俳句ポスト365 ロゴ

中級者以上結果発表

2024年1月20日週の兼題

余寒

【曜日ごとに結果を公開中】

【並選】

  • 余寒ありひときは空のあをあをと

    タケザワサトシ

  • 正誤表二枚はさまる余寒かな

    ひねもす

  • 放課後の余寒の廊下告白す

    風の木原

  • 余寒なほ海葬望む遺言書

    不二自然

  • 磔刑像余寒のナガサキに立つ

    入口弘徳

  • ひとり居て独りと思ふ余寒かな

    幸田梓弓

  • 駅前に迎えを頼む余寒かな

    清瀬ハイジ

  • 銀波なる余寒奥歯のアマルガム

    ジン・ケンジ

  • 「閉店」の紙一枚の余寒かな

    もふもふ

  • 戸袋を覗く番や余寒なほ

    村上継鳥

  • 自慢の福耳にイヤホン余る余寒

    きゅうもん@木ノ芽

  • 余寒なほ月中天に城の町

    市橋正俊

  • 牛革のランドセル赤余寒の日

    まー坊

  • 夕暮れや赤ポリタンクに余寒滲む

    那津

  • 遠隔の地震速報聴く余寒

    酔水

  • しつこさう余寒の鳥の水飛沫

    栗山おかか

  • 余寒なお国境沿いの鉄条網

    野澤真澄

  • 七尾湾余寒の波の打ち寄せり

    楽花生

  • 余寒まだ銭湯までは角三つ

    神島六男

  • 現役の足踏みミシン踏む余寒

    岸来夢

  • 公園のオブジェひび割れていて余寒

    けーい◯

  • 不良図書追放運動てふ余寒

    長谷機械児

  • シャリシャリと残る寒さの砥石かな

    いその松茸

  • 鎌倉の余寒の朝や豆腐切る

    大久保加州

  • 万物の涎が匂い立つ余寒

    高遠見上

  • 鏡中の白き生脚余寒なほ

    篠原雨子

  • 余寒なほモンドリアンの白のごと

    夏風かをる

  • 自在鉤鉄の香りやなほ余寒

    acari

  • 隅っこに追われ余寒の喫煙所

    ヒマラヤで平謝り

  • 陸に船引っくり返る余寒かな

    夜ノ森ムーミン

  • たばこ屋は遠きにありて余寒かな

    KOMA

  • 100点を取っても残る寒さかな

    コーヒー博士

  • 「ちゃん」と呼ぶ訃報の電話より余寒

    たけぐち遊子

  • 余寒あり空の碧さの突き刺さる

    ひすい風香

  • 酔い醒めを歩く2kmの余寒かな

    イサク

  • 倒されてゆく診察台の余寒かな

    さいたま水夢

  • 鉄輪の鉄路踏み換ふ余寒かな

    ウロ

  • 川底の空瓶眠らせる余寒

    ヒロヒです

  • 磐梯の山頂尖る余寒かな

    一久恵

  • 罔象女神余寒の水のありがたき

    まりい@木ノ芽

  • トローチの穴崩れたる余寒かな

    まるちゃんにいさん

  • 透明の骨と抱擁する余寒

    よしぴこ

  • 余寒の音楽堂再起のショパン

    永井春蘭

  • 使われぬ部屋に時計の余寒かな

    ららら句らら

  • 内見のベランダにある余寒かな

    まるにの子

  • 塵芥吹くごと愛を云ふ余寒

    花彼岸

  • 100メーター廊下を余寒・チャイム音

    椿 佳香

  • 鈍色の薬缶笛吹く余寒かな

    る・こんと

  • 余寒なほ写経の筆の滞り

    勘太郎

  • 蒙求の書かれ余寒の格天井

    悪七兵衛

  • 独居も徐々に慣れゆく余寒かな

    角田 球

  • 余寒なほ祝詞のこゑの上滑り

    喜多丘一路

  • 神童のおもちゃ箱の隅に余寒

    一の橋 世京

  • 亡き母の椅子を乗っ取る余寒かな

    吉川花ほっぺ

  • 納骨堂一段毎の余寒かな

    黄鶺鴒

  • 眦のなほ濡れてゐて余寒

    魚返みりん

  • 白々と海も遠のく余寒かな

    夏の町子

  • この余寒子の不登校受け入れて

    根なし草

  • ぶちまけた珈琲豆余寒に別る

    謙久

  • 十万の鶏埋めてゐる余寒

    佐藤茂之

  • ふるさとを離れるバスの窓余寒

    沙那夏

  • 余寒なほ離婚の友とハーブティ

    源早苗

  • 朝の白湯腑に落つまでの余寒かな

    在在空空

  • 蜂蜜の舌にざらつく余寒かな

    黒木水産

  • 雄猫は余寒を割つて去り行きぬ

    糸川ラッコ

  • 余寒かな夕陽は昨日より明き

    山口朝子

  • 余寒なほ厨は今も北側に

    若林鄙げし

  • おかもちは空柴又の余寒積む

    山香ばし

  • 鈍色の空低し偏頭痛のち余寒

    坂本雪桃

  • カヌレなど甘きもの買う余寒かな

    狩谷わぐう

  • 薔薇窓や余寒の祈りひびきをり

    笹間明明

  • プレゼンに控えし小部屋余寒かな

    三水

  • 縮れ麺一気にすする余寒なり

    山本マユミ

  • 雑踏の人黙々と余寒かな

    笑詠化

  • 新任の内科医靴音の余寒

    新山晶花

  • この余寒最適解の抱き枕

    始の子

  • 俯きあるく余寒の検察官

    三水低オサム

  • 夜更まで余震の続く余寒かな

    森一平

  • 余寒かな熱出てごめんの返信来

    山口絢子

  • 図書館へ入る数歩の余寒かな

    山本烏骨鶏

  • 廃屋に鴉の群れる残る寒さ

    森爺

  • 明日入院松に造花を足す余寒

    神山やすこ

  • ぎょうかんを読み取るまでの余寒かな

    増本空ふね

  • 能登揺れて底の抜けたる余寒かな

    杉山駄芭

  • 鉄骨に余寒防災無線の君よ

    清水奈々子

  • 予備校の説明会の余寒かな

    青木豊実

  • パチンコで遊びし後の余寒かな

    石内宏明

  • カピバラの硬き毛先に余寒なほ

    坪田恭壱

  • アンパンマン膨れ損ねる余寒なほ

    鶴富士

  • 残寒や夜行列車の固き床(とこ)

