以下の①②については入選決定!
金曜日「優秀句」へのステップアップのためのヒントをご案内します。
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▼①【仮名遣い】
吾の迷ひ吹っ切るが如揚雲雀
ひめのつばき
もっとあをいあをのあるはず揚雲雀
小山まきに
俳句を書く際には表記を自分で選ぶことができます。普段目にする書き方と同じ「現代仮名遣い」と、古典などに用いられる「歴史的仮名遣い」の二種類です。
ひめのつばきさんと小山まきにさんは同じうっかりミス。歴史的仮名遣いにおいて促音「っ」は「つ」で表記します。
仮名遣いはうっかりミスをしやすいポイントですので、念のため辞書で表記を確認しながら使っていきましょう。
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▼②【類想】
初雲雀空へ空へと飛びにけり
平本文
雲雀鳴く池のほとりに飛ぶボ-ル
放浪者
児らの声一緒に歌う揚雲雀
k幸女
鳴きながら青空に立つ揚雲雀
k陽一郎
雲雀鳴く小さき指先空を追う
Mat ひめりんご
巣場所から離れ見護る雲雀かな
moto髪結
飛行機と競争するか揚げ雲雀
tokisan
親雲雀囮となりて巣を守る
あさみ あさり
見上げても声しかしない雲雀かな
アツシ
空の下おにぎり旨し雲雀飛ぶ
アボカドブロッコリー
草むらに見え隠れする雲雀かな
アマリリスと夢
雲雀より祝福の歌届く今日
あんこバター
雲雀聞く青空のどこ皆見上ぐ
いちご一会
雲雀鳴く声聞こえども我近眼
ウマーベラス
みそらをひばりさえずり縦横無礙
かごやまのじっちゃ
薬便ドローンと競う揚雲雀
かじやのタケ
東海道土手に雲雀や高く鳴く
カワムラ一重
草むらの夕日に染まる雲雀かな
このみこのは
河川敷冠羽を立てて雲雀鳴く
せり野 ゆく
天高く雲雀上下し急降下
たがわぱてい
冠羽立て清浄にさえずる恋雲雀
チャロ
弾む声孫のホウコク告天子
つついぐれちゃん
畦道の集団下校揚雲雀
デイジーキャンディー
かざす手のはるか遠くに雲雀かな
はっとりはるか
薄明の静寂破りて雲雀啼く
ハットリヒロ
登校中雲雀さえずり応援歌
はっぴー猫
雲雀唄う空に境界線はなし
ふみちゃん
かざす手の眩しき先に揚雲雀
ベル小町
雲雀六十路の我どこへ飛ぶ
みかん
ホバリング吸い込まれゆく雲雀かな
みにとまあいこ
庭一歩美空に雲雀可憐なり
むーたん
顔を上げ空に消えてく雲雀かな
ムララ
揚雲雀走っては転ぶ孫二歳
ややま
眼の手術窓から雲雀に励まされ
ゆかいなさっくす
雲雀出づ飼い猫ピンと耳立てり
ルピナス
田に独り雲雀に話しかけてみる
るんるん十七音
ほよほよよ季節呼びたり雲雀の子
阿部 晴子
雲雀鳴く時まで我は朝寝坊
愛生園風来坊
縁側で雲雀の声にうとうとと
葦の丸屋
揚雲雀声だけ遠く雲流る
安田 風花
緑なす畑の空に鳴く雲雀
案山子の鹿か
雲雀告ぐ待ち時来たや皆覚める
伊藤 ゆめ安
雲雀鳴く緑深しや田舎道
