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中級者以上結果発表 秀作
2025年6月20日週の兼題
夜の秋
【曜日ごとに結果を公開中】
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火曜日
水曜日
木曜日
金曜日
年輪はいま夜の秋の色の部分
桜鯛みわ
選者コメント
夏井いつき
選
一年に一つずつ増える年輪。春から夏に成長する広くて薄い部分、秋から冬が濃い部分。「夜の秋」とは、当にその境目の部分ではないかと。「年輪」のありようから「夜の秋」という季語を思い描くというアイデアの一句です。
夜の秋炎のやうなアラブの字
慢鱚
選者コメント
夏井いつき
選
「夜の秋」の涼やかさに対する、中七「炎」の一語の意外性。が、それは「炎のやうなアラブの字」と比喩へ展開していくのです。読書でしょうか、研究でしょうか。心地よく満ち足りた夜の始まりです。
棄つる絵のしづけき果実夜の秋
陽花天
選者コメント
夏井いつき
選
「棄つる絵」の中に描かれているのは「果実」です。その「しづけき」様子に、ふと目がとまったのです。絵の果実は腐ることなくそこにあり、昼の暑さを忘れてさせてくれるような「夜の秋」もまたそこにあります
夜の秋さざなみをなす飛び鉋
樫の木
選者コメント
夏井いつき
選
「飛び鉋(とびかんな)」とは、大分県日田市の小鹿田焼(おんたやき)の技法。中七「さざなみをなす」は「飛び鉋」の描写でありつつ、上五の季語「夜の秋」にもイメージを及ぼすあたりが、ベテランの確かな技です。
釦がぎんいろ夜の秋しゃんしゃん
五味海秀魚
選者コメント
夏井いつき
選
なんの「釦」なのでしょう。「ぎんいろ」という涼やかな色と「しゃんしゃん」というオノマトペだけで、「夜の秋」という季語を表現しようとした新鮮な試み。鈴のような「釦」の揺れが、心に残ります。
尻しろく垂るる裸婦画や夜の秋
沖原イヲ
選者コメント
夏井いつき
選
「尻しろく垂るる」という生々しい描写が、「裸婦画」であると分かった瞬間に広がっていく「夜の秋」。ぼんやりとした白い残像が、昼の暑さが薄れ涼しさの核が現れてくるような感覚と重なっていきます。
みづうみを列車あかるき夜の秋
飯村祐知子
選者コメント
夏井いつき
選
「みづうみを」の助詞「を」によって、湖上の鉄橋を移動していく「列車」が描写されています。「あかるき」は、連なるその車窓の灯りでありつつ、下五「夜の秋」へと重なっていくような効果ももたらしています。
履歴書の白は暗くて夜の秋
濱野 五時
選者コメント
夏井いつき
選
「履歴書」に「白」が多いのは、書き込むべき経歴や職歴や特技が少ないということ。己の生き様を突きつけられるような「暗くて」ですが、季語「夜の秋」に、ささやかな慰めと明日への気力が滲みます。
鳩尾は祈りのうつは夜の秋
古賀
選者コメント
夏井いつき
選
強い祈りや願いを抱えている時、「胃が痛くなる」という安易な慣用句を使いがちですが、「鳩尾は祈りのうつは」とは当に詩語としての表現。「祈りのうつは」の痛みを労ってくれるかのような「夜の秋」がそこにあります。
サイフォンは虚ろな楽譜夜の秋
トマト使いめりるりら
選者コメント
夏井いつき
選
フラスコ内の水がアルコールランプで温められ「サイフォン」の硝子の管を上がっていきます。「虚ろな楽譜」という詩語の向こうに、珈琲のふくよかな香りも立ち上がっていく豊かな「夜の秋」です。
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