    哲庵

  • 守衛らの暖簾へ雪崩れ込む余寒

    雪だるま

  • 魔導師の杖のやうなる余寒の樹

    千夏乃ありあり

  • 最高値余寒は背筋張り付きし

    川辺世界遺産の居候

  • 水道の水の漏れゐる余寒かな

    蒼鳩 薫

  • 痩躯なる野良犬の背になお余寒

    駄々

  • 空を引つ掻くシンバルの余寒

    鷹星

  • 親友は心アブレーション余寒かな

    村崎 雫

  • 息凝結す東京の余寒かな

    田中ぽんすけ

  • 深酒の余寒に夜鳴そば美味し

    池 閑茶

  • ファミレスに喪服のふたり余寒かな

    竹原かよこ

  • 硝子戸の重き余寒の歯科医院

    竹田むべ

  • 余寒なほ回覧板に訃報あり

    田口大寒六

  • 標本のピンに影無き余寒かな

    東山すいか

  • 星数へ始めて羽織る余寒かな

    田辺富士雄

  • 黝く眠る水泡や余寒なほ

    東田 一鮎@金カル

  • 真夜中のトイレの軋み余寒かな

    藤永桂月

  • 古時計ぼんぼんぼんと鳴る余寒

    中根由起子

  • 餡かけの出汁のころあひ余寒の夜

    島田あんず

  • 余寒なり茶筒の蓋を閉むる朝

    朝宮馨

  • 親指の切創濯ぐ余寒かな

    内田こと

  • イヤホンの音よりさきに在る余寒

    如月宗局

  • ゴミ出しのつっかけ脱げて余寒かな

    木村となえーる

  • 珠洲焼の手にやはらかな余寒かな

    百瀬はな

  • 教本の目次の多き余寒かな

    毛利尚人

  • 駐車場のレシート吐き出してく余寒

    鳥乎

  • がちやがちやと鍋を取り出す余寒かな

    野ばら

  • ツイッターのタヒね余寒の竹林

    坪山紘士

  • 珪藻土マットの余寒土踏まず

    吉野川

  • 夜の河のぞく児を待ち余寒かな

    櫂野雫

  • コッヘルの味噌汁余寒のソロキャンプ

    栞虫かじり

  • プロテインシェイク飲み干す余寒かな

    芍薬@独逸

  • どつかりと盆地の底の余寒かな

    菫久

  • 余寒かな新しきくつ濡れゆくを

    haruwo

  • 余寒の夜尽きぬ貧しき日の話

    野瀬藻石子

  • 銀行に足音ひびく余寒かな

    与志魚

  • 軒短か余寒の仏立ちおはす

    山 ゆり

  • 夕刊薄しひらく紙面の余寒

    鈴野蒼爽

  • 閉店の貼り紙よれて余寒なり

    國本秀山

  • 神様の不倫している日が余寒

    新蕎麦句会・凪太

  • 不妊治療外来ロビーの余寒

    猪子石ニンニン

  • 人感のライトすつと消え余寒

    江良 中

  • 紙の肌すべらかならぬ余寒かな

    信木庸子

  • 看護師の急ぐ足音余寒なほ

    林真紗湖

  • 捨てざるを得ない状況下の余寒

    ヤヒロ

  • 抗議する国会前の余寒かな

    西村小市

  • ネックレス付ける後ろ手にも余寒

    高橋風香

  • 余寒なほパンクの自転車を押して

    清鱒

  • ステーキを奢られている余寒かな

    ふゆの都々逸

  • バリウムを混ぜる手際の良き余寒

    鳥羽南良

  • 明王の眉毛隆々余寒なほ

    Early Bird

  • 狛犬の瞼の重みてふ余寒

    樹海ソース

  • 煉り切りの花々並ぶ土間余寒

    美津うつわ

  • 靴下で眠る余寒の足の指

    陽光樹

  • 余寒のスタバ順番シールの剥がし跡

    空豆魚

  • いてもうたろかレターケースにメモ、余寒

    伊藤映雪

  • 泣いて切る馬謖が多すぎて余寒

    あさのとびら

  • もう少し余寒へ足してゆく辣油

    藤白真語

  • 余寒かな気休めほどの頭痛薬

    松本裕子

  • 老いし子と二人暮らしの余寒かな

    白井百合子

  • 余寒かな今日の保護猫シャーは二度

    チームニシキゴイ太刀盗人

  • キー叩く指窓外の余寒かな

    河野灰土

  • 裸婦像の尻に粟立つ余寒かな

  • 脱殻の崩るる鱗余寒かな

    千鳥城@いつき組広ブロ俳句部カナダ支部

  • 余寒てふ漉き残されし砂金粒

    めいおう星

  • スタジオのフロア白々たる余寒

    佐藤香珠

  • 門灯の球を換えおる余寒かな

    也和

  • 余寒なる粉糖ふるうブラウニー

    秋野茜

  • 祖母逝きて部屋を彷徨く余寒かな

    藤 えま

  • 余寒なお独居老人スーパーへ

    妄児

  • のろのろと千鳥ヶ淵の余寒かな

    わおち

  • 余寒なお退院の日の出入り口

    川島 欣也

  • 遺影置き喪服脱ぎたる夜の余寒

    東原桜空

  • 余寒をば袋に入れん質草に

    むじーじ

  • 銀河系の端余寒の朝迎ふ

    一条春枕

  • 雀どち飛び立つ畑に余寒かな

    宮川武久

  • 緘黙の余寒放さぬ千曲川

    花屋英利

  • 友逝きて棺重たき余寒かな

    於大純

  • 深呼吸の朝両肺に入る余寒

    小倉あんこ

  • 海鳴りや余寒を今日も野辺送り

    杜乃しずか

  • 雨に風こんぐらがつてゐる余寒

    蜥蜴の尻尾

  • 鍵盤のシの音掠れゆく余寒

    花はな

  • 余寒あり色とりどりの流し染め

    畑山六十二

  • 塁塁の化粧(けわい)のまだら能登余寒

    三群梛乃

  • 解かれをる隣家の屋根の余寒かな

    吉村一音

  • 干したての下着の固き余寒あり

    居並小

  • 救助隊待ちたる崖下の余寒

    ふじかつとび

  • 背伸びしてまた猫背なる余寒かな

    落人家楽人

  • 欄干のあせたのぼりにある余寒

    れんげ畑

  • 本堂の香煙ゆらぎ余寒かな

    高本蒼岑

  • 父亡きを実感灯油無き余寒

    剛海

  • 小さき手にハムスター余寒のひげ顫う

    吉永那夫子

  • 記帳する背骨の底の余寒かな

    畑野稔

  • パーカーのフードに落とす余寒かな

    外鴨南菊

  • 狛犬の仄暗き喉余寒なほ

    seki@いつき組広ブロ俳句部

  • 戦など知りたくもなき余寒かな

    月城龍二

  • 収集車余寒のゴミを噛みにけり

    金子泰山

  • 内見の家に煙草の香と余寒

    ひなた和佳

  • 乗るはずの赤き尾灯の余寒かな

    西風 心鏡

  • 老椎の木肌ぼろりと堕つ余寒

    戸口のふっこ

  • 空つぽの肚へ余寒の酒おとす

    大黒とむとむ

  • 爪切って畳に落ちる夜の余寒

    染野まさこ

  • 鍵盤をトリル余寒の薬指

    一斤染乃

  • ミッキーの首傾げたる余寒かな

    酒井春棋

  • 余寒なほ上人像はいつも素足

    はぐれ杤餅

  • 日雇いの現場に余寒あるんかい

    鳥田政宗

  • 暗室の診察室の椅子余寒

    平としまる

  • ばきばきのスマホ余寒のマッチング

    野点さわ

  • ボール返して子らにつき合ふ余寒かな

    天東あさじ

  • カラメルに余寒5パーの混ざりけり

    永田千春

  • 駆け抜ける斜度40の余寒かな

    吉 や 

  • 鍵の音余寒の廊下巡りゆく

    余田酒梨

  • 補聴器を選べる母の余寒かな

    紗藍 愛

  • 駄菓子ごみ拾いゆく余寒の公園

    鈴木 浮浮

  • 余寒かな腕立て伏せぞ始めたる

    本宮豆奴

  • 閨窓に余寒の風の一頻り

    ひぐちいちおう(一応)

