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初級者結果発表

2024年9月20日週の兼題

星月夜

【曜日ごとに結果を公開中】

【入選までもう一歩】

選者コメント

家藤正人

みなさまこんにちは。初級の選者、家藤正人です。

月曜日は、入選にもう一歩という句をご紹介します。


・月曜日の「選者コメント」に掲載されている俳句については、作品検索はできません。

・月曜日の「ステップアップのためのヒント」に掲載された句、入選句、優秀句については作品検索が可能です。


月曜の「選者コメント」や「ステップアップのためのヒント」を参考に、目指せ金曜優秀句への道!!


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▼【季語なし&違う季語】

水無瀬川踊るえんばに追う波紋

Eureka


星が降る橋桁の下手を伸ばす

雨宮空流


天の子(あまたのこ)輝き私を信じるや

朝霧 絃葉


予約せず入った宿で満点星

筒井 田造


宇宙へと届く懐中電灯の小さな光が星の赤ちゃん

蕗々


赤星や燃え尽き刻む時愛し

麻座輝貞


あれなあに澄みし満天星図鑑

齊藤りゅうじょう


秋休みフォトナしすぎて頭痛する

雲行貞珍光


秋夜空漂う雲は黄金色

永良紫明


ずずずずず秋の夜に鍋ごとの麺

岡 拓悠


月星夜寝つかぬ床にあなたの背

金森 マユ


三日月に吠える野良犬秋の風

秀月


そのもとで読書できそな星聖夜

青玄


夜の道袖を伸ばして月を見る

川島あきら


カンタンや月夜より冴え乱舞かな

大和キートン


月の見ぬ光眩い子供達

鷹崎 恵意


秋深し満天星空煌めかす

池ばーちゃま


離れては声だけでもと月を見る

長谷昌幸


老何ぞ貧何ぞ月天にあり

東予稲村


お月見で晩酌予定もツキがなし

旅人


窓辺のフォトから見上げるスーパームーン

鈴月


●ピックアップコメント:

季語の入ってない句や違う季語が入ってしまっている句をピックアップ。

季語「星月夜」から連想して、いろんな夜の光景が描かれております。が、肝心の季語そのものがどこかへいってしまった例がちらほら。

兼題として季語が出題された場合は、その季語を一句に詠み込むのがルールです。

俳句ポスト365では各回の出題に全員が取り組むことで切磋琢磨を目指しております。

今募集中の兼題は、12月19日締切の「氷柱」です。ご投句お待ちしてます。


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▼【五七五七七】

すり減ったサンダル脱ぎ星月夜には新しスニーカー

千 志緒佳


仰ぎ見る雲を透かして十三夜ニューヨークまで届け想いが

うっすんあついち


目の前広がる星月夜

伊東柚月


●ピックアップコメント:

五七五の俳句としてはいささか音数が多すぎます。むしろ五七五七七の短歌のリズムに近い作品です。伊東柚月さんは別途「「別れよう」そう言う君は振り向かず」と投句しているので、あわせてひとつの短歌ではないかと推察します。

俳句ポスト365では短歌の良し悪しは判断できませんので、短歌を取り扱う投稿先をお探しの上、そちらへの応募をおすすめします。

「専門は短歌だけど、俳句も始めてみたい」という場合はもちろん俳句ポスト365への俳句の投句は歓迎であります。

まずは基本の五七五・有季定型から一緒に始めて参りましょう。


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▼【特殊なふりがな】

星月夜何時か私もその宇宙に

曽我のシオカラ


星月夜走れ故郷へ200km/h

徒然躬行


●ピックアップコメント:

通常とは違った特殊なふりがなを作者自ら振っている句をピックアップ。

それぞれの作者によると「宇宙は、なかと読みます。」、「200km/h」は、「新幹線」と、読みます。」と注釈がついています。

特殊な読み方をさせたい場合に注釈をつけるのは必要な対処です。が、あまりにも強引すぎる読み方をさせると読者に伝わらない可能性があるという点は認識しておいて良いでしょう。


