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初級者結果発表

2025年5月20日週の兼題

青田

【曜日ごとに結果を公開中】

【入選までもう一歩】

選者コメント

家藤正人

みなさまこんにちは。初級の選者、家藤正人です。

月曜日は、入選にもう一歩という句をご紹介します。


・月曜日の「選者コメント」に掲載されている俳句については、作品検索はできません。

・月曜日の「ステップアップのためのヒント」に掲載された句、入選句、優秀句については作品検索が可能です。


月曜の「選者コメント」や「ステップアップのためのヒント」を参考に、目指せ金曜優秀句への道!!


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▼【季語なし&違う季語】

夕焼けを送る未来に想い馳せ

長礼宣子


さみだれにかたよせ歩く夕闇を

紫のさくら


揺れる波ひろがる彼方夏支度

麻座輝貞


晩夏の夕グリコのおまけ思いつく

平々凡々一川


遥か稲水面静寂消えゆけり

風雨音


●ピックアップコメント:

季語の入ってない句や違う季語が入ってしまっている句をピックアップ。

なかには青田をテーマにしたと思しき句もあるのですが、兼題として季語が出題された場合は、その季語を一句に詠み込むのがルールです。

俳句ポスト365では各回の出題に全員が取り組むことで切磋琢磨を目指しております。

今募集中の兼題は、8月19日締切の「終戦記念日」です。ご投句お待ちしてます。


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▼【季重なり】

涼風が青田をはしる越の原

浅尾功一


田草取る青田に戦ぐ風光る

田中つきひ


五臓をも震わす蛙鳴青田の夜

青砥展典


青田脇蝉のもがきにはしゃぐ子ら

森田凌雪


青田波光輝き蜻蛉飛ぶ

古湊


あおたからかえるのうたがクワクワクワ

えのん


バサバサと鳥型案山子青田守る

ウマーベラス


涼風や青田広がり空真青

古閑裕光


懐かしいおたまじゃくしを追う青田

沙華やや子


白鷺がただ立ちつくす青田かな

俵信


青田風大谷翔平の案山子

宮成貴寛


青田風水路をシャッと泳ぐ蛇

山村花月


空映し蛙隠れる青田かな

里 もりを


制服の足に涼しい青田かな

橋本由縁


青田風運動会へと香を運ぶ

永野 星


梅雨空や青田広がる明日の糧

井上教


クソ津波青田で蛙今歌う

晩楽


ただ一羽白鷺の居て青田かな

池ほろり


電車から眺める青田涼しげや

横辺理


燕青田かすめ黒雲もたげる

料 善


青田の夜や水爬虫の黒目あの窓へ

芥原碧薔薇


鴨通り青田の浮草道開ける

上之沢 逸輝


打ち渉る風の涼しさ青田かな

高志


帰省した先に青田の癒しあり

花桃


雲切れて青田のなかに十日月

崋楽


山裾の青田まぶしき白いシャツ

藤谷さつき


筑波山青田揺れる初登り

小田芙蓉子


うちぬきの清水の満ちし青田かな

三毛山タマ子


青田には清水ながるや鴨放つ

西村麦子


青田香や実りの陰に汗一つ

柳狗愛


青田掃く箒木の主はシロサギか

何時野午睡


●ピックアップコメント:

一句の中に複数の季語が入っている状態を季重なりと呼びます。

青田の周辺にはさまざまな生き物も姿を見せます。蜻蛉、蛙、蛇、白鷺、鴨、燕、などなど。実体のない季語では「涼しさ」などもありました。

季語が複数入っている名句もあるので、「季重なり」は絶対にダメ! というわけではありませんが、複数の季語を作品として成立させるのは、上級者コースのウルトラ技。

ここに紹介した以外にも季重なりの句はあり、火曜日以降に紹介される場合もありますが、比較的許容しやすい季重なりとして受け止めているものもあります。

やはりまずは、一句一季語からコツコツ練習して参りましょう。


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▼【季語の力が弱くなってしまう例】

学舎に青田の如く並びおり

飴本たけじ


めしあがれ青田の香り朴葉ずし

中山雪うさぎ


母の手に青田の絵手紙遠くを見る

どんぐりブルース


●ピックアップコメント:

