俳句ポスト365 ロゴ

中級者以上結果発表

2021年9月20日週の兼題

蓑虫

【曜日ごとに結果を公開中】

【並選】

  • 簑虫や吊り橋今朝はやけに揺れ

    夏 湖乃

  • 蓑虫や最後の朝も腹は減る

    ねむり猫

  • 蓑虫や元の肩書取れぬ人

    樹朋

  • 蓑虫や今宵の飯は何処で喰う

    だけわらび

  • 蓑虫の濡れはじめたる闇の中

    桔梗

  • 蓑虫の図書ミュージアム覗きこむ

    鯛 風

  • 蓑虫やC判定の志望校

    ななと

  • 蓑虫や塗装の落つるH鋼

    みづちみわ

  • 蓑虫やなほ現役のトラクター

    さいたま水夢

  • 蓑虫の鳴くや蔵書に父匂ふ

    伊奈川富真乃

  • 呟ける蓑虫ひとの生き死にを

    おきいふ

  • 解のなき国蓑虫は風の中

    梵庸子

  • 蓑虫や北朝鮮の自由とは

    高市青柘榴

  • 蓑虫や昭和は皆が貧しくて

    中原柊ニ

  • 蓑虫や錆色めける風の音

    やまさきゆみ

  • 蓑虫を残す軽トラ引越し便

    山羊座の千賀子

  • 蓑虫や音沙汰なくて次男坊

    酔下弦

  • 蓑虫よ自転車置き場入れずに

    りんごのほっぺ

  • 蓑虫と祖母とニートの午後三時

    広瀬 康

  • 蓑虫の蓑は国産天然木

    長谷川小春

  • 蓑虫やどこか憂鬱なノクターン

    浦野紗知

  • 簑虫よ四十独女は悪ですか

    山中陽子

  • 蓑虫や観音様の目のあたり

    まりい@木ノ芽

  • 蓑虫やプリマドンナの耳飾り

    渋谷晶

  • 蓑虫や足を滑らす古梯子

    星月さやか

  • 蓑虫の蓑の隙間の明るみぬ

    秦 理露

  • 蓑虫のゆるりへらへら息づかい

    藤鷹圓哉

  • 病得て夫は泣き虫木樵虫

    ゆすらご

  • 蓑虫よ母は雑巾しか縫えぬ

    卯年のふみ

  • 緘黙の子の指差せる蓑虫鳴く

    一斤染乃

  • 蓑引つぱればあらがふ蓑虫のちから

    北藤詩旦

  • 祈る涙のかたちに揺れて蓑虫は

    アロイジオ

  • 口笛はそら耳ですか木樵虫

    中山月波

  • 蓑虫や五分はながきカップ麺

    M・李子

  • 蓑虫の木つ端に賜るいのちかな

    かむろ坂喜奈子

  • みのむしや球拾い部と呼ばれます

    関津祐花

  • 秒針はすすみ蓑虫揺れぬまま

    花伝

  • 蓑虫や風おだやかに告知の日

    国東町子

  • 居残りの鉄棒蓑虫の意気地

    しゅういずみ

  • 蓑虫やガスメーターの良く廻り

    百瀬はな

  • 蓑虫や空の蒼さをいつ知るや

    さくやこのはな

  • 蓑虫へ鳥の羽音の日和かな

    上津 嘉子 

  • 握るとも握らないとも蓑虫を

    青蜥蜴

  • 蓑虫や怪訝な犬の鼻の先

    えいぎょ

  • 蓑虫やただいま浮揚哲学中

    三水

  • 蓑虫や優しき夫はひとりつこ

    常磐 はぜ

  • 蓑虫出でよこの世もこれで悪くない

    重夫

  • 蓑虫と並びて高層窓掃除

    雨霧彦@木ノ芽

  • 蓑虫や一番乗りのテラス席

    くるみ今日子

  • 学校はやめるみのむしないたから

    天陽ゆう

  • 広重が雨に蓑虫踊りけり

    利尻

  • 蓑虫の蓑はしあはせ包みけり

    清瀬ぴあの

  • 蓑虫や将門首塚の怪し

    小倉あんこ

  • 蓑虫を揺らす高さの違ふ風

    虚実子

  • 蓑虫の下のハンガーストライキ

    る・こんと

  • 簑虫やまだ使えると捨てられず

    山本 マユミ

  • 蓑虫や風吹けば木琴の音

    オキザリス

  • ラウドスピーカー縦揺れの蓑虫

    新子熊耳

  • 焼香に革ジヤンひとり蓑虫鳴く

    白プロキオン

  • 蓑虫や放つたらかしの自由刑

    長谷機械児

  • 蓑虫のとほくに動かぬビルヂング

    吉川拓真

  • 蓑虫の蓑ごと這へる力かな

    彼方ひらく

  • 蓑虫や郵便受けに不在票

    矢橋

  • 蓑虫揺れやまず自転する地球

    西村 小市

  • 蓑虫鳴く母の胸にモルヒネ湿布

    アンサトウ

  • 蓑虫はくろがね空はミントブルー

    えむさい

  • 蓑虫や子らは覚えている全部

    一色 那真呼

  • 蓑虫や太平洋を望む丘

    丹羽寒国

  • 夕照の熱に蓑虫けふを刻む

    靫草子

  • 蓑虫の一寸のゆめ巴里の空

    ちりちり芥

  • 千代田区ニ代々住マフ蓑虫ゾ

    長谷川水素

  • 蓑虫や朽ちし家屋の井戸ポンプ

    いつか

  • 蓑虫や信号待ちの七の段

    大小田忍

  • 蓑虫や電気メーターぐるんぐるん

    里山子

  • 鬼の子や皆匿名のwwwww

    清永ゆうこ

  • 蓑虫の鳴く夜出自を隠し合ふ

    蘭丸結動

  • 蓑虫の安心蓑虫の孤独

    冬樹 立

  • 蓑虫や会議でひとり長々と

    松山茜柑

  • 蓑虫や親権は子の決むるもの

    あさのとびら

  • 糞落とす穴あり蓑虫の暮らし

    まあぶる

  • 蓑虫や海獣に四肢あった頃

    諏訪ヤス子

  • 鬼の子や宿の聖書のドッグイア

    イエティ伊藤

  • 簑虫に糸雨のやさしき朝である

    鈴木麗門

  • 蓑虫と情死の妻と青い空

    杏是りゐ菜

  • 蓑虫や生家の窓をたたく風

    万葉剣

  • 蓑虫や南京錠の赤き錆

    海峯企鵝

  • 蓑虫や風評と云ふ風止まぬ

    そうり

  • 十二階窓に夕日と蓑虫と

    鶴岡木の葉

  • 押入れの鍵つ子蓑虫と交信

    ま猿

  • だらだらと過ごしてをりぬ蓑虫と

    海音寺ジョー

  • 蓑虫のざらざらの熱ゆび先に

    清水祥月

  • 蓑蟲の蓑尖りたる伍長の碑

