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初級者結果発表

2023年12月20日週の兼題

蜜柑

【曜日ごとに結果を公開中】

【入選までもう一歩】

選者コメント

家藤正人

みなさまこんにちは。初級の選者、家藤正人です。

月曜日は、入選にもう一歩という句をご紹介します。


・月曜日の「選者コメント」に掲載されている俳句については、作品検索はできません。

・月曜日の「ステップアップのためのヒント」に掲載された句、入選句、優秀句については作品検索が可能です。


月曜の「選者コメント」や「ステップアップのためのヒント」を参考に、目指せ金曜優秀句への道!!


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▼【季語なし&違う季語】

Different languagebut 蜜柑 mandarinboth three syllables

American友達


美しく甘さが詰まってとろけそう

1番


広がるよ箱いっぱいに甘みがね

MIKAN


袋掛け枝に足掛け観える瀬戸

Tomoki


みかん箱今日も娘のお立ち台

安曇野くーみん


溢れ出す蜜柑ジュースは蛇口から

栄音


叱られた目線の先に黄染の手

海空りん


冷凍の蜜柑の解ける汽車の窓

喜多冬翠


就寝時忘れて気づく爪の色

狐狼


渋滞を抜けみかんパフェ列長し

如月  ゆう


蜜柑箱箒ギターでのど自慢

浮麗麗佐藤


練炭を熾こす廃材蜜柑の木箱

武藤ヨーグルト


星型に皮がむけるか練習中

伏見 将輝


寝床出て蜜柑の様な陽の中へ

有井 新子


日が昇り山の峰々みかん色

羅風音


幼子のふゆを頬張る黄色の手

イチゴまんじゅう


流星群待つ空浮かぶ蜜柑月

ウォーカー尚子


八朔の黄色きれいと孫の言う

おじいちゃん1号


橙の星は不揃い父子の炬燵

葛谷 六


たちばなの酸いも甘いも祖母のあじ

原城鯉一


パチンパチン赤い伊予柑鼻垂れる

山うち


微苦き冷凍蜜柑や盆帰省

松本マンボウ


男泣き花粉症だと虚言する

店田


地震あとの抜道狭し斑雪

田中つきひ


蜜柑の幹よじる身振りや雨蛙

東予稲村


凍える耳にみかんのうた涙

竜口美良


しみじみと心と体が蜜柑色

瀧川 夜空


日に10ケ母の手まっ黄ミカン色

カワムラ一重


家族皆手指染めるや蜜柑色

近未来


蜜柑色指先淡く染まりけり

飯島寛堂


●ピックアップコメント:

