【佳作】

• 春暑し妊婦は坂をたしなめる

  冬のおこじょ

• 春暑しきりんを洗う当番日

  魚返みりん

• たこ焼きに春の暑さを移しけり

  ひでやん

• 春暑し防犯ブザー誤作動す

  千波佳山

• 教師踏む休校の砂春暑し

  布村恵子

• 春暑し職安裏のラーメン屋

  丹波らる

• 春暑し揺れゐる市旗に昼のベル

  光本弥観

• 春暑し海の匂ひの弁天堂

  さいたま水夢

• 春暑き日の昼飲みのハイボール

  Q&A

• 「B」型の不足してます春暑し

  そうり

• 春暑しゆるゆるよける鳩の群れ

  佐々木のはら

• 奴のスライダーはもう打てるはず春暑し

  中原柊ニ

• 春暑し水しみわたる象の皮膚

  天の川ーズ　ひこぼし

• 春あつしをびれのなごりまた疼く

  海野碧

• 春暑し鴉また来る凸面鏡

  木村ひむか

• 春暑し毛沢東のミイラかな

  幸久

• 春暑し膨らむ鯉の浮き袋

  トポル

• 春暑し夜は日本語教室へ

  おきいふ

• かに玉のあんの重力春暑し

  さとけん

• 春暑し稼ぎ頭のパンダカー

  ひなた和佳

• 春暑し透ける僧侶の絹衣

  HNKAGA

• 受話器置く春の暑さに独りかな

  三泊みなと

• ひび割れたタイルひんやり春暑し

  中村すじこ

• 春暑し東西線の朝７時

  田村利平

• 春暑し寮に干さるる襤褸胴着　　

  幸田柝の音　

• マンボウノ舵ビレ尖ル春暑シ

  ありあり

• 春暑し祝辞のメモが見付からぬ

  Kかれん

• 春暑しまだスッピンの歌舞伎町

  たま走哉

• 万博の黒い太陽春暑し

  ウィヤイ未樹

• 春暑き砂場の山の肥りゆく

  足立智美

• お手本のやうな虐待春暑し

  山本先生

• 我もまた獣の括り春暑し

  ほしのあお

• 春暑しどるんどるんと川淀む

  清白真冬

• 聞こえないラヂオの余熱春暑し

  平本魚水

• Tシャツにキリンの貌や春暑し

  竜子@ノエル

• さかな屋の水の匂ひや春暑し

  宗本智之

• 死ぬ話しと働く話し春暑し

  村上優貴

• 春暑し風にどくんと首の脈

  じゃすみん

• 古釘の図太きを抜く春暑し

  也和

• 吊革を掴み損ねて春暑し

  あさのとびら

• 鼻髭の区長は喪服春の汗

  上津　力

• 春暑し三池炭鉱組合旗

  八幡風花

• 事務さんを旧姓で呼び春暑し

  白プロキオン

• 空耳は潮騒のせい春暑し

  かえるしろ

• 石室の隙間にひかり春暑し

  遠音

• 同意書の文字の多さよ春暑し

  根本葉音@花芭蕉句会

• 春暑し昼の蕎麦屋の二階席

  あつちやん

• たぷたぷと水の摩擦や春暑し

  蒼鳩　薫

• 撤饌の果は濃き匂ひ春暑し

  青田奈央

• 春暑しここらの断層は歌う

  広瀬　康

• 春暑し黄ばむ訪問入浴車

  星埜黴円

• 海側は貴方が座れ春暑し

  酒井おかわり

• 供物無き天皇陵や春暑し

  沙那夏

• 春暑しどこぞでなんぞ饐へてゐる

  陽光

• 春暑し澄んだ眼の豚から殺す

  ギル

• くしやと潰す蜂の巣二棟春暑し

  早田駒斗

• 春暑し底無し沼は紺碧に

  加世堂魯幸

• 春暑しドラックストアの中国語

  灰色狼

• バイト先探すフリック春暑し

  幹弘

• ミッキーの頭剥きたし春暑し

  けーい〇

• 春暑し帰還兵めく一年生

  英子

• 春暑しインコは交尾して止まぬ

  ことまと

• 愛国の本意はいずこ春暑し

  理酔

• 春暑し今まで米を研いだ数

  かさご

• 牛舎より子牛跳ね出し春暑し

  香羊

• 食道をウォッカ暴れて春暑し

  おぼろ月

• 葬送に雲間の薄日春暑し

  さぶり

• トラクターの異常ランプや春暑し

  星月さやか

• 春暑し砥部断層の土赤し

  かずポン

• 春暑き馬場を光とせし牝馬

  浦野紗知

• 暗がりに錆び臭き鍋春暑し

  せり坊

• 春暑し男子かたまる文学部

  さかもと眞紅

• 春暑し涎の太き母キリン

  村上海斗

• 春暑し持ちあげられぬダイオウイカ

  亀の

• UNIQLOの自動検温春暑し

  朶美子(えみこ)

