類想一覧(選外)
野遊びのかさばるリュックゲーム機器
宏楽
野遊びや昼寝の猫の手がぴくん
かきわけて春蘭
予報雨明日の野遊び如何にせむ
かとしん
野遊や若き保育士疲れ顔
川口雅裕
犬の名を呼べば来にけり野遊よ
大野美波
野遊や日向の匂ひ髪の毛に
佐川碧
野遊や泣く子をなだめつつ帰る
片平仙花
野遊びの子を呼ぶ母の声かれし
飛翔
野遊びに時を過ぎけり幼児泣く
中島京子
塩むすびそれだけで良し春遊へ
さんざし
祖母の笑み浮かび駆けるあの野庭へ
望月ぽん
茣蓙せまくして野遊の昼寝の子
一歩亭六案
よく弾む野に遊ぶ子のスニーカー
雨野理多
野遊や乙女ら大きおむすびへ
卑弥呼
スニーカーは白還暦の野に遊ぶ
武井 超凡
ソックスに残る草の香野に遊ぶ
ひさとみ純代
野遊びや君に花の名尋ねけり
野田遊水
野遊や吾人花のさんざめき
山本道夫
野遊や草の染ったスニーカー
研知句詩@いつき組広ブロ俳句部
野遊の帰路に立ち寄る道の駅
垣岡凡才
野遊や寝ころべば空ちかくなり
みやま千樹
野遊やちちんぷいぷいばあばの手
kikuti-aya
野遊の土産の花冠くたり
ざうこ
野遊や萌黄の染みの皆の尻
相沢薫
あんなことこんなことして野に遊ぶ
井上鈍句
野遊の座りの悪き尻の下
大熊猫@四句八句
野遊びや飛行機雲のピーーーン
砂楽梨
野遊や遠い記憶の花冠
雨李
野遊やはるか故郷の青き空
紋舞蘭
野遊や二段重ねのちらし寿司
玲風
野遊びや友と遊びし秘密基地
東 湘輝
野遊びや姉と揃ひのワンピース
鷹見沢 幸
野遊やダムで沈みし村ありて
富田健朗
野遊や唾つけ治す膝の傷
四季春茶子
野遊びの君の髪の香やわらかし
コウ
野遊や寝転び空を一人占め
若林雛げし
野遊や子が犬が追うフリスビー
水間澱凡
野遊の園児ひたすら走るかな
國本秀山
野に遊ぶ花冠をあの子にも
おたまじゃくし
野遊びや編みつづけたる花かむり
鈴木来穂
野遊にJアラートや響く朝
野中泰風
草の名を子に教へられ春遊び
いこん
野遊や富太郎まね花愛づる
気のまま風
野遊の籠に童心詰めにけり
たむらせつこ
野遊の茣蓙へと其処ら辺の石
落句言
野遊や飛行機雲を潜りぬけ
山 ゆり
奏でたるギターうらうら野に遊ぶ
sol
野遊びの置き忘れありスマホ鳴る
宮沢 韋駄天
野遊の姉妹揃いのバスケット
露草
野遊やスマホ切りますあしからず
ノアノア
手荷物はシートの四隅野に遊ぶ
さ乙女龍チヨ
三着の着替えリュックに野遊へ
かゐみすず
野遊やいつもの味の握り飯
富士桜花
野遊びや何は無くてもにぎりめし
玉川 徳兵衛
野遊びや花の名一つ覚えたり
一久恵
しゃがみたる子らの歓声山遊
姫川ひすい
野に独り遊びて孤独確認す
猫凡
野遊びや児等はいつもの鬼ごっこ
徳翁
野遊びや柔らかかりし母の膝
伊予吟会心嵐
野遊びや戻る家路の寂しさよ
福島 昇天
独身に戻り野遊の開放感
桃月あかり
野遊びやアリスの穴はどこにある
英子
野遊びやリュックしゃがんで土いじり
まつといのいち
野遊びやマスク外してのんびりと
Nakahara結月
野遊の犬一匹と孫四人
誉茂子@野の花
野遊やコンビニ弁当持っていざ
志古女
野遊や指の先まで深呼吸
対馬清波
里帰り野遊びの跡秘密基地
ストロガノフ
まっさらな大地に大の字野に遊ぶ
野原 華
野遊びやほろとこぼるる握り飯
白鳥国男
野遊びの靴の鳴る音キュキュンキュン
中田邦光
野遊や白やピンクの花の冠
篁 橙花
おもっきり地球踏み付け野遊びす
伊予の大督寺
風のやうに水のやうに春遊
えりべり
野遊や四葉探しのあねいもと
桃香
野遊や植物図鑑と歳時記と
