足止まり

いわた 風子


野遊や赤いボールがころころと

うましかやろう


野遊びや遠くから呼ぶ声は母

おでめ


野遊びに卵焼きつめいざ行かむ

かじまとしこ


野遊や塩をきかせし握りめし

かしわん


野遊びや帰りは父の背で眠る

かすみ草


野遊や花かんむりを父母へ

カフェオレ草


野遊やノスタルジアのセピア色

かめ


野遊の国の記憶の鮮やかさ

くじらや


ピクニック家族みんなでお弁当

くるみちゃん


野遊びを終えて抱へる子の重さ

クロウメモドキ


野遊びや駆け回る声雲間抜け

ゴールデン文子


野遊びの笑顔を偲ぶ三周忌

ゴリ霧中


野遊で揺れる車は寝息かな

さややちゃん


野遊びの帰りは爺の肩車

さわだ佳芳


野遊や大の字になり深呼吸

スマホ優


野遊や家路に誘う親苦労

たん造


野遊へ踏み出すや初孫娘

ちゃー


野遊や年長組の土手すべり

デイジーキャンディー


野遊や孫大笑でジジ走る

テラゴン


野遊びの子には届かず母のこゑ

とおやまみえこ


母の声時を忘れて野に遊ぶ

とき つか


野遊びやむすび三個目雲流る

ところ啓泉


すぎひのきマスク外せぬ野遊かな

どれみ


野遊びの花の冠萎れゆく

にえ茉莉花


野遊に興じた丘はマンションに

のろのろ爺


野遊やカタカタさせし遊山箱

ひめのつばき


野遊びに行って疲れるもう五十路

ほりかわとみ


野遊や握り二つと卵焼き

マダム愛和


野遊や靴下脱いで草の上

マヒル ムラサキ


野遊や母に習った卵焼き

みー


野に遊ぶこの指止まれ幼き日

みっちゃん


初孫のあんよはじょうず野遊よ

みのり甘子


初靴を履く子を誘い野遊へ

メ之下クマ子


野遊びの我が子の笑顔宝物

愛生園風来坊


野遊びや心地良い風深呼吸

逢花菜子


野遊や入り口覆う秘密基地

綾瀬 康子


子も犬も野遊響くこだまかな

伊呂八 久宇


野遊や光と声と草の香と

郁松 松ちゃん


野遊の後は車中と夢の中

磯野ひよどり


野遊や指いつしんに花冠あむ

一寸雄町


野遊やお日様と草匂ひける

一歩千金


草原に野遊の子ら楽しむや

影夢者亜


マスク無しうまいおにぎりピクニック

栄音


野遊びや幼き心に戻りしも

英公蒲


野遊びに転んで脛に赤い痣

詠野 孔球


気持ちは十五還暦の野遊びや

王里かほる


野遊や無心に走る日暮れまで

下田せつちゃん


野に遊び最後は母のひざまくら

加藤理恵子


野遊びや犬と戯れ走る僕

可可夫豆


野遊びの誘ひ抱えるスマホかな

夏空なみ


アルバムの中の野遊び祖父がいて

河東侑良


野遊の匂ひ消す乱立のビル

甘蕉


野遊びや陽だまりで摘む花いとし

丸岡彩映


乳飲子や初の野遊び笑みこぼる

希凛咲女


コンビニのおにぎり一つピクニック

吉 勇之助


野遊びやクローバーの花かんむり

吉見小鈴


野遊し子らの写真はセピア色

橘高シャンプー


野遊やひとりおねむの童かな

久木 諷


野遊や煙パタパタバーベキュー

球子


野遊よ女王気分に花を編む

京 このん


野遊びの女王草の冠に

京野ののか


野遊や孫らつくりぬ首飾り

玉京子


野遊や花首飾り飛び跳ねる

玉治美


野遊びに疲れ親子の添い寝かな

金子恵


野遊や芝の香ふわり吾子の髪

空車


野遊やわんこが駆ける子はこける

桂 歩


野遊びや天まで響く笑い声

研田千響


野遊の膝でねる児や帰路のバス

原貼女


段ボール尻敷き滑る野がけかな

古谷芳明


野遊や吾子の歓声背伸び見る

虎の尾(柴山)


