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初級者結果発表

2026年3月20日週の兼題

春陰

【曜日ごとに結果を公開中】

【入選までもう一歩】

選者コメント

家藤正人

みなさまこんにちは。初級の選者、家藤正人です。

月曜日は、入選にもう一歩という句をご紹介します。


・月曜日の「選者コメント」に掲載されている俳句については、作品検索はできません。

・月曜日の「ステップアップのためのヒント」に掲載された句、入選句、優秀句については作品検索が可能です。


月曜の「選者コメント」や「ステップアップのためのヒント」を参考に、目指せ金曜優秀句への道!!


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▼【季語なし&違う季語】

はるかげやママのじらいをふんじゃった

えのん


つばくろめいつもの軒下春眠す

みしえる


花曇母の髪梳く病室は

りんごとう


鰆食べ箸置き眺め音奪う

蟹座ヒロシ


シャボン玉吹く少女や桜道

暁正


汗流す桜ひとひら禿げ頭

極楽とんぼ


春曇錆びた遊具の黙りこむ

玉山亜沙


春雨や長い踏切吾子と待つ


満開の花も雨天のモノトーン

坂本七音


冷えた手に空の弁当花びら二枚

出雲みわ


小皿に残るソルベ桜蘂降る

松野一行


渇水や不安流れて四月去る

森井蒼待


君ゆきて見送る先や桜雨爆ぜ

中島三瞳火


花陰や子犬が二匹吠えもせず

渡部じんさん


朝早し娘の帰国花曇り

道草散歩


はなびらの透けた光線濁り雲

麻座輝貞


明日こそ明日こそこそ明日こそ

山田裕介


曇天や球児涙の甲子園

和龍


●ピックアップコメント:

季語の入ってない句や違う季語が入ってしまっている句をピックアップ。

兼題として季語が出題された場合は、その季語を一句に詠み込むのがルールです。

今回の季語は「春陰(しゅんいん)」。春の曇天のことです。同じ時期にみられる花曇との混同が目立ちました。

俳句ポスト365では各回の出題に全員が取り組むことで切磋琢磨を目指しております。

今募集中の兼題は、6月19日締切の「六月」です。ご投句お待ちしてます。


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▼【季重なり】

春陰やブルーシートに桜散る

さとうるんるん


春陰め花びらみんな雲に溶け

じんじんじった


合格の涙は春陰スベリ止め

ズッキーニン


春陰や枯葉の線路ベルが鳴る

ひぎけま


春陰や寒さ背負いて塵を絶つ

一 富丸


春陰のポケットから零れ桜

雨坂夜風


春陰やぬかるむ道と花びらら

雨森志づく


春陰や花もうつむき蜂迷ひ

我ゆまる


桜舞い虫頬に付きて情春陰なり

勘解由小路幸綱


春陰の空をのどかに桜舞う

鶏口牛後


春陰の梅の香りが薄れゆく

五月香子


春陰や歩道の隅に花筏

高坂 芳


春陰や散りし花びら彩も無く

写雅句


舞い落ちる桜を指折り春陰と

宵還心


春陰を耐えて一気に桜かな

松浦影法師


春陰や源平椿赤一つ

織花かおり


かんかんとぬる寒き駅春陰の

吹田よしよし


春陰の影おとす畔若菜摘む

跡・ベンチャー


春陰や野山かすみて花の散る

泉亭園子


春陰おまき桜告ぐ幾年も

村尾 桃伯


白シャツとアリのさざ波春陰や

大橋 功典


春陰や紅・黄・緑の萌芽映え

中村日生


春陰や父の墓標の青ガエル

中尾俊


春陰の花も朧に暖かく

朝野貴風


春陰や桜舞い散る凪にいて

如月 レイ


春陰肌寒きかな窓の外

福山の練ようかん


春陰や散りゆく花にひとり立ち

北森にこん


春陰や老舗旅館の黄篤山

本山喜喜


春陰や鱗粉ちるる黒アゲハ

湊崎八雲


あな憎し世はうららなる春陰よ

免 辺羅緖


春陰やさえずり高く窓ひらく

裕季


湖底の村草苺咲く春陰の祈り

林風猫


春陰や重き蕾の八重桜

蓮花


老眼の桜か雲か春陰に

宇田川えり


春陰の家路に光るたぬきの瞳

蛙家 コンティーゴ


春陰や実家の跡の草刈りす

玉京子


春陰や花弁散り敷く帰り道

恵みの雨


春陰の水際凪ぎをり御玉群れ

忽忘


春陰に言葉と花弁はかくれんぼ

作造たつや


春陰に飛び立つ鳥よ光るかぜ

寺崎紅花


春陰やうつむく息子に散る花よ

春野妙香


春陰や基壇の芝喰む鹿の群

松本マンボウ


春陰や編みかけ毛糸母逝きし

森脇レイ


春陰や母の通知と花の影

水田洋弓


春陰の湖面に映る枯れ落葉

西倉美紗子


春陰の紋別港に軋む氷

中邨 風来


春陰の校舎合格の掲示板

長田秋華


春陰のぎやまん幾重にも透けて

白川ゆう


三輪車錆に花積む春陰や

米子 創明


春陰の花は静かに雨を待つ

和音


●ピックアップコメント:

一句の中に複数の季語が入っている状態を季重なりと呼びます。

季語が複数入っている名句もあるので、「季重なり」は絶対にダメ! というわけではありませんが、複数の季語を作品として成立させるのは、上級者コースのウルトラ技。

ここに紹介した以外にも季重なりの句はあり、火曜日以降に紹介される場合もありますが、比較的許容しやすい季重なりとして受け止めているものもあります。

やはりまずは、一句一季語からコツコツ練習して参りましょう。


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▼【入力にはお気を付けて】

春陰や茶の湯の湯気のほどけゆく

春陰や 茶の湯の湯気の ほどけゆく


刃こぼれの刀

刃こぼれの刀 160年を思い 見上げる庭の落ち椿


もういないから

河合今五


●ピックアップコメント:

入力が気がかりな句をピックアップ。

俳号の部分にも俳句を入力してしまっているようです。本当の名前がわからなくなってはもったいないですね。次回は正しい俳号での投句お待ちしてます。

河合今五さんは俳号はちゃんと入力されていますが、句の情報がばらばらに。すべての情報をつなぎあわせると「おじいちゃんもういないから春陰だ」と入力されているようです。

いずれのケースでも、自分が表現したい内容が正確に伝わるよう、送信の前には今一度の見直しをおすすめします。


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▼【変換間違いの隠】

春隠や土塀の猫に見据へらる

阿胡茶


春隠やするする飲める白ワイン

みさ


春隠や祈り幾重も百度石

柑たちばな


春隠のコミュニティバス客ひとり

慶華


春隠や子の結婚の近づきぬ

松岡さつき


春隠やパラパラ漫画雲流る 

松尾貢水


春隠や異動辞令は朝一に

大盛茄子紺


春隠の産科閉院の文字揺れる

渡部 文月


春隠や錆びポストあり合否待つ

猫辻みいにゃん


春隠や仰ぐ雲間に光あり

白河 菜月


春隠のパステルの色多き山

北川茜月


春隠や舟底の貝見え隠れ

友マンクット


本堂に勤行籠る春影や

五條紅紫


ぼろ負け押しチーム春陰のホーム

寺岡 はる


春陰の像は地面を蹴るばかり

石光


●ピックアップコメント:

変換が気がかりな句をピックアップ。

文字の形がよく似ているためか、春陰の「陰」が「隠」になってしまっている句が一定数届きました。嗚呼、痛恨の変換間違い……。

五條紅紫さんは「陰」が「影」にこちらも悔しい変換間違い。

季語以外の部分では寺岡 はるさんの「押しチーム」→「推しチーム」(?)や石光さんの「像」→「象」(?)など気になるものがありました。

あらためて、送信前には見直しをお忘れなく!


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▼【季語を比喩にすると】

鬱々と頭の中は春陰か

江宮神


脳手術麻酔がさめて春陰す

江原杜の風


●ピックアップコメント:

