俳句ポスト365 ロゴ

中級者以上結果発表

2023年11月20日週の兼題

セーター

【曜日ごとに結果を公開中】

【類想】

選者コメント

夏井いつき

 冬の人事生活の季語です。

 今回、「セーターを編む」という内容の句がかなりありました。勿論、「セーター」ですから、編むという状態も季語「セーター」の一部ではあります。ただ、「毛糸編む」という季語もありますので、内容によっては選外としたものもあります。


 更に悩ましかったのは、場面としては面白いのだけれど、「セーター」でなくもよいのではないか、というもの。「ショール」でも「白服」でもいけてしまう、季語の動きそうなものもありました。

 「セーター」の特性をどこまで踏まえることができるか。そこが重要なポイントであったかと思います。


 いつものことではありますが、

類想を土台として、ささやかなオリジナリティやリアリティを加えることで、選に入っている句も沢山あります。それらを丁寧に読んでいくことは、自分のデータベースを豊かにすることでもありますので、復習をおろそかにしませんよう。重ねてアドバイスしておきます。


※今回の兼題「セーター」中級者以上投句欄へのご投句は、投句数3796句、投句人数1600人となりました。以下、類想句の一覧です。

類想一覧(選外)

  • 笑み溢れ揃いのセーターセピアの記憶

    宇佐美 秀堂

  • 君編みし虫喰いセーター捨てし我

    南波舟

  • 還暦の赤のセーター気後れす

    リカ

  • セーターを後ろ前にし胸を張り

    池弘庵翁

  • 別れても変わらぬ温み手編みかな

    微笑亭さん太

  • セーターに頭通せば別世界

    京子

  • 虫除けの匂いたっぷりセーター着る

    中村 自在

  • お揃ひのセーター弾む夜の街

    渡邉花

  • セーターの派手なる色の八十路かな

    上津 力

  • 新聞を取りに寝間着にセーターを

    弥日

  • 父のセーター着て似る我や亡き父に

    宮沢 韋駄天

  • 母の忌や手編みのセーター蕭々と

    片平仙花

  • お散歩のセーターを着る小犬かな

    文月あつみ

  • 気に入りのセーター虫食いの無念

    リコピン

  • 水難のスエタア編み地が出自を

    林りんりん。

  • セーターてふ彼に贈りし重き想い

    永田千春

  • カーディガン祖母の背中のカーブかな

    玉野汐音

  • セーターの袖はカピカピ昭和の子

    花咲明日香

  • 豹柄のセーター着込みいざ街へ

    九郎四郎

  • 年老ひて派手目のセーター勧められ

    ニッシャン

  • 亀の首「万歳」と着る初セーター

    美津うつわ

  • 古セーター郷の匂いか静電気

    しろくも

  • 母の編む古着解きて新セーター

    蒼き鷹

  • 捨てられぬセーターの毛玉刈る

    笑酔

  • 巣立つ子の褪せしセーター羽織る夜

    紅三季

  • 老いぬれど夫婦揃いのスエタかな

    円美々

  • セーターのほつれをなほす魔法の手

    ちくりん

  • 顔も似て揃いセーター親子かな

    午 勢至

  • 君からの手編みセーター綻びぬ

    玲風

  • セーターの中でにゃんこの夢いくつ

    村上継鳥

  • ああ悲し白セーターに穴のあり

    中田邦光

  • 母編みし毛玉のセーター古希に着る

    徳翁

  • セーターや固き編み目の重々し

    楽和音

  • セーターは彼女の手編みちくちくす

    田邉真舟

  • セーターの胸のまろみの暖かさ

    地白 吐素

  • スウェーターに飼い猫の毛がついてゐて

    望月朔

  • ブランドロゴのセーター我が青春

    浪速の蟹造

  • 生家前セーター嬉しき古写真

    藤 無南

  • セーターの腹のふくらみ嘆く父

    妄児

  • 通勤ラッシュ同じセーター目を逸らす

    羽光

  • 断捨離の出来ぬセーター妻の色

    越前 俊水

  • セーターに隠れし思い恋ごころ

    石内宏明

  • 捨て猫やセーターの中まどろみぬ

    田村美穂

  • 寒がりの君の棺にセーターを

    下條ちりり

  • セーターをほどく背中のまあるさよ

    KOMA

  • 憎っくき奴めセーターのしょうゆ染み

    高市青柘榴

  • セーターや気合いバチっといざ行かん

    山海動静

  • 捨てきれぬ祖母編みくれしセーターよ

    田中ようちゃん

  • ばちっと静電気着込むセーター新着

    あらいゆう

  • 古セーター掛け声だけの断捨離や

    木村木霊

  • セーターを昔は編み直したものよ

    喜多輝女

  • 母ほどくセーターの糸両の手に

  • 同じ顔同じセーター姉妹かな

    加藤多作

  • スーパーへ孫のセーター襟のタグ

    豊生スローマン

  • セーターの胸にイニシャル三姉妹

    清水明美

  • セーターを着たまま白衣纏ふ医師

    朱鷺9条湯八

  • 右左段ちの袖の初セーター

    風間 燈華

  • 老いしかと赤セーターで独り言

    渡嘉敷五福

  • 猫何処セーターが丸まっている

    灰田兵庫

  • カーディガン手隠すほどの袖余り

    みのさん

  • セーターにのこる家族のにおいかな

    阿山季思

  • セーターの母の背中の丸みかな

    夏山縁

  • セーターはお揃旅先限定の

    さとマル

  • 肘抜けし二十年前のセーター

    青木豊実

  • 妣編みしセーターといて湯のしする

    瞳子

  • 新品のセーターに穴猫の爪

    なつめモコ