季語の入ってない句や違う季語が入ってしまっている句をピックアップ。

時々、兼題をテーマにして作られている句がありますが、兼題として季語が出題された場合は、その季語を一句に詠み込むのがルールです。

「蜜柑」という単語は入っているものの、季語として扱うには厳しい使い方もありました。蜜柑の箱や、蜜柑色、といった蜜柑そのものではない使い方がその一例です。

なかには英語の句も届いておりますが、残念ながら英語俳句はこちらでは扱っていないのです。いろんな投句先を探してみてくださいね。

俳句ポスト365では各回の出題に全員が取り組むことで切磋琢磨を目指しております。

今募集中の兼題は、3月19日締切の「囀」です。ご投句お待ちしてます。


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▼【季重なり】

大晦日当たれと願いミカン揉む

エクボスミ


暖かいこたつの中で食べるみかん

ジャスティス月島


みかん食べマフラーをつけ暖かい

せらぴー


今年は蜜柑を食べて年越しだ

たけし


大晦日今年最後のみかんだね

たける


年明けて炬燵でみかん温かい

ハチミー


キビタキや残り蜜柑の礼に来し

ふみちゃん


冬の夜お風呂上がりはみかんかな

まいたけ


蜜柑たべてあたたまるみなこたつのなか

みかん


蜜柑を片手にコタツに入りひとつまみ

モアイ


年の瀬に蜜柑が香るお蕎麦かな

愛猫


小春凪車窓の蜜柑ゆらゆらと

円海六花


蜜柑持ち炬燵に潜り秘密基地

加藤  凛華


正月手が出る蜜柑家の中

加藤 翔


冬思い蜜柑食べれば雪景色

華中 うまに


こたつとみかん寒い冬にはかかせない


庭先の蜜柑収穫冬近し


冬レクの忘れものシャリシャリの蜜柑

熊手の父


こたつ蜜柑果汁たっぷり甘酸っぱい

肩こり女


ふゆのあさみんなあつまりみかんくう

柴丸


蜜柑あるコタツの布団朱が良い

針ねずみ


冬景色こたつの上に蜜柑山

水澤正年


年の瀬の親の仕送り蜜柑箱

晴野皐月


二個三個飽きぬ蜜柑や冬籠り

倉田傍石


雪深し救援物資の蜜柑二個

大渕航


寒き夜の勉強見守る冬蜜柑

知足


冬の日にこたつの上に蜜柑かな

長谷川  ぼんとん松


落実の蜜柑一口冬の山羊

鶴梨淵玄


冬きたりおもわず蜜柑に手が伸びる

土高花凛


暖かいこたつで食べるみかん

冬季節  こたつで食べる みかん


蜜柑があり人がいて冬がくる

匿名希望


晴れるほど寒し山も里も蜜柑

肉野州民菜


冬晴れの空き家に蜜柑鳥集う

飯沼眞弓


蜜柑の甘酸知りて冬来る

緋村天心


年始のテレカン画面外に蜜柑

風友


あかぎれの指食む吾は蜜柑の子

福屋丸富


蜜柑狩り蜜蜂集る木を探し

北野順


蜜柑山水玉揺れて東風吹いて

六甲桜


坂上で蜜柑転がり花火かな

紫薔薇優子


重ね餅蜜柑堂々伊予の国

布施 木啄


●ピックアップコメント:

一句の中に複数の季語が入っている状態を季重なりと呼びます。

発想の方向性として多かったのが「炬燵でみかん」。派生して「大晦日に」と条件が追加される場合もありました。ある意味冬のお茶の間のお供として蜜柑が愛されているのは一愛媛県人として嬉しくはあるのですが、季重なりなのでありますよ~。


季語が複数入っている名句もあるので、「季重なり」は絶対にダメ! というわけではありませんが、複数の季語を作品として成立させるのは、上級者コースのウルトラ技。

ここに紹介した以外にも季重なりの句はあり、火曜日以降に紹介される場合もありますが、比較的許容しやすい季重なりとして受け止めているものもあります。

やはりまずは、一句一季語からコツコツ練習して参りましょう。


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▼【五七五七七】

別れ際沈む夕陽と重なるは蜜柑を剥いた爪と思い出

櫛部宏樹


寒空に思い返すに飽き足らず黄色き爪でページめくりて

只野知 丘人


あまりにもアパートが蜜柑くせぇと思ったら近づいてくるサイレン騒がしくなる隣室のドアの前

雑居房アクアリウム


●ピックアップコメント:

五七五の俳句としてはいささか音数が多すぎます。数えてみると三十一音。ずばり五七五七七の短歌のリズムを取っております。雑居房アクアリウムさんはそれをさらに越えて長大な音数。

俳句ポスト365では短歌の良し悪しは判断できませんので、短歌を取り扱う投稿先をお探しの上、そちらへの応募をおすすめします。

「専門は短歌だけど、俳句も始めてみたい」という場合はもちろん俳句ポスト365への俳句の投句は歓迎であります。

まずは基本の五七五・有季定型から一緒に始めて参りましょう。


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※今回の兼題「蜜柑」初級者投句欄へのご投句は、投句数4275句、投句人数1731人となりました。


以下の①②③④については入選決定!

金曜日「優秀句」へのステップアップのためのヒントをご案内します。


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▼①【兼題のビミョーなライン】

甘平の皮剥く爪の反りており

アズとモノ


桶柑の果皮の黒さや爪たたず

山田 正山


初作のチーズケーキ仕上げは蜜柑ジャム

新井 紫麻


柑橘類思い浮かぶは美娘蜜柑

川内吹雪


空は青犬駆ける庭蜜柑の木

牧野直子


お接待婆の笑顔と伊予みかん

大洲 悟朗


てつぺんから皮を剥くべし伊予蜜柑

故里恋心


伊予みかん三つの太陽浴びそだつ

未知女


●ピックアップコメント:

「蜜柑」の句としてどこまでを許容するべきか……ビミョーなラインの句をピックアップ。

柑橘類はその品種によって、個別の季語として扱う場合があります。たとえば「ポンカン」「仏手柑」「伊予柑」などは独立した季語になっています。大洲 悟朗さん、故里恋心さんの場合、「伊予(の)蜜柑」だと解釈すればギリギリセーフといえなくもありませんが……迷いは残ります。

一方で「甘平」など比較的新しい品種はまだ歳時記に掲載されていないものも多いです。品種であろうと推察されるものについても、一読者として「蜜柑なんだろうな」と判断はしつつ、明確に季語として扱うかはやはりビミョー。

その他、蜜柑の形を失って「ジャム」になった状態、果物が実る以前の状態の可能性をもつ「蜜柑の木」なども。


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▼②【密?? 】

密柑を揉んで滴る我の業

かわせみ時雨


傷のごとき生命線や密柑剥く

永沢凍夜


密柑山現地も知らず味比べ

加野余生楽しむ


密柑山たわわになりて踊る鳥

山口ひろりん


故郷へ近づくほどに密柑山

山口隠元


秘め事はたわわに実る密柑山

山清


密柑山実りの中をモノレール

前頭いっぺい


潮あたる宇和の密柑やたわわ成る

渡部鳴堂し


密柑を輪切りに致ししぶき飛ぶ

野崎文明


密柑山瀬戸内の凪と太陽と

立香


お接待日溜りに密柑香りぬ

粒野 餡子


もはや良し喰つた密柑の皮を捨つ

洒洒落落


小ちゃな手そっとばあばの手に密柑

永田みゆき


密柑の甘さに浮かぶ母の顔

藤沢・マグネット


●ピックアップコメント:

「蜜柑」の蜜の字が「密」になった状態の投句が多くみられました。

誤変換なのか、特殊な表記があるのか? 手元の歳時記や辞書で確認してみましたが、確認した範囲においては「密柑」の表記は発見できませんでした。

もし誤変換であれば、今一度送信前にご確認を!


