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中級者以上結果発表 秀作
2025年7月20日週の兼題
終戦記念日
【曜日ごとに結果を公開中】
月曜日
火曜日
水曜日
木曜日
金曜日
玉ねぎの芯から腐り終戦日
早川 さき子
選者コメント
夏井いつき
選
外側はきれいなのに、うっかりしていると「芯から腐り」始めている。こんな「玉ねぎ」の特性(?)を、寓意にしてしまうのが、下五の季語「終戦日」の力。国家というものは「芯から腐り」ゆくのではないか、という作者の呟き。
終戦日夜の清うして星いくつ
風慈音
選者コメント
夏井いつき
選
玉音放送が流れた日の夜空を、こんなふうに見上げた人々がいたのです。もう空襲警報が鳴らない、敵機の来ない「夜」のなんと清らであるか。「星いくつ」の後の余白に、八十年目を迎えた「終戦日」への思いも重なっていきます。
終戦日風を得て火は乞ふかたち
常幸龍BCAD
選者コメント
夏井いつき
選
「火」というものは「風」を得て火勢を強くしていきますが、その様子を「乞ふかたち」と表現したのが、一句の眼目です。「終戦日」という季語によって、読者の胸中には、様々な「火」の光景が立ち上がっては消えていきます。
吾に塩塗りたくる敗戦日のサウナ
加藤栗庵
選者コメント
夏井いつき
選
「吾に塩塗りたくる」とは? という疑問は「サウナ」の一語によって解消はするのです。が、中に挟まる季語「敗戦日」によって、塩を塗りたくって焼かれ喰われるかのような寓意が炙り出される。それこそがまさに作者の意図です。
終戦日上下左右の無き日の丸
平良嘉列乙
選者コメント
夏井いつき
選
季語「終戦日」から「上下左右の無き」と抽象的に展開していくのかと思った瞬間に出現する「日の丸」の一語。これほどシンプルで平等で多様性に満ちた国旗はないのに……という作者の声が聞こえてくるかのような作品です。
終戦日墓に火の要る水の要る
ぞんぬ
選者コメント
夏井いつき
選
「墓」に参るためには、蝋燭や線香等の「火」が必要で、供花や樒等を活けるための「水」が必要。戦禍の中にいた人々は、火から逃げ、水を乞うていたのだという思いが、中七下五「要る」のリフレインに滲みます。
終戦日貝に渦巻く風の声
村岡花風
選者コメント
夏井いつき
選
かつて、BC級戦犯の手記を元にした『私は貝になりたい』という映画・ドラマがありました。「貝」の一語はそれらを想起させます。巻き貝の螺旋に「渦巻く」のは「風の声」。戦犯という罪を背負わせられた者たちの声でしょうか。
終戦日さびしいときは靴磨く
羽住玄冬
選者コメント
夏井いつき
選
「靴」の一語は、戦災孤児の生きる術の一つでもあった靴磨きを連想させます。「さびしいときは」という感傷的なフレーズが、下五「靴磨く」によって過去の現実として立ち上がってくる。それが「終戦日」という季語の力です。
汽車といふ永訣の窓終戦忌
山崎千晶
選者コメント
夏井いつき
選
「永訣」とは永久に別れること。死別となるに違いないという覚悟をもっての「汽車」での別れ、そして見送り。「永訣の窓」という詩語は、映像を形作りつつ、「終戦忌」にまつわる心情を抑制した言葉で表現しています。
終戦日被爆ポンプの傾ぎたる
木染湧水
選者コメント
夏井いつき
選
広島駅近くの南口一帯に残されているのが「被爆ポンプ」です。季語「終戦日」との取り合わせは近すぎるといえば近すぎますが、敢えて真っ正面から迫りつつ、「傾ぎたる」の描写に作者の思いを託す。これも俳句の骨法です。
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