季語の力が弱まってしまっている句をピックアップ。

「青田の如く」と季語を比喩にした場合、季語としての力は限りなく失われてしまいます。

「如く」や「ような」という比喩の言葉こそ使われていませんが、中山雪うさぎさんのように青田以外のものから青田の香りがしている、という使い方も比喩の一種といえます。

また、どんぐりブルースさんのように、図柄や意匠、絵に描かれた青田である場合も同様に、季語の力は失われてしまうと考えて良いでしょう。


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▼【慣用句?】

青田刈り全てなくなる抜け風景

南全星達


青田買い今年の稲はどうなるか

ゆうちゃん


お祈りメール青田買われぬ悲哀

星野みゆみさき母


●ピックアップコメント:

慣用句「青田刈り」や「青田買い」として使っている可能性のある句をピックアップ。

どちらも、収穫を急ぐあまりまだ実ってない稲を刈り取るという意味の言葉です。転じて、企業などが早いタイミングで採用活動を行い内定を出すことを指す言葉として使われるようになりました。

各句の内容的には、本来の季語としての「青田」として使っているのか、慣用句として使っているのか判断の微妙なものもあります。


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▼【来月もまた会おう!】

青田からふくらむケーキ自画自賛

藤井舞月


青田やあめなめてから苗を持つ

紗津 夢虹


渡り前青田で羽を温める

加藤茉莉花


青田からごろごろ転がる案山子首

浮壺蜂虚


長老も今日が最後の青田水

佐藤キキヨウ


稲架木待つ窓に微笑み青田舞う

ほとけの平蔵


青田カラス飲用空でのかかし日陰

マナサ


言はんとすままに揺れ熟る青田かな

風間 青波


●ピックアップコメント:

投句してくれてありがとう!

まずはしっかり「青田」をいれた投句をしてくれてうれしゅうございます。これから一歩一歩学んでいきましょう。今募集中の兼題は、8月19日締切の「終戦記念日」です。これからの投句も楽しみにしています。


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▼【入力にはお気を付けて】

おにぎりの塩味じうすし青田風

小野一箭


千枚の青田に千の風ごごち

大越マーガレット


●ピックアップコメント:

入力や変換が気がかりな句をピックアップ。

小野一箭さん、「味」の後にさらに「じ」が。うっかり増えてしまったのでしょうか。

大越マーガレットさんは「心地(ごこち)」とするはずが「ごごち」になってしまった?

せっかくの投句も正しく伝わらなければもったいないですからね。送信前には今一度入力内容の見直しを!


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▼【青田と稲の穂】

陽だまりの青田に伸びし稲穂かな

池ばーちゃま


水無き青田へマイコスの直播き

長濱三右衛門


走り穂が立ちて青田を値踏みする

武田鳥渡仁


豊作の神が風舞う青田の穂

筒井 田造


躓いて青田の穂先眺めけり

田端由香


青田凪ぐ千の瑞穂が向く空よ

矢口れんと


青田風右へ左へ舞う稲穂

みどり百十


誕生児の重さの米青田かな

新城 三九


●ピックアップコメント:

青田は田植えを終えたあとの苗が生長し、田全体が青々と見える状態のこと。

歳時記によって捉え方に差はありますが、個人的な感覚としては青田はまだ穂が出ていない状態であると認識しております。

生長過程で徐々に出穂していくのですが、描き方によっては、青田になる前の播種を描いたと思われる句や、すっかり穂が実りきった秋の光景かもしれない、と思わせる句もありました。その場合は「青田」が実は適切な季語ではなかった……となる可能性もあります。

米作りに関する季語は多く、田の様子を表すのにも様々な表現があります。自分が元々表現したかった内容に対してどんな季語が最適なのか、歳時記を捲ってみるのも良い発見になるかもしれません。


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▼【特殊な読み方】

老母(はは)と娘(こ)と旅のすきまの青田かな

代官野兎


手をあげて孫と破顔うや青田道

杏のやす


青田に初自転車の影ゆれる

鴻の士


●ピックアップコメント:

通常とは違った特殊なふりがなを作者自ら振っている句をピックアップ。

それぞれの作者によると「老母(はは)」「娘(こ)」、「破顔う(わらう)」、「青田(せいでん)」と注釈がついています。

特殊な読み方をさせたい場合に注釈をつけるのは必要な対処です。が、あまりにも強引すぎる読み方をさせると読者に伝わらない可能性があるという点は認識しておいて良いでしょう。



※今回の兼題「青田」初級者投句欄へのご投句は、投句数3792句、投句人数1603人となりました。


以下の①②③④については入選決定!

