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中級者以上結果発表

2024年1月20日週の兼題

余寒

【曜日ごとに結果を公開中】

【佳作】

  • 禁足の神庫の陰の余寒濃し

    播磨陽子

  • 糠床の余寒の右手引き上ぐる

    夢見昼顔

  • サドル抜けば余寒の穴のひとつあり

    常磐はぜ

  • 兄嫁と喪服あつらふ余寒かな

    このみ杏仁

  • 空つぽの掲揚ポール打つ余寒

    久留里61

  • 千の窓吾を向く余寒の団地群

    剣橋こじ

  • マヨルカ島雨の余寒を弾き続く

    北欧小町

  • 幾千の稚魚透きとほる余寒かな

    姫川ひすい

  • 残寒やもう無き郷の忘れ方

    風慈音

  • 通夜余寒ボッと灯油の点くにほひ

    にゃん

  • 余寒の夜電気の匂ふドライヤー

    トポル

  • 電飾の骸の垂るる余寒かな

    山本先生

  • 猫のいる漁港にフェリー待つ余寒

    山本蓮子

  • 余寒まだ路上ライブの客まばら

    さぶり

  • ごみの日の烏余寒をのびのびと

    秋野しら露

  • 魚鼓の口あぶく吐きゐる余寒かな

    たこぼうず

  • 転職や余寒のカブにまたがりて

    久保田凡

  • 余寒かな神話は並べて色と欲

    松田てぃ

  • 酒肆を出た顔に余寒の右フック

    吟  梵

  • バリウムの残る躰や余寒の夜

    沼野大統領

  • 地より出で処理水となる水、余寒

    郡山の白圭

  • 無人駅そらと余寒のあり余る

    まんぷく

  • 瓦斯の火のぽぽと余寒を舐め出しぬ

    火炎幸彦

  • 折衷案蹴って余寒のビルの灯よ

    岬ぷるうと

  • 肉片を咥へ余寒の鴉発つ

    三月兎

  • うめちかの余寒五叉路のいづれより

    秋津穂 実

  • ドレーンは抜けて余寒の三分粥

    朝月沙都子

  • セロテープに引つ掻き傷のある余寒

    さとけん

  • 避難所に日がな余寒の塗師でいる

    花亭五味

  • 痩鴉余寒の路の罅へ嘴

    月岡方円

  • 元伊勢の紙垂浄く透く余寒かな

    玉家屋

  • 仁王の眼の力いや増す余寒かな

    渡嘉敷五福

  • 失職の余寒の腹のきゅうと鳴る

    冬のおこじょ

  • まな板の鱗を流す余寒かな

    渡部 あつし

  • 晒されて土は余寒を受け入るる

    そら

  • 腎兪刺す鍼の鈍色なる余寒

    くさ

  • 絡まったエナメル線を解く余寒

    平良嘉列乙

  • 靴紐の蝶になれない余寒かな

    菅野まこ

  • 特急凄まじ余寒の跨線橋

    宮武濱女

  • 縄文の女神余寒の展示室

    渡海灯子

  • 灰色に薄桃色を混ぜ余寒

    秋白ネリネ

  • 老眼や一身上と添へ余寒

    西田月旦

  • 鉄橋を鴉の歩く余寒かな

     銀 次郎

  • 点鬼簿に同じ日付の余寒なほ

    嶺乃森夜亜舎

  • 回転ドア押して余寒のひとりぶん

    佐野明世

  • 町中が水待ちならぶ余寒なほ

    笑姫天臼

  • 黄金の仏に残る寒さかな

    たーとるQ

  • 文春が余寒の中に落ちている

    どいつ薔芭

  • 荷出し終へ部屋は余寒の夜の底

    春那ぬくみ

  • 客船にテープ曳かるる余寒かな

    巴里乃嬬

  • 海鳴りが耳に澱んでゐる余寒

    久森ぎんう

  • 象ゐなくなつた象舎の余寒かな

    晴田そわか

  • ぬか床の野菜の何もなき余寒

    明惟久里

  • 正論に潰され余寒に追われて

    紅紫あやめ

  • 余寒しか出ねえ月末のATM

    元野おぺら

  • バツイチや余寒のモツ煮湯煎せり

    着流きるお

  • 兜煮の眼の真珠めく余寒かな

    RUSTY=HISOKA

  • 墨継の箇所ずつしりと余寒かな

    山田不律

  • 薪を割る一閃余寒深くして

    風早杏

  • みりみりと煙草に沈む余寒の火

    長谷川水素

  • まだまるくならぬひかりを余寒とす