  • 速達の文字にかすかな余寒かな

    もふ美

  • 廃園に猫缶ひとつ余寒かな

    日暮ひぐらし

  • 来賓はずらり余寒の大ホール

    ツユマメ@いつき組広ブロ俳句部

  • 廟所へと歩く余寒の石畳

    千の葉

  • 肺胞に余寒を詰めて上京す

    たまのねこ

  • 母は呼ぶ余寒の着替え拒む朝

    ツユマメ末っ子12歳@いつき組広ブロ俳句部

  • 余寒なほ棒線を引く予定表

    竹内ユキ

  • 軽トラの荷物の揺れや余寒なお

    登盛満

  • 研修へ旅立つ朝や余寒あり

    カバ先生

  • 白襟のをんな余寒の西口に

    亀田荒太

  • とどこおりなく終えたと届く余寒

    新城典午

  • 余寒なほ月影清き家路ゆく

    紗羅ささら

  • 神様はわり算がへた余寒あり

    広瀬 康

  • 火葬場の点火釦の余寒かな

    聞岳

  • 余寒にて透き通りたる鳥の声

    野中泰風

  • あの猫さえおらぬ余寒の裏通り

    木ぼこやしき

  • 1Kに高く積みたり余寒の荷

    南方日午

  • 晴れの日に余寒連れ去る父の息

    岡塚 敬芳

  • 古民家の納戸の奥に棲む余寒

    小川野棕櫚

  • 膝小僧の痣の広がりゆく余寒

    Q&A

  • 火山湖へ残る寒さの光かな

    かつおぶし

  • 譲り合ふ灯油の補充余寒の夜

    吉武茂る

  • 鼠径部に術後の重石ある余寒

    じゃすみん

  • 学校のにはとり小屋の余寒かな

    松本笑月

  • スマホよりはつと顔上ぐ余寒かな

    河島 八々十

  • 水拭きはロボに任せる余寒かな

    澪那本気子

  • 余寒なる夫の自由といふ虚構

    柳絮

  • 避難所を去りぬ余寒を断ち切りぬ

    はなぶさあきら

  • 余寒千歳上空旋回中

    斗三木童

  • 野良猫匿ふ旧校舎の余寒

    日向こるり

  • 老僧の法話に笑ふ余寒かな

    月影 重郎

  • 外猫の鳴き声ヨクァン添う余寒

    まっちゃこ良々

  • おやゆびの夜爪やすらふ余寒かな

    滝上 珠加

  • 余寒なほ言い訳探し白む空

    竹村マイ@蚊帳のなか

  • 原発に受け渡す町余寒かな

    花蜜伊ゆ

  • 古着着る地蔵や被災地の余寒

    彩明

  • 余寒のおと室外機のがたつきに

    太田栗青

  • 物言わぬ鳩に語りし余寒かな

    西町彰子

  • 余寒なほ下巻戻らぬ開架書架

    森 毬子

  • 錠剤の喉元触れる余寒かな

    刈屋まさを

  • 人影の見えぬ交番余寒かな

    琵琶湖のおばさん

  • 灯りなき三月堂を裂く余寒

    ふくろう悠々

  • エレベーター閉の釦に触る余寒

    椋本望生

  • 祖母の黙りて渋茶飲む余寒かな

    大 広秋

  • 朝くりや余寒の湯気に薄らぐや

    洋々

  • 欠け月の下にまあるく余寒あり

    しばのおはる

  • どよめきの球場余寒の100マイル

    灰谷素数

  • 愛犬の鼓動よ起きぬけの余寒

    卯之町空

  • 余寒なほ母亡き部屋の振り子時計

    いつか

  • 髭面の代理店長来て余寒

    朱鷺9条湯八

  • 絵の具出し余寒閉じ込め青き空

    石原しょう

  • 余寒余寒歯並びよかる女ども

    もりさわ

  • 段ボール箱の余寒を畳みけり

    武井 超凡

  • 重ならぬ三面鏡の余寒かな

    伊藤 柚良

  • 波の間に小夜風そよぐ余寒かな

    永井旅人

  • 句碑探しきれず余寒の停留所

    松山茜柑

  • 青信号立ちすくむ吾の背に余寒

    田中ミノル

  • 大かさご余寒の針に胴震い

    古乃池糸歩

  • 袖口を夕日に濡らす余寒かな

    菅井香永

  • 戦線は膠着したり余寒の野

    ふくじん

  • 余寒なほ一番列車のジョイント音

    五十嵐 三連単

  • 生徒らに最後の授業終へ余寒

    柿司 十六

  • 耳鳴りの変調したる余寒かな

    高田杏

  • プレハブに余寒家族は我ひとり

    越前俊水

  • 余寒の朝振り返り母探す子

    望月ぽん

  • 中継の東京忙しき余寒かな

    なしむらなしん

  • 意地悪の透けて見えます余寒なお

    佐川碧

  • 誰も来ぬぽつんと遊具余寒の日

    ゆぃ

  • 診察や一日余寒の雨意の雲

    片平仙花

  • 雲梯の錆握る手の余寒かな

    くぅ

  • 常盤木の尖りて光る余寒かな

    はれまふよう

  • オルゴールの終の一音待つ余寒

    羊似妃

  • 図書館に余寒誰もが上を見ず

    大和田美信

  • 白檀の香のほどけゆく余寒の夜

    翡翠工房

  • ごきげんよう遺言のごと余寒かな

    伊藤順女

  • 余寒なお義父は今夜も眠れぬか

    新井ハニワ

  • 一服の葛根湯の余寒かな

    石塚彩楓

  • 発掘の石室内の余寒かな

    いなほせどり

  • 余寒の校庭タイムカプセル開く

    満嶋ハト

  • 背を壁にもたれ靴下履く余寒

    林 和寿

  • 息継ぎを幾度余寒のカーラジオ

    小豆白虎

  • セロファンの封剥がす音して余寒

    海峯企鵝

  • 知らぬ曲ばかりを聴かさるる余寒

    西郡うり

  • 国旗なき掲揚台や余寒なほ

    中島走吟

  • 余寒なほ樹皮裏にかめ虫不動

    あたなごっち

  • 押入れを開けて余寒の残る闇

    梅鶏

  • インバウンドの余寒たこ焼きの湯気

    山路碧水

  • 鏡台の布そと上ぐる余寒かな

    とはち李音

  • 富士仰ぐ吊り橋の上余寒なり

    井上於莵

  • 革靴にオイル塗り込む余寒かな

    ナオコ タイラー

  • 余寒なお続く目減りや年金日

    津軽わさお

  • 風吹けば弥増す余寒たじろげり

    津軽まつ

  • アドレスを返し名札を抜く余寒

    一寸雄町

  • 余寒なお津軽に酌む情っ張りの酒

    津軽ちゃう

  • 明日もまた自習余寒の教室は

    蓮花麻耶

  • 一筆に列す余寒の喪の夜なり

    登りびと

  • 海見える余寒の町のミニシアター

    ほうちゃん

  • アレグラの一錠増えて余寒かな

    蘂六

  • 給油ノズルかたんと終はる余寒かな

    おきいふ

  • 箱罠の猪後退る余寒かな

    ゆすらご

  • 余寒なほ珠洲の重機唸る唸る

    清水祥月

  • 一握の火薬に余寒カカオ園

    翼つばさ

  • 笑はせて余寒母には感じぬやう

    伊藤なおじい

  • 地下街はダンジョン名古屋駅は余寒

    長谷川加尾

  • 余寒なり中絶手術待つ散歩

    前田

  • つけ置きの余寒の烏鷺を洗うべし

    春風流士

  • さよならは君への余熱あゝ余寒

    四條たんし

  • 余寒かな母の死を告ぐ携帯音

    髙橋弓女

  • 余寒の北斗上高地夢うつつ

    山姥和

  • 余寒なほ堪へし齢となりにけり

    風花まゆみ

  • ダダ長い所長の訓示余寒嗚呼

    at花結い

  • 妊活のミネストローネまだ余寒

    sol

  • 缶珈琲かたん夜の余寒に落つ

    谷川ふみ

  • 枝を切る音に篭りし余寒かな

