類想一覧(選外)
柳刀と俎板に鱵妍競う
美竹花蘭
足軽の長槍のごと鱵かな
Dr.でぶ
細魚釣る塩焼き食べるホクホクと
斎藤コロンのまま
岸壁で鱵三十匹を釣る
れんげ畑
陽射し浴び群れる鱵やきらきらや
おおいし 陽葵
細魚好きですか吉永サヨリです
吉野川
針魚てふ名前似合はぬ美味さかな
田邉真舟
酒のあて鱵の皮を炙りたる
まりい木ノ芽
手始めの鱵の一貫銀を引く
風谷エクレア
光る海負けじと光る鱵かな
蓮見玲
凶器にも見えるサヨリの顎の先
中防美津子
海在れば鋭き刃鱵かな
渡邉志づ
はしゃぐ子の釣り糸ゆらす細魚かな
羽藤武彦
名聞の地酒のあての鱵かな
浅井カバ先生
フェンシング鱵は俺の勝負飯
裕月 遥
しろかねのごと水面を切る鱵かな
千葉水路
腹黒の鱵に透ける皿碧し
雅屋少将
釣り上げし鱵眩しき青い空
あらい ゆう
初さよりカウンターにて深呼吸
岩岳太郎
上げ潮に乗って輝く鱵かな
豆の蔓
さよりさより波縫ふやうに進みけり
増山銀桜
サヨリ跳ね銀色の鉛筆の束
はっぴー猫
光る目に針の下顎美味さより
秋葉 翠
すきとほる鱵や海の光の矢
紫水晶
嫁ぐ日の朝餉の碗はサヨリ汁
すみ湖
潮早に間近集まり鱵かな
中野風鈴
銀の魚スマホかざして知る針魚
桐山はなもも
鱵さん美人なれども腹黒し
松葉学而
針魚や下顎長さ競いおり
み藻砂
古九谷の碧透けており鱵かな
吉永那夫子
手繰り寄す網に煌めく鱵かな
dragon
江戸前や旬に細魚を握り出す
徳永康人
しろがねの鱵の群れや腹の影
秋月
デパ地下のサヨリ煌めき眩しすぎ
ださんさん
波際を飛ぶミサイルのごと鱵
まんはく
闇透ける海のサヨリや銀極み
えみまる
喜寿祝さよりの造り皆で食ふ
山口康煌
居酒屋の壁に細魚
のお品書き
中田邦光
貴婦人と紅さす鱵二貫食む
春のまさ女
ビギナーズラックの竿に細魚かな
佐藤 聰
海釣りで孫が驚く鱵かな
水野 孝
新鮮な鱵が届くめでたさよ
タケザワサトシ
さより刺し湯引き串焼き皮旨し
秋内 壱玖
へいお待ち淑女のような鱵なり
永 合
塩焼きの鱵を食べるおちょぼ口
深澤 健聖
芯強き美魔女が針魚食べている
くすみ輝く
顎長きさよりに偲ぶ猪木かな
たこぼうず
釣竿のさより水面の光ごと
小山まきに
腹黒や肩身の狭き鱵かな
横山山水
まぁ高級魚とお声の掛かる鱵かな
内木場 拓庵
きらきらと刃の如きさよりかな
上津 嘉子
観念をして干しあがる鱵の目
今林快波
見目うるはしく且つ腹黒な鱵
高田杏
干されたる鱵や猫が目を細め
小田和子
さより食う腹黒なんて気にせずに
ゆぃ
収まらぬ皿を飛び出す焼き鱵
あさぼらけ
水緩みひかり一筋サヨリかな
本久優千
腹黒さ透けては見せぬ鱵かな
小田慶喜
コリコリと入れ歯楽しむ鱵かな
加藤多作
到来の鱵黒き腹さばかむ
じゅんこ
柳刃つるり銀の鱵の腹の黒
鈴木すゞ
さよりの干物十本並べてカウンター
宮川武久
たて塩に甘さ増したる鱵かな
野々村澄夫
鱵跳ぶ部活で言えば陸上部
卯の花雅子
針魚出てふと針魚似の友のこと
宗平真実
独りの夜炙る鱵のみりん干
中尾鎖骨
貌も名もさよりに嫉妬するわたし
恋瀬川三緒
鱵なら刺身一択釣れたなら
空流峰山
ほぐしたる鱵の一夜干しと酒
姫川ひすい
妻の微笑やレイピアめける鱵
原神 かたな
鱵締め余った昆布でもう一杯
松岡徘徊狂人
兼題の鱵求めて梯子酒
君塚美蕉
天向かひ槍先誇るさよりかな
藤田好山
