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中級者以上結果発表

2021年4月1日週の兼題

春暑し

【曜日ごとに結果を公開中】

特選

  • 春暑しスクールバッグてふ鈍器

    倉嶋志乃

    選者コメント

    夏井いつき

     新学期からやや経っての春の暑さ。分厚い教科書を何冊も入れた「スクールバッグ」は実に重いのです。ふざけて振り回すとマジ怪我する、と思った瞬間に「鈍器」という言葉が浮かんだのでしょうか。学校現場の「春暑し」の実感。湊かなえさんのちょっと恐ろしい小説の世界を見せられたような気がして、ドキッとした作品です。

  • 換毛は春の暑さを浮力とす

    世良日守

    選者コメント

    夏井いつき

     犬や猫などの換毛期は、春と秋の年二回。夥しい毛が抜け新しい毛が生える「換毛」は、春の暑さが「浮力」となっているのだ、という詩的把握に惹かれます。ふわふわと生えてくる夏毛の手触りを思うと、「浮力」という比喩の一語にリアリティも感じます。「換毛」という現象を使って、季語「春の暑さ」を表現した意欲作です。
  • 春暑し訓練のさすまたにゐて

    ツカビッチ

    選者コメント

    夏井いつき

     「さすまた」は、不審者が刃物をもって乱入してきた時に使う防犯道具。学校や幼稚園でこんな「訓練」が行われるのも、まさに「春暑し」の頃です。この句の巧さは、「~にゐて」という措辞だけで、この人物が犯人役として「さすまた」に挟まれているのが分かること。季語に託した心理描写も読み手にしっかりと伝わります。

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