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中級者以上結果発表

2023年8月20日週の兼題

夜長

【曜日ごとに結果を公開中】

【類想】

選者コメント

夏井いつき

◆時候の季語「夜長」。

傍題として「長き夜・長夜・夜長人・夜長妻」などがあります。

が、今回の投句には「秋の夜長」「秋夜長」がちらほら見受けられました。特に「秋」を入れる必然性が無いと思われるものが大半でしたので、選外にしました。


◆更に、余り効果のない季重なりもちらほら。

「虫の音」「鈴虫」「蝉」等との季重なりが見られましたが、季重なりとしては成立してないものがほとんどでした。


◆今回、非常に勿体ないと思いましたのは、

入力ミスだろうと思われるもの、仮名遣いの間違い、文法的に疑問の残るもの等が、散見したことです。それらの中には、目の付け所や発想など、光るものが多かっただけに、非常に勿体なく思いました。今回、選に入らなかった句については、ご自身で確認&推敲してみて下さい。


◆「夜長」の類想パターン

◇ 夜長のイメージ

・ 静か 静寂

・ 孤独

・ しみじみ


◇ 偲ぶ 想う

・ 来し方を想う 昔を想う

・ 恋しい人を想う 亡き人を想う

・ 余命、老い、来世を想う


◇ 夜長の頃になると(朝晩冷え込むので)

・ 一枚羽織る 

・ くしゃみ 咳

・ 人肌恋しい


◇ 夜長にすること(一人で)

・ 読書 

→ 積読が増える 積読に手をつける 積読が減らない

→ ミステリー ポワロ 長編小説 司馬遼 清張 

・ 音楽を聴く

→ ジャズ ブルース 昭和歌謡

・ 映画やドラマを観る YouTube スマホ ネトフリ

・ ギターやピアノを弾く

・ 刺繍 編み物 繕いもの  

・ ジグソーパズル 数独 あと一つが解けない

・ 古いアルバムを見る

・ 句作 指折り数える 推敲する 脱ボン 


・ 旅の荷物を整える 旅の計画を練る 

・ 断捨離 終活

・ 露天風呂や家の風呂にゆったり浸かる(星を見がち)

・ 家計簿をつける(赤字 計算が合わない)


◇ 夜長にすること(誰かと 誰かへ)

・ 手紙を書く 辞表を書く

・ メールする Lineする 返信を待つ 返信がない

・ 長電話

・ 将棋 囲碁 チェス


・ 夫婦二人でいて無言 

・ 猫や犬を抱く 撫でる 

・ 背中の子がぐずる 子に添い寝

・ 愚痴を言う 愚痴を聞く 喧嘩する


◇ 飲んだり食べたり

・ 日本酒 バーボン ワイン

・ 一人飲む 友と飲む 亡き人と飲む 

・ とっておきの酒を飲む

・ 深夜のラーメン カップ麺(ちょっと罪悪感)

・ じっくりことこと煮込む料理 


◇ こんな日の夜長

・ 病室 点滴しながら

・ 明日手術 検査  明日(仕事の)面接 明日試験

・ 産まれるのを待っている

・ 明日締め切り


◇ その他

・ 眠れない 寝たり起きたり 目覚めてもまだ夜中

・ 夕餉が早くなる 帰宅が早くなる

・ 灯りがひとつ 病室 自宅 コンビニ 駅

・ (同じ家 同じ部屋にいて)それぞれの夜長


・ 遠くから声 音 波音や川音

・ (隣家 隣室から)笑い声 喧嘩の声

・ 闇を引き裂くような音 救急車 列車 爆音


◆選句の過程で、「これは選に入れてよいだろう」と判断しつつ、選を進めていくと、思いがけない類句に遭遇することが多々あり、少々驚きました。

上記の類想パターンの中の「音楽を聴く」を例にとると、「サザンオールスターズ」「ジョン・コルトレーン」などがかなり出てきて、結果論的に類想類句と判断するしかないか、という例が大変多かったことを申し添えておきます。

 

◆他にも似たような例がありましたので、今回、選を漏れた皆さんは、その視点をもって自句の考察&推敲をすすめてください。


※今回の兼題「夜長」中級者以上投句欄へのご投句は、投句数3918句、投句人数1614人となりました。以下、類想句の一覧です。


類想一覧(選外)