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▼【季重なり】

星月夜オーケストラの虫の声

チョコの母


秋風を連れて来たるは星月夜

葵川 悠


避難所の熱とメイガと星月夜

安武絹紬


浮き紅葉すき間水面に星月夜

笹本ミワコ


星月夜紅き紅葉をかすかに見る

時雨 鳥


水鉢のススキの穂揺れ星月夜

西倉美紗子


誘蛾灯消して今宵は星月夜

大盛茄子紺


星月夜神の居ぬ間にハロウィーン

田峨家士


星月夜子供と探す秋の夜長に

梅好子


病窓に彦星笑う星月夜

晩楽


夜遊びかな庭の虫たち星月夜

描 鶴八


星月夜秋虫奏づビージーエム

望早雲


星月夜笑顔が囲う湿気花火

鮃鰈


父と行く二年参り星月夜

鈴木雪


母の手の暖かきかな星月夜

清瀬潤筆


星月夜母のショールにくるまれる

青木みかん


山登りごほうびのよう星月夜

津軽 りんご


●ピックアップコメント:

一句の中に複数の季語が入っている状態を季重なりと呼びます。

判定の微妙なものとして、初詣の一種である「二年参り」や、まだ季語として歳時記に収録されていない場合が多いものの季感の強い「ハロウィーン」などもありました。


季語が複数入っている名句もあるので、「季重なり」は絶対にダメ! というわけではありませんが、複数の季語を作品として成立させるのは、上級者コースのウルトラ技。

ここに紹介した以外にも季重なりの句はあり、火曜日以降に紹介される場合もありますが、比較的許容しやすい季重なりとして受け止めているものもあります。

やはりまずは、一句一季語からコツコツ練習して参りましょう。


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▼【来月もまた会おう!】

檀中へしなる指先星月夜

橙茶


顕微鏡凝らして見るや星月夜

ウマーベラス


星月夜ゴッホは見たのアダムスキー

タカハシネコミサ


母なるものかくれに巡る星月夜

金子恵


星月夜ヘリコプターと間違える

月並ドリーム


星月夜空のルリィか空耳か

紫の里


山小屋をシャトルに変える星月夜

織田 光


観測は君と星月夜深海へ

嶋光


星月夜被災の窓に昇りおり

想予


綺羅綺羅と六三四の国の星月夜

竹内 喜和


星月夜我の命も燃えており

中川 鉄庵


早朝の年中無休星月夜

中川肱洲


●ピックアップコメント:

投句してくれてありがとう!

まずはしっかり「星月夜」をいれた投句をしてくれてうれしい。これから一歩一歩学んでいきましょう。次回の兼題は、「氷柱」です。これからの投句も楽しみにしています。


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▼【入力にはお気を付けて】

あの世なぞ無いと言ってみる星月夜

あの世なぞ無いと言ってみる星月夜


土地ナナナナ

土地土地


政治的?投稿できぬ句星月夜

無月 秋扇


●ピックアップコメント:

入力や変換が気がかりな句をピックアップ。

俳号の部分にも俳句を入力してしまっているようです。本当の名前がわからなくなってはもったいないですね。次回は正しい俳号での投句お待ちしてます。

土地土地さんはわずか六音の投句(?)。大幅になにかを入力し忘れてしまったのでしょうか……?

無月 秋扇さんは「原発や核と書き込むとエラーが出るのです」と注釈がありました。が、こちらで試したところ特にエラーは出ず。うーん、個人の環境によるものでしょうか? あるいは俳句ポスト365以外の投句先での出来事??



※今回の兼題「星月夜」初級者投句欄へのご投句は、投句数4497句、投句人数1809人となりました。


以下の①②③については入選決定!