季語を比喩として使っている(?)句をピックアップ。

どちらの句も春陰のどんより、ぼんやりした印象を体調や状態の比喩に使っているように見えます。

季語を比喩にした場合、季語としての力は限りなく失われてしまいます。


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▼【来月もまた会おう!】

春陰やそよ風がちり近くなる

1―1


魚影追い水面曇るや春陰雲

コリン


はためけば影に文鎮春陰か

ヒラヤマサンクス


春陰に行き交う人間手枕

永倉小椋


春陰と天文深くあいまいなくもりそら

塩化サルオ


手を振って残るは春陰夜恋し

王寺ミチル


削ゆく春陰の旧舎窓の跡

芥川学楽


春陰の夢幻か干支のひとめぐり

光国 桂


春陰に蒼きさす道愛し君

康えびす


春陰の交差信号歩は会社

高崎孝雄


春陰に新しき芽はつままれるかな

高道 ハイウェイ


春陰に湯けむり朧里の朝

三世 観音


新学期テレビを観れば春陰の影

寺尾銀次


ミルクティー影さす春陰癒しけり

秋野風船


春陰と共に歩めし我が心

十八番屋さつき


春陰に垂れるこうべは五割増し

松尾 パッション


土埃流れて灰の春陰か

大澄こーる


優れない雲が隠れる春陰よ

東野出流


天日干し少し邪魔する春陰に

藤原 迷月


春陰や出足も鈍る持ちた傘

敷知遠州


春陰や温さに惑う八分咲

巖 葉鏡


●ピックアップコメント:

投句してくれてありがとう!

まずはしっかり「春陰」をいれた投句をしてくれてうれしゅうございます。これから一歩一歩学んでいきましょう。今募集中の兼題は、6月19日締切の「六月」です。これからの投句も楽しみにしています。


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▼【季語の考え方】

陽ざし出てつぼみ緩むよ春陰に

701らっこ


春陰の柔らかな陽や影踏み遊び

すまのちどり


春陰や積もる書類に射す光


小雨ふる春陰なるも鳶啼く

沼田夏星


春陰に雨音に仕立てジャズを弾く

澤 六花


春陰の影さえしとど簪折の花

花箋


春陰の止む無く被るレジ袋

寺ゆた


顔に春陰赤子目を細めて

神戸 美優


春蔭や近く聞こえるジェット音

沢山葵


揃わぬ連弾われ春蔭を知る

藤井舞月


●ピックアップコメント:

季語の解釈が気になる句をピックアップ。

「春陰」とは春の曇天=曇り空のこと。その前提を考えると、曇天なのに「陽ざし」や「陽」がある状況、逆に「雨」が降っている句などにはちょっと違和感があります。

また「陰」という字から物や人の落とす「影」だと理解しているのでは、と思われる句もありました。その派生としてか、あるいは変換ミスのためか、「蔭」での投句もありました。これも注意が必要です。「蔭」は主に木蔭を意味する文字ですから、こちらも物の落とす影の意味合いが強くなり、本来の意味である「春の曇り空」からは意味がずれてきてしまう可能性を抱えています。

これらの例が絶対にダメというわけではありませんが、「春陰とは、春の曇天=曇り空である」という前提を今一度確認しておくことは、今回の兼題に挑むうえで大事なポイントになりそうです。


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▼【特殊なふりがな】

春陰を貫く新道旧友が待つ

三芳 明


●ピックアップコメント:

通常とは違った特殊なふりがなを作者自ら振っている句をピックアップ。

作者によると「「旧友」を「とも」と詠みました。」と注釈がついています。

特殊な読み方をさせたい場合に注釈をつけるのは必要な対処です。これくらいなら読者側が「音数的にともと読ませたいのかも」と推測で補ってくれる可能性はそこそこあるかとは思います。

が、あまりにも強引すぎる読み方をさせると読者に伝わらない可能性があるという点は認識しておいて良いでしょう。



※今回の兼題「春陰」初級者投句欄へのご投句は、投句数3735句、投句人数1650人となりました。

以下の①②③④⑤については入選決定!