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▼③【類想】

蜜柑はねみんなが喜ぶかん蜜種

ASAがお


蜜柑ひとつ蜜柑ひとつと皮の山

NOWARもとみな


手が黄色みかん食べ過ぎ医者診たて

O’Hare 鹿互


もぎてすぐ頬張る園児みかん狩り

PONホンダ


山盛りに積まれし蜜柑家族呼ぶ

Sみーすけ


幼子の蜜柑で作るピラミッド

tokisan


幼き手手が黄ばむまで蜜柑食う

あいじゅ


ぬくぬくと座り指までみかん色

あすか風


黄色い手蜜柑のせいよと母が言い

アツシ


籠の中食べては積んで蜜柑の山

アボカドブロッコリー


爪入れて蜜柑の皮むき色付く手

ありしゃとう


みかんは甘くて美味しいみかんだなぁ

いし


箱蜜柑どれが甘いか酸っぱいのか

おかもとのん


聞かん坊蜜柑頬張る黄色い手

おくら


みかんあり剥き方で出る人間味

オレンジ


卓袱台に蜜柑をひろげる食後かな

かじやのタケ


香や色や染みた手蜜柑の置き手紙

カレン・フェルト


蜜柑食べ黄色く変わる吾子の手や

きっちゃん


甘酸っぱい恋と蜜柑は同じ味

こづめプリン


初生りの温州みかん喰う烏

このはこのみ


幼き日蜜柑食べ過ぎ手足黄

さなさな


手のひらが黄色くなったみかんだな

さんたぱちろう


ミカンはビタミンシーが豊富だよ

すな


あざやかに食卓並ぶ蜜柑かな

ドギョム


仏壇にみかん供える黄色い手

なにわのたらこ


口ずけよみかんの甘さ初恋の味

のぼる


店先の試食みかんの甘味ギュツ

はね花


「もういっこ!」甥の指から蜜柑のにおい

ひげもじゃ大臣


リビングに灯る蜜柑の暖かさ

ピコリス


多品種の蜜柑自慢の伊予の国

ひといろ


あと一つあと一つとみかん剥く

ひとりこあら


蜜柑むき皮むき競う花型に

ひなた


木に灯るごと木に残る蜜柑かな

ひめのさんしょ


黄に染まる指先気にせず蜜柑食う

ぴょんばぁ


一つ食べると止まらなくなる美味しいみかん

ふりふり


昔日の蜜柑の思い出懐かしむ

ブルーベリージャム大好き


しまなみを越えて蜜柑と祖母の文

マツヤマ啓太


小さき手におまけの蜜柑握りしめ

みやたのえいこ


小玉みかん小さき両手に笑顔かな

ミント


夕食後香る蜜柑と妻の笑み

むーたん


黄色の指さき青天の蜜柑狩り

むさかず


蜜柑刺し窓から鳥と朝の会

ゆず柴


サンキューと笑顔でキャッチ蜜柑ひとつ

わすれ傘


鍵の横蜜柑の下にメモ有りて

わだつみ


甘酸っぱいみかんはまるで青春だ

わらびもちもち


大喧嘩取るか取らぬかみかん筋

愛生園風来坊


酸味にはビタミン効いてみかんかな

愛知ミト


定位置の蜜柑山盛りすぐ消えて

逢花菜子


蜜柑食べ友と語らう恋話

渥美 さや香 


蜜柑山オレンジ色あたたかい

安藤


蜜柑食べ手と爪が黄味もうひとつ

庵樹莉華


蜜柑狩りもぎ取る指のいい匂い

井上教


蜜柑食べテレビ見ながらまったりと

一ノ瀬風


お手玉にされし蜜柑の甘きかな

一井かおり


吟味して當たり外れの蜜柑かな

一石 劣


段々を転がり落つる蜜柑かな

一歩千金


蜜柑食べ癒されて聞く連れの愚痴

壱月保友


皮を剥く蜜柑の香り手に移り

雲井草舟


笑う母と蜜柑は太陽の如し

英子


一口で蜜柑頬張りもう一つ

詠野孔球


蜜柑食うみんなで食べて後ふたつ

越乃光


甘酸っぱいだけどもみかんはおいしいな

乙骨 遥斗


帰宅して蜜柑の香りほっこりと

可可夫豆


何個でも食べられそうな蜜柑かな

夏川涼


帰り道蜜柑片手に帰る夜

夏野 蜜柑


手の平の黄色くなるまで箱蜜柑

花空木


瀬戸内のひかりを受けて蜜柑色

花風鈴


笑ひあり寛ぎのなか蜜柑むく

花野あかり


蜜柑むく母の指先軽やかに

賀茂ももか


みかん実り今年半分鳥食す

海原


器から溢れんばかりの蜜柑かな

海笑里


食卓に顔の描かれた蜜柑ひとつ

海堂一花


みかん食べ甘酸っぱいなこれが良し

