【並選】
暖かな夜の路地裏のあれやこれ
あみま
あたたかし今逆上がりする途中
登りびと
暖かやさりさり撫づるシーグラス
しゃれこうべの妻
駄菓子屋のおまけの飴やあたたかし
上津 嘉子
暖かや鬼の雪隠音のして
森 佳月
暖かや五重塔の空微塵
茫々
暖かや出水管のほとばしり
砂楽梨
花粉来て苦沙弥先生暖かし
小池令香
あたたかや生えたての白犀の角
晴田そわか
暖かや今日という日を道に置く
森野しじま
水際をためらうペンギン暖かし
柚木みゆき
春暖よじょうろの水は腐らない
上市まさ
暖かや止まつて這つて涎の子
清水 三雲
投函す入山届暖かし
野地垂木
せせらぎの起動スイッチあたたかし
江藤真治
暖かな光の粒は丸からん
一純。
暖かや牛乳ゆるく注ぎたす
笹間明明
暖かやパステル並ぶアーケード
俳句王
暖かや遠きサーブの音たのし
畠山 悊央
ボンネットに猫の足跡あたたかし
雪井苑生
暖かや手紙に知らぬ木の匂ひ
玉庭マサアキ
暖かを伸ぶささくれのメンターム
灰頭徨鴉
かつ丼の卵のとろみあたたかし
はごろも856
芝犬に円形脱毛症あたたか
阿万女@ノエル
暖かや信じるままに闘おう
北大路京介
あたたかや専任読手の鼻濁音
鈴野蒼爽
あたたかやベンチで眠る二回生
卯夏野心
散ることを許そう雨も暖かい
大紀直家
暖かし生きたラクダの糞の臭
まがりしっぽ
外海の波がしら照るあたたかし
石垣 葉星
差別せぬ見本か今朝はあたたかし
森脩平
暖かや暦に蒼き「本とどく」
笹野夕
臍の緒をくるむ真綿やあたたかし
月影の桃
暖かやたこ二個入りのたこ焼き食ふ
せり坊
あたたかに等間隔の車列かな
ヤヒロ
暖かや妊娠検査薬は陽性
小西天
シャッフルのトランプあたたかくしなり
さくさく作物
呼び鈴と尿瓶のむこうあたたけし
さとし
野ざらしのバケツの底のぬくきかな
ふくじん
暖かや試乗車同士前後ろ
成瀬源三
あたたかやベッドメリーはゆつくりと
岩のじ
暖かや小鳥に託す背中の虫
中井よしお
暖かやしゃぶりし飴のやわらかく
綺楽よしじ
土黒く雨の匂ひの暖かさ
澄海まさと
暖かや水場に小鳥芝に犬
亀田荒太
つぎの音待てばあたたかオルゴール
まんぷく
あたたかや富士塚巡るらせん道
星埜黴円
暖かや最終出勤日は雨
さかえ八八六
曲がりたる線暖かやあみだくじ
老人日記
聞き上手の友の耳たぶ暖かし
岩木順
暖かやのどの奥まで白い鯉
笠井あさり
アルバムを開くベンチの暖かさ
凡句楽直
暖かや今日こそ平屋を諦める
湊吾子
暖かや縁を転がるテープ芯
福田みやき
弟子入りや腰に鋏の暖かし
伊ナイトあさか
暖かやフォークギターに弦を張る
大 広秋
鳴るを待つ竿先の鈴あたたかし
香壺
暖かや玉子受け取るたなごころ
咲弥あさ奏
失せ物の再びいでて暖かし
宥光
変声の子と七回忌暖かし
梨西瓜
カピバラの鼻下長しあたたけし
まこ@いつき組広ブロ俳句部
暖かや桜の歌の多きこと
一港
チャンさんと春巻きガブリ暖かし
澤田 紫
暖かや芝居なか〳〵はじまらず
佐藤俊夫
暖かにさぼる鶴岡専務かな
赤馬福助
暖かや「鬱」といふ字の覚え方
里すみか
暖かや息詰めて切る猫の爪
朝月沙都子
暖かやポンポン船の猫の旗
千代 之人
春暖を孕んで懐く段ボール
柿司
暖かやファミレスに杖忘れたり
瑠璃星
暖かし大きな家にひとり居る
ねむり猫
暖かや猫の悩みを聴く係
杉柳才
温かに銀化してゐる廃列車
真下豆白熊
暖かや動物園を鳩の暇
ぞんぬ
泣けさうに羽ばたけさうに暖かし
橘鶫
あたたかや鎮守の杜に鸚鵡石
夕虹くすん
暖かや埃ぷふぁんと音を生み
そまり
カートの老犬嗅ぐ小雨暖か
北爪いく葉
素粒子の嬉々と動きて暖かし
河野灰土
暖かやこの菓子皿は右にひび
阿部猪子
暖かや雀犬の毛咥えてく
飛来 英
切株のみんな丸くて暖かし
せいち
あたたかやじぶんでつめをきつてみる
月石 幸
暖かや中也を友に外に出でむ
和泉攷
濡れそぼつ木々の匂ひやあたたけし
髙橋弓女
暖かや歩きだしそな頭足人
はるく
名と歳を聞かるる犬やあたたかし
うぢ一樹
暖かや「本日、種牡馬展示会」
西村青夏@金カル
あたたかや女の髭の伸びたがる
もぐ
暖かや駅員の押す車椅子
塩野谷慎吾
あたたかやああ耳鳴りはアッレグロ
羊似妃
暖かや交番にあるキティちゃん
虎八花乙
暖かやベランダに出るルンバ君
風の鳥
暖かな四十九日の朝の音
安部亜喜代
暖かし毛玉のやうな犬に尻
磐田小
あたたかや中指ながき調律師
平本魚水
あたたかや渡舟の往来ある暮らし
三休
暖かや漆の皿の触るる音
美馬ひとみ
あたたけし夜虚ろなる薬指
河村静葩
薄皮に焼き印のもじ暖かし
絵夢衷子
暖かや鸚哥の爪の伸び放題
越前岬
消毒の手を振り歩くあたたかさ
ちかひか
辞書繰ればあだぜに隣るあたたかよ