金曜日「優秀句」へのステップアップのためのヒントをご案内します。


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▼①【類想】

春陰の天に青待つ白き花

※ 英子 ※


春陰の水面は重くまた重く

moto髪結


春陰や晴れた心と対照に

うさぎ


春陰のため息よりの目覚めかな

オッドアイ


缶蹴りの声春陰を蹴り飛ばし

ガーネット靖子


春陰の朝老犬の大往生

ガーランド那智蔵


春陰や夫の退職ついに来た

ぐ乱馬


春陰や昨日とちがう無職の日

こみたく


春陰や色褪せる町見えぬ顔

シャノワールさとる


春陰や手帳は白紙職探し

ただのごろちゃん


春陰をロードバイクが切り裂いて

ツキミサキ


春陰や一人酒呑む異動の夜

なにわのたらこ


仕方ない春陰散歩は弾まない

のろ爺


春陰や出棺の鐘空見上ぐ

ハマゴー大佐


春陰や久しき墓参こころ晴れ

フリージア


春陰や遺品整理し空仰ぐ

ほっほひまわり


南無阿弥陀唱え春陰の散骨

ムーンさだこ


春陰や門出で握る手に想い

阿部ケイの寿砂


春陰の無人駅から出発す

阿部栄壱


春陰の空しさを裂き烏舞う

愛々


春陰の水面に浮かぶ花一輪

愛生園風来坊


春陰に行き交ふ影の無かりけり

井手白銀


春陰を裂く白球や一点差

右乃浜風


この先の幸の遣いか春陰よ

雨月トネリコ


春陰や路傍の猫の大あくび

卯辰孝倫


春陰や窓辺にひらく文庫本

雲乗リュウカン


春陰とやら我がこころそのままに

苑村あすら


春陰や寂寞の思い慈しむ

遠青阨亜


七回忌終えて春陰の墓じまい

奥瑚


春陰や遺影の夫の笑顔哀し

奥野紀花


春陰のニコライの鐘くぐもりて

横浜青祥


春陰や一人下校の一年生

横辺理


春陰やハローワークの列に我

黄色てつを


春陰やふわふわ微睡み晴れ間待つ

岡田バウ


春陰や不登校児のランドセル

音葉りんきょう


春陰や自販のHOT見つからず

夏味 はっさく


春陰を雲散せしめる黄帽児等

河国老保忠


春陰に行く足重き歯医者かな

花咲夢道


春陰のフード乾かぬもどかしさ

芽が出るピエロ


春陰の校庭の隅さらば友

賀茂ももか


春陰や初登校の吾子の顔

外町よしのり


春陰や足どり重く朝散歩

鬼塚樹童


春陰や母はこころの中にある

翔ノ空


春陰や行くか迷いし下駄の先

吉田佳香


春陰や研修向かふ靴重し

久保ダイスケ


春陰や窓に雨粒ひとり酒

宮由太


春陰や病院で待つ三時間

宮路和子


春陰にとんびが鳴いて輪を描く

魚木孫


春陰にビビッドカラーで颯爽と

桐崎 惹


春陰のお墓参りや友恋し

九条麗子


春陰や遠方の友の安否待つ

隅のボレロ


春陰や季節がわりの兆しあり

栗田正明


春陰に白球が舞う青春期

兼子駿


春陰や着馴れぬスーツぞろぞろと

原小繭


春陰やいつまた晴れる我が心

古寺 憲子


春陰にカナリア色を羽織る朝

古素 林


春陰もどこ吹く風のドッグラン

光稀


春陰の花の通りに屋台満ち

好老金


春陰やはじめて歩く通学路

高橋鬼娘


商談を逃し春陰社への帰路

黒住景雪


春陰や憂鬱な空地の果てに

黒沢桜子


春陰をどこ吹く風と咲く花や

今日の 枕


春陰や苔むす墓に香を焚く

今野喜良


春陰や一人静寂で茶碗酒

佐々木一帆


春陰やけだるき午後の白昼夢

佐藤 俊


春陰や人それぞれの憂いあり

佐藤 万寿


春陰や朝の校庭ただ一人

佐藤夏みかんの亭主


春陰や鐘の音どこか気怠げに

佐藤根 雪華


春陰の午後薄れ行く影と声

佐藤推敲子


春陰や苔むす地蔵の慈悲の顔

佐藤白行


君想う背の遠ざかる春陰よ

佐藤林兵衛


春陰やせめて月でも出て欲しい


春陰や運転免許返納す

咲花 みえこ


春陰やハチ公前に待ちぼうけ

三貴子


春陰や堤薄着で肩すくめ

三九 二


