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初級者結果発表

2023年4月20日週の兼題

麦の秋

【曜日ごとに結果を公開中】

【入選までもう一歩】

選者コメント

家藤正人

みなさまこんにちは。初級の選者、家藤正人です。

月曜日は、入選にもう一歩という句をご紹介します。


・月曜日の「選者コメント」に掲載されている俳句については、作品検索はできません。

・月曜日の「ステップアップのためのヒント」に掲載された句、入選句、優秀句については作品検索が可能です。


月曜の「選者コメント」や「ステップアップのためのヒント」を参考に、目指せ金曜優秀句への道!!

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▼【季語なし&違う季語】

きょうしつ精米袋義父は縫う

ななし


アンパンマンコロナ禍の大先生

柳 新


あみ持つ手瞳の奥に里の初夏

ぽんたん ママ


見渡せば麦の穂波を渡る風

マサ


麦実る子らの掛け声夢青く

みっちゃん


隧道の陰よりポアント真白鷺

ミョウジンマサミチ


引っ越しや蠅虎も連れて行く

ロストボール明神


紫陽花の花びら朽ちて梅雨が明け

影 吉太郎


窓越しのビルを切り裂きツバメすぐ

花沢 迂人


花は葉に現を抜かす窓辺かな

岩崎香乃音


金色の嵐横切る秋の麦

金色野風


田園に黄金の絨毯麦穂舞う

空想家


「がんばれよ」濡れた助手席秋の麦

江戸川 葵


番付や大波兄弟飲むビール

高木友


ソーラーパワーチャージ完了秋の麦

山口鳩子


サバ缶や人恋し夜に囁く二日月

唱月


胡座かき一人時間に初夏の風

森脇レイ


風薫る秋麦ながめあぜ道を

西牡丹


麦の穂や田水の光照り返さむ

地白 人素


麦の苗逞しくなれ一面に

池尾泰子


晩秋は遠し焦土のチェルノーゼム

博丞


秋の麦麦茶のすすむ塩むすび

白井猫


麦の穂や真白い風が吹き抜ける

尾方 文生


秋の麦渡る風にも心地よさ

平谷河女


先生と会える喜び夏の空

北迫 楓


風光りさざ波はるか秋の麦

野々原雀


秋の麦多摩川の土手初でいと

矢沢どんぐり


澄み渡る大空手を当て秋の麦

立川夏子


麦凪ぐウクライナの空

たんぼっぽ


●ピックアップコメント:

季語の入ってない句や違う季語が入ってしまっている句をピックアップ。

「麦の秋」は夏の季語で、ジャンルは時候に分類されます。黄金色に熟した麦の取り入れどきになる頃をいいます。植物の「麦」とは違った季語ですのでご注意ください。

俳句ポスト365では各回の出題に全員が取り組むことで切磋琢磨を目指しております。

今募集中の兼題は、7月19日締切の「雷」です。ご投句お待ちしてます。


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▼【五七五七七】

ベランダでお酒片手に麦の秋遠く故郷重ねて見つつ

藤本林子


さよならのあせのにおいにむしのこえあついひざしよおかえりなさい

tmtm


●ピックアップコメント:

五七五の俳句としてはいささか音数が多すぎます。数えてみると三十一音。ずばり五七五七七の短歌のリズムを取っております。

俳句ポスト365では短歌の良し悪しは判断できませんので、短歌を取り扱う投稿先をお探しの上、そちらへの応募をおすすめします。

「専門は短歌だけど、俳句も始めてみたい」という場合はもちろん俳句ポスト365への投句歓迎であります。まずは基本の五七五有季定型から一緒に始めて参りましょう。


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▼【季重なり】

飛び去りし雉は何処に麦の秋

宮里 すみ子


昼下がり日傘さす麦の秋

橋口惠


ビールよしバーベキュー日和麦の秋

咲さこ


麦の秋若き球児の夏を待つ

師走竹馬


麦の秋蜻蛉と蝶舞い踊る

時間餅


麦の秋黒き蝶々飛び去りぬ

森下一夜茸


麦の秋新茶にとけるウグイス色の

千葉幸女


大根のツマを煮詰める麦の秋

窓川ぽん


澄んだ空地は黄金の麦の秋

草道Q幸


水田や生きづく早苗麦の秋

大西泉花


麦秋よひばりピーチク騒ぎだし

池ばーちゃま


麦の秋隣は田植え蛙鳴く

藤晋


便り有り涼しき風の麦の秋

武知佳


麦の秋ヒラリ蝙蝠虫を追い

文知摺 信夫


温暖化猛暑大雨麦の秋

放蕩


朝の露我が子生まれし麦の秋

網野れいこ


麦秋やビールの泡の向こうのメガネ

溪皎藍


風の舞夕焼けに染む麦の秋

翡翠 詩憶


麦の秋ビール片手に夜が更ける

愛生園風来坊


●ピックアップコメント:

一句の中に複数の季語が入っている状態を季重なりと呼びます。

「夏」「蜻蛉」「蝶」など、わかりやすい季重なりもありますが、中には季語と知らずにうっかり使った結果季重なりになっている人もいるでしょう。「ビール」「涼し」「新茶」「夕焼」なども実は季語です。

うっかり季重なりは新たな季語を覚える良いきっかけ。これを機会に新しく知識を増やして次に活かしましょう。


季語が複数入っている名句もあるので、「季重なり」は絶対にダメ! というわけではありませんが、複数の季語を作品として成立させるのは、上級者コースのウルトラ技。

ここに紹介した以外にも季重なりの句はあり、火曜日以降に紹介される場合もありますが、比較的許容しやすい季重なりとして受け止めているものもあります。

やはりまずは、一句一季語からコツコツ練習して参りましょう。


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※今回の兼題「麦の秋」初級者投句欄へのご投句は、投句数4010句、投句人数1715人となりました。


以下の①、②については入選決定!

金曜日「優秀句」へのステップアップのためのヒントをご案内します。

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▼①【二重切字】

麦秋や風になびく穂の音色かな

soraaoki


麦秋や絵画の中に浸りけり

玉照


●ピックアップコメント:

俳句の世界でいわゆるタブーの一つといわれているテクニックに「二重切れ字」があります。「や」と「かな」、「や」と「けり」の重複ですね。

切れ字はスポットライトのようなもの。一句の中に複数のスポットライトが存在すると、どちらを主役にしたいのかわかりにくくなってしまいます。

季重なり同様、複数切れ字が入った名句もあるので、絶対にダメ! というわけではありませんが、上級者コースのウルトラ技と考えて良いでしょう。まずは、切れ字は一つから!


