俳句ポスト365 ロゴ

中級者以上結果発表

2025年6月20日週の兼題

夜の秋

【曜日ごとに結果を公開中】

【並選】

  • 夜の秋ポストの熱のやわらかき

    高山佳風

  • 夜の秋影絵の猫の笑い声

    猫楽

  • 夜の秋妻の眼鏡の渦厚し

    空地ヶ有

  • 絶海の孤島の如き夜の秋

    月影 重郎

  • 泣く吾子のまるまる尻や夜の秋

    千葉右白

  • 子らの声大きくなりぬ夜の秋

    花はな

  • 夜の秋の言の葉の美し広辞苑

    渡邉春生

  • 投函のコトンと返事夜の秋

    しんしん

  • 夜の秋遺産分割協議案

    HNKAGA

  • 夜の秋シードビーズの手をこぼれ

    風早杏

  • 夜の秋や兎の耳で風を聴く

    えいぎょ

  • 夜の秋やボードレールの濡れし息

    香壺

  • 旅人の気配に潜む夜の秋

    柑青夕理

  • 雀斑を鏡に数ふ夜の秋

    荻野れざん

  • 夜の秋栞に星のホログラム

    満生あをね

  • 夜の秋や五臓に染みる椀一つ

    まっちゃこ

  • 星の声しみ入る野辺や夜の秋

    春あおい

  • リビングに全員がいて夜の秋

    金子あゆか

  • 合併し二十年とは夜の秋

    あさぼらけ

  • 風と会う縁の靴脱ぎ夜の秋

    高遠マルメ

  • 夜の秋基地の名を呼ぶ子供たち

    ウラッキー

  • 夜の秋や小文字たのしき時刻表

    猪倉さえこ

  • 引く波のしがみつかむと夜の秋

    久保田A

  • 叔父叔母の老いさらばえる夜の秋

    小澤翔明

  • 惺と寂混ざり無音の夜の秋

    磯田 省吾

  • はやぶさの先頭車両夜の秋

    さとう隆明

  • 窓閉づる窓に手を置く夜の秋

    逢來応來

  • モルモット埋め終え夜の秋の風

    たーとるQ

  • ミュシャの絵のバスタオル出す夜の秋

    ほしの有紀

  • 人ひとり猫は二匹や夜の秋

    小園夢子

  • 夜の秋卒論をメールで送付

    ナゾラブ

  • 夜の秋淡々と喰む油淋鶏

    高辺知子

  • 棘と照り葉夜の秋労いて咲かん

    天海たに

  • サックスの路上ライブや夜の秋

    野々 りんどう

  • 田で果てし父の水断つ夜の秋

    栗田 もとえ

  • 指輪痕うつすら消えし夜の秋

    城内幸江

  • 捨てられぬガリ版句集夜の秋

    折口一大

  • たちきれの香の濃かりけり夜の秋

    男鹿中熊兎

  • 船上は星のこえのみ夜の秋

    sol

  • セルフレジおにぎりを買ふ夜の秋

    あまま

  • 尽きる火の蠟なき蠟燭夜の秋

    櫻心

  • 窓の吾は考似兄似や夜の秋

    宗平圭司

  • 四次元のポケット外す夜の秋

    ほうちゃん

  • ため息のテネシーワルツ夜の秋

    友咲恵子

  • コンビニに佇むポルシェ夜の秋

    まぐのりあ(蚊帳のなか)

  • 脳?心臓?こころは何処ぞ夜の秋

    立石神流

  • 夜の秋一駅歩く月連れて

    橋本諒駿

  • 夜具の中手足しまひて夜の秋

    松岡徘徊狂人

  • かんばせの疣のぽろりと夜の秋

    あま門

  • 夜の秋動画を止めて息を吸う

    鈴木来穂

  • 四季報にぴよこぴよこ付箋夜の秋

    長谷川水素

  • 夜の秋航空書簡の青インク

    紗羅ささら

  • 骨折の骨繋がりて夜の秋

    村上薫

  • 筋肉は糖化してゐる夜の秋

    星醒

  • 美しき人と歩けり夜の秋

    佐藤 聰

  • ギターだこの痛みにも慣れ夜の秋

    小手川とし

  • 実親に会えぬ訳知る夜の秋

    はるく

  • 佐渡航る星の甲板夜の秋

    風遊び為参

  • よるの秋もくめをゑがくやうに雨

    北藤詩旦

  • 口ずさむベサメムーチョや夜の秋

    はまゆう

  • 人帰り蛇口ひらきて夜の秋

    柚子こしょう

  • AIをチャッピーと呼ぶ夜の秋

    寺尾向日葵

  • 痛み止め食後の薬夜の秋

    横山山水

  • 夜の秋靴跡のこるスコア悵

    百瀬はな

  • タバコの火二度も三度も夜の秋

    ぜあす

  • おすすめは果汁カクテル夜の秋

    深澤 健聖

  • 夜の秋指先熱く恋を打つ

    弓田 孝高

  • 踝の白けて来たる夜の秋

    余田酒梨

  • 高速バスの窓覆う夜の秋

    綺星 柳皇(佐東亜阿介改め境沢一千雄改め)

  • 踏切りへ呼吸ゆるめる夜の秋

    HN

  • 涙ぐむ映画の予告夜の秋

    弘友於泥

  • ダイヤルをラ講に合わす夜の秋

    雅屋少将

  • ひとつ為しひとつ忘るる夜の秋よ

    青居 舞

  • 夜の秋清書の文字の澄んでいる

    ふくびきけん

  • 明日までにワーク十枚夜の秋

    宗平真実

  • 湯上がりにキャラメルを撃つ夜の秋

    なしむらなし

  • アカペラの満つる聖堂夜の秋

    呼幸

  • 露天への迷ひし小路夜の秋

    葉月庵郁斗

  • 夜の秋カバンに残るぬるいお茶

    暇禍

  • 家計簿に果物はなき夜の秋

    柴桜子

  • スマホに0はデカかった夜の秋

    宇野翔月

  • 雨沈と沈沈沈と夜の秋

    海猫

  • ヴィオロンを指で弾いて夜の秋

    みらんだぶぅ

  • 微炭酸泡は薄桃夜の秋

    とりゆふ

  • 手漉き和紙墨染みる香よ夜の秋

    広瀬八重桜

  • 渋滞の名神高速夜の秋

    酔蚊眼

  • 夜の秋や義理の姉妹の長電話

    西丘 信

  • 八畳の仏間に二泊夜の秋

    どれみすみ

  • 覚えなき血豆飼うなり夜の秋

    横山ひろこ

  • 古語ひとつ思い出しけり夜の秋

    一慎

  • 隣席も一人焼肉夜の秋

    虹岡思惟造

  • 夜の秋お大事箱の母子手帳

    猫またぎ 早弓

  • 地球儀を子と回し見る夜の秋

    夏の町子

  • 切る爪に月の齢や夜の秋

    沼野大統領

  • 紛争のニュース流れる夜の秋

    ニッシャン

  • 湯上がりの袂に隠す夜の秋

    中島裕貴

  • 夜の秋Aマイナーのハーモニカ

    裕月 遥

  • 酔ひ覚めに火星を探す夜の秋

    田村利平

  • 油絵の仕上げは間近夜の秋

    近藤マタネ

  • 紅茶葉の不意に解ける夜の秋

    みやざき白水

  • テレビには長嶋がゐて夜の秋

    朶美子(えみこ)

  • 鍵を抜く力の要らず夜の秋

    関津祐花

  • 「前科割り」てふ老看守夜の秋

    きゅうもんde木の芽

  • 夜の秋花瓶の底の銅硬貨

    在在空空

  • 夜の秋ガゼボの曲を和訳する

    染野まさこ

  • 糸電話こゑを潜めて夜の秋

    無弦奏

  • 夜の秋かぞへて尽きぬ砂のゆめ

    haruwo

  • 路地裏に風の通ひ路夜の秋

    ひだ岩魚

  • 送り荷へ筆添ふ一句夜の秋

    三島ひめばしょう

  • 夜の秋バックヤードに吠ゆる虎

    空井美香

  • 夜の秋ドールハウスに襞多し

    居並小

  • 夜の秋や姪にすすめる恩田陸

    乃の

  • 仲見世のシャッターに絵や夜の秋

    アポカリプス

  • 夜の秋海外からの着信音

    輝棒

  • 芳しき雨のあとの香夜の秋

    浅紫 泉

  • 民宿の下駄を借りたり夜の秋

    寺尾当卯

  • 解散のライブ音源夜の秋

    ほしのあお

  • 夜の秋脾肉の嘆き収まらず

    中島走吟

  • 夜の秋や欄間に並ぶ絵と写真

    君島笑夢

  • 夜の秋鏡のふちの翠色

    糸川ラッコ

  • 夜の秋川辺の椅子で握り飯

    草野立青

  • 子の部屋の爪切る音や夜の秋

    三群梛乃

  • 夜の秋ボトルシップの難破船

    虎堂吟雅

  • 夜の秋渡し待つ岸の葦風

    坂土海夏

  • 夜の秋筆の進まぬ遺言書

    吉川花ほっぺ

  • 家計簿に悪態ばかり夜の秋

    枝葉

  • 戦争の記事とばし読む夜の秋

    星埜黴円

  • ペーランの列を離れて夜の秋

    渡部克三度

  • ガラス窓私の中に夜の秋

    小川都雪

  • 夜の秋やロールシャッハテストめき

    青柳修平

  • 久々の微分積分夜の秋

    鈴木古舟

  • 夜の秋独りでも立つやじろべえ

    そよかぜシュレディンガー

  • 夜の秋東口にて待ち合わせ

    雅 寝子

  • 風よびて橋に人波夜の秋

    滝美音

  • 床に一つ湿気ったボーロ夜の秋

    鷺沼くぬぎ

  • 大仏殿甍を墜つる夜の秋

    田口大寒六

  • 推敲のすいすい進む夜の秋

    多数野麻仁男

  • 漆黒の衛星無量夜の秋

    鈴木実生

  • 夜の秋言葉の奥に嘘ひとつ

    影夢者亜

  • 少年の背の海こぼれ夜の秋

    千葉転石

  • キオスクに数珠の有無問ふ夜の秋

    木公男8888

  • 夜の秋茶碗重ぬる庖の音

    永井無々

  • 長袖は抱かれているよう夜の秋

    紅のジーナ

  • 抱き寄せし熱閑かなり夜の秋

    河村静葩

  • 羊羹の美味しくなりぬ夜の秋

    小石日和

  • 子規庵の玻璃戸に灯り夜の秋

    小田毬藻

  • 亡き人の句集ひもとく夜の秋

    細葉海蘭

  • 観音の岬しづまり夜の秋

    おまち 草

  • 風音へからむ繃帯夜の秋

    謙久

  • さじ洗うタイルの流し夜の秋

    橋本 有太津

  • 終電の遅延テロップ夜の秋

    小富古尾巣

  • 不登校は今日まで便所は夜の秋

    草臥れ男

  • 背番号にアイロン当てる夜の秋

    越前俊水

  • 夜の秋の麻痺の手の匙儘ならぬ

    杢太郎

  • あいづちも無言も音価夜の秋

    島田雪灯

  • 夜の秋なみだの種を抱きゐる

    丸山美樹

  • 税務署の小さい車夜の秋

    海峯企鵝

  • 巫女舞いの鈴軽やかに夜の秋

    聞岳

  • 夜の秋記憶の果てを訪うて

    木村木霊

  • 夜の秋ボトルへ銀の文字すらら

    中田邦光

  • 病棟に夫のみ残し夜の秋

    山口絢子

  • 夜の秋十七音に青甘し

    墨涵

  • リフォームの足場今日まで夜の秋

    三宅雅子

  • 次に会ふ時は偶然夜の秋

    縄田ゆみこ

  • 稽古果つ喉しほからき夜の秋

    北野小町

  • 備蓄米手早く洗ひ夜の秋

    広島 しずか80歳

  • 夜の秋街燈の灯の風に揺れ

    山崎 佳世

  • 夜の秋今日は草津のバスクリン

    小川しめじ

  • 夜の秋書を選り終えて息ひとつ

    竹村マイ(蚊帳のなか)

