類想一覧(選外)
売られゆく生家に柿のたわわなり
ななかまど
むくり屋根肩を並べて柿二つ
とりゆふ
柿たわわ止まる都会の急ぎ足
橋本諒駿
長々と柿の皮むき一等じゃ
斧 的部
柿を取り皮剥き吊るす母のごと
越中之助
通学路塀より外は皆の柿
宮坂暢介
柿食うてガキ大将が武勇伝
アクティヴ如月
姿よしとろーりあまいずくし柿
風花
放置田の柿は烏のものと爺
はまゆう
柿の実が影を潜めるソーラーパネル
アントワネットdeノエル
古里は野猿対策柿切られ
美濃仙人
尻にまだほのかな青み軒の柿
おのまい
目の裏の柿の隣は祖父母宅
青みどり
節くれの指曲げて母柿を剥く
りえ
主無くも庭の熟柿や日に映えて
高旗みつき
思ひ出す柿盗人のガキの頃
まんはく
柿照る日父母と笑ひし軒の竿
古葉寅万
柿みのり里の景色の完成す
うみのひつじ
柿一つ山の子猿に残し置く
奥山 言成
柿たわわメジロの啄ばみと競う
義日月
通るたび色づきを増す富有柿
かぬまっこ木ノ芽
柿喰むや盗人鳥のしたり顔
土佐俳句人
筆柿や箱に百円音高く
南出 謙治
吾子の手に包みきれぬや柿一つ
清水千種
柿つつく烏の声や今更地
星夢 光風
通勤路カラス柿喰う最徐行
たけひら鞍琵
渋柿に名を書く家族醂待つ
柚木 啓
巳年ぞ登り叱られ食べし柿
正川 そう
住宅地頭上注意の熟柿あり
古川川
皮剥かば甘きも渋き柿の面
田中みどり
柿一つ残すてつぺんお蔭さま
森里綾里
食わない食います柿食えば食うとき
雨森 茂喜
固い柿柔らかい柿どちらでも
岡田瑛琳
柿一つ手元供養に供けり
忠園太冨三
色味良し鳥よつつくな柿たわわ
たいら はな
渡されしピカピカの柿掌に
伊澤諒香
放棄地の薮を陣取る実生柿
山くじら
熟柿好き父の御前にひとつ置く
加藤水玉
渋柿や猿の口に帰する八分
麦のパパ
柿届くナイフを前にじゃんけんを
み藻砂
熟れた柿最後のひとつ野鳥分
恵翠善
通学路ジャンプ届いた柿は渋
岸壁の龍崎爺
袖口で拭きつつかぶる里の柿
増本空ふね
塀を越す柿の実ふたつ捥ぎとりて
森 佳月
さわし柿まだ早かった渋二つ
俳邦山
柿の実がぽつぽつ赤き火を灯す
青葉時雨
国ざかひ越へてたわわや熟柿
みたか 姫
柔らかき艶ごと口へ柿を剥く
田村美穂
通勤の車窓から見る熟れた柿
暇禍
熟し柿竿の及ばぬ高さかな
山川土時
落暉あび鈴生りの柿朱鷺色に
秋葉 翠
モガだった祖母はサラダに庭の柿
おんちゃん。
被災地へ郷愁幾多柿齧る
蔵書室主人
柿の実にすがるごとくに夕陽映へ
富田健朗
柿たわわヒッチコックの鳥の群
田畑せーたん
柿を剥く母の手つきを思いつつ
亜桜みかり
てっぺんに木守りの柿杣の家
平野ノラリ
愛宕柿吸いて食する孫に剥き
辻󠄀勢
山盛りのお礼返しは赤い柿
からすちゃん
どの庭も柿はたわわに鄙の村
伊藤順女
母の剥く柿くるくると皮連ね
雨霧彦(木ノ芽)
箱を開け鼻をくすぐる義母の柿
ムシ・ミカミ
庭先の熟柿食ひて種ぬるり
西乃羊雲
磨いても味変わらねど艶の柿
丘るみこ
渋柿や干されなくても鳥が喰み
青金 せにあ
はらぺこの鳥見つけたり木守柿
楓摩ゆみ
ぽつり柿落ちて里山の閑か
香羊
お日さまの温もり包む熟柿かな
もりお
柿ひとつ切り分け配る母の指
富士桜花
柿の皮妹の指細かりき
山田佳風
一本に一割ほどの渋柿
多可木deノエル
熟柿食う入れ歯はいらんねひぃばあちゃん
禾火人言
熟柿食む夕日のやうな熟柿食む
紗凡
庭角に生る年々皆で食べる柿よ
畑 けん
柿色の暖簾輝く故郷かな
享子
ひとつひとつ紙に包まれ柿届く
飛来 英
ひとつだけ残して今年も柿じまい
岡田いっかん
