【佳作】
騎馬像の騎士は右利き囀れり
樹海ソース
ほおづえが痛い囀りが大きい
だいやま
囀とふ我がブルースよ離職の日
佐藤レアレア
半島の海へ海へとさへづりぬ
森野みつき
囀やありとあらゆる一人称
花屋英利
たつぷりと囀満たし柩閉ず
三尺玉子
鬼門には猿囀の京都御所
桜井教人
囀のがまびすしさや出棺す
坪田恭壱
囀や片耳でかいたのかんさぁ
海星葛
囀やゼンマイのある鳥がぼく
赤馬福助
囀りに労わられての墓じまい
み藻砂
囀のあはれ薬草園を出でず
おかげでさんぽ
ホスピスに覚むる八日目の囀
島田雪灯
囀の啄むにまかせゐる耳介
トポル
囀の芯へ素振りの五百回
平本魚水
朝の顔さえずり掬いつつ洗う
松田てぃ
囀に研磨されたる朝かな
ギル
囀の下直立の巡査長
山姥和
囀に濡れて大樹の発光す
津島野イリス
囀りの十に一つは独り言
岬ぷるうと
囀りや鎖かかった廃墟ビル
Nakahara結月
囀やハンマー仕舞ふ調律師
野ばら
まだ今朝の囀のゐる左耳
海野青
囀りの鳥居明るし神前式
秋野しら露
龍神の沢の囀しぶきめく
小豆白虎
青銅の牛に涙痕さへづれり
あいだほ
囀を今横糸に織り込みぬ
森 毬子
囀や練香つまむ火箸の端
山城道霞
囀や口から旗を出す手品
シュリ
詩集繰る囀りは独逸語のごと
芍薬
余震なほさへづりまみれなる孤島
板柿せっか
囀のみづをふくめるもの優勢
さとけん
混声の和声のようだ囀りは
山川凛
洞窟の聖母マリアに囀れり
千賀子
囀や水神さまのにはたづみ
千夏乃ありあり
囀やガラスのこちらまだ微熱
平としまる
囀や釉薬底に溜まりゆく
一本橋ふくろう
鈴なりの囀あおぐベンチかな
空流峰山
囀や仏足石の五指ひらく
小池令香
水輪めく如来の襞や囀れり
川越羽流
囀りや光の沢の魚の影
富佐野ほろよい
再起するなら囀の痛むうち
大黒とむとむ
鳥かごの鳥囀りに加はりぬ
おのまい
囀の薬草園をおほひけり
村木年子
囀のなかへ丸太の杭打てり
百瀬はな
囀やその終助詞はちよつと変
七瀬ゆきこ
恐竜の喉頭骨や囀れり
ときめき人
さへづりは天性ほんたうはさびしい
つくも果音
囀や外して石となる指輪
長谷川水素
骨箱に桜の刺繍さへづれり
常幸龍BCAD
ミラージュスコープきらきらさへづれり
たかみたかみ・広ブロ俳句部
囀に書く献体のサインかな
仁山かえる
囀や風の婚姻色ゆたか
岸来夢
青空を鼓膜のごとく囀れる
松坂 コウ
わたくしす波紋ととどく囀を
いりこのにゃらつめ
人さがす王さへずりの王宮に
おきいふ
さへづりの中のポストへ山行記
じゃすみん
囀が痛い学校いくってば
天雅
囀の高ければ吹く間歇泉
すがりとおる
焼け跡に打ち込む杭や囀れる
だがし菓子
囀をきいてる何となく手をみる
ヒマラヤで平謝り
囀の球となりては砕け散り
元野おぺら
囀やサファリの轍ぬかるみて
巴里乃嬬
囀が生きよ生きよと責めてくる
江口朔太郎
囀や寮の屋上独り占め
ゆすらご
さえずりるりるらきりんの舌まるむ
綾竹あんどれ
囀りの水をしならせ浴びる象
麦のパパ
囀に潤ってゆく町の朝
海老名吟
囀は余白原子力発電所
山香ばし
囀やここにベンチを置いた人
八十六九
四人目は中絶囀が痛い
栗田すずさん
尸者として囀りのなかにゐる
百瀬一兎
退院の子と囀をくぐりゆく
四條たんし
囀の山頂海を向くベンチ
竜胆
囀のすこししづかに熱の床
池 閑茶
囀りや嚥下、呂律の良いに〇
篠原雨子
囀りやゴムの樹液を受くる瓶
慢鱚
縄文ぞ巨柱六本囀れる
野々原ラピ
囀へ鳥語で話す母きれい
熊谷 温古
囀りを寝ものがたりにパンの種
中 兎波
ごみ出しの朝の囀り妻に告ぐ
こま爺
この囀を聴いてる顔で死んでゐる
青井えのこ
囀や湖面は清らなる鼓膜
秋津穂 実
水彩画ですかいいえ、囀です
碧西里
自転車を盗まれ囀りの登校
平良嘉列乙
赤土の崖に石器や囀れる
小保方無弦奏
切り株にいて囀りの大き波
夏椿咲く
囀を歩けば島の砲座跡
坂野ひでこ
囀りや無垢のピアノの組み上がる
沼野大統領
ごめんねが囀まみれ父の墓
一斤染乃
囀の真下へ滑り込む舳先
樫の木
さへづりにならむ韻士よさへづらねば
加良太知
囀りでもしないと暇で死にそうで
凪太
囀らむ予て古墳を治めたり
てつなお
囀りの転調フランクが焦げた
さるぼぼ17
電柱の傾く街を囀れり
長谷機械児
囀の真ん中に張るテントかな
ざうこ
聴診す囀満つる患家にて
星埜黴円
百年の大樹囀りはち切れん