金曜日「優秀句」へのステップアップのためのヒントをご案内します。


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▼①【類想】

顧みる我の来し方星月夜

☆還暦前年者☆


キラキラ光る久遠劫の星月夜

3連まんじゅう


ひとり旅ふと足止まる星月夜

HeyHo


恐竜も同じ空見し星月夜

k陽一郎


はにかむ君と一緒に星月夜

あさき悠菜


星月夜グリム童話を読み聞かせ

アマリリスと夢


寝間に待つ子に読む童話星月夜

あらいすみこ


星月夜コンビニまでの徒歩五分

いそのサリー


星月夜君が観たいと言ったから

いつきとさやか


星月夜ひざを抱えて待ちぼうけ

いなば月々


負うた子の未来無限に星月夜

かごやまのじっちゃ


偲ぶ会いつかまたねと星月夜

かたの遥琉


君を待つ湯屋の軒先星月夜

かまど猫


星月夜娘の安産をただ祈る

くちなしの香


星月夜ロマンチックや彗星や

こーがはるちゃん


星月夜寄り添ふ影のちらほらと

さとう やすし


星月夜練習終えて帰り道

すずしず


地震あと手付かずの屋根星月夜

そら野なずな


悲しくて仰ぎ見るなり星月夜

たかはしゆう


早見盤片手の夜ふかし星月夜

タンザニア恵


音楽会帰り道は星月夜

どれみ


コップ酒首に手ぬぐい星月夜

どんぐりブルース


街頭の灯り消えゆく星月夜

ナンプラー大好きママ


星明り都会のネオン共存し

にしおひさし


星月夜一人南のキャンプ場

バーバラ


星月夜もうすぐ母の星光る

はっとりはるか


愛犬とひたすら歩く星月夜

はなちゃんマダム


故郷へ戻る機窓の星月夜

ははろ


星月夜見上げため息我ひとり

ピアニカたろう


散歩道犬も小走り星月夜

ひなた マオ


星月夜言葉しまひてただ君と

ひめのつばき


愛犬と見上げる星月夜頬に風

ブラックプードル陸


星月夜どこでもドアで会うゴッホ

フリージア


戦死者の平和の祈り星月夜

へたおかむこ


母ちゃんを駅まで迎え星月夜

まつぼっけ


星月夜見る星ら私の窓

まなさ


星月夜ゴッホのやうに眩暈せし

みなごん


億年も変わらぬ瞬き星月夜

みなづき はるるん


星月夜おててを結んだお年頃

ヤギリワタル


傷心の一人泣いてる星月夜

やのかよこ


星月夜もう一回りと家路が延びる

やまおかゆみえ


魅せられて息を飲み込む星月夜

ゆうK


部活帰り友と影ふみ星月夜

よつ葉


客帰る座してひとりや星月夜

ラッキー&クロ


星月夜星座盤かさねし友や

ローズ喜子


街頭のJAZZ聞き入るや星月夜

亜門里三


俯いて彷徨う街や星月夜

阿左美 寒


ラブソング君に奏でる星月夜

愛生園風来坊


星月夜見上げる二人明日をみる

葦の丸屋


金曜の残業あとの星月夜

飴かおる


瞬きでさらに輝く星月夜

安城 汐


無音の星月夜子の熱き寝息

伊達紫檀


しみじみと娘と語らう星月夜

井上教


夢に酔う煌めく宇宙の星月夜

井筒朝子


照らしてる私のことを星月夜

一志


星月夜太古の光湛へたり

一石 劣


悲しくて歩き続けし星月夜

雨読人


星月夜母も遠くで見上げしか

瑛斗


星月夜座りてとなり犬と猫

越野緩急車


犬もまた見上げて坐する星月夜

円海六花


星月夜出船の汽笛友去りぬ

奥井宣風


星月夜翁と媼寝入り郷

奥野恕宣


ほろ酔いや見上げ佇む星月夜

横尾 寂心


涙目の歪んで見えし星月夜

横辺理


友5人寝転び見上ぐ星月夜

黄色てつを


終列車去りて無音の星月夜

岡 里詩


星月夜ゴッホとお茶を夢のカフェ

岡本みい


塾帰り迎えに立つ父星月夜

沖優