やは肌のあつき朱唇の針魚かな
岬野槐樹
きらきらと誘ふ細魚買ひしかな
君島笑夢
結ばれし鱵はどこかすまし顔
深森佳鶴
細魚釣る一夜干しにて夕餉かな
余熱
我が道をキラッと示す鱵かな
さんさわさん
海の中針魚が針でフェンシング
越中之助
朝市の喧騒鱵の腹黒
中井無心
紅さして鱵の剣(けん)のごときあご
こきん
吸い物にさよりの浮かぶ母の味
風花
回転の鱵の握り過ぎゆけり
黒岩牡丹
鱵から人魚の肉の味がする
白川 譽
俳句部や季語を実食細魚鮨
佐藤マンジャロ
放たれし銀の矢のごと鱵かな
壱太
みめ良きもさよりまさかの腹黒さ
くろべぇ
渦潮に巻かれて光る鱵かな
和泉攷
まな板にシェフ腕を組むサヨリかな
響け!進太郎
端正で腹黒なりし針魚好き
やっちゃんち
ピノキオの罪と鱵の宿業と
蜘蛛野澄香
美しき光眩しき鱵かな
戸田なお
鱵釣り青空の下凪の海
ニッシャン
身を透かしサヨリ光となりにけり
友咲恵子
赤き頬拗ねる口の鱵なり
蛍のまま
櫓寿司細魚細魚と立て続け
タケ
噛みしめるサヨリの刺身ほろ苦し
香取扇公
鮨ねたの鱵に惚れて大将これ
田畑せーたん
白秋も称える姿鱵かな
塩風しーたん
痩せぎすの口元赤き鱵かな
塩野谷慎吾
涼やかな目をしてさより並びをり
日暮ひぐらし
柳刃の透ける鱵の糸づくり
国東町子
駄々こねる唇尖る細魚かな
田乃無骨池田
次々と輝く矢矢矢鱵飛ぶ
西村小市
鱵買う釣果と虚偽を作りたく
雨を知るコオリ
昼網に並べる鱵光りゐる
朝日雫
透きとほる鱵とさばく祖母の手や
村木年子
閂の如き細魚砂に跳ね
東 湘輝
鱵の字探す寿司屋の湯呑みかな
前田いろは
銀の腹懐剣のよう鱵かな
千葉睦女
夕げどき白磁なが皿針魚かな
恵翠善
快気なり細魚二貫のカウンター
三角山子
退院の夫ほがらかに鱵食む
真咲よしの
ざるの上針魚の五尾の赤きあご
藤井かすみそう
巣立つ子と並んでつまむ鱵寿司
西町彰子
鱵釣りうろこきらりとマズメ時
アムゼルえりこ
煌めく鱵裏腹の黒き腹
疋田千優
朝まずめ鱵輝く銀の船
宮澤博
水針魚の口に似た女鱵喰ふ
哲山(山田 哲也)
叱られて口を尖らす子や針魚
杉柳才
お造りは細魚生姜と大葉添え
みなづき光緒
孫帰り還暦ふたり鱵寿司
水野 寿香
波を割り白刃ひらめくさより群れ
大和杜
九谷の青澄むや鱵の薄造り
萩野穂々々
さより食ふ生姜と酒で風味極め
もりお
刺し盛りに鱵光るやさりげなく
鈴鹿悠太郎
さより釣りくの字くの字に釣られけり
二丁目
魚屋でさより贖う釣り帰り
野田遊水
細魚来る朝の水面を縫うごとく
石黒なを子
天ぷらになってもさよりのあご赤い
ユキト
どんな味鼻奥覚ます焼きサヨリ
只野黙念
寿司飯に海の輝き鱵なり
鷹見沢 幸
蒼透けるさよりの輝くいのちよ
ゆかりん
九谷の黄透す鱵や祝い旅
杜野廉太郎
ショーケース律儀に並ぶ鱵たち
井口あき子
透きとおるみえない流れにサヨリかな
そわかそわか
シャリ透けて見えるほど細魚のにぎり
咲 まこ
命日に母の好みの細魚の酢の物
多可木deノエル
竿撓り天に上がるは鱵なり
岡田きなこ
竿の先あばれる鱵宙を舞う
岡田いっかん
さより姫お刺身にして食します
早坂 一周
先ずは光り物鱵と決めている
旅をする象
鱵釣るマヅメ刻なる汽水域
天弓
柳刃と見紛ふほどの鱵買ふ
霜川このみ
鱵とは人魚の仮の姿だろう
月下檸檬
ご尊顔存じ上げねど鱵寿司
黒麹 糀
節くれの手捌く細魚キレイ!