熊の谷のまさる(いつき組俳句迷子の会)
ドリル音やみ囀の昼休み
空山プラネタリウム
囀といふとこしへの高さかな
葉村直
囀とデッサンの音だけの部屋
河上摩子
囀や海に黙する校舎跡
くろけん
囀や樹下に朽ちたる縄と君
紅紫あやめ
式終えて次の囀待つ校舎
ゆみづき
囀へ立てり未完の点描画
錆田水遊
階下りるたび囀へ浸かりゆく
いさな歌鈴
式典は粛とし囀は濶し
青居 舞
囀やひかりが七色の理由
常磐はぜ
今朝囀多し退院の予感
ぐりぐら京子
君をわらわないさえずりになりたい
高尾里甫
金印は誼のあかし囀れリ
空郷 阿房人
磐座の一ノ鳥居を囀れり
むったん
寝返りの耳へ囀てふ福音
三月兎
囀やチェロをひかりのたゆたへる
RUSTY=HISOKA
さへづりを掻き分けてゆくフリスビー
山本先生
囀の凝る娼家にフレスコ画
北欧小町
裏拍に囀る朝の高さかな
としなり
囀やたましひ色にひらく天
恵勇
さへづりやかつて決壊せし堤
丁鼻トゥエルブ
さへづりや心臓ぽくんぽくぽくん
くま鶉
囀や素直な耳を子に貰ふ
岡田雅喜
囀は音かひかりか多数決
金朋かいと
うつ伏せに出づる埴輪に囀れる
石田将仁
開け放つ囀りのカウンセリング室
天陽ゆう
囀の降りくる方へ転轍機
ぐでたまご
囀や野に捨てられし椅子ひとつ
渡海灯子
神木をくすぐるやうに囀れり
⑦パパ・いつき組広ブロ俳句部
囀にことのは譲る離任式
苫野とまや
囀のひかりに眠るパンの生地
桜鯛みわ
病休の五日さへづり刺す如く
横縞
囀や耳塚といふ石の塔
多々良海月
満願の日の囀は薄みどり
新濃 健
囀や豊かなる歌集の余白
山内順子
囀や笛になる骨ならぬ骨
伊藤映雪
囀のひとつはやる気なきこきふ
でんでん琴女
囀りや自分の影に怯む吾子
いくたドロップ
囀の宮町鬼塚古墳かな
川岡すえよし
囀りは重さの単位空軽し
世良日守
囀や風土記の丘に風少し
なしむらなし
囀のたとへば試し書くるるる
げばげば
囀に挟まれ歩む廊下かな
あるる
囀や切株はまだあたたかく
あつちやん
心臓の無垢なる囀の間合ひ
冬のおこじょ
囀や吉祥天の通詞とて
仁和田永
囀の止みて円空鑿の音
なかの花梨
囀や上野に旧き野球場
伊予吟会 宵嵐
さへづりを零れて囀りをこぼす
ぐ
囀や発射台から見える海
石神湖畔
囀や碑文の窪を明るうす
加座みつほ
囀や花の切手を貼る手紙
山内彩月
囀の休符を奏でたる庭師
いかちゃん
囀りに濡るるや象の仔の目脂
髙田祥聖
囀を零し川岸明るうす
杏乃みずな
詩よ朝も眠りもさへづりも怖い
嶋村らぴ
待ちぼうけあら囀にイ音便
蜘蛛野澄香
さへづりのおほよそ余談なる甘さ
ツナ好
囀とくつくつ炊ける朝粥と
みつれしづく
育休を告げ囀の昼休み
ぜのふるうと
広野編む縦をさへづり横をさへづり
沢拓庵◎いつき組カーリング部
囀や狛犬けふは上機嫌
あみま
囀を湛へ白神山地明く
さくさく作物
さえずりに浄める耳やけふきれい
笑笑うさぎ
囀や酒船石に鑿の跡
空豆魚
囀の窓辺に二日目の喪服
倉木はじめ
囀は伸びやか沈みゆく銀貨
森脩平
囀の中へ鬱王帰りたる
つちや郷里
囀の波紋ゆらめく板硝子
黒子
囀に恋したみたい左耳
Kかれん
囀やなゐに細りし見附島
HNKAGA
囀や忘れたままの長梯子
うみのひつじ
逞しき耳に鉛筆囀れり
坊いち坊
俊太郎の詩を囀はアルトにて
鈴白菜実
蒼天やさへづりは風結ふリボン
かゐみすず
囀やシュラフの中に残る熱
清瀬ハイジ
吊り葫蘆のぶつかる音と囀りと
宇野翔月
囀の明度例えば乳児の手
あなぐまはる
囀は五十デシベル空青し
山川腎茶
さへづりまだ硬し紅茶が熱すぎる
津々うらら
囀りや下宿の風呂の磨りガラス
うめやえのきだけ
囀りの病室棟のビオトープ
狩谷わぐう
さへづりや職員徽章返却日
幸田梓弓
濁音を忘れた囀のきれい
浦野紗知
囀止む何事もなくまた満つる
虎穴虎児
囀や酵母タンクの窓に泡
犬山裕之
囀りの痛みイヤフォンからまりて
野点さわ
囀や製糖場に人見えず
空木眠兎
囀は声明鎌倉は大仏
藤源卿
囀やガレの花瓶の仄昏き
渡辺桃蓮
裸婦像の微笑囀りなほ盛ん
山田蚯蚓
囀や昼餉の父と鍬のこと
ソラノさゆり
囀やこの鬱憤をさしあげる
こもりく
角曲がる囀一気に攻めてくる
窪田ゆふ
標識の矢じるし空へ囀れり
うみのすな
次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
お待ちしています!
投句はこちら