波の音息子と語らう星月夜

沖龍鳳


後悔と言い訳の日々星月夜

下地野雨


星月夜瞳を閉じて師を想う

佳月


被災して独り見上げた星月夜

夏井久摺


仕事終え玄関に立つ星月夜

夏山葵夷


愛犬逝き二人だけかな星月夜

河豚蛇燕 花子


星月夜願いをこめて深呼吸

火野エマ


星月夜眺めて秘める恋心

花園 メイ


被災地のがれきも悲し星月夜

花桃


何をするにもあの人は星月夜

賀舟


名も知らぬ瞬き満ちる星月夜

賀茂ももか


恐竜も見上げた空よ星月夜

海風ももみ


星月夜水面に星もゴッホなり

楽・豊・幸で行こう


おうた子の寝息が聞こゆ星月夜

鴨川 ふかこ


見よみよと言われて星月夜見た日

寒天 コウ


星月夜あと五分だけ手を繋ぐ

柑たちばな


星月夜仕事帰りの千鳥足

丸 なちか


名も知らぬはるけき山の星月夜

岩橋夕紀


星月夜路端の花輝いて

嬉居


気楽とも独り身淋し星月夜

鬼石 祥子


就寝時窓越しからの星月夜

鬼塚樹童


星月夜あれがばあちゃんいるところ

宮原渓秀


煌めいて心も照らす星月夜

居 栄心


まなうらの宇宙もはるか星月夜

郷舞道


残業の友はコーヒー星月夜

欣喜雀躍


天見上げ手を差し伸べし星月夜

九条麗子


満天の光爆ぜたり星月夜

空 行人


星月夜わが子の幸せ手を合わす

熊谷子南


ひしめいた星月夜なれど我ひとり

栗の木栗乃


星月夜見ゆる湯畑手が触れる

群馬爽走


かなたより旅し今宵の星月夜

月の光子


星月夜背の温もりの遠き日よ

月下美人


どこまでも続く輝き星月夜

月並タコ


今日からは独りの家や星月夜

月夜田しー太


遠ざかる汽笛の先は星月夜

月夜野釦


寝ずの番兄と見上ぐは星月夜

原知香代


星月夜黙して歩くカップルよ

古賀衝童


戦争はまだなお止まず星月夜

古谷芳明


私をね明るく照らす星月夜

虎狼


ラジオつけ一人ごはんの星月夜

五色園 豊美


星月夜や最終電車が駆けてをり

御前 たちばな


ジョバンニが友と巡りし星月夜

光顕


夜想曲ゴッホもみたか星月夜

向日葵蜜柑


瞬きはきっと父だろ星月夜

広島立葵


星月夜航空灯の音も無く

江梨子


星月夜生きてゆくかと独り言つ

紅苑ちよ


夜道行く星月夜の途遠夜景

高崎孝雄


子をまちてひとり車中の星月夜

高山 翠碧


旅来ればビルの谷間に星月夜

高田むべ女


旧友と夢語り合う星月夜

国崎 美栄


塾帰り自転車飛ばす星月夜

黒木なずな


オリオン座観察したね星月夜

佐藤コロン


街灯のやや薄明り星月夜

佐藤のばな


星月夜猫と二人でお留守番

斎藤コロンのママ


遠国の戦禍よ遙か星月夜

斎藤九朗


亡き父母がこちら見てるかも星月夜

菜園ベジタベル


過ぎし日の思ひにひたる星月夜

桜井タケ女


星月夜おとぎ話を読み聞かせ

桜華姫


酒旨し妻と寛ぐ星月夜

薩摩南風


星月夜熱戦語る帰り道

三宮香棆


星月夜またねと友の笑い顔

三谷菫子


下駄音や父に負われし星月夜

三拍子


臥す夫の寝息明かや星月夜

三毛山タマ子


鎮守の森のしずけさや星月夜

山すみすみ


星月夜家路を急ぐ父の影

山家 閑


星月夜賢治の駅に降り立ちぬ

山口


路地裏の何を照らすや星月夜

山口直哉


固唾のむ刻病窓の星月夜

山笑み


星月夜夫と語らむゴッホの絵

山川海


星月夜少し先までウォーキング

山田はつみ


星月夜妻と寝転ぶ物干し場

山田まもりい


急ぎ足スポジム帰り星月夜

山野 のりこ


父独居吾は帰路につく星月夜

山野うさぎ


泣き止まぬ赤子抱き佇む星月夜

散歩ゆふら


湖に零れ堕ちそな星月夜