野遊びの夕暮れ父の歌聴く背

後藤 もこと


野遊びの草踏み匂う青臭さ

康寿


野遊や走りっぱなしの犬と子と

黒瀬三保緑


野遊やスマホに草の名を尋ね

佐倉英華 


野遊びや花冠のお姫様

佐竹草流


野遊の幼な心に返るかな

佐藤 聡


ヘビロテの段ボールぞりピクニック

佐藤 蜩


野遊びやスマホで撮りて花アプリ

佐藤白行


野遊やふるさとの友想い出し

佐伯良吉


野遊やにぎりめし手になつかしむ

彩李緑


野遊やファーストシューズ踏む緑

斎藤砂風


野遊びを思い出し編む花冠

桜木レイ


野遊で転んだ吾子に駆け寄る娘

三井竜屋


野遊やハイハイの手の青臭し

三浦海栗


野遊びや風の香纏う塩むすび

三毛山タマ子


野遊びの写真の君を憶う夜

山吹 光


花柄の土手をころがるのあそび子

山川宙塵


野遊や摘んだ花の名も知らぬ

山田独墨


野遊の子らの声聞く令和五年

山本ひなた


野遊や燥ぐ兄妹マスクなし

山本修


野遊の弁当つつむ母の指

山野 音


野遊びや母子笑顔で花を摘む

散歩雲


野遊や少し眠たいバスの中

讃岐 つばめ


野遊や摘みし四つ葉の数競う

四王司


段ボール蝋塗り野遊び草滑り

姉あね猫


野遊びや疲れ果てたる子の重み

寺崎ひあしんす


野遊びで草むら歩く犬のポチ

寺尾銀次


野遊やたどたどしくも吾子歩む

時遊人


野遊や駆け寄る吾子の赤い靴

七星麦穂


野遊や母のおむすび風の中

柴田絵里奈


野遊の跳んで跳ねるやフリスビー

芝滋


野遊や孫追い駆けて息切らす

釈 弘円


高らかに母を呼ぶ声野遊びや

守 菜月


野遊びや唐揚げたまご塩むすび

朱胡江


野遊びの駆け巡りホラ跳ね起きる

秋扇


野遊びの草や赤兒の初歩き

渋谷ヨモシ


野遊の思い出今はセピア色

渋谷桐峰


野遊や空へしゆるるとフリスビー

出楽久眞


野遊びや背に腹につく草のしぶ

勝瑞 陽


野遊や草の匂ひを持ち帰り

勝本熊童子


野遊びやはやる気持ちに走り出す

小春風貴子


野遊に駆け出してゆく子どもかな

小松玲生


友誘い野あそび畦道握飯

小西えみり


野遊びや草の匂ひの満ち満ちて

小川凜


野遊に疲れ眠る子首を垂れ

小鳥乃鈴音


野遊びやそれぞれの手の握り飯

小野寺 余伴


野遊びや花かんむりを編む女

小林 よひら


野遊や花冠のプリンセス

小林弥生


野遊は尻尾を振ってる愛犬と

松山 文化


花つみに陽のにほいして野に遊び

松山女


野遊で愛犬ヒナと稲荷山

松瀬章章


時忘れ野遊の友と花を編み

松本なにわっこ


野遊びや指さき淡く草香る

松本マンボウ


素足での土の感触野で遊ぶ

松本千春


孫連れて野遊共にスマホ見て

上四号庵


野遊びやキャッチボールとサッカーと

新谷夏風


野遊びの子らの響くはしゃぎ声

新風亭のんびり屋


草まるけ野遊してる親と子ら

森研三


野遊や運動靴にうすみどり

森野栞


野遊びや喚声響く芝すべり

森里綾里


野遊や目を閉じわれは風になる

深山鳴兎


野遊や背に子の重き帰り道

真咲よしの


野遊や跳ねる三つの影法師

神宮寺るい


野遊びのおむすびいつも俵型

神酒猫


野遊の駆けては転ぶ二歳児よ

神谷元紀


ピクニック新し靴とチビむすび

水産丸 太郎


野遊のつづきを背なで眠る吾子

水浜義友


野遊びや花の匂いが風に舞う

水野 孝


野遊びやあの子の大きなおにぎり一つ

瑞々


野遊や空を切り抜くフリスビー

菅野まこ


野遊やとんびが攫う箸一本

瀬戸 岬


野遊びの帰りの吾子は背で眠り

是空


野遊は想い出写真浮かぶ君

成瀬ぽんぽこ


こども達跳ね飛び回る野遊びよ

成瀬桃うさぎ


弁当は友と木陰へピクニック

晴晴ブラザーズ10才


おにぎりに野遊び虫が無礼講

正善


野に遊ぶ祖母の瞳は幼き子

清名


恋人と歩き親しむピクニック

西宮 ケイ


野遊びて疲れ眠る子重き帰路

西原 煌舟


野遊の海苔の旨さは格別なり

青風ヨシユキ


野遊や君への想い風に乗せ

青木 福


野遊や長靴の裏跳び回り

石原しょう


白いファーストシューズ野遊のリハ

雪乃冬


野遊や二日おくれの疲労感

千寿 ココ


追いかけて追われて犬と野に遊ぶ

千茶


野遊びやリュックにふたつ握り飯

川口光彦


野遊びしおいしく食べるお弁当

川口聡美


野遊や笑顔が咲いたランチ花

泉北の石ヤン


樹の下で野遊びの午後ごろ寝する