六畳間煙で燻る柿の種
原罪むく
渋柿を皮むく婆の夢中かな
毛利尚人
垣根越し食って良いやら放置柿
粋庵仁空
柿の実に狙い定めた鳥が舞い
半額弁当
渋柿の音符のやうに吊るしたり
やっちゃんち
好物の柿丸かじり吾子二人
森の真林
柿見上ぐ実家じまいの話して
甘えび
柿食べていいかと母へ問うカラス
川上 生煎
柿ってさァ思ってたより四角いね
丘上 すめる
柿たわわ切る人も無し過疎の村
竹春エリザベス
柿も持つ手も艷やかで美しい
二重格子
ドラキュラもきつと好きだぞ柿啜る
いこん
祖父母逝き父母も亡くなり柿ぽつん
秋谷 忍
柿熟す故郷の母屋無き庭に
叶田屋
たわわなる柿にまぎるる猿二匹
小室雅俊
渋滞の国道柿の木に猿たわわ
海月のあさ
奈良の柿子規も食ひしと買ひにけり
鈴木古舟
偏食の吾子のため柿をサラダに
津田燕子花
試食して買い足す柿や道の駅
麻中蓬子
各停の車窓に柿のたわわなる
Early Bird
鳴き声のぬしはいづこか柿の庭
加山シンゴ
枝たわみ柿の実熟えて落ちかかる
三木 青猫
友柄と競いて吐いた柿の種
信ノエル
つるつるで丸く四角い柿を食う
藤紫ゆふ
妣の里思ひ遣せる柿甘く
達坊
柿耐へて樹上に熟るを待ち焦がる
みろくざか
物干しを我が物顔の柿簾
羊飼いのメリー
母からのふるさと香る柿便り
宮澤博
ダメージの大きな味覚渋き柿
噂野アンドゥー
家路の途入り日にまじる柿一つ
咲 まこ
沈む陽の柿と鴉の影絵かな
亀田荒太
角顔でふくれ面せり富有柿
弥勒夕陽
弟と齧り競ひし富有柿
はれみちる
酔はせれば渋も固しも消ゆる柿
みゆむうしば
柿の実へ父の竹竿見上げし日
ゆきなごむ
ランニング抜けて柿食う友ふたり
かなの りえこ
母逝きて父と二人で柿食す
みしまちづる
干し柿の供えて聞こゆ祖父の声
北方猫尻
包丁持つ孫や熟柿まだ剥けず
山川凛
同胞と蝙蝠傘で柿を採る
阿万女deノエル
盗っ人に言おかやめよか渋柿です
久米穂風
悪魔の眼めきたる柿の種子ぎょろり
群多亡羊
お隣に伸びて丸々柿二つ
ぐりえぶらん
干し柿を狙う鴉の黒き目よ
火星ラジオ
落日に柿の実たわわ溶けてゆく
シェリーまいらぶ
柿を剥く母の手元に螺旋かな
なかの花梨
「私もです」ホントは硬い柿が好き
綿鍋雪
故郷や地面に落つる数多の柿
丸山隆子
呼び声に振り向く足元笑う柿
高重安眠
柿醂し確かむるなり日に一度
風間 燈華
たわわなる柿誰も見ず朝日さす
砂月みれい
宵闇のぽつりぽつりと柿灯り
あらかわすすむ
七羽きて柿喰ひ落とす黒き鳥
清仁
柿食えば熊の出没うわさして
本宮豆奴
柿を数多食ひ荒らしぬる獣をり
チームニシキゴイ太刀盗人
柿食べに来る鳥待つや風の中
村雨藍
廃屋の木に成る柿の色の濃き
久世 桜子
じっとぶら下がる柿の実残る青
三和 了子
木守りの柿つややかや影長し
細木さちこ
柿染めて心待ちなりその甘さ
桔梗
贈答箱てらりてらりの柿二つ
みたまん
外にあそぶ子等なつかしき柿日和
愚老
鈴なりの柿のうしろの空青し
ほんちゃん
主なき庭に灯ともす柿の秋
壱太
柿と空補色のままに寄り添へり
百瀬温音
痩せ母の口へ熟柿滑り込む
辻本四季鳥
柿熟す夫の梯子を支えつつ
スマイリーK
里山に人なし柿たわわになる
有名人一字違い
村里の変わらぬ天恵柿日和
そめやまさみ
旅支度熟した柿に見守られ
奈保
渋柿も酔はされずるり熟柿かな
福井桔梗
食卓に手付かずの柿がひとつ
江良 中
母の手の魔法のやうに柿剥きぬ
高木音弥
柿きらい皮が固いと言った頃
しいなはずき
廃村となりて幾年柿たわわ
聞岳
大空を埋め尽くすほど柿実る
みなみはな