四葉の苦労婆


飼い猫の散歩ゆるゆる星月夜

紫檀豆蔵


星月夜実家片づけ帰る道

児玉すず子


先人と共に深山の星月夜

寺ゆた


星月夜遠き故郷異国の地

寺尾銀次


星月夜地上の孤独閑かなり

写雅句


星月夜心揺らぎざわめかす

朱白 桃梅


星月夜告げてふられて泣いて泣き

秋風冬海


残業の供コーヒーと星月夜

秋野だいふく


星月夜そぞろ歩きの城下町

十四志


星月夜吾子の寝息よ子守唄

十市 涼音


足を止め犬と見とれる星月夜

十津川ポロ


奥穂にて山荘よりの星月夜

春の新々


五年後の未来を描く星月夜

春風京桜


星月夜明るい吾子のねがおかな

小原ひでぼう


君慕い同じ宙見る星月夜

小江戸 清


星月夜無言歌の響きいのち輝く

小柴美音


勤め終え信号まちで星月夜

小石蟻音


星月夜たった一人の露天風呂

小塚ちか丸


にゃあと鳴く声に振り向く星月夜

小田芙蓉子


星月夜松山の灯り思い懐かし

小幡亀


星月夜昨日産まれし子の寝息

小平葉子


臨月の妻よ命よ星月夜

小暮修


老い二人茶飲み話しや星月夜

小野一箭


星月夜先島の天億光年

小林俊行


星月夜コンビニまでのプチ散歩

小林抹茶


星月夜眠れぬ夜に想うこと

小林弥生


星月夜汝の居ぬ世の星月夜

松井龍髭


キャンプの火消えて一人の星月夜

松浦 姫りんご


ドライブの窓は全開星月夜

松本くらり


星月夜会えない友と長電話

松葉海蘭


星月夜話が尽きぬカフェテラス

祥対無


眼を閉じてまぶたに滲む星月夜

上野雀墓里


山峡の湖面に映る星月夜

上野蕗人


星月夜くるくる星座早見盤

色鳥あきら


終バスを待つターミナル星月夜

真咲よしの


星月夜君と初めて手を繋ぐ

神 和幸


液晶の先にバーチャル星月夜

神里 タスク


子の寝息ようやく聞けば星月夜

秦きるめ


夜泣き子の声が響きし星月夜

水谷未佳


星月夜炎見つめてソロキャンの森

水谷夕顔


八十路坂ゆっくり一人星月夜

水浜ギコ


星月夜小さき大の字寝息立て

水野 寿香


星月夜母に感謝を独り言

瀬尾紗ま


友達と地面から見る星月夜

瀬野 理乃


ジレ羽織りも少しここに星月夜

晴山喜作


我が胸に落ちてきさうな星月夜

清見敏水子


初育児天使の寝顔星月夜

清水ワルツ


湖に星月夜映え上下に

聖仙秀事


街明かり消えて美を増す星月夜

青畳大将


ガザの子の眠る夜空や星月夜

静 うらら


笑み光る塾の帰りの星月夜

石黒なを子


塾帰り友の横顔星月夜

石川むーちゃん


在りし日の母と語りぬ星月夜

石川明世


星月夜老犬の細長き息

雪乃冬


一人旅秘境の宿の星月夜

千明


きみの目に星月夜見し初デート

千葉転石


散りばめた宝石のごとし星月夜

川中イレブン


星月夜空腹忘れ足止まる

泉 


若き日の思いを馳せる星月夜

泉 恵風


珈琲と猫と窓辺で星月夜

浅井ひろこ


ログハウス高原のランプと星月夜

船生伸一


少しだけ酔ってみたいの星月夜

倉森愛華


山歩きテントで眺む星月夜

早風


仕事終え帰省途中の星月夜

草堂Q幸


寝ない子を抱いて見上げる星月夜

村松 初楽


ツアー旅終えてひとりの星月夜

多田ひとり


飼い犬と散歩して見たいな星月夜

太子道あやめ


若き日のニュージーランド星月夜

太田桜


還暦の友ひとり逝く星月夜

代官野兎


果てまでも離れていても星月夜

台所のキフジン


妣はいまどのあたりかな星月夜

大ちはる


故郷は遠し都会の星月夜

大家由美子


遠くにて子犬の鳴き声星月夜

大久保一水


ガラスごし子規も眺めた星月夜

大空りんむ