春陰やシャッター通り猫欠伸

山桜桃


春陰を見上げて想う花の色

山紫水明


あと五分春陰の朝請う二度寝

山猫山頭火


春陰に母校を想い見上ぐ空

七夕するめ


春陰にひとり眠りて我ひとり

秋月春風


春陰を切り取るやうに窓を閉む

秋樹アカネ


春陰のグランド打球音そらへ

春乃 桜葉


春陰に漂う風が鼻に水

春乃の飲兵衛


一人旅景色眺めし春陰や

初出しょうこ


春陰やまだかまだかと雨を待つ

勝太郎


春陰に着ていくものにふと迷い

小宮美也子


春陰や空に風吹き花が咲く

小原ヒデボー


春陰にまだ決まらない勝負服

小虎 くまこ


春陰の見下ろす街は懐かしく

小野たまお


春陰や一人散歩の寂しさよ

昭谷


春陰の世界の不穏ネット越し

松山アイちゃん


荒浜や春陰の空人ひとり

松尾寿華


春陰や雨待つ庭の鎖樋

上野蕗人


春陰や住めば都?新天地

新緑香風


空みあげ配達員の春陰の日

崇拝


春陰や人事異動の報を待ち

星乃瞳


春陰やお悔やみ欄に知人の名

正山四季暇


春陰を割いてサイレン鳴り響く

西原氷彩


春陰や冷めた紅茶の恋模様

西行葉牡丹


大歓声春陰破るホームラン

石井ヒヨコ


春陰に紺の制服引き締まり

赤備前 


春陰や娘とLINE返事来ぬ

千夜美笑夢


春陰の何もする気が起きぬ午後

浅尾功一


春陰や独居の母の背中追う

双葉めぶき


春陰もくしゃみ止まらず目もかゆく

草堂Q幸


春陰に破れし想い重ねけり

村岡 剛志


背は丸くなる春陰の眠気かな

村先ときの介


春陰や頬杖のまま酒一合

太陽魚


吾子送り空っぽの部屋春陰よ

代官野兎


春陰のひと日の寝酒もてあます

大越マーガレット


春陰やまだかまだかと見る蕾

大阪 チョコの母


春陰や戦火の報せ絶ゆまざる

大川すまき


春陰のポツンとボール校庭に

滝沢 樹里


春陰や窓辺に寄りて本を読む

沢はなこ


春陰の鐘の音低くたなびいて

谷 佳


春陰も弾ませ無邪気にランドセル

谷さあこ


春陰や母の施設を後にする

竹尾知香


春陰や闘病室の窓遠く

中山流心


春陰の密葬突然の訃報

中村 孝三


春陰を突き抜ける声子らの庭

中村荷蔵


重だるさ日曜午後の春陰か

長坂 こう


春陰や一人ですするカップ麺

鳥羽蒼香


春陰や連休明けの訃報欄

辻井 一路


春陰に母見送りし異国や

天良


春陰を蹴散らすように競走馬

渡辺はるべえ


春陰や頁に落つる眠気かな

唐橋 季直


春陰の無灯の部屋に独りぼち

島村みーな


春陰や友の墓標に缶プシュと

東野 東光


春陰のカフェ読みかけのミステリー

湯河原熱海


葬送を終えて見上ぐる春陰よ

藤中 雅


甲子園春陰払う選手宣誓

豆の晶


春陰や墨絵の中を歩いてる

陶豪


震災のあの日と同じ春陰や

匿 名太郎


春陰や手のひら伸ばし空仰ぐ

凪涼夏


春陰の膝の痛みの増したるや

八代葡萄


春陰のため息溶かすジャスミン茶

尾長玲佳


春陰やひねもす猫とふたりきり

美濃町美子


春陰と黄色い帽子纏う子ら

姫子


富士山の見えぬ車窓春陰や

富士太郎


空港に一人コロナの春陰よ

服部 和天


思春期の心の如く春陰や

本田へのか


続く春陰てるてる坊主腕の見せ所

本田リナ


春陰や空切り裂いて鉄の鳥

夢乃泡沫


春陰や草むらの墓たたずみて

鳴滝いたち


春陰や空家の儘の錆びし門

木々梶取


春陰や見送る機体すぐに消え

野山ノハナ


春陰や鳥のひと声雲を突く

野中 游


春陰や離陸し急ぎ雲の中

野田良雅


春陰や重き心を引きずって

悠崇


春陰やひとり荷造り空見上ぐ

涼風 蘭


春陰のけだるい空気を身に纏い

瑠璃


春陰を突き破るよな子らの声

鈴木 花麗


春陰や出て行きし子の部屋を掃く

游真


春陰の野球場五連敗の夜

齋藤鉄模写


●ピックアップコメント:

初級・中級に関わらず、類想は似通ったものが集まります。

春陰は天文の季語です。上五を「春陰や」とした上で、中七下五では曇り空の下で展開される様々な出来事を描けば、最もスタンダードな取り合わせの型の一句が完成です。

ため息をついたり、亡くなった人を思ったり、曇り空の重く暗いイメージが心理的な暗さへと変換されている句もちらほら。

たくさんの類想を見ることによって、自分の中に類想のデータベースが構築されていきます。今回見かけた発想のおかげで、陥りがちな類想も避けられるようになるかもしれません。


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▼②【仮名遣い】

春陰や庭のかほりのまはり来し

藤乃湧水


●ピックアップコメント:

俳句を書く際には表記を自分で選ぶことができます。普段目にする書き方と同じ「現代仮名遣い」と、古典などに用いられる「歴史的仮名遣い」の二種類です。

歴史的仮名遣いで書く場合は、一句全体を歴史的仮名遣いで揃える必要があります。

「まはり」は正解なのですが、もう一か所が惜しい。

「かほり」は「かをり」が正解となります。

仮名遣いはうっかりミスをしやすいポイントですので、使う場合には念のため辞書で表記を確認しながら使っていきましょう。


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▼③【二重切字】

春陰や夢の続きを見れるかな

牡丹雪 春


春陰や打ち破り出づ朝日かな

山和


春陰や晴れて大地の息吹かな

秋山つきは


春陰や病伝えし義姉かな

松浦宣子


春陰や聖書一枚めくりけり

深山せせらぎ


春陰や杖つく我を照らしけり

清実


春陰や花は重たく咲きにけり

村山 透水


春陰や石油商品気掛かりかな

沢松宏美


春陰や揺れぬ川面に舳先かな

町乃 磯鵯


春陰やポッケに潜る両手かな

穂木台木


春陰やハンガー狙う烏かな

夜ツ星シズク


●ピックアップコメント:

俳句の世界でいわゆるタブーの一つに「二重切れ字」があります。「や」と「けり」、「や」と「かな」の重複です。

切れ字はスポットライトのようなもの。一句の中に複数のスポットライトが存在すると、どちらを主役にしたいのかわかりにくくなってしまいます。

季重なり同様、複数切れ字が入った名句もあるので、絶対にダメ! というわけではありませんが、上級者コースのウルトラ技と考えて良いでしょう。まずは、切れ字は一つから!


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▼④【三段切れ】

不合格かたがき無き身春陰や

こだまあざみ


父無言春陰の窓十五点

サルだんご


春陰や削除すLINE風の吹く

青嵐


春陰や来たれ風雷実り乞う

江村素数


春陰や塒騒がし時となり

越山静山


春陰や信号鈍し採卵日

縞縞茜


●ピックアップコメント:

俳句の世界で忌避されやすい手法に「三段切れ」があります。ぶつぶつと言葉が途切れてちぐはぐな印象を与える場合があり、扱いの難しいテクニックです。

切れの位置が最もわかりやすいのは「や」に代表される切字ですが、他にも動詞の終止形や名詞の使い方によっても切れは発生します。

三段切れを解消するためには語順を入れ替えたり、言葉そのものを違ったものにするなど大規模な手術が必要な場合もありますが、パーツによっては活用の形を変化させるだけで事足りる場合もあります。

たとえば越山静山さんと縞縞茜さんは「騒がしき」「鈍き」とすれば三段切れから脱却できます。

他の人の句をみながら、どうすれば三段切れを解消できるかシミュレーションしてみるのも良い勉強になります。


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▼⑤【単語のアレンジ】

春陰の減らぬコーヒー頬に杖

多重 層


●ピックアップコメント:

多少強引に単語のアレンジをしている句をピックアップ。

内容から察するに「頬に杖」は「頬杖」のことかと思いますが、下五に当てはめるためとはいえ「頬に杖」は違和感があります。(歩くために使っている本物の杖を頬に当てている可能性も万に一つあるかもしれませんが……)

こういう場合には無理に既存の単語に助詞を挟み込んで改造するよりも、正しい形で単語を使いつつ、残り一音を補う方法を考えた方がうまくいきやすいです。たとえば「頬杖す」といった形ですね。

金曜日紹介句や中級クラスの句など、うまい句を眺めているとこういう困った場合の回避方法なども実例から吸収していけるのでおすすめです。



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明日から火曜日、水曜日、木曜日、と入選句を発表します。入選句の評価は火、水、木(ステップアップのためのヒントに掲載分も含む)ともに同じランクです。順不同での掲載です。

そして金曜日は、初級者投句欄の優秀句発表です。

投句はこちら