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▼②【類想】

遠き郷恋し六十路に麦の秋

越後縮緬


黄絨毯走る軽トラ麦の秋

k幸女


麦秋は豊か食パンは半額

あおい結月


ミサイルの飛び交う下の麦の秋

アクエリアスの水


かかげる旗は麦の秋

イチゴ 醍福


ウクライナ世界が望む麦の秋

いちばほうすい


古城跡棚田偲んで麦の秋

えちご散ざん


麦の秋からりと揚がるパンの耳

おかえさき


麦の秋嬰児籠たなぐ背には吾子

おでめ


ゲートボールを楽しむシニア麦の秋

オリゼ


麦の秋塩をきかせて飯握る

カシワン


元気っ子公園めぐる麦の秋

がんちゃんぴん


立ちこぎの閉店まぎわ麦の秋

しみず茜湖


買い込んだドライイースト麦の秋

すげがさ


焦げ過ぎのトーストにバタ麦の秋

すずき 弥薫


麦の秋踏み慣らし日のそらの蒼

ぞえ唱月


麦秋や雫に集う虫や人

ちゃー


子供らの駆け抜けてゆき麦の秋

てつねこ


麦の秋パッチワークの車窓かな

ところ啓泉


ペダル踏む美瑛の丘は麦の秋

とりゆふ


麦の秋小さくなったランドセル

ナンプラー大好きママ


家中のカバー干したり麦の秋

にいやのる


半袖で駆けてゆきたい麦の秋

にえ茉莉花


麦の秋食い盛りの子にぎりめし

ねうねうこ


窓開けてローカル列車麦の秋

ハイビスカス竹内


麦の秋うどんかパンか地ビールか

まつはなすみれ


醸造所黄金の釜や麦の秋

ミエコハマタニ


さわさわと風わたる朝麦の秋

みやこわすれ


ナウシカに会えるんじゃないか麦の秋

やまさち


麦の秋パンの匂いに尻尾振る

ゆず柴


麦の秋早朝の香バゲットか

よつ葉


麦の秋明日もうどん食べようぞ

らるご


黒パンの井桁の焦げ目麦の秋

れい


麦秋や昔の映画原節子

わわ


三つ目のおにぎり掴む麦の秋

阿曽 遊有


ピーチクピィ響く大空麦の秋

案山子の鹿か


麦の秋戦地想いてパン捏ねり

伊泉不洋菫


麦秋や瓦礫の街を戦車行く

伊藤一翁


遠つ国の平和を祈る麦の秋

井口幸嬰


黄金の風音ひかり麦の秋

郁松 松ちゃん


麦の秋母校懐かし通学路

一春


荒れ果てし異郷を愁う麦の秋

宇佐美 秀堂


ウクライナ必ず叶う麦の秋

栄音


麦秋や鳥瞰の野の色めけり

永井旅人


遠き日の味噌おにぎりや麦の秋

英 凡水


風を切る自転車二台麦の秋

越乃杏


湯気の立つパンの香りや麦の秋

岡崎秀恵


麦の秋穀倉地帯に弾の雨

下田せつちゃん


思い馳せウクライナの地麦の秋

可可夫豆


長袖も半袖も良し麦の秋

夏川涼


麦の秋祖父の歌声夕の畦

海堂一花


黄金色背を向け暮れる麦の秋

垣我実


洗濯のシャツはためいて麦の秋

丸岡彩映


麦の秋暮れる陽にゴッホの黄色

岸壁の龍崎爺


麦秋や褐色短穂パンコムギ

吉満乃苗


麦秋なびく末はパンかうどんか

久世越仙


ノンアルで我慢するかと麦の秋

橋野虎空


麦秋や夕陽差し込む金色の海

金子恵


仕事終え喉が求める麦の秋

窪田壱刻


蒼天も嫉妬や麦秋の黄金

栗花落カナヲ


麦の秋この下にいるのは王蟲

月夜田 しー太


バゲットのクープぱつくり麦の秋

月野うさぎ


麦の秋投げ打ち走る今朝のパン

原貼女


麦の秋シャツ翻しペダル漕ぐ

古見屋遊宇民


洗濯機廻し廻して麦の秋

呉暮子


見え隠れ集団登校麦の秋

吾亦紅也


麦の秋三年ぶりの泡乾杯

工藤ほたる


麦の秋部活終えての帰り道

広島立葵


「はだしのゲン」踏まれても立て麦の秋

荒木ゆうな


風模様ほのかにわたる麦の秋

今乃武椪


一年生通い慣れたか麦の秋

佐伯良吉


麦の秋ジョッキ片手に一気飲み

彩李緑


麦の秋訪れた孫かくれんぼ

才川眞猿


麦秋はカユイかゆいの思い出よ

斎藤コロンのママ


工場にうどん屋の旗麦の秋

菜活


金麦を飲むたび浮かぶ麦の秋

桜餅草


母の笑み麦の秋より収穫す

笹イボ太郎女


ウクライナ麦秋気になる食の危機

薩摩南風


自転車ヘルメット麦秋を走る

山下りすこ


道ばたの地蔵に祈る麦の秋

山口ひろりん


ウクライナ大地の麦秋いつのこと

山田桜


名シーン思い出す丘麦の秋

山田由紀子


太古より命つむぎし麦の秋

山田翔子


麦秋や畔に置かれたコンバイン

山本修


通学路シャツ眩しくて麦の秋

寺岡はる


咲き乱る畑の彩や麦の秋

時遊人


おにぎりを家族で棚田麦の秋

実りの秋


麦の秋自然酵母の手作りパン

芝滋


麦の秋末娘乗るコンバイン

釈 弘円


三つ目のトンネル抜ければ麦の秋

十四志


ウクライナ地雷の中の麦の秋

春の新々


戦火絶えず哀れ麦秋ウクライナ

小西えみり


つかれはて歩みしさきに麦の秋

小池喜久枝


