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中級者以上結果発表

2022年2月20日週の兼題

百千鳥

【曜日ごとに結果を公開中】

特選

  • みづ握るやうに洗ふ手百千鳥

    ギル

    選者コメント

    夏井いつき

     コロナ禍は、「手を洗う」という行為に対する私たちの認識を変えてしまったといっても過言ではないでしょう。「みづ握るやうに洗ふ」という比喩的描写は、映像を描きつつ、その心情をも読者に投げかけます。水のひかりを味わうかのように丁寧に洗う手。清潔で美しい時間と空間を、百千鳥のひかりと声が満たしていきます。
  • 水草のあわ鈴なりに百千鳥

    黒子

    選者コメント

    夏井いつき

     春になると水草もぐんぐん育ちます。元気な水草には、小さな気泡がくっつきます。そのさまを表現した「鈴なり」の一語は、「水草のあわ」が小さく揺れる様子も想像させます。透明な気泡の鈴の、聞こえない音が、やがて「百千鳥」の囀りとなっていくかのような中七から下五への流れ。水と光と音の美しさにうっとりします。
  • 樹木葬がいい百千鳥の幹として

    古賀

    選者コメント

    夏井いつき

     「樹木葬がいい」とは自身の思いなのだと読みました。朽ちていく己の体が、樹木の命となって循環していく樹木葬。我がたましいは、やがて百千鳥の好む幹として、ここに生き続けていくのだという夢想。そんな思いにふける作者を包んでいるのが、今、ここに生きて在る百千鳥たちです。美しい遺言のような作品となりました。

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