弘友於泥
暖かや洗濯籠はふたり分
ちびつぶぶどう
暖かや退職の日はカツサンド
忘れちゃった
あたたかや童話作家になろうかな
東京堕天使
芽の字ある君の名を呼ぶあたたかさ
加良太知
暖かやB型を待つ献血車
そうり
退職の朝のネクタイ暖かし
無弦奏
あたたかのかたち黄色のとんとんとん
あたなごっち
暖かやコーヒーはやや酸味強
毛利尚人
訪問理容の顔剃りあたたかし
ふわり子
鳩とまる桃太郎像あたたけし
岡山小鞠
あたたかや銃下のイコン微笑みぬ
まー坊
暖かや辞表届を破り捨て
涅槃girl
雨の日は魚網つくろい暖かし
白鳥古丹
暖かや足で頭を掻くインコ
池内ときこ
あたたかやあるく鴉の背のつや
瀬尾白果
ポツリ立つ更地の蛇口暖かく
ウロ
お尻嗅ぐ犬の挨拶あたたかし
糸川ラッコ
あたたかやだんだん寄ってくるハワイ
へなけん
あたたかき赤子のうしろ頭かな
播磨陽子
複製画ほめて暖か美容室
菜々の花畑
目が悪くなりしか風のあたたかさ
河島 勇人
暖かや残業決まる土砂崩れ
諫鼓苔深
暖かや市役所にまだ募金箱
玉響雷子
暖かや室の麹の息使い
猫楽
あたたかや空也の足趾地を跳ねる
あたしは斜楽
暖かや口ぽっかりと李朝壺
ダック
暖かや現存天守石瓦
菊池克己
暖かし隣の靴も揃えたり
高山佳風
暖かや蕊まで節度なく開く
夢実
暖かや子跳ね魚跳ね竿の跳ね
蜥蜴の尻尾
あたたかや空うつす田を小さき波
伊奈川富真乃
犬の尾に揺れる吊り橋あたたかし
川村記陽子
暖かや硝子ワルツで磨く午後
杜まお実
暖かや信号はいま金春色
井原冴
赤ん坊にあずける小指あたたかし
愛燦燦
春暖の土手や土竜塚あまた
すがりとおる
暖かや猫の駅長脱走す
大庭慈温
春暖や湖畔の寺へ湖の風
森一平
暖かや埃たゆたうワンルーム
永田千春
あたたかや象の吹き上ぐ水しぶき
若林鄙げし
アルパカの瞼のおもさ暖かし
坊 いち坊
なぞなぞを聴く顔の猫あたたかし
犬山裕之
暖かや草木染の淡き色
釜眞手打ち蕎麦
高所作業暖か手当二百円
鳥不驚
軽石のかろし怒濤のあたたけし
果禄
暖かや毬を投げたき竹の里
蓼蟲
暖かや肺呼吸した硬骨魚
清水縞午
暖かや川原に黒くどんどの跡
留野ばあば
暖かや鳶をからかってる鴉
恵勇
あたたかし爪はぱちんと飛んで月
古賀
校訓の温故知新や暖かし
ときめき人
暖かや祝詞も緩き井戸供養
くろべぇ
春暖を蓄ふすべり台をゆけ
素空
暖かや宅配便の息子の字
クロまま
膜鳴す阿弗利加の音暖かし
剛海
春暖を回る回覧板早し
泰山
まんねんといふ名の亀やあたたかき
歩く鳥
暖かや風鈴木の黄花満つ
陽光樹
野鳥十羽並ぶ切手や暖かし
三水低オサム
暖かや生地をねじ伏せパンを焼く
きべし
あたたかやカピバラ今日はよく動く
万葉剣
観覧車時計まわり暖かまわり
司啓
暖かや靴クリームの軽き艶
葉るみ
暖かくジャングルジムは捻くれて
海老名吟
暖かやいつもと違う紅茶開け
紫月歪丸
暖かや叔父の話に旧地名
梵庸子
暖かを弾ませてをり八幡坂
村瀬っち
おんおんと泣けばあたたかくて笑ふ
アロイジオ
あたたかやゆらり振れたり象のはな
乃筈三拍
暖けき午後は手ぶらの睡魔くる
るびちゅ
あたたかへ紙ひこうきのピース号
でんでん琴女
暖かやエアーピアノを弾く少女
おさむ
暖かき日もあり窓の影十字
月岡方円
暖かや疥となりし湿布跡
木村ひむか
暖かやソースの瓶に八分目
堀雅一
竣工の橋へ海光あたたかし
二郷京子
あたたけし助六まずはいなりから
黒澤墨青
暖かや同僚だけの喫煙所
ノアノア
実印の天地確かむあたたけし
四丁目
暖かや浄水場の空の匂い
登盛満
暖かや黒板消しをぽんぽんと
鯛 風
暖かやサボる海辺の営業車
小山晃
あたたかき雨や年金定期便
比良山
暖かや曲がる四辻間違えて
ピアニシモ@金カル
暖かや古紙回収の子供会
羽野あき
しわくちゃの百円札や暖かし
山川腎茶
同じ人三度会いけり暖かし
田季たまき
暖かや庭ゆく猫は王女の名
敦子
あたたかや似顔絵そつくりのパン屋
酔下弦
暖かや神社すり抜け寺向かふ
清水明美
あたたかや揃へる靴の小さき手
桔梗
UFOを呼ぶあたたかなオカリナで
高橋無垢
暖かや白さ七段精米機
ゆすらご
暖かやアルプススタンドに母校
沙那夏
暖かや仕事の靴はスニーカー
露口全速
暖かや少女漫画を読む男子
いもがらぼくと
暖かや級長なると言ふ四男
片岡六子
暖かき風や点滴棒揺るる
後藤三梅
ボサノバのゆるりゆるりとあたたけし
栗の坊楚材
猿山の会話空想する春暖
花南天anne
暖かや除草任務の山羊五頭
岸来夢
暖かしプシュっと穴をボンベ缶
オキザリス
暖かやくるくるすべるボールペン
山羊座の千賀子
草取りの流儀それぞれ暖かし
石岡女依
暖かや改札のない駅の椅子