虎の尾
つまよりも白き身に青鱵かな
地球人
腹黒も心は優しき鱵かな
夏目たんちゃん
爪長き美魔女は乙にさより寿司
ミセスコロンボ
銀色の光の筋や針魚釣り
有田みかん
鮨屋にてシメは鱵と決めており
阿万女deノエル
これなぁに鱵とママをツンツンと
ねずちゅー
さより舟きらりと光る背と朝日
あみ こ
青天へ顎とがらせて鱵釣
千葉信子
サヨリ光る丸められて椀の中
丘るみこ
くねる度銀の煌めくさより群れ
えだにふみ (みゆむうしば 改め)
大名に下ろす鱵の旨さかな
房総とらママ
さより焼く新居に座る猫二匹
ふわり子
ビジュ一番紅で惑わす黒鱵
角田由美
お造りや鱵渦なす銀きらり
赤尾実果
閂のサイズぞ美事なる鱵
津軽わさお
先ず一貫さよりをつまむカウンター
あらいすみこ
生一本さよりの作りすきとほる
寺尾当卯
捌かれて白銀の渦細魚盛る
岡田瑛琳
短冊のようにキラリと鱵かな
俳邦山
鱵見て名を知らぬ人名を尋ね
ハヤシダマサミツ
腹黒は似たもの同士鱵かな
鈍亀
受け口でなにがわるいの鱵焼く
赤尾双葉
鱵喰う君その容姿を知らずや
五十嵐 三連単
鱵飛ぶ網で掬ひし日を思ふ
高志
鱵とは腹黒の手本澄まし顔
義日月
しろかねの煌めく群れや散る鱵
高木 美月
宝石と見まごうほどに鱵かな
白山おこ女
鱵の句何も浮かばず回転寿司へ
高旗みつき
玉浮子を避けし針魚や背なキラリ
白上誠陽
鱵釣り飽いた子供の口尖り
入道 まりこ
腹黒の細魚も味は裏切らず
草野立青
驚くや美しき鱵の腹黒に
池田 凜
さより海より煌めきて唇へ
國本秀山
腹黒さ気付かず食す鱵鮨
かとしん
紅差してをれど鱵の腹黒し
前田詠子
淑やかさ感じてしまうサヨリ寿司
しいなはずき
お任せの先ずは鱵の握りから
伊藤なお
大将の指先鱵腹黒く
ルーミイ
身を守るための腹黒鱵かな
坂本宙海(そおら)
笹の葉に紅きくちびる鱵かな
やっせん坊 池上
真つ直ぐに生くるさよりの潔さ
田辺富士雄
鮨下駄へさより一貫猪口を干す
山吹なお
海風と光の香り鱵食む
おかだ卯月
退官を祝いて一人鱵かな
小箱 守
透きとおりくねる鱵に秘めた腹
森田正治
空跳ねるさよりと結ぶ糸ひかる
大和田よつあし
五年ぶり友と鱵と日本酒と
浅井ねむり
釣り上げて今宵これ食う細魚かな
於大純
銀色に泳ぐ鱵の内は黒
遥風
釣れてるがとなりちらちら鱵かな
天谷 幹
サヨリ来て漁師二人腕まくり
松前三月
矢のやうに走る鱵や銀の帯
哲庵
店先に競ふ細身のさより5尾
わたり 和
塩焼きの細魚皿よりはみ出して
春野たんぽぽ
さより三匹十歳の大ヒット
スマイリーk
次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
お待ちしています!
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選者コメント
夏井いつき選
◆募集時に提示した傍題以外にも、「針嘴魚」表記や「さいより・春告魚」等を載せている歳時記もあるようですが、「春告魚」に関しては、本来はニシンのことを指すようです。他にもサクラマス、メバル、サワラ等も春告魚と呼ばれるので、明らかにサヨリだと分かるように詠むのはかなり難しくなります。
◆更に、魚偏の漢字兼題アルアルですが、「鰆」「鰔」など、見間違いなのか? 入力ミスなのか? というケースも間々みられました。私も何度か、「さより」と入力したつもりで、「さわら」と打っていたこともあり、お互いに注意したいところです。
◆類想としては、以下のようなものが目立ちました。
姿
・ほっそりとして美しい → 淑女、貴婦人のよう 上品 しとやか 夢二の絵のよう → 羨ましい ダイエット
・銀色 光る ひかりとなる → きらきら 釣り上げたサヨリが煌めく 群れて輝く
・半透明な身 透き通るよう
・海の青の色をしている
・刃のよう ナイフのよう 針のよう 槍のよう → 海を切り裂くように泳ぐ 波間を縫う → 天を突くよう
・顎が尖っている 嘴のよう
・下顎が長い → アントニオ猪木
・口を尖らせる → さよりが 自分や子供が
・受け口
・(下顎が)紅色 → 紅をさす 化粧する
腹黒い
・見た目はきれい、実は腹黒 → 細魚のような人 → 自分も心に黒いものを抱えている
生態
・水面に近いあたりに群れる
・すばやく泳ぐ 矢のように泳ぐ
・波を縫うように泳ぐ(「針魚」からの連想か)
・エラに寄生虫がいることがある
◆今回の兼題では、他の魚とは違う「鱵」らしさをどう表現するかが、かなり難しかったのではないでしょうか。鱵らしさに寄せていくと、「下顎が長い」「腹が黒い」等の類想の沼のハマってしまうものですから、類想の割合も他の兼題以上に高かったように思います。
今回の体験を学びの一つとして、この春には鱵を是非観察してみましょう。季語を知るとは、自分の目・耳・鼻・皮膚・口で体験してみること。一つ一つの季語を本当の意味で知ることを重ねていくのが、まさに俳句の基本的なトレーニングということになります。
※今回の兼題「鱵」中級者以上投句欄へのご投句は、投句数3893句、投句人数1674人となりました。以下、類想句の一覧です。