    蓼蟲

  • みのむしやまもりぶくろのおとしもの

    明惟久里

  • 蓑虫の屈曲さても雨を招ぶ

    としなり

  • 蓑虫や空き家の窓の角の錆

    季切少楽@いつき組広ブロ俳句部

  • 蓑虫や土中入定てふ祈り

    はまゆう

  • 蓑虫の朝の声聞く子犬かな

    京野さち

  • 蓑虫やひとりあそびのくびに鍵

    たけぐち遊子

  • 蓑虫の蓑を剥がせばがらんどう

    亀田かつおぶし

  • 草原に立ち蓑虫を聞き分くる

    安春

  • 揺れさうな蓑虫のさみしさを知る

    加良太知

  • 鉋屑かをる蓑虫乾きをり

    久蔵久蔵

  • 蓑虫とぐひ吞みひとつ山頭火

    中 兎波

  • 蓑虫つよし姉と緊急避難場所

    ほしの有紀

  • 蓑虫を見上げて夜や『高瀬舟』

    或人

  • 蓑虫やトイレを流す音が生

    平良嘉列乙

  • 蓑虫や節穴に貼る和紙一片

    平としまる

  • 蓑虫も振り返る立ち漕ぎの風

    オペラ座の俳人

  • 蓑虫や山谷の叔母の木賃宿

    かんこ鳥

  • 蓑虫の音のゆふらりと黄昏れる

    香壺

  • 蓑虫や海へ開ける松林

    宮武濱女

  • 何からも離れてゐたい蓑虫は

    霞山旅

  • 蓑虫や道具を作成する道具

    地球人

  • 蓑虫とゼリービーンズの弾力

    板柿せっか

  • 風神に差し遣われし蓑虫よ

    ヤマコー

  • 我慢して我慢してぐぐっ蓑虫

    星乃ぽっち

  • みの虫が鳴けば嫁っこ来る気配

    酒井おかわり 

  • 原色の毛糸蓑虫の懸命

    ぐりえぶらん

  • 簑虫に鳴いて空飛ぶ一と日あり

    安井コスモス

  • 蓑虫や夕陽に揺れる影長し

    宮坂変哲

  • 蓑虫やマトリョーシカの果てにあり

    ヒマラヤで平謝り

  • 蓑虫の見やる夜空に星ひとつ

    笑松

  • 鬼の子を小指に括る石地蔵

    空野 兎

  • 蓑虫の弧やなゐの空なだむかに

    斎乃雪

  • 蓑虫の蓑脱げさうに這うてをり

    海野碧

  • 蓑虫や夢曳くこゑに風のこゑ

    石原由女

  • 蓑虫の揺れて和解の場を持てず

    吉川花ほっぺ

  • 簑に色ある蓑虫は器量よし

    吉武茂る

  • 蓑虫や素数が好きな君のそば

    丸山隆子

  • 蓑虫へ生きてますかと囁いて

    露口全速

  • 蓑虫は揺れず世界が揺れてゐる

    可笑式

  • 蓑虫やTwitterの本音きつい

    河南朴野

  • 蓑虫や張り巡らさる通信網

    也和

  • 家賃要らぬと云うておったぞ蓑虫

    どいつ薔芭 

  • 蓑虫や人はどれほど鍵を持つ

    山香ばし

  • 蓑虫の泣くころ風の軽きころ

    椋本望生

  • 蓑虫の蓑に不足もなかりけり

    平坂謙次

  • 蓑虫もきっと猫背に違いない

    横縞

  • 蓑虫とグランピングの雨予報

    つきのひと

  • 蓑虫の寝袋星が覗き込む

    空木眠兎

  • 古文書ひとつ蓑虫の地へ迷ふ

    まるかじり

  • 蓑虫の支度は凸を削いでから

    大和田美信

  • 蓑虫にバイバイを言ふすこし待つ

    足立智美

  • 蓑虫や告知望むと記す午後

    杵築きい

  • 蓑虫やつまらない人生でした

    Nakahara結月

  • 蓑虫の聲なき聲や蓑の中

    かこ

  • 蓑虫のかかはるまいと身を躱し

    秋吉孝治

  • 蓑虫や我が家まであと三十歩

    遥風

  • 蓑虫やアンネ綴りし2年間

    このみ杏仁

  • 蓑虫に触るる影送りの右手

    小豆白虎

  • みのむしや遺骨はミルクいろの匙

    鈴木裕公仁

  • 身を反らしやをら蓑虫這ひ出けり

    新濃 健

  • 蓑虫やノラの決意は固かりき

    和泉攷

  • 蓑虫や手帳に記す「未達」の赤

    安溶二

  • 蓑虫は暮らす一人称の人と

    楽花生

  • 蓑虫のこの境内の外知らず

    紀和やよい

  • みの虫の木つぱ机のコッペパン

    詠頃

  • 男性の大臣あまた木樵虫

    山城道霞

  • 蓑虫の風に三日月眺めたる

    岡本 戎

  • 猫睨む二分間揺れる蓑虫

    粋庵仁空

  • 蓑虫の振り子に眠る夜の樹々

    Kかれん

  • 蓑虫や研がねば錆びる鉋の刃

    中岡秀次

  • 新宿よ蓑虫の死を誰も知らず

    ぞんぬ

  • 蓑虫や得意は一つあればいい

    みやま千樹

  • 蓑虫の振り回されて気にもせず

    いたまきし

  • 侘しさを回転軸として蓑虫

    ツナ好

  • 僕は求めてないけど蓑虫はいた

    伊藤辰弥

  • 蓑虫や身は冷たくて目はつぶら

    喜多輝女

  • 蓑虫や次は階下が越す噂

    戸部紅屑

  • 校庭のフェンス放すなよ蓑虫

  • 蓑虫の目の潤んだやうな雨の午後

    芍薬

  • 蓑虫のほつれより地へ落つる糞

    染井つぐみ

  • 星空や蓑虫も鳴けばいいのに

    おいらくの鯉

  • 蓑虫の自問自答を聞いてしまふ

    さとけん

  • 蓑虫も並べば多少賑やかに

    澄海

  • 壊れゆく子を抱きいっそ蓑虫

    暖井むゆき

  • 蓑虫や靴は右側ばかり減る

    木染湧水

  • みちのくの蓑虫の蓑はや厚し

    千代 之人

  • 空きれい避難区域に蓑虫棲む

    青田奈央

  • 蓑虫や子の発てばまた寡黙なる

  • 壊れ逝く父と蓑虫明日も風

    世良日守

  • 蓑虫や盆地に満ちる日の匂い

    吉野川

  • 街の灯にふられ女とみのむしと

    どみ どみそ

  • 来ぬをとこ待つ蓑虫を風なぐる

    山田菫舎

  • 蓑虫はひとの高さを知つてゐる

    朶美子(えみこ)