伊藤仁斎
賑やかな上昇気流揚雲雀
伊藤美詞
笑い声三月経つ孫揚雲雀
稲所恵
微睡て雲雀の声や雲の上
瑛斗
雲雀に口笛で真似する坊主の子
遠藤倫
国境をすいと雲雀の越えてゆく
奥田 久海
ひと仕事終えて見上げる揚雲雀
沖優
緑増え雲雀の声に眠けさす
音和
デーに行く母の頭上に雲雀鳴く
加古かよ
揚げ雲雀見上げて嬉し吾子の顔
河村 呂便
合格見て絶叫雲雀と共に
華生華名
鳴きながら雲雀天まであがりゆく
雅子
揚げ雲雀ロケットのよう影みえず
柿ノ木繁
顔上げて空へ空へと雲雀かな
笠谷風信子
一枚の空に憧れ雲雀の子
梶原菫
草に寝て眩しき空の雲雀哉
蒲 公英
うたた寝の耳に微かに雲雀かな
柑たちばな
顎あげて姿見たしや雲雀かな
関戸 小町
スマホから雲雀の声を猫が聴く
岸愛桃
軽やかに歌う雲雀や空高く
岩岳太郎
散歩中無心な雲雀にしのび足
岩見綾琴
夕空に一声残し去る雲雀
輝雲彩
真っすぐに天に消え去る雲雀かな
鬼塚樹童
声すれど雲に混わり揚雲雀
鬼本余覚
母眠る里の上舞う雲雀かな
吉河好
あの飛行機まで届くか揚雲雀
吉華ふるべ
天空を我がものとして揚雲雀
吉川星空
土手の児ら転げ笑ふや揚雲雀
吉田行朋
子供らがボール蹴り合い夕雲雀
宮 由太
蒼空に雲雀や唸るトラクター
宮本モンヌ
鳴き声も空に溶け込む雲雀かな
宮澤博
母雲雀子から離れて青空へ
京都さくら
うたた寝に聞きし声もしやひばりか
京野ののか
雲雀翔ぶ雲の果たてのその中へ
狭山茶娘
巣を守る雲雀仰角なお高し
鏡山唐水
雲雀かなひとり下校の田舎道
玉 ゆこげん
吉兆の知らせの如く雲雀かな
九条麗子
野の空に点睛を差す雲雀かな
空 行人
目覚ましの前に聞こえる雲雀かな
熊谷子南
天高く風に揺られし雲雀旅。
月下氷人
天高く一声鳴きて雲雀行く
五黄巳松井
競い合う鳴声高き雲雀かな
吾亦紅也
大あくび伸ばす背筋に初雲雀
光稀
山深い雲雀飛ぶ里遠くなり
高橋こう
青き空雲雀の空ぞ我ひとり
高橋ひろみこ
雲雀飛び元気をもらい地に立って
高崎孝雄
夕雲雀帰りの時を告げにけり
高野妙介
童問う雲雀何処へかくれんぼ
国崎 美栄
空を舞ふ雲雀の声降る休日
黒木なずな
碧天や点に見えるは揚げ雲雀
今野喜良
窓越しに雲雀狙いし猫二匹
今野武聡
のど自慢ひばりと雲雀丘の上
佐久間一茶
飛ぶ雲雀見上げ「ブフ」と鳴くチワワ
佐宮静
雲雀野に童と遊び声高く
佐藤 万寿
半島の大地の雲雀声高し
佐藤けい
御厨の高き美空に雲雀鳴く
佐藤夏みかんの亭主
仰見て雲雀聞きしはいつの日か
佐伯良吉
雲雀かな白き雲めざし黒き点
彩李緑
雲雀鳴く空と畑の通学路
菜園ベジタベル
ピーチュルリーチュル仰ぐ雲雀の腹白し
咲咲こるつ
絶え間なき雲雀のエール進む足
三角 俵
鳴き止みて間もなく翔ける雲雀かな
山口直哉
ふるさとや雲雀飛び啼く休耕地ふるさとや雲雀飛び啼く休耕地
山崎柏葉
雲雀鳴き空より元気振り撒きし
山田 正山
雲の上雲雀の声に目を覚ます
山田いね子
車イス停めて見上げる雲雀かな
山猫宇一
