【佳作】
かいじゅうのかしかりあたたかしたのし
髙田祥聖
暖かやゆろゆろ伸びるチンアナゴ
きなこもち
砂浴びの穴は万来あたたかし
飯村祐知子
暖かや河口の町のなま臭き
すずしろゆき
暖かや空に弧を描く象の鼻
なかの花梨
土に水がぶがぶ飲ます暖かし
広木登一
あたたかや水かきのある仏の手
ふじこ
あたたかへ降りたるバスの段差かな
ふわふわ研究所
暖かや花柄生地を二メートル
阿波オードリー
あたたかや鯨幕やはらかに波
久保田A
告別や鳩放たれてあたたかし
宮武濱女
シーソーに尻の凹みやあたたかし
メレンゲたこ焼き
暖かきことに始まる祝辞かな
ふもふも
あたたかやキューピーにある羽根と臍
伏見丹耶
暖かやコマ送りめく鳩の影
北藤詩旦
暖かやボタン繕ふ力布
じゃすみん
マロニエの木といふだけであたたかし
イサク
暖かや六区の裏の洋食屋
ひろ史
暖かやパンク修理の泡の数
ぐりえぶらん
暖かや上司のくれしうまい棒
ひなた和佳
暖かや自転車あまた乗る渡船
はまゆう
暖かにプラス妊娠検査薬
藤田ゆきまち
厳かに洗う献体あたたけし
ギル
階段の裏側も段暖かし
ゆうま
ファーブルの棚は空つぽあたたかし
はぐれ杤餅
角打ちの肘の置き場所あたたかし
る・こんと
あたたかや皆むちむちの絵のひよこ
高尾里甫
手の皺の負債のごとくあたたかき
藤鷹圓哉
暖かや埃明るき仁王の手
山中 揚
春暖の街に見合ひの席ぬけて
ま猿
カステラにざらめ濡れゐて暖かし
ぐ
塩釜の鯛の木型やあたたかし
高田杏
暖かな潮の匂ひの遺言書
モッツァレラえのくし
暖かや砂場に太き正弦波
白プロキオン
暖かや卵も箸も立ちそうな
豆闌
暖かやパスタくるくる木のフォーク
比良田トルコ石
暖かや請求額の777
大黒とむとむ
横浜の海あたたかく濁りけり
いかちゃん
暖かや鳩の湧き出る街の塔
どみ どみそ
暖かや立てば吾子より大き犬
さとけん
暖かや朝刊二種を総務課へ
みづちみわ
あたたかやタコって手にも脳あるねん
一斤染乃
狛犬の足に一円あたたかし
一走人
虹色の真珠のいびつあたたかし
中島真珠
春暖の窓に故郷の家と木か
仁山かえる
暖かや悟つてしまゐさうな石
日々拓人
寄席蕎麦屋神社地下鉄暖かし
桜井教人@金カル
あたたかや疎にして傾ぐどぶの蓋
田中木江
暖かや川面光らせ塵芥
津島野イリス
ジャングルジムの上は王国あたたけし
青田奈央
あたゝかや阿修羅の像に腋六つ
稗田鈴二郎
暖かや手籠に金をせびる猿
石井一草
あたたかや折り紙の百合やや匂ふ
すいよう
あたたかやしょしゃの教科書うすっぺら
横縞
あたたかやコーラの瓶のうすみどり
中岡秀次
暖かやビニルハウスに見張り山羊
あずお玲子
海象の投げキスきゅぽん暖かし
いさな歌鈴
会釈めく鸚鵡の歩みあたたかや
可笑式
セロテープ同士付き死すあたたかし
銀紙
葬列に鳩加わりてあたたかし
三浦にゃじろう
おはじきの色ある翳り暖かき
石上あまね
墓石の雨滴の埃あたたかし
はなぶさあきら
マンホールに鳥の紋章暖かし
石塚彩楓
飲み込んで音あたたかし離乳食
ぐでたまご
こくごりかしゃかいおんがくあたたかい
稲畑とりこ
墓石へと暖かが背を押し行けり
ぼたにこ
あたたかや用途不明の高さに戸
倉木はじめ
暖かをついばむやうな手のえくぼ
きのえのき
暖かや花刻まれてゐる硬貨
古瀬まさあき
あたたかや蝋石に描くきりんの目
げばげば
暖かな雨の匂へるポンペイ展
内藤羊皐
けん玉のけん先に傷暖かし
コンフィ
おそらくは暖かという意味の手話
新蕎麦句会・凪太
ペンギンの目は鳥の目やあたたかし
ひねもす
暖かや河馬もわたしも非番の日
くみくまマフラー
暖かやベンチのど真ん中に補欠
けーい〇
次回の兼題も
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