望月 千壽子
野遊で野花摘み摘みかくれんぼ
松浦照葉
野遊の三角ベース始まりぬ
樹魔瑠
野遊の子のポケットは草と土
あっくん
野遊びや瞼の裏に陽の光
三水低オサム
野遊びに際限のなく一歳児
三無季生
野遊や祖母に教はる花の名を
大谷如水
空模様こころ置き無く野に遊ぶ
達坊
この指に止まれ野遊する子たち
髙橋弓女
野遊や夫特製の玉子焼き
新山晶花
野遊やパパはパソコン子はスマホ
羽光
野遊や園児四方に駆け出して
dragon
山遊び松葉相撲の子らの声
吉田わさび
笑いあい孫と野遊子に返り
田中ようちゃん
野遊を草の名問うて一歩づつ
あさのとびら
野遊びやここに来てまでスマホとは
かぬまっこ
野遊びに飽きておぶさる母の背へ
小手毬
野遊びやゆるりと過ぎし時間かな
辻󠄀本四季鳥
野遊の子らを大樹の見守れり
太之方もり子
野遊の犬転がれば吾もまた
大森 陽香
野遊びや段ボール敷き草すべり
桑本栄太郎
野遊びの丘に仔犬と秘密基地
ちびつぶぶどう
犬と子と取り合ふボール野に遊ぶ
もふ美
野遊や牧場に競うよつ葉とり
蓮風
焼肉の匂い漂う野遊よ
紀杏里
野あそびや空と大の字むかひあふ
山田不律
野がけの子くつ思い切り放り投げ
黄鶺鴒
野遊の茣蓙に赤子の寝てしまふ
新多
野遊やひざつこぞうの青き染み
ひすい風香
野遊びやホットサンドの具は卵
千早安寿
春遊ぶ仰向けの背にまるい地球
旺上林加
あの日の記憶よみがえる母と野遊
谷口 徳泉
野遊や足は土踏む手は花を摘む
みやこ明美
野遊や犬と阿吽のフリスビー
田畑せーたん
子の指すを見上ぐあれこれ野に遊ぶ
だいやま
野遊びにカレーが匂う夕まぐれ
上北沢くつき
野遊やサンドイッチ派おにぎり派
五葉 松子
児らはしやぐ野遊の終ひまで
勘八
野遊びやダンボールにて滑り込む
岡田論子
野遊びや見晴らし台の風やさし
ふくびきけん
野遊や双眼鏡とハムサンド
佐藤知春
野遊びや地球は丸く青き空
山水
野に遊ぶ棒が一本あればよし
立ち漕ぎブランコじゅん
野遊中寝ころび大地を吸収す
岡崎ゆきこ
野遊びの昼餉はむすび曲げわっぱ
瞳子
野遊びやホットサンドはチーズ入り
奈良の真
次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
お待ちしています!
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選者コメント
夏井いつき選
兼題:野遊 (傍題:野がけ・山遊・山いさみ・春遊・ピクニック)
◆類想
初級でも似たような傾向があったと聞いていますが、まずは「野遊」の本意を確認しておきたいと思います。季語「野遊」は、基本的には「(人が)春の山野に遊ぶこと」です。
今回、遊園地のジェットコースター、公園のブランコや滑り台のような遊具で遊ぶ光景を詠んだ句がかなりありました。また、野球やゴルフなど人工的な施設でのスポーツも、この季語の範疇にはないと考えます。(勿論、野遊の野でボール遊びをするなどは許容できますが、判断が微妙な句もかなりありました。)
また、野生の獣たちが野で遊んでいる=野遊、とするのも季語の本意を外していると考えます。(比喩や擬人化の場合は、ケースバイケースですね。)
さらに、今回の投句には、仮名遣いのミスや文法的に理解しがたいものなどが散見しました。あきらかな入力ミスだと思われる句も多かったですよ。投句する前には、再度、確認する習慣を身につけましょう。
以下、類想の傾向のみ、列挙しておきます。参考にして下さい。
■ 何をする?