  • セーターの胸のイニシャル兄のK

    日向浜

  • 看護師の深夜の紺のカーディガン

    平林政子

  • 脱ぎ方をもがくセーター見えぬ先

    津軽まつ

  • 手編みセーターずしりと重く友偲ぶ

    宇田女@ノエル

  • セーターの背越しに吾子の息温し

    たこ山焼之輔

  • 英国の漁師のセーター家紋入り

    山口朝子

  • セーターの重さは愛の重さかな

    防子

  • セーターの毛玉なじめり古女房

    三崎扁舟

  • セーターに出口が三つ未だ闇

    高橋風香

  • 下ろし立てセーター猫に先越され

    田畑せーたん

  • セーターや嫉妬も愛も封じ込め

    辻󠄀本四季鳥

  • 歳月や君のセーターはここに在り

    木村カズ

  • セーターの青はうちの子元気な子

    ゆかりん

  • 白衣脱ぎセーター姿や主婦の貌

    秋内 壱玖

  • 親、子、孫、手編みセーター永き旅

    孔明

  • セーターに編み込む思い檸檬色

    小和布

  • 麗人のセーターに穴親しめり

    田村さとこ

  • 赤セーター箪笥の奥にひつそりと

    杉山駄芭

  • 先ずは着よ派手なセーター出よ君

    山川土時

  • 萌え袖のセーターは白あざとい子

    高井大督

  • セーターの脱ぎ方おなじ三世代

    立石神流

  • セーターのてかる袖口めんこの子

    水無月

  • セーターの虫食い穴にダーニング

    砂月みれい

  • セーターやどちらを選ぶ白と黒

    渡部 あつし

  • トイプーに手編みセーターの溺愛

    藤源卿

  • セーターは真紅モノクロ写真の祖母

    井田みち

  • セーターの編み上がってからの恋

    多木緑風

  • 滅びしかセーターの袖てからす子

    黒澤墨青

  • セーターの出口さがしている頭

    前田

  • 彼のセーター裾をコソッとつまみたい

    猪子石ニンニン

  • 子のセーター無になってする毛玉取り

    でんだ浜千鳥

  • かくれんぼ鼻水はセーターのソデ

    粋庵仁空

  • セーターの手編みに絡む妻の怨

    佐藤浩章

  • おさがりの朱のセーター二十余年

    望月ぽん

  • 慣れぬ手でセーター編みし日懐かし

    真林

  • 抜け殻となりしセーターまだ其処に

    風の旅人

  • 三度あみ直されし姉妹セーター

    むったん@狐狸山会

  • 犬柄のセーター跳ねし鬼ごっこ

    珈藤絵本

  • つんつるてんのセーター着てた戦後つ子

    コーノ凡士

  • セーターのパチパチ吾子の逆毛かな

    太之方もり子

  • セーターの赤いイニシャル姉のK

    ゴーマ

  • 断捨離のセーター救い出す母よ

    古都 鈴

  • チェストへぎゅう今年もきっと着ぬセーター

    雪音

  • セーターの虫くい憎し胸の谷

    コイケキクエ

  • アルバムの揃ふセーター夢のごと

    永井旅人

  • だぶだぶのセーターを着る童かな

    紋舞蘭

  • セーターを着るか着ないか悩む日々

    だけわらび

  • お揃いのセーター嫌ひ手編みはなほ

    佐々木のはら

  • 母の編むセーターの柄前衛ぞ

    立歩

  • 過ぎし日は奥意に納め子のセーター

    三島ひめばしょう

  • 断捨離のセーター惜しむ母の愛

    すずらん似のチイ

  • 令和の断捨離昭和のセーターよ

    羽柳武助

  • セーターに白衣かさねて夜回診

    竜退治の騎士

  • ぬくもりや手編みセーター喜寿の旅

    加藤光弘

  • 残されしセーター吾にはちょっと派手

    加藤理恵子

  • セーターを古着が好きな犬小屋へ

    埼玉の巫女

  • 押入れに手編みのセーター色褪せぬ

    春風

  • 猫の顔セーターの首から二ャーン

    水城

  • セーターに子猫くるみて走りくる

    酔蚊眼

  • モヘアのセーター萌え袖の手繋ぎ

    不二自然

  • 捨てられぬカンガルー柄セーターよ

    夏 しのぶ

  • 巡回のナースが羽織るカーディガン

    鈴木由花子

  • セーターを匂いもろとも脱ぎ捨てん

    だいやま

  • 還暦に孫の手編みのセーター来

    原島ちび助

  • 今年また似たるセーター買いにけり

    野澤真澄

  • セーター袖隠す手小悪魔の技

    桃姫

  • ぶかぶかのトックリセーターいとをかし

    ⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部

  • 昨年のセーター未だ出来ぬまま

    横山くみこ

  • 隙目なきセーター重し恋人へ

    豆はな

  • 赤札のセーターLサイズがない

    Dr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部

  • 虫食ひのセーター犬へお下がりか

    水越千里

  • 同柄のセーター着せて犬を曳く

    遊泉

  • セーター編む婆ちゃんの手のその細き

    喜余人

  • セーターは黒ジョブズなる登壇へ

    縞ふみ

  • セーターの毛玉むしるは吾子の癖

    どいつ薔芭

  • 還暦の赤いセーターボール蹴る

    伊勢乃幸牛

  • セーターへ潜るが如く朝支度

    虎穴虎児

  • もふもふと眠る豆柴スエタ掛け

    望月 円

次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
お待ちしています!

投句はこちら