【佳作】
柿は生臭し腫瘍は仄暗し
長澤創次郎
柿を捥ぐ私が鐘を鳴らさねば
嶺乃森夜亜舎
蒼穹や種無し柿に種の痕
トポル
印象派の対義語として柿がある
ぞんぬ
みちのくや十四年目の柿を捥ぐ
高山佳風
柿食ふや子規の亡くなる第七話
星月彩也華
閉校の噂や柿はよく生って
玉家屋
柿しかないでオレオレ詐欺の受話器置く
小笹いのり
諳ずる挨拶文や柿たわわ
伊予素数
訃ににほふ雨のうはずみ柿灯る
げばげば
柿分ける正真正銘の一人
いたまき芯
柿きつて食ふとき柿のいろを食ふ
月岡方円
とりけもの訪へば饗なる放置柿
前田いろは
円空が頭彫り出しそうな柿
笑松
首塚の柿人は変わらぬ
Re:鬼
啄まれまた啄まれ落ちぬ柿
いさな歌鈴
柿三個6ユーロ巴里16区
巴里乃嬬
柿赤し仏生まるる鑿の音
山下健太朗
渋柿とコンクリートとインドゾウ
安田 爽葉
柿食えばコロコロコミックのにおい
蜜がけまやこ
柿たわわマトリョーシカは手ぶらです
星・らいか
柿たわわ長女長女とうるさいわ
若林くくな
熟柿落つ墓誌の朱色は失せたるか
星埜黴円
甘柿や誰かの家を壊す声
升 丁茶
まともつて何さ渋柿酒塗れ
青井えのこ
相続放棄の庭に落ち放題の柿
北村 環
てのひらの柿よ日出る国だとさ
うましか(志村肇)
柿くへば寄る年波のやうな味
孔明
立ち退きの迫る官舎の横の柿
うめやえのきだけ
よくぞグチャッとせず吾は生きて柿きれい
仁山かえる
真四角の柿や石尾のお大師さん
うた 歌妙
筆柿や帝銀事件記者の黙
苫野とまや
柿かたし柿やはらかし妹は律
紫小寿々
柿噛めば遠き地層の匂ひかな
コンフィ
柿を剥くふるさとにゐるやうに剥く
可笑式
痰からむ子規へ柿すりおろす律
織部なつめ
渋柿や里を離るること易し
坪田恭壱
勇退や日がな一日柿吊るす
なしむらなし
五指ふれて五つ窪める熟柿かな
葉村直
柿割りぬ総理とは孤独の器
刈田陽子
柿買ふや電話ひとつも出来ぬ里
笑笑うさぎ
柿の尻ゆたかに割れて甘し甘し
ケロリン
枝に柿小言に聞こえただろうか
坂本 羊雲
柿たわわ県住のK棟閉鎖
東山すいか
念押しは散骨のこと柿のこと
桜井教人
てらてらと柿来客は証券屋
あまぐり
柿たわわプロパンガスの出張所
春海のたり
柿喰うか橋を燃やすか思案した
理酔蓮
木守柿喰はれし穴の崩れけり
宇のななみ
Kの死に栞を挿して柿を噛む
かときち
夜しづか柿ふたつ剥く妻しづか
百瀬一兎
熟れる気がなかつたやうに熟れて柿
五味海秀魚
誰が為に柿をむいてる婚期かな
広瀬康
絶筆の文机に齧りかけの柿
晴田そわか
知らぬかたちの柿生る家や嫁ぎたる
木染湧水
臍に葉をつけて座布団めく柿ぞ
千夏乃ありあり
裸婦像の尻の四角き柿の秋
ぐでたまご
門前の大工の村や柿の秋
茂木りん
じいさまのじいさま死んだ時の柿
天雅
辻々で柿渡される選挙カー
樫の木
柿くへば吾子のよこがほ子規のやう
古賀
家系図に一郎多し柿を剥く
世良日守
日本といふせつなさの柿灯る
山内彩月
ひんやりと夕焼の詰まる柿の尻
シュリ
金堂の慎ましくあり柿の秋
みらんだぶぅ
柿やわらか私は何を遺せるか
横縞
柿食えば国士無双の単騎待ち
北山 烏兔
余命ある限り明るし柿の家
髙田祥聖
渋柿の食べ方ひとの忘れ方
ノセミコ
父の家保ちてけふの柿のいろ
いずみ令香
渋柿の透けるまで陽に預けおく
冬島 直
渋柿はたわわ母とはまだ不仲
千歳みち乃
そのときは柿のあかるさで死ぬか
古瀬まさあき
父方の出自は会津柿渋し
如月ドロップ
柿の種切ったすんなりとした白
曇ゆら
柿あまた雨に濡れたる力石
さいたま水夢
柿たわわ全部遺品になつたんだ
嶋村らぴ
砂鉄取る山は崩れて柿たわわ
谷口詠美
独り居の柿を剥きつつラジオ寄席
文室七星
柿の実や会釈もて入る一草庵
綾竹あんどれ
無住寺にかそけきひかり木守柿
うに子
立ち退きに抗ふ一戸吊し柿
ふもふも
ベトナムの柿との違ひ説くグエン
横山雑煮
空つぽの古墳のてつぺん柿たわわ
黒岩牡丹(中兎波改め)
柿びより便所は別棟の実家
藤本花をり
エール遠くときおり沸いて柿ゆたか
だいやま
柿生るや家族さびしき水の音
播磨陽子
天平のお堂おおらか柿たわわ
泗水ハオ
柿を剥く詫びの言葉のただ螺旋
内田ゆの
もう剥けぬ優しき手より柿を受く
冬野とも
村果てる鈴なりの柿墓標とし
紫水晶
柿剥けば狭しよ主事室の流し
足立智美
柿二つ薬四錠糞一本
冬のおこじょ
柿熟れる聖ルドビコは十二歳
清白真冬
柿簾村の空気は甘すぎる
芋 二郎
柿甘し大三元で上がりたる
剣橋こじ
撫牛の糞れるが如く柿熟るる
内藤羊皐
再発は置いとく柿の空青し
ゆすらご
柿かじる暮しの手帖読みながら
にゃん
ほどほどに柿とる父の日暮かな
大和田美信
嫁にやる柿と蔵ある家ならば
谷本均
塀越ゆる柿や六法貰ひし日
和泉穣
柿ふたつなんと明るきお仏壇
佐藤ゆま
柿も火も野宿の赤のみな妖し
居並小
柿食えば詩にヨーロッパ至上主義
平良嘉列乙
まず上ルのち東入ル柿の寺
つくばよはく
長考は名人並みに柿熟るる
うみのすな
傷ある柿よ彫刻のやうな詩よ
北藤詩旦
柿ひとつ暗きに落ちて雨催ひ
るびちゅ
寂しさを積むにはちやうどよき柿ぞ
イサク
また猿の話になりぬ里の柿
中島 紺
働いて灯火ひとつ柿ひとつ
平本魚水
日の丸や四角い柿が増えてゐる
トウ甘藻
夕日にも糖度ありけり柿たわわ
堀口房水
柿たわわ空気を運ぶ市営バス
蜘蛛野澄香
米櫃は空つぽ富有柿真つ赤
三浦海栗
柿噛めば種つるりんと病みあがり
内木場 拓庵
柿のこと略し手紙に柿を置く
元野おぺら
恍惚のしづくか柿はしぶ抜かれ
アンサトウ
次回の兼題も
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