大空に音符のように舞う雲雀
山之池四歳時期
揺れ動き突き抜け高く鳴く雲雀
山本修
雲雀追う目には聞こえぬ時分時
山本八角
鳴り響く帰りチャイムと落ち雲雀
山野 のりこ
空青く雲雀囀り姿見ず
嗣子孫々
朝風呂の窓開け響く雲雀かな
四十 カラ
初雲雀子らの登校背にうけて
四葩
雲雀舞い手広げ歩く孫を思う
時流
揚雲雀畑に狙い急降下
室屋喜楽
待ち合わせ我の頭上や雲雀かな
実本礼
落雲雀地に見えてすぐ消えにけり
篠原 蝉秀
畑へと近づくひばり空高く
紗津夢虹
揚雲雀ピューチュルチュルとピーアール
手塚童好
高校の合否を届けに雲雀来る
秋水葉月
手を止めて昼空の中雲雀の音
十 助
山道で見上げる青空に雲雀鳴く
十八番屋さつき
蒼天へ揚がって落ちる雲雀かな
春の新々
ぴーちくぱーちく魂込めて雲雀舞う
春乃一朗
ネットにて雲雀の姿知る七十路
春野ふう
寝ころべば矢切の空に雲雀かな
初老俳人
雲雀ひばりなぜそんなに鳴いているの
小林弥生
峠越え汽笛に負けじ揚げ雲雀
昇椿
曇間より喧しき声雲雀かな
松下節子
舞い上がれ太陽目指し雲雀鳴く
松下瑠璃
一点や雲の隙間の揚雲雀
松下檸檬
今の今揚がる雲雀の空青し
松原白士
故郷の夢を奏でる雲雀の歌
松島吟遊
妻と来て仰ぐ左右に初雲雀
松本錦明
廃校でホバリングする雲雀かな
上野 鈴女
大空の雲居に遊ぶ雲雀かな
上野蕗人
雲雀鳴き求愛飛行ピーチュルル
森田一華
天鳴きて雲雀の声か妻聞きて
森嶋ししく
学校を休み雲雀を見た河原
森脇かな子
児等の声響く校庭雲雀舞う
真田 ちいこ
雲雀追い見上げる空の眩しさや
神谷理風
畦のさき山並の木霊告天子
神里 タスク
舞い上がり天守を眺む雲雀かな
仁左衛門
転職の初通勤や初雲雀
水巻リカ
菜園に青空高く雲雀鳴く
水晶文旦
鳴きながらわが雛守る雲雀かな
翠善
恋求め疲れ知らずの揚雲雀
数哩
子の合否はいかに雲雀歌う朝
星野みゆみさき母
念願の外出許可日ひばり鳴く
晴山喜作
田の畦で座りし父と揚雲雀
清実
犬つれて川の向こうに揚げ雲雀
清水猿虎
揚げ雲雀雲間の輝光に消えゆけり
清瀬潤筆
雲雀鳴き仔犬留まりて見上げをり
西原 煌舟
陽に挑むごとく雲雀の急上昇
青井晴空
鳴き声ひびきし雲雀のいない空
青空琴葉
寝ころびて草の匂いや初雲雀
青峰
頬撫でる風柔らかや雲雀啼く
石井ヒヨコ
週末の下校軽やか雲雀鳴く
石黒なを子
おしゃべりのたえない二歳雲雀鳴く
石田ひつじ雲
空色と雲雀の声と黄の花と
赤城孔茲
発表日電話のむこうは揚げ雲雀
赤恥山子
ウォーキング目と耳で追う揚雲雀
千夜美笑夢
ジョギング中遠くピーチュル雲雀かな
川口翡翠
姿無し雲雀囀る野良仕事
泉北の石ヤン
何時よりか雲雀の声を聞かざりき
前川葉月
我が雲雀何処までも響け声
曽我のシオカラ
見上げれば雲雀のつがいバスを待つ
村松 与作
高く舞い美空のひばり憧憬に
太極
空高く響く鳴き声雲雀かな
太子道あやめ
雲雀飛ぶ姿を一目見て見たし
太田桜
揚雲雀天より望む町遠し
大家由美子
揚雲雀ドローン追うて青空へ