金曜日「優秀句」へのステップアップのためのヒントをご案内します。

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▼①【類想】

青田風長き行列備蓄米

辻井風子


山腹や清風流れ靑田波

素人


青田風草取り終えて塩むすび

ひろちゃん


青田風ラジオ騒がし古古古米

直休


青田風農道ひとり朝散歩

中山蒼社


かがむ目に空ひろがりて青田風

川原秀星


見下ろせば棚田階段青田かな

江宮神


青田の道通り過ぎる自転車

もる山 もる


山間の媼の守る青田かな

雅月


閉じる目になお続きたる青田かな

高橋ひろみこ


山は晴れ青田に映る水鏡

八木獺八


下総の青田トコトコ汽車ポッポ

雪万亮


飛び込みたい程清々しき青田!

供葉羊音


青田中亡父の姿の見え隠れ

竹たけのこ  


青田行く弟妹の帽子かくれんぼ

国崎 美栄


故郷に残る青田も後わずか

鳥羽蒼香


千枚田磯風香る青田波

かげろう


父と息子とドローンで青田死守

松井龍髭


いま青田無事に育てと天を見る

高原 徒然草


斑鳩に広がる想い青田かな

赤城孔茲


青田道駆ける背中に稔り待つ

田中巣山文子


青田中風と一緒に散歩する

やのゆずる


雨上がり青田を渡る風蒼く

葡萄乃木


青田風幾年経っても蘇る記憶

白雲杏子


そよ風が青田の上を滑るよう

青木ひろくに


風通る青田の中の鷺一羽

十勝のあずき


幼子らの歓声渡る青田かな

夏野星一


一面の青田の上をドローンで

槇 まこと


打ち損じ青田に飛び込みホームラン

しゅか


亡き父の姿おもうや青田道

中川可奈子


風吹けばドレスの裾は青田色

京女


腰伸べて青田眺める人ありて

上原まり


どこまでも青田流れる窓の外

岩見綾琴


田舎宿朝窓開けて青田風

田中彩舟


二度見する青田の上を飛ぶドローン

小谷春


風渡り青田に波大鳥立つ

真田 ちいこ


角を曲がり瞳染めゆく青田原

ちぐせ泥舟


青田見て生きる力を頂戴す

山田いね子


道草や青田の風を追いかけて

星のお爺ちゃま


取り囲むように宅地となる青田

阿波のコスモス


亡き父母と青田に入る夢景色

峠 東利


祖母の手をぎゅっと握りつ青田道

みたらし だんご


君が居た青田に浮かぶ無人駅

奥山 言成


祖母の居る青田見守る姉妹かな

岸愛桃


青田には山と空とがよく似合う

枝元夜光杯


青田風友と笑いて帰り道

鈴木季璃里


将来に思いを馳せる青田かな

小塚ちか丸


青田みちペダル軽やか鳶の声

上山凡仁


立ち漕ぎし青田と響く笑い声

林 みぃゆうママ


峠降り青田広がる深呼吸

原野把希羅


伸びをして青田に映る吾の影

加藤貴丸


夜が明けて深呼吸する青田かな

本郷ちひろ


根を張りて競いのびゆく青田かな

安達太良


青田波散歩の我を応援す

勝 翼龍


開発の波に押されし青田減る

松乃美伊那


帰国便眼下青田に安堵する

豆の晶


しゅつとたつ青田の中を風游ぐ

牧 ひろ


無人駅青田青田の青田中

大姫


風渡り青田が踊る散歩道

居 栄心


歓声や青田に消える白き球

栗原生石子


青田風吹けよ吹け吹け実り請う

木村うさこ


永々と青田潤す『間風』かな

服部香悦


風わたる青田見渡し平和かな

神南山


空仰ぎ故郷の青田懐かしむ

大山 久幸


腰伸ばし見渡す婆の青田かな

藤島景華


芳しいそよぐ青田を車窓から

白峰緑茶


青田道シャツ膨らませ友駈ける

鈴川晴海


青田波祖父と繋いだ手の向こう

秋風冬海


青田にて農夫空見て田が香る

小原ヒデボー


子らの声青空響き青田はえ

生駒山キャベ


昼下がり青田に走る風の道

佐波乃屋 あ季


ふる里の原風景の青田かな

睡蓮 堤


点々と棟の間の青田かな

頓堀頓


青田すぎまたまた青田丹波路よ

案山子の鹿か


