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中級者以上結果発表

2022年1月20日週の兼題

雛祭

【曜日ごとに結果を公開中】

秀作

  • 一生は月の満ち欠け雛あそび

    矢野貴子@金カル

    選者コメント

    夏井いつき

     人間の一生というのは、まるで「月の満ち欠け」のように盛衰があるものだというのです。「雛あそび」に興じる我が子を思いやるようでもあり、我が人生を振り返るようでもある含蓄の一句です。
  • ももいろは9のだん雛の日のトイレ

    いかちゃん

    選者コメント

    夏井いつき

     「ももいろ」と「雛の日」は相性が良すぎる取り合わせですが、それがトイレに貼ってある九九の表だという意外性。「9のだん」まで辿り着けば、九九の制覇は目前。ほのぼのと楽しい作品です。
  • ウヰスキーボンボンざりり雛の夜

    あまぶー

    選者コメント

    夏井いつき

     雛あられでも菱餅でもない「ウヰスキーボンボン」は、大人の雛祭。下五「雛の夜」という展開と響きあいます。さらに「ざりり」という舌の感触の描写も巧いですね。ふわんとお酒の匂いもして。
  • 飛行機衝突かみひひな墜落

    イサク

    選者コメント

    夏井いつき

     「飛行機衝突」で大事故かと思わせておいて、「かみひひな」を敢えて平仮名で書いておいて、「墜落」の一語で出来事の全てを語る。その企みが成功しました。表記の効果も良き判断でしたね。
  • 羊羹はぶあつい雛の髪きれい

    げばげば

    選者コメント

    夏井いつき

     雛祭のお呼ばれでしょうか。美味しそうな「羊羹」が分厚く切られていて、お雛様の「髪」が黒くてとてもきれいで。「羊羹」「雛」「髪」の触感や色合いの対比などが、さりげなく表現されています。
  • 雛と雛かしげ淋しくない角度

    ありあり

    選者コメント

    夏井いつき

     男雛女雛が見つめ合うことがない違和感を描く句はありますが、雛二体をほんの少し角度をつけて飾ってあげるというのです。「淋しくない角度」はまさに映像であり、大人の憂いも含んでいます。
  • 雛の間にはなつ鸚哥のすぐ糞す

    中里 凜

    選者コメント

    夏井いつき

     「鸚哥=いんこ」、「糞す=まりす」と読みます。お雛様が飾られたお座敷にわざと放ったのか、うっかり籠から逃げられたのか。インコのうんちに大騒ぎするのも雛の日の小さな思い出です。
  • ひな祭り錦糸玉子がただならぬ

    北藤詩旦

    選者コメント

    夏井いつき

     雛の日のちらし寿司を彩る「錦糸玉子」を詠んだ句は山ほどあるのに、下五「ただならぬ」だけで独自性と真実味を手に入れてしまうのだから愉快。どんな状況なのか想像すればするほど面白くて。
  • つかまり立ちの右手が雛の檜扇へ

    ぐでたまご

    選者コメント

    夏井いつき

     このような瞬間を描いた句も沢山あるのですよ。しかし、「つかまり立ち」で年齢や様子が分かり、「右手」「檜扇」という具体性がそのまま映像に。最後の助詞「へ」の一字の効果も見事な選択です。
  • やんごとなき古雛まばたきくらいする

    雪井苑生

    選者コメント

    夏井いつき

     高貴な家の高貴な方々が所有していた古い雛人形。そこらの庶民の雛とは違いますから「まばたきくらいする」のです、と平然と呟く人物もまた「やんごとなき古雛」のような表情をしているのかと。

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