海老澤くるみ


蜜柑食べ喜ぶ妹幸せだ

甘糖楼


朝起きて蜜柑を食べてときすごす

関田理玖


送られし蜜柑ひと箱友の顔

関藤竜胆子


お日様をいっぱい採ったよ蜜柑園

丸岡彩映


良い香り疲れを癒す蜜柑風呂

岩間絢香


指染める蜜柑の果汁に辟易す

寄生木


吾子の頬ふくふく手には早生蜜柑

輝野々


蜜柑摘む潮焼け顔や母の笑み

鬼石 祥瑞


お袋と二人で食べる蜜柑かな

鬼塚樹童


父の爪黄色にそめしみかんかな

久間 いたる


カビる前に食べ切れるか箱蜜柑

久木 諷


蜜柑食べよもやま話盛り上がる

京都さくら


潮風を受けて蜜柑あまあまし

境内集


女子会の喉を潤す蜜柑かな

月山牧風


荷を解く溢れる蜜柑と母の文

謙堂未宜


みかん好き指先までも色付いて

古川 川


蜜柑剥くささくれ指にしゅむ涙

康寿


幼き日炙る絵文字は蜜柑の香

紅い靴


児が置きし遺影の前の蜜柑かな

紅さやか


蜜柑むく故郷の香り里の山

高 郷思


初もぎの蜜柑は少しすっぱくて

高木ひーちゃん


蜜柑捥ぎ剥き分け食ふや空青し

黒猫はなこ


あらし去り今宵は独りみかん風呂

今乃武椪


二つ違ひ蜜柑一つの仲直り

今琳


窓白く冷たき蜜柑ひとり食む

佐戸ゆかり


蜜柑生る潮騒響く遍路坂

佐藤 萬充


贈られし伊予の蜜柑の甘きこと

佐藤香子


高熱に唯一含む蜜柑かな

佐藤三八三


甘いのも酸いのも潜む蜜柑かご

佐藤朱子


お帰りと手紙の上に蜜柑置く

佐藤白行


ほっこりと思い出話みかん食う

佐藤鬱


沈黙に皮むく安堵蜜柑かな

佐伯仙明


幼き日枝より食べしみかんかな

佐伯良吉


皮をとり口に広がる蜜柑かな

最古覇寿


干しし皮つましく香る蜜柑風呂

細葉海蘭


地に蜜柑物言わぬまま朽ち果つ実

崎本みなと


仏壇に供えし蜜柑孫の手に

薩克期風


老いの身も誘われ嬉し蜜柑狩り

薩摩南風


母の背とみかんに染まる手を見つめ

三宮香棆


笑声と車内に浮かぶ蜜柑の香

山広裕果


夜も更けて茶を片手に蜜柑かな

山太平


枕元一つ蜜柑の置かれおり

山本八


流れゆく車窓にみかん友として

詩小桃


蜜柑をね食べる元気楽しいな

歯日


お手玉の代わりにもなる蜜柑二個

柴田あやめ


指染まる蜜柑の皮でいい香り

柴田立春


蜜柑手にどうする議論皮と筋

芝歩愛美


蜜柑摘む幼き自分母の里

取渕靖志


吾子の手に口にもありしみかんかな

手塚童好


毎年の一箱買うや蜜柑なり

朱久瑠


ふるさとの蜜柑の味は母の笑み

秋野治子


からからの渇きし喉に蜜柑沁む

十八番屋さつき


絵手紙に蜜柑の香添え孫想う

重松栄翔


横になり蜜柑にぎって熱冷まし

春一番


山登り蜜柑の畑鮮やかな

春野空


産地見て色艶比べて買ふ蜜柑

小笠原 くう


蜜柑剥くその手に残るいい香り

小桜 咲来


弟とおやつ分けあう蜜柑かな

小塚ちか丸


太陽と潮風を食む蜜柑山

小島 純情


拠り分ける蜜柑の甘き香りかな

小幡 宗滋


枝先に鳥のつつきし蜜柑かな

小野小マーチ


蜜柑剥き黄色くなった手を嗅いで

小林 よひら


蜜柑食べ黄色くなるなる私の手

小林弥生


蜜柑だよ華足に盛って一周忌

庄山正道


蜜柑剝き昔話を繰り返す

昭谷


夕飯後みかん剥く剥く一族や

松 笛鯛


仏壇に蜜柑を並べ食べ比べ

松下瑠璃


蜜柑汁飛び散り来たる我も喰む

松元春苑


お手玉の蜜柑三つやうんぱっぱ

松山 風


ミカン刺す庭のこえだに群れる鳥

松山女


ひと口で食べてなくなるみかんかな

松本 好波


みかん剥く逆剥けしみる昼の縁

上田白雅


小さな手で剥いてと蜜柑そっとだし

植木照美


夕餉あと蜜柑剥く手に吾子と犬

森里綾里


蜜柑でお手玉独り遊びの夜

真咲よしの


蜜柑むく小さきその手も蜜柑色

神谷篝火


むき方で性格を知るみかんかな

吹雪 蓮


いくつ食べたの妹の手も蜜柑

水晶兎


陽を浴びてますます甘き蜜柑かな

水谷未佳


昭和の夜みかん箱買い大家族

水浜ギコ