草取りの母の背丸く青田かな

初老俳人


囁きに耳を澄まして行く青田

山本八角


トンネルを抜けて青田の広さかな

鬼塚樹童


日本の原風景の青田かな

高橋 基人


青田風あぜみちすわりにぎりめし

山すみすみ


過疎の町休耕田が青田へと

石田ひつじ雲


青田分け過ぎゆく一輌列車かな

芭琉


一面にさざ波うねる青田かな

涼風 蘭


廃線の錆びた鉄路に青田風

はっとりじいじ


さやさやといのち脈脈青田かな

とはたロン


雨上がりきらきら光る目に青田

りんざき 由香


草取りを終えた体に青田風

取丘八十仁


子だくさん青田に託す米不足

こーがはるちゃん


マンションの影を写して青田かな

キミネコちゃん樋口


伸びてゆけ子等も青田もすくすくと

春風京桜


幼少の回顧している青田かな

義文


合宿で走る道々青田道

矢田山ツツジ


深呼吸青田の先の青田かな

高屋啓


手拭いと自転車で行く青田道

ちりめんじゃこ


写真見て実家を想う青田かな

小林弥生


青田行く播但線の窓風揺らす

荒城京太郎


出勤や青田拡ごる朝の風

恵みの雨


ふと見遣る青田で終える生命かな

閑里院 鮮墨


畦に立つ吾はナウシカ青田波

廣瀬純水


弥惣兵衛の辛苦が実る青田かな

原 南山


ひのとり号青田過行く車窓かな

岩岳太郎


サッと吹く風の匂いや青田かな

池ノ富士


そよりと頬撫でていく青田風か

美恵ノ海


試合負け自転車飛ばす青田風

夕日


幾度なく思いを馳せる青田道

越山静山


リハビリ後足どりかるく青田かな

大咲 舞


心地よき古里訛り青田時

ごんぞう


幾重にも広がる青田うねる風

草深みずほ


備蓄米放出しまくり青田かな

乃戸 野辺音


水面に映る雲ゆれ青田中

中嶋なつのおわり


少女らの声高らかに青田道

佐渡碧


青田見て新米そろばん弾き皮算用

月下氷人


神事の田自然の恵み青田なり

moto髪結


雨上がり青田の風に包まれて

小林抹茶


車窓には延々空と青田かな

慈庵風


廃線の鉄路の続く青田かな

如月 さら


腰伸ばす農夫にやさし青田風

飛島海道


童らが車窓に流れ青田行く

那須乃静月


弁当を頬ばる父や青田風

ところ啓泉


鳥白く青田を纏い泥あそび

おはぎの母


若き日の祖父過ぎ行けり青田風

谷岸香子


青田風ひ孫と歩く母の背に

影山 明日香


通院の農道にひとり青田風

赤池じげん


青田道スカートなびかせこぎ急ぎ

佐藤くるみ


母見舞うペダルひと漕ぎ青田かな

笠谷風信子


青田風吹き渡るかな田園を

野口立香


白球の飛び込む青田子らの声

紺藤香純


散歩道そよ風香る青田かな

吾亦紅也


青田風波打つ向こう夫婦鷺

荒田 光泉


青田には塩控えめの塩むすび

トヨとミケ


何走る一筋揺るぐ青田面

卯の花 京


園目指す友の向こうに青田波

小島 三毛


海なし県青田に映る夕日かな

佐藤コロン


農薬を減らし手を掛け青田波

高橋渓翠


青田道駆け抜け過ぎる人生よ

藤江南瑠


青田風故郷ゆれる米事情

きっちゃん 吉川


子の駆ける道どこまでも青田かな

貴田雄介


山裾に青田のなびく母の里

鳴川 尚好


青田風に吹かれ懸命に漕ぐ帰り道

夏川 葵


青田風ネコバス来たと帰り道

七瀬 巧


青田見てなびく様書く日記帳

中川肱洲


あぜ道の遊び場青田の空の下

高橋こう


アカペラでやかまし「びっき」青田かな

今野喜良


視界全部空と青田と山々と

石井ヒヨコ


単線路右も左も青田かな

古寺 憲子


ドローンの画面いつぱい青田波

こうちゃんおくさん


泥ん子のはじけ伸びゆく青田かな

境界子


青田道列車と子らの競いあい

k幸女


青き空おはよう響く青田かな

田中知音


一面の青田眺むる散歩かな

近藤波音


車窓より実りを祈り青田映ゆ

太極


故郷や青田の中から虫の声

