俳句ポスト365 ロゴ

初級者結果発表

2024年4月20日週の兼題

薄暑

【曜日ごとに結果を公開中】

【入選までもう一歩】

選者コメント

家藤正人

みなさまこんにちは。初級の選者、家藤正人です。

月曜日は、入選にもう一歩という句をご紹介します。


・月曜日の「選者コメント」に掲載されている俳句については、作品検索はできません。

・月曜日の「ステップアップのためのヒント」に掲載された句、入選句、優秀句については作品検索が可能です。


月曜の「選者コメント」や「ステップアップのためのヒント」を参考に、目指せ金曜優秀句への道!!


---------------------------------

▼【575の間空き】

カーネーション、どの鉢が良いか、はしゃぐ母

長島


●ピックアップコメント:

俳句は五七五の間を空けたり、句読点を打ったりせず一行に縦書きするのが正しい表記です。インターネット俳壇の横書きは、縦書き表示が難しいためやむなく許容しております。強い芸術的主張がある場合、敢えて分かち書きしたり、多行書きしたりもしますが、初心の時期は基本を守っていきましょう。

俳句の修行の第一歩は、正しい表記から! 次回のご投句お待ちしております。


---------------------------------

▼【季語なし&違う季語】

席替えや窓辺になりし初夏なりし

竹たけのこ  


散歩道皐月薫る景色かな

山下雨山


渋滞の初夏のハリポタ魔法杖

斎藤白文


孫忘る古家広し汗の香

小林弓太郎


桜散る川面を埋めて花筏

時間餅


夏来る薄黄緑の定禅寺

愛笑桜


風薫る進路プリント夢香る

八咫野日美


麦畑黄金色なり刈り入れや

池ばーちゃま


初夏の朝刈られし草の香どこまでぞ

富士


外食もたまには良いね夏至夜風

千恵


汗かいて「ポカリうめー」と少年が

こやけまめ


避難キャンプ蚊が暴れる周死

まなさ


初夏の君見つめる度に光射す

うちやませいはく


葉桜が風に笑うよまた来年

グラマーツインズ


茫茫と街吹く颪で暑さ無し

四萠山華季


汗ひとつキラリと光る下校道

村田 忠邦


夏支度単衣にたくし涼恋す

麻座輝貞


風五月木々と工事の幕を揺り

小沢支笏


山笑う風清らかに涙拭く

ばあ哉


蒼空に風になびいて初夏や

大和キートン


初夏の風吹かれ精だす田の人よ

吉井寂心


十五度を超ゆる溽暑の夜のラン

北村 崇雄


半袖か長袖か問う薄夏の夜

早希子


亡き母の故郷のそら豆青々と

香取拍子


桜散るさよならも言えずいつの日か

春川夏季


春やんか夏ちゃいまんねん春だっせ

平太


初夏なれば痩せる断捨離もくもくと

桐山 榮壽


春惜しむコンフォートエリア一輪の鈴

山風


薄暮かな勘で決意しケース出す

群馬爽走


デイ通う母の薄着の襟のシミ

笹イボ太郎女


バンド組み熱狂するや薄署よ

信行鈴起


いい風ねと通り過ぎる誰か川沿いで

山坂 のぼる


軒下によそから雨聞いて家へ泊まり

亜東キャク


帰り道上着羽織りし夜の風

にしおひさし


●ピックアップコメント:

季語の入ってない句や違う季語が入ってしまっている句をピックアップ。

今回、なぜか「初夏」の句が多くありました。たしかに薄暑は初夏の頃の季語ではありますが、残念、別の季語であります。

また、「薄暮」や「薄着」と見間違えている人たちもちらほら。薄は合ってたんだけどねえ、惜しい!

