【佳作】
牡蠣啜るボードレールの読後感
かときち
牡蠣殻のからから昼の亡国論
蓮井理久
干拓の鉄門寂びぬ牡蠣の黙
佐々木棗
なま牡蠣のその身剥がるるまま不埒
haruwo
牡蠣剥いて牡蠣の形のたなごころ
一日一笑
牡蠣殻の山を貧しき鳥漁る
橋本 有太津
やや歪む鼓膜のごとき牡蠣の襞
広島じょーかーず
牡蠣を割るラジオは昼の憩いかな
上津 嘉子
二番目に重たい牡蠣を譲りけり
たーとるQ
人魚の胃ひらけば牡蠣のこぼれ落つ
佐々木さわら
全集を売りて牡蠣食ふ正午前
三日月なな子
手のひらを余す牡蠣剥く海は凪
けーい〇
放たれて花びらのごと生牡蠣は
ピアニシモ
復縁はぐらかし牡蠣殻の累々
夏草はむ
牡蠣小屋に漏れ聞く再開発話
北野小町
牡蠣殻の白き墓標となりぬべし
斉藤百女
ひだ黒き牡蠣に憂いを知るこころ
播磨陽子
ぶしゅぶしゅと牡蠣泡を噴き香り噴き
そまり
獄たりし島々はるか牡蠣すする
伊藤映雪
牡蠣フライ熱し三十五年ローン
阿部八富利
牡蠣打てば海幸彦の火の匂ひ
ふもふも
たましひのしづかなうつはかきのから
古賀
こじ開くる牡蠣憲法に黙秘権
岸来夢
荒魂に引き揚げ牡蠣の一柱
沼野大統領
秘めごとや牡蠣がのみどをとほるとき
幸田柝の音
何ゆゑに恋をするのだ牡蠣喰らふ
梅朶こいぬ
この牡蠣は腹といふより脹脛
神島六男
牡蠣のぷっくりしたとこかむ勇気
一久 恵
熱燻の牡蠣や閉経痛ちりり
三浦海栗
神々の接吻に腫れたるが牡蠣
広瀬康
牡蠣届く三陸に母再起せり
京有楽草
牡蠣の口ひらくや異類婚姻譚
百瀬一兎
呑む牡蠣五つサトゥルヌスのごとくに
外鴨南菊
生牡蠣や肉盛り上がる能登の月
トマト使いめりるりら
牡蠣を剥くいまも対馬に禁足地
風早杏
一口で飲み込む牡蠣や千穐楽
王朋亡
無数の牡蠣の呼吸漁師の呼吸
まるかじり
牡蠣啜るいろいろありし婆と婆
ま猿
掌は殻の刃先は牡蠣の身の下に
元野おぺら
焼牡蛎の風下に佇ちバスを待つ
ひだ岩魚
我は小屋友は銀座の牡蠣食す
菅原ゆう
月の海思はせる牡蠣捨て場
椋本望生
牡蠣だけを縄文人のやうに食ふ
三河三可
牡蠣割れば空の青さをなんといふ
み藻砂
ゴジラは火を吹く牡蠣はそろそろ蓋が開く
河合郁
腎臓の一つを兄に牡蠣すする
冬のおこじょ
一斗缶の殻つき牡蠣の尖る音
久留里61
梃子といふさびしき力牡蠣啜る
ギル
牡蠣喰らふ吾は海賊より海賊
あたなごっち
じろさんが逝くやしみじみ牡蠣雑炊
森一平
焼牡蠣や死ぬとは手間のかかること
天雅
牡蠣育つ月の分霊箱として
爪太郎
牡蠣を剥く二時方向に貝柱
林真紗湖
ウインチの軋みの止みて牡蠣垂るる
村岡花風
酢牡蠣さへ啜る女になりました
まぐのりあ(蚊帳のなか)
牡蠣の海父の名のつく船を売る
坐花酔月
剥き牡蠣の真水の中に沈みたる
也和
海風に早朝ラジオ牡蠣を剥く
紫檀豆蔵
独り身やサロメのやうに牡蠣啜る
ノセミコ