  • カラオケの不意にかなしき夜の秋

    タケザワサトシ

  • 夜の秋確と灯せる当番医

    久留里61

  • 夜の秋カンバスに青褐の空

    風薫子

  • アルバムに寄せあうひたい夜の秋

    風谷エクレア

  • 原付のミラー割れゐて夜の秋

    草夕感じ

  • 風呂あがり巻き爪を切る夜の秋

    馬門宗太

  • カクテルは北斎ブルー夜の秋

    すがりとおる

  • 夜の秋やストロークよりアルペジオ

    一港

  • 「グッド・バイ」に終幕は無し夜の秋

    メディックス千里

  • 夜の秋オーボエ鳴らすAの音

    あさぬま雅王

  • お掛け絵のマリアに祈る夜の秋

    木村深夜

  • 夜の秋声無き獅子の大あくび

    一条春枕

  • 夜の秋や寿命設定カウンター

    のんぬもんぬめぐ

  • 土匂ふ子のユニフォーム夜の秋

    花水木

  • 日雇ひの立ち飲み慣れて夜の秋

    岩瀬正人

  • 初産の乳頭固し夜の秋

    豆闌

  • 行方知らずの音を探せし夜の秋

    外鴨南菊

  • 宿坊の夕餉を済まし夜の秋

    松元転石

  • 父に名を呼ばれたような夜の秋

    近藤和草

  • 亀の歩の母と老犬夜の秋

    青日

  • オペ無事に終わった知らせ夜の秋

    絵夢衷子

  • ガス灯は邂逅のいろ夜の秋

    川村ひろの

  • 踏切の音はたうめい夜の秋

    干天の慈雨

  • 薄情な母親の役夜の秋

    八田昌代

  • 丁寧に包丁を研ぐ夜の秋

    蓮田つばき

  • 夜の秋破れた絵本テープ貼り

    隣野つるばら

  • 鳩の鳴く手品師の部屋夜の秋

    砂楽梨

  • ひとりでは貼れぬ膏薬夜の秋

    松葉学而

  • キッチンに氷産むおと夜の秋

    川代つ傘

  • 夜の秋永遠の文学少女たる

    立ち漕ぎブランコじゅん

  • 牛乳が出しつぱなしで夜の秋

    槇原九月

  • パエリアへサフランぱらり夜の秋

    平野芍薬

  • 夜の秋寝返りそしてスクロール

    佐々木 佳芳

  • がせねたの訃報飛び込む夜の秋

    露崎一己句

  • 清拭の指の温もり夜の秋

    我孫子もふもふ

  • 夜の秋操り慣れた松葉杖

    一井かおり

  • 祖母ひとり味噌蔵入りぬ夜の秋

    巴玖

  • 『黒い雨』浴びるごと読む夜の秋

    三崎扁舟

  • 母の灯や粗相に惑ふ夜の秋

    橋本鳩子

  • 勝負服決め花束と夜の秋

    竜眼ジジ

  • 夜の秋昭和歌謡にブラームス

    中藤古希

  • 夜の秋の書店ゲーセン巡りかな

    佐久凡太郎

  • いつもなら座らぬベンチ夜の秋

    坪田恭壱

  • オカエリの手旗信号夜の秋

    植木彩由

  • 夜の秋一人のたづきにも馴れて

    よこいちやこ

  • 大人しく懐く糠床夜の秋

    玉家屋

  • もう一周せがむ老犬夜の秋

    宏楽

  • 山里の灯火柔し夜の秋

    桜 萬山

  • サックスに息を吹き込む夜の秋

    桐山榮路村

  • 夜の秋雨の匂いの籠る杜

    八幡風花

  • 足裏のツボ押し棒や夜の秋

    田畑 整

  • 駅頭に異相の人や夜の秋

    さとうナッツ

  • 和紙ちぎる独りの時間夜の秋

    峰泉しょうこ

  • 花かつをふらふら夜の秋ふらり

    松本こっこ

  • 妊娠検査薬すべて捨てたり夜の秋

    ichihoppe

  • 仕送りに深夜コンビニ夜の秋

    ひすい風香

  • 釣銭の暗算正し夜の秋

    独楽

  • 老人の十年後の夢夜の秋

    大塚迷路

  • 湯の街に辿り着きけり夜の秋

    國本秀山

  • 夜の秋母に付き合ふ塗り絵かな

    葛谷猫日和

  • 墨の香に満たされ描く夜の秋

    春のまさ女

  • 下取りの黒のパソコン夜の秋

    北村 崇雄

  • 昭和百年無言で封ず夜の秋

    仲 操

  • 鉛筆を削り揃へて夜の秋

    堀雅一

  • 古民家の天井木目夜の秋

    宝塚御殿子

  • 気をつけて帰れよと夫夜の秋

    空乃さゆり

  • 採血の痕の紫夜の秋

    ツユマメ.広ブロ俳句部

  • 夜の秋アクアリウムの泡たしか

    匹田小春花

  • 転勤や国分町は夜の秋

    竹令呑

  • 母語ちがふ同士の夜の秋の席

    山本 絲人

  • 夜の秋源氏の恋に怪異譚

    小池博美

  • 夜の秋歪む安価な糸通し

    くすみ輝く

  • 電柱の影足長く夜の秋

    戸田なお

  • 自動ドア静かに開く夜の秋

    あらい

  • 不揃いの珈琲茶碗夜の秋

    さとう昌石

  • 徘徊を告げる放送夜の秋

    風の鳥

  • 塾帰り進路二択の夜の秋

    虎有子

  • 夜の秋港は生臭く眠る

    釜眞手打ち蕎麦

  • 夜の秋マクドナルドはTimesに

    幸久

  • コンビニのフォークに絡め夜の秋

    おおきどくん

  • 点滴の不整脈めく夜の秋

    青野遊飛(蚊帳の中)