兼題として季語が出題された場合は、その季語を一句に詠み込むのがルールです。

俳句ポスト365では各回の出題に全員が取り組むことで切磋琢磨を目指しております。

今募集中の兼題は、7月19日締切の「夏休」です。ご投句お待ちしてます。


---------------------------------

▼【季重なり】

梅雨の空薄暑のはなびちらほらと

湖山


山荘の窓辺に燕薄暑かな

扇原寛一郎


真っ白いシャツを羽織ってゆく薄暑

東 紫音


ポニーテール揺らす薄暑の風さやか

熊本太郎


薄暑にはビールバーベキュー笑顔なり

みかん


たんぽぽに笑顔咲きたる城薄暑

枝 まめた


庭先の子猫目で追う薄暑かな

佐藤朱子


薔薇を切るハサミ眩しき薄暑かな

凌花


じわじわと汗が告げてる薄暑だね

きなこ


出番待つ子ども神輿や薄暑かな

山田桜


薄暑かな麻のブラウス羽織りけり

山田はつみ


洗われし網戸に千の薄暑光

あおい結月


汗拭いやや俯きて薄暑かな

山口直哉


薄暑越し帽子の鍔に風薫る

たけみ


薄暑日や草刈り音の鳴り止まず

ややま


体操着汗が伝うる薄暑かな

藤江南瑠


ボクシング見て汗引かぬ薄暑かな

きっちゃん 


朝方の寒さ忘れし薄暑かな

越野緩急車


雨あがり薄暑の庭にみみず居り

柴﨑香奈


薄暑なり孫らははしゃぎ我も汗

相沢 閑邦子


水張りし田に雲映る薄暑の日

竹詩


公園の八月怖い薄暑かな

月並ドリーム


恥じらうあなた薄衣と薄暑

葛谷 六


夕薄暑老いし母にもカーネーション

寺尾銀次


朝顔やツル巻き伸びて薄暑かな

月のひかり


薄暑光神輿舁く子ら赤ら顔

野上紫功


珈琲のアイスをたのむ薄暑かな

佳月


薄暑光賑わう子らのアイスの輪

紗花譜


新調の背広汗ばむ薄暑かな

早風


雀の子皆姦しく薄暑かな

武田鳥渡仁


騎馬戦が蟻も蹴散らす薄暑かな

渡部かえる


夕薄暑これは去年の空蝉か

大和 初音


白シャツを青空に干す薄暑かな

伊豆海 遊峰


雨上がり目閉じて涼む薄暑かな

彩李緑


蝶夢見むさぼる柔葉薄暑かな

工藤ほたる


この年は薄暑三日で猛暑かな

ナガオロミ


絹さやの根ごと引き抜く薄暑かな

白山


薄暑来ぬ山登るみどり深まれり

田島さえこ


捩じ伏され刈らるる羊薄暑かな

西山哲彦


ラムネ売る商店街や薄暑光

山本B治


薄暑かな路地を行き交う薄羽織

柴田一公丸


芝刈りの裸足の笑ひ初薄暑

木々梶取


夕薄暑誘われ先は生ビール

康寿


桜散り薄暑の香り君想う

桃子


吾子を負い汗が浸み出す薄暑の背

賀茂ももか


吾子の背の湿る昼寝の薄暑かな

石川むーちゃん


薄暑光麦茶飲み干し汗拭う

赤羽律紀


頸汗ゴクリ呑み込む昼薄暑

大坂坴一


夕薄暑今年初のビアガーデン

宗像スイ


衣紋抜き単衣着こなす薄暑かな

藤かおる


寺薄暑カッコウも唱えるお経かな

清文


運動会赤白黄帽子薄暑なり

中井ゆそし


薄暑かな朝の上着でひたい汗

のりちゃん


緑濃き古墳の丘や薄暑光

喇叭鳥


薄暑赤玉ねぎの白ひげを切る

どれみ


●ピックアップコメント:

一句の中に複数の季語が入っている状態を季重なりと呼びます。

汗やハンカチなど、暑さからの連想と思われる季重なりが目立ちました。一方で、まだ春から夏へと移り変わって間もない頃でもあることから「たんぽぽ」「子猫」など、春の季語との季重なりも見かけます。