大西泉花
仕事終え雲雀の声を励ましに
大川夜心
揚げ雲雀一声ピューロ天を裂く
大泉竹芳
揚雲雀野山見下ろしホバリング
大和キートン
道傍の子等は雲雀の聲を聴く
鷹尾鳶尾
あと少しトンネル抜けて雲雀飛ぶ
滝沢 樹里
雲雀鳴き雲の切れ間に消えてゆく
谷 佳
揚雲雀空に吸い込まれる叫び
谷本杏
河原にて空見上げては揚げ雲雀
池ノ富士
声高し雲雀旋回通学路
中山流心
我もまたピーチュル雲雀空高く
中川肱洲
赤子泣く声より高し揚げ雲雀
中村水音
雲雀上に左に下に乱れけり
中島タカシ
揚雲雀なにを騒ぐや牧の空
中林 二茶
散歩道雲雀の声と青き空
忠園太冨三
さあヒバリ上がれ上がれ天になれ
猪鹿蝶
東雲に声だけはする雲雀かな
町乃 磯鵯
河川敷飛行機雲へ雲雀かな
長野 雪客
ホバリングここは縄張り揚雲雀
津嶋有明
揚雲雀乱気流のホバリング
坪井松浪
歌声はひばりか孫か聞きほれる
鶴城
日本晴芝に寝転び揚雲雀
田村杏胡
案ずれば雲雀のこゑの空に在り
田中つきひ
やすらぎの風雲雀啼く野辺の径
田中みどり
上げ雲雀何処まで飛ぶか追いかけて
田頭西郷
揚げヒバリ飛行機雲に一直線
渡辺闇太郎
揚雲雀停戦の報待ちわびる
冬藻翠花
鈍色の地と空切り裂く雲雀かな
島掛きりの
おにぎらずリュクに二つ揚雲雀
東森あけば
雲雀に背押され月曜いざ出社
湯河原熱海
仰ぎ見て眼閉づれば雲雀をり
藤原明太子
遥かなる空にとどまる雲雀かな
藤沼 麦
空は今はばたく雲雀応援歌
藤川雅子
寝転んだ田んぼの空で雲雀舞う
藤田 圭
密やかに遠く降り立つ親雲雀
道春
やっと来た雲雀の声に疲れ飛ぶ
南とまと
天を突く指揮者のタクト揚雲雀
二宮瓜坊
戦闘のがれきの街に雲雀なく
日向幸朗
巣はいずこチョコチョコ歩む雲雀かな
俳邦山
うたたねの耳には雲雀背は日向
梅街 はるき
野良猫の見やる彼方の揚雲雀
白井和玄
賑やかな雲雀の声や広い空
白峰緑茶
雲雀や我の夢のせ舞い上がれ
畠田 香徳
土手走る高校生や揚雲雀
八代葡萄
仰げども声のみ聞こゆ雲雀かな
伴田至誠
初雲雀天が下には我一人
比丘須
忙しげに何語るらむ雲雀の嘴
尾藤ことさん
ひと休み見上げる農夫雲雀かな
美恵ノ海
車椅子指さす先の夕雲雀
膝丸佳里
雲雀かな朝の通学靴跳ねる
俵信
雲雀鳴き朝日を受けて輝く野
氷見蛭子
青々と雲雀たつ空白い雲
浜風佐羽古
雲雀ひばり背負いし吾子の伸ばす腕
冨士ノ嶋輝久
早朝を歌にて告げる雲雀かな
敷知遠州
休み田に佇ち雲雀聞く農夫哉
武田鳥渡仁
叫天子雨雲裂いて空の青
風見瑪瑙
合否待つ空に雲雀の声響く
伏見稲子
高く低く高く雲雀ほがらかに
平香
ひばり啼く農夫一服畑仕事
平谷河女
浮雲や天にもとどけ揚雲雀
片岡三洋
碧天を一人占めにし雲雀鳴く
片寄道幹
雲雀観て日頃の喧騒粒と化す
北や丸
故郷は揚雲雀鳴く城下町
北城美佐
天の母へ言伝託す揚雲雀
北乃大地
雲雀鳴きうつらうつらと5時間目
北乃羆
奔放に宙舞う雲雀羨まし
北伯和鈴
ピィーと鳴く姿の見えぬ雲雀
牧 ひろ