  • 夜の秋折り目折り目の鶴の首

    タカ

  • 飲み干した湯呑みがふたつ夜の秋

    井口あき子

  • 夜の秋空気神社という宇宙

    山口雀昭

  • 進路希望調査表書く夜の秋

    かつたろー。

  • 夜の秋の結晶化蜂蜜を湯せん

    安達りんだう

  • 夜の秋B判定の河合模試

    チームニシキゴイ太刀盗人

  • 日曜の閉館早し夜の秋

    窪田ゆふ

  • 砂文字は波にさらはれ夜の秋

    市橋正俊

  • ライナスの毛布は起点夜の秋

    星乃ぽっち

  • ミスターのこと話してばかり夜の秋

    二十八

  • 夜の秋ホルン奏者の蝶ネクタイ

    亜桜みかり

  • 十五手目二歩に気づいた夜の秋

    稲光虎介

  • 風がまず大人となりて夜の秋

    楽花生

  • 人よりもエルフ長生き夜の秋

    わたなべ☆いつせい

  • 夜の秋の膳やぼおんと大時計

    東田 一鮎

  • トルコ行く計画を練る夜の秋

    森一平

  • 抗がん剤をワインで流す夜の秋

    ViVi杏梨

  • 夜の秋やあしゆびひらき泡に洗ふ

    源早苗

  • 重力のコンマ1減る夜の秋

    るりぼうし

  • 書きかけの退団届夜の秋

    野井みこ

  • 夜の秋お駄賃として祖母の飴

    白沢ポピー

  • 夜の秋履きつぶされしエスパドリーユ

    鶴舞櫻山

  • アダージョのピアノの開く夜の秋

    落句言

  • 夜の秋エゴン・シーレの絵に指紋

    加藤栗庵

  • 夜の秋ウトロの宿は星の中

    美津うつわ

  • 夜の秋ここからはがせますの文字

    公木正

  • 夜の秋薄いサンダル脱いで畳

    早足兎

  • 羊羮の端を味はひ夜の秋

    フージー

  • 沈黙の臓器働く夜の秋

    GONZA

  • 夜の秋ポアロ登場第二章

    楽和音

  • 夜の秋言葉少なに妻といく

    香取扇公

  • テロメアの残り少なき夜の秋

    満嶋ハト

  • 物憂げなゴッホの視線夜の秋

    紫檀豆蔵

  • 抽斗の母の香未だ夜の秋

    長操

  • 夜の秋さくさくと裁つモアレ生地

    いたまき芯

  • ペディキュアの朱色もどかし夜の秋

    平野水麦

  • 鏃めく黒曜石や夜の秋

    赤尾てるぐ

  • 夜の秋深部体温吐く呼吸

    椿 佳香

  • 夜の秋や地球は青に戻りたり

    清松藍

  • こげた鍋こそげる義母よ夜の秋

    高本蒼岑

  • 知らぬ地の知らぬ風音夜の秋

    駒村タクト

  • 指揮棒を振り上ぐる張り夜の秋

    武 志望

  • 送稿の椅子に伸びして夜の秋

    幸田柝の音

  • 四つ目のドックイヤーを夜の秋

    西村小市

  • 残り火をぶしゅりバケツは夜の秋

    ヒロヒ

  • レコードの記憶に針を夜の秋

    剛海

  • 落書きのギプス眺める夜の秋

    ちくりん

  • 夜の秋漂白終わるタンブラー

    金子泰山

  • カリンバの音のつれづれ夜の秋

    石浜西夏

  • シュレッダーのごとき鼾や夜の秋

    一井蝸牛

  • 耳萎えて四勘澄ます夜の秋

    どうえんえいみ

  • 壁の絵の少しまがつて夜の秋

    奥田圭衣

  • 五線譜を拒む音あり夜の秋

    村瀬ふみや

  • 湯上がりは牛乳ピンポン夜の秋

    沢拓庵◎いつき組カーリング部

  • 夜の秋背中の螺子を巻いて欲し

    Early Bird

  • 夜の秋をとこ独りの米を研ぐ

    羽住玄冬

  • 天籟も棺の中も夜の秋

    風慈音

  • 「残業」と嘘つく余力夜の秋

    板橋とをし

  • 噴火口めく煙突や夜の秋

    吽田のう

  • 期限切れの旅券の写真夜の秋

    中尾鎖骨

  • 蛍光灯の灯りの淋し夜の秋

    睦月くらげ

  • 夜の秋ひと組だけの渡船客

    信濃のあっくん

  • 決めかねる嬰児の寝巻き夜の秋

    沢胡桃

  • ポルトガル語始めて三日夜の秋

    満る

  • ポップコーン抱えたまま帰途夜の秋

    あかしの小桃

  • ベランダのタオルの微熱夜の秋

    キッカワ テツヤ

  • 夜の秋ガラスコップの厚き底

    平としまる

  • 牧水と酌みかはす夜の秋の風

    中原柊ニ

  • 夜の秋ペリエの瓶の光粒

    山下 水音

  • 鼻歌の自転車過る夜の秋

    加藤ねずみ

  • 深く吸ひ深く吐きたり夜の秋

    柳絮

  • 夜の秋受話器にのこる手のぬくみ

    高尾一叶

  • 背に甘き疼きニ尻の夜の秋

    太井 痩

  • その母に似る母の背夜の秋

    山田不律

  • スマホ印刷取説は?夜の秋

    榊裕江子

  • 百貨店出れば絵画の夜の秋か

    唐草もみじ

  • フルートの濡れた音色や夜の秋

    高嶺織人

  • 照る朱の朱をぬぐいて夜の秋

    柿本苧麻

  • 峠越ゆ浦の漁火夜の秋

    余熱

  • 街灯を過ぎ影の伸ぶ夜の秋

    不知飛鳥

  • 夜の秋ようやく開くプルースト

    森ともよ

  • 柳刃を砥ぐ水の音夜の秋

    トポル

  • ポニテール下ろせば香る夜の秋

    中島 紺

  • 客帰り沈香残る夜の秋

    千葉睦女

  • ビンゴ二等米袋抱く夜の秋

    香田 野分

  • 小道具の毒の小瓶や夜の秋

    如月ドロップ

  • ものの声収まりてゆく夜の秋

    野の菫

  • 騒ぐ街デクレシェンドの夜の秋

    谷 斜六

  • 君と訪ふ発掘現場夜の秋

    倉森愛華

  • 問診に母の病や夜の秋

    木村ゆーかり

  • ガスパチヨのこぼれて淡し夜の秋

    霧賀内蔵

  • 求愛の翅音僅かに夜の秋

    おんちゃん。

  • 午後九時の冷めた素肌や夜の秋

    松本厚史

  • 夜の秋みやうみまねに茶を点てて

    岡田瑛琳

  • リセマラの賽の河原や夜の秋

    ニリンギ

  • 夜の秋朝日俳壇捲る父

    篠田ピンク

  • 夜の秋間奏曲はブラームス

    神楽れもん

  • 人の手が人を叩くや夜の秋

    イサク

  • 夜の秋ドジャースは負け酒は切れ

    やまだ童子

  • 馬車道を行けばガス灯夜の秋

    津軽わさお

  • 夜の秋の対角線に風の道

    品川雅史

  • 夜の秋や部活引退したばかり

    実岡まつ

  • 角打ちの父待つ倅夜の秋

    津軽まつ

  • 駅前にレゲエのリズム夜の秋

    小佐治

  • 手弱女のしゃぼん匂ふや夜の秋

    秋内 壱玖

  • 夜の秋バスの最後の客となり

    高橋寅次

  • 夜の秋や歓声醒めたグラウンド

    ヒマラヤで平謝り

  • 吊るさるる青苧のにほひ夜の秋

    一寸雄町

  • ブルーノート終演後の街夜の秋

    大和杜

  • ひんやりとまぶたにおつる夜の秋

    菅田斑猫

  • 夜の秋産湯の吾子のおちょぼ口

    玖良咲

  • 廃炉への遠き道のり夜の秋

    津軽ちゃう

  • 見廻りの公園に猫夜の秋

    ちびつぶぶどう

  • 繋がれしままの連絡船夜の秋

    野々原ラピ

  • ほどきたる背番号7夜の秋

    夏野夏湖

  • 夜の秋ラストから読むミステリー

    岬りこ

  • ゴミは朝出せの張り紙夜の秋

    イシデ電

  • 西郷の裏のかほ知る夜の秋

    遠山比々き

  • 筆記体紡ぐGペン夜の秋

    黒澤墨青

  • 遠き祖の推定死亡や夜の秋

    清水ぽっぽあっと木の芽

  • 歌はずにつぶやく歌詞や夜の秋

    鈴木桃兎

  • 読み止しの続きに戻る夜の秋

    笑松

  • 五円玉コンカカと消えて夜の秋

    織 紫子

  • 夜の秋ボトルシップの帆のたるみ

    うめやえのきだけ

  • 島を出るおとと見送る夜の秋

    椋本望生

  • 予言めく侘しさもあり夜の秋

    富永武司

  • 夜の秋遺品整理は刻々と

    鱈 瑞々

  • 整はぬ呼吸も儘よ夜の秋

    森重聲

  • 夜の秋絹布はくるむ銀の匙

    摂田屋酵道

  • 阿蘇山の稜線淡し夜の秋

    藤白真語

  • 夜の秋点字におこす「方丈記」

    夢見昼顔

  • 夜の秋習いたてなり一閑張

    林 水城

  • 水やりの背に金星夜の秋

    村木年子

  • あの頃の未来となるや夜の秋

    田中美蟲角

  • 夜の秋常連さんの杖ゆくり

    愛柑いつき組note俳句部

  • おおかぜのあとのぬばたま夜の秋

    猪飼篤彦

  • 行き止まりの村への轍夜の秋

    むらのたんぽぽ

  • 夜の秋手首に後悔のタトゥー

    中村すじこ

  • 廃れ舟浜の砂噛み夜の秋

    いなほせどり

  • 猫の耳ため息ひとつ夜の秋

    田村美穂

  • 足先の影の消えゐて夜の秋

    菅井香永

  • 夜の秋面接結果☓でした

    白山一花

  • 夜の秋けふはたくさんはたらいた

    黒山万牛

  • 遠離るちびた下駄の音夜の秋

    渡海灯子

  • ゴーリーの絵本隠すや夜の秋

    柏木百智

  • 夜の秋ぬらつく風の乾きゆく

    登盛満

  • いづくにか小さき踏切よるの秋

    黒子

  • 夜の秋や喧騒海に溶けてゐる

    真夏の雪だるま

  • 二人さへ揃わぬ夕食夜の秋

    クラウド坂の上

  • 軋みなく古引き戸閉づ夜の秋

    ペトロア

  • 憚りてゴスペル復習う夜の秋

    田村 宗貞

  • 目薬は離して5センチ夜の秋

    吉田春代

  • フリスビー頭上抜けいま夜の秋

    泡沫とわ

  • 夜の秋岩盤浴なむカルペディエム

    そわかそわか

  • 夜の秋インクと紙を上質に

    鳳凰美蓮

  • 遅遅として進まぬパズル夜の秋

    檜鼻ことは

  • 女手に般若生まるる夜の秋

    どすこい早川

  • 柱時計八回打てば夜の秋

    蒼空蒼子

  • 夜の秋男は並べてフランスパン

    森 佳月

  • 他人にはゴミと化す書画夜の秋

    野原 華

  • 歳時記の頁を探す夜の秋

    山尾歩

  • 四股を踏むドアラのしっぽ夜の秋

    正岡田治

  • 素振りから素読に替わる夜の秋

    毛利尚人

  • 夜の秋北斗で水をぶちまける

    玉響海月

  • 夜の秋しゃがめば余熱と子のかほり

    飾る

  • 夜の秋や何するとなく拭くデッキ

    那須のお漬物

  • 夜の秋アンテナショップの売れ残り

    林廉子

  • 夜の秋憶う生家の古畳

    藤 無南

  • 牛おらぬ牛舎に猫や夜の秋

    花星壱和

  • 葡萄色のペディキュア重ね夜の秋

    くま鶉

  • 夜の秋ほのめかす水葬の伝聞

    白井佐登志

  • 夜の秋猿の眠らぬZOOに居り

    ぶうびい

  • 風水の暗示にかかる夜の秋

    谷町百合乃

  • つぼみなら知っていそうな夜の秋

    天鳥そら

  • 週二回明日は出社日夜の秋

    不二自然

  • 夜の秋やビリージョエルとバーボンと

    安曇 平

  • 食洗機の音雨の音夜の秋

    秋野茜

  • 新しき石鹸の角夜の秋

    山姥和

  • 夜の秋鉛筆描きの女郎蜘蛛

    やまもと葉美

  • 涙の跡ヒリリと撫でる夜の秋

    一杯狸

  • 理科室の骸骨は夜の秋も好き

    佐藤茂之

  • 麻酔より覚めて無事なり夜の秋

    飯沼深生

  • 病棟は四方に伸びて夜の秋

    水きんくⅡ

  • 子午線の正しき歪み夜の秋

    坐花酔月

  • 珈琲のミルは手動と夜の秋

    秋野木吾

  • 君舞えば風の流るる夜の秋

    西町彰子

  • 地図畳みだんだん宿へ夜の秋

    梵庸子

  • アルバムにはしやぐ波詰め夜の秋

    田中みどり

  • おんかかか童唱える夜の秋

    新森大大

  • 法事終ふ上りホームの夜の秋

    やっちゃんち

  • 雨音のバングル外す夜の秋

    伊達ノ半蔵

  • 後三つやりたいリスト夜の秋

    中華風

  • 太腿を這ふ静脈や夜の秋

    内田こと

  • 名画座にパンフレット無く夜の秋

    田辺ふみ

  • 飼い猫がタイルにいない夜の秋

    奈良の真

  • 夜は秋と街のあかりに人たずね

    釋愚拙

  • 人声の窓下に湧けり夜の秋

    黒蜜かりんとう

  • バンザイのシーサー貰い夜の秋

    山中 あぎ

  • 夜の秋湯呑みの底に残る酒

    猫ふぐ

  • 曾根崎に迷子の異人夜の秋

    うに子

  • 四行におさまる日記夜の秋

    えりべり

  • 捉えをるアンドロメダや夜(よる)の秋

    棗椰子(なつめやし)