季語が複数入っている名句もあるので、「季重なり」は絶対にダメ! というわけではありませんが、複数の季語を作品として成立させるのは、上級者コースのウルトラ技。

ここに紹介した以外にも季重なりの句はあり、火曜日以降に紹介される場合もありますが、比較的許容しやすい季重なりとして受け止めているものもあります。

やはりまずは、一句一季語からコツコツ練習して参りましょう。


---------------------------------

▼【入力にはお気を付けて】

コウジツキさくかさかぬかまだ薄署

神津三徳


簿暑の候退院近し増す憂鬱

飛行中年


煙突の煙が真っ直ぐ薄署かな

ひぎけま


夕簿暑に輝く大輪観覧車

リカ太郎


。首筋にハンケチ当てし薄暑かな

藤原 迷月


薄暑気怠し突っ掛けを引きず音

齊藤烏兎


薄暑に通勤並ぶ覚悟めり

藤川鴎叫


街薄暑足占に少し上り坂

辻麻


松山俳句ポスト【薄暑】宜しくお願いします。朝活やひとり薄暑の庭いじり

ふみちゃん


●ピックアップコメント:

入力や変換に間違いがありそうな句をピックアップ。

句の内容からして本来はこう入力したかったのかな? と推察はできますが……。

齊藤烏兎さんは「引きずる」の「る」が抜けた? 藤川鴎叫さんの「めり」は「決めり」としたかったのでしょうか? 辻麻さんは「裏」のはずが占いになってしまった、ああ無念……。

ふみちゃんさんは俳句以外にコメントを入力されています。ご挨拶いただき恐縮ですが、投句の一部として処理されてしまいますので、投句欄には句だけ入力いただけますと幸いです。

せっかくの投句も正しく伝わらないともったいない。送信の前には今一度文字と入力欄の見直しをおすすめします。



※今回の兼題「薄暑」初級者投句欄へのご投句は、投句数3993句、投句人数1662人となりました。

以下の①②③④については入選決定!