  • プレートの上の島国蓑虫鳴く

    かん かんし

  • 蓑虫やバルカンに貴種流離譚

    真崎正樹

  • 蓑虫のマンションここは共用部

    伊予吟会 宵嵐

  • 蓑虫と線香の煙揺れにけり

    八幡風花

  • 蓑虫や子は鎹といふけれど

    君島笑夢

  • 粗末なるころも蓑虫かがやかす

    中根由起子

  • 蓑虫や介護拒否した部屋の窓

    勉邪明

  • 蓑虫や駐輪場のストーカー

    小笹いのり

  • 蓑虫にQのごときのほつれかな

    火炎幸彦

  • 蓑虫の糸のシャンソン奏でだす

    ふじこ

  • 蓑虫や闇からのぞく昼の星

    富佐野ほろよい

  • 蓑虫の殻十本で五円なり

    川岡すえよし

  • 蓑虫は置いてゆきますお元気で

    青野遊飛@蚊帳のなか

  • 蓑虫を掠め朝刊大見出

    あつちやん

  • 蓑虫や湯島聖堂孔子像

    辻野 花

  • いちどきに蓑虫ゆれて鬼が来る

    竜胆

  • 白い風けさ蓑虫を翻す

    榊昭広

  • 蓑虫に立ち止まり立ち止まり下校

    西原みどり

  • 蓑虫や放下の道はなほ遠く

    たま走哉

  • 蓑虫や名札外せる元ボクサー

    灰色狼

  • 水抜きす蓑虫垂るる外水栓

    佐藤儒艮

  • 蓑虫やバルタン星に帰ろうか

    齋藤夜明鳥

  • かたすみに孤独死の記事みのむし鳴く

    辻陽気姫

  • 蓑虫の孤独を使い回したい

    夏野あゆね

  • 蓑虫や婆の寝息の深夜便

    たつき

  • 尻立てて歩く陽気な子蓑虫

    井納蒼求

  • 蓑虫をなぶり親待つパチンコ屋

    河本かおり

  • 予選落ちみのむし五つ居る部室

    花結い

  • 蓑虫に重力無いのわからんか

    司啓

  • 蓑虫やがらんだうなる資本主義

    まんぷく

  • 揺れに揺れ性根を据えよ蓑虫よ

    渥美こぶこ

  • アドレスホッパーの足下に蓑虫

    瀬央ありさ

  • 蓑虫や年金請求終へし夜

    時まる

  • 蓑虫やお隣さんは今日も留守

    風花まゆみ

  • 蓑虫の簑をくいつと外しけり

    かぬまっこ@木ノ芽

  • 夜勤明け蓑虫諭す壺中天

    パーネ・メローネ

  • 蓑虫やひとり離れて昼休み

    戌亥

  • 蓑虫や風の錆つくトタン屋根

    月見柑

  • 蓑虫や公示日朝の掲示板

    光本弥観

  • 蓑虫の恋とぶものに焦がれるか

    畠山 悊央

  • 簑虫の糸の絡まりさうな人

    佐藤志祐

  • 蓑虫やしかばねは大地に戻る

    宗本智之

  • 蓑虫や人それぞれの暮し方

    とんぼ

  • 蓑虫の蓑をつまめば気配あり

    金太郎

  • 傘はお猪口さても蓑虫どうなつた

    東京堕天使

  • 鬼の子や木魚の息は一文字

    石井一草

  • 蓑虫や父のこゑ聞く弱法師

    遠山比々き

  • 蓑虫や療養生活は続く

    一富士リリー

  • 蓑虫の中は上腕二頭筋

    百草@ノエル

  • 蓑虫やビブラートかけ風に鳴く

    かえるしろ

  • 蓑虫や良寛一休みな学べ

    市橋正俊

  • 蓑虫や案外やはき蓑の内

    蓮花麻耶

  • 簑虫の数多神隠しの山に

    安達りんだう

  • 有閑マダムのバックと蓑虫の死

    篠原 雨子

  • てっぺんにみのむし空をひとりじめ

    一走人

  • みの虫を小突く歯抜けの竹ぼうき

    松本裕子

  • 出社して先づ蓑虫の行方から

    もりさわ

  • 蓑虫や理不尽ばかり背負ひ込みて

    永想

  • 蓑虫の一日たいそう忙しなく

    はなあかり

  • 蓑虫や式には参加しない義兄

    どかてい

  • 蓑虫に黙す理由のありにけり

    中里蛙星

  • 蓑虫や消去法より生きてきし

    日々拓人

  • 蓑虫の不食ロープは細く垂れ

    七瀬ゆきこ

  • 蓑虫のじつとする枝ゆれにけり

    高橋寅次

  • 蓑虫や貧困耐えるわれ笑う

    西谷寿春

  • 蓑虫や窓無き家は暗からむ

    HNKAGA

  • 蓑虫の口先を追ふカメラかな

    ひだ岩魚

  • 蓑虫やヒトは賢くなり過ぎて

    吟  梵

  • 蓑虫や揺り椅子で読むクリスティ

    野口日記

  • 吾のビーズ盗った蓑虫ゆれており

    ヅラじゃない

  • もう住めぬ町とは知らぬ蓑虫は

    おんちゃん。

  • 蓑虫や大空みんな君のもの

