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中級者以上結果発表

2024年6月20日週の兼題

夏休

【曜日ごとに結果を公開中】

特選

  • 夏休ハムレット拙訳に死す

    葉村直

    選者コメント

    夏井いつき

     高校生か大学生の「夏休」でしょうか。シェイクスピアの代表作『ハムレット』の有名な場面を訳してみたものの、臨場感のない訳になってしまったのです。こんな「拙訳」では、名著そのものが死んでしまうよ。拙い訳の中で、主人公ハムレットもまたたどたどしく死んでいくよ。二重の「死す」のユーモアが、季語「夏休」を飄々と表現しました。
  • 海見えて弟起こす夏休

    日永田陽光

    選者コメント

    夏井いつき

     家族旅行なのでしょう。ふと目覚めたのは兄か姉。車窓に広がる眩しい海を見て、思わず傍らで眠っている弟を起こしたのです。寝ぼけ眼の弟は、海に気付いたとたん「海だ!」と声をあげる。そんな家族のシーンが、たったこれだけの言葉で生き生きと立ち上がってきます。「夏休」という季語の力が余すことなく発揮された一句です。
  • 夏休みアブラチガマの湿る岩

    猪子石ニンニン

    選者コメント

    夏井いつき

     「アブラチガマ」を知らなくても、沖縄の固有名詞かと想像できます。かの沖縄戦で一般の人々が身を隠したガマだろうか、負傷兵が置き去りにされたガマかもしれない。上五の季語「夏休み」は、ガマを訪れた子供の存在を示唆し、下五の「湿る岩」の触覚が、かつてここに逃げ込んだ人々の思いを生々しく再生していきます。

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