金曜日「優秀句」へのステップアップのためのヒントをご案内します。


---------------------------------

▼①【類想】

朝早くジョギング楽し薄暑かな

泉 恵風


ドライブの窓は全開薄暑知る

藤井舞月


地下鉄の足音響く薄暑かな

友マンクット


薄暑来ぬ川辺の風の心地よさ

庚子 山法師


薄暑にも花は綺麗に咲き乱れ

愛生園風来坊


かくれんぼはしゃぐたそがれ薄暑かな

高伊あいす


清掃はつい木陰いく薄暑かな

下地野雨


洋服の微妙な厚さ薄暑かな

本田浩美


茹卵つるりと剥けて薄暑かな

林ダビンチョ


上着脱ぎネクタイ外す薄暑かな

奥井宣風


共白髪さんぽ道行く薄暑かな

野の ねじ花


ジャケットは長期休暇へ街薄暑

森塚千明


日暮れて衣はおれる夕薄暑

境明穂


雑草と悪戦苦闘薄暑かな

畑 あきあん


袖口を上げて薄暑のウォーキング

淡海 なおあき


片手に上着持て余す薄暑かな

町乃 磯鵯


フロートを崩し一口薄暑かな

Aki-K


手つなぎてトトロの歌の薄暑かな

秋の桜光


風呂上がり白湯から水になる薄暑

英子


陽射し避け影踏み歩く街薄暑

甘井希


ビルの影好みて歩む薄暑かな

青空小鳥


きらきらとみなぎる命薄暑なり

かなこ


妻と行く漫ろ歩きや夕薄暑

田舎太郎


着る服に思案六歩の薄暑かな

古都酔仙


薄暑光木陰探して散歩する

有井  新子


薄暑来ぬヒンヤリマットの奪い合い

丸 なちか


老いてなほ畑に向かふ背薄暑かな

八代葡萄


草むしり虫が飛び出す薄暑かな

斑鳩  廉


地下鉄の地上駅出て夕薄暑

一井かおり


薄暑来て腕まくりして営業に

草堂Q幸


幼子に眠気誘われ薄暑哉

星のお爺ちゃま


硝子皿テーブルにあり薄暑かな

水鳥川詩乃


この薄暑駅まで歩く十五分

能千


スカートのヒラリと揺れて今薄暑

古川 川


朝散歩くだり坂さへ薄暑なり

むじか


濃淡の緑重なる薄暑かな

牧 ひろ


草踊る楽しき散歩薄暑かな

居 栄心


ラジオ体操する朝や薄暑なり

京 デイズ


ストールを解きつつ闊歩街薄暑

岡田瑛琳


薄暑の夜シャワーの温度を一度下げ

松本ばば


腕まくり、まくりながらの薄暑かな

桜井タケ女


湯上りのうなじを束ねる薄暑かな

藤川雅子


ホームまで薄暑に長きのぼり階段

鯨之


地下鉄の階段上り夕薄暑

榊麻茶琉


腕まくり白衣張り付く薄暑かな

研田千響


混む電車の酸素薄まる薄暑かな

むらたみなもと


薄暑にてネクタイはずし一杯目

Mr.モンブラン


窓開けて少しく閉めて薄暑かな

小公園噴水


荷下ろして扇ぐ手巾の薄暑かな

鶴見魚座


陽ざし浴び子ら翔けまわる薄暑かな

かきのみなおき


薄暑の風薄着になりしハックション

奥盃葉子


はおりものハンガーに掛ける薄暑日

こーがはるちゃん


園庭で水筒飲み干す薄暑かな

奏紗柊英


開け放ち風に託して薄暑庭

鈍子


バスを待つベンチは日かげ薄暑かな

藤岡伊集


何着よう薄暑に悩む目覚めかな

小林弥生


喉ごしにプアーと唸る薄暑かな

宝松苑


さんざめく外のテーブル薄暑かな

稲川ほろろ


薄暑かな物干しざおの軽やかさ

紅のジーナ


愛犬が木陰で昼寝薄暑かな

中野京美


首すじをかくす手ぬぐい薄暑光

由樺楽


薄暑なり畑をやろか花壇をやろか

小林次郎


白い脚でサンダルを履く薄暑かな

笹木好里


山の端の木々のそよぎて薄暑かな

飛島海道


公園の薄暑集めし児童達

斜向かい


半袖に素肌恥じらう薄暑かな

貝沼素泉


UVカットのパーカーは白薄暑かな

藤原訓子


もう一杯薄暑が理由開ける缶

藤原の定価


袖通しやはりやめたる薄暑かな

立香


球場でかち割り欲しい薄暑かな

ローズ喜子


薄暑光日陰恋しい田舎道

鞍 律佐