    ひすい風香

  • 蓑虫やチラシの裏に書く懺悔

    朝月沙都子

  • 釘匂う蓑虫は日暮れの欠片

    松井くろ

  • 蓑虫の息づかいなり糸の揺れ

    ねぎみそ

  • 蓑虫やタイムカードの硬き音

    久留里61

  • 蓑虫や絶対変えぬ志望校

    宗平 圭司

  • 蓑虫の臆病風に吹かれをり

    如月ドロップ

  • 蓑虫を数ふる垣根終の家

    亀の

  • 蓑虫に地球の自転説く日暮れ

    小だいふく

  • 青空の匂ひ街路樹に蓑虫

    河原つばめ

  • 呆気なく蓑虫落ちて草の中

    蟻馬次朗

  • 蓑虫や世間知らずの女なる

    根本葉音@花芭蕉句会

  • 蓑虫やマンハッタンにゐてひとり

    池之端モルト

  • 戦はずただゆれてゐる蓑虫は

    瀬尾白果

  • 蓑虫やプラスチックの杜に住む

    寺尾当卯

  • 柿の木にあとは蓑虫ばかりなり

    釜眞手打ち蕎麦

  • 紺碧の空へ蓑虫種子島

    28ひろきち

  • 蓑虫や雨の匂ひの中にいる

    清水千種

  • 曇天の簑虫すこし逞しき

    小川さら

  • 蓑虫は運命論者楽観者

    れんげ畑

  • 蓑虫や出世のかけら無くなりぬ

    小島神泉

  • 各蓑虫現地調達な仕上がり

    稗田鈴二郎

  • 蓑虫や赤い蒸気のごとネオン

    平本魚水

  • 蓑虫や蓑堅くして生きている

    一歩亭九案

  • 蓑虫は疑問符のまま垂れさがる

    柳絮

  • 蓑虫や我慢はちょっとだけ実る

    玉庭マサアキ

  • 蓑虫や吟味の末の一本目

    大塚迷路

  • 蓑虫を嗤ふ空は晴れてゐる

    山田怠洋

  • 外にゐて外を知らざる蓑虫や

    空流峰山

  • 蓑虫や女性閣僚二割弱

    宇田建

  • 他の子に見つからぬやう蓑虫を

    ももたもも

  • みのむしの塊として突きをり

    新城典午

  • 火に焼べし枝に蓑虫ゐたやうな

    久森ぎんう

  • 蓑虫や風吹かるればれれれれれ

    青き銀椀

  • 蓑虫や子どもシェルターの夜明け

    向日 葵

  • ←糸からの張力みのむし重力→

    福本巴亜人

  • みのむしの眼の色けふの風の色

    剣橋こじ

  • 夕明りのベンチ蓑虫とギター

    仁山かえる

  • 蓑虫や安部公房の死生観

    山本先生

  • 蓑虫の知恵借り今日を生き延びる

    かゐみすず

  • 蓑虫の晩年少し羨まし

    片栗子

  • 蓑虫や昼のラヂオの訃報いふ

    夏雨ちや

  • 段ボールへしゃげ蓑虫あったかそう

    高尾里甫

  • 蓑虫や流るる雲を喰いちぎり

    灰頭徨鴉

  • 蓑虫や右手のかさぶたあとすこし

    稲垣由貴

  • 蝕まれきつて蓑虫地に落ちず

    稲畑とりこ

  • 蓑虫や父に初めて叱られて

    かずポン

  • 蓑虫のやる気で変はる高さかな

    慢鱚

  • 蓑虫や風に延ばされ戻り来ず

    斗三木童

  • 蓑虫や墓にやかんの十一個

    岩本夏柿

  • 蓑虫の蓑やはらかし指こはし

    三崎扁舟

  • 廃れゆく分校裏の樹に蓑虫

    藤咲大地

  • 蓑虫や仮病はとうにばれている

    キッカワテツヤ

  • 破れ巣箱はづし蓑虫のこしけり

    今野淳風

  • 蓑虫や幼子の押す乳母車

    ちびつぶぶどう

  • 残映に蓑むし明星は遠く

    粋田化石

  • 蓑虫や巣鴨プリズン壁高し

    阿々田幸汰

  • 蓑虫と父のバットと督促状

    藤田ゆきまち

  • 蓑虫や理論武装のひきこもり

    ダンサーU-KI

  • 蓑虫の蓑雨粒を押しかえし

    緒方朋子

  • 蓑虫の墓誌の朱の字の母に着く

    星埜黴円

  • 蓑虫を弾き今日も自主休校

    眠 睡花

  • 助手席に蓑虫住んでゐてしづか

    紺乃ひつじ

  • 蓑虫や素振り千本怠らず

    春風流士

  • 蓑虫や陽射し届かぬ四畳半

    みやかわけい子

  • 蓑虫や真下に止まる救急車

    夢見昼顔

  • 蓑虫やマトリョーシカの下がり眉

    緋乃捨楽

  • 蓑虫や弁当全部落とした子

    新開ちえ

  • 湯治場に蓑虫仰ぐ虎視眈々

    乙華散

  • 所により蓑虫がよく降るでしょう

    大黒とむとむ

  • 蓑虫や幾百基なる無縁塚

    竹田むべ

  • 粒選りの蓑虫あまた伊賀の里

    田村利平