大川夜心


青田眺める我決意新たなり

湯河原熱海


深更の風に揺れゆく青田かな

デイヴィッド・白根


どこまでも青田続くよ老いの旅

渋谷小石


目の前に広がりつくす青田かな

熊坂たわ女


ずっとずっと青田の向こう鎮守の杜

すずき鈴花


晴れ上がり雫の光る青田面

ゆめの月舟


青田には明るい未来期待する

夏川涼


サワサワと青田揺らして渡る風

黒住景雪


子等歓声走り去る道青田風

槇本享咏


一面の青田横目の米騒動

今日女


空仰ぎ深呼吸する青田かな

瀧本彩月


田は畑に畑は宅地に青田風

名前のあるネコ


母の声ああ青田ゆく風の音

たけひら鞍琵


様変わり久々の古里青田かな

寺尾銀次


山里の狭き青田に人ありき

奥山渓魚


風の子の足跡はずむ青田かな

春風志乃亜


自転車の行きも帰りも青田風

今井佳香


青田道家路を急ぐ鍬の影

中村水音


日本の胃満たせ膨らめ稔れ青田

沢松宏美


握り飯頬張り笑顔の青田かな

四十 カラ


子らの背ではずむ水筒青田風

野風庵


腹が鳴る早起き散歩青田道

本間窓


倭国民疲れし目には青田かな

福田創風


雨粒が弾けて踊る青田かな

十 助


寝そべりし芝生のやうな青田かな

ねむにゃん


早朝の青田陽に光る玉

赤松土着人


古古古米値段気になる青田風

松 一彰


農水省生産調整青田米

松瀬章章


見渡せばさざ波光る青田かな

あまね さつき


津軽野の車窓より見ゆ青田波

正山四季暇


希望抱く青年の目に青田かな

さかい癒香


風が吹き波紋が踊る青田かな

写雅句


碧き空青田広がり深呼吸

浩子


祖父一人青田広がる坂の上

森乃涼風


きょろきょろと青田の畦の下校路

詠野孔球


白き雲石鎚遥か青田風

三富みつ葉


故郷や三百六十度の青田

浅井ねむり


きわきわを行く子ら歌う青田かな

榮紅


雨後に来て翁安堵す青田見て

Sみーすけ


米不足思ひて憂ふ青田面

越佳


いまは亡き夫の青田に心揺る

大沢むらさき


青田過ぐ車窓昔の夢を見ゆ

波川志真


黄金色思いは秋に青田様

鶴城


休日を青田眺めてやり過ごす

光顕


少年の頃のみちくさ青田道

三浦東洋士


薄目明け流るる青田久留里線

鴇色キイロ


広々と見渡す限り青田かな

三浦ユリコ


車窓越し青田過ぎ行きまた青田

凪一歩


三駅過ぎ車窓あふるる青田かな

うどんこつよし


青田横荒廃農地うらめしや

広島れおん


青田波記憶の中で祖母笑う

九条麗子


草を抜く翁ひとりの青田かな

磯貝あさり


小学生青田つっ切る通学路

月夜田しーた


落ち込んで元気だせよと青田かな

村松 与作


能登路行く棚田千枚青田見る

多田なごり雪


真四角の青田が続く通学路

桃花


東雲の青田を揺らす清き風

片寄道幹


青田見て想う田舎の学舎よ

東門俊一朗


宿題を終えて駆けゆく青田風

ツキミサキ


朝練の野球部走る青田かな

ぽちさんぽ


自転車の坊主駆けゆく青田道

松下檸檬


早朝の飼ひ犬弾む青田風

坂本夢名


大合唱夜の青田や舞台なり

睦長月


青い空青田に映る白い雲

あつこっとん


目が覚めて仰ぐ車窓に青田かな

白秋大那奏


バス降りて深く吸いこむ青田風

撫子


犬と人じっと見つめる青田かな

石川明世


農夫立つ青田の水のすがすがし

なお


追憶の青田にそよぐ風優し

棚橋なおネー


老農夫ひとり眺むる青田かな

西町四番


球場の横の青田に浮くボール

二宮一


ふと降りる青田美し秘境駅

昇椿


青田晴れ喜ぶ子らを眼に浮かべ

靭風


しとしとと雨降り注ぐ青田かな

高山 碧翠


今年ほど青田に期待す年はなし

薩摩南風


ふる里の風の匂へる青田かな

上野蕗人


妻と子ら見渡す青田懐かしき

森嶋ししく


深呼吸青田を風が渡りけり

みちむらまりな


太陽と揺らめく青田輝かし