透明な空より雲雀ききおもふ
本山喜喜
雲雀鳴くいつもの景色生き生きと
未知女
幼子の指す空高く雲雀鳴く
明日葉
雲雀鳴く旅立ちの日の深呼吸
鳴川尚好
子等の声わーもきゃーもと揚雲雀
木村うさこ
町巡る園児の散歩雲雀かな
木々梶取
青雲に雲雀の音色艶やかに
夜ノ月太郎
天近くにして有りや揚げ雲雀
野ののりぴー
雲雀鳴く古感ず瞼閉じ
野上さち
雲雀鳴きホバリングして何探す
野田良雅
揚雲雀ソワソワ孫の初登校
優音
ドローンと競う雲雀が観る地球
由凛
耳すまし雲雀の声を追ってみる
与謝野パンダ
子連れ旅空には忙しなき雲雀
絡丸いと
魂よ昇れ揚雲雀に乗って
藍時 湘
声際立ちて雲雀空高くあり
立花かおる
空高く踊る雲雀のワルツかな
流れ星
揚げ雲雀見上げてみれど青い空
龍門歩
雲雀鳴く子の待つ住みかへ急降下
涼風 蘭
目を閉じて雲雀の声聞き深呼吸
林きせつ
雲雀鳴く声に誘われ歩み出し
林野ピロコ
雲雀鳴き腰伸ばしたる老女かな
令和の和子
雲隠れ声のみ響く雲雀かな
鈴屋玲瓏
ホバリング一点高らか揚げ雲雀
鈴鹿鈴鈴
雲雀きて我の足をも軽くなる
鈴木スモモ
空青く多摩の河原に雲雀鳴く
蓮花
虚空より真っ逆さまに雲雀落つ
老野一声
故郷の面影いずこ雲雀かな
和
揚げ雲雀合格メール待ちわびる
檸檬幸子
澄通る空に羽ばたく雲雀かな
珈琲俳人
猫あくび故郷の野に揚雲雀
翔ノ空
ゴルフ野にはや雲雀きく耳すます
颯雅(神部)
舞い上がり地上見下ろす雲雀の目
槇 まこと
高らかに歌う雲雀の空は青
濵乃すな
休耕地雲雀の声追うトラクター
髙橋雀
おひさまに何訴える雲雀かな
髙田 佳歌
●ピックアップコメント:
初級・中級に関わらず、類想は似通ったものが集まります。
雲雀といえば「飛ぶ」と「鳴く」は真っ先に思い浮かぶフレーズです。この二つを発想の核として、飛んだり降りたりする場所や、どんな状況で声が聞こえたり、音によってなにかが起きたり、といった発想が分岐していきました。
たくさんの類想を見ることによって、自分の中に類想のデータベースが構築されていきます。今回見かけた発想のおかげで、陥りがちな類想も避けられるようになるかもしれません。
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明日から火曜日、水曜日、木曜日、と入選句を発表します。入選句の評価は火、水、木(ステップアップのためのヒントに掲載分も含む)ともに同じランクです。順不同での掲載です。
そして金曜日は、初級者投句欄の優秀句発表です。
選者コメント
家藤正人選
みなさまこんにちは。初級の選者、家藤正人です。
月曜日は、入選にもう一歩という句をご紹介します。
・月曜日の「選者コメント」に掲載されている俳句については、作品検索はできません。
・月曜日の「ステップアップのためのヒント」に掲載された句、入選句、優秀句については作品検索が可能です。
月曜の「選者コメント」や「ステップアップのためのヒント」を参考に、目指せ金曜優秀句への道!!
