類想一覧(選外)
戦禍にて啼けよ啼け啼け百千鳥
アマンバ
百千鳥しづか歌ふはオフィーリア
あたしは斜楽
死は何の悲しみなるや百千鳥
山内 負乗
百千鳥天より聞こゆ吾子の声
リバティーさん
園児らは囀る囀る百千鳥
希布
ひとり居のひとりの時間百千鳥
峰泉しょうこ
家猫が耳そば立てて百千鳥
上村茶娘
百千鳥咲いては散る万華鏡
中 兎波
保育所の散歩行き交ふ百千鳥
松葉学而
百千鳥リュックの中の金平糖
天野倖雪
開け放し移ろい楽し百千鳥
雅由
百千鳥こぼれし命への讃歌
恵勇
独身の日々も楽しき百千鳥
庄野 酢飯
千年を生く樫の木や百千鳥
嘉門生造
百千鳥遊びか恋か争いか
笠山静香
粛々と日常は過ぐ百千鳥
からすちゃん
四分休符として飛び交う百千鳥
月硝子
わが庭にオーケストラや百千鳥
早坂 一周
ウッドデッキうたた寝すれば百千鳥
千葉睦女
堀端につどう袴や百千鳥
小沢史
音痴も話し好きもをり百千鳥
香栄
鶏鳴のあとは騒がし百千鳥
ひろ志
百千鳥万華鏡めく双眼鏡
千波佳山
グリーグの管弦楽と百千鳥
KOMA
此処彼処空き家となりて百千鳥
田中美蟲角
混じり合う園児の声や百千鳥
田中ようちゃん
こどもらの缶蹴る声や百千鳥
上北沢くつき
保護犬の耳に溢るる百千鳥
acari
樹から樹へ風と光と百千鳥
栗田すずさん
百千鳥反戦の声そこかしこ
宮村土々
百千鳥ガラスの塔の万華鏡
真冬峰
クレパスは二十四色百千鳥
入口弘徳
下校の家路聞き入るごとく百千鳥
阿万女@ノエル
園児らのカートぎうぎう百千鳥
小だいふく
山寺や栄華を偲ぶ百千鳥
塩風しーたん
川沿いのゆっくりロード百千鳥
ざうこ
故郷を離るる日なり百千鳥
かずポン
百千鳥飛んで下校の子の走る
さゆり@金カル
川面ゆく光の軌跡百千鳥
みやかわけい子
百千鳥廃墟ホテルのサンテラス
紺乃ひつじ
学び舎のマスク間を取る百千鳥
寺田芳夫
百千鳥夥しいこと夥し
奈良の真
二拍子はエイトビートに百千鳥
雅王
都心にも住処有りけり百千鳥
夏目たんちゃん
ベビーカーを囲む手押す手百千鳥
雨霧彦@木ノ芽
数多鳴くかの声誰ぞ百千鳥
つきあかり
産土の日差しを浴ぶる百千鳥
舟御前@ノエル
百千鳥今は昔のニュータウン
おんちゃん。
けんけんぱ路地の子笑う百千鳥
しんしん
百千鳥肩に食ひ込むおんぶ紐
さとう菓子
富士塚の小さき社や百千鳥
秦 理露
ももちどり澄みし樹間は万華鏡
メレンゲたこ焼き
百千鳥指揮者不在のレクイエム
馬勝
銃声を嘲笑うごと百千鳥
田口大寒六
百千鳥青い鳥なら今ここに
夢雨似夜
コロラトゥーラ・ソプラノ多々百千鳥
榊裕江子
百千鳥亡夫の杖を友として
きのと
百千鳥夕べの駅に音数多
くめ仙人
百千鳥姿見えねど数多居る
森河夕
コーラスの途切れ途切れに百千鳥
中島走吟
漣は万華鏡めき百千鳥
ダック
百千鳥何見てないてる恋心
スーパータッカー
山宿の耳から覚めし百千鳥
晴好 雨独
戦火止み砲声絶えて百千鳥
だけわらび
戦禍の報何処にいてか百千鳥
み藻砂
百千鳥譜面へおこす旋律よ
快晴ノセカイ
百千鳥光集めて散り散りに
高市青柘榴
幾重にもピッチカートや百千鳥
孔明
やはらかき雨なる朝を百千鳥
雨野理多
ひとところ森のふくらむ百千鳥
塩野谷慎吾
百千鳥太極拳の泰然たり
泰山
百千鳥海の向こうの独裁者
壱太
境内の樹齢百年百千鳥
山水
百千鳥行ったり来たり恋したり
青柳修平
百千鳥白寿祝いの宴の庭
どいつ薔芭
イヤホンの外から響く百千鳥
しょーと
鳴き交わす恋路か友か百千鳥
クリスマスツリーとリア充
話せない給食時間百千鳥
ちびメガネ
百千鳥聴こえ河川敷の告白
京お赤飯
百千鳥影と影に重なりて
マロニーちゃん
昼休み教室の中百千鳥
小東愛奈
産廃の跡地あまねく百千鳥
常磐 はぜ
払暁の恋の季節や百千鳥
円 美々
百千鳥世に黙禱の満つる午後
藤白月
百千鳥人は無口に行き過ぎて
なおじい
百千鳥一羽動くと続く十羽
川村記陽子
百千鳥齢千年大欅
長操(おさみさを)
濁声もいろどりとなり百千鳥
江良 中
百千鳥二年三組合唱隊
ねむり猫
せせらぎに合はせ歌ふや百千鳥
國廣辰郎
目覚めても予定なき日の百千鳥
西川あきや
青空を楽しむやうに百千鳥
池田 凜
戦火あり百千鳥聴く日を待てり
林 和寿
この想ひ届けておくれ百千鳥
橋本彩雅
雨後の朝声やはらかき百千鳥
林真紗湖
百千鳥ひかり新たに万華鏡
オキザリス
百千鳥園児すいこむ赤いバス
けろけろたま蛙
百千鳥ききみみずきんあったらば
山羊座の千賀子
明け色に染まりゆく海百千鳥
きょんちゃん
爆音に声をひそめし百千鳥
増田 昴
峠超え超えても止まぬ百千鳥
福島 昇天
風に乗り卒園式か百千鳥
増田 道衛
ウクライナ戦火乗り越へ百千鳥