  • AIガトモダチノヨウ夜の秋

    本田踊留

  • 湯薬の鉄瓶静む夜の秋

    つくばよはく

  • 煌煌と冷むる喚声夜の秋

    猪狩鳳保

  • ネットより牧師の説教夜の秋

  • 夜の秋古きギターの弦の錆

    馬場福朗

  • 握手した手はひんやりと夜の秋

    地球人

  • 赤白黒混ぜゆく夜の秋のうづ

    帝釈鴫

  • 宇宙めく辛さのカレー夜の秋

    伊予吟会 宵嵐

  • 三日月のポーズ伸びきる夜の秋

    小笹いのり

  • 夜の秋一輪挿しの無人駅

    西川たもつ

  • 犬友の話も長く夜の秋

    藤井かすみそう

  • 夜の秋晴雨兼用傘に染み

    井上鈴野

  • 夜の秋や真空管の照るアンプ

    秋月

  • うつしみの軽くなりたる夜の秋

    龍田山門

  • 月詠のインクくきやか夜の秋

    月岡方円

  • 夜の秋や遺影の祖父とまず一献

    黍団子丸

  • 波の音触れては返し夜の秋

    秋沙雨

  • 夜の秋銀河鉄道増便す

    櫂野雫

  • 夜の秋や鬼は人の化身といふ

    働大蔵

  • 合鍵を返す方法夜の秋

    那乃コタス

  • 喉奥にミントを忍ばす夜の秋

    ちぎれテープ

  • 夜の秋や水に浸け置く荒砥石

    武田ラーラ

  • 将棋盤取り残されて夜の秋

    北山 烏兔

  • 夜の秋お悔やみ欄に友の妻

    一走人

  • 夜の秋転た寝やめて米をとぐ

    かじま木犀

  • 夜の秋動いていない動く歩道

    須藤縦横

  • 校門の雨の施錠や夜の秋

    まこちふる

  • 公園は都市のかさぶた夜の秋

    野点さわ

  • 悔しさを噛む焼肉や夜の秋

    塚本隆二

  • 吐き捨てるように「やめたい」夜の秋

    滝澤凪太

  • 夜の秋香の満ちゆく紙整理

    一五珈琲

  • 一杯のダイキリ夜の秋に舐む

    長谷機械児

  • 退職の花束解けば夜の秋

    大 広秋

  • 別れきて靴擦れ二つ夜の秋

    大岩摩利

  • 屑籠の旅のしおりや夜の秋

    若林くくな

  • 縫針の数の穴あり夜の秋

    秋野しら露

  • 夜の秋川辺に魚の水飛ばん

    真雁侘助

  • 実印の姓に翳りや夜の秋

    洒落神戸

  • 夜の秋石鹸が割れちゃった

    ふくろう悠々

  • 夜の秋今日はここまで栞挿す

    山地

  • 夜の秋のあつれき読めるけど書けない

    たけろー

  • 家売る日の母の目潤む夜の秋

    谷口詠美

  • 湯上がりの赤児の匂い夜の秋

    海野老海鼠

  • 夜の秋や人差し指で弾くピアノ

    中里凜

  • キャンピングチェア拭き上げる夜の秋

    平良嘉列乙

  • 父の忌の取説がない夜の秋

    伊予素数

  • 紙に載るインクの臭い夜の秋

    渡部 あつし

  • 懐メロのフィナーレの指揮夜の秋

    上村 風知草

  • 脳トレに地味に溺れる夜の秋

    リコピン

  • 夜の秋本にも天地ありにけり

    北村 環

  • 降りしなも押されて会釈夜の秋

    感受星 護

  • ダイアリーの余白大きく夜の秋

    冬野みち

  • 蛍雪の校舎の窓や夜の秋

    卑弥呼

  • たまゆらのやうなみづあか夜の秋

    高尾里甫

  • 酒買いに出て見上ぐ星夜の秋

    沢野鬼ぐるみ

  • 夜の秋ラピスラズリを地球とす

    渡辺香野

  • 詰み筋に駒音ぴしり夜の秋

    永田千春

  • 夜の秋や千手観音手を叩く

    瀬野広純

  • 俎板をたてて消灯夜の秋

    日永田陽光

  • 前坪の熟れた草履夜の秋

    始の子

  • 人消えて蓮の森だけ夜の秋

    六浦筆の介

  • 夜の秋とうになくしたはずのもの

    紗藍 愛

  • 戸袋の雨戸鳴りたる夜の秋

    也和

  • 夜の秋ジャニスの声は沁み渡り

    せいしゅう

  • 夜の秋洗い晒しのユニホーム

    むねあかどり

  • 自転車の娘を待つや夜の秋

    みなづき光緒

  • 夜の秋豹の背を見ているやうな

    伊藤辰弥

  • 孤食とは気づけぬひとり夜の秋

    徹光よし季

  • 高窓に魔女の人形夜の秋

    石塚彩楓

  • 夜の秋製氷室に落つる音

    大谷 走郎

  • 博奕打ちたるゐずまひや夜の秋

    高橋手元

  • 寝過ごして降りるホームに夜の秋

    あなうさぎ

  • 家計簿のメモと匂いよ夜の秋

    オアズマン

  • 終活もそぞろすすみて夜の秋

    神山すい如

  • 夜の秋知育玩具の電池抜く

    蘭丸結動

  • 筆談の父との会話夜の秋

    いまいやすのり

  • ハンガーがかたんと落ちて夜の秋

    松本笑月

  • 夜の秋醤油の一滴を飯に

    着流きるお

  • だし抜けに風にをそはる夜の秋

    紫小寿々

  • 仲見世の下がる提灯夜の秋

    上津 力

  • 乾きたる首の手拭い夜の秋

    靫草子

  • 夜の秋配膳ロボにお礼言ふ

    清白真冬

  • 沈みゆくピラティスの臍夜の秋

    立川猫丸

  • 小夜風の頭蓋をそそぐ夜の秋

    オキザリス

  • 裏戸より小鬼ひょつこり夜の秋

    ときめき人

  • ドロップの缶に石ころ夜の秋

    細田裡子

  • 畳めない横断幕や夜の秋

    小林共捺哉読

  • 星の香の風一筋や夜の秋

    村岡花風

  • 夜の秋や終電きいと鳴き車庫へ

    雑魚寝

  • 街路樹の切られ匂い立つ夜の秋

    川口里山

  • 窓辺より和了の声して夜の秋

    陶笛有味音

  • 父に会ふジムの真中や夜の秋

    岡田雅喜

  • 湯殿いま「ぬ」板を掲げ夜の秋

    三浦海栗

  • 電源の切れたロボット夜の秋

    季切少楽・いつき組広ブロ俳句部

  • 色褪せし母の針箱夜の秋

    伊藤順女

  • 夜の秋肩に育っていく軽さ

    高市青柘榴

  • 子が語る不思議な話夜の秋

    野地垂木

  • 外灯の光芒拡し夜の秋

    戸口のふつこ

  • 夜の秋や一筆箋の古希祝辞

    富良里旅人

  • 夜の秋ネオン音するジジジジジッ

    仲間英与

  • 干し布のしつとりなびく夜の秋

    いかちゃん

  • 夜の秋炎の揺らぎ目を瞑る

    梨山碧

  • 縫い留めるシルクのシフオン夜の秋

    佐藤香珠

  • 夜の秋子と諳んじる絵本かな

    咲 まこ

  • 会食のあとは漫ろに夜の秋

    誠馬ノマド

  • ワイシャツのイニシャルほつれ夜の秋

    叶田屋

  • 夜の秋砂丘の芯は冷めやらず

    春海のたり

  • 実家には吾と骨壷夜の秋

    テレシア

  • 塾帰りスマホ見せ合う夜の秋

    竹春エリザベス

  • 再稼働容認されど夜の秋

    健央介

  • ボサノヴァに盗まれし時夜の秋

    伊藤柚良

  • 路面電車の青きスパーク夜の秋

    樋口滑瓢

  • 夜の秋電話ボックス淡々と

    地味伊達也

  • 恐ろしや話すことなき夜の秋

    黒蜜きな子

  • 夜の秋シャッター下ろす時計店

    あが野みなも

  • ライオン像へ募金夜の秋の駅前

    Q&A

  • 夜の秋遠方人の噂来る

    小島神泉

  • 夜の秋麺に絡んでこそスープ

    松田迷泉

  • 夜の秋や光にかざす白ワイン

    岡山小鞠

  • 好きだった靴も捨てます夜の秋

    有田みかん

  • 水の音や沈下橋行く夜の秋

    野中泰風

  • 夜の秋窓へ紫煙の落ちていく

    雨野 理多

  • 金曜日だから許さう夜の秋

    真名女

  • 泣きじゃくる吾子のハモリや夜の秋

    西野桃果

  • 夜の秋手にするものは月の蕊

    宥光

  • 見送りの車遠のく夜の秋

    夜ノ森ムーミン

  • 週末に終わる夜勤や夜の秋

    青木豊実

  • 夜の秋兄と射的をするホテル

    星月彩也華

  • 弟の長き歯軋り夜の秋

    沢井如伽

  • 自販機の外灯やわし夜の秋

    すがのあき

  • 車座の子らコンビニの夜の秋

    風花まゆみ

  • 竹の香の清し牛舎の夜の秋

    晴田そわか

  • 夜の秋惰性に紅きサイリウム

    みずくらげ

  • レコードの音のざらつき夜の秋

    岸来夢

  • 本尊の半眼やさし夜の秋

    むったん

  • 明日に買ふもののリストや夜の秋

    ひねもす

  • 配達はあと五個夜の秋しづか

    勇緋ゆめゆめ

  • 夜の秋角でばったり猫と吾

    大竹昭子

  • 水飛沫浴びる黒部や夜の秋

    T-彩香

  • 夜の秋酒瓶横にジャズを聴く

    谷 道悦

  • 夜の秋光鋭き街路灯

    東沖和季

  • 夜の秋をかさこそ鳴らすみすず飴

    苫野とまや

  • 夜の秋やミシンに小さき灯のありて

    ぞんぬ

  • 斜め読み感想綴る夜の秋

    塩風しーたん

  • 鉛筆の芯のするどし夜の秋

    渡邉 俊

  • 青だけがチビた鉛筆夜の秋

    風間 爺句

  • 連続の負けのポーカー夜の秋

    井納蒼求

  • 夜の秋の色はアレキサンドライト

    英ルナ

  • 夜の秋や牛乳箱を閉める音

    風間 燈華

  • 夜の秋白文鳥は手のまるみ

    はれまふよう

  • 焔立つ願ひを窯に夜の秋

    乏硯

  • 夜の秋人の呼ばるる廊下かな

    小公園噴水

  • 身一つでかき混ぜ行くは夜の秋

    青みどり

  • 夜の秋普通の人が殺人す

    二重格子

  • ライトアップの影は親密夜の秋

    岬ぷるうと

  • 夜の秋棺桶リスト書き連ね

    中津川聖翠

  • 客人はただ座りをる夜の秋

    さおきち

  • 塹壕の銃身の熱夜の秋

    正念亭若知古

  • 折り鶴を数えて百羽夜の秋

    石原由女

  • 夜の秋を警察犬の余生かな

    鳥羽南良

  • 憂鬱と同じ粘度の夜の秋

    富山湾

  • 鈴の音のふたつとなりて夜の秋

    霜川このみ

  • 夜の秋を回るバイオレットフィズよ

    家守らびすけ

  • 日記帳今日も一行夜の秋

    東 湘輝

  • 終点や酔い醒めやらぬ夜の秋

    ふくじん

  • 心臓の裂けて入院夜の秋

    どこにでもいる田中

  • 夜の秋アロマほのかにヨガポーズ

    美んと

  • 探し当てし古書の香ゆかし夜の秋

    田中一升

  • 陽水のCD取り出す夜の秋

    岡田いっかん

  • 母のための眠剤白し夜の秋

    中根由起子

  • 書留に香典袋夜の秋

    小川テル子

  • 近頃は待つばかりなり夜の秋

    喜寿にありけり

  • 動画に倣う素振りすり足よるの秋

    TAKO焼子

  • 夜の秋余光に沈む無言館

    佐藤烏有

  • 語り部の声の響きや夜の秋

    上津 嘉子

  • 息抜いて払うしんにょう夜の秋

    井上れんげ・いつき組広ブロ俳句部

  • 終電の窓に吾の顔夜の秋

    竹田むべ

  • 夜の秋ぱちと桂馬を跳ねる吾子

    日向こるり

  • 夜の秋ドライオレンジ噛み切りぬ

    海越ももか

  • 父逝きて通夜は四日後夜の秋

    真咲よしの

  • 夜の秋をひとり暗渠と知りながら

    水京

  • 丸皿の絵は拙きや夜の秋

    加藤水玉

  • ラード砂糖しょう油漏れくる夜の秋

    松島 寒泉

  • 失業し寝る子に蹴らる夜の秋

    山田季聴

  • 腹ばひのシロクマ抱いて夜の秋

    碧西里

  • 行間やすべる指先夜の秋

    桂葉子

  • 恋ひとつ土にかへして夜の秋

    大西秋桜

  • 夜の秋コップの泡の最後の息

    丸山隆子

  • 夜の秋や電車明るく人を吐く

    桃園ユキチ

  • 釣り人や日毎増す影夜の秋

    西風 心鏡

  • ぼろぼろの昆虫図鑑夜の秋

    青空まる

  • 夫亡きを忘るる母や夜の秋

    西川由野

  • 夜の秋朽ちたる碑文のれのあたり

    小川さゆみ

  • 洗濯機が呼ぶ隣からも呼ぶ夜の秋

    みしまはぐし

  • 夜の秋やシャワーヘッドの先は海

    平手打チメガネ(志村肇)