佐々木のはら
コーヒーのフィルター分の暖かさ
花伝
暖かや馬の行きたい方へ行く
酒井おかわり
暖かし蔵書点検の一日
めりっさ
暖かや野辺の仏の目の垂れて
久森ぎんう
暖かや平な石に石五つ
栗田すずさん
暖かや今日は一日スナフキン
沢拓庵
線香の煙ものたりあたたけし
海野碧
今日もまたすることなくて暖かし
藤倉密子
暖かやおへその電波受信中
橋本こはく
暖かき母の昭和を聞いており
細川小春
ふくよかな川のなかすやあたたけし
雛子なな
春暖の膨らむ仕組みスフレ焼く
綾竹あんどれ
あたたかな砂巻き上げる第三打
佐々木 洋治
暖かや入れ歯安定剤無双
堀口 房水
親馬を離れたつたか嗚呼あたたか
あまぶー
暖かや墓誌の白寿は数え歳
吟 梵
関西弁電話相談暖かし
高庭銀雅
暖かや検診バスの乙女色
おかげでさんぽ
暖かや我が子をあやす迷子の子
竹内一二
暖かや綺麗に並ぶごみバケツ
木寺 仙游
洗礼はブリキの盥あたたけし
蒼鳩 薫
何冊も絵本を借りてあたたかし
公木正
影鬼の影に隠れて暖かし
一本橋ふくろう
暖かや父へバリカンあてる母
平としまる
暖かや回転木馬宙を蹴る
かんこ鳥
「ごめんね」を覚えしつむり暖かし
越智空子
並ばないパン屋に並ぶあたたかし
青縞馬
暖かやテトラポッドに波やさし
清水千種
暖かやポイント五倍米二俵
恋瀬川三緒
暖かや賢い人は苦手です
細木さちこ
狛犬のいがみ合はずに暖けし
北代晋一
暖かや重軽石をひょいと持つ
まりい@木ノ芽
暖かや「前へならえ」に倣わぬも
長谷川水素
暖かや口開け目閉づ診察台
夏湖乃
あたたかやすこしおもたい猫の骨
野山遊
暖かやややの喃語のあぶくめく
英子
保育士はなみだのうつは暖かし
平良嘉列乙
マンホールカード集める暖かし
星月さやか
暖かやタイルふくらむ流し台
暖井むゆき
平飼いの軍鶏地を走る暖かさ
森爺
暖かや黄色のトラムヒューがたたん
伊藤 柚良
亀が亀攀ぢ上りたる暖かさ
瑞泉
暖かや夫がボタンを付けくれし
安井コスモス
眠たげな象の眼や暖かし
押川紫宗
暖かき雨の日となり友逝けり
燈穂
無人島に持つてゆくもの暖かし
おきいふ
暖かや転勤の人戻る人
独星
続刊を借りる放課後暖かや
大小田忍
暖かき光の中にテラス席
さいたま水夢
暖かや多言語混ざる登校班
立ち漕ぎブランコじゅん
散歩延長たそがれのあたたかさ
なか かな
暖かや酸素のすこし甘きこと
秋野茜
「おかえり」がラの音の日はあたたかし
在在空空
暖かな雲間や勿忘草色
おぐら徳
暖かや終点に「つぎ止まります」
長谷機械児
暖かを懐きはじめた保護犬と
としなり
暖かや七番庫へと転車せり
春幸
暖かや朝刊を抜く手の緩し
かゐみすず
暖かやひゅんひゅん素振りしている子
遥風
暖かくなれども胸のきやきやす
絵十
暖かや狛犬の口ゆるびたる
たむらせつこ
暖かや出づる挿し木の柳の葉
団栗あんパン
暖かやスワンボートの目のつぶら
いつか
春暖や花まる咲いた大きな「あ」
香山まつり
暖かや桃色多き金平糖
田畑 整
暖かや呪文のやうな文字の句碑
吉川拓真
暖かや弾き出でたる金平糖
遊羽女
バス待ちの暖か猫のいるカフェへ
睦月くらげ
暖かく母の頭皮はやわらかく
佳葉
練り消しで描く光沢あたたけし
百瀬一兎
鎮魂碑知らぬ子ら来てあたたかき
赤尾双葉
スキップと言ひ張る妻や暖かし
剣橋こじ
暖かや渚に湿る木のオブジェ
伊藤順女
マル対のカラスに見られ暖かし
中山月波
あたたかやひらがなにする子のなまえ
広瀬 康
暖かやモンステラの葉割れにけり
渡辺桃蓮
餅屋より餅の匂ひや暖かし
嶋田奈緒
暖かや土産物屋のひのき椀
不二自然
津軽弁のラジオ体操あたたかし
二丁目
あたたかやレジヤーシートの鳩目六つ
明惟久里
日の丸の白地にありて暖かし
羽沖
あたたかし藤井5冠のひげの跡
つづきののんき
暖かな放課後きみとほうき掛け
いくたドロップ
暖かや手押し車は大荷物
田邉真舟
暖かや子豚レースを児が追いて
露崎一己句
暖かに三尺鯉の口三寸
たけ志
地に座してバイク修理やあたたけし
池田 凜
あたたかな雨をバン型霊柩車
卓鐘
朱を散らすこけしの絵付暖かし
樹朋
暖かや牌積む手にもしわ増えて
犬散歩人
暖かき夜や宇宙の成立ちを聴く
直
キッチンカー集い村めく暖かさ
清永ゆうこ
弥生人住みし我が庭あたたかし
そうま純香
厚く切る乃が美のパンやあたたかし
竹田むべ
床上げの消毒匂ふあたたかし
ほしの有紀
あたたかやラマ舎の前の忘れ物
きみどり
暖かやバスが来るまで20分
パーネ・メローネ
暖かを描けばたぶん丸になる
吉武茂る
暖かや都電ゆたかに軋みをり
南方日午
あたたかや笑み満開で撮る遺影
オペラ座の俳人
暖かや缶カラカラと土竜追い
まぐのりあ@蚊帳のなか