  • 蓑虫や来世はきっと鳥になる

    猫楽

  • やわらかい闇蓑虫のちぢむ闇

    ちゃうりん

  • 蓑虫や百葉箱てふかぜのゐゑ

    宮坂暢介

  • 蓑虫の鳴けば山から蒙古来る

    津軽わさお

  • 蓑虫や弔った日の風のいろ

    石川聡

  • 三本指みのむし木から外す指

    藤岡美波

  • 蓑虫のカタチ前衛のスイーツ

    研知句詩@いつき組広ブロ俳句部

  • 蓑虫ややまびこ吸ふてゆく山河

    くりでん

  • 蓑虫も一人遊びの達人と

    明神おぼろ月

  • キリストの十字なるか蓑虫よ

    津軽ちゃう

  • 七卿や蓑虫落ち延びてぶらり

    西田月旦

  • 蓑虫を鳴かせ放哉円らな眼

    津軽まつ

  • 蓑虫やチャイの牛乳おもたくて

    Mコスモ

  • ぶら下がる支点は起点蓑虫の

    篠田ピンク

  • 蓑虫やある日潔く転生

    うた歌妙

  • 蓑虫や三十四卷読了す

    陽光

  • 蓑虫やお堀の水の干上がりぬ

    もりたきみ

  • みのむしやかぎはゆうびんうけのなか

    満る

  • みのむしやグリム童話の頁繰り

    福田かな子

  • 蓑虫の教えてくれる今日の風

    里山疎水

  • 蓑虫よフリーターとかダメだって

    清白真冬

  • 蓑虫や精神医学の本を積む

    石神湖畔

  • 蓑虫鳴く父となる日の気仙沼

    坐花酔月

  • 蓑虫や女将は過去を話さない

    宮間ミヤマ

  • 神宿る樹に蓑虫の声かすか

    竹春エリザベス

  • 蓑虫の紡ぐ嫋やかなる棺

    はれまふよう

  • 生垣のまばらなところ木樵虫

    音羽凜

  • 蓑虫のもてはやさるる高さかな

    中田ひで

  • 簑虫にみづの御神静まるる

    魚返みりん

  • まっすぐに枝並ぶA型の蓑虫

    あまぐり

  • 蓑虫を剥げば昭和の匂ひかな

    ツカビッチ

  • 蓑虫や城址に高き県庁舎

    石田将仁

  • 蓑虫や吾は不器用に縄を綯う

    今治八十八

  • 蓑虫の黙山の黙神の黙

    龍田山門

  • 蓑虫や緑内障の六年目

    北川颯

  • 堕胎医は窓に蓑虫飼つてをり

    句楽岡徨詩

  • 蓑虫や一人暮らしは嫌いじゃないよ

    なかの花梨

  • 蓑虫の母は風なり撫でて過ぐ

    樫の木

  • 蓑虫の鳴くコテージにチェスの駒

    真冬峰

  • 蓑虫も”奇妙な果実”だぜビリー

    きゅうもん@木の芽

  • 蓑虫や喉に支えている何か

    あきののかなた

  • 蓑虫の垂るる天使の喇叭かな

    ひねもす

  • 蓑虫やさてと余生を算用す

    向原かは

  • 蓑虫からひとつはなれたベンチへと

    公木正

  • 蓑虫の糸がんじがらめのわたし

  • 蓑虫をみてをり友の過ぐるまで

    磐田小

  • 蓑虫の糸銀色に夢殿へ

    石塚彩楓

  • 蓑虫や寺の柱の傾きぬ

    夢堂

  • 蓑虫や父の言葉の染みる雨

    空魚

  • 蓑虫やノートの端のひとり言

    くろけん

  • 蓑虫をあほほど獲ってコーヒー苦い

    一井蝸牛

  • 鬼の子のぼろ家耐震ヒヒヒフフ

    ららら句らら

  • みの虫や親は仕事に出た家で

    古都 鈴

  • 蓑虫に上司の愚痴を言ってみる

    いくたドロップ

  • 蓑虫やこの青空の影として

    小池令香

  • 蓑虫やあかあかと吾を愛すべし

    武井かま猫

  • 下校放送背にみの虫の落としっこ

    豆闌

  • スモックへ蓑虫入れて逆上がり

    みつれしづく

  • 清貧に生きて鬼の子蓑一枚

    高木音弥

  • 蓑虫や涙は土に捧げおり

    種種番外

  • 蓑虫と空家の屋根に薄日漏れ

    砂楽梨

  • 時に木は複式呼吸みのむし揺る

    さるぼぼ@チーム天地夢遥

  • 蓑虫や最後の模試判定はC

    花実人生

  • フリスビー蓑虫の脇うねり飛ぶ

    曲がりしっぽ

  • 伐採に盛り土を許すなと蓑虫

    林りんりん。

  • 泣き上戸の蓑虫なだめ上手な風

    石垣葉星

  • 蜘蛛の糸×2=蓑虫の糸

    中鉢矢的

  • 蓑虫やいつかは恋をするかしら

    ほしのあお

  • 蓑虫や育児放棄の1DK

    森脩平

  • 蓑虫や小指のギプスあと十日

    聞岳

  • 蓑虫やガガガ電波は届かない

    ふくじん

  • ニュートンのひらめき蓑虫のいびき