  • 夜の秋音みな少し増幅す

    宇のななみ

  • 怪談の尾を引く独り夜の秋

    栗山おかか

  • 寄せ書きのユニフォーム手に夜の秋

    あねもねワンヲ

  • ベビーカーにゴミ処理シール夜の秋

    蜜がけまやこ

  • 呉須色のこむらの痣や夜の秋

    翡翠工房

  • 陽水の声は艶やか夜の秋

    伊藤てまり

  • ほろ酔ひのネットサーフィン夜の秋

    ゴーマ

  • 煎餅湿気てをり夜の秋更ける

    桜月夜

  • 夜の秋伏せてシートン動物記

    門田なぎさ

  • 停電に星近くなり夜の秋

    峰 乱里

  • 夜の秋地球儀を棒つらぬいて

    眩む凡

  • 四年目の命日忘る夜の秋

    砂月みれい

  • うすれゆく蹠の疼き夜の秋

    平本魚水

  • 波の音聞きつ寝る宿夜の秋

    豊岡重翁

  • 夜の秋熱海プリンの懐かしき

    真喜王

  • グリーンフラッシュ撮れて離島の夜の秋

    ぜのふるうと

  • 大ぶりのカクテルグラス夜の秋

    西郡うり

  • 息切れの辿りつきたり夜の秋

    ウロ

  • 夜の秋受け子の死亡記事が消え

    アニマル可秘跳

  • 宇宙ステーションは郷より近し夜の秋

    木村ひむか

  • 夜の秋覗けば誰もいない部屋

    久森ぎんう

  • 数独に妻の黙考夜の秋

    さぶり

  • 夜の秋絵筆に小さき風乗せて

    葦屋蛙城

  • ピアノ弾く爪音が邪魔夜の秋

    acorn

  • 空缶の遠ざかりゆく夜の秋

    川屋水仙

  • 洗い物すませば夜の秋となり

    冬島 直

  • 夜の秋手摺だらけの伯父の家

    戌の箸置

  • 融点から遠ざかりたり夜の秋

    石本コアラ

  • エロスとは無縁な暮らし夜の秋

    日月坊

  • 夜の秋ゆっくり縦に書く手紙

    佐野明世

  • 絵本よりこぼるるしんじゆ夜の秋

    渋谷晶

  • くちなはのしづかに白く夜の秋

    登りびと

  • 繋ぎ止める夫の命の夜の秋

    カリヨン

  • 夜の秋胎児は深く眠りをり

    壱太

  • すっと立つ草木の背筋夜の秋

    星田羽沖

  • 盛岡に帰る途中の夜の秋

    あずさ ゆみ

  • 子に還る母のつぶやき夜の秋

    かぬまっこ木ノ芽

  • 戦後八十年夜の秋をこゑが

    たかみたかみ・いつき組広ブロ俳句部

  • 激辛のからあげ五口夜の秋

    小物打楽器

  • 夜の秋胸の真珠の薄灯り

    多事

  • 夜の秋捲るコクヨの出納簿

    ぐりぐら京子

  • 夜の秋ムード歌謡のりふれいん

    恋瀬川三緒

  • 夜の秋や原書に重ね辞書を閉じ

    むじーじ

  • チンと鳴る昨日のピラフ夜の秋

    江口朔太郎

  • 夜の秋繙く赤は「ノルウェイの森」

    林りんりん。

  • メニエルの目眩やはらぎ夜の秋

    糺ノ森柊

  • 「きぼう」ほら今見えるころ夜の秋

    沢 唯果

  • 赤シートのまぶしさが鬱よるの秋

    樹海ソース

  • 夜の秋有馬のお湯の溢れけり

    山川土時

  • 忘れては読み返す詩夜の秋

    亘航希

  • 旧トンネルの灯り消えたり夜の秋

    蔦すみれ

  • 磨かれしシンクひそりと夜の秋

    ふゆの都々逸

  • 地球儀の青や幽し夜の秋

    深谷零露

  • FreFlowの金のさざなみ夜の秋

    花見鳥

  • 夜の秋我が身蝕むかも惜しき

    スルメイカ

  • 友の字の喪中欠礼夜の秋

    石原しょう

  • 夜の秋空は深海層の色

    夏椿咲く

  • 夜の秋の僕の畳みしシャツの皺

    すかーてぃっしゅ

  • 縁側の窓の軋みや夜の秋

    加賀くちこ

  • 夜の秋嫌な男のままで征く

    長澤創次郎

  • 足首を五回まはして夜の秋へ

    栗田すずさん

  • 初めてのひとりパフェへと夜の秋

    松山めゐ

  • 右肩に仁王の気配夜の秋

    内田ゆの

  • 帯解いてざらりと纏う夜の秋

    鈴木 浮浮

  • 居酒屋の暖色の灯や夜の秋

    沼宮内 かほる

  • 回廊へ点々と窓夜の秋

    暖井むゆき

  • 夜の秋余白の多い日記帳

    空 遥翔

  • つらつらと法要のこと夜の秋

    石塚碧葉

  • 寝そびれて寝る犬起こす夜の秋

    吟  梵

  • 夜の秋暇を考う暇のあり

    雪さやか

  • 客辞して紅茶滓なす夜の秋

    石田将仁

  • すぐそこに寝落ちの予感夜の秋

    竹内ユキ

  • シーソーの軋む残像夜の秋

  • 決勝戦残り一席夜の秋

    松山茜柑

  • 志ん朝の江戸弁はづむ夜の秋

    前田いろは

  • 夜の秋は前駆陣痛耐えている

    とんぶりっこ

  • 夜の秋の点滴きゅいと鳴りにけり

    水須ぽっぽ

  • Rhythm&Blues夜の秋に青が過多

    髙田祥聖

  • 宿題に百の丸付け夜の秋

    稲畑とりこ

  • 夜の秋しまい忘れの猫の舌

    なみは

  • 糠床と会話している夜の秋

    雨李

  • 3Bで傍線を引く夜の秋

    庭野環石

  • 夜の秋母にひっつく長女かな

    丸井ねこ

  • 君と吾はおんなじ匂ひ夜の秋

    日月見 大

  • 踏絵めく言葉ばかりや夜の秋

    広木登一

  • 夜の秋既読は付いているのにね

    石川穴空

  • 豆揺れてふくふく匂ふ夜の秋

    藤永桂月

  • 泥舐る獏の舌先夜の秋

    ねこむらさきご

  • まだ鉢に根のかたちあり夜の秋

    海沢ひかり

  • 哲学者の雑談熱し夜の秋

    清仁

  • 夜の秋実家の鍵は開いている

    麻生ツナ子

  • 古き文繰り返し読む夜の秋

    神谷篝火

  • 日田杉の下駄の傷増ゆ夜の秋

    高永 摺墨

  • 将棋盤の裏の凹みや夜の秋

    ぐでたまご

  • 先輩のいない道場夜の秋

    盛 久子

  • 夜の秋余白四隅に蘇る

    田上南郷

  • あああれは姉のショパンね夜の秋

    千歳みち乃

  • 子牛小屋ですることもなし夜の秋

    今野佑紀

  • 作務衣には小さき綻び夜の秋

    杜まお実

  • 対局の一手攻略夜の秋

    笑詠化

  • 砂時計とストップウォッチ夜の秋

    鳥不驚

  • 滑らかな紙を捲るや夜の秋

    悪七兵衛

  • 到来の羊羹を切る夜の秋

    塩野谷慎吾

  • 茹で玉子を滑る光や夜の秋

    花南天anne

  • 正解を探しあぐねる夜の秋