    田中一升

  • ダンボール無音保護猫ヘ余寒

    衣笠 野波

  • ワンクリック余寒のサーバ再起動

    宮坂暢介

  • 古書店の狭き通路の余寒かな

    杉柳才

  • 持ち株の二日下落し余寒まだ

    玉響雷子

  • 定まらぬ阿修羅の顔の余寒かな

    篠田ピンク

  • 六畳の箪笥の跡の余寒かな

    海野青

  • 寝返りの夫に手を添ふ余寒かな

    中村あつこ

  • あの駄菓子屋去年閉じたと聞く余寒

    西町花冠

  • 照明の落ちた舞台の余寒かな

    砂楽梨

  • 鹿毛の猛追確定までの余寒

    二十八

  • 抜糸待つ金属音の余寒かな

    文月

  • 炊き出しの湯気に余寒の月明り

    桃香

  • うち揃い出棺見送る余寒かな

    広島あーやあーや

  • 重なりて絵馬音立てる余寒かな

    風の鳥

  • アオダモの硬き削音余寒かな

    橘 春香子

  • 余寒の夜父待つ母の背は硬し

    原島ちび助

  • 攣りし脛の痛み残れる余寒かな

    つづきののんき

  • ウォン使い切って余寒のラウンジへ

    沢胡桃

  • プチプチの角めくれ出す余寒かな

    高永 摺墨

  • 床板の余寒のきしみ台所

    笑酔

  • 余寒なお普段通らぬ道の闇

    坂本羊雲

  • 臥龍の背ひとつ畝りて余寒かな

    犬山裕之

  • 思いの外に返信長く余寒の日

    田中勲

  • 友といふ政治屋の来る路余寒

    海星葛

  • 無味である余寒のバニラエッセンス

    佐藤儒艮

  • 礼状に二行の余白余寒なほ

    信濃のあっくん

  • 袖釦留める余寒のヘルメット

    碧萃生

  • 釣り糸のごと日矢の射す余寒かな

    藤白月

  • 余寒の弁当昨夜もハンバーグ

    だてまき

  • 朱印記す札所は余寒の西安

    鈴木裕公仁

  • 飯場軒足袋洗い干す余寒かな

    岩瀬正人

  • 三日月の研ぎ澄まされてゐる余寒

    明後日めぐみ

  • 子宮とり迎ふる朝や余寒なほ

    柊瞳子

  • 紙エプロンつけて余寒のカレー饂飩

    かんこ鳥

  • リウマチの指に小瓶の余寒かな

    和泉攷

  • 余寒分け合える相手のいない朝

    齋藤鍵子

  • 早朝の軋む江ノ電余寒なり

    那須のお漬物

  • 余寒なほ晴天の頬触るる風

    たなべ早梅

  • 余寒なほ歯科の麻酔の頬に垂れ

    公木正

  • 退職の夫淹るる茶の余寒かな

    茜咲

  • 弔砲や火薬の臭う街余寒

    百瀬一兎

  • 広目天薄目で余寒のこの世見る

    森 佳月

  • 氷川神社参道二キロの余寒

    三崎扁舟

  • 墓石に苔のひかりて余寒かな

    鳳凰美蓮

  • ガラス張りの余寒「ライオン療養中」

    坂めぐみ

  • 番号で呼ばれ余寒の予診室

    深山むらさき

  • 焼山寺余寒の中の杉木立

    立町力二

  • 骨上げの箸のふるえの余寒かな

    布村 柚子

  • 電灯の届かぬ先の余寒かな

    小夏

  • 自治会長再任拒み余寒かな

    斧 的部

  • 余寒なおサイトはまたも通知なし

    晴菜ひろ

  • 山羊の毛の深さ余寒の潜む小屋

    どこにでもいる田中

  • 剪定の枝を鎮める余寒かな

    砂月みれい

  • 棚卸し余寒散らばる書庫ひとり

    星詩乃すぴか

  • 筆を置く余寒の髭の朝日影

    くろけん

  • ポケットに手を終電にある余寒

    阿曽 遊有

  • 始発待つ余寒を一一0番の声

    仮名鶫

  • 休園の朝や余寒の猿団子

    杜まお実

  • 池底の罅割れ深き余寒かな

    玖良咲

  • 足湯する別府の地獄に余寒あり

    秋野木吾

  • ひとりなる空のガレージ余寒なほ

    松本厚史

  • 耳の背に触るる簪余寒かな

    水きんくⅡ

  • 余寒ごと掃き散らかして昼放課

    芦幸

  • 部屋籠る窓に余寒の波映る

    無し

  • 叔母の通夜家路を急ぐ余寒かな

    そうま純香

  • 水槽に余寒の滲む稚えびかな

    白庵

  • 余寒なほブルーシートの増えゆく地

    凪ゆみこ

  • ブルックリンブリッジ突っ切りゆく余寒

    井納蒼求

  • マグカップ湯気の向ふの余寒かな

    黒蜜かりんとう

  • 坂道をキーキキ余寒のスカート

    紫月歪丸

  • 月のもの終わる余寒や河原町

    田季たまき

  • D51や余寒の鉄の黒光り

    くみくまマフラー

  • おにぎりはラップ午前二時の余寒かな

    伊予吟会 重松栄翔

  • 味噌汁を残る寒さが旨くする

    風来坊健丸

  • 子らを待つ遊具の赤の余寒かな

    おかえさき

  • レコードの針音ひろふ余寒かな

    藤井赤童子

  • 街灯のまたちらつきて余寒かな

    くぼたみどらー

  • 消しカスのほろりまとまる余寒かな

    やまさきゆみ

  • 盆栽の松に余寒の風渡る

    釜眞手打ち蕎麦

  • 栞紐深紅にわだかまる余寒

    綾竹あんどれ

  • ぽた、ぽたと蛇口の余寒深夜勤

    風間 燈華

  • 哺乳瓶さます午前四時の余寒

    時まる

  • バスを待つ白杖の君余寒かな

    有田みかん

  • 余寒なお旗音響く競技場

    古川一光

  • 取り返しつかぬくちびる閉づ余寒

    石浜西夏

  • 手に取りし古書の頁にある余寒

    万里の森

  • 下宿屋のお湯がしゅんしゅん余寒かな

    小林番茶

  • 自律神経乱れて余寒広がりぬ

    睦月くらげ

  • 余寒なほ居も定まらぬ地震の街

    よかわもりお

  • 余寒なほ文字の擦るるボールペン

    ちゃあき

  • 雲水行脚の余寒を鈴の非平衡形

    絵夢衷子

  • 打粉拭く剣の蒼さ余寒かな

    野田遊水

  • 肺胞の膨らみきれぬ余寒かな

    満る

  • 始発待つリズムとりつつ踏む余寒

    黒猫かずこ

  • アンモナイト死なずに生き延びる余寒

    野原 華

  • コンビニのポストリストラさる余寒

    立ち漕ぎブランコじゅん

  • 斎場の石鹸のごと固き余寒

    中村すじこ

  • ため息を飲みこみ電話切る余寒

    深草あやめ

  • 余寒のサイクリングまだ無彩色

    天照昭光

  • 鳩放つ空へ余寒の音として

    アンサトウ

  • 余寒なほ異国の硬貨くすみけり

    佐藤レアレア

  • チンチン電車軋む余寒の右カーブ

    雑魚寝

  • 失着の駒音重き余寒かな

    八十六九

  • 鳶も人も黙す縄手の余寒かな

    山河穂香

  • 三日目も扉開かぬ余寒かな

    江口朔太郎

  • 余寒の夜母の衣類に名前書く

    白薔薇

  • 鳥啼くや重き余寒を切り裂きて

    acorn

  • 市民課の余寒転出する女

    成瀬源三

  • ちやりんこのサドルに残る余寒かな

    宮村土々

  • すり足のやがて余寒の床を蹴る

    馬場めばる

  • 愛猫の最後の写真を余寒の陽

    天雅

  • モノトーンの八時の空の余寒かな

    山下とらぺけ

  • 永平寺朝課深心余寒あり

    哲山(山田哲也)