大江戸小紋


トンネルや越えて故郷青田風

於河吏玖


米ぶそく青田の波にこうべ下げ

織田 光


走り去る雨雲青田に縞模様

大塚鴨鷺


じい逝きて継ぎし一反青田かな

大矢香津


父はただ草を引くのみ青田風

日高香涛


ドローンから肥料粒降る青田かな

三家端


あぜ歩く朝日に笑う青田かな

蓮心粋


そこかしこきらめく青田今日生きる

丹羽 しらつかつ


昔日の車窓の青田果てしなく

蓮花


さわさわと青田揺らせる風の旅

酒匂璃香


青田面ただそれだけの旅の空

矢野游呆


君と行く青田の中の通学路

にいやのる


青田の海ペダル漕ぐ脚せわしなく

葵ちか


通学路凪の青田を疾走す

茶柱 杏


悩めども背を押したるは我が青田

二山おもり


青田面鷺が差し足忍び足

楠十瀬子


天からの鷺が顔出す青田かな

桑風薫


この国の青田のゆくえゆらゆらり

田辺ささのは


昼休み青田眺めて握り飯

小春日和


忘れまじ慈雨の優しさ青田風

陶豪


復旧の棚田の証青田かな

松尾貢水


口笛も吸い込む朝の青田かな

柑たちばな


郷愁や青田畦道思い馳せ

大和キートン


マズル上げ飛行機見上ぐ青田風

高梨りぽい


澄み切った空と青田のコントラスト

越中 万葉


居直れと肺臓満たす青田風

閉所空木


頬触れる凪いだ青田に私はひとり

楽園都市


泥だらけの吾子見て笑む青田かな

上村 いま


迫りくる波打つ青田車窓から

O’Hare 鹿互


一面の青田の中に家一軒

矢澤 かなえ


切れ目なく続く田舎の青田かな

森脇レイ


声聞くや青田の光る通学路

伊藤 ゆめ安


大会の歓声青田を渡り来る

緑野隼


青田風部活帰りのチャリ5人

あいまい もこ


颯々と青田は迫る波のよう

ロミ


川沿いに広がる青田機械待つ

松田白山


青い空青田の彼方青い山

菜園ベジタベル


雨ぽつり急ぐ家路の青田道

アボカドブロッコリー


故郷の車窓の青田目に滲む

河村のび太


あの街へ思いを運べ青田風

土居久一郎


童らを遠く見守る青田かな

花園 メイ


青田越しの空雲一つない青

西村一路


青田風足こぎバイクのよーいドン

早見あや太郎


青田風豊穣たれと年金者

津嶋 有明


走り出す青田とびこえおおぞらへ

夏の蒼 たこ


青田道窓全開でハミングす

伊能 幸穂


ファインダー青田の向こうに行く列車

齋藤鉄模写


青田かな空き家ポツンと故郷に

藤つばき


風そよぎ青田に映る鳥揺れる

京都さくら


腰曲げて実る想いの青田道

青竹の香り


車窓から行き行く青田眺めけり

咲仁木


そよ風に青田ならふや昼下がり

佐藤根 雪華


伸びをして光る青田や空眩し

樽井薫


猫バスが走り抜けたか青田波

予束 友鹿


軽トラの並ぶ畦道青田風

内藤清瑶


一列に青田に映えるランドセル

菊臼


眠りしか古古古米青田波

深山薄雪草


国憂う青田が欠けて荒地増す

赤恥山子


父を呼ぶ母の声澄み青田波

粒の杏子


軽やかにスキップちらり青田見て

著子民人


気がかりは5キロの価格青田かな

酒井丈綱


新道や青田の中を一直線

はぜ尾


青田風試験休みの通学路

藤瑪瑙


児が育つ姿にも似た青田かな

野田良雅


あぜ道をゆっくり進む青田かな

sodeco


滑らかな風さわさわ笑う青田

鈴野冬遊


初乗りの自転車青田の泥まみれ

山々林々


大空の青を映せる青田かな

只暎


青田波突っ切ってゆくローカル線

西行葉牡丹


青田見て筑波山見て深呼吸

茨城つく婆あ


夕曇り青田波たて鷺去りて

ファストペンギン  丈達


真っ直ぐに青田の中を道ひとつ

松原渚


風吹いて青田広がる通学路

大木一


背に青田友の家まで押されをり

二見歌蓮


畦道を軽トラ走る青田かな

篠崎蓮


晴天に歩く青田の香り嗅ぐ

田頭西郷


休日の部活帰りの青田風