鉢底へとパン屑のれつ暖かし
むったん@狐狸山会
暖かやラジオ体操杖置いて
栗田 もとえ
春暖や一湾なべて平らかに
祐
暖かやもぐら塚建つ二つ三つ
重夫
ああたたたかいという吃音あたたかし
ケペルくん
あたたかや長き睫毛の雄ゴリラ
安春
暖かし縄文土器に補修跡
白鳥国男
暖かやグリーンカレーのホッホッホ
こいぬ
暖かし安息角の範囲内
林真紗湖
あたたかや長めにのばすフェルマータ
川越羽流
暖かや寝転がりつつ腕相撲
吉川花ほっぺ
父が嗅ぎ子が嗅ぐ大地暖かし
千の葉
あたたかやインコの胸に出るふわ毛
ことまと
暖かやテラスに魚介のパスタ食ふ
野瀬藻石子
暖かやこそばしてゐる猫の乳
中原柊ニ
あたたかやカレーに決して触れぬ蓋
ベーグル
暖かやページ進まぬテラス席
上村知佐子
トーストへ垂らす蜂蜜あたたかし
三崎扁舟
暖かし勝訴の文字の弾み行く
おたまじゃくし
じいさんの鼻毛も揺れてあたたかや
蘂六
暖かやアスファルトには犬の糞
ツユマメ末っ子10歳@いつき組広ブロ俳句部
暖かや足した答えは自然数
立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部
暖かにケセランパセラン追ひかけて
靫草子
暖かやハーゲンダッツの縁やわし
風ヒカル
暖かや陰に立てたる寿司の桶
ツユマメ@いつき組広ブロ俳句部
暖かやキッチンカーの最後尾
新多
暖かや一秒ずれる鳩時計
やまさきゆみ
逆立ちのアヒル隊長あたたかし
卯年のふみ
折り鶴を置けば暖か古畳
小沢 史
孤食の夜ガムランの音色あたたか
森中ことり
暖かや湿潤テープに浸る傷
福良ちどり
暖かや人間将棋の歩動く
28あずきち
暖かや紅茶にひたすマドレーヌ
みやかわけい子
あたたかし爺は葦毛のブラシがけ
ひでやん
投句欄なぞる新聞暖かし
地球人
暖かや墓苑にひとり石の席
安寿
暖かやごりらは盥を持ち歩き
戸口のふっこ
暖かし調子はずれの今朝の鳥
きょんちゃん
遅れ来る介護タクシーあたたかい
椋本望生
暖かやスケボー商店街駆くる
アントワネット@ノエル
暖かや雲切るやうに飴細工
大和田美信
補助輪を浮かし快走あたたかし
山香ばし
暖かや入居の土産ドアに提げ
碧西里
リビングに家具の浮島あたたかし
松山めゐ
暖かや子牛いたはる舌長し
粋田化石
針通る紅の絹糸あたたかし
中 兎波
猫の股ぱかつと広げ暖かき
千賀子
あたたかやペースメーカー膨らんで
海峯企鵝
あたたかやぶるるんぶるる訓練機
筬葉
百均の祝儀袋や暖かし
陽光
たいくつのところをつまむあたゝかし
蘭丸結動
暖かや降り出す前に帰れそう
野口真砂輝
暖かや箒に躍る砂埃
下條ちりり
暖かや忘れ物箱にモンチッチ
杵築きい
暖かやかはりばんこに掛ける椅子
霜田あゆ美
暖かや一升炊きのピイと鳴り
毒林檎
暖かやサインポールの青眩し
安溶二
あたたかやいのちのつどふみづたまり
宮坂暢介
手拍子より始まる校歌暖かし
蟻馬次朗
あたたかや詐病の床の夕日影
てるきち
あたたかやサッカー場に戦禍の子
山城道霞
暖かや円墳らしき丸い丘
もりさわ
あたたかや二つ揃いのティーセット
陽花天
暖かに繰り返されてエチュードは
冬のおこじょ
あたたかや新居の図面囲む午後
麗し
サブレーの鳩の半分暖かし
亀山酔田
暖かやひまわり号の運ぶ図書
たま走哉
暖かし遺品の中のラブレター
抹茶子
かさぶたをねむらせているあたたかさ
はんばぁぐ
あたたかや重心少し前に出し
野ばら
あたたかし月に胎児の影とくん
黒子
鳩時計四回鳴きてあたたかし
小笹いのり
海からの風暖かし車椅子
吾亦紅
あたたかや鳥語へかざす翻訳機
青野遊飛@蚊帳のなか
暖かや来客板に我が名前
長谷川ひろし
暖かや隣家の手製ドッグラン
かつたろー。
暖かや磯のかをりの絵手紙来
瞳子
暖かを自乗してゐる窓硝子
遠山比々き
腰まげて拝んだ像や暖かき
新城典午
あたたかや職業欄に蛇遣ひ
由づる
暖かや札所に千の天井絵
河合郁
あたたかや昼は屋台のタイカレー
いこん
ジャムを売る店あたたかく丘の上
うしうし
あたたけしロマンポルノの窓に猫
島田あんず
春暖の助手席に目覚めれば海
えりべり
暖かや磐座の紙垂きらきらと
俳菜ひろこ
暖かやしなの鉄道手動ドア
とんぼ
暖かや手すりの鉄の音軽し
糺ノ森柊
春暖やあごの裏なる剃り残し
杏是りゐ菜
暖かを転がれ十円硬貨ゆけ
黒麹 糀
句書買つて誰かのまるの暖かし
咲元無有
暖かやぎつしりと寄るヌートリア
秋沙美 洋
母の手の皺は山脈あたたけし
山内彩月
稜線のうぶ毛めく木々あたたかし
小川都
暖かやリハビリシューズ新調す
小倉あんこ
あたたかや掬へば泥の指ひかり
赤松諦現
梅割りに弾む寮生暖かし
津軽まつ
他界して程なきほどの暖かさ