    滝上 珠加

  • 引出しの奥から栞夜の秋

    どゞこ

  • 卒寿の母散髪済んで夜の秋

    水間澱凡

  • 天窓は森の入り口夜の秋

    舟端たま

  • それぞれに譲らぬ音色夜の秋

    秋葉 翠

  • 哲学書読む訳無えだろ夜の秋

    団栗あんパン

  • 夜の秋や終の旅めく妻の紅

    町田明哉

  • 夜の秋愚痴言ふ口はこの口か

    海音寺ジョー

  • 夜の秋プランクトンに心の臓

    すりいぴい

  • 足裏の埃のはしゃぐ夜の秋

    松井くろ

  • 夜の秋祖父を探しに立ち漕ぎす

    中村雪之丞

  • 人見知りおぼえた孫ぞ夜の秋

    竜退治の騎士

  • 睨めつける十二神将夜の秋

    九頭龍 一鬼

  • 飲み干した缶すら呷る夜の秋

    深紅王

  • 夜の秋隠し味にはコアントロー

    孔明

  • 速報の字幕に誤植夜の秋

    西村青夏

  • 妖とすれ違う路地夜の秋

  • 手鏡で血のモンタージュ夜の秋

    花屋英利

  • 暗記シートほはほは夜の秋のラヂヲ

    ろまねす子

  • 長考の遠見の角や夜の秋

    ユキト

  • ハモニカの湿気忘るや夜の秋

    平山仄海

  • 蝋燭のたましひ溶かす夜の秋

    コンフィ

  • 夜の秋誰かが押した青信号

    宮坂暢介

  • 宿題を抱かぬ机や夜の秋

    月丘佑

  • 次のバス待たずに歩く夜の秋

    うた 歌妙

  • 夜の秋クリップ磁力得て無くし

    小豆白虎

  • たましひの金継ぎしたる夜の秋

    佐々木棗

  • 夜の秋家人の風呂をつかふ音

    深草あやめ

  • 青白く架線に火花夜の秋

    五十嵐 三連単

  • 走り根にいのちのいぶき夜の秋

    髙橋弓女

  • 夜の秋わたしの恋もだれかの恋

    川崎拓音

  • 褄先のしわを霧ふく夜のあき

    てつなお

  • 五客目のグラス伏せ置く夜の秋

    となりの天然水

  • どん底の小口の垢よ夜の秋

    飯塚煮込

  • 車座に語る砂丘や夜の秋

    さいとう歌月

  • 再発の告知つまみに夜の秋

    ゆず柴

  • 日本を疑ひました夜の秋

    黒麹 糀

  • 君はネオン街のカンパネルラ夜の秋

    小林一平

  • 睦言に余熱ありけり夜の秋

    白猫のあくび

  • 野良猫の甘え声行く夜の秋

    どくだみ茶

  • 夜の秋幾散髪に砥ぐ刃線

    山田雅己

  • 雨にビバップとドライブ夜の秋

    西瓜頭

  • 辞典からいつかの四つ葉夜の秋

    綿鍋雪

  • 夜の秋電波時計は狂わない

    世良日守

  • 夜の秋パキラの影をゆらす風

    板柿せっか

  • 寝入る子の髪さらり梳く夜の秋

    彩桜里

  • 鮫の歯など買ひし昼の吾夜の秋

    せり坊

  • 夜の秋なんや忘れもんしたやうな

    しゃれこうべの妻

  • 谷川の風や空き家に夜の秋

    小橋トム

  • メビウスの帯つなぎ目に夜の秋

    田中ミノル

  • この風に遠き血筋や夜の秋

  • 敗北を飲み込む夜の秋と酒

    紅紫あやめ

  • 山丹花のさびしき赤や夜の秋

    有野 安津

  • 生薬の土瓶の蓋や夜の秋

    羽衣ノエル

  • 「入院」のあとは空白夜の秋

    浦野紗知

  • 食卓に句集三冊夜の秋

    智幸子

  • 巻尺のゼロ掠れをり夜の秋

    青井えのこ

  • 夜の秋栞はいつの押し花か

    夏川三木子

  • 嫁の持す愛玩鼠夜の秋

    鶏白deノエル

  • ともがらの肩は痛まし夜の秋

    百鶏ノエル

  • ウォーリーでも探そと思ふ夜の秋

    諫鼓苔深

  • 的を射るふたつの眼夜の秋

    花仮面deノエル

  • 夢覚めて魁夷の青へ夜の秋

    本村なつみ

  • あたり棒をひっそりと持す夜の秋

    アントワネットdeノエル

  • 追分の右は坂道夜の秋

    呆け鴉

  • 夜の秋や湯舟にひびくプラターズ

    阿万女deノエル

  • 亡きひとは鳥になりしよ夜の秋

    杏乃みずな

  • 夜の秋や終はりかけなる二十代

    美織

  • 青白き妻のうなじや夜の秋

    松田寛生

  • 夜の秋のバス停談笑に嫉妬

    坪山紘士

  • スキャットとサックス絡む夜の秋

    玉野文

  • 糠の香の透き通りゆく夜の秋

    松坂 コウ

  • 夜の秋岩波新書に君のメモ

    まきうち祐

  • 刺しかけの刺し子の続き夜の秋

    中井無心

  • 夜の秋ひとり古墳の端にゐて

    あみま

  • 千年の実り蓄え夜の秋

    青い空加納

  • 夜の秋三百円の辞典買ふ

    三河三可

  • 鬼と行く鴨川デルタ夜の秋

    丹波らる

  • 「だるまさん」また読み聞かす夜の秋

    須磨ひろみ

  • 夜の秋や白き霊璽に滲む墨

    音羽凜

  • 仄暗き寝間にアラート夜の秋

    龍哉

  • モルヒネや痛みの先の夜の秋

    まつおえりか

  • 漆黒に透けるグラスや夜の秋

    森脩平

  • 雲に透くベガの微光や夜の秋

    白神ハムサンド

  • 真砂土の冷めたる庭や夜の秋

    となりの天然石

  • 父母よ仔豚も夢に夜の秋

    いずみ令香

  • 地図帳にピンクの付箋夜の秋

    紅三季

  • 船上は星の川べり夜の秋

    お皺の局

  • 友は今地球の裏や夜の秋

    後藤三梅

  • 夜の秋の匂ひ新五百円玉

    玉庭正章

  • Pへギア滑らせてより夜の秋

    西村 棗

  • 老犬を引きずる老女夜の秋

    立町力二

  • せがまれて絵本三冊夜の秋

    さくら悠日

  • とびとびの日記書き留め夜の秋

    老人日記

  • 夜の秋別れの駅のモニュメント

    渡嘉敷五福

  • 外風呂の裸電球夜の秋

    菊池克己

  • 星ひとつ抱いて眠りぬ夜の秋

    さいたま水夢

  • 飛び石を伝ひ野風呂へ夜の秋

    春よ来い

  • 夜の秋点と線とは結ばれて

    こうだ知沙

  • 報道の声はうつつか夜の秋

    鶴富士

  • 夜の秋やランタンに照らされし闇

    みうらけんじ

  • 夜の秋南十字を見に行かん

    若葉 わかば

  • 子の部屋の蓄熱シール夜の秋

    きのえのき

  • あの船が引退するらし夜の秋

    相沢薫

  • 夜の秋父として読む桃太郎

    京野さち

  • 微分解き茶漬け掻き込む夜の秋

    雨霧彦(木ノ芽)