にぎりめし頬張り眩し麦の秋

小柳ジョージ


麦の秋干したばかりの白Tシャツ

小林泉澄


峠への県道曲がれば麦の秋

松雪柳


作業終えのどを潤す麦の秋

松本なにわっこ


二人でも隠れんぼする麦の秋

松本り久


天ぷらがカラッと揚がり麦の秋

上野蕗人


麦の秋ああナウシカが降り立ちぬ

新谷夏風


麦の秋黄金色が風に乗り

森田一華


讃岐麺麦秋の香吾が宝

森島蓮根


答え出ずうどんかパンか麦の秋

森澤晋也


麦の秋迷路にかくれし孫と声

森茉那


父と食ぶ三角おにぎり麦の秋

神津草茶


麦の秋雪に踏まれし金色美し

水きんくⅡ


麦の秋母屋を囲む小津映画

水琴子


ひた走り飽きない車窓麦の秋

水城みずき


麦秋の風を受けナウシカになる

西わこ


背伸びして空をつかむ子麦の秋

青井季節


子らを待つ三時のむすび麦の秋

千の葉


夕空へ踏み出すペダル麦の秋

千寿 ココ


麦の秋踏まれし日々も思い出に

泉谷 梅子


麦秋や立ち漕ぎ男子の風は青

浅河祥子


麦秋やパン焼ける香り腹の虫

浅葱鴨葱


麦の秋戦禍に消えた物語

村先ときの介


鎌を研ぐ音軽やかに麦の秋

大家由美子


麦の秋黄金どよめく病院裏

大槻たまみ


麦の秋パンの香りは気のせいか

谷本真理子


焼きたてのパン頬張りし麦の秋

竹たけのこ  


麦の秋やっぱりこれだまず一杯

茶子父


麦の秋あぜ道走る我が子かな

中岡 桂


ノーマスク深呼吸する麦の秋

中川衣沙


麦の秋足取り軽き散歩道

中川優月


つぎつぎと畑にうねりや麦の秋

中村のりぴ


黄金を吾見つけ居り麦の秋

中島裕貴


麦秋や踏まれて育て我がこころ

朝夏


麦の秋うどんの国のラビリンス

朝日雫


小津を観てまた小津を観る麦の秋

天道虫


麦秋や穂波打ち風の調べ

田口秋楽


麦の秋重機あしあと背比べ

島田 モンブラン


パン工場流れし風に麦の秋

島田 志風


麦の秋たわわな金の大気見ゆ

日々野こもれび


麦秋の泡を飲み干しもう一杯

八迷琴柊


麦の秋光る黄金に喉渇く

飯島寛堂


麦の秋ウクライナの空の青く

尾崎ダリア


小麦パン始めましたと麦の秋

琵琶湖のおばさん


麦秋踏まれど挫けず立ち上がる

美月つみき


麦秋を群飛ぶ鳥のゴッホめく

美竹花蘭


光よりメーヴェ現る麦の秋

武志望


1Kの部屋にパンの香麦の秋

風街光


コンバイン戦車の如く麦の秋

北斗八星


麦秋や雀はコンバインが好き

北里有李


見送りし丸き背穂ゆらり麦の秋

末広野暢一


讃岐路のセルフうどんの麦の秋

万明


戦禍こえ伸びよ実れよ麦の秋

未知女


麦の秋夕陽の中のかくれんぼ

霧 澄渡


麦秋や二毛作農家の匆々

名出 結希人


麦の秋平和の遠きウクライナ

名前のあるネコ


ナウシカの降り立つごとし麦の秋

野の ねじ花


麦の秋穂が伸びるよに我も進む

野戸鎧球


武蔵野のうどん手繰れば麦の秋

野口静竜


ペダル踏み深呼吸する麦の秋

野山ノハナ


麦秋の波自転車で漕ぎ渡る

野洲 慧


麦の秋バス待つ彼のシャツ白し

弥生ポリ


旅誘う見たい景色だ麦の秋

矢野游呆


麦秋や揺るる黄金の波に立つ

優音


麦の秋ゴッホのごとき火群かな

柚子こしょう


青と黄の旗の望みし麦の秋

与志田May


麦の秋大地を育む肥となれ

落合ペコ


駆け抜ける足軽やかに麦秋か

里村


コストコの裏果てしなく麦の秋

立石領


金色を揺らして滴麦の秋

粒野 餡子


切り取った逆光の枠に麦の秋

竜眼ジジ


刈り終えて祖父の笑顔に麦の秋

涼風 蘭


青空の麦秋や彼の国想う

良梨木


麦の秋トラクターの列凱旋す

鈴木三鳥


どこまでも続くあぜ道麦の秋

蓮見玲


輝きも勝てぬはしかさ麦の秋

和脩志


麦の秋日差し眩しや草映える

翔健


金と青混ぜる風起き麦秋の

薔薇紫


麦の秋忘れがたき故郷かな

栁胡蝶


空届く球児の声や麦の秋

髙山善裕


●ピックアップコメント:

「麦」の一語から穀物、パン、ウクライナ、などを発想した例が多くありました。また、麦畑や丘など広い光景を連想する人も多かったようです。

たくさんの類想を見ることによって、自分の中に類想のデータベースが構築されていきます。今回見かけた発想のおかげで、陥りがちな類想も避けられるようになるかもしれません。


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明日から火曜日、水曜日、木曜日、と入選句を発表します。入選句の評価は火、水、木(ステップアップのためのヒントに掲載分も含む)ともに同じランクです。順不同での掲載です。

そして金曜日は、初級者投句欄の優秀句発表です。


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