• 野遊びの終はりに草の明るい死

  古賀

  選者コメント

  

  夏井いつき選

  　野遊びの人たちは、思い思いに花を摘み、冠を作ります。お弁当を食べるためのシートの下に草を敷き、草を毟って矢を放ち、鬼ごっこの鬼から逃げるために草を踏みにじります。楽しかった「野遊び」が終われば、そこには「草の明るい死」だけある。その視点にハッとさせられます。「明るい」の一語が、美しい詩を発生させて。
• 野遊やミツバチめく子らの報告

  沢拓庵

  選者コメント

  

  夏井いつき選

  　「野遊」の子どもたちを描いた句は沢山ありましたが、「ミツバチめく」という比喩のなんと可愛いことでしょう。金色の翅をもっているのかようにブンブン走り回り、こんな花が咲いてたよ、小川があったよ、と大人たちのもとへ「報告」にくるのでしょう。五六七の破調ですが、そのたどたどしさも一句に内容に似合っています。
• 野遊や車椅子から大返球

  和泉穣

  選者コメント

  

  夏井いつき選

  　「野遊」の子どもたちが三角ベースをしているのでしょうか。点々と遠くへ転がっていったボールを手にしたのは、「車椅子」の人。すると、その車椅子から本塁に向かって「大返球」が戻ってきたのです。見事な返球に、おおー！　と声が上がったのかもしれません。「野遊」の人たちのささやかな交流をリアルに描いた作品です。

次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
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