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▼【季語なし&違う季語】
忙しげに現代風なる猫の恋
小田左岸
冬雲雀今日も田んぼに一羽かな
杉田ひらさこ
束の間の青空高く冬雲雀
斉燈学楽
ここに居ていいんだ僕と雲雀の巣
温室栽培
●ピックアップコメント:
季語の入ってない句や違う季語が入ってしまっている句をピックアップ。
惜しい句もありました。雲雀は雲雀でも「冬雲雀」は冬の季語なのです。「雲雀の巣」も雲雀という単語は含まれていますが、雲雀というよりはむしろ春の季語「鳥の巣」と捉えるべきでしょう。
兼題として季語が出題された場合は、その季語を一句に詠み込むのがルールです。
俳句ポスト365では各回の出題に全員が取り組むことで切磋琢磨を目指しております。
今募集中の兼題は、4月19日締切の「風光る」です。ご投句お待ちしてます。
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▼【季語の考え方】
ハイドンのひばりの響き澄んだ空
梅野なお
エンブレムの雲雀母校の一回戦
みさよ
●ピックアップコメント:
「雲雀」は春の季語で、ジャンルは動物です。
曲名の「ひばり」やエンブレムのデザインとしての「雲雀」を詠んだ場合は、季語としては扱いにくいです。
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▼【季語を比喩にすると】
野を駆けて雲雀のごとく遊ぶ孫
さなさな
碧天に雲雀歌のごと子の笑声
草野紫陽花
雲雀声幼き我が子の笑い声
伊東なつみ
●ピックアップコメント:
季語を比喩として使っている句をピックアップ。
「ごとく」や「ごと」は比喩の表現。季語を比喩にした場合、季語としての力は限りなく失われてしまいます。
伊東なつみさんは「ごとき」や「ような」といった直接の比喩はありませんが、解釈によっては比喩の句だと理解される場合があります。「声」と二度強調されているのも、比喩の読みを誘発しやすい一因です。
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▼【「雲雀」の読み方は?】
雲雀や退職の朝空青し
上野仙人
雲雀学び舎に立ち岐路につく
崇拝
雲雀や草に優しく微笑むよ
明石のたこ
●ピックアップコメント:
雲雀は一般的に「ひばり」の三音で読みます。
音数合わせのために「うんじゃく」の四音や「くもすずめ」の五音で読ませるのはさすがに無理があるかも。
「雲雀(ひばり)」の三音が使いにくい場合は、様々な傍題を使ってみるのも手です。お手元の歳時記でどんな傍題があるか調べてみましょう。
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▼【季重なり】
雪雲に声たてられず揚雲雀
くわい
君の声馬酔木聞こえる雲雀青
たけうちうしあ
抜けし藪ほとりにひばり花吹雪
ほろう
冬夜雲雀私とお母さん
まなさ
雲雀居てここはいちめんのなのはな
浦文乃
耕人に雲雀囀る巣のありか
久生
ああ雲雀天地結うのか春は来る
恕寂寥
空遊ぶ雲雀求めて春うらら
心は少年
暖かきひとりの午睡雲雀鳴く
新道さと
春風に舞い飛び歌う雲雀かな
泰熊士
雪残る比良望む野に雲雀鳴く
中村 橙
日向ぼこ頭上の雲雀小指雲
奈良華咲
芋種の植え付け見下ろす雲雀
白山
雲雀らしい。春の遭遇雲雀
憂木
初雲雀青きわさび田安曇野路
里山稲穂
雲雀高く飛んでは春を告げ
立川夏子
揚雲雀寒風追い遣り桜誘ふ
旅人
春告げる空飛ぶ雲雀ホバリング
鈴木雪
底抜けの夕焼へ入るる雲雀かな
齊藤春芽
さえずりは雲雀独自の方言術