• 春暑し遊動円木空気打つ

  乃筈三拍

• 待ち列の前後に力士春暑し

  大黒とむとむ

• 春暑し地蔵ぶこぶこ洗はるゝ

  向原かは

• 春暑し祇園さんへの橋長き

  桜井教人

• 春暑しひび盛り上がるアスファルト

  今野淳風

• 春暑しスーツケースの開かぬ鍵

  Dr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部

• 喪服なるじやうらふげらふ春暑し

  播磨陽子

• 春暑し蒸気の匂ふアスファルト

  長谷川小春

• 春暑し足止めさるる巨大船

  亜桜みかり

• ガウディのような法面春暑し

  かもん丸茶

• 花見小路東入ルや春暑し

  竜胆

• 市民課の朱肉てらてら春暑し

  高野きぬ

• 春暑し毛玉のやうなナマケモノ

  にゃん

• 春暑し靴もおもちやも燃えるゴミ

  はなあかり

• 緩めたるネクタイは黒春暑し

  池之端モルト

• 「豚捨」は肉屋の屋号春暑し

  遠山比々き

• 春暑しほらサイレンは低くなる

  ぐでたまご

• 春暑し寝釈迦のあうら擽りたい

  七瀬ゆきこ

• 春暑し千人風呂に二十人

  津軽まつ

• 春暑し荷台にポン菓子製造機

  秦　理露

• 春暑し半ライスまづどんと来て

  さるぼぼ@チーム天地夢遥

• 尖塔のゆらゆら街の春暑し

  いごぼうら

• 蒸し豚まん食いつつ春暑き人波

  ふるてい

• 春暑し賽の目の角膨らみぬ

  Vn 花のん

• 春暑しちよつとたりない息足して

  椋本望生

• 鋸の刃に生木の木くず春暑し

  キッカワテツヤ

• 終業のどっと椅子ひく春暑し

  高橋無垢

• 春暑しあれは古墳と教えられ

  どみ　どみそ

• 春暑しヴィオロンへニス十層目

  古田秀

• 春暑し咀嚼ひとくち三十回

  京野さち

• 顔は恒に耳に挟まれ春暑し

  稗田鈴二郎

• 薬箋の紙つぺらぺら春暑し

  公木正

• 詩の種に恥を留め置く春暑し

  篠原雨子

• 逆光や春暑き日のガスタンク

  丹下京子

• 春暑し面接に行く仏具店

  由づる

• 春暑し会社勤めの詩人とて

  稲畑とりこ

• 春暑し象のいばりの三十秒

  とんぼ

• 春暑し風のしっぽはつつじ色

  ２８あずきち

• ネクタイに慣れぬ首持ち春暑し

  樫の木

• 五限目は長屋王の死春暑し

  井田みち

• 春暑し吊橋の影海に濃し

  うさぎまんじゅう

• 暑き春仔犬振り返り振り返り

  sakura a.

• 朝の皆ひかりの駅へ春暑し

  ツナ好

• 春暑しやや右寄りの正中線

  宮本象三

• 給水を弾く春暑き太もも

  宮坂暢介

• 春暑し子犬の舌の長きこと

  いさご眠人

• 春暑しポメラニアンの寄る睨む

  ほろろ。

• 天使にも換毛期ある春暑かな

  髙田祥聖

• 閉ぢてゆくビー玉の影春暑し

  すりいぴい

• 不織布の吾の息臭し春暑し

  まどん

• 堆き漁網の臭ふ春暑し

  仁和田永

• 春暑し仮設百軒誰も居ぬ

  松井くろ

• 春暑し日曜市に鸚鵡売る

  柚木みゆき

• 吊革に仰ぐ醜聞春暑し

  石田将仁

• 春暑し背中の痒いマレーバク

  山内彩月

• 引力の見えて干潟よ春暑し

  多事

• ホワイトボードに派閥樹形図春暑し

  小泉野魚

• 解剖の鮒の準備や春暑し

  清水 三雲

• 春暑し河馬にかまれた空のひび

  まこちふる

• 排気口より臭ふラム肉春暑し

  倉木はじめ

• むわんむわん輪郭のびる春暑し

  雷紋

• 蝶のごとサリー行き交ふ春暑し

  ぐ

• メルカトル図法のひずみ春暑し

  立石神流

• 春暑し大頭頭を被らされ

  葵新吾

• 問いつめる六つの目玉春暑し

  TAKO焼子

• 春暑しピンクは原宿の正義

  安達りんだう

• 軋みつつ生家衰ふ春暑し

  いしはまらんる

• 春の汗から鳥が生まれていいにおい

  三浦にゃじろう

• 春暑し原子記号で云へばＣ

  伊予吟会　宵嵐

• 春暑し団地五棟に木が一本

  ぷくぷくちきん

• 春暑し月の色してかはく泥

  古瀬まさあき

• 春暑し握るボールに牛皮の香

  三重野とりとり

• サーカスの検温の列春暑し

  広島　しずか81

• 春暑し練習帳へ「空」連ね

  千風もふ

• 春暑し吾子より重きかぶとがに

  常幸龍BCAD

• 春暑し拳に10オンス熱し

  成瀬源三

• 仮免の春の暑さを右折せり

  馬祥

次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
お待ちしています！