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初級者結果発表

2025年4月20日週の兼題

牡丹

【曜日ごとに結果を公開中】

【入選までもう一歩】

選者コメント

家藤正人

みなさまこんにちは。初級の選者、家藤正人です。

月曜日は、入選にもう一歩という句をご紹介します。


・月曜日の「選者コメント」に掲載されている俳句については、作品検索はできません。

・月曜日の「ステップアップのためのヒント」に掲載された句、入選句、優秀句については作品検索が可能です。


月曜の「選者コメント」や「ステップアップのためのヒント」を参考に、目指せ金曜優秀句への道!!


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▼【季語なし&違う季語】

初恋やパチンと爆ぜて夏蜜柑

高木ひーちゃん


葉脈が眩いばかり蒼紅葉

麻座輝貞


今いづこ神のみもとか寒牡丹

めぐむ


葉牡丹ってなんであんなに美味しそう

住吉陽介


紫陽花や軒先濡らし夏近し

菅生菅風


新緑の湯上がり涼し道後麦酒

塚越


葉桜の悲しささそう微風よ

暢句


町の名に牡丹と付けし江戸の粋

桃瀬菜美子


風そよぎ待ちこがれし華開く

貴島有子


太地喜和子「ぼたん」と言えば寅次郎

はっとりはるか


牡丹の根の皮煎じ熱冷ます

藤井いちはつ


母のお下がり紺地に牡丹

代官野兎


境内の牡丹華時を止め

泉北の石ヤン


こくりこくっ目覚めた前に露牡丹

しゃりしゃり


ライブ後に燃ゆる牡丹を家康と

川端芙弥


たたなづく毛莨科の牡丹

赤池じげん


ええ、牡丹木の香みちるリンクうえ

富士で名がき


●ピックアップコメント:

季語の入ってない句や違う季語が入ってしまっている句をピックアップ。

惜しい例として「牡丹」という単語は入っているものの、花ではなく根っこであったり、絵に描かれた牡丹であったり、焼酎の銘柄であったり、といった例もありました。

また、マニアックな例では「牡丹華(ぼたんはなさく)」という七十二候を使った句もありました。残念ながらこちらも植物の牡丹とは違う季語なのです。

兼題として季語が出題された場合は、その季語を一句に詠み込むのがルールです。

俳句ポスト365では各回の出題に全員が取り組むことで切磋琢磨を目指しております。

今募集中の兼題は、7月19日締切の「夜(よる)の秋」です。ご投句お待ちしてます。


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▼【季重なり】

凪の庭揺れる牡丹に蜜蜂よ

英子


牡丹に蜂の降り立つた孤高さよ

川原亜人


遠足の牡丹の寺を思ひ出づ

りえ


紺碧や躑躅皐月に藤牡丹

浅川流木


水無月の牡丹彩る花手水

西村一路


牡丹咲く繊細な影に春の風

相模敏文


牡丹見て蝶に目がいき札を搏つ

双樹 天縫


十八候牡丹華さき春果てり

高志


母の日の礼拝に揺れる白牡丹

遥湖


牡丹咲く緑道歩く朝のつゆ

美恵ノ海


ぼうたんのなみだ集めて香水瓶

五月雨華奈女


金蛇の毎度見上げる牡丹かな

ハンダノブユキ


●ピックアップコメント:

一句の中に複数の季語が入っている状態を季重なりと呼びます。

「香水」ではなく「香水瓶」、「蜥蜴」ではなく「金蛇」など、線引きの微妙なものもありました。

季語が複数入っている名句もあるので、「季重なり」は絶対にダメ! というわけではありませんが、複数の季語を作品として成立させるのは、上級者コースのウルトラ技。

ここに紹介した以外にも季重なりの句はあり、火曜日以降に紹介される場合もありますが、比較的許容しやすい季重なりとして受け止めているものもあります。

やはりまずは、一句一季語からコツコツ練習して参りましょう。


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▼【季語を比喩にすると】

祝日に出社す我は牡丹なり

橘高シャンプー


演舞会主役は吾子か牡丹なり

ひろちゃん


隣に座るあの子の姿は牡丹のよう

もる山 もる


寝たきりの父に牡丹の絵手紙を

糸田 つぶさ


牡丹のやうに生きたし吾も

平本文


全幅に百色牡丹咲き誇る

岸愛桃


割れ皿や金の継ぎ目に牡丹生き

詩小桃


いつだって不敵に笑う君牡丹

裸足駆 高襟


退職日白牡丹のやうな同僚

茶々子


牡丹花粋な男の背に映える

屋敷 公園


白牡丹授業の時間「花咲きなむ」

四宮蓮


ぼうたんの彼女取られてしまいけり

中金稿


唐獅子と牡丹江戸っ子の汗燃ゆ

神里 タスク


青空や猫の牡丹は膝の上

黒木なずな


賑やかに笑いさざめく妻牡丹

山田まもりい


ウエディング牡丹咲かせる左肩

山崎鵜真


座すれども牡丹にならぬこの私

村瀬 凛花


君の首筋雨の日の牡丹のよう

佐藤ハルヒ


母の胸牡丹のブローチ参観日

森 遼


結い上げた頭重たし牡丹かな

渋谷雫玉


座れば牡丹ストールそよぐテラス

西山平次の保護者


写真展案内状の牡丹好し

古賀衝童


初恋や牡丹のごとく染まる頬

中尾加加阿


衣縫ふ牡丹のごときBlytheの

じゃらんじゃらん


牡丹の花びらみたいな笑顔みる

泉 早希子


「濡れ牡丹」花嫁泣いて父例え

咲水 葉月


競り勝る牡丹のごとし親子レク

ちゃー


座ろうが立とうが牡丹のあの子好き

富海善風


幼い日すわるわが身の牡丹のごと

津軽 りんご


さよならを言わずに去りし君牡丹

氷室東沙


蛇腹折り壁の紙花牡丹咲く

山広裕果


うちの牡丹寝ころぶ様は変死体

佐藤推敲子


「綺麗」が感想?ほな牡丹ちゃうぞ

瀬永 京甫


微動せず妻は風にも牡丹かな

森嶋ししく


満開の牡丹たまらずたまやたまや

ゼップの夢


アルバムの吾子の微笑み牡丹かな

西 春っ子


●ピックアップコメント:

季語を比喩として使っている句などをピックアップ。

「立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花」という美人の形容に影響されたのか「牡丹」を人物の比喩として使う例が多くありました。

季語を比喩にした場合、季語としての力は限りなく失われてしまいます。

その他、図柄や意匠としての牡丹、人やペットの名前などに使った場合も同様に、季語の力が失われてしまうと考えて良いでしょう。


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▼【来月もまた会おう!】

ギャザー寄せダブル襟立つ牡丹ショー

胡秋興


どの国も空に写れる牡丹かな 

佐藤キキヨウ


二度見する牡丹のバトン親子かな

川口翡翠


牡丹咲く土に残りし父母の日や

鈴木スモモ


恕問うや矛を収める牡丹咲け

奥野恕宣


種まみれ父の牡丹が笑ってる

九温


●ピックアップコメント:

投句してくれてありがとう!

まずはしっかり「牡丹」をいれた投句をしてくれてうれしゅうございます。これから一歩一歩学んでいきましょう。次回の兼題は、「夜(よる)の秋」です。これからの投句も楽しみにしています。


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▼【入力にはお気を付けて】

ぼうたんの静かに咲いて八幡宮ぼうたんの静かに咲いて八幡宮ぼ

斉藤幸恵


笑顔満つ庭片隅に牡丹咲さく

竹本 ハナミズキ


お地蔵の後輪ごとき牡丹かな

和龍


●ピックアップコメント:

入力や変換が気がかりな句をピックアップ。

斉藤幸恵さん、同じ句が2回+α入力されております。うっかり貼付けを2回してしまった?

竹本 ハナミズキさん、下五「咲さく」と不思議な送り仮名? が紛れ込みました。和龍さんは「後輪ごとき」が寸詰まりな言い方になってます。「後輪のごと」あるいは字余りの問題を抱えることになりますが「後輪のごとき」となるでしょう。加えて、「後輪」は「光輪」の誤変換の可能性もある?

せっかくの投句も正しく伝わらなければもったいないですからね。送信前には今一度入力内容の見直しを!