  • 使はれぬ応接室にある余寒

    高木音弥

  • 脱け殻の三和土に潜む余寒なお

    平野水麦

  • 添い寝終え母を終えたる余寒かな

    赤尾双葉

  • 怪しげなセミナーにゐる余寒かな

    堀口 房水

  • エラ呼吸して余寒の道を歩く

    伊予吟会心嵐

  • 五十日ぶりの学校余寒かな

    HNKAGA

  • 新しき音叉に潜む余寒かな

    めでかや

  • 余寒の渋谷配るティッシュの硬さ

    小川さゆみ

  • たも網の余寒ばかりを掬いおり

    はまゆう

  • 折敷置く巫女がゆび先なほ余寒

    百田信三郎

  • 川底を丸き影ゆく余寒かな

    写俳亭みの

  • 猫の死を抱いて余寒の部屋夜よ

    泉晶子

  • 盛り塩のゆたかに凹む余寒かな

    きなこもち

  • このごろは死亡記事より読む余寒

    檜鼻ことは

  • 名も知らぬ魚を釣りし余寒かな

    千原 十吾

  • マンホール踏みて知るなり余寒の音

    青井えのこ

  • 余寒かな鍵っ子ひとりあずきバー

    暇禍

  • 曇り日のこめかみにある余寒かな

    岩木順

  • 小刻みに摺り歩く母余寒かな

    相沢薫

  • アルコヲルテシューでドアノブ拭く余寒

    豚々舎 休庵

  • 鍵穴にいたづらの痕余寒あり

    石塚碧葉

  • 性別を回答したくない余寒

    まめばと

  • 薪低しいつまで続く余寒かな

    田畑せーたん

  • ランドルト環の切れ目へ余寒なほ

    綱川羽音

  • 荷解きの終の住処の余寒かな

    八幡風花

  • 靴先で余寒蹴とばす停留所

    み藻砂

  • 余寒なほ母口ずさむ「早春賦」

    塩風しーたん

  • 始発から降り立つ群れの背や余寒

    忘れちゃった

  • かくれんぼ鬼は遠くへ余寒かな

    はぐれ雲

  • 針は五時仕込む豆腐屋余寒なほ

    清水 岳

  • 廃鶏を詰め込み余寒の出荷籠

    伊予素数

  • 点滴を連れて余寒の自販機へ

    青野遊飛@蚊帳のなか

  • 丸刈りの生徒余寒のおみおつけ

    川口雅裕

  • ふいごの火鋼の匂ひ立つ余寒

    堀邦翔

  • 残寒や埋蔵金はここらしい

    清松藍

  • 「1812年」の祝砲は余寒

    高井大督

  • 余寒とはドミノ倒しを曲がれぬ牌

    帝釈鴫

  • 知らぬ香の夫の茶碗を割る余寒

    季切少楽@いつき組広ブロ俳句部

  • 床が鳴く指先解れ落つ余寒

    江ノ島泰成

  • 健診の回転椅子の余寒かな

    涼月橋

  • 鍵盤にいつまでもある余寒かな

    あなうさぎ

  • 貫入の阿弥陀に迷ふ余寒なを

    如月ドロップ

  • 他人として母に頷く余寒かな

    看做しみず

  • 電線を鴉の揺らす余寒かな

    佐久凡太郎

  • 大仏の影くろぐろと踏む余寒

    藤源卿

  • 御朝勤の御堂に抜ける余寒かな

    淡湖千優

  • 離職する理由雑多にして余寒

    まぐのりあ@蚊帳のなか

  • 余寒なり小さき体はもう鳴かぬ

    ヒマラヤ杉

  • あれ捨ててこれ片付ける余寒かな

    やっちゃんち

  • 雨の朝通勤急ぐ余寒なほ

    ぐりぐら京子

  • 参道の露店の熱き余寒かな

    いごぼうら

  • 余寒なほ路上で歌ふ人ひとり

    小原実穂

  • 閉ざされた三面鏡に有る余寒

    一走人

  • 盛り塩の少し傾く余寒かな

    増山銀桜

  • 大烏余寒の朝を切り裂きぬ

    富佐野ほろよい

  • 残る寒さや急くこともなく余生いく

    宇田女@ノエル

  • 検査着の紐の細さを縫ふ余寒

    栗田すずさん

  • お護摩の火袈裟むらさきに余寒かな

    樹魔瑠

  • 他人事と笑ふな詐欺を余寒なほ

    達坊

  • 朝刊のポストに潜む余寒かな

    こま爺

  • うす濁る空と余寒と憂鬱と

    ちびつぶぶどう

  • ソーラーの連なる里の余寒かな

    日向浜

  • 君が居て濃いめのコーヒー余寒の朝

    みしまちづる

  • 余寒とはオニアンコウの歯の尖り

    ほしの有紀

  • 犬の名を寝言で呼んで泣く余寒

    GONZA

  • 五十億果つや余寒の通知状

    小だいふく

  • 鐘楼の屋根そりかへる余寒かな

    村木年子

  • 宵越しの茶殻を捨てる余寒かな

    ゆみづき

  • 買い忘れコンビニ巡る余寒かな

    円美々

  • 飼い猫の抜け毛の中にある余寒

    奈良の真

  • 余寒とは線形尖る空気なり

    おこそとの

  • 売り上げを数える声の余寒かな

    誠馬ノマド

  • 朝帰りの猫余寒を舐めてゐる

    大熊猫@四句八句

  • 余寒あり迷い鯨の動かざる

    あおみどり

  • 茶柱の立つも立たぬも余寒なほ

    さかえ八八六

  • かの曲をまた思ひ出づ余寒かな

    珈藤絵本

  • 猫抱くやふはり余寒の飛び下りる

    中 兎波

  • カセットのだるくリバースする余寒

    TAKO焼子

  • 棄てきれぬ男の肌に余寒しむ

    内藤かをる

  • ここからとここまでが過去余寒かな

    中島穂華

  • 留袖の染みながめいる余寒かな

    百卓@ノエル

  • 早朝の拭う肉球余寒かな

    飛来 英

  • 午後二時のガラスのビルの余寒かな

    いこん

  • 余寒なほバイオマス発電の湯気

    林常住

  • 音楽室の窓開け歌う余寒

    山川凛

  • 鳴く雛の無い鳥の巣の余寒かな

    メレンゲたこ焼き

  • ポストから赤い封筒取り余寒

    榊昭広

  • 朝市の魚のひかりや余寒なほ

    伊奈川富真乃

  • シエラスコの肉を殺ぎゐる余寒かな

    中原柊ニ

  • 轆轤挽く小指に残る余寒かな

    せいしゅう

  • 未登記の実家引き継ぐ余寒かな

    小笹いのり

  • 選考の結果余寒に立つ凛と

    北爪いく葉

  • 首筋を造影剤の這う余寒

    野々村澄夫

  • 丸ポスト空っぽ里山の余寒

    だがし菓子

  • 道内の牛舎は特に余寒でさ

    正岡田治

  • 缶珈琲まずふた口の余寒かな

    みうらけんじ

  • 瑠璃色の玻璃に白湯つぐ余寒かな

    巳智みちる

  • 余寒なお座布団に猫の残り香

    たこ山焼之輔

  • バスの来て順に置き去る余寒かな

    鶴小なみ

  • 余白無き薬手帳や余寒なほ

    塩野谷慎吾

  • 手につつむマウスにあまる余寒かな

    あつちやん

  • トタン屋根錆びて余寒の零れ落つ

    とも子

  • 足場鳶風をまともに余寒かな

    高岡春幸

  • 余寒この風のなじむを待つうなじ

    秋星子

  • 身ひとつの離郷に背負う余寒かな

    蓮井理久

  • ビリケンさん擦る余寒の足の裏

    コーノ凡士

  • チンチラの肉球猫カフェの余寒

    渥美こぶこ

  • 諍ひを諫め今宵の余寒かな

    山崎  かよ

  • 山寺の残る寒さや修行僧

    上津 力

  • 供花清らなり余寒のごみ屋敷

    幸田柝の音

  • 持ち帰るロケ弁余寒のアパート

    大庭慈温

  • 薬袋の数字の歪む余寒かな

    碧西里

  • モツ煮込み皿に油膜の余寒あり

    野口真砂輝

  • 漱ぐ余寒の水の硬き芯

    バンブー

  • 洗わずにいるジーンズの余寒かな

    羽野あき

  • 余寒なほ光あふるる御堂筋

    岡崎秀惠

  • 鈍色の余寒の宵や黄金雲

    坂土海夏

  • 余寒なる蛇口盗られし水飲み場

    若井柳児

  • 雀にありけふの余寒といふかたち

    あまぶー

  • ヨーグルトは蓋に罅割れて余寒

    川澄栞大

  • 子の振るふタクトの角度てふ余寒

    白プロキオン

  • 指抜きのしっくりこずの余寒なる

    京あられ

  • 鬼平のやうに余寒をひと睨み

    鈴木麗門

  • 体拭くタオルの固き余寒かな

    水無月 

  • 余寒なほ用件のみのLINE来て

    森中ことり

  • 落ちてきそうな天井の汚点余寒

    水越千里

  • 登校の自転車に北京の余寒

    オクシー

  • 戦争が喉元過ぎて余寒かな

  • 磨りガラス余寒に透けるセロテープ

    あまぐり

  • 液晶の失せる余寒の置時計

    唯野音景楽

  • 殺生石真ふたつに割れ余寒かな

    むったん@狐狸山会

  • 肺へ入る余寒の肝を震はせり

    暖井むゆき

  • 下帯姿の熱気か余寒の地

    真喜王

  • 閑かさや町へ余寒の落し蓋

    黒子

  • 余寒なほ七年前の兄に会ふ

    古庄 萬里

  • 余寒の雨やライオンの背に響く声

    むねあかどり

  • 艇庫開けカヌーの息の余寒かな

    小藤たみよ

  • すつと描く鹿の瞳孔余寒かな

    笹野夕

  • 「御朱印はおやすみします」寺余寒

    西村 棗

  • 病ひ得て残り一つの余寒かな

    酒井均

  • 舌下錠溶ける間の余寒なほ

    春海のたり

  • 転職の決まらぬ子の部屋余寒なほ

    おかだ卯月

  • 余寒なり死に際の猫の二三歩

    ハルノ花柊

  • 局止めの手紙や祈る手の余寒

    春蘭素心

  • 遺産分けぶれる実印余寒なほ

    小田ビオラ

  • 熱の子の呼気の波間にある余寒

    諏訪ヤス子

  • ため息のかたちつくりて余寒かな

    望月朔

  • 各駅の余寒溜め込み電車来る

    丹波らる

  • 余寒なほ草焼くにほひ遠近に

    辻 螢

  • 硬券に鋏を入れる余寒かな

    岩本夏柿

  • バイタルとる独居患者の腕の余寒

    杼 けいこ

  • 余寒なほショパンのワルツを固くせり

    あずさゆみ

  • 告知受く鼓膜に残る寒さかな

    夏草はむ

  • つむじ風頬に余寒の棘ひりり

    はまお

  • 夕雲の低く添いゆく余寒かな