蜜柑食み啜るほうじ茶幸の味

水無瀬朱葉


庭のすみ熟す蜜柑に鳥の群れ

翠善


瀬戸内の波にきらめく蜜柑山

酔漢


蜜柑汁あぶり出てきたラブレター

数哩


まだ慣れぬ蜜柑に口をすぼむ吾子

杉沢藍


六畳間蜜柑の香り満ち満ちて

杉田べぬ


美味しくて残りの蜜柑後を引く

菅谷 たかす華


孫の剥く蜜柑香りて笑顔あり

菅野望月


みかんむくあざやかないろきぶんうく

成瀬霞


箱買いの蜜柑今年はばらで買い

星ガラス


蜜柑食うそのひとときが平和かな

清水小鳥


静か夜にニュース聞きつつ蜜柑食う

清瀬潤筆


縁側で蜜柑とじゃれ合う猫と孫

西倉美紗子


子のために蜜柑むく手のあたたかさ

西尾ひつじ


甘い蜜柑ついつい食べて一袋

青風ヨシユキ


郷愁の蜜柑の香りは祖母の家

青葉悠真


手のひらに龍の宝珠か蜜柑みかん

石黒久美子


友集い相槌打って喰う蜜柑

石川むーちゃん


故郷の今年の蜜柑まずひとつ

石川潤子


土讃線蜜柑分け合う夫婦おり

仙酔狂


箱買いの蜜柑頬張る昭和かな

川口光彦


蜜柑剥く黄色き手の香懐かしく

川中 英明


黄色の手暴食注意蜜柑かな

川又香里


特売日山盛り蜜柑の品定め

奏紗柊英


給食の蜜柑ひとくちの幸福

想レベル7


腹いっぱい蜜柑を食べて昼寝かな

早坂 一周


友と旅お供にみかん3つずつ

早朝おうか


枝に刺すみかん目当てのつがい鳥

霜月ふう


たわわなり潮に揉まれた蜜柑山

増本空ふね


届きたる蜜柑皮ごとジャムジャム作り

村のあんず


終電の夫待つ時間蜜柑二個

村瀬ようこ


お裾分け里から届く蜜柑かな

村先ときの介


熱の吾の額に蜜柑置く子かな

多田ひとり


青カビよまだ出ないでとみかん箱

太田看悟


小さめが旨いと夫と剥く蜜柑

大ちはる


みかんの皮集めて積むや笑顔の子

大久保一水


蜜柑食べ甘さ優しく胸に沁み

大江戸小紋


朝市の蜜柑手に取りバスの旅

大咲 舞


点々と蜜柑色ずく瀬戸の島

大田白梅


テレビ越しみかん剥きつつ見る箱根

大野木三太


卓上の蜜柑と陽射し夢うつつ

大和杜


箱買いのみかん爆食い黄色い手

滝沢 樹里


ふるさと納税や蜜柑五箱選ぶ

只野かおる


半分にミカン分け合う平和あり

棚橋なおこ


酸い甘い予想し友とむく蜜柑

谷口豪


だんまりの夫はメモに蜜柑乗せ

谷野なおなお


指先は黄色なりけり蜜柑剝く

中平保志


背伸びして蜜柑を探る小さい手

中矢しる子


手を合わせ祖母と遊んだ蜜柑の想い出

朝川 深雪


車窓には剥かれた蜜柑微睡む子

辻 阿頼耶


紀の国や蜜柑船ゆく大江戸へ

辻井風子


仄暗き廊下は昭和箱のみかん

辻麻


ミカンの酸ケーキの後の口なおし

坪内路草


ふるさとの蜜柑に潮香ワンルーム

徹光よし季


被災地の窮状見つつ蜜柑積む

天王谷 一


蜜柑取り仕事終わればくつろぐよ

田所眞紀姫


仏壇のふぞろい蜜柑食べ比べ

渡部かえる


蜜柑むき妻との語り笑いあり

渡辺 あつし


陽をあつめ木々を彩る蜜柑かな

冬野空


アルベドのしつこい蜜柑四苦八苦

島田モンブラン


箱だった蜜柑今では袋に5個

東 紫音


蜜柑むく筋を取る人取らぬ人

東の山


潮風や丘の蜜柑に届きおり

桃の海


箱買いの蜜柑並べて子等を待つ

藤岡 伊集


卓上で手毬代わりの蜜柑かな

藤野周


色移り蜜柑の匂いを纏う爪

二階堂詠介


蜜柑剥き幸せ染まる親の指

二律胸張


蜜柑山綺麗な色に染まってる

如月秀斗


皺の手や蜜柑を三つお手玉に

猫の前髪


絞りたて蜜柑ジュースに母の愛

乃邑歳幸


お手玉の蜜柑こぼれて苦笑い

芭琉


蜜柑をね食べたら酸っぱい恋のあじ

白石蒼


夕食後家族で囲む蜜柑かな

薄井龍之介


も一つと蜜柑せがむ子黄色の手

畑 里


また訃報昭和の蜜柑思い出し

煩悩愚息


一袋百円みかん売る民家

美空  らら


一時の幸せ蜜柑甘美かな

美味 コチュース


みかん食べ手の色変わり大変だ

百瀬 要