日陰探し犬の散歩の薄暑かな

松竹梅


出る草を無心で摘む薄暑かな

君塚謙


夕薄暑早き門限夕餉の香

髙田  佳歌


半袖に風のふうわり薄暑かな

沢野鬼ぐるみ


大の字の赤子すやすや薄暑なり

西野和香


スカジャンや結局手に提げ薄暑光

花鞠音しず歌


腕まくり満員電車の薄暑かな

深草 くう


薄暑かな庭の芝生も匂い立つ

可可夫豆


スモックの袖丈悩む薄暑かな

呂 つばめ


街薄暑陰渡り行くウォーキング

俳邦山


薄暑来影緑なり石山寺

山空 育


草むしり昼前にする薄暑かな

夏川涼


校庭へ緑が映る薄暑かな

竹内揚羽


切りたての髪の軽さの薄暑かな

スカボローフェア


ブラインド日差しまばゆく薄暑かな

田中亀子


薄暑雨仄かに香るアスファルト

泉おじぎ


28薄暑疑う温度計

安武絹紬


繋ぐ手が汗ばみそうな恋薄暑

長嶺阿蘇


新作の炭酸選ぶ薄暑来ぬ

日々野こもれび


ベランダの洗濯物に薄暑光

滝沢 樹里


薄暑なりガリガリ君はソーダ味

KSK


坂道に背はしっとりと薄暑来ぬ

中村水音


フラペチーノ頬にひんやりあてる薄暑

沢松宏美


菜園の手入れ佳境に薄暑なり

北川茜月


洗い物水心地良し薄暑かな

四十 カラ


縁側でネコも背伸びを薄暑かな

雨 逸福


散髪をちょっと短め薄暑かな

武 衛


薄暑光朝夕にして草取るや

前田よもぎ


テラス席賑わう薄暑のティータイム

ますみんてぃー


トンネルを出て深呼吸薄暑かな

松山まどけい


薄暑来ぬひとまずTシャツひっぱりだす

青い手まっちゃん


ブラウスの袖を七分に薄暑かな

りえ


珈琲にストロー回す薄暑かな

山崎鵜真


森林浴風そよぐ間の薄暑かな

山田 正山


半袖の迷いと後悔薄暑なり

写雅句


薄暑の空木漏れ日の先はしゃぐ声

森乃涼風


坂道を引く自転車薄暑の夜

雪うさぎ


七分袖ブラウス作る薄暑かな

山川桜


風に揺る髪と薄暑のワンピース

謙堂未宜


薄暑なれどこの服いまだ更えられず

海神 瑠珂


寝る猫も手足を伸ばし薄暑かな

集 真藍


腕まくりお洒落に見える薄暑かな

どれみすみ


薄暑に上着脱ぎ捨て颯爽と

九条麗子


愛犬も日陰欲しがる薄暑かな

青玄


薄暑の休日前髪を少し切る

あさき悠菜


日曜の薄暑ひねもす庭仕事

村上熊子


重ね着の少し重たき薄暑かな

梶正


薄暑なり就職の子の束ね髪

大和桜


散歩道孫の手湿る薄暑かな

神戸 美優


腕まくり一折り足して薄暑かな

吉田行朋


薄暑や通勤バスの窓全開

水晶文旦


山頂に一陣の風薄暑かな

キノヒカルコ


風纏い駆け舞う薄暑の幼き背

別段の定め


ネックレス薄っすら張り付く薄暑かな

渡部 文月


上着脱ぐ薄暑の昼にセルフ飯

前頭いっぺい


でこぼこの人影伸びる薄暑かな

山口蜻蛉


登校の水筒揺れて薄暑かな

菜津なおこ


還暦の友と薄暑の山歩き

苺丸


畦道を腕まくりつつ行く薄暑

野兎


まだ白い二の腕光る薄暑かな

池田陽奈


スカートも軽やかになり薄暑かな

天鳥そら


真夜中に蒲団蹴り起き薄暑

猫雪すあま


薄暑のグラウンド子らの声援駆ける

吉華ふるべ


薄暑の夜今日はぬるま湯でもいいね

大日方竹月


二杯目も小ジョッキ採る夕薄暑

むさし野まさこ


客集うアイスコーナー薄暑かな

林一芳


上り坂風をあじわう薄暑かな

山野のばな


半袖の羽織る薄物薄暑なり

立花かおる


少女らのフレンチスリーブ薄暑来ぬ

夕焼蜻蛉


ブラウスの白さ輝く薄暑日や

高崎怪人


お役所はノーネクタイの薄暑かな

スージー牛


木陰へと薄暑の行列うねり行き

北乃大地


人も街も一枚脱ぎて薄暑かな

いちの


アトラクションせがむ孫の背追う薄暑

春乃一朗


にのうでのまぶしき子たち薄暑かな

織田 光