    そまり

  • 獣らの薄目余寒の森深し

    入道 まりこ

  • 啄まれ実は皮と果つ余寒かな

    一歩亭六案

  • 内蔵の座敷正座して余寒

    さおきち

  • 全壊のブルーシートや余寒なお

    富山の露玉

  • 癒えて吸ふ空気甘きも余寒かな

    みやかわけい子

  • ためらいは見せず上京あえて余寒

    陽乃姫

  • 蛍光灯ちらつく子供部屋余寒

    武志望

  • 余寒の夜弾くそろばんなほ響く

    ふみ

  • 二千超え未だ余寒の採寸場

    うた 歌妙

  • 赴任地の空にくゆりて余寒かな

    ナタデココ

  • 蒼白の真珠余寒の父の通夜

    中島 真珠

  • 言いたいこと言えず余寒の風の中

    おのまい

  • ダム底の余寒心が決壊す

    島田雪灯

  • 礼状の斜めの宛て名余寒なる

    くま鶉

  • 釣鐘の余韻は長し余寒なほ

    葉月庵郁斗

  • 風音の賑やかなこと余寒かな

    たかはし千百

  • 一刷毛の紅差す鼓動余寒なほ

  • ガリガリとのど飴砕く余寒かな

    桂子

  • コストコの満車ぐるぐる余寒かな

    みなみはな

  • 二度鳴らすりんはレの音余寒あり

    オキザリス

  • 銀だこの列の夫待つ余寒なり

    服部勝枝

  • 今日は帰るまい余寒のヘッドフォン

    五味海秀魚

  • 燃料のごと酒に咽せ余寒なお

    オニチョロ

  • 詩を綴る余寒の指を手で包む

    葉るみ

  • 射的場貸し切りでパン余寒の夜

    羅美都

  • 母逝きてはやひと月と知る余寒

    たかみたかみ・広ブロ俳句部

  • 重文の仏像一体余寒かな

    老人日記

  • ポタージュのとろみの渦へ余寒溶く

    月待 小石

  • 留守電に母のため息余寒なほ

    星月彩也華

  • 廃校やアンモニアのごと余寒

    深町宏

  • 旧友を通す仏間の余寒かな

    キッカワテツヤ

  • 積ん読の寝間に崩れし余寒かな

    志きの香凛

  • ハイヒール返品帰路の余寒かな

    月枝いと

  • 青空と木末カーブミラーに余寒

    梅朶こいぬ

  • 手に余寒海峡仰ぎ走るチャリ

    丘るみこ

  • 鳴き竜のまだ鳴き出さぬ余寒かな

    太平楽太郎

  • 骨折の妻のベッドにゐし余寒

    八尾の正吉

  • 乳吸うてこぶし握りて余寒かな

    西野桃果

  • 東京へ高速を踏み込む余寒

    司啓

  • 終点と車掌に揺すられて余寒

    白猫のあくび

  • 三品を供ふ仏間の余寒かな

    香羊

  • 体にバネ埋めて余寒の街をゆく

    桃園ユキチ

  • 余寒の国道啄まれる死骸

    夏雨ちや

  • 傷ついた傘のセロファン剥く余寒

    白玉みぞれ

  • 延滞三日目余寒のコイントス

    柴田藤安

  • すこしだけ余寒に耳を噛ませをり

    比良田トルコ石

  • コロナ四日目いまだに余寒なんだとさ

    ぜのふるうと

  • 本漁る神保町の端に余寒

    紫小寿々

  • リフレイン余寒の中の沁む心

    松元転石

  • 煎餅を噛む音高き余寒かな

    丸山隆子

  • 返されぬままの乱歩よ余寒なほ

    咲間元文

  • チケットは売り切れ雨の街余寒

    鈴白菜実

  • 坂道の轢死の牙に白き余寒

    橋本有太津

  • 余寒とは酸いコーヒーの檜皮色

    横縞

  • エリーゼのために余寒の街ピアノ

    横山雑煮

  • 浦暮れて鱗ひかる余寒かな

    能研ショテカ

  • 夜な夜なと埋まらぬパズル程余寒

    松風花純

  • 理科室の余寒友との蒼き日々

    楊梅江風

  • 棺には明るき花を余寒かな

    朗子

  • 譲渡会保護猫鳴いて鳴く余寒

    伊沢華純

  • 男湯にベビーベッドのある余寒

    あいだほ

  • 余寒なり便座の蓋が開いている

    猫ふぐ

  • 納骨の粉骨舞い上がる余寒

    どくだみ茶

  • 文絶えてポストの底の余寒かな

    たつき

  • 教習の車余寒の国道を

    山吹なお

  • 寝床から厠へ通ふ余寒かな

    そめやまさみ

  • かはたれに足踏み余寒の国道

    はたやま こう

  • 書き置きの細字の楷書余寒あり

    石神湖畔

  • 消灯の療養病棟余寒あり

    細木さちこ

  • 日めくりを破りし朝の余寒かな

    大西秋桜

  • 余寒なほチーズの銀の包み噛む

    伊藤恵美

  • 塩の道余寒抱えた瞽女の足

    桂葉子

  • 発熱の寝室いつぱいの余寒

    旺上林加

  • 跡継ぎの読経長し余寒かな

    田辺ふみ

  • 日浴びる薪割る二人余寒かな

    増田楽子

  • 迷いつつ桝目を埋める指余寒

    南波舟

  • 余寒のポスト迷惑なDMがまた

    Nakahara結月

  • 処方箋握りしままの余寒かな

    ぶうびい

  • 石垣の修復つづきたる余寒

    可笑式

  • 抱擁は余寒のなかに熔けるバター

    シュレディンガーの獏

  • 遮断機へ残響遠き余寒かな

    桜月夜

  • ゴジラ吠ゆ余寒の銀座四丁目

    周防の鼠

  • 鳴り龍に柏手を打つ余寒かな

    藤 レイ

  • 吊り下がる魚の揺るる余寒かな

    上津 嘉子 

  • 傾けて閉じぬ人形の眼や余寒

    樫の木

  • ドアベルの余寒マスター準備中

    大岡秋

  • ダイナーの鏡に残る寒さかな

    吉田涼太@

  • 包丁が人差し指を切る余寒

    うさぎ柚和

  • 折れ線の振り幅小さくなる余寒

    黒蜜きな子

  • 三回忌終へて余寒の栞抜く

    松山めゐ

  • 霊峰の透き通りたる余寒かな

    山内 負乗

  • 鍵盤に残る寒さや老楽士

    夏埜さゆり女

  • 両替す余寒のコインランドリー

    織部なつめ

  • ランニング信号待ちの余寒かな

    わたり 和

  • 上履きの片方の無き余寒かな

    高橋寅次

  • 余寒なほ埴輪の眼窩黒々と

    山田蹴人

  • 身の内の骨こきと鳴る余寒かな

    龍田山門

  • 余寒あり人生四億五十年

    藤鷹圓哉

  • 捨てられぬ時計狂つてゐる余寒

    関津祐花

  • 白湯で飲む小青龍湯なほ余寒

    中岡秀次

  • 余寒なほ花卉店はもう消えてゐた

    孔明

  • 花街の濡れたる路面てふ余寒

    広木登一

  • ロウソクの照らす仏間の余寒かな

    小湊 八雲

  • 強らかなる円空仏にある余寒

    みらんだぶぅ

  • 非常階段余寒の微炭酸

    Vn 花のん

  • 右クリックの効かないマウス余寒嗚呼

    里山子

  • 二台目の救急車過ぐ余寒かな

    高山佳風

  • イエスマンばかりの会社出て余寒

    野地垂木

  • 喫水のしづかに下がりゆく余寒

    ぐでたまご

  • 遺品整理や余寒の竜頭手に馴染む

    七瀬ゆきこ

  • 鐘の鳴る村の集いの日の余寒

    下條ちりり

  • 残業や余寒の部屋の暗き黙

    ももたもも

  • 余寒あり手のひらに熱去らぬまま

    ちゃうりん

  • 空低くなる古時計鳴る余寒

    豆くじら

  • 子を寝かし喧嘩を延期して余寒

    植木彩由

  • 通知表の文言削る手の余寒

    苫野とまや

  • もつ煮屋の屋台消え去り余寒かな

    花和音

  • 自販機のゴトン余寒の港町

    海乃一夏

  • 篩の目にまとわるひげ根余寒かな

    ふわり子

  • 正義とか常識だとか問うて余寒

    三無季生

  • 待つ人の無き窓ガラス余寒かな

    遊羽女

  • 余寒つれランナーたちの怒涛なり

    松本俊彦

  • 猫の瞳の白く濁れる余寒かな

    水須ぽっぽ

  • 同志逝く街は余寒と騒色と

    篠雪

  • 闇夜の救急車余寒の赤色灯

    一井蝸牛

  • 終日の曇に余寒点く灯

    高見艀舟

  • 委任者代理人代筆者余寒

    飯村祐知子

  • 余寒の夜ひとりの家の施錠音

    藤咲大地

  • 意に添わぬ引越しの箱積む余寒

    麗し

  • ほとばしる水路濁れる余寒かな

    国東町子

  • 残業のレンジに真顔ゐて余寒

    桜鯛みわ

  • 予約時刻過ぎて余寒の外廊下

    沢拓庵◉いつき組カーリング部

  • 朝練の鉄扉に残る余寒かな

    春よ来い

  • 左手で心音を聞く余寒かな

    きべし

  • 幌上げて余寒切り裂く赤ポルシェ

    兵頭紫峰

  • 剥製の猿の目聡し余寒かな

    和緒玲子

  • 募金箱持つ手も入れる手も余寒

    さくら悠日

  • パイプ椅子並ぶ講堂余寒なほ

    雨李

  • 窯出しに一呼吸をく余寒かな

    吉谷地由子

  • カーテンと窓のあひだの余寒かな

    そめいゆ

  • 「豚汁はサービスです」と余寒かな

    陽花天

  • 残業のヒールに響く余寒かな

    松坂 コウ

  • 夜遊びのおやつ余寒のローソンへ

    帝菜

  • 一枚の舌の裏にも余寒あり

    山崎なお

  • 消し忘れの部室余寒の放課後

    ペトロア

  • 散歩道のシャッター揺れる余寒かな

    八光地蔵

  • 蒼天にジェット一筋余寒かな

    殿さまペンギン

  • 吊り橋を歩すれば揺れる余寒かな

    三天朱印

  • 別室の余寒余談をカウンセラー

    さく砂月

  • 散髪を終へて余寒や盆の窪

    一日一笑

  • 名画座を出でて余寒の二人かな

    武田ラーラ

  • ギターの弦ゆびに食ひ込む余寒かな

    はごろも856

  • 朝チョークキック三発余寒かな

    定位置

  • 余寒とはうらはらな恋めけるもの

    森脩平

  • 唄ひだしさうに柩のなか余寒

    ろまねす子

  • 余寒なり既読なき役員LINE

    快晴ノセカイ

  • 湯気たてて馬の尿する余寒かな