児の顔を隠して大き富士柿よ
篠田ピンク
蔕を嗅ぐ触れると捥げた柿ひとつ
touka.k
柿かじる遠きふるさと父の味
蔵原 貢次郎
日の当たりたる柿やねぐらへ烏五羽
一寸雄町
柿の実や残りて色は鳥を呼び
乏硯
柿の実は食べる事なく落ち尽くし
虎の尾
曇天のしだるる枝の熟柿かな
竹内綾里
柿成るや迎ふる祖母は低くなり
吉丈月子
柿くへば子規漱石の顔浮かぶ
卑弥呼
熟熟の柿たねねぶる舌の先
ねこの☆さんぽ
点々と潰れて落つる熟柿
丸山晴耕
好きな柿果てぬ涙や供え物
橋野こくう
熊もはや守り切れるか木守柿
鶴富士
夕鐘の染み入りて落つ熟柿かな
三つ葉躑躅
母と鳥熟した柿のパトロール
みつき 夏
万葉の風景柿の大和かな
荒木ゆうな
柿見れば父の声顔前の家
Karino
どっぷりと夕焼けに染まる柿簾
有田みかん
スーパーに四角き柿の並びをリ
岩鼻 のこ
柔柿の甘味惜しみて種ねぶる
杉と松
山辺の無人販売柿百円
えいぎょ
群烏落暉の染むる吊し柿
玲風
祖母と父空を見上げて柿を食う
山田檸檬
ストローを突き刺し吸いて熟し柿
島 白椿
柿吊るす母いる里や長電話
伊東海芋
甘柿をもいで食べれば子に帰る
玉川 徳兵衛
柿食べて種吹き飛ばし競いあう
亀亀子
夕陽受け静かに一つ熟柿
宮沢 韋駄天
山里の軒に干したる柿のれん
寺木 風宣
丁寧に柿剥く母の手の皺よ
田中紺青
庭柿の色深まりし高バサミ
茶
イタリアの柿のスプーンですくうcachi
さくらバディ
種までも露わや柿のぱっくりと
俳句川棒人間
柿並ぶ店先見つめ鳴くカラス
三宅翔丞
柿あかく山里遠く燃ゆるよう
kikuti-aya
在りし日の母ほっかむり吊るす柿
坂本雪桃
万有引力を証明してる柿
ひまわり怪獣
曽祖父母祖父母父母絶え柿を食む
和住 緋弧
柿といふ異物と対峙にらめっこ
雅蔵
ふるさとの鴉ついばむ柿の色
沖庭ノ華風
街道の干し柿並ぶ坂の家
山尾歩
柿ひとつ下がるる枝や里の道
花はな
柿食ふや種をぷぷぷぷぷ皿へ
まるかじり
柿たわわもぐ人の居ぬ空き家かな
リカ
食細き母の啜る音熟し柿
橋本鳩子
古民家のたわわな柿の薄茶かな
伊藤 蒼邨
柿ひとつ木登り名人叔父の手に
日向浜
ひと匙の熟柿を母の口元へ
桃香
盗と柿がぶっと嚙めば歪む顔
川蜷
夕焼けの色に勝りて柿熟す
あさぬま雅王
柿食えば古の時思い馳せ
佐藤 聡風
柿をもぐ柿は陽を連れ空を連れ
あまま
柿熟す白寿の母の笑い皺
裕月 遥
渋柿をつるせば甘くなりにけり
隆栄
柿食べて渋い男になりなさい
Kかれん
産まれたて真っ赤なるかな柿たわわ
あが野みなも
廃村のそこだけ赤々と柿や
灰色狼
干し柿をしぶすと一服手を合わせ
濱 睦ゆ
干柿や幸せ色も陽と沈む
むじーじ
日の暮るる地蔵と影と柿二つ
呼幸
柿たわわヒグマをよける鈴が鳴る
深澤 健聖
鳥群れて貪る柿の肉の赤
鳥乎
塀の上鳥が忘れた柿ぽつり
町乃 磯鵯
三歳児柿の渋みを今知りぬ
伊予吟会 宵嵐
恍惚と熟柿啜る媼かな
うはのそら
富有柿や切ると案外皮続く
榊裕江子
お初です笑顔挨拶柿と我
待ち呆け
柿の実を嗅ぎて生家の庭想ふ
山田翔子
里古りてどの径行くも柿たわわ
喜多丘一路
渋柿と知りつつ惜しむ鳥への分け前
雨読人
家までは五キロの道よ木守柿
銀猫
渋柿はたわわに生りて青き空
千葉右白
箱詰に便利な形柿四角
田邉真舟
主人居ぬ庭の梢の子守柿
球追
山里や夕日に黄金柿スダレ
内田高雲
渋柿や顔いっぱいに伝はりぬ
慢鱚
ドンドンと柿の蒂落無常かな
シュシュ
早口の客はよく柿食う客だ
かんこ鳥
柿色に染まる柿山我が故郷
ニッシャン