牡蠣を剥く箆で引き寄す次の牡蠣
清水縞午
焼き牡蠣の蓋取る係果たしたる
ツユマメ・広ブロ俳句部
松島に牡蠣喰ぶラジオは快活
山香ばし
天晴れや手鉤の開く牡蠣の音
球追
牡蠣に舌焼く夜を問はず語りかな
RUSTY=HISOKA
それぞれの擬音で牡蠣を啜りけり
コンフィ
立ち重ぬる波の凝るる牡蠣の殻
富山の露玉
小雨降る据わりの悪い牡蠣ばかり
匹田小春花
牡蠣つるり喉のしづか海のしづか
丸山美樹
フランスの女みたいに牡蠣啜る
中根由起子
たゆたひて月光に牡蠣太りゆく
三月兎
燈台は夜のくさびよ牡蠣啜る
げばげば
大臀筋強し牡蠣殻堆し
みづちみわ
満潮は栄華のごとし牡蠣すする
北村 環
牡蠣殼に波濤の荒さ火のあらさ
夏風かをる
ちちははにサロマの牡蠣てふ深き溝
七瀬ゆきこ
乳色の雫のかたち牡蠣食はん
中岡秀次
豪快に牡蠣焼いてゆく火の座かな
野中泰風
海くさい海くさいねと牡蠣を焼く
猫ふぐ
蒸し牡蠣の白や龍たち老いにけり
あやっぺ
牡蠣を待つ港炭火はもう盛ん
木ぼこやしき
牡蠣啜る海はひつそり飢えてゆく
すまいる そら
犍陀多も斯くやと牡蠣を切り落とす
長谷機械児
牡蠣の身の白し憂いの壁白し
さおきち
銀河焼くごとく真牡蠣をならべけり
葉村直
牡蠣焼くや亡夫の姓の遠くなり
いさな歌鈴
脱貝機回転船を擦る真牡蠣
ぜのふるうと
銅鑼の音や佐渡を右手に牡蠣すする
ちびつぶぶどう
たましひはしたたるかたち牡蠣啜る
常幸龍BCAD
牡蠣食うて論ず大陸移動説
砂山恵子
牡蠣食えば吾は清らな海の丘
丁鼻トゥエルブ
海神の歪みし善意牡蠣となる
世良日守
すべやかや喉ぼとけなき喉を牡蠣
飯村祐知子
舌すべる牡蠣やまなうら撫づるかに
伊予素数
牡蠣フライは二個こうふくの限度額
渋谷晶
かきのから海のひかりを百層分
万里の森
牡蠣焼くやモーツアルトを聴く醤油
一井蝸牛
牡蠣すすりたぶんもう会わない旧友
ツナ好
牡蠣小屋に牡蠣投げるなり朗らなり
刈田陽子
煮詰まった牡蠣は恋愛依存症
窪田ゆふ
綿津見を孕む如くに牡蠣太し
松山松男
海捧ぐ形にたわむ牡蠣の殻
北野きのこ
夜の深き襞や独居に牡蠣食らふ
音羽凜
牡蠣を食ふ以前口論した人と
あみま
左手に二重の軍手牡蠣はふはふ
あまぐり
牡蠣ぶら下げて夕どきの呉の坂
久森ぎんう
生牡蠣の喉つややかに落ちにけり
久保田A
黒き土間海聴くやうにに牡蠣を剥く
杏乃みずな
啜り食うて殻また牡蠣を産みさうな
眩む凡
まずなにもつけずに啜る牡蠣おほき
ふるしょう福花
老ゆるは楽し牡蠣の年々旨くなり
たかみたかみ・いつき組広ブロ俳句部
牡蠣くへど熊の話になりにけり
栗山おかか
渡し舟近づく度に牡蠣焼かる
あねもねワンヲ
開かるる牡蠣の身の光ふるふる
安達りんだう
次回の兼題も
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