薄暑待ち今や遅しと蕾たち

大塚鴨鷺


ブーンブーン雑草粉砕薄暑かな

三家端


同期会薄暑の路地に笑みあふれ

蓮花


寝返りや冷えピタぬるくなる薄暑

井上れんげ


夕薄暑上着片手に急ぎ足

八咫兎


白い肘見え隠れする薄暑かな

矢澤瞳杏


夕薄暑祖母に手ひかれ急ぐ家路

木瓜


うたた寝し猫と縁側薄暑光

日向 まお


温水の便座スイッチ切る薄暑

高辺知子


愛犬の息も弾む薄暑の散歩

嗣子孫々


指先で背広を担ぐ薄暑かな

いちすぺ


家路つく幼子の影夕薄暑

和草


髪を切り足取り軽し薄暑光

林 鈍虞離


髪束ね脱ぐ上着かな薄暑光

會田理奈


薄暑部屋取り込む風は緑の香

横山 沙石


薄暑かな木蔭に座る老紳士

三井春相


薄暑なり孫に急かされ踏切へ

飯田弓歩


幼子の上気せしほほ薄暑かな

伊能幸穂


シャツひらり歩数が伸びる薄暑かな

さっちゃんはね


薄暑かな遊び疲れて孫膝に

夢散人


夕薄暑原っぱひとり走り出す

小柳ジョージ


札所への石段見上ぐ薄暑かな

小原かおる


もう一駅先まで歩ける夕薄暑

文河 九九十


薄着から香りほのかに薄暑かな

佐藤根 雪華


賀茂川に子どもの声の薄暑かな

かく たまき


ベランダの水撒く苗や薄暑光

里山稲穂


足速に木陰を探す薄暑かな

大西泉花


影踏んで犬と散策夕薄暑

祥対無


薄暑かな白き敷布に変わりおり

双子座の山歩き


薄暑なり孫の薄着が気に掛かり

天王谷 一


薄暑にて帽子かぶせて犬散歩

杉山シェルティ


薄暑なり衣類選びに時が過ぎ

カワシマハハ


吹く風がからだを冷ます夕薄暑

浮礼泥魚


Tシャツに吹く風嬉し薄暑の候

のろ爺


御堂筋上着を脱いで薄暑かな

水野 孝


薄暑や木陰に椅子老女二人

乃奈


乳臭し嬰児の掌湿る薄暑かな

大洲悟朗


薄暑やカーテン越しに子らの声

小田芙蓉子


飼い犬のゆく足軽し薄暑かな

谷口重虎


走る吾子追いて薄暑の腕捲

横井あらか


通りにも半袖目立つ薄暑かな

佑利兼


路地裏に猫が伸びする薄暑かな

さかもと友傘


自転車の日陰に潜る薄暑かな

天海楓


腕まくりシャツの背中に吹く薄暑

ナットク


半袖のTシャツ微笑む薄暑の候

乃邑歳幸


草陰に薄暑夕暮れ子等の声

中山十七庵


公園に子らの声聞く薄暑かな

明石


夕薄暑犬の散歩も足延ばし

中矢しる子


薄暑の夕バス停ひとつ歩いてみる

沖優


薄暑来て木陰もとめる女子部員

中村止一


セーラーの襟ひるがえる薄暑かな

漆黒星地


陽を避け遊ぶ薄暑の保育園

谷崎 向日葵


服ひとつ朝夕違う薄暑かな

崎曽根篤子


迷い道焦る薄暑の坂長し

上中未明


上着着て脱いで着て脱ぐ薄暑かな

墨川杏太郎


ひと休み木陰蒼々薄暑かな

夢バーバ


終電車吹き込む風や薄暑来ぬ

日野照石


一枚一枚服はいでゆく薄暑かな

渡部鳴堂


薄暑なり母の手にぎる孫散歩

高崎孝雄


二の腕の白さに惑う薄暑かな

逢坂 紅


やや慣れしランドセルゆく薄暑かな

佐藤史緒


テラス席飲み干す一杯薄暑かな

山広裕果


薄暑かなポニーテールに白リボン

春野たんぽぽ


畑仕事日差し刺すよう薄暑かな

水谷未佳


そろそろか一枚脱いでみる薄暑

鈴木 弾


花色の賑やかなりし薄暑の花壇

まつはなすみれ


薄暑にも意気揚々と歩く犬

茶子父


街薄暑上着を抱え腕まくり

水煮サボテン


車停め中は蒸し風呂薄暑かな

鈴木雪


腕まくり裾まくりして湖薄暑

秤防人


木陰指し母押してゆく薄暑道

夏野由羽


弁当に保冷剤添え薄暑かな

外町よしのり


吾子乗せてペダルの重き薄暑かな

大家由美子


髪束ねブラウスなびく薄暑かな

山田翔子


薄暑てふ季の無くなりて日本列島

HeyHo


薄暑にて犬のお供で散歩する

清正


●ピックアップコメント:

初級・中級に関わらず、類想は似通ったものが集まります。

薄暑は時候の季語であり、人々の営みと密接に関わります。上着を脱いだり、水を飲んだり、腕まくりしたり。

たくさんの類想を見ることによって、自分の中に類想のデータベースが構築されていきます。今回見かけた発想のおかげで、陥りがちな類想も避けられるようになるかもしれません。


---------------------------------

▼②【二重切字】

セピア色の湖北の人や薄暑かな

佐伯良吉


水垢になりゆく水や薄暑かな

曇ゆら


マウンドを降りるエースや薄暑かな

城扇尋


脱税や裏金議員薄暑かな

森本 悪夢


トランプタワー最後の段や薄暑かな

栗花落カナヲ


定年や五千歩めざす薄暑かな

大西玲鈴


歩めども遠きツリーぞ薄暑かな

おじいちゃん1号


海の声人行き交うや薄暑かな

小林衆馬


メロンパン食らう夜勤や薄暑かな

さとう隆明


フロントガラス競り出す枝よ薄暑かな

阿南 楪


遠征よ孫の目光る薄暑かな

あらまち一駒


●ピックアップコメント:

俳句の世界でいわゆるタブーの一つに「二重切れ字」があります。「や」と「かな」、「や」と「けり」の重複ですね。

また、三大切字である「や」「かな」「けり」以外に「よ」もあげられます。

切れ字はスポットライトのようなもの。一句の中に複数のスポットライトが存在すると、どちらを主役にしたいのかわかりにくくなってしまいます。

季重なり同様、複数切れ字が入った名句もあるので、絶対にダメ! というわけではありませんが、上級者コースのウルトラ技と考えて良いでしょう。まずは、切れ字は一つから!


---------------------------------

▼③【文法の問題/つながる活用・切れる活用】

うづ高し断捨離衣薄暑かな

山村時三郎


緩し歩や行かずも待たず里薄暑

印南 天藍


ぬるま湯の茶殻も青し薄暑かな

井植桔梗花


そこまでの散歩に感ず薄暑かな

オッドアイ


●ピックアップコメント:

頻出の文法チェックポイントをピックアップ。

形容詞の活用は間違えやすいポイントです。

「高し」「緩し」「青し」はいずれも終止形、文がここで切れる形です。後ろの言葉に続けていきたい場合は、連体形「高き」「緩き」「青き」となります。井植桔梗花さんの句の場合、「青し」の終止形で切っても句は成立するので、ご本人の表現したかった内容に合わせて「青し」と「青き」を選択できます。

オッドアイさんの「感ず」は形容詞ではなく動詞ですが、上記のケースと同様です。「感ず」は終止形なので、文を切らずに下五へと言葉を繋げていきたいなら「感ずる」となります。


---------------------------------

▼④【仮名遣い】

青龍と朱雀集ゑる薄暑かな

りっしんべん


第一打薄暑のピンのはしゃぎやう

みしまはぐし


服薬のみづに潤う薄暑かな

神無月みと


●ピックアップコメント:

歴史的仮名遣いに挑戦している人たちをピックアップ。

りっしんべんさんの「集ゑる」は文語だとハ行四段活用なので「集へる」(ハ行四段活用動詞「集ふ」+ 完了の助動詞「り」)が正解。

みしまはぐしさんと神無月みとさんはどちらも見落としがあるのが惜しい。「はしゃぎやう」は「はしやぎやう」、小さい「ゃ」も大きくなります。「みづに潤う」は「潤ふ」まで歴史的仮名遣いにする必要があります。

歴史的仮名遣いは練習あるのみ。失敗は次なる成功への貴重なデータです。一箇所に気づけているなら全問正解はきっともうすぐそこです。諦めずに続けていきましょう。


---------------------------------

明日から火曜日、水曜日、木曜日、と入選句を発表します。入選句の評価は火、水、木(ステップアップのためのヒントに掲載分も含む)ともに同じランクです。順不同での掲載です。

そして金曜日は、初級者投句欄の優秀句発表です。

投句はこちら