    水蜜桃

  • 鬼の子に件の顛末投函す

    和鹿島荒巻

  • 蓑虫の増築住まふ中尊寺

    まこ@いつき組広ブロ俳句部

  • 蓑虫を潜りチャイムに話しかけ

    しんしん

  • 蓑虫の裏地ふはふはだと良いが

    西川由野

  • 蓑虫よそれはさすらふ恰好ぞ

    田中木江

  • 蓑虫の枝を残して剪りつくす

  • 鬼の子や引つ込み思案といふ気質

    里すみか

  • 蓑虫や鬼は何度も殺されて

    立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部

  • 蓑虫の夕やうぐひす嬢の声

    TAKO焼子

  • 古井戸のごとく蓑虫飢ゑてゐる

    すりいぴい

  • 筆箱に蓑虫忍ばせるいたずら

    さくさく作物

  • 木樵虫運慶睨む南大門

    銀紙

  • 蓑虫や水漬く村へと白き風

    玉響雷子

  • 蓑虫や遮光器土偶発掘す

    野中泰風

  • 蓑虫や風を斬り行く強面

    洒落神戸

  • 蓑虫や従兄は酒に殺された

    克巳@夜のサングラス

  • ぶらぶらと歩いて出会う蓑虫だけ

    写俳亭みの

  • 蓑虫を裂いた日のこと妣のこと

    雪井苑生

  • 梶原一騎吠ゆ蓑虫が熱い

    赤馬福助

  • 上靴のままみのむしと焼却炉

    清水 三雲

  • 蓑虫やがんばらなくてもういいし

    姫川ひすい

  • 蓑虫やヤングケアラーがいる家

    石本コアラ

  • 果ててなほ蓑虫空にしがみつく

    港のパン屋

  • 蓑虫や北はミサイル発射せり

    壱太

  • 蓑虫に祖国の街を見つけたり

    錆田水遊

  • みのむしの鼓動しづかに晴天よ

    ひともじ

  • 蓑虫やカブールは硝煙弾雨

    立石神流

  • 蓑虫の葉を食む揺れや風無き日

    でんでん琴女

  • 悲劇より喜劇がすきな蓑虫座

    三浦にゃじろう

  • 蓑虫を掴んで放る赤ん坊

    丹下京子

  • お隣りは借地権らし木樵虫

    果禄

  • 蓑虫や日本語と手話は別言語

    叶田屋

  • 蓑虫鳴く空の青さに魘されて

    神山やすこ

  • 蓑虫や嘆き僅かにまとひたる

    オサカナクッション

  • 防犯カメラ蓑虫の常日頃

    竹内一二

  • 蓑虫や生者うろうろゐたる墓地

    登りびと

  • 蓑虫や疫癘神も知らぬまま

    江藤薫

  • 蓑虫やネットカフェ二日目の夜

    おかか丸

  • 蓑虫やホームステイに慣れる日々

    犬散歩人

  • 代執行ドアを蓑虫揺れるほど

    灰田兵庫

  • 蓑虫や千年ぶりのご開帳

    真喜王

  • 蓑虫や話すことなく今日も暮れ

    若井柳児

  • 捜さないでください蓑虫蓑の中の幸

    野地垂木

  • 10分休み寝たふりの吾と簑虫と

    柳浦総師

  • 蓑虫や神籤の結び目の固し

    柚木みゆき

  • 蓑虫の揺れて朝刊差し込まる

    遠音

  • 単身赴任の夫待つ棲み家ああ蓑虫

    欅ノ栞

  • 蓑虫や村一軒の洋品屋

    花屋英利

  • 蓑虫鳴く放課後は母の介護

    越智いと

  • 上半身脱ぐみのむしは更年期

    飯村祐知子

  • 蓑虫は風の柱となり回る

    広木登一

  • 土に落ち蓑虫の骸の綺麗

    日出時計

  • 蓑虫の蓑にイオンの領収書

    秋熊

  • 国離る蓑虫落つることなくに

    はなだんな

  • 蓑虫や人はこはれたときに鳴く

    倉木はじめ

  • 蓑虫や母の新聞とめました

    梓弓

  • 蓑虫の万の目玉や口減らし

    碧西里

  • 蓑虫の見せ場でもなく揺れること

    曽我真理子

  • 蓑虫やおなじ間取りの幸不幸

    うに子

  • 夜はしづか蓑虫の糸切らさぬやう

    五月闇

  • 蓑虫や待つ身に風は蒼を増し

    山内彩月

  • 蓑虫の帰路校則に違法性

    小泉野魚

  • 蓑虫や今日も五千歩恙無く

    達坊

  • 蓑虫やカプセルホテルひとり酒

    雷紋

  • 蓑虫よ掃いてもらえぬ淋しさよ

    髙田祥聖

  • 蓑虫を起こすな水は雨の如

    紫月歪丸

  • 蓑虫や誰も帰ってこない家

    雪音

  • 右は崖前に蓑虫避け通る

    正岡丹ん

  • 公転か自転か蓑虫の反りぬ

    まどん

  • 蓑虫や「死者の書」記すヒエログリフ

    森 佳月

  • 翼が欲しい蓑虫は孤独死を