    工藤悠久

  • 青空個展の裸婦画に尚余寒

    鳥不驚

  • 老僧の袈裟のこわばり余寒かな

    井上美月

  • 寄道の母を迎へに町余寒

    西川由野

  • 継ぎ目ない時間流れる余寒あり

    蘇子

  • 入浴剤値引シールの余寒かな

    梅世耕

  • 見入るうちに余寒そのものサインポール

    星田羽沖

  • 病む母の髪のみだれをとく余寒

    風蘭智子

  • 健診の紙で指切れたる余寒

    新樹番人

  • 鼻頭よりだんだん滲みる余寒

    全美

  • 余寒なほ手帳に×を書き付ける

    緩木あんず

  • 逆上がりの指導鉄に余寒なほ

    窪田ゆふ

  • 不揃いのチベタンベルの音へ余寒

    野井みこ

  • 余寒なほオルガニートを繰る指に

    音羽凜

  • チロルチョコつまむ余寒の門くぐる

    たけろー

  • どう見ても電話してゐるふり余寒

    倉木はじめ

  • 買い置きの味噌の重なる余寒かな

    蓮田 つばき

  • バラードの余寒の硬き弦弾く

    ふみづきちゃこ

  • 余寒の酒酌むやまた詩の話など

    杏乃みずな

  • 踝の靴下や足首の余寒

    祐 紀杏里

  • 潮風や揺れる幟に余寒見る

    二階堂詠介

  • 風の中答は見つからず余寒

    一雁低空

  • ソナチネは硬き音色となり余寒

    河村静葩

  • 飛び立てぬ唐門の鶴余寒なほ

    小池令香

  • イヤホンは死角余寒の空返事

    石田将仁

  • 宗教をひとつ断る余寒なり

    三尺玉子

  • 外階段の靴音加速する余寒

    みつれしづく

  • ノズルより迫り出す余寒なるリンス

    さくさく作物

  • 装丁の深緑中公新書に余寒

    ピアニシモ@金カル

  • 野放しのごとき余寒に我が足は

    赤馬福助

  • 塀沿いに除草剤撒く余寒かな

    天野若花

  • ライトカバー虫の墓場のままの余寒

    久米穂風

  • 代理人署名余寒の塵のかげ

    加座みつほ

  • 「ただいま」と言ふ君の手に余寒あり

    下野海

  • 余寒なる抽選会の長きかな

    鷹見沢 幸

  • 亡き母の踝きれい余寒かな

    本村なつみ

  • 日の落ちてローカル駅の余寒かな

    寺嶋杳杳

  • ねんごろに去るや余寒の譲渡会

    清水 三雲

  • 伏す前のままの暦にある余寒

    有野 安津

  • からくりの肘の上がらぬ余寒かな

    内藤羊皐

  • そっと寄る野良猫余寒のなで声

    白山一花

  • 剥製のつばさ余寒のミュージアム

    すりいぴい

  • 明日は雨薄いタオルを使う余寒

    綿鍋雪

  • 母の目の予後問う電話余寒なお

    柚木みゆき

  • うめきたの無人の重機余寒の夜

    てつなお

  • 山里の梵鐘鈍き余寒かな

    是空

  • 朝夕に薬十錠飲む余寒

    ひろ志

  • 余寒かな北野の絵馬はぎょうさんに

    うに子

  • 手離せぬ小物の多き余寒かな

    池田  凜

  • 半音の上がる余寒の立ち話

    そうり

  • 昨日まで愛車在りし場所余寒なり

    鳴海沓子

  • 空き箱となったティッシュを積む余寒

    はっしー

  • ブルペンに砂舞う余寒河川敷

    馬門宗太

  • 羊羹の端のざらざら余寒なほ

    さとうナッツ

  • 支援へり軽き帰還の余寒なほ

    長操

  • 余寒撫づ修正液の跡の凸

    加良太知

  • CTの癌再検査余寒かな

    石川順天

  • 送別のどちらも台詞めく余寒

    原 水仙

  • あさぼらけ写経に残したる余寒

    モッツァレラえのくし

  • 愛猫の睫毛も覆ひたる余寒

    云々 美雲

  • 葬式の受付に来る余寒かな

    富山湾

  • 余寒なお空っぽを満たす術なき吾

    みうら朱音

  • 頑張るな数字落とすな余寒また

    黒麹 糀

  • ピーラーの走る余寒の膚かな

    卯月紫乃

  • 後5キロの距離余寒のツーリング

    テラゴン

  • ドアベルのカラコロ会えぬ日の余寒

    きのえのき

  • あのフォークシンガー囲む余寒かな

    小木さん

  • 縁切れしをとこの眼鏡余寒なほ

    佐藤さらこ

  • 鳶の声低く途切れる余寒かな

    花南天anne

  • 余寒なほ焙煎の豆香り良し

    吉田わさび

  • 床上げの鯉濃恋ふる余寒かな

    すがりとおる

  • 電鋸がうなる余寒の並木道

    ほしのあお

  • 卵白の泡立つまでは余寒かな

    空山プラネタリウム

  • 承諾書二枚三枚書く余寒

    沼宮内 かほる

  • ワイパーは重し余寒の縦貫道

    うみのすな

  • ぎぎぐぐとワイパー硬き余寒かな

    川越羽流

  • 手術日の決まらず新聞みる余寒

    よみちとせ

  • 寝床より鼻の寂しき余寒かな

    立山穂高

  • じんじんと脛の疼きに余寒あり

    橋野虎空

  • ホームドアただ銀色の余寒かな

    戸井島はな

  • 余寒なほ斜面に津波到達線

    多々良海月

  • 余寒なほ同居を打診の唇

    阿山きし

  • 雨後の庭おちし滴に余寒あり

    カジマ木犀

  • 余寒なほ鍵の開かない古日記

    ふじこ

  • ミシン踏む余寒の闇の凭れつつ

    あるる

  • 金剛の頂とぼる余寒かな

    木村ひむか

  • タワークレーン数多都心の余寒かな

    伊予吟会 玉嵐

  • 寄席を出るひと風受けし余寒かな

    滝美音

  • パラボラで受くる異国語余寒あり

    久里尋太

  • 銭湯の黒煙は余寒へと果て

    まるかじり

  • AIの無音に綴る余寒かな

    ほこ

  • 米一合研ぐ二拍子に棲む余寒

    歯科衛生子

  • 駅伝の去りし通りの余寒かな

    阿部油

  • 棺桶の隅に余寒と宝物

    山口葵生

  • 遠方へ見送る戸口なほ余寒

    上山凡仁

  • 廃棄待つダンボールハウスに余寒

    水蜜桃

  • 散歩より余寒の鼻のもどりけり

    愛燦燦

  • 母の立つお勝手広し余寒かな

    小和布

  • 缶積みて自転車行くや余寒の朝

    亀亀子

  • 余寒なり平山郁夫の色使い

    あらかわすすむ

  • 余寒てふ空ひろがりぬ駿河台

    林省造

  • 直されぬままの石橋余寒なほ

    峰 乱里

  • 病む妻の声嗄れ果てる余寒かな

    遅狐歩

  • 忌明けて線香を消す余寒かな

    フージー

  • 新橋の九時の屋台にくる余寒

    ちょくる

  • 約束は昨日余寒のせいにする

    高瀬瑞憲

  • 医者の声とおく余寒の手術台

    えいぎょ

  • 余寒まだ八十路となるも無神論

    新濃 健

  • 釣銭で買いしコロッケ余寒なほ

    砂山恵子

  • はとバスの名所着くたび余寒かな

    小田毬藻

  • 炊き出しのカレー余寒の膜破る

    多数野麻仁男

  • 割れたまま掠れたままの路余寒

    かねつき走流

  • 度の合はぬ眼鏡の奥の余寒かな

    岡井風紋

  • 鶴亀の蓋の吸付く余寒かな

    ふのんへん宗悟

  • 父逝きて海鳴りの街吹く余寒

    藤 正風

  • 遷化の葉書静寂のち余寒

    石岡女依

  • 余寒なほ最後に拾ふ喉仏

    リカ

  • 同意書を医師へ捧げて余寒あり

    主藤充子

  • 花時計余寒に遅れ二三分

    芋 二郎

  • ヤギ小屋の小ヤギ軽やか跳ね余寒

    梨山碧

  • 旅程表修す余寒の円安よ

    瀬央ありさ

  • つり革に訃報のバイブ余寒あり

    伊ナイトあさか

  • 母の忌やロシアンティーに余寒なほ

    霧 澄渡

  • 朝市の跡覆ひたる余寒かな

    羽柳武助

  • 同居人は結婚余寒のソファ

    三隅 涙

  • しわがれた反戦歌哭く余寒の夜

    藤いろにか

  • 余寒なりバッハは睡眠導入剤

    虎堂吟雅

  • 余寒なほ御殿場に行く自衛隊

    斉藤百女

  • 余寒なほ時折疼く手術跡

    玲風

  • くちびるの疲れあらはる余寒かな

    小園夢子

  • 月に海網膜に影余寒染む

    紫水晶

  • オペ室に胎盤どんと座す余寒

    白子ポン酢

  • 始発バス行くテールライトの余寒

    山川腎茶

  • ギイという郵便受けに余寒あり

    紅塩寝子

  • 余寒なほ北を向きたる風見鶏

    あさぬま雅王

  • 心音の穿つ踊場余寒かな

    鈍亀

  • 蹲に余寒がひかり閉じ込めて

    コモドドラゴン

  • 指先に都会の余寒纏ひつく

    宮井そら

  • 蹲の手水一杓余寒かな

  • 粉薬胸につかへてゐて余寒

    夏湖乃

  • 深紅の霊力余寒の鉄パイプ

    土佐藩俳句百姓豊哲

  • いつまで余寒いつまでもこの余生

    伊江かつじ

  • 二で割って余る温度の余寒かな

    星醒

  • 余寒の渋谷ジーンズに浅き穴

    藍創千悠子

  • 結局は出前を頼む余寒かな

    野州てんまり

  • 余寒かな思ひ出と言ふ不老不死

    リーガル海苔助

  • 余寒かな郵便受けに手を入れず

    紙威楓

  • 新人の居ない余寒の会社哉

    山尾政弘

  • 終点へひとりとなりしバス余寒

    英子

  • はじかれしおはじき一つ余寒かな

    茅々

  • 朝市に鎮座まします鯛余寒

    宮沢 韋駄天

  • 薔薇窓を抜くる余寒の色深し

    村瀬ふみや

  • 遠吠えに起床急かるる余寒かな

    増田 昴

  • 余寒なり引率先はライバル校

    みなづき光緒

  • インク壺にたぷんと青の余寒なり

    林りんりん。

  • 余寒あり園バスまでダッシュダッシュ

    アニマル可秘跳

  • 目眩して余寒の品川駅出口

    安溶二

  • 救心糖衣錠三粒飲む余寒

    朶美子(えみこ)