ひぐれざと山ふところに星月夜

大山 久幸


星月夜祝宴終えて天仰ぐ

大山 寿梨


星月夜無人の駅は音も無し

大西泉花


星月夜人恋しさに涙ぐむ

大歩危美人


遠ざかる列車の汽笛星月夜

滝之進


添い寝する吾子の寝息や星月夜

谷口半夏生


教え子に新たな命星月夜

池ほろり


ノート取るふと見上げれば星月夜

中岡 始


公園を早足過ぎれば星月夜

中矢しる子


ほろ酔ひて座るベンチの星月夜

中澤深翠


眠る子の背に受く鼓動星月夜

町田明哉


街明かり遠くに霞む星月夜

鳥丘 八十仁


本塁打放ちし頭上星月夜

鶴梨 淵玄


停電の窓を開くれば星月夜

天海楓


星月夜時を忘れて深呼吸

天川句楽


縁側で君を想いて星月夜

田舎太郎


老犬のへたる畦道星月夜

田中みどり


靴の先見つめて歩く星月夜

渡野りす


星月夜寝台バスの消灯す

都夜ことね


ホームランサヨナラ勝ちに星月夜

島柳


星月夜ほのかに香るカレーかな

東海 雨丸


指数えあなたを願い星月夜

桃の花


人も世も変われど同じ星月夜

湯河原熱海


星月夜ひとりになっただけのこと

藤井 春


星月夜今日は二度目の犬散歩

藤井いちはつ


もう生まるうれし初孫星月夜

藤原 迷月


本を閉じ灯火を消して星月夜

藤原訓子


半袖をいつ仕舞おうか星月夜

藤原明太子


星月夜ガザにもウクライナにもあれ

道後K3


肩並べ話題を探し星月夜

奈良部風悠


見上げれば古里続く星月夜

内山清白


星月夜地の果て遠く星よりも

南州 無雪


改札を急ぎ終電星月夜

二見歌蓮


プロポーズ潤む瞳に星月夜

如月  ゆう


星月夜ここはアルプス独り占め

俳邦


仰ぎ見て足もとふらり星月夜

梅まんまる


星月夜汽車の窓辺にまぶた落つ

梅街 はるき


見上げるはてのあなた今宵星月夜

萩月 薫


田舎道妣の背思う星月夜

白花翠葉


仕事終え見上げる空は星月夜

八代葡萄


静けさに遠音の踏切星月夜

八咫兎


星月夜二人寝転ぶ芝の上

伴田 至誠


星月夜青春語り妻と飲む

斑鳩  廉


星月夜小さな命が待っている

百島ゆき美


手繋ぎて田舎の家路星月夜

百目鬼くるり


星月夜彼方も此方を眺むるか

富士咲広海


旅に出る果てない夢よ星月夜

浮世離れ


星月夜照らせよ友の庭先を

服部恭敬


野辺山の宝石のごと星月夜

平杏子


君恋ふる遥か彼方や星月夜

平川薫悦


お疲れと終業十時星月夜

平田球坊


星月夜肩を寄せ合いうたうたう

宝松苑


君想い寝床で見る星月夜

峰風山口


被災地の暗闇照らす星月夜

北の大地のスタンパー


目をそらす君吐く息や星月夜

北風冬奈


遠くより線路の軋む星月夜

牧 ひろ


星月夜愛した人の星きらり

本橋理音


星月夜独り見上げて深呼吸

未生 蓮


終電や逃がして独り星月夜

夢藤修子


星月夜たよりに歩く帰り道

夢野ぷりん


星月夜目凝(こ)らせ物語見ゆ

夢野ユメ


星月夜天動説の時代にも

名前のあるネコ


はやぶさの尾をひく空は星月夜

目黒のさんま洋幸


星月夜懐かしの曲ジャズバージョン

夜ツ星シズク


星月夜銀河鉄道捜す孫

野の菫


星月夜光浴びたる窓の外

野口立香


星月夜赴任先には我ひとり

野上紫功


灯消し芝生チクチク星月夜

柳狗愛


星月夜我ゴッホ気分指で枠

唯野板


娘と見る星月夜楽しからずや

与謝野パンダ


青春の渋谷にあつた星月夜

与世たつを


閑静な駅や背後に星月夜

落下


星月夜照らされている我が心

立川夏子


星月夜好きな星座を指なぞり

流れ星


いにしえの人も見上げた星月夜

林﨑 ゆう