新右衛門
暖かや後ろを向いてコイン投げ
誠馬ノマド
暖かやおっぱいをブラに掻き寄す
篠原雨子
暖かや笑っています今日の雲
西村小市
暖かや人間駄目になりさうな
なおじい
暖かや過去の留守電消去する
ゆみづき
あたたかし糸がほつれたぬいぐるみ
いちご大福
暖かや廃校の窓放たれり
むじーじ
暖かや子牛の鼻紋採り終えて
矢橋
暖かや豆大福に長き列
岩本夏柿
暖かや猫の茶碗のよく売れる
寺尾当卯
あたたかや画布へ消失点と線
佐藤儒艮
暖かや剥がされてゆくトラテープ
諏訪ヤス子
暖かや地球はまるでチョコボール
りりんご
あたたかや蛇口のあれば子はひねる
上村 風知草
にゅるーりと貝の水管暖かし
みやま千樹
築三日掘つ立て小屋のあたたかし
海音寺ジョー
暖かき丘にネモフィラ百万本
国東町子
春暖の光を練るや障子糊
紅茶一杯
シュプレヒコール波過ぎて暖かし
加地祐作
ゆびさきに点字あたたかジャムの瓶
山田菫舎
風呂沸いてゐると子の声あたゝかし
紺乃ひつじ
暖かや父の残せし書を開く
蒼來応來
サイレンをまねる番犬あたたかし
このみ杏仁
暖かき日や口に出てしまふほど
たけろー
あたたけし植えかえるよう君を抱く
カイセアキコ
犬の名は太郎と梅子あたたけし
朶美子(えみこ)
この町の小さきバスの来あたたかし
蓮花麻耶
戦うドローン天空の春暖
下村ひじり
暖かや髪とひかりを編む朝
坐花酔月
暖かや木の香りたつ椅子ひとつ
楽花生
庭に出て独り言いふ暖かし
金太郎
暖かや和顔施となる辻地蔵
富佐野ほろよい
補聴器を切つてあたたかなるしじま
叶
講堂の椅子あたたかな日なり壁
帝釈鴫
十円の木馬暖か遊園地
アンサトウ
暖かや花の事など隣人と
野口日記
あたたけしスポーツくじを五口買ふ
城内幸江
ノーサイド蹴り出すボール暖かし
吉 や
暖かや吾子の寝息のハ長調
河本かおり
なぜなぜの子にたじろぐも暖かし
谷山みつこ
あたたかや病院食の亀ゼリー
小だいふく
遠浅の海の底まで暖かし
荒木俊充
暖かや尾をふり待てり店の前
さとう菓子
くちぶえは母校の校歌あたたかし
清水祥月
何食らう暖かな日のウェルテル
羅美都
暖かや信号機より鳥のこゑ
中田ひで
あたたかやおなじなまへのこひがたき
渋谷晶
暖かや新装パン屋に人だかり
東太
ちびちゃんにちびちゃんにエサあたたかし
山田蚯蚓
海を見る男そこだけ暖かし
あつちやん
あたたかや白優勢の牛の柄
さるぼぼ@チーム天地夢遥
補聴器の電池の見舞いあたたかし
昇華
廃校を知らざる朝の暖かし
鳥羽南良
暖かや赴任の島に一礼す
竹春エリザベス
暖かや転調の指駆け上がる
まあぶる
あたたかへ共に突入しませうよ
林山千港
改札機てふトンネルや暖かし
和季
難民のおりたつ大地あたたかし
緑の手
五階まで蟻の彷徨ふ暖かし
倉木葉いわう
半島の暖かさにも馴れにけり
藤白真語
暖かや郵便受けは錆びしまま
中根由起子
アルバムは捨てず開かずあたたけし
岡田雅喜
児の描くいびつの丸に雨温し
夏の町子
暖かや戸籍の×も私なの
小川さゆみ
暖かし外野てんてん三塁打
石橋猿山
暖かやパイをこぼるるクランブル
露草うづら
ライオンのピクリともせずあたたけし
ももたもも
暖かやカフェのドアベルカランコロ
渥美こぶこ
佃煮の匂ふ谷中や暖かき
たけぐち遊子
蛇口から飛び立つ音の暖かさ
世良日守
水に浮くブリキの玩具あたたかし
津軽わさお
暖けし勾配ろくじゅうごの鉄路
反芻医
暖かや波に遊べる昼の星
いごぼうら
暖かし眉間の緩む避難の子
榊昭広
一番上のランドルト環あたたかし
山本先生
暖かやAの血液よく回る
土屋ひこぼし
八甲田の水受くる土手暖かし
津軽ちゃう
側溝にマグネット昨日よりぬくし
宮康平
暖かや新消防士降下中
空野 兎
暖かやポテトの長い方が勝ち
季切少楽@いつき組広ブロ俳句部
嬰児の息は乳色あたたかし
風花まゆみ
影みつつひとつに太るあたたかさ
高橋寅次
あたたかや「枕草子」の栞ひも
真名女
あたたかやクロワッサンのやうに夫
くま鶉
馬籠から妻籠へ嫁女あたたかし
柳絮
暖かや鐘ひとつ鳴る得度の日
中島走吟
暖かや墨たつぷりと営業中
佐藤志祐
やちむんの魚紋笑むかに暖かし
斎乃雪
暖かや校務分掌三年目
亜桜みかり
暖かや海を初めて見る犬と
夏椿咲く
暖かや吊り革の手に「単語帳」
染井つぐみ
あたたかな朝ノラ猫とエスケープ
桃花@いつき組俳句迷子の会
暖かや小さき舟を手に入れし
也和
暖かや雲吸い込んだかと思ふ
るんやみ
こんな俺でも良いよって暖かく
せいしゅう
死の話して生きること暖かし
あきののかなた
暖かや笛吹ケトルゆるり止め
村木年子
暖かや小窓にもれるモーツアルト
たかこ姫
海峡を抜ければ内地暖かき
野々原ラピ