浅葱鴨葱


野遊びやウクライナの野を思ふ

前田 龍志


野遊終え幼なじみと辿る道

禅心大河


野遊びに老いも若きも時忘れ

早風


ご近所と三年ぶりの野遊びに

草道Q幸


野遊よ父母のゐた犬もゐた

村上卯乃


カラスから弁当まもれピクニック

村先ときの介


野遊に疲れて寝る子背にずしり

大空りんむ


野遊や祖母と思い出なつかしき

大西 奈余子


遠く駆けては呼ぶ声澄む野遊び

大堀藤子


遊山箱ゆれし野遊び幼き日

男子三兄弟


雨上がり土の香木の香野に遊ぶ

池田風貴


野遊びやワイン片手にピクニック

茶々子


野遊びや腕の中の子草の香り

中村のりぴ


野遊びの子が抱え行くボールかな

朝日雫


子らの声花に緑に野遊や

津嶋 有明


野遊びや籠にワインとパンチーズ

辻 麻


野に遊び走りくる子や日の匂い

田中亀子


野遊びもコンビニ弁当日曜日

田中妙女


野遊びや草の匂いにひと眠り

渡辺 あつし


野遊びの弁当二個の笑顔かな

島こうこう子


野遊や吾子らの握り飯の具は

嶋光


野遊びや初採集はだんごむし

藤 れい


野遊や走り回る子追いつけぬ

藤すみ


野遊や私は王女花冠

藤原明太子


野遊や花冠に時忘れ

楠十瀬子


野遊や上に下にと大騒ぎ

日日新


野遊びのキャッチボールや爺の声

日本酒


野遊てふデジタル離れ街離れ

如月  ゆう


幸せの四つ葉みつけて野に遊ぶ

芭琉


野遊びやまだ帰らぬと泣く子いて

梅が枝餅


野遊にコロナの憂い弾け飛ぶ

梅雨まち子


野遊びやばばの背負いかごしおむすび

梅津桜子


野遊やおにぎり二個のいびつなり

梅尾 幸雪


野遊や昔を思い子にかえる

白兎パンコ


野遊や心身共にリフレッシュ

畑 明庵


こそばゆい素足に感ず野遊かな

八代阿見


野遊や塩味だけのにぎりめし

煩悩愚息


野遊や青空を斬るフリスビー

美佑紀まい


新品のベビーシューズや野に遊ぶ

不文律


日和坊主明日は野遊るんるんる

富士咲広海


野遊や芝生坂道ダンボール

芙蓉


野遊や淡きデニムの尻に芝

武幻琵離吾


野遊や塩むすび置き駆け出す子

風の木原


敷物の四隅に荷物野遊や

福井桔梗


幼き日野遊優しき時流る

福田もふもふたん


野遊びに読みさしの本携えり

焚火もくめ


野遊びや花の香りの風に乗る

文生


おむすびの温もりを背に野遊へ

兵頭紫峰


野遊びやころびて笑顔歳いくつ

平田暮路伊


おにぎりの形はいびつ野に遊ぶ

防子


野遊びや子のポケットにダンゴムシ

頬乃笑窪


野遊や黄の帽子らが追う小石

北穴大将軍


野遊びにこけても笑うわが子かな

凡吟山


ひらひらと滑り行く土手野遊や

未央宮


野遊やはしゃぐ声に増える笑み

未知女


ピクニック慌て蠢くダンゴムシ

魅了郭  極辛


野遊びはコンビニ弁当とスマホ

野口静竜


野遊に疲れ仰向け犬と夫

野洲 慧


野遊へ草冠で決めポーズ

野々山あざみ


野遊や犬も弾みてタッカタン

矢盛りん音


野遊やダンボールにて坂下る

唯野 夢色


自粛明け鼻駆ける抜ける野遊びの香

遊江 久大


野遊びの新品靴の孫眩し

葉月緑正


野遊びや駆け回る子らとみどりの風

立香


野遊びや祖母に土産の四つ葉摘む

立石領


野遊びの幼き手には泥団子

龍泉灯


日暮れまで野遊びした日思ひ出づ

涼風 蘭


野遊や四葉見つけてはしゃぐ甥

鈴木  翠月


野遊びや持ておむすびと魔法瓶

鈴木すゞ


野遊びや背で眠る子の帰り道

路傍野 意志


野遊びや思いを馳せる幼少期

翔健


野遊の後のシートに残る芝

藪本ゆかり


●ピックアップコメント:

野で遊んだ体験は誰しもあるもの。草花を摘んだり、おにぎりを食べたり、怪我をしたり、etc……自分自身の体験に限らず、家族や友達の体験として見聞きしたことのある内容がたくさん届いております。

たくさんの類想を見ることによって、自分の中に類想のデータベースが構築されていきます。今回見かけた発想のおかげで、陥りがちな類想も避けられるようになるかもしれません。

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明日から火曜日、水曜日、木曜日、と入選句を発表します。入選句の評価は火、水、木(ステップアップのためのヒントに掲載分も含む)ともに同じランクです。順不同での掲載です。

そして金曜日は、初級者投句欄の優秀句発表です。

投句はこちら