老見上げ烏見下ろす熟柿かな
ゆず柴
旅果てて籠の柿食む夕まぐれ
塚本隆二
富有柿の無人販売ペイペイで
横山山水
質のよい柿も一年くらい待てる
そわかそわか
収穫の時はカリカリ庭の柿
虎有子
柿捥ぎや夕日影さす乾田んぼ
やまだ童子
甘かった曽祖父残す柿の木よ
WEDA ASH
柿の実を残して古き生家売れ
神山すい如
祖母すする耳たぶほどの富有柿
すがのあき
夕日落ちカラス遠く鳴く潰れ柿
最時 元生
年毎に時の速さや柿を食ふ
宝塚御殿子
店先の柿ひとつだけ蔕のあり
櫂野雫
竿上げ棒緋色なる柿はカラスに
如月 ゆう
柿取りを競いし姉や今は鬼籍
sekiいつき組広ブロ俳句部
渋柿と知らぬやからよ盗っ人は
中村笙平
風流れ夕日ゆらゆら柿簾
香西京子
渋柿も待てば美味いと鳥笑ふ
小川テル子
柿の実や遍きめぐみ陽に光る
風のピアノ
割り棹を返し見上ぐや柿の空
武 志望
柿を剥く指のかたちの母に似て
えりべり
柿見上げ猿蟹どちら賢いか
ゆぃ
好物の柿のサラダと赤ワイン
こーがはるちゃん
熟柿食む歯のなき母の一心に
永井無々
半生が考の好みとつるす柿
水野 寿香
柿を手に子規をも負かす詩才欲し
野点さわ
柿生りて先ずは鳥にと思ひやる
今乃武椪
稜線に輝く柿や鳥呼びぬ
余熱
次回の兼題も
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選者コメント
夏井いつき選
■まずは、傍題についておさらいしておきましょう。募集の際には、以下を傍題として提示しておりました。
傍題:渋柿・樽柿・きざわし・きざらし・柿の蒂落
その他、富有柿・次郎柿・西条柿など品種多数
「熟柿」「干し柿」などは独立した季語とも考えられますが、本サイトの底本としております『新日本大歳時記』(講談社版)では「柿」の傍題にも入っていましたので、OKとしました。
更に悩ましかった「木守柿」です。上記の講談社版の歳時記では、冬の季語として掲載されています。私も冬の季語として認識してきましたが、『新版角川俳句大歳時記』(角川書店)は秋の季語として載っています。こちらも、致し方なく許容しました。
このように歳時記は、編者の考え方によって、採録する季語の種類や数、季節の分類などにも違いがあるということは、知っておく必要があります。
■「柿紅葉」「柿落葉」については、葉を指しての季語ですから、別物と考えるべきです。「柿の花」「青柿」は夏の季語です。
■「柿」という季語はあくまでも「実」のこと。
「林檎」「梨」など実をつける木については総じていえることですが、秋の季語「柿」=果実を指します。
「かつては村のどの家にも柿の木があった」「生家の柿の木はもうない」、あるいは「柿の木に登って叱られた」のような内容の句は、そこに実の存在が読み取れない場合=季語としては機能していない、というのが季語としての考え方です。
中には、それでも詩としての力を持つ句もあり、それらは「無季の句だけど」という条件付きでいただいたものもありました。
■更に、中級コースとしては言うまでもないことではありますが、「柿色の〇〇」は「柿」が比喩になっていますし、「柿渋染」のような使い方は、季語として使われているとは言い難いですね。
■もう一つ、うっかりミスではありますが、「柿熟す」等の使い方において、「塾」という字になっていたものが結構ありました。送信ボタンを押す前の最終チェック、くれぐれもお忘れなく。
※今回の兼題「柿」中級者以上投句欄へのご投句は、投句数4369句、投句人数1828人となりました。以下、類想句の一覧です。