  • ワイファイの通路を塞ぐ余寒あり

    おぼろ月

  • 余寒あり宿坊深夜のラップ音

    紫鋼

  • 余寒なり痩せし背中に聴診器

    田畑 整

  • 四つ目の姓(せい)名乗る姪余寒空

    宗平 圭司

  • 神楽坂に猫ゐぬけふの余寒かな

    えりべり

  • 塩齧る牛の舌下にある余寒

    青木りんどう

  • 海の無い県からメール「余寒なう」

    星野はいかい

  • 抱かれる吾子や余寒の高架下

    とんぶりっこ

  • 余寒の跫音カルーアミルクをあっためる

    羅蒐

  • 社宅群すべて更地となり余寒

    竜退治の騎士

  • 天秤のひだりに余寒みぎに恋

    草夕感じ

  • 繕ひの玉結ぶ弧の余寒かな

    比良山

  • デッサンの指に余寒やパンを練る

    三重丸

  • 街宣車角を曲がつて行く余寒

    うめやえのきだけ

  • ロケ余寒バンジー飛ぶまで帰れません

    あらい

  • 生き死にをジャッジする余寒のスマホ

    青海也緒

  • 羽根ひとつ旅立ちさうな余寒かな

    恵勇

  • 分校の朝礼の列余寒なほ

    田中美蟲角

  • 点滴の針に強ばる皮膚余寒

    ノアノア

  • ちさき君の強き鼓動をたどる余寒

    夢雨似夜

  • 繋ぐ手のひらのあはひの余寒哉

    片山蒼心

  • 待合室時計の音のみ余寒

    石垣ようせい

  • まだ温きポン太を強く抱く余寒

    いくたドロップ

  • サンドレッド手繰りて安堵の余寒かな

    浪速の蟹造

  • カット屋の週刊誌開く余寒かな

    S・葉子

  • マナー音闇揺らめける余寒かな

    島田ポン吉

  • 帰宅して余寒を少しおすそわけ

    香田ちり

  • 商店街途切れるあたり余寒の灯

    木寺 仙游

  • 箏はじき余寒に浸す指となる

    月石 幸

  • 見本めく寄書き貰ふ余寒かな

    秋月

  • 水揚げの声も静まる余寒あり

    みつき 夏

  • 騎馬像の護る余寒の天守跡

    酔下弦

  • 風切るバイク余寒の再配達

    四丁目

  • 病棟に雲の流れて余寒かな

    後藤三梅

  • 彼奴の死SNSで知る余寒

    えりいも

  • 子持石抱き余寒の村の路

    辻野 花

  • 余寒なおチョコの苦さを持て余す

    だいやま

  • 余寒かな今日も見かけし猫のこと

    空木眠兎

  • 着衣すべて再生繊維てふ余寒

    伊予吟会 宵嵐

  • 聞かざると言わざるの間に余寒かな

    コイケキクエ

  • パチンコで負けて余寒の駐輪場

    羽光

  • 極彩のランタン仕舞う余寒かな

    竹春エリザベス

  • 余寒あり門を開けると島の路地

    村上薫

  • 売りつくし幟二本の余寒かな

    中田邦光

  • 断食の行に余寒の半跏趺坐

    ちくりん

  • 鐘の音の遠き余寒や二月堂

    るびちゅ

  • 余寒なお壁新聞はケセラセラ

    華風ルナ

  • 苗載せし猫車の手余寒なお

    島田順子

  • 産卵のあとのここここ余寒なほ

    杉尾芭蕉

  • 前髪ぱっつんの二十歳余寒まだ

    藤田味

  • きつく抱く余寒を点す指先も

    松岡拓司

  • 余寒なほこの事件冤罪ぢやない

    さざなみ葉

  • 筆談のペンの掠れを読む余寒

    宥光

  • 燃え滓は音なく崩れ余寒なお

    妹のりこ

  • ここに余寒忙しなく生きる何故に

    ちぅっ。

  • 寝るだけのために使ひぬ部屋余寒

    Kかれん

  • 繰り上げ出発デジタルカウントの余寒

    野山遊

  • 子のひらう石の礫も余寒かな

    柚明楽

  • 生え際に白髪の二三本余寒

    豆柴

  • 空き交番きしむ余寒のパイプ椅子

    前田いろは

  • 明け方や余寒の星たちはジュエル

    花咲明日香

  • うたた寝も達磨座りの余寒かな

    香取扇公

  • 歯磨き粉絞り出すごと余寒かな

    ぐりえぶらん

  • 趣味ばかり増えて余寒の子供部屋

    ぉ村椅子(志村肇)

  • 余寒厳し寄り合ふ午下のドッグラン

    三島ひめばしょう

  • サイレン遠く余寒四◯五号室

    京野さち

  • 丑三つの余寒貫く半鐘音

    みゆむうしば

  • 本日よりシングルマザーとして余寒

    苺井千恵

  • ただ無言名残惜しんでゐる余寒

    はれみちる

  • 母が逝きいまだ余寒が占める臓

    伊都

  • 余寒なほそれでも洗ふ皿と鍋

    ゐるす

  • 魚市場余寒切裂くかすれ声

    松永恕淳

  • 先取りの房総半島旅余寒

    坂 とき

  • 遊具軋み余寒漂う清掃日

    白井 佐登志

  • 駆け抜けて余寒の朝の消防車

    ぎんやんま

  • 避難所を遠慮余寒に犬抱いて

    戸部紅屑

  • 奉る燭に余寒の光かな

    対馬清波

  • 余寒なほ能登にキッチンカーの湯気

    佐藤烏有

  • 「いや正に余寒ですが」と校長は

    西田武

  • 星一つ丁石一つ余寒あり

    たむらせつこ

  • 余寒なお漁港隆起の地震の跡

    夏目たんちゃん

  • 最終便降りて故郷の余寒かな

    菅原ゆう

  • なんもかんも忘るゝ姑(はは)を抱く余寒

    らん丸

  • 遠山に雲の動かぬ余寒かな

    渡邉花

  • 少し濃い今朝のコーヒー余寒かな

    大阪駿馬

  • バス停の行列揺るる余寒かな

    楽和音

  • 一人居て奥歯噛む日の余寒かな

    笑松

  • 乳鉢に砕く猫の餌余寒なほ

    中里 凜

  • 履歴書の返送さるる余寒かな

    紅三季

  • 松籟の余寒潮の香きりきりと

    葦屋蛙城

  • 駅前の五時ぶら下がる余寒かな

    花紋

  • 余寒なほ高足膳の作法訊く

    北乃薫衣草

  • 永遠に予習してゐる余寒かな

    中山月波

  • 閉業の長蛇余寒の映画館

    千代 之人

  • 唇を濡らし余寒のコルネット

    いたまき芯

  • 立ち食いのうどんに一味ふる余寒

    だっく

  • 脳味噌のぎゆるとねぢれる余寒かな

    沢井如伽

  • 余寒の霹靂マストドンの咆哮

    富士桜花

  • 旧約の金字剥げたる余寒かな

    森器

  • 傾城の硝子くもらす余寒哉

    喜多輝女

  • 夢殿に灯り火ひとつ余寒かな

    reion

  • ISS過ぐ薄明の余寒かな

    高木石塊

  • 会いに行かない人の波余寒かな

    青みどり

  • 余寒なる駅前名菓焼きあがる

     むらぴ

  • 電気来て明日水通る舎よ余寒

    雪さやか

  • 余寒にて窓にしたたる水の線

    武知小雪

  • 月曜のメトロ出でれば余寒なり

    大谷如水

  • 青墨の滲み余寒の筆立てて

    岡山小鞠

  • すべり台余寒の雨の滑りおり

    山田蚯蚓

  • 盛塩に残る指痕余寒なほ

    木村隆夫

  • 地図を持ち余寒の絡む一人旅

    谷 道悦

  • 補聴器を取り落したる余寒かな

    でんだ浜千鳥

  • 仄暗き格子余寒の仁王像

    清瀬朱磨

  • 大仏の胎内に在る余寒かな

    こもりく

  • 呉服屋の暗き玻璃戸の余寒かな

    おかげでさんぽ

  • 被災地のアンテナショップ余寒なほ

    夏 しのぶ

  • 逆縁の通夜の一服余寒かな

    安春

  • 枝打ちの鉈の食ひ込む余寒かな

    田村利平

  • 招き猫余寒の棚に畏まる

    岩田遊泉

  • 定まらぬ未来や余寒の十五歳

    瀬戸ゆらり

  • 梵鐘の帰路を茜に染む余寒

    清水明美

  • ラヂオでは株価早口尚余寒

    亀山酔田

  • 余寒かな庭の砂利道音荒む

    蒼き鷹

  • 部室の余寒残された自画像

    玉野汐音

  • 「笑いの電話」依頼百件余寒かな

    佐々木のはら

  • 母の家に味噌汁作る余寒かな

    渡辺十把 

  • 幕張や余寒も夢の一小節

    平山仄海

  • 動く雲動かぬ雲の余寒かな

    ふんちん

  • 余寒なほ君の高さのピアノ椅子

    まちる

  • 病状を問う人も無き余寒かな

    小島やよひ

  • 余寒なほ仮設住宅木の香して

    田村 宗貞

  • 余寒ゆく吾を窺う猫五匹

    小山 晃

  • 残業の図書室余寒あり佇立

    緑茶花

  • 居酒屋のぐるり一町余寒なほ

    くずもち鹿之助

  • 理科室の引っ掛かる戸ぐるま余寒

    吽田のう

  • 愛猫の命日に添ふ余寒かな

    三好一彦

  • 抱き枕の柴犬笑ふ余寒かな

    柴桜子

  • 朝ぼらけ名残りの星の余寒かな

    中井無心

  • 野球少年余寒を払ふ素振りかな

    虎穴虎児

  • 澄み増さる天正疎水余寒かな

    ときめき人

  • 作業場の木端くべ入る余寒かな

    君島笑夢

  • 手水舎の龍の吐きたる余寒かな

    松葉学而

  • 第五番凶「待ち人は来ず」余寒

    山くじら

  • 宮崎の余寒スイングして日の出

    松本独り

  • 午前四時脈に手を遣る余寒かな

    宝塚御殿子

  • ひとまわり大きく根張る余寒かな

    マタネ

  • あの余寒大観音の背に潜む

    町神

  • 薮医者の言葉を濁す余寒かな

    谷本均

  • 鋏鳴る庭師二人の余寒かな

    夏 六葉

  • 肌を食む余寒のマゴットセラピー

    岡根今日HEY

  • 釣具屋ののぼりせわしき余寒かな

    斎藤さんけん

  • 出勤の自販機包む陽の余寒

    渥美 謝蕗牛

  • 余寒の病棟缶コーヒーごとん

    伏見丹耶

  • センサーの夜灯戸口に余寒の影

    靫草子

  • 半世紀ぶりや余寒の新京極

    愛柑

  • 南極の魚も旨いとか余寒

    なか かよ

  • 通院日ざくざく道の朝余寒

    ルーミイ

  • 服薬の減ることも無く余寒かな

    露崎一己句

  • くるくると水抜きの渦余寒なほ

    dragon

  • 余寒余寒悪因悪果を考証

    水鏡新

  • ワイヤレスイヤホン余寒の雑音

    矢橋

  • 余寒のカンバス桃色のパンプス

    落句言

  • 切盛りのバイト余寒の深呼吸

    小林昇

  • 村余寒焼鯖定食コーヒー付

    大塚迷路

  • 祭壇の共鳴長き余寒かな

    赤尾実果

  • レコード盤の溝の飛び飛びして余寒

    舟御前@ノエル

  • 線香を焚いて余寒の灰崩る

    小川都

  • 夫逝きて我に寄りくる余寒なほ

    卑弥呼

  • 渋滞に呑まれ余寒の救急車

    夏立也

  • 余寒かな食指の先に小さき罅

    恋瀬川三緒

  • 町会の新役員の余寒かな

    青い空加納

  • 琴の絃浅く戻りし余寒かな

    福田みやき

  • ひだまりの隙間に余寒の穴ありて

    空流峰山

  • お手玉を三つ落として余寒かな

    大野美波

  • 薬塗る背に余寒のひと日過ぐ

    浩子赤城おろし

  • 昇降口余寒だれかのリコーダー

    西野誓光

  • 余寒なほぎこちなきババロアの揺れ

    あねもねワンヲ

  • リスザルは居留守余寒の動物園

    かなの りえこ

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