妣の声聞きたくなりし星月夜

令和の和子


芝を背にはちみつレモン星月夜


一人荷を積み見上げれば星月夜

鈴木いと子


時忘れ語る今宵は星月夜

蓮花


ぐるぐると渦巻く雲の星月夜

蓮野安寿


星月夜泣き寝入りの子ほほキラリ

六甲桜


星月夜コンビニの灯の背に隠れ

和紙屋


瓦礫の町やさしく包む星月夜

和草雪月


仕事帰りのカフェオレや星月夜

嶽野青嶺


星月夜父は静かに泉下の人に

廣田洋子


星月夜大の字になり天仰ぐ

檸檬幸子 


眠らぬ子抱え彷徨う星月夜

澤皐月


星月夜道に迷ってけもの道

齋藤未秋


ぐるぐるとゴッホもうなされ星月夜

邨 虚空


星月夜どれがゴッホのエトワール

餡 捨離


足元を照らしておくれ星月夜

濵乃すな


星月夜だから家路も散歩みち

髙橋好泉


●ピックアップコメント:

初級・中級に関わらず、類想は似通ったものが集まります。

夜の過ごし方あれこれが多く届いたのはもちろんのこと、「星月夜」の類想として特徴的だったのは、心理や過去・未来といった目に見えないものへの連想も多かったこと。心理的な奥行きがある季語だと言えるでしょう。俗な言い方をすると「なんかいい感じにエモ」しやすい季語です。その分、抱いた感慨がベタな類想になっていないかは冷静に判断する必要がありそうです。


たくさんの類想を見ることによって、自分の中に類想のデータベースが構築されていきます。今回見かけた発想のおかげで、陥りがちな類想も避けられるようになるかもしれません。


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▼②【仮名遣い】

静寂に火薬のにほい星月夜

小鳥遊菖蒲


赤道下肌に恋しひ星月夜

藤花


俳句を書く際には表記を自分で選ぶことができます。普段目にする書き方と同じ「現代仮名遣い」と、古典などに用いられる「歴史的仮名遣い」の二種類です。

小鳥遊菖蒲さんの「にほい」は歴史的仮名遣いで正しく書くと「にほひ」になります。ちなみに現代仮名遣いだと「におい」です。

藤花さんは「恋しい」が「恋しひ」になっちゃった?

仮名遣いはうっかりミスをしやすいポイントですので、念のため辞書で表記を確認しながら使っていきましょう。


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▼③【文法の問題/つながる活用・切れる活用】

星月夜イマジン奏づオルゴール

澤木樹心


星月夜笛や太鼓の聞こゆ里

泉北の石ヤン


足裏の温し赤子や星月夜

緑野隼


●ピックアップコメント:

頻出の文法チェックポイントをピックアップ。

澤木樹心さんと泉北の石ヤンさんはそれぞれ動詞「奏づ」「聞こゆ」の終止形が使われています。もし後ろに続く言葉へと繋げたいのであれば連体形「奏づる」「聞こゆる」になります。その場合、一音音数が増えてしまいますのでどこかで別途音数調整は必要になりますね。

緑野隼さんにも同様のミスが発生しています。形容詞「温し」が終止形で使われており、このままでは「温し」で一度意味が切れてしまいます。ここでは「足裏の温かい赤子であるよ」と表現したいのだと予想されますから、後ろの言葉に続くように連体形「温き」となる必要があります。


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明日から火曜日、水曜日、木曜日、と入選句を発表します。入選句の評価は火、水、木(ステップアップのためのヒントに掲載分も含む)ともに同じランクです。順不同での掲載です。

そして金曜日は、初級者投句欄の優秀句発表です。


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