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中級者以上結果発表

2026年6月20日週の兼題

夏の山

【曜日ごとに結果を公開中】

秀作

  • 遺影へとまはす水筒夏の山

    慈雨

    選者コメント

    夏井いつき選

     かつて共に登っていた山仲間の「遺影」でしょうか。日航機墜落事故のような現場かもしれません。「~へとまはす」という描写によって、複数の存在が示唆されます。下五「夏の山」が、それらの人物や感情を深々と受け止めます。
  • 鳥船は骸溢ちたり夏の山

    五島 潮

    選者コメント

    夏井いつき選

     「鳥船(とりふね)」とは、日本神話に登場する神(天之鳥船神)であり、その神が乗る船「天の鳥船」を指しての一句だそうです。中七「骸溢ちたり」と言い切った後に、生命感溢れる季語「夏の山」を配する度胸。作者の詩的指向性に惹かれた作品です。
  • あの鳥も夏山に噴き出されをり

    鈴白菜実

    選者コメント

    夏井いつき選

     「あの鳥も」の「も」が意味をグッと深くします。「夏山に」よって「噴き出され」るものとは何か。作者からの詩的謎かけに、読者である私たちの好奇心が刺激されます。「夏山」のエネルギーをこんな形で描くこともできるのだと強く興味を引かれました。
  • 夏の山資材部女子は気が強い

    清水里羊

    選者コメント

    夏井いつき選

     「夏の山」を切り開く林道工事の現場なのか、会社のレクリエーションとしての山登りなのかと、想像が広がります。季語「夏の山」の印象からか、建設業の資材部が浮かんできました。下五「気が強い」という口語のリアリティにもユーモアがたっぷり。
  • 落石の火花の匂ふ夏の山

    深山むらさき

    選者コメント

    夏井いつき選

     夏山の落石を描いた句は他にもありましたが、それらがぶつかることで発する「火花」を描いた点に独自性があります。更に、「火花の匂ふ」という鋭敏な嗅覚によって、季語「夏の山」の現場ならではの真実味を表現した点も褒めたい作品です。
  • 逆上がり出来ない夏山がデカい

    井上れんげ

    選者コメント

    夏井いつき選

     やってもやっても出来ない「逆上がり」。嗚呼、また失敗したと、視線を上ると、鉄棒の彼方にはどっしりと「夏山」があるのです。「夏山」の存在感を、励ましと読むか、諦めと読むか。「~出来ない~デカい」という口語の韻に悔しさも滲みます。
  • 夏山のウッドテラスや肉刺へ針

    巴里乃嬬

    選者コメント

    夏井いつき選

     なぜ「ウッドテラス」を「や」で詠嘆? と思ったとたんに出てくる「肉刺へ針」に臨場感があります。やっと辿り着いた山小屋なら、登頂を目指す明日への準備。下山してきた夏山を見上げているのなら達成感と安堵。どちらに読んでも良いですね。
  • 青嶺ずぶぬれ良寛さまは破戒僧

    RUSTY=HISOKA

    選者コメント

    夏井いつき選

     「青嶺ずぶぬれ」は、強い雨が一過した光景でしょう。そこに取り合わせた後半が実に迫力満点。「良寛さま」が「破戒僧」的ともいえる生き方をした」という事実が、前半のフレーズと見事に響き合います。
  • 夏山の墓碑夏山のみづに洗ふ

    常幸龍BCAD

    選者コメント

    夏井いつき選

     「夏山の墓碑」は、遭難碑の類いでしょうか。はたまた、かつてはこの山に住んでいた先祖の墓かもしれません。「夏山」のリフレインからの「みづ」の瑞々しさ。「洗ふ」という動作のリアリティにハッとさせられた一句です。
  • 担任もあの夏山も嘘くせえ

    さるぼぼ17

    選者コメント

    夏井いつき選

     「担任」と「夏山」を並列で並べていますが、「あの」という指示語の使い方が巧いですね。窓の向こうに見える夏山も、目の前にいる担任も、何もかもが「嘘くせえ」と嘯く、青臭い青臭い思春期。口語の効果も抜群です。

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