暖かきこと言ひ合ひてあたたかし
影山らてん
足を取る瓦礫に風の暖かし
理酔
暖かや濡らす切手の手に懐き
二重格子
暖かを出して四次元ポケットで
鈴村朝人
暖かや畝のひび割れぽつぽつと
塩風しーたん
暖かや臼ひき唄の保存会
槌屋藤内
暖かき風はまだらに吹き紛ふ
たかみたかみ
だぶだぶのスリッパぱたぱたあたたかし
TAKO焼子
暖かや再びキリン生まれたり
万寿果
暖かやマトリョーシカの赤き頬
うに子
あたたかや雨のノイズを身に溶かし
ちゃうりん
暖かや抜糸にだけ来いと歯科
イエティ伊藤
暖かや今日の吉方は南南西
みのる
暖かや犬の脚拭く日曜日
東堂ナス
春暖溜るガードレールの丸みかな
夏風かをる
あたたかや子象の尿のながながと
天陽ゆう
暖かやうぶ毛まぶしき退院日
はにゃ
あたたかや呪ひのごとき貯古齢糖
星乃ぽっち
暖かやアルマジロにも柔いとこ
閑々鶏
ぼちぼちと庭師の測るあたたかさ
秀田狢
イーストの呼吸は深し暖かや
快晴ノセカイ
暖かやイグアナ抱いて行く女
写俳亭みの
あたたかやポメラニアンの笑ひ顔
ハチ太郎
暖かや遠くの街が燃やされて
龍田山門
暖かく赤丸つける実習生
藤 雪陽
暖かや笑ひ顔してなまけもの
笑松
暖かき雨やキネマの唄のごと
日向こるり
あたたけし牛乳はこぶお兄さん
うた歌妙
石垣の大岩の手に暖かさ
やまだ童子
鳥籠にオウムを一羽入れ春暖
富山湾
暖かやゆるめしタイのなびきいて
石川聡
春暖や今朝もまた遅延証明
かなえの
あまったるい春暖をワクチンとして
でんじゃらすババア
暖かや空に満ちゆくプランクトン
沖原イヲ
重曹のラベルに砂糖あたたかし
稲畑とりまる
十二度を超えた田土やあたたけし
ぐずみ
さら揃え削るえんぴつ暖かし
星夢 光風
暖かや幼なじみの樹木葬
どくだみ茶
葉シラミを潰す手黄色あたたけし
丸山隆子
暖かやバイエル弾む日曜日
太之方もり子
ばっちゃまの輪ゴムの跡の暖かし
芍薬
暖かや見飽きぬものに鳩の首
西川由野
スピーチの語尾あたたかき副会長
満る
白濁の空に飛行船暖か
眠 睡花
あたたかし怪物育てたきほどに
ツナ好
暖かやくすねたガムのよく膨らむ
牧野冴
あたたけし箱に溢るるひよこかな
醒子
あたたかや優しくできぬときもある
川村湖雪
あたたかや双子パンダに永久歯
雪音
あたたかやみづの気配に胎をける
句楽岡徨詩
暖かく咲くやファミマの入店音
里山子
暖かや鉛筆床に落ちる音
曽我真理子
暖かや墓地の募集がありません
加世堂魯幸
暖かしそろそろ亀は岩となる
若井柳児
観覧車まはす力や暖かき
すりいぴい
憂き一日の足指洗う暖かし
清白真冬
合掌の爪の長さのあたたかし
西田月旦
暖かやサインポールに歪む顔
村上右佐
暖かやおはなし会は中庭で
竜胆
暖かやミセスロイドを買に行く
喜多輝女
アスファルト蔭のかたちのあたたけし
桂葉子
暖かやきこきこきこと三輪車
富山の露玉
暖かや缶ぽっくりのかこんかこん
うからうから
暖かや老ゆれば人は同じ顔
前田麺
暖かやぬぬぬと自動血圧計
まこちふる
カサンドラへかたむける耳あたたかし
駒水一生
読経も越中訛りあたたかし
吉谷地由子
用水の水の弾力暖かし
うさぎまんじゅう
暖かやミルクブールの新商品
かずポン
放課後の四股名しりとり暖かし
常幸龍BCAD
もののけのゐる物置の隅ぬくし
はまお
からうじて土壁堪ふあたたけし
武井かま猫
閉園の門扉半分あたたかし
石田将仁
暖かや妊娠線は湯気のやう
詠頃
暖かや尾はそれなりに振り子めく
水野大雅
温かき腕やこの夜の暖けし
仁和田永
珈琲の湯気に混じつてゐる春暖
旺上林加
籠り居の頁繰る書のあたたけし
そめいゆ
暖かや土手に手ぬぐい敷き座る
ひーたん@いつき組広ブロ俳句部
ひとかけの巣蜜頬張るあたたかさ
干しのいも子
葉物売る移動スーパー暖かし
広島 しずか80歳
暖かや本屋のレジの揃う辞儀
大槻税悦
暖かやザビエルに髪描き足せり
千波佳山
暖かや庚申塚の欠けに雨
月硝子
暖かやセールストークたどたどし
古都 鈴
乗り継ぎのベンチの猫や暖かし
M・李子
暖かやご近所さんは女優さん
研知句詩@いつき組広ブロ俳句部
街路樹の名札のかすれ暖かし
音羽凜
暖かや石に汀の記憶あり
門田なぎさ@金カル
暖かやわんわんバスの赤き舌
洒落神戸
窓枠は額縁あたたかき緑
まどん
暖かや洗濯槽の緩き渦
みつれしづく
啼き止むを忘るゝ鳩や暖かし
勘八
春暖のなんと大きな河馬の子よ
誉茂子@野の花
花柄のおくすり手帳あたたけし
和山しなもん
暖かや持つ本の角ふやけゆく
叶田屋
暖かや沖へ沖へと沖の船
小豆白虎
暖かし三年ぶりのギターだこ
くさ
歯をみがく耳に鳥の音あたたかし
井納蒼求
暖かや船便開くと木靴見ゆ
sakura a.