※今回の兼題「牡丹」初級者投句欄へのご投句は、投句数3544句、投句人数1533人となりました。



以下の①②③④⑤については入選決定!

金曜日「優秀句」へのステップアップのためのヒントをご案内します。


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▼①【類想】

車椅子しばし佇む牡丹庭

オイラー


菩提寺に今が盛りと牡丹かな

放浪者


夕暮れて白なほ白し白牡丹

風間 爺句


祖父の庭絨毯と化す牡丹かな

源鳳


裏庭に牡丹ボタンと咲いている

天祐 実


亡き母が植えし牡丹に守られて

さなさな


富貴草老母のそばにそっとあり

下地野雨


ハラハラと散りし紫初牡丹

曽我のシオカラ


誕生日義母の植えたる牡丹咲く

竹たけのこ  


白牡丹咲きくずれまた土に咲く

ねうねうこ


庭先に風に揺られて牡丹かな

昭谷


牡丹笑むプリマドンナの如勁く

松井龍髭


柔らかな残光に染む白牡丹

町乃 磯鵯


佳人来て競うかのごと牡丹揺れ

高原 徒然草


夕闇の夢かと見れば牡丹かな

空 行人


くずれゆく牡丹一輪また一輪

赤城孔茲


紅牡丹白磁花瓶で香を放つ

やのゆずる


雨あがり咲きほこるなり白牡丹

葡萄乃木


雨の後無残や牡丹の崩れ咲き

越野青い月


通園路行きも帰りも牡丹咲く

三角 俵


牡丹花強き雨にも凛として

青木ひろくに


牡丹咲くひらいておちて大地に咲く

有川句楽


豪華さを競って浮かぶ牡丹池

岩見綾琴


堂々と牡丹の花や華麗なり

柳原甲賀


牡丹花の崩れてなほも錦かな

麦畠案山子


牡丹かと君と語らう散歩道

真田 ちいこ


ボタン咲く父から母への愛こめて

青木みかん


庭園の花従えて牡丹咲く

ピコリス


傾国の美女の笑みなる牡丹かな

富田きよしこ


故郷の崩れし校舎牡丹咲く

斑鳩  廉


百獣の王の如しの牡丹かな

草道Q幸


散りてなお真っ赤な花びら牡丹の執念

みたらし だんご


降る雨に色を鎮めし白牡丹

田中つきひ


牡丹園風格競う雨上がり

数哩


白牡丹無垢の花片やたおやかに

シクラメンチトシ


散りぬるをなほ麗しや牡丹ゆゑ゙

上山凡仁


赤ピンク何色が好き牡丹花

みかん


道すがらほのかに香る牡丹かな

杏のやす


亡き祖母の笑み思い出す牡丹かな

林 みぃゆうママ


白牡丹主忘るる庭に咲き

島紡衣


主無く庭の真ん中牡丹咲く

加藤貴丸


通り雨に崩るるままの牡丹かな

澤木 悠


牡丹園シャッター切る指のネイル赤

松乃美伊那


空き家にも人待つ気配牡丹咲く

フルスイングトモライザー


茶の共は祖母の自慢の牡丹かな

豆の晶


幾重にも織り成す色の牡丹咲く

牧 ひろ


牡丹咲き澄んだ空には雲一つ

古湊


燃えるよに咲いて儚き赤牡丹

堀内和香


行く人に微かな香り牡丹かな

居 栄心


相性良し備前の壺と白牡丹

遠藤 千草


堂々と咲き誇る花赤牡丹

斎藤カラメルソース


さりげなく花展に一挿しの牡丹

しわしわ


華麗なる牡丹に元気もらいけり

大山 久幸


ひつそりと重く咲きたる牡丹花

香川雅子


塀越しに覗く牡丹と老夫婦

中村波女


唐に咲く玄宗貴妃のぼたん散る

山内志津子


仏間には大輪牡丹あでやかに

白峰緑茶


したたかに艶黒の紅牡丹かな

鯨之


境内に泰然と座すは牡丹かな

船生伸一


大輪の牡丹の筏由志園

吉川龍一


ままならぬぼうたん雨に散り急ぐ

睡蓮 堤


主の無き庭にひときわ牡丹かな

案山子の鹿か


薄桃の牡丹大家の