俳句ポスト365 ロゴ

中級者以上結果発表

2022年2月20日週の兼題

百千鳥

【曜日ごとに結果を公開中】

秀作

  • 吹き上がる棚田のひかり百千鳥

    いさな歌鈴

    選者コメント

    夏井いつき

     風が棚田を吹き上がってくるのです。どの一語も過不足なく選ばれ、過不足のない位置におかれています。下五「百千鳥」という季語が出現したとたん、棚田はますます光を増していくかのよう。
  • 百千鳥校舎の罅を潤せり

    常幸龍BCAD

    選者コメント

    夏井いつき

     確かに校舎にはこんな罅があって、百千鳥の光と声がこの罅を潤わせていたなあ。そんな共感を抱かせるのがこの句の魅力です。「潤せり」の水と光のイメージが、季語に及んでいく配慮も巧みです。
  • 百千鳥濡れた鼓膜のやうな空

    さとけん

    選者コメント

    夏井いつき

     季語「百千鳥」は、(一羽ずつの姿や声ではなく)沢山の春の鳥たちの光と声。気持ちのよい青空を配した句は多いのですが、後半の意外性にハッとします。水のように潤う百千鳥たちの空です。
  • 百千鳥沐浴の子の臍にみづ

    丹下京子

    選者コメント

    夏井いつき

     赤ちゃんの沐浴を思いました。百千鳥の光と声から始まり、沐浴のベビーバス、柔らかい嬰児、小さなあくび、ガーゼの手触りなどを想像させつつ、「臍」「みづ」と焦点を絞っていく手法が見事です。
  • 百千鳥抜けて小諸の民となる

    としなり

    選者コメント

    夏井いつき

     百千鳥の林を抜け、いよいよ小諸の住民となってきた心地がするよ、という一句。高浜虚子の「小諸百句」が重なります。淡々とした語り口ですが、季語「百千鳥」への思いの深さに共感致します。
  • 百千鳥崩れてひかりてふかたち

    古瀬まさあき

    選者コメント

    夏井いつき

     「百千鳥」は種も個体も数も明確にしない季語ですから、それを一物仕立てで表現するのは至難の業。「崩れて」と百千鳥の動きを描写し、「ひかりてふかたち」と比喩した手法を誉めたい作品です。
  • デニッシュの層を豊かに百千鳥

    選者コメント

    夏井いつき

     季語「百千鳥」は、食べ物や飲み物との取り合わせも相性がよいですね。「デニッシュの層」の後の「豊かに」という展開が巧いなあ。イメージの波及効果によって季語を主役にするテクニックです。
  • 真水てふさびしさ零る百千鳥

    RUSTY=HISOKA

    選者コメント

    夏井いつき

     「てふ」は「ちょう」と読んで「~という」の意。「真水てふさびしさ」という詩語の美しさ。百千鳥と真水の付かず離れずの取り合わせ。「零る」が、上下を感覚的に繋ぐ企みも流石の一句です。
  • たて笛は小さきえんとつ百千鳥

    まどん

    選者コメント

    夏井いつき

     子どもたちがランドセルに突っ立てている「たて笛」を思いました。ランドセルが小さな家で、たて笛が煙突だとは、なんと可愛い見立てでしょう。百千鳥たちの喜びの歌が聞こえてくるようです。
  • 太陽は十二面体百千鳥

    イサク

    選者コメント

    夏井いつき

     季語「百千鳥」と「太陽」を取り合わせた数多の句の中で、「十二面体」との見立てが成功。正五角形十二個の面と二十の頂点。そんな太陽を百千鳥が賛美する、アニメーションのような作品です。

次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
お待ちしています!

投句はこちら