【佳作】
東京は手に余る街夏休
中嶋奈緒子
港つてけつこうひとり夏休
森葉豆
おとうとは泣かない迷子なつやすみ
天陽ゆう
ライターに火をインフェルノ夏休み
海音寺ジョー
バリカンを入れる双子の夏休
杉柳才
夏休み蔓はひかりを巻き上げて
いかちゃん
カツ丼大盛り夏休がだるい
白石 美月
夏休み黒曜石で肉を切る
樫の木
夏休吾子は孵化せし竜のやう
諫鼓苔深
カルピスのロック一人の夏休み
まこちふる
競馬場の焼きそば夏休は辛し
広木登一
喉仏生まるる熱か夏休
玉庭正章
夏休ガリガリ君に最敬礼
あまぶー
白亜紀の色のシャンプー夏休
稲畑とりこ
おほかたの武将は日和る夏休
桜井教人
馬の背に砂の風紋夏休
高岡春雪
父拾う鳩の丸きや夏休み
高田ちぐさ
ブルネイの切手鮮やか夏休
音羽凜
夏休の終はりを風の変声期
仁和田永
夏休みインコの籠にシートベルト
とんぼ
潮溜まりの中に小五の夏休み
夏椿咲く
どうぶつってみんな夏休みに死ぬ
五味海秀魚
二代目の胸像へ鳩夏休
となりの天然水
嗚呼夏休乾いた脚がダルい
玉野汐音
夏休あたり棒からソーダの香
綿鍋雪
夏休ギプスに響くレゲエかな
み藻砂
ぎゅっと鳴る雨の自転車夏休み
横縞
六つ目のむしのおはかの夏休
竜胆
父のギター弾けば埃や夏休
ぞんぬ
カルメ焼きの泡豊かなる夏休み
コンフィ
カルピスの白き母性よ夏休
ふみづきちゃこ
トーマスのかほ幾種類夏休
たけろー
夏休みほのぼの犬の首絞むる
髙田祥聖
アシカには臨時手当の夏休
鶴富士
星座編むゆびさき島の夏休
しゃれこうべの妻
100号のカンバスの赤夏休み
苫野とまや
夏休み多肉植物膨らみぬ
鰯山陽大
あかときの美し十七の夏休
杏乃みずな
鴉語と鳩語は違ふ夏休
橘鶫
星たゆたう後部座席や夏休
ツナ好
せんせいの赤ちゃんだっこ夏休み
うに子
夏休父の工場の卓球台
さかえ八八六
夏休み拾つた貝と買つた貝
飯村祐知子
手づかみに明くる港や夏休
ぐ
夏休み旅館に島の手書き地図
港のパン屋
薪の火のがらと崩るる夏休
栗田すずさん
知床に地球の叫び夏休
あみま
崇徳帝流罪の地ゆく夏休
細川鮪目
夏休み明けて二宮像が無い
広島じょーかーず
母は絵が上手だと知る夏休
森 毬子
油彩画の青の膨らみ夏休
蓮井理久
孵卵器の卵に血潮夏休
川越羽流
パーに勝つアルパカの爪夏休
櫂野雫
研ぎ水の疎らな粒子夏休
てつなお
夏休み外来種しかいない池
横山雑煮
なつやすみ空き缶のうづくまるに似て
太田栗青
夏休職員室に亀もゐて
後藤三梅
貝殻の一軍二軍夏休み
清瀬朱磨
幽霊になって稼いだ夏休み
かんこ鳥
夏休みキリンは首をぶつけ合ふ
草夕感じ
鉄棒に誰かのTシャツ夏休み
弥勒夕陽
太陽の匂ふ銭湯夏休み
暖井むゆき
夏休初日カルピス開栓す
ゆりのいろ
居場所は本のなか母亡き夏休は
あなぐまはる
バーテンと宇宙の話夏休
ふもふも
川底に雲母きらきら夏休
村岡花風
粘土匂へば美術部の夏休
勇緋ゆめゆめ
夏休み耳垢ほどの月の石
げばげば
ほんたうの羊かぞへる夏休
渥美こぶこ
盲導犬伏せる夏休みの座席
うみのすな
足裏を見せて寝る象夏休み
綾竹あんどれ
空港は八角の香や夏休
内田こと
空瓶のかたちいろいろ夏休
与志魚
分度器でなんでも測る夏休み
ゐるす
夏休のフェリーぬるめの水風呂
竜退治の騎士
夏休自習室に来るクロニクル
本気のめんそ
ハラル肉の押し返す歯や夏休
空豆魚
のど自慢は落選夏休みさて
白沢ポピー
鉄屑のゲート工場の夏休
彩 詩充
こちら葛飾区亀有公園前派出所読破夏休
はぐれ杤餅
当番の水の錆色夏休
津島野イリス
浚渫船眺め飽くなき夏休み
津軽ちゃう
桟橋へまづ影の下り夏休
とはち李音
守衛さんのハミング夏休みヴァージョン
笹野夕
耳の水出て夏休み再開す
利尻
夏休課題に魚の捌き方
春よ来い
アンモナイト探すビル床夏休
素数
朝刊をパンチで破る夏休み
山田蚯蚓
晩年は鎌倉もよし夏休
大黒とむとむ
夏休次は天空橋なる駅
むらぴ
学食の試作いただく夏休
幸田柝の音
五右衛門風呂と婆のぬか漬け夏休
いつか
キッチンにずっと踏み台夏休
フージー
羽化までの四時間五分夏休
村瀬ふみや
折紙のトリケラトプス夏休
みづちみわ
点Pも動くんじゃない夏休
彫刻刀
ワックスの強き匂いや夏休
かつたろー。
玄関に救急箱や夏休
じゃすみん
朝練はもはや夏休のマーチ
むい美縁
キッズ・ウォー流る夏休みの澱み