・ 段ボールで土手を滑る
・ 花の冠 花の首飾りを作る 私はお姫様!
・ 犬と駈けっこ
・ 花を摘む 花の名前を教えてもらう 草花の名を覚える
・ 泥団子作り 泥遊び
・ フリスビー
・ 相撲 草相撲
・ バドミントン ボール遊び 縄跳び
・ 追いかけっこ 〇〇を追う子を追う 犬と駈けまわる
・ バーベキュー 野だて
■ 何を持っていく?
・ おにぎり(だいたいでかくて塩味 お父さんが作ると歪) サンドイッチ
・ 卵焼き 唐揚げ タコさんウィンナー
・ コンビニ弁当
・ 遊山箱
・ 水筒にお茶 紅茶 コーヒー
・ 大人はワイン ビールなどの酒類も
・ 本 漫画 草花の図鑑
・ ぬいぐるみや人形を連れてゆく
・ クレヨン 絵具
・ ギター ハーモニカ
・ 大きなリュック 小さなリュック → 紙おむつや着替え
・ レジャーシート → 四隅に〇〇(で押さえる)重石替わりに誰かが座る
・ 車椅子(持っていくというより乗っていく)
■ 誰と
・ ひそかに好きな人と
・ 母(~の呼ぶ声)(~を呼ぶ声)
・ ファーストシューズを履いた幼子
・ その日会った 名前も知らない子と遊ぶ
・ 亡き人と
■ 野遊あるある
・ 指先に草の 草の汁 いろいろ草まみれになる
・ 泥だらけになる
・ 転ぶ 怪我する → 膝に赤チン
・ 靴を脱ぐ 裸足になる
・ 大の字になる(そして空を仰ぐ)
・ 秘密基地! 秘密の場所
・ 髪が風になびく 声が風に乗る
・ 風が優しい 陽が優しい
・ 子供(や犬)は元気にはしゃぐ 親はぐったりして木陰で寝ている
■ 今昔
・ 野遊に興じた日々を想う 童心にかえる
・ 亡き人を偲ぶ 幼なじみを想う
・ セピア色の写真の中の野遊び(の父や母)
・ かつて野遊した地が今は〇〇に
・ 野遊に来てまでゲームをする
・ スマホで草花の名前を検索
・ スマホでいろいろ撮る 写真や動画 動画の中の孫(の野遊)
・ 逆に「スマホを置いてくる」という発想もあり
・ マスクを外して野遊する 三年ぶりに出かける
■ 行く前、行くとき、帰るとき、帰ったら
・ 明日の天気が気になる
・ 学校や職場を休んで(さぼって) ハローワーク帰りに
・ 車は渋滞
・ 自転車の立ちこぎで行く
・ (野遊の)終わりを告げるチャイム 声 鐘など
・ (子供は)帰りは疲れて眠ってしまう おんぶされて眠る 負うた子が重い
・ 帰りは道の駅に寄る
・ 夕食は野遊の収穫物で
・ 野遊の後は夜遊び 酒場に行ったり
・ 夢の中でも野遊の続き
■ 無さそうでいて意外と類句あり……
・ (野遊の子や自分が)風になる 鳥になる
・ 足裏に大地の鼓動 息吹を感じる
・ 草の匂い 土の匂い 風の匂い 水の匂い
毎回お伝えしていることですが、これらの類想は、共感の土台です。この土台の上に、三~七音程度のオリジナリティやリアリティをどう乗せるのか。そこが勝負です。引き続き、励んでまいりましょう。
※今回の兼題「野遊」中級者以上投句欄へのご投句は、投句数3873句、投句人数1552人となりました。以下、類想句の一覧です。