優音


青田ゆく黄色帽子の未来たち

吉河好


段々の青田白米千枚田

田中ピロミン


この青田健やかに行け実りまで

ぴょんばぁ


行き先は「めい」猫バス駆ける青田かな

四王司


青田道友と歩いた幼き日

佐々木光風


薬撒くドローン唸る青田波

梵 天發


青田風にぎり飯食む畦のうえ

玉照


空の青光りを乗せて青田波

稲荷森輝麗


青空に青田の風が心地よく

濱田てるてる


青田の敷物ミルクの如し鷺

梅街 はるき


窓の外青田柔らか目の薬

アンクル・ペコス


カメラドローン青田の風の視線ゆく

藤富うに


一二三ワルツを踊る青田かな

柿ノ木繁


青田風ないしょばなしの通学路

咲花 みえこ


ローカル線景色変わらず青田行く

与野小町


青田みて心安らぐ郷景色

村井柊斗


まっすぐな道を青田のリズム風

吉成小骨


爆速の自転車去りし青田波

松山 桜子


奥能登にまた千枚の青田なり

かたじん


仕事行く電車の窓ゆ見る青田

野の菫


令和の米騒動知らぬ青田か

中村止一


青田行く青田越えてもなお青田

米山カローリング


通学の児等を見守る青田哉

住田 赤鈴


雨上がりさぁ走ろうか青田まで

渡鳥風花


青田の畦座して一服緑茶の香

椿山福


ひと車両トコトコ走り青田かな

漆崎 明


雨三日青田いよよ緑増す

前川 葉月


走れども続く車窓の青田かな

小巻小梅


三年後宅地予定の青田かな

藤原涼


かけくらべどこ吹く風の青田波

Qちゃん・広ブロ俳句部神奈川支部


青田波たなびいて青春は今

間之口葵一


故郷を離れ青田の遠くなり

夢バーバ


里帰り青田へ広がる友の声

立山 草舟


青田あり住宅街のすぐ裏に

紅い靴


色とりどりのランナーの波青田過ぎ

安曇野くーみん


朝早く揺れる青田に弾む声

珈琲俳人


限界集落青田のまだありて

宮原渓秀


窓越しに手を振る児らに青田風

深草 くう


夜勤終え眼に沁みる青田かな

多田ひとり


ふるさとや母と並んで青田見る

小野たまお


ウォーキングそよぐ絨毯青田かな

宮本かんこ


じいちゃんの誇りと意地や青田波

泉世生


我一人青田囲みしバス停に

春野たんぽぽ


ウオーキング青田の道を喋りつつ

玉治美


青田風水面の先をそよぎけり

丸山晴耕


園庭の小さき青田もすくすくと

八ちゃん


風の道猫のバス待ち青田かな

ハンダノブユキ


ビル群に負けぬ青田の眺めかな

川崎安二郎


セーラー服のふたり颯爽と青田ゆく

山笑み


青田より米騒動の行方観る

中原はまゆう


病室の見下ろす先は青田かな

古谷芳明


見の限り青田一枚づつの色

井上ひなた


青田見にあぜ道歩む農夫の背

未知女


自転車で転ばぬやうに青田かな

妃都実 西子


青田見て吹きゆく風に歩み出す

藤田 圭


青田割く空の一両列車かな

道後K3


あの峠超えれば青田また青田

大空輪夢


散歩道犬と眺める青田かな

鹿松君洋


米不足ひろがる青田頼んだぞ

茶子父


また青田見て孫の歩み確かなり

木基 淳馬


光る朝ドローン散布青田舐め

たなか ゆきの


今月も故郷の青田車窓から

鈴木雪


雨終わり青田に広がる波紋かな

桧口裕介


泥深く歩む農夫に青田風

なにわの花子


首タオル青田見廻り二人連れ

狭山茶娘


予讃線祖母訪ふ窓の青田かな

玉 ゆこげん


山あいの段々青田に鷺一羽

由規


真緑の青田広がる風物詩

松山石子


故郷へ向かう車窓の青田かな

大家由美子


青田畦下校の子らのはずむ声

みっちゃん


事も無げ命ひしめく青田あり

恕寂寥


白球とため息吸い込む青田かな

松 花良治


早朝の青田ひとり深呼吸

浅井雑草おばさん


頼もしや青田に若き後継者

原颯太


雲や山我が身も映って青田かな

ヨシキ浜


●ピックアップコメント:

初級・中級に関わらず、類想は似通ったものが集まります。