増田 幸司
リフレッシュコースの林百千鳥
千の葉
退院の父待つ庭の百千鳥
風蘭智子
女子大のクラス会あり百千鳥
小野一箭
百地鳥入り乱れし声カルテット
中野風鈴
百千鳥集合写真はマスク取ろ
みおつくし
戦争反対大合唱百千鳥
dakuda
百千鳥列の乱れる菫組
田邉真舟
百千鳥風に消されし君の声
細木さちこ
目覚ましや早朝になる百千鳥
GK
百千鳥決して桃色ではないよ
いちご大福
鳴き交わす友か恋路か百千鳥
冥界神ハデス
百千鳥優しき声や恋を呼ぶ
クマ ニャン
給食時間話せない百千鳥
石ころカフェ
百千鳥声をたどった森の中
オクタン
声聞こえ目覚まし代わりの百千鳥
桜乃
百千鳥相手はまだか恋の予感
雷
キャンパスに百花繚乱百千鳥
ろひさま
持ち物のすべてになまえ百千鳥
みやま千樹
赤青黄緑桃色百千鳥
黒板五郎三
戦場を埋み尽くせよ百千鳥
春野とも子
公園の奥へ奥へと百千鳥
おさむ
子には子の言い分のあり百千鳥
吉川花ほっぺ
百千鳥重き命を叫びをり
ウカイケンタロウ
折り鶴を病める少女へ百千鳥
かんこ鳥
タワシにて墓洗いたり百千鳥
一歩亭六案
百千鳥聞き分けてゐる豆博士
氷室茉胡
木漏れ日をうつすせせらぎ百千鳥
もふ美
黙食の続く教室百千鳥
みのる
廃校の師もみな鬼籍百千鳥
そうま純香
白熱すZoom会議や百千鳥
知音
マスク着け貴方とダンス百千鳥
ゆみづき
光る空声高らかに百千鳥
蓮風
強風の水面に光る百千鳥
紀杏里
次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
お待ちしています!
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選者コメント
夏井いつき選
◆まずは苦言を呈します。
中級コースに投句しようという意欲をお持ちであるのならば、兼題となった季語をまずはきちんと調べて下さい。
今回、「百千鳥」と「百舌鳥」を間違えている句が22句ありました。(初級でも72句あったそうですが。) うっかりミス……だと自分を甘やかさないで、兼題となっている季語と真摯に対峙しましょう。
さらに、「囀」「さえずり」を使った句も22句ほど。「浜千鳥」の句も2句ありました。何故、ちゃんと歳時記で確認しないのでしょう。歳時記を持ってない人もいるかもしれないと、募集時、サイトには下記のような説明も掲載しているのです。
【百千鳥】三春・動物 傍題:無し
春の野や森で、多くの鳥たちが一斉に鳴きかわす様子。
「囀り」は個々の鳥の声を連想させるが、「百千鳥」となると様々な鳥の鳴き声を全体として捉える感がある。そういった違いを意識して詠みたい。
このような基本的解説も読まず、「まぐれでも中級に選ばれるかも~」という態度で投句を続けても実力はつきません。それは、あくまでも「まぐれ」に過ぎないからです。
俳句は、スポーツと同じように、基本の体力作りや基本技術の習得などをコツコツ続けてこそ「俳句の筋肉=俳筋力」が培われてくるのです。
このサイトに、初級コースと中級コースがある意味をしっかりと受け止めて、有効に活用して下さることを切に願います。
◆季語「百千鳥」の解釈
上記の解説にもあるように、季語「百千鳥」は、一羽一羽の声を認識するものではなく、さまざまな鳥の鳴き声を総括するイメージです。さらに、実体として鳥の姿や種や個体が見えるというものではなく、鳥たちの光と影が交錯する感覚が「百千鳥」なのです。
電線に百千鳥ゆれ夕まぐれ 絵十
電線に楽譜の如く百千鳥 森爺
電線のしなりひかるや百千鳥 畠山 悊央
「電線に止まっている鳥」という意味でも類想ですが、そもそも季語「百千鳥」の本意を抑えているかという点が気になります。
さらにこんな句もありました。
百千鳥夜の暴走クラクション 松本裕子
幸せは三つ子の夜泣き百千鳥 つきのひと
鳥が夜鳴くことはありますが、「夜の百千鳥」というのは難しいかと思います。そもそも、この二句は、比喩と読むべきで、そうなると季語としての力そのものも落ちてしまいます。
◆類想を分析してみよう。
例えば、「万華鏡」という言葉を使った句が、今回も数句あります。この言葉は、兼題「百千鳥」に限らず、よく登場する言葉(凡人ワード)です。
とはいえ、よく使われるから、使ってはダメということではありません。が、この手の言葉を使うときは、それ以外の部分をうまく構築して、一句の戦力に変える力が必要なのです。中級コースは、切磋琢磨の中で、そのような技術力を身につけようと挑む人たちなのです。
※今回の兼題「百千鳥」中級者以上投句欄へのご投句は、投句数3479句、投句人数1295人となりました。以下、類想句の一覧です。