風ぬくし右に逸れたる足漕ぎボオト
緒方朋子
暖かやお古の三輪車にベルを
ペトロア
あたたかや足の痺れて三回忌
加賀くちこ
暖かやくしゃみ六発写真館
克巳@夜のサングラス
暖かな雨の溜れり象の背ナ
谷口詠美
ゆふぐれはあたたか影を遠くへと
はっしー
募金箱へ小銭じやらじやらあたたかし
樫の木
バス停の不揃いの椅子あたたかし
深山むらさき
腹いせに噛みつく猫やあたたかし
多々良海月
あたたかやカノポス壷の肺ひ臓
林りんりん。
あたたかや乳房にぬとり牛の糞
中鉢矢的
暖かや出荷待ちたるベアリング
吉野川
暖かく両手鍋(ココット)のよく歌ふなり
足立智美
片恋に雨暖かや明日も待つ
あいのるみ
庭の木の対生成やあたたかし
かん かんし
暖かやバスタブ洗ふ手に力
青柿
首筋がくくくと笑ふ暖かさ
Kかれん
マーブルチョコ春暖の東京マラソン
美月 舞桜
水門に漂ふ鳥の暖かし
いたまきし
積読本横目に見やる暖かさ
千曜 桜
五分後に届く返信暖かし
清瀬ぴあの
暖かや日に銀色のうまい棒
宗本智之
暖かや妻の授乳を見やでみる
いなだはまち
春暖の紙床のあまやぐ白と白
夏雨ちや
暖かや燦く海に汽笛のび
鳳凰美蓮
暖かやウルトラマンになった孫
ミモリ
2ミリほど背骨がゆるむ暖かさ
からすちゃん
暖かき日の古本の匂ひかな
水蜜桃
暖かやゴリラの好きなゆでたまご
ららら句らら
おはやうと言ふ人のゐてあたたかし
はれまふよう
あたたかや居間に土下座の父またも
まちる
雨ぬくし忌日の帽子目深にす
村上優貴
十字架の常より映えて雨ぬくし
対馬清波
暖かや海の匂いの駅に着く
辻野 花
あたたかや何しろ空は明るくて
笠山静香
暖かや主審副審みな甘く
てまり
マイカーが高値で売れて暖かし
小林番茶
暖かや嬰を引き抜く箱車
峰泉しょうこ
暖かやビクター犬の立てし耳
香栄
暖かや外宮の裏の黒うどん
伊予吟会 宵嵐
不定期の絵手紙ほどに暖かし
ムーン貞子
暖かや読む人もなき開拓碑
和泉穣
暖かや施設のはなし明日以降
梓弓
教室に吾なる顔の絵あたたけし
戸部紅屑
暖かや虎屋の羊羹虎模様
文月あつみ
隅暖かし埃転がる速度
玉野汐音
暖かやソに♯乗る母のこえ
井上のなめ
暖かやちょっとしょっぱい目玉焼き
かえるしろ
猿山を離れぬ親子あたたかし
一富士リリー
ほどく荷に本の匂ひのあたたかし
巴里乃嬬
木漏れ日の暖か赤坂日枝神社
浪速の蟹造
江の島のタコ煎餅や暖かく
東 湘輝
暖かやリングノートを新調す
土佐藩俳句百姓豊哲
暖かやボンネットに親指の跡
空豆魚
暖かや板書の音の遠のきぬ
くずもち鹿之助
暖かや茶房の窓に墳墓あり
岩橋春海
お若いと言はれる歳や暖かし
慢鱚
暖かや今日来る客は猫嫌い
苺井千恵
暖かや船みなロープに繋がれて
銀 次郎
暖かや石かと見れば犬の糞
山口雀昭
木の家に棲みて息吹の暖かし
谷町百合乃
あたたかや猫を育つる犬に乳
中里 凜
あたたかや定規は線を測るもの
ゐるす
笑ひごゑぼわつと空へあたたかし
主藤充子
暖かし瓦職人梯子掛け
HNKAGA
暖かやはみ出しさうな住所欄
港のパン屋
あたたかやサラダに少し添ふる赤
風慈音
暖かやゲイの漫画の二冊買ふ
あらい
修繕の済みし遊具の暖かし
桃香
温泉の町のからくり時計暖けし
岡本 戎
暖かやピンクの犬の飴細工
青木豊実
仏像の顔そこはかと暖かし
ぼたんぴ
暖かや素振りの子からこんにちは
たていし 隆松
風呂椅子に丸き穴ありあたたかし
砂山恵子
暖かや乳母車には五人乗り
蔵原遼太郎
あたたかやヘッドルーペのむしはかせ
木ぼこやしき
日暖かマサイのやうに持つ箒
神山やすこ
あたたかやあこのにぎつたグーのなか
亀田かつおぶし
春暖の朝やケの日へバスが行く
ダンサーU-KI
タンタタタン鳴らすパンプス暖かや
田中ミノル
特養へ家内入れる日暖かし
川島欣也
あたたかくもどるふるさと
雨三日
市橋正俊
裏表紙税は5%の暖かし
フージー
あたたかや順番待ちの授乳室
植木 彩由
暖かや耳からセロトニンこぼる
三河朱奇
暖かや歌行灯でうどん食む
ひすい風香
ボランテイア休暇取る日の暖かさ
加和志真
あたたかし五本しつかり胎児の手
まるちゃんにいさん
洗車機の列あたたかき休日に
梅鶏二号
テカテカの学ランの子ら暖かし
久我恒子
断食の一日の縁や暖かき
くろけん
暖かやスマホで探す二食付き
松本裕子
暖かや鳥葬は程なく了はる
葉村直
ポップスのかかる理髪屋暖かし
杉尾芭蕉
あたたかや柄杓の失せし手洗場
君島笑夢
暖かや人のあふるる貸農園
田中ようちゃん
泥畦のひびに一雨暖かし
吉田竹織
暖かや眼瞼痙攣をわらふ
鰯山陽大
今日死んだって明日も暖か
羅蒐
用があり行くところあり暖かし
ひだ岩魚
学帽のフェルトふくらにあたたけし
at花結い
暖かや大路を疾き車椅子
京野さち
暖かや空をガジュマル締めつける
南風の記憶
落書きのモナリザうふふ暖かし
花咲明日香
暖かや宅配便の停まる家
ぎんやんま
暖かやノートルダムに大工団
青空まる
江ノ電の席を譲られ暖かし
田村利平
向かひ合ふ臍と天井暖かし
妹のりこ@金カル
暖かやマジシャンの鳩みな眠る
GONZA
暖かや残り時間の使い道
宮川武久
暖かき蠢く字画二十一
長操(おさみさを)
暖かやカチューシャの歌歌う妻
浜友輔
波ひとつ詩歌ひとつの暖かさ
ぱぷりかまめ
暖かや揺れるおもちゃの忙しさ
向原かは
あたたかな忘却の日の詩を愛し
三泊みなと
暖かや黒き犬の顎に白髪
立石神流
あたたかな夜の国道の横断す
竜田側
人により人に為る人暖かや
法典
暖かや巨岩を櫂で指す水夫
瓦すずめ
春暖の列車は朝を繋ぐ星
真冬峰
暖かやスワンボートにある瞼
夢見昼顔
あたたかや和尚がオープンカーで来た
立部笑子
ほんたうはあこにあひたしあたたかし
山内三郎
暖かや石垣の息やはらかき
鵬
暖かや今年は異動ありません
江良 中
繰り返す鳩のポーズやあたたかし
夏草はむ
暖かや電話の女、誰ですか?