独り寝の甘酸っぱきは蜜柑かな

百足野座無座


日の恵み鈴生り垂れる蜜柑かな

武本松明


蜜柑たべ手足の先まで黄に染まり

風花


きゅんと酸い蜜柑一噛み唾液じわっ

福前彩芽


湯上りの至福のひとま一蜜柑

平川一空


もぎたての蜜柑発熱の子の頬に

平田五郎八


散歩して隣の家に蜜柑の木

平本文


這い登る背に潮の香蜜柑狩り

平野純平


手のひらに蜜柑ずっしり陽の恵み

北川茜月


遠方の友より見舞い蜜柑箱

北乃大地


あとひとつ四人の視線蜜柑刺し

本橋多賀士


故郷の匂い感じる蜜柑着く

本橋理音


父残し蜜柑たわわに仏壇に

本田ゆめ


友想う箱いっぱいの蜜柑かな

満月堂


母からの荷物のなかに蜜柑かな

蔓草葛藤


みかんを剥いてはたべておいしいね

蜜柑


夕暮れやみかん畑を包みけり

湊弘


さじ見つめ口開ける吾子初みかん

夢彼方スイ


四つ目の蜜柑頬張り目はテレビ

木下野風


蜜柑汁あぶり出したる友の顔

野山ノハナ


蜜柑むき爺から曾孫黙々と

野本 ゆな


懐かしき列車で分ける蜜柑かな

柳原甲賀


帰路に着く車内に満つる蜜柑の香

愉来理あゆむ


しわくちゃの手にきざまれし蜜柑の香

優純bow


丹精の鉢植え蜜柑実は三つ

友マンクット


夕暮れにたわわに実る蜜柑園

友康圭


温もりと白銀の庭と甘い蜜柑

有四人


手のひら黄蜜柑大好きだった義母

由凛


ポケットの蜜柑温もりて友を想う

立花かおる


母思い遠き記憶でみかん剥く

龍泉灯


蜜柑剥く母の掌思い出し

旅ねずみ


友よりの便りはいつも蜜柑かな

涼風 蘭


我の手も山をも染める蜜柑かな

涼風鈴音


紀ノ国の名物なのか蜜柑風呂

林一芳


みかんのね甘酸っぱさは恋の味

林檎


初恋の味によく似た蜜柑かな

鈴音まな


父に似た不器用な手で剥く蜜柑

鈴木 翠月


しまなみの友より蜜柑こんにちは

蓮花


あれこれとご当地蜜柑食べ比ぶ

蓮見玲


発熱の額に蜜柑あててをり

游真


蜜柑剥く指にオレンジ残りけり

齋藤美づき


皮を剝きさすがゆかしく蜜柑かな

趙竜生


コロナ明け帰省の車中蜜柑かな

髙山善裕


蜜柑揉みメッセージ待つ深夜二時

髙野清宗


●ピックアップコメント:

初級・中級に関わらず、類想は似通ったものが集まります。

季重なりの項でも紹介した通り、炬燵と蜜柑で一家団欒、的な発想がとても多かったのが特徴でした。この発想を核として、蜜柑を剥くあれこれや、食べた味や感触のあれこれ、と発想が分岐していきます。


たくさんの類想を見ることによって、自分の中に類想のデータベースが構築されていきます。今回見かけた発想のおかげで、陥りがちな類想も避けられるようになるかもしれません。


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▼④【「き」と「し」/形容詞の活用】

ちひさし手ちひさし蜜柑しわしわ手

本山喜喜


●ピックアップコメント:

句の内容から、繰り返される「ちひさし(小さし)」はそれぞれ「手」と「蜜柑」を修飾していると考えられます。

だとすると「ちひさし」は文法上の間違いをはらんでいます。見分けるポイントは「し」の部分。「ちひさし」は終止形になりますから、ここで一度文が切れる効果を持ちます。文の句切れを/で表現すると元の句は「ちひさし/手/ちひさし/蜜柑/」とぶつぶつ切れてしまいます。

問題解消のためには終止形「ちひさし」を連体形「ちひさき」にすればOK。「ちひさき手/ちひさき蜜柑」となり、意図しない部分でのぶつ切れが回避されますよ。


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明日から火曜日、水曜日、木曜日、と入選句を発表します。入選句の評価は火、水、木(ステップアップのためのヒントに掲載分も含む)ともに同じランクです。順不同での掲載です。

そして金曜日は、初級者投句欄の優秀句発表です。


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