なんといっても青田の類想はその面積! あっちをみてもこっちをみても青田が広がっております。そこには空が映り、雲が映り、山が映り、電車や自転車が走り、風に舞ったり踊ったり。


たくさんの類想を見ることによって、自分の中に類想のデータベースが構築されていきます。今回見かけた発想のおかげで、陥りがちな類想も避けられるようになるかもしれません。


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▼②【仮名遣い】

ゐまだ見ぬ青田の波に胸こがす

黒田 修一


青田にほう胸いっぱいに空気吸う

草刈明峰


俳句を書く際には表記を自分で選ぶことができます。普段目にする書き方と同じ「現代仮名遣い」と、古典などに用いられる「歴史的仮名遣い」の二種類です。

黒田 修一さんの「ゐまだ」は「未だ」の意味かと考えます。「未だ」は歴史的仮名遣いにおいても「いまだ」となります。

草刈明峰さんは言葉の切れ目がどこにあるか悩ましい。もし「青田に」「ほう」と息をついている、という意味なのであれば仮名遣いは問題ありませんが、もし歴史的仮名遣いで「匂う・臭う」と書きたいのであれば「にほふ」が正解となります。あわせて「いつぱい「吸ふ」も歴史的仮名遣いになりますね。

仮名遣いはうっかりミスをしやすいポイントですので、念のため辞書で表記を確認しながら使っていきましょう。



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▼③【二重切字】

雲影や青田の上をのたりかな

積 緋露雪


晴天や車窓から見る青田かな

こすもす


故郷や眼いっぱいの青田かな

内田ねこ


ふと見るや心に響く青田なり

ジャマ森人


ザワザワと乾いた風よ青田かな

翔ノ空


●ピックアップコメント:

俳句の世界でいわゆるタブーの一つに「二重切れ字」があります。「や」と「かな」、「や」と「けり」など、いわゆる三大切字の重複がわかりやすい例ですが、他にも三大切字+「なり」や「よ」といった例もあります。

切れ字はスポットライトのようなもの。一句の中に複数のスポットライトが存在すると、どちらを主役にしたいのかわかりにくくなってしまいます。

季重なり同様、複数切れ字が入った名句もあるので、絶対にダメ! というわけではありませんが、上級者コースのウルトラ技と考えて良いでしょう。まずは、切れ字は一つから!



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▼④【文法の問題】

えい青田打ちき小石のいづこかな

土屋諷厶


飛び込んでみたし郷里の青田かな

ゆーこ


青田面稗取る水面眩しけり

ピノのおばあさん


●ピックアップコメント:

このままでは文法上間違いのある句をピックアップ。

土屋諷厶さんとゆーこさんは共に助動詞を使っていますが、それぞれの活用が要チェックポイントです。「き」は終止形、「し」は連体形になりますから、後ろの言葉へと意味を続ける必要があるかどうかによって活用を判断します。

土屋諷厶さんの句が「打った小石」を意味したいのであれば「打ちし」となります。

ゆーこさんは「みたし」だと「みたい。」と意思を言い切り、一度意味の切れが発生します。そうではなく「飛び込んでみたい郷里の青田だなあ」と意味を続けたいのであれば「みたき」となります。

ピノのおばあさんさんは「眩しけり」が正しくは「眩しかりけり」となります。


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明日から火曜日、水曜日、木曜日、と入選句を発表します。入選句の評価は火、水、木(ステップアップのためのヒントに掲載分も含む)ともに同じランクです。順不同での掲載です。

そして金曜日は、初級者投句欄の優秀句発表です。


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