    岩のじ

  • 蓑虫の正体を知り火にくべる

    勘定

  • 蓑虫鳴きたるは政宗公の右

    青矢 真紘

  • 祖母の家蓑虫さがる換気扇

    澤村DAZZA

  • 蓑虫や誰とも話さぬ日を三日

    林たまさか

  • 蓑虫や垂れて地球の中心点

    カオス

  • 蓑虫や一眼レフの連写音

    たこぼうず

  • 蓑虫の魚眼レンズや空を食ぶ

    高岡春雪

  • 蓑虫や専業主婦と職業欄

    美馬ひとみ

  • 蓑虫の蓑に異端と定番と

    あみま

  • ミノムシの一日はヒトの何年か

    枯ススキ

  • 蓑虫やイヤホンぎゅっと両の耳

    海瀬安紀子

  • 蓑虫やがらくた市の売れ残り

    深草あやめ

  • 蓑虫や少女ただいま反抗期

    渡邉竹庵

  • 蓑虫に会ひたることを吉事とす

    三泊みなと

  • 蓑虫や値下げシールの待つ日暮れ

    おたまじゃくし

  • 蓑虫や抽斗奥の覗き穴

    石井瑩

  • 蓑虫と夜に繋がる電話かな

    直心

  • 引っ越しの家によもやの蓑虫や

    ノエル@天馬

  • 鳩に餌あとは蓑虫見てるだけ

    森山遊鳥

  • 蓑虫の鳴く原罪のような夜

    竜田側

  • 五歳児の自転車蓑虫の巣なり

    快晴ノセカイ

  • みの虫とこじれし心分かち合う

    松田てぃ

  • 蓑虫や中になにかが死んでゐる

    久保田A

  • 蓑虫になったれ雨の月曜日

    陽光樹

  • 蓑虫を餌として星は釣るなにを

    ウロ

  • 立ち漕ぎの蓑虫の背の笑ふ笑ふ

    木村ひむか

  • 蓑虫や黄昏泣きの処方箋

    黄昏文鎮@いつき組広ブロ俳句部

  • 蓑虫や赤毛のアンを読む窓辺

    登盛満

  • 蓑虫のついて赤信号長い

    空豆魚

  • 蓑虫や海上長き父の靴

    花純広場

  • 蓑虫を引けば灯りがつきそうな

    京あられたけむら

  • 蓑虫や茶わん七分を持て余し

    矢想

  • 蓑虫や煉瓦古りたる豚の家

    亀田荒太

  • 蓑虫を太らせてゐる能楽堂

    内藤羊皐

  • 蓑虫や別れし妻の耳飾り

    青柿

  • 蓑虫やあるかなきかの影揺るる

    秋とも子

  • 工場の蓑虫今日も灯らざる

    イサク

  • 蓑虫やひとりになりぬ墓の守

    夕虹くすん

  • 蓑虫を追い出す手のひらに傷み

    冬のおこじょ

  • 蓑虫や金田一耕助走る

    磯田省吾

  • 蓑虫や島に火のなき烽火台

    対馬清波

  • 蓑虫や辞職願の美濃和紙

    じょいふるとしちゃん

  • 蓑虫や本の匂ひと暮らす日々

    村上優貴

  • 蓑虫よ風来坊になりたいか

    有田みかん

  • 算数ノートに「鬱」蓑虫の歪さよ

    草臥れ男

  • 柱時計に蓑虫おはやうの迷子

    たろりずむ

  • 蓑虫や二度目の婚姻届出す

    お寿司

  • 目の高さの蓑虫の愚痴聞いてやる

    沙那夏

  • 蓑虫の不安あるらし空を見る

    さぶり

  • 軒端にて蓑虫見上ぐ退官日

    紫鋼

  • 蓑虫のさをどる風のこゑの中

    のつり

  • 音漏れのホテル街なる親無子

    はんばぁぐ

  • 蓑虫や葉脈柄のイヤーカフ

    小鳥ひすい

  • 蓑虫やルネ・ラリックの小瓶開け

    あたなごっち

  • 蓑虫や掃除機ルンバ電池切れ

    石岡女依

  • 蓑虫の眠り媚薬の熟るる壺

    シュリ

  • 簑虫の日ごと夜毎の風を知り

    さゐあけみ

  • 蓑虫やひにひに空家らしくなり

    らくさい

  • 蓑虫をマトリョーシカに入れてみる

    笹間明明

  • 蓑虫や下宿始むる三畳間

    澄海まさと

  • 蓑虫やグレタ・トゥーンベリの無言

    荒木俊充

  • 蓑虫の蓑に酒そそぎたき暮夜

    藤 雪陽

  • 蓑虫や要塞めく産婦人科

    高野きぬ

  • 蓑虫や時間は止めるためにある

    堀口 房水

  • 蓑虫の落ちてさみしき分校歌

    伊予吟会 心嵐

  • 蓑虫の揺れてゐる枝に山鳩

    杉尾芭蕉

  • 蓑虫や国語の点は最低点

    ツユマメ末っ子9歳@いつき組広ブロ俳句部

  • 蓑虫や閉鎖病棟に二年目

    ツユマメ@いつき組広ブロ俳句部

  • 蓑虫やここから先は立入禁止

    庄司直也

  • 蓑虫や小学校の用具庫に

    品川笙女

  • 蓑虫や訃報のみにて帰り来て