    みづちみわ

  • 余寒なほ薄はだ色の舌下錠

    広島じょーかーず

  • 猿山の喧嘩見下ろす余寒かな

    遠山比々き

  • 湯灌せし軀しづかな余寒かな

    福花

  • 余寒なほ腰のボルトの影白し

    新多

  • 法要の一灯の下余寒あり

    村岡花風

  • 電柱のしずく余寒の黒きすじ

    豊後の李子

  • 戦争を余寒の紐として括る

    ギル

  • 蛍光灯点けよ余寒の形見分け

    蒼空蒼子

  • 先客はふたり余寒の保健室

    平本魚水

  • 湯をつかう音だ余寒の安ホテル

    青水桃々@いつき組俳句迷子の会

  • 草やれば指を突つく鶏余寒

    亜桜みかり

  • 不明者の一覧たどる指余寒

    唯果

  • 鬩ぎあふ湯気よ余寒の蒸しぱん屋

    みやま千樹

  • 山羊小屋に塩の塊余寒なほ

    小池博美

  • 参観日は余寒Z(ゼット)のよみはズィ

    豆闌

  • 九つを打つて余寒の慰霊祭

    キートスばんじょうし

  • 山門の大草鞋余寒の結願

    坂野ひでこ

  • 余寒の夜半エレベーターの鏡の吾

    仁山かえる

  • たなすゑに鮮血余寒まじりゆく

    みずくらげ

  • 象の目の潤み余寒の鉄格子

    城内幸江

  • 酢酸と余寒の臭ふ写真館

    桜井教人

  • 猛禽が距離を測つてゐる余寒

    石上あまね

  • あの色は余寒吸ひこみたる鴉

    橘鶫

  • 余寒強しリップクリーム短し

    シュリ

  • 鶏舎へと消毒液を踏む余寒

    さるぼぼ17

  • 余寒なほ象の鎖を重くせり

    笑笑うさぎ

  • 余寒なり煙草火がなお瓶の底

    ふるてい

  • ただ歩く鳩身中の余寒かな

    北代晋一

  • ジッポーのやたら四角き余寒なり

    北里有李

  • パーマ液頭皮に伝ふ余寒かな

    福原あさひ

  • 上靴の中に余寒と押しピンと

    クラウド坂の上

  • 余寒なほ客間の花器に小さきひび

    かつたろー。

  • 雨きれい余寒を打ちつけてきれい

    古瀬まさあき

  • 早朝の余寒シアター5はひとり

    鬼殻

  • 対象外多し余寒の求人票

    かゐみすず

  • 医師として父の腹水抜く余寒

    星埜黴円

  • 猿山の余寒閉園告げる曲

    大岩摩利

  • 羽撃たずに余寒の羽を縮みをり

    熊谷 温古

  • 影だけが添ひし余寒の骸かな

    浦野紗知

  • 銀の斧ふるへばすさまじき余寒

    渋谷晶

  • 木を穿つ余寒の螺子の右回り

    コンフィ

  • 水甕の昏きひかりや余寒なほ

    天陽ゆう

  • 手を洗ふ余寒の水の捻れゆく

    沖原イヲ

  • 病抜けて残る寒さや息浅し

    青居 舞

  • 余寒なほ被爆樹木の持つ痛み

    河上摩子

  • 余寒いま餌の鼠の子のピンク

    西原露花

  • 薬草茶を煮出すガス火の余寒かな

    とんぼ

  • じゃりじゃりのはちみつ湯煎して余寒

    古都 鈴

  • 高裁へぎゆんと余寒の銀輪は

    渡辺桃蓮

  • 経血の余寒の水に交はらぬ

    津々うらら

  • 糠床に余寒のへたを掴みけり

    華胥醒子

  • 太陽の塔に三つの顔余寒

    高尾里甫

  • E線が残る寒さに共鳴す

    千歳みち乃

  • 余寒の漣さざなみ桟橋を

    としなり

  • 大菩薩峠余寒のタイヤ痕

    丁鼻トゥエルブ

  • 鳩居堂でてきらめける余寒かな

    日永田陽光

  • サボテンのポーズ余寒の運動場

    ノセミコ

  • 曖昧な影曳く余寒のガラスペン

    北野きのこ

  • 採尿のわずかに足りぬ余寒なほ

    塩の司厨長

  • 花束のひりひり匂ふ余寒かな

    眩む凡

  • 外階段の音して帰宅らし余寒

    武井かま猫

  • 余寒なほ被災の漏水菅あらわ

    せとみのこ

  • 倒壊の家に押し入る余寒かな

    菊池克己

  • 東京に慣れず余寒のランドリー

    海老名吟

  • 主取りの牛よ余寒の縄に毛羽