渡辺桃蓮
海のあるほうの実家へ夏休
多数野麻仁男
父と子の駄菓子屋通ひ夏休
立ち漕ぎブランコじゅん
セロファンで測る湿度や夏休み
空郷 阿房人
夏休リュックはみ出て譜面台
磐田小
ペットボトルロケットびゆわわ夏休
にゃん
沖の灯を見てゐる父子夏休み
伊藤順女
お米屋のおやぢがコーチ夏休
月石 幸
洗車機へパジェロ突入夏休み
かねつき走流
夏休かんころ棚に雨宿り
笑酔
なぜ丸いマンホールの蓋夏休
木村隆夫
青空へメディスンボール夏休
としなり
骨のないストロー曲げて夏休み
いたまき芯
断層を模写たそがれの夏休み
織部なつめ
夏休の絵日記岡野んちばかり
窪田ゆふ
化石掘るハンマー夏休みの肉刺
星月彩也華
スティールパンほわんとたたく夏休
さざなみ葉
洗濯機はインドのリズム夏休み
佐藤レアレア
印刷機版胴ひかる夏休
春海のたり
なつ休みきぐるみの手のギュッがこわい
月東ソコラ
私ならあの雲選ぶ夏休み
こうだ知沙
久留米まで納骨にゆく夏休
朶美子(えみこ)
夏休ペンキの垂れしうさぎ小屋
HNKAGA
鳴き方を忘れた椅子や夏休
ノセミコ
夏休み太陽ぶっ壊すケーカク
三隅 涙
陶淵明「飲酒」邦訳夏休
水鏡新
恐竜の骨に年輪夏休み
黒子
青空へびゆつびゆつと象の夏休
晴田そわか
弟子入りは門前払ひ夏休
このみ杏仁
鍋に公民館の文字夏休み
山香ばし
当番を蹴る鶏や夏休
玉響雷子
逆光の兄よ夏休みの心音
古瀬まさあき
七色のシリアル夏休み飽きた
平野芍薬
夏休み錆びた廃バス探検隊
みなみはな
空を微分すれば自由詩夏休
樹海ソース
夏休みの澱か理科部のペトリ皿
白プロキオン
菩提寺の畳の匂ひ夏休
竹田むべ
ブルーベリ臼歯に潰す夏休
阿部八富利
潮見表よみあげる祖母夏休
玉家屋
夏休空気を入れるもの並べ
海峯企鵝
天窓は星の水槽夏休
俳句ファイヤー立志
海底のやうなアトリエ夏休
あいだほ
降り積もるフラスコの底なつやすみ
あおのめ
自画像の怯ゆる瞳夏休み
星詩乃すぴか
鱗粉のゆたかなる死や夏休
宮武濱女
源流へ父とリベンジ夏休み
百瀬はな
空腹へ飲む水温き夏休
松田てぃ
こゝろの栓きゆぽんと空へ夏休み
古賀
夏休み県歌の川に舟下り
さぶり
母子手当の窓口夏休みの繁忙
鉄腕二十八衛門
川臭いあんたどこの子夏休み
楽花生
教室の水槽みどり夏休み
かぬまっこ木ノ芽
Martinの中古八万夏休み
唯野音景楽
夏休万年床でガリガリくん
粋庵仁空
解剖学は暗記科目ぞ夏休
星埜黴円
義眼めく浅瀬の石や夏休
木公男8888
昏き眼の馬にゆらるる夏休み
主藤充子
蟻に食はす蛇の死骸や夏休
常幸龍BCAD
新しき楽譜の折り目夏休み
どこにでもいる田中
凸凹の石を選る川夏休み
雨野理多
水滸伝未完と知つた夏休
GONZA
夏休蛾のうつくしきラテン名
元野おぺら
差し入れのケーキ師長は夏休
新山晶花
長男の火起こし早し夏休
ジン・ケンジ
ばあちゃん家の畳べこべこ夏休
渡辺香野
里親は多分善い人夏休
いその松茸
えいえんのえほんに墜ちてなつやすみ
松山めゐ
獏はいま獏舎の溝に夏休み
石上あまね
千回を弾く手はつばさ夏休
一斤染乃
ジャンボジェットの腹の白さよ夏休み
多喰身・デラックス
断水の水出る時間夏休
栗山おかか
上向きの蛇口のひかり夏休
岸来夢
じいちゃんが死んだ夏休み三日目
天雅
系統樹の模造紙はみ出す夏休み
ま猿
モビールの重心探す夏休
深山むらさき
終点の海のポストや夏休
松井くろ
太陽の塔のホンモノ夏休
富山の露玉
惜敗のホルンを抱く夏休
いさな歌鈴
夏休あいつ生き方太宰だし
瀬央ありさ
ドライアイスは雲になるのか夏休
沼野大統領
偉そうなあをぞらばかり夏休
坐花酔月
夏休み切符を風に齧られた
桃園ユキチ
空へ飛ぶイルカ四頭夏休
坂野ひでこ
夏休み掌に馬のよだれの粘度
桜鯛みわ
夏休傷へ蛇口のぬるき水
鈴野蒼爽
夏休み神獣鏡のあをみどり
高尾里甫
三葉虫削る刃先や夏休
翡翠工房
夏休み海は未完の物理学
伊藤映雪
夜の海家出してきた夏休
眠 睡花
海牛に王冠のえら夏休み
さるぼぼ17
夏休み一分パンダ見てジュース
東京堕天使
次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
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