    蕗野弥音

  • 親ガチャが嫌ならみなし子に倣え

    果音

  • 蓑虫や十年続く反抗期

    土橋胡翔

  • 蓑虫や裁判官の寮の軒

    はるく

  • 羅針盤にずれ狂ふ蓑虫の揺れ

    ふわり子

  • 蓑虫やサブスクまみれの借り暮らし

    紀友梨

  • 視界ゼロ蓑虫下がる三角点

    小山晃

  • 蓑虫やいつまで続く(仮)

    嶋田奈緒

  • 蓑虫や母は生涯海を見ず

    夏草はむ

  • 蓑虫の垂れて引力は正常

    川越羽流

  • 学童保育抜け出して蓑虫と

    せいち

  • 蓑虫や所詮はひとり生も死も

    クロまま

  • どちらかと言へば大雑把な蓑虫

    野ばら

  • 蓑虫や剥けば小虫の曝さるる

    なしむらなし

  • 蓑虫の簔へぶつかるヘリの風

    上津 力

  • 蓑虫の墜ちて匐ひゆく石畳

    ひろ志

  • 簑虫や人伝に聞く母のこと

    伏見丹耶

  • 蓑虫や戦士の父の墓に鳴く

    浜友輔

  • さみしくはないかと蓑虫をゆらす

    澤田 紫

  • 蓑虫やお一人様の老い支度

    清水 酔芙蓉

  • 蓑虫の蓑を繕ふ日和かな

    塩野谷慎吾

  • 蓑虫の吼ゆ枝屑の剝がれけり

    葉村直

  • 蓑虫や水分神社の拝殿に

    中村笙平

  • ちびちびと蓑虫の聲待つてみる

    一日一笑

  • 蓑虫は眼失ひ星を聴く

    ふもふも

  • 蓑虫やサナトリウムの窓格子

    加地祐作

  • 蓑虫や律儀に揃う蓑の枝

    近江菫花

  • 駅も死も近き蓑虫ワンルーム

    すずしろゆき

  • 蓑虫の蓑も豊かな我が故郷

    神谷たくみ

  • 蓑虫や外乗の馬みづを行く

    光峯霏々

  • 蓑虫垂るる一枝花瓶に活けにけり

    茫々

  • 集落の限界蓑虫は無敵

    四丁目

  • 蓑虫を見上ぐる漂泊の塒

    河野灰土

  • 蓑虫や今日も厨の火を紡ぐ

    蜥蜴の尻尾

  • 蓑虫や我関せずの街宣車

    比良山

  • 蓑虫は身軽スナフキン飄々

    絵十

  • 蓑虫やおうち時間は食う時間

    愛燦燦

  • 蓑虫の風吹いて揺れ吹かず揺れ

    きのと

  • 蓑虫やボロい店だが美味いらし

    衷子

  • 蓑虫鳴く切れかけの街路灯

    江良 中

  • 蓑虫や履歴書の要らない暮らし

    岡山小鞠

  • 刑務所の空まるで蓑虫の空

    優純bow

  • 蓑虫落下フレームアウトからのイン

    睦月くらげ

  • 空の青きをその隙間から蓑虫は

    はぐれ杤餅

  • 皆既月蝕赤く蓑虫北東待つ

    しろねこ

  • 蓑虫やああ見えて一匹狼

    るびちゅ

  • 蓑虫や深夜ハンバーガー包む

    福岡参山

  • 日曜の校舎のしじま木樵虫

    泰山

  • 蓑虫の小枝一本抜いてみん

    石崎京子

  • 蓑虫や明日はユンボの入る家

    長谷川ひろし

  • 弟を撲ちしあの日よ蓑虫よ

    秋野茜

  • 破れず裂けず潰すゴメン蓑虫

    佐藤 啓蟄

  • 蓑虫の蓑剥ぐやうなことばかり

    青海也緒

  • 蓑虫やナイフを買った帰り道

    福井三水低

  • 枝付きの蓑虫掲げ登校す

    きべし

  • 蓑虫の蓑に余分な小枝かな

    多々良海月

  • 蓑虫の蓑へ蓑虫諍はず

    南方日午

  • 蓑虫の蓑に編み込む自己規制

    宥光

  • 蓑虫や夜には夜の貌となる

    岡井風紋

  • 蓑虫や放置に慣れし子は泣かぬ

    日向こるり

  • 蓑虫や有事の時の自給率

    松高網代

  • 簑虫や家を守るは女ばかり

    松田文女

  • 蓑虫や路上生活丸二年

    大庭慈温

  • その枝は長すぎないか蓑虫よ 

    幸田柝の音 

  • 蓑虫の揺れてをりけり軍用機

    風の鳥

  • 蓑虫や僅かに残る葉の匂ひ

    ヤヒロ

  • 蓑虫が揺れて輝く非常口

    涅槃girl

  • 蓑虫に半分朝日子産まれる

    閑々鶏

  • 蓑虫や信長美濃に在十年

    森一平

  • 蓑虫や余震に撓む体育館

    大紀直紀

  • みのむしや優しき人に逢ふと思ふ

    風慈音

  • 蓑虫の大蒼穹に下がりけり

    堀雅一

  • マーキースカットめく蓑虫に触れずして

    真帆まほろ

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