    葉村直

  • 電灯とガス燈照らし合ふ余寒

    石井一草

  • 濁る陽を遠心分離して余寒

    坐花酔月

  • 包丁の脂に曇る余寒かな

    洒落神戸

  • 巻貝の小石抱へる余寒かな

    山野麓

  • 七分のロスタイムとか余寒とか

    あみま

  • 街灯に白し余寒の鉄階段

    山内彩月

  • 戸袋の闇垂直に立つ余寒

    ふもふも

  • 諍いと濁りたる紅茶の余寒

    庭野環石

  • ゐんゐんと月に余寒の響きあり

  • 春の本ならぶ廊下の余寒かな

    どゞこ

  • さかさまのビーカー濡れてゐる余寒

    細川鮪目

  • 黙祷は余寒や波の音もまた

    ぞんぬ

  • 行進の靴に余寒の刃音あり

    山城道霞

  • 余寒の雨ヘバーデン指じんじん

    広島しずか80歳

  • 哲学の終りに余寒てふ消し滓

    ツナ好

  • 弧に伸びる爪や余寒のナマケモノ

    二重格子

  • 爪切りのなかに爪ある余寒かな

    髙田祥聖

  • 余寒なほ体育館の陰のにほひ

    玉庭正章

  • 今朝はまたことさら潮の香や余寒

    しゃれこうべの妻

  • ハーレーのような余寒でゅるんでゅるん

    あさきまほろ

  • 炊出しの湯気やはらかき余寒かな

    俳句ファイヤー立志

  • きしきしと余寒古物に暗き口

    錆田水遊

  • 百均のゴム手ひりつく余寒かな

    加山シンゴ

  • 奥羽路に鳥居幾百佇つ余寒

    稲畑とりこ

  • 新しき電柱孤高たる余寒

    真井とうか

  • 父としてぼそり余寒の裁判所

    酒井おかわり

  • 余寒なほ菜の茹で汁に手を浸し

    空 ひろ

  • 余寒なほ石碑の浅きかへり点

    満生あをね

  • 乗継のホーム短しただ余寒

    大山和水

  • 神饌や裸地へ余寒の杭一つ

    薫夏

  • 川底に鯉動き出す余寒かな

    香依蒼

  • 貝塚の万年分の余寒かな

    沙一

  • 魚さばく余寒の骨に身がのこる

    北藤詩旦

  • 6号線余寒の波の荒立ちて

    星影りこ

  • 余寒なほ七寸壷の湾曲部

    春野ぷりん

  • 弓袋の朱の濃し北口の余寒

    金朋かいと

  • 余寒なり茹でて膨らむ鶏の皮

    あなぐまはる

  • 吊り下げて肉屋の奥にある余寒

    せいち

  • WEB面接カチと退出して余寒

    梵庸子

  • 余寒の朝や仮免のクランク

    名出 結希人

  • ナイロン地硬し余寒のミシン台

    山中 あぎ

  • 低温の火傷の黒き余寒かな

    ほんちゃん

  • 睡魔とか尿意とか廊下を余寒

    無弦奏

  • 木々の根の木霊に屈む余寒かな

    今林快波

  • しりしりと余寒を滑る金の砂

    亘航希

  • aloneを余寒と訳す一人かな

    堀雅一

  • 搾乳器あてる深夜の余寒かな

    空井美香

  • 非通知の履歴余寒の喫煙所

    ゴーマ

  • 龍神の能登半島の余寒かな

    田邉真舟

  • 劇場の外はゴジラの居ぬ余寒

    阿部八富利

  • 余寒の灯漏れて敷金戻らない

    げばげば

  • 地震の神まだここに棲む余寒かな

    蜘蛛野澄香

  • 御免では済まぬハチ公前余寒

    藤田ゆきまち

  • ボイラーの唸り堂々たる余寒

    山羊座の千賀子

  • バスまだか余寒に割れるアスファルト

    嶋村らぴ

  • 八トン車余寒の橋の揺れにけり

    駒村タクト

  • 謝りてしばし余寒の屋上へ

    渡辺香野

  • 管である我よ余寒の再検査

    樋口滑瓢

  • また余寒仮設トイレは十八基

    ふくびきけん

  • 金敷に木槌余寒の作業部屋

    木染湧水

  • 切開の喉唸りあぐ余寒かな

    岡田雅喜

  • コモドドラゴン余寒の舌のまつしろけ

    清水縞午

  • トー横の余寒や黒きアイシャドウ

    宇野翔月

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