  • 夜の秋テキストだけの人に恋

    うどん大明神

  • 夜の秋のバベルに千の摩天楼

    津島野イリス

  • 磯辺へと叢踏み敷く夜の秋

    南波舟

  • 旧友の家は更地へ夜の秋

    はぐれ雲

  • 夜の秋加減乗除の離れ業 除

    春風流士

  • 写真消去致し方なし夜の秋

    紫鋼

  • 夜の秋絹糸撚りて刺繍刺す

    白山おこ女

  • 箱のなか編みかけ読みかけ夜の秋

    苺井千恵

  • キアンティの藁きしきしと夜の秋

    爪太郎

  • 夜の秋かんな屑のごとき風

    竹原かよこ

  • 人形に嵌め込む義眼夜の秋

    ふわり子

  • 夜の秋遠くでピピとロック開き

    入道 まりこ

  • 石庭の岩に表情夜の秋

    与志魚

  • 孫の手を探しあぐねし夜の秋

    山くじら

  • ハイヤーを降りると紺碧夜の秋

    武藤睦礼

  • 夜の秋目伏せ頷く発車ベル

    おこそとの

  • 海沿いに街灯の列夜の秋

    髙見艀舟

  • 夜の秋家路しづかにさわがしく

    立山穂高

  • 夜の秋や入院も早や六ヶ月

    夏目たんちゃん

  • 買ひ忘れメモの遺書めく夜の秋

    立部笑子

  • 二ヶ月の接見禁止夜の秋

    秋白ネリネ

  • 看護師のまなざしうつろ夜の秋

    伊藤なお

  • 影として葉先鋭し夜の秋

    風蘭智子

  • 夜の秋や磨く明治のカトラリー

    じょいふるとしちゃん

  • 手を添へて書を教へけり夜の秋

    火炎幸彦

  • 孫去りて折り紙終う夜の秋

    山川凛

  • 夜の秋と届く何やら軽い箱

    さく砂月

  • 上の句の詠む声通る夜の秋

    しいなはづき

  • 夜の秋トライアルてふ無報酬

    瀬央ありさ

  • 後れ毛を指で絡める夜の秋

    奏月葉音

  • 水風呂に身を締められて夜の秋

    福間薄緑

  • 夜の秋爪切る音のリズミカル

    酒井均

  • 熟し過ぎたる果実の香夜の秋

    ららら句らら

  • 羊羹はしつとり切れて夜の秋

    一日一笑

  • 回転寿司語る友との夜の秋

    鳥田政宗

  • 去る人を引き留めたしや夜の秋

    どいつ薔芭

  • 夜の秋8度目の波はフォルテシモ

    山本中々

  • 骨密度スカスカなりし夜の秋

    アムゼルえりこ

  • 夜の秋塩を肴に大吟醸

    鈴白菜実

  • 最寄ではない自販機や夜の秋

    みたまん

  • 夜の秋「ぞうさん」閉じて欠伸かな

    岸壁の龍崎爺

  • 山小屋や緑の中の夜の秋

    祐 紀杏里

  • 夜の秋煮しめたやうな文を抱く

    木ぼこやしき

  • 夜の秋拝みし数珠の覗き穴

    福田みやき

  • 夜の秋一人の茶わん洗う音

    虎の尾

  • 夜の秋うなされてゐる変電所

    横山雑煮

  • 手相見にひらく両の手夜の秋

    谷川ふみ

  • 羊羹でも切ってみるかと夜の秋

    青葡萄

  • 社用口出て両肩に夜の秋

    川崎ルル

  • なぞり書き彼の姓書く夜の秋

    笹団子

  • 静寂にも息はありけり夜の秋

    そめやまさみ

  • 濃さを足す明日の水肥を夜の秋

    トウ甘藻

  • 耳とおき母より電話夜の秋

    寺嶋杳杳

  • 夜の秋五文字の手紙書いてゐる

    辻本 四季鳥

  • 天井の木目を旅す夜の秋

    くろけん

  • 停泊の船の灯りや夜の秋

    金子月二

  • 手付かずの文ようやくの夜の秋

    京あられ

  • 喧騒を納戸にしまい夜の秋

    猫塚れおん

  • 夜の秋夫と分け合ふ袋麺

    津々うらら

  • 夜の秋シニョンの家庭教師去ぬ

    むらぴ

  • 広口瓶の塩麹漬け込む夜の秋

    宇田女deノエル

  • からころと窓音軽き夜の秋

    haru_sumomo

  • 夜の秋客が全員おひとり様

    えいみ

  • 広縁の鼻緒の硬き夜の秋

    かわいはる

  • 死してなお光る猫の目夜の秋

    灰色狼

  • 夜の秋出席に丸つけたけど

    鈴木すゞ

  • シャーペンを正しく使い夜の秋

    中谷素太

  • 薪くべて窯は怒りし夜の秋

    哲庵

  • 病棟の巡回の音夜の秋

    細木さちこ

  • 昇進を持て余し気味夜の秋

    遥風

  • 寝る子らの頬皓皓と夜の秋

    白子ポン酢

  • 素振りして肉刺の硬さや夜の秋

    くぅ

  • 妣の愁ひ聴けずじまひや夜の秋

    荒木ゆうな

  • 母とゐる数ふるともなき夜の秋

    喜田紫陽

  • 夜の秋道の雀のしづかな死

    春野ぷりん

  • 夜の秋を徒歩一分の帰宅かな

    磐田小

  • 夜の秋鍵のまはりの軽くなり

    猪子石ニンニン

  • 音読の「百物語」夜の秋

    そまり

  • 樹木葬待つ骨壷や夜の秋

    空木花風

  • 絹豆腐木綿に変えて夜の秋

    野々村澄夫

  • 夜の秋諸葛孔明まだ出ない

    坂野ひでこ

  • 窯出しの貫入の音夜の秋

    なかの花梨

  • なみおとやしぬのがこわいよるのあき

    王朋亡

  • 樽ウイスキー熟す森夜の秋

    山吹なお

  • 夜の秋社説ルーペで読み直す

    杉柳才

  • ドアノブの丸さひんやり夜の秋

    蜥蜴の尻尾

  • 夜の秋手じやくの酒も了りけり

    ひろ志

  • 黄金と名のつく橋や夜の秋

    西条破蓮

  • 夜の秋や息ひそめ切る緑児の爪

    マーサ

  • 夜の秋鍾乳洞のみづ青し

    アーモンドよーせい

  • 夜の秋ふたりで語る死後のこと

    愚老

  • 夜の秋エスパドリーユのささくれ

    慈雲奏荘

  • まだ読めぬ絵本を見せて夜の秋

    加藤多作

  • 夜の秋なにがおかしいのか二階は

    ふにふにヤンマー

  • 耳鳴りは海の果てから夜の秋

    栞虫かじり

  • 夜の秋石敢當は行書体

    蔵書室主人

  • 夜の秋小さく遺る妻が靴

    佐藤 位相朗

  • PTA議論佳境に夜の秋

    浜 友輔

  • 夜の秋吹奏楽の漏れる窓

    飛来 英

  • 夜の秋からだの中の金いくつ

    でんでん琴女

  • スクリャービンの神秘和音や夜の秋

    るびちゅ

  • 夜の秋一筆箋に隷書体

    三日月なな子

  • ため息を闇夜にはなち夜の秋

    小池喜久枝

  • 夜の秋朴訥な妻側にをり

    能研ショテカ

  • 悟りとは詩のなき暮らし夜の秋

    さかえ八八六

  • 夜の秋を吸うて朝待つポストかな

    剣橋こじ

  • 労宮に灸の微熱や夜の秋

    泗水ハオ

  • きらきらとソナチネこぼれる夜の秋

    みしまちづる

  • 独り居の姉の子優し夜の秋

    達坊

  • 掌で肘包み込む夜の秋

    房総とらママ

  • 夜の秋失楽園へ猫二匹

    亀田荒太

  • 夜の秋うっちゃりで勝つ紙相撲

    ねむり猫

  • 成績処理の夢魔よ夜の秋よ

    円谷琢人

  • 夜の秋嘘とビー玉隠しけり

    佐柳 里咲

  • デルボーの駅舎の女夜の秋

    藤井俊季

  • 鉢の木が水を貪る夜の秋

    欲有学

  • 川の音絶えぬ畳や夜の秋

    吉丈月子

  • 夜の秋ときめきたるバルのシェリー

    霧 澄渡

  • 寂しさを重ね塗りする夜の秋

    渡延 音珂

  • 夜の秋空席運ぶバス緩し

    香山リカ

  • 瑠璃の数珠ばらけて夜の秋に散る

    蓮井理久

  • 夜の秋ともに暮らしてみませんか

    辻 花和音

  • 果実酒の甘くまどろむ夜の秋

    久えむ茜咲

  • オカリナの穴は不揃ひ夜の秋

    げばげば

  • 出囃子の三味線寄せる夜の秋

    文室七星

  • 猫の食むカリカリの音夜の秋

    森海まのわ

  • あいつ塾行き始めたってよ夜の秋

    縞ふみ

  • ソファー寝の君の振動夜の秋

    帷子川ソラ

  • 夜の秋あすの私へ深呼吸

    千寿 ココ

  • 平和像立ち上がらむと夜の秋

    澤木樹心

  • シュー皮の静かにしぼむ夜の秋

    空豆魚

  • 夜の秋ネクタイ軽き先斗町

    むさし野まさこ

  • 「うま」と「うし」ごろんと三和土夜の秋

    さぶろう

  • やうかんはもうありません夜の秋

    Dr.でぶ

  • 読みかけの栞紐から夜の秋

    小和布

  • 竹籠の持ち手修理は夜の秋

    石岡女依

  • 夜の秋切るたび脆き夫の爪

    中村あつこ

  • スカートの中に風入れ夜の秋

    愛燦燦

  • 金閣寺燃ゆる夢見し夜の秋

    群馬のももたろう

  • 夜の秋宿の文庫に土門拳

    小川野雪兎

  • 抜け道に旧友の家夜の秋

    青海也緒

  • 碑に仄とよみ人しらず夜の秋

    島田ポン吉

  • エッセイを意味無く開く夜の秋

    夏 しのぶ

  • 夜の秋消えゆく影の濃かりけり

    三品邦甫

  • 漂へる深さとなれや夜の秋

    シュリ

  • 夜の秋や文化刺繍の虎の爪

    藤本花をり

  • 便箋を開き一文字夜の秋

    ほんちゃん

  • 夜の秋両目冴えたる研修医

    秋田俳楽

  • 塗り上げし漆に沈む夜の秋

    花亭五味

  • 夜の秋おさななじみの声変わり

    紙谷杳子

  • 夜の秋ハレなく過ぐる日々を悔ゆ

    杜野廉太郎

  • 夜の秋や浜に誰かの砂の城

    武井保一

  • 夜の秋疎遠を詫びる文を書く

    川島欣也

  • 横笛の息長くなり夜の秋

    伊藤恵美

  • 夜の秋半音上がる風の声

    Karino

  • 夜の秋旅路の余韻汽車の揺れ

    原貼女

  • 薬膳のスープに一味夜の秋

    島 白椿

  • 一泊の荷造り始む夜の秋

    一久恵

  • 夜の秋足裏棘が刺さってた

    森きやつか

  • 110話ベタ塗り終へて夜の秋

    玉野汐音

  • 書きかけの日記の栞夜の秋

    まるにの子

  • 能面の伏線回収夜の秋や

    樺山 鴻春

  • 輪郭の淡くなりつつ夜の秋

    福花

  • 仕送りのティッシュの柔ら夜の秋

    帝菜

  • 生温き尿瓶の底や夜の秋

    芝歩愛美

  • 夜の秋親より長い足の指

    蘂六

  • 当確のテロップに縁夜の秋

    蜘蛛野澄香

  • さらさらとインクの青や夜の秋

    山羊座の千賀子

  • 夜の秋ふつうにうまいヴァイオリン

    絵十

  • 夜の秋ナースコールが遠くから

    吉田達郎

  • 夜の秋もう消毒もしない手指

    丁鼻トゥエルブ

  • マレー獏めく首夜の秋を夫

    中島 真珠

  • 夜の秋のそっと玄関あけて星

    よみちとせ

  • 夜の秋カンガ纏いてステップす

    希凛咲女

  • 夜の秋ケロリンの桶よく響く

    神谷たくみ

  • 仮定法過去に満ちたる夜の秋

    あさのとびら

  • をとこを繕ふワタクシ夜の秋

    赤馬福助

  • ひと月の新聞括る夜の秋

    青水桃々(俳句迷子の会)