あやっぺ
ユニクロを着てゆくニトリ暖けし
斉藤百女
暖かやレゲエ流るる美容院
山脇 和寂
春暖や金婚の日の淡々と
あらら
春暖や車椅子貸し出しのビラ
笑酔
あたたかや本土のパンを食むデッキ
薫夏
暖かや会食恐怖症の猫
光峯霏々
暖かし雨に濡れいし藁匂う
大村真仙
春暖や老舗茶房のペシミスト
入口弘德
赤飯の届く夕べや暖かし
宗平圭司
母さんに子をみせているあたたけし
大野美波
廃校の黒板アート嗚呼暖かし
きゅうもん@木ノ芽
暖かや夜が雫になるという
高遠見上
暖かや駱駝はむねに鈴さげて
藤咲大地
暖かや騙し絵館へ騙されに
居並小
あたたかな雨や隙間のイートイン
謙久
暖かや猫のトイレは掃除中
奈良の真
暖かしビタミンデーと言ふ教授
シュリ
暖かや国語のプリントの印字
インダクタンス
暖かや手首に糠のにほひして
山田蹴人
暖かや石見訛りはきつくない
のつり
春暖や深き息継ぎ高きサビ
ひぐちいちおう(一応)
新ミシンは足踏み式やあたたけし
常盤あけび
暖かや大講義室のぎゆうぎゆう
久留里61
そちこちと掃除機すべる暖かし
じょいふるとしちゃん
あたたかや砂嘴まるまつてまるまつて
石浜西夏
砂利の泣く暖かき雨参拝す
花和音
あたたかやこんなところで知った顔
峰 乱里
ぎぃぃぃと開けて暖か焙煎機
柳浦総師
あたたかやつくゑひとつぶんのゐばしよ
ありあり
そちこちに山ごろり大和暖かし
火炎幸彦
戦争を見ているこの暖かきに
カオス
暖かやビジネスバッグ軽き夕
五々寛太
暖かやダンプの左折見上げる子
金朋かいと
暖かき日のレコードのノイズかな
Q&A
暖かや昭和歌謡を聞く夕べ
中山白蘭
暖かにひかりあふるる北枕
武者小路敬妙洒脱篤
暖かや老舗ホテルのクッキー缶
瀬央ありさ
暖かや投網準備の舫ひ船
達坊
暖かや開いた跳ね橋待つ時間
鶴屋桃福
浅草の老婆の英語あたたかし
矢野貴子@金カル
春暖の空よ深々水分子
水木合歓
あたたかやへのへのもへじに似てるひと
森 日美香
あたたけし杣道探す赤テープ
山くじら
跳ねかへるシャボン暖か蒼き犀
あるる
円空の十二万体暖かし
永想
暖かな土埃り舞う生家跡
さくやこのはな
あたたかや胎の子やっと三センチ
千暁
あたたかや貸し農園に出前館
さぶり
暖かや新顔並ぶ停留所
千風もふ
もう爪伸びしかひとりの暖かき
睦 陽花
暖かや君の合図のクラクション
天野倖雪
暖かや荷背負ひたささうな駱駝
藤田康子
津波の街朝市に沸く暖かし
古賀ちん
暖かや鷹女にはさむ栞選り
久蔵久蔵
暖かや四日めのオリエンテーション
麻きなり
暖かやカルメラ焼きは売れません
丹波らる
暖かや戦禍の街にあるパン屋
(野々之)乃の
暖かや移動図書館待つベンチ
文月
縁側の暖かや今日から無職
江藤 薫
暖かや双子の笑ふベビーカー
よかわもりお
かくれんぼの子と目が合ってあたたかし
田中耀
暖かやへらへら払う延滞金
ほしのあお
暖かや炊きつめらるる飴のあわ
雨野理多
渋谷あたたか狭小店したたか
夏立也
大仏は確かに美男あたたけし
小林弥平
暖かに淀のつつみを帰らばや
矢嶋博士
暖かや糞を避けゆく象の足
石井瑩
暖かやチェックの柄の車椅子
多可木@ノエル
樹に付ける木の診断書暖かし
黒蜜かりんとう
金モール海自の娘あたたかし
風子@ノエル
暖かやゴルフグローブ縫う日々を
銀子@ノエル
あたたかや色留袖のしつけ糸
鶏白@ノエル
雲切れて石敢當の文字ぬくし
時まる
暖かや宿直室に用務員
平坂謙次
暖かや太閤守る焔硝蔵
茶
次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
お待ちしています!
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