とくねん
大文字雲雀囀ずるランチどき
麻座輝貞
●ピックアップコメント:
一句の中に複数の季語が入っている状態を季重なりと呼びます。
比較的季重なりだと気付きにくい例では「うらら」「囀」などの季重なり例もありました。こうやってデータベースを蓄積することによって、次第に季重なりを回避できるようになっていきます。
季語が複数入っている名句もあるので、「季重なり」は絶対にダメ! というわけではありませんが、複数の季語を作品として成立させるのは、上級者コースのウルトラ技。
ここに紹介した以外にも季重なりの句はあり、火曜日以降に紹介される場合もありますが、比較的許容しやすい季重なりとして受け止めているものもあります。
やはりまずは、一句一季語からコツコツ練習して参りましょう。
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▼【来月もまた会おう!】
返信を待つ心うち雲雀かや
sasami
見上ぐ母シワ見え消ゆ音雲雀かな
かまっち
声高く胸張る雲雀瞬断ドロン
はまゆう紬
雲雀らに想いを託し鳴いてみる
ピアニカたろう
揚雲雀野鳥とたわむ遠き日の父
わたなべ心粋
ジョギングや掛け声ごとく雲雀鳴く
稲城蒼海
雲雀はオーバードライブで奏でる
横山 沙石
群れ雲雀減反果ての荒れ田畑
河国老保忠
怒号の会見社長の退任雲雀はどこ
朱胡江
窓拭きのため息褪せし雲雀かな
千 和葉
パンくずによってたかる雲雀かな
川島晋太郎
畦道の跳ねる雲雀のマッチング
前田よもぎ
天幕を突き上げて行くキミ雲雀
総水 抱月
ベランダで糞終え雲雀が空に舞う
乃邑 歳幸
日曜の椅子雲雀と見えし白昼夢
福岡の岡
ジェットコースターデビューで雲雀なり
翡翠キョウ
日参の背添はる手鳴雲雀
釋 北城
クルーズ船ふたり散歩ふと雲雀
明朗
田に響く雲雀の力男飛ぶ
木国竹山
●ピックアップコメント:
投句してくれてありがとう!
まずはしっかり「雲雀」をいれた投句をしてくれてうれしい。これから一歩一歩学んでいきましょう。今募集中の兼題は、「風光る」です。これからの投句も楽しみにしています。
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▼【入力と変換にはお気を付けて】
轍歩くひ雲雀鳴く声置き去りに
横道其子
渓谷へパンジージャンプ揚雲雀
平岡夢華
大空に響き雲省音楽家
ナカガワカナコ
告天使導となりて我空へ
橘 春香子
休耕田草たくましく上げ雲雀
キミネコちゃん樋口
菜を刻む音に競うや落ち雲雀
コリン
眺むれば山より高し雲雀立つ
藤原 迷月
鳴き砂を雲雀の舞も鬱かりけむ
宮子天満 (徐安然)
●ピックアップコメント:
なんらかの変換ミスや入力ミスがありそうな句をピックアップ。
横道其子さんは謎の「ひ」が入っています。「雲雀」を入力する際に誤って余分にいれちゃった?
平岡夢華さんは「バンジージャンプ」かと思いきや、よくみたら「パ(Pa))」に。ナカガワカナコさんは「雲雀」が「雲省」に。どちらも惜しい。
橘 春香子さんは雲雀の傍題・告天子…なんだけど、変換ミスで「天使」に。
キミネコちゃん樋口さんの「上げ雲雀」、コリンさんの「落ち雲雀」は意味は間違っていませんが、文字の変換と送り仮名が気になります。「揚雲雀」「落雲雀」が一般的。
藤原 迷月さんと宮子天満 (徐安然)さんはそれぞれ変換が合っているか疑問が残ります。「立つ」は「発つ」、「鬱かり」は「憂かり」の間違いでしょうか?
自分が表現したい内容が正確に伝わるよう、送信の前には今一度文字の見直しをおすすめします。
※今回の兼題「雲雀」初級者投句欄へのご投句は、投句数3613句、投句人数1519人となりました。