  • 夜の秋疲れし土の薫りけり

    浅乃み雪

  • 風鎮のひとつほつれし夜の秋

    清水縞午

  • 命日や言葉は宙に夜の秋

    那津

  • 夜の秋を翻訳機越しに語りけり

    内藤羊皐

  • また来ると病室を出る夜の秋

    大久保一水

  • 倒流香を濡ればむ煙夜の秋

    岡根今日HEY

  • 夜の秋妻と語りし母の老い

    浅井カバ先生

  • 愚考にも少しの余裕夜の秋

    亀山酔田

  • 夜の秋隣の車両が近すぎる

    黒木しるこう

  • キャンバスへジェッソと夜の秋の風

    かねつき走流

  • 縁側に持病の話夜の秋

    れんげ畑

  • 夜の秋ほどきし髪のゴムのあと

    増山銀桜

  • 夜の秋我ら北半球住人

    神島六男

  • 夜の秋老師の筆の「無一物」

    素数

  • 弔問の真珠ひやりと夜の秋

    伏見丹耶

  • ゴンドラの外を見詰める夜の秋

    木村カズ

  • 漆黒や星指でなぞる夜の秋

    さくらバディ

  • 夜の秋制汗剤の缶に穴

    足跡新太

  • 湯気の濃き立喰饂飩夜の秋

    杉尾芭蕉

  • まず風をほめて銀ぶら夜の秋

    空山プラネタリウム

  • 真空のやうなしづけさ夜の秋

    藤咲大地

  • 点滴の秒速数え夜の秋

    森里綾里

  • 先代のレシピ三年夜の秋

    千・いつき組広ブロ俳句部

  • 夜の秋ホモ・サピエンスに詩語給ふ

    たいらんど風人

  • 夜の秋明日のパンを提げながら

    栗花落カナヲ

  • 病室の戸は閉ざされず夜の秋

    香依蒼

  • ダンベルを引く手に鉄香夜の秋

    高原としなり

  • 夜の秋の根付牛若丸を彫る

    守田散歩

  • 焼き菓子の香も閉じ込めて夜の秋

    琵琶湖のおばさん

  • タガログのお喋りは歌夜の秋

    藤本秋蝶

  • 君といたパブが空っぽ夜の秋

    風友

  • 椅子の背に深くもたれし夜の秋

    林真紗湖

  • オカリナを奏づアンデス夜の秋

    PONホンダ

  • 風走る電車流るる夜の秋

    香西京子

  • つむじより空気抜けをる夜の秋

    虎穴虎児

  • 糞虫の聖地が奈良に夜の秋

    弘法小子

  • 夜の秋廃線明日へ戻りつつ

    秋桜みりや

  • ミシン踏む白布に轍夜の秋

    佐藤ゆま

  • 夜の秋手首の包炎見つけたり

    三上 栞

  • ブレザーの埃取りたり夜の秋

    東原桜空

  • 夜の秋井戸尻の土器ひしめいて

    村田益次郎

  • 膏薬の臭きがうれし夜の秋

    佐藤志祐

  • 行間の広き句集や夜の秋

    うみのすな

  • 酒に野趣あり含む味こそ夜の秋

    藤鷹圓哉

  • 「悲しい」とやっと吐き出す夜の秋

    松本独り

  • 魚焼く匂ひ豊かや夜の秋

    高木音弥

  • 話し出す振子時計や夜の秋

    坂口いちお

  • 裏木戸の濁りし音や夜の秋

    渡邉花

  • かなしみは面倒くさい夜の秋

    幸田梓弓

  • 傷つかぬ振りを吐き出す夜の秋

    葉るみ

  • 子の国の時差数へをり夜の秋

    碧萃生

  • 夜の秋明日発つ孫に亡夫のペン

    美竹花蘭

  • Bメロの二拍三連夜の秋

    風の木原

  • 句集より落つる栞や夜の秋

    田辺富士雄

  • 戦力外通告受けて夜の秋

    玉川 徳兵衛

  • 友逝くの報に真白き夜の秋

    本多 弘幸

  • 夜の秋安曇野産まれの蕎麦を挽く

    杉岡ライカ

  • 満ち潮にみずのはじまり夜の秋

    白石美月

  • 北國の囃子に酔ひて夜の秋

    篠川 翠

  • 髪一本はらりと本に夜の秋

    岩鼻 のこ

  • 床鳴りが亡き父のそれ夜の秋

    楽椿

  • 駐輪の暗がり嗅げり夜の秋

    西田月旦

  • シスレーの海の蒼さや夜の秋

    渡辺桃蓮

  • 円空を模した木像夜の秋

    かこよし

  • 乗り継ぎを待つ夜の秋のカップ酒

    酔下弦

  • 明日学期はじまる廊下夜の秋

    阿部八富利

  • なぜか白い雲をみつめる夜の秋

    なか かよ

  • 産衣縫ふミシンは静か夜の秋

    海野青

  • ラベンダー一滴垂らし夜の秋

    千の葉

  • 民宿の三年二組夜の秋

    バンブー

  • 大人しかいない駄菓子屋夜の秋

    彫刻刀

  • 臨月の妻とかぎ針夜の秋

    坂本雪桃

  • シーソーの重力軽し夜の秋

    たかはしゆう

  • おはじきの溝あえかなり夜の秋

    巴里乃嬬

  • 藍染めの袖通さずの夜の秋

    丘るみこ

  • 独り居の梁の軋みや夜の秋

    国東町子

  • 夜の秋古布の端切れの座布団よ

    スマイリーK

  • 能面が笑っているような夜の秋

    林口竹

  • じよんがらのじやわめきはじむ夜の秋

    佐川碧

  • 詩集買う神田の街の夜の秋

    川蜷

  • 鳥籠へ風一塊の夜の秋

    恵勇

  • 前行くは昨日の吾や夜の秋

    中村想吉

  • セロ弾きの一杯の水夜の秋

    白倉黄鶺鴒

  • スナックも残り一軒夜の秋

    なかおくじら

  • 夜の秋や星雲はハストゥルの息

    茗乃壱

  • 鼻緒ずれの瘡蓋硬し夜の秋

    沙那夏

  • 新居地に慣れしとライン夜の秋

    みなみはな

  • 罪深き酒を一口夜の秋

    鳥見山歩人

  • 読み終えて気づく雨音夜の秋

    さがみ湧水

  • 靴擦れの痕まだ消えない夜の秋

    桃花鳥ゑ

  • 旅程組む夫へノンカフェ夜の秋

    森野みつき

  • 夜の秋人工芝の競技場

    和住 緋弧

  • 夜の秋風のこどもを宿す海

    やまさきゆみ

  • 夜の秋イルカのジャンプ星しぶき

    兵頭紫峰

  • 茶の冷めてドラマは果てて夜の秋

    おかだ卯月

  • 苦も楽も忘れし母や夜の秋

    淡湖千優

  • 夜の秋LP盤のボブ・ディラン

    比良山

  • 退職の挨拶終へし夜の秋

    長嶋 無有子

  • 祠から先に冥色夜の秋

    斎藤三藤斎

  • 人狼が動き出しそう夜の秋

    野江門美

  • 夜の秋枕カバーのミントの香

    千代 之人

  • 久々に握る筆かな夜の秋

    もふ美

  • 傷パッド痛み剥がされ夜の秋

    黒猫かずこ

  • 夜の秋効き目の薄き鎮痛剤

    鶴岡木の葉

  • スケッチに彩を一筆夜の秋

    北五帆

  • マンションは上の階から夜の秋

    道後K3

  • 母つひに離婚切り出す夜の秋

    中防美津子

  • あべの橋行き交う背も夜の秋

  • 落選のポスター見つめらる夜の秋

    定位置

  • 踊り子の紫檀の口唇夜の秋

    狷狷亭猩々

  • 夜の秋無音ふりきて土にほふ

    森 毬子

  • シングルになりてシヤンパン夜の秋

    み藻砂

  • 夜の秋に自転を感じられはせぬ

    阿部油

  • 読み返す褪せし手紙や夜の秋

    広島立葵

  • 絵本から寝息こぼれる夜の秋

    大関 邦友

  • 二代目の犬と歩くや夜の秋

    伊東海芋

  • 取置きしワイン捜さむ夜の秋

    じゅんこ

  • 夜の秋無から弾けし星屑よ

    野瀬藻石子

  • 夜の秋息子転職したと言ふ

    土井あくび

  • 子守唄くりかへす母夜の秋

    うはのそら

  • 意地悪な雨も愛して夜の秋

    万里の森

  • 物干のビニールプール夜の秋

    朝宮馨

  • 母屋より祖母のつぶやき夜の秋

    藍創千悠子

  • 礼拝に吸われぬ迷い夜の秋

    須田爪黒

  • 耐へて耐へて耐へて時効や夜の秋

    山口葵生

  • 夜の秋孫が忘れてゆきしクマ

    小山 晃

  • 胎嚢はあの月くらい夜の秋

    ケロリン

  • 軍帽のなき祖父みたし夜の秋

    椿泰文

  • ひそひそと瑪瑙の縞に夜の秋

    大地緑

  • 夜の秋マップで探す生家かな

    まりい木ノ芽

  • 急坂を上るトラムや夜の秋

    雨戸 ゆらら

  • 雨樋のみづの三角夜の秋

    魚田羊

  • 街の灯の近寄ってくる夜の秋

    円路

  • 球場を影きびきびと夜の秋

    郡山の白圭

  • 夜の秋ガチャより出づる菩薩像

    ナオコ タイラー

  • 定年の靴まだ光る夜の秋

    葉吾人

  • ポーの詩を朗読したる夜の秋

    鈍亀

  • 飼い鳥の爪に血の管夜の秋

    橘鶫

  • 水盤の隅を擦りて夜の秋

    山田蚯蚓

  • 瘢痕をなぞりたくなる夜の秋

    高田ちぐさ

  • 音消して時の音聴く夜の秋

    渡辺 小豆

  • マイカーもスマホも持たず夜の秋

    小林番茶

  • 編みかけの言葉をほどく夜の秋

    立田鯊夢

  • キャンバスの形だけある夜の秋

    清水美沙

  • 初恋が匂ふ指先夜の秋

    土佐藩俳句百姓豊哲

  • ひび入りの尾骨が我が身夜の秋

    冬の土の子

  • 頬の風何も混ざらぬ夜の秋

    斧 的部

  • キャンパスの裸婦に色足す夜の秋

    芋 二郎

  • 人込みは孤独のかたち夜の秋

    三隅 涙

  • 点滴はたつんたつんと夜の秋

    小田嶋隅雀

  • 夜の秋そこは畳が沈む場所

    空木眠兎

  • 図書館をシャンプーの香や夜の秋

    毬雨水佳

  • 小屋からは何や三味の音夜の秋

    梓 渓

  • 無電柱化工事のライト夜の秋

    笑酔

  • 住むならば図書館の傍夜の秋

    斉藤百女

  • 礼文島(れぶん)より届きしはがき夜の秋

    このみ杏仁

  • 生薬のむせる香りや夜の秋

    喜多丘一路

  • 六甲の風の降りくる夜の秋

    希布

  • 手相見の他人事のごと夜の秋

    あたしは斜楽

  • 夜の秋離婚ドラマを凝視せり

    渥美こぶこ

  • 火の消えて車座を解く夜の秋

    馬場めばる

  • カタログの香典返し夜の秋

    る・こんと

  • 夜の秋行けなくなったコンサート

    ゆすらご

  • 夜の秋見ているだけの新幹線

    向田敏

  • 夜の秋母を送りて佇まふ

    新濃 健

  • 夜の秋犬の死なない映画だけ

    夏山栞

  • 作品の搬出終えて夜の秋

    野州てんまり

  • 借りた傘とうに乾いて夜の秋

    梅田三五

  • 夜の秋街灯凭れハーモニカ

    杉と松

  • 持主を失ふ玩具夜の秋

    まんぷく

  • 卓袱台は小津の魔法よ夜の秋

    コーノ凡士

  • 愛の詩唱えば哀し夜の秋

    卯之町 空

  • FENDYは錆びんけんとぞ夜の秋

    米満鵜龍

  • まずは#7119夜の秋

    さ乙女龍チヨ

  • スコッチの化学反応夜の秋

    千鳥城.広ブロ俳句部カナダ支部

  • 夜の秋のうちにぬいぐるみとにげた

    升 丁茶

  • AIは叱ってくれぬ夜の秋

    ノセミコ

  • 夜の秋いま柿ピーがここにある

    鳥乎

  • 夜の秋ぽたりぽたりとみづの音

    山尾政弘

  • 着信音元に戻しぬ夜の秋

    金治宜香

  • 鉄瓶の埃を拭う夜の秋

    巳智みちる

  • 夜の秋草の匂いが好きすぎて

    赤尾実果

  • 黒帯の腰の太さや夜の秋

    多可木deノエル

  • サックスの波紋グラスに夜の秋

    川辺世界遺産の居候

  • 夜の秋死は薄皮を剥ぐやうに

    堀口房水

  • 夜の秋やタクシードライバーは寡婦

    福山くるみ

  • ひかがみの灼かれぬままや夜の秋

    風かおる

  • 匙立ててプリンの味見夜の秋

    遊子眼鏡

  • 詐欺メール削除削除の夜の秋

    横山三水

  • 貨車音のまだ聞こえけり夜の秋

    弥勒夕陽

  • 我もまた異邦人かな夜の秋

    豆柴

  • 夜の秋や掲示うするる吉田寮

    黎明

  • 街灯の裾の闇濃く夜の秋

    成瀬 朽木

  • 国名の古き地球儀夜の秋

    北田立緒

  • 老いらくやシャンパン色の夜の秋

    阿蘇の乙女

  • 沸々と生薬煮出す夜の秋

    みゆむうしば

  • 祝詞めく葉擦れ衣擦れ夜の秋

    石井一草

  • 夜の秋ゆらり孳尾める兜蟹

    鹿達熊夜

  • 弾く子らの無きピアノ弾く夜の秋

    森爺

  • 適温の論争更けし夜の秋

    火星ラジオ

  • 夜の秋ペシミストめく我と遭ふ

    羽柳武助

  • 湯治場で聞く国訛夜の秋

    安春

  • 燃え上がり風に散らせる夜の秋

    中島尚之

  • 明日よりは形見の背広夜の秋

    かときち

  • 夜の秋のすわすわ滑る柘植の櫛

    森 日美香

  • 夜の秋流しの皿にはねる水

    イガチョフ良一

  • 憂鬱な人体模型夜の秋

    木村弩凡

  • ビニールのどこかに穴や夜の秋

    大和田美信

次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
お待ちしています!

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