  • 追想す友告別の夜長かな

    松永恕淳

  • ハイボール少し薄めの夜長かな

    石崎京子

  • 長けれど愛しき季よ夜長妻

    水鏡新

  • 眠れぬわたしを包み込むは夜長の月

    木徒 樹実

  • カーテンを引く長き夜の始まりぬ

    野口楽居庵

  • ミステリーページの進む夜長かな

    星影りこ

  • 長き夜やネット俳句の締切り日

    くろべぇ

  • ワイン開け全話イッキに見る夜長

    虹岡思惟造

  • アルバムの断捨離迷ふ夜長かな

    蒼鳩 薫

  • 俳句集夜長頼みに千句読む

    蒼き鷹

  • 帳尻の合わぬ家計簿夜長かな

    ぼたんのむら

  • 来し方を夫と語らう夜長かな

    田中ようちゃん

  • 宿坊の静寂に浮かぶ夜長かな

    松元転石

  • 長き夜は独りが好きと言いきかす

    秋雪

  • 各々の営みありて夜長の灯

    ピアノおじさん

  • 長き夜や不眠の理由探しをり

    岸 小広

  • 八十迎へ昔を語る夜長かな

    kikuti-aya

  • 眠られずまた飲み直す夜長かな

    大谷如水

  • 太陽系この惑星のこの夜長

    始の子

  • 傍らの戦史本読み返す夜長かな

    橋本諒駿

  • 長き夜お酒と歩く帰り道

    帰宅部めんそ

  • Wi-Fiの価値の高まる夜長かな

    よしおかあんみつ

  • 検査前にわか禁酒の夜長かな

    紫鋼

  • ただ独り目覚めて夜長空あふぐ

    かじま木犀

  • 長き夜や指を湿らせスマホ繰る

    田邉真舟

  • 盤上に頭寄せ合う夜長かな

    池弘庵翁

  • 川音の絶えず聞ゆる夜長かな

    和泉明月子

  • 難しき数独ためす夜長かな

    たなべ早梅

  • 名作に涙夜長のタブレット

    原島ちび助

  • 長き夜のひとりライブの風呂舞台

    ゆぃ

  • 思い出話を母とまたする夜長

    岡崎ゆきこ

  • 久々や母の愚痴きく夜や長し

    川島欣也

  • 猫の目とスマフォこうこう夜長かな

    田村 宗貞

  • 思ひ出の浮かびて消ゆる夜長かな

    dragon

  • 旧友と語り明かそう夜長かな

    ニッシャン

  • 語らいの尽きぬ夜長や古時計

    加和 志真

  • 遠足の服縫う亡母夜長の灯

    またね

  • ほくほくと頁をめくる夜長かな

    濃紫えみ

  • ひとり居のしつこい咳とゐる夜長

    乃の

  • よいどれの夜長たのしむ親子かな

    佐久間鮎

  • 読了や時計の音のする夜長

    海老煎餅

  • 並のため下手な推敲夜長かな

    一茶お

  • 居眠りの老父揺れてる夜長かな

    風の旅人

  • コルトレーンとバーボンで夜長かな

    千葉睦女

  • 老耄の夜長の瞑目眠り待つ

    天東あさじ

  • 思い出の母の小言に夜長かな

    彩明

  • 静けさといふ音ありて長き夜

    大熊猫@四句八句

  • 長き夜君と語ふ心地良さ

    鹿島 萬

  • 薄がけに包まり朝待つ夜長かな

    大木典子

  • 波音は絶えぬ地球の夜長かな

    勘八

  • 長き夜の別れ話となりにけり

    岡田雅喜

  • 旅心「るるぶ」で癒やす夜長かな

    渡嘉敷五福

  • もて余す夜長や猫とワンルーム

    竹内ユキ

  • 会いたいを消してまたねと打つ夜長

    砂 芽里

  • 来し方の脳裏に深し夜長闇

    三島ひめばしょう

  • 推理もの読めば過ぎゆく夜長かな

    せりよさ

  • ただ磨きただ抱くギター長き夜

    カオス

  • 電池切れのスマホもて余す夜長

    藤源卿

  • 酒ならべ選びに選び夜長待つ

    川口雅裕

  • 最終回見終えてロスの夜長かな

    星田羽沖

  • 積ん読の少し低まる夜長かな

    リコピン

  • 昭和歌謡繰り返し聴く夜長かな

    戌の箸置

  • 酔いどれの愚痴聞く母の夜長かな

    茜咲

  • 5時に酒背徳感の夜長割り

    丘上 すめる

  • 天仰ぎ来世へおもひ馳せ夜長

    ひぐちいちおう(一応)

  • 無防備の嚔のありし夜長かな

    Early Bird

  • 長き夜や植物図鑑を捲りをり

    涼月橋

  • ガラスペンするする洗ひ夜長かな

    牧野あや子

  • オリエント急行の謎へ夜長の書

    こきん

  • 長き夜の劫争いの勝負かな

    東 湘輝

  • 夜長さや背中合わせの二人かな

    辻󠄀本四季鳥

  • 昼寝して寝入りに苦労夜長かな

    中野風鈴

  • スタンプが行ったり来たり夜長かな

    相沢薫

  • 終電を過ぎし酒場の夜長かな

    永想

  • 楽しみに夜長をまつやじふご冊

    コイケキクエ

  • 人生に意味はあるのか嗚呼夜長

    羅蒐

  • 割り切れぬ円周率の夜長かな

    夢雨似夜

  • 老いの猫昼よる寝てる夜長かな

    大谷 芳

  • 雨音にリズム生まるる夜長かな

    池田  凜

  • ポチポチとLINEの光る夜長かな

    吉岡パフ

  • 長き夜を空気のごとき妻とあり

    愚老

  • 老眼鏡探しくたびれ夜長かな

    滝美音

  • 着て脱いで断捨離悩む夜長かな

    岡崎秀恵

  • 歓声はかすか夜長の二階窓

    OMI

  • 長き夜牧野博士の本を読む

    田畑せーたん

  • 日に何度着信を待つ長き夜

    鮫島しょうん

  • 長き夜の母の語りは五度目かな

    一純。

  • 1Kや一人晩酌「はぁ」夜長

    橋邑 高豪

  • 長椅子で産声を待つ夜長かな

    渡部 あつし

  • 抗はず睡魔の心地良き夜長

    島田ポン吉

  • 寅さんの恋の実らぬ夜長かな

    文月

  • この夜長栞挟めぬミステリー

    ゆみづき

  • 夜長妻鶏唐の分2キロ増

    男鹿中熊兎

  • 二度三度目覚めし老の夜長かな

    夏目タンチャン

  • 名人の長考一手待つ夜長

    風間 燈華

  • 長き夜にテレビ相手の独り言

    阿万女@ノエル

  • Thelongestnightハモる夜長かな

    柴桜子

  • 映画二本常速で観る夜長かな

    田辺富士雄

  • 積ん読の机に更けて夜長かな

    やっせん坊 池上

  • 亡き人に思ひ出語る夜長かな

    仙川チュン

  • 病せば積ん読ばかり夜長かな

    衣笠 野波

  • 夜長のブルーライト着信は0件

    嶋村らぴ

  • アルバムを開きて夜長夜長かな

    喜多輝女

  • 夕闇の訪れ静か長き夜

    砂月みれい

  • 針落とす流るる夜長ビートルズ

    玖良咲

  • 恋文の送信押せぬ長き夜

    すぷ雷人

  • 産声を今か今かと待っ夜長

    小池是空

  • 野菜来る夜長ことこと常備菜

    うさぎ柚和

  • ハーブティーゆっくり煮出す夜長かな

    西町彰子

  • ひとマスを埋める長き夜の数独

    たけろー

  • 隣の家に救急車来る夜長

    清白真冬

  • ちくちくと無心に刺し子縫う夜長

    雨李

  • 銀の砂時さらさらと落つ夜長

    はまお

  • 壁のしみ数へてひとり夜長かな

    糺ノ森柊

  • 明日朝のプレゼン資料読む夜長

    殿さまペンギン

  • 友からの文読み進む夜長かな

    紋舞蘭

  • 長き夜や妻の携帯の充電

    剣翔寺亜太琉

  • 長き夜や辞書を繰る音の続きたる

    信木庸子

  • 夜長の不眠よ望まぬ瞑想また

    緑茶花

  • 頻尿に悩める八十路長き夜

    髙見艀舟

  • 妻里へ帰りて酒の夜長かな

    片桐 洋

  • ぐずぐずとぐずる子背負う夜長かな

    きべし

  • 行きずりのチャット重ねし夜長人

    清瀬ハイジ

  • 遥かなる声聴く長き夜の不眠

    いこん

  • ドッグイヤーおかわりはモカ夜長

    山本 マユミ

  • 点滴の雫数える夜長かな

    駄々

  • 長き夜に十八年ぶりのアレ来たる

    雅蔵

  • 長き夜残り僅かな暦見ゆ

    久えむ茜咲

  • 失ひてつのる想ひの夜長かな

    林 和寿

  • 長夜明けまな板の音子守唄

    新米にぎりめし

  • 長き夜の液晶点滅アイタシ❣

    うはのそら

  • 長き夜星を見つめて母思う

    加藤光狗

  • アルバムの古きジャズ聴く夜長かな

    なかの花梨

  • 手術後の痛み眠れぬ夜長かな

    寺木 風宣

  • 寝返りの氷枕温む長き夜

    沼宮内 かほる

  • やりかけの「人生ゲーム」嗚呼夜長

    水木花水木

  • 来し方を子にメールして夜長かな

    きょんちゃん

  • 長き夜に膨満感のウォーキング

    二十八

  • 長き夜の駒音高き棋譜並べ

    村崎 雫

  • マニキュアを乾かしている夜長かな

    土井あくび

  • 歳時記を捲りて過ごす夜長かな

    上津 嘉子 

  • 彼のメール迷ひては消す夜長かな

    ほんちゃん

  • 終活のアルバム整理夜長し

    ふじかつとび

  • 消さぬままラジオ流れる夜長かな

    佐藤 聡

  • 友がいて飲み語り合う夜長かな

    於大純

  • 夜長満つゆっくり話す友とゐて

    青木りんどう

  • 長き夜を岡田阪神優勝に

    正岡若ん輔

  • 来し方を考に語りし夜長かな

    希布

  • サザンのバラードふと呟く夜長

    羽柳武助

  • 乾杯のこれが幾度や夜長の灯

    一港

  • 第二子の産声一人待つ夜長

    三無季生

  • 幼子に戻る夜長の夢のなか

    小田和子

  • 夜勤の手止めさせるほど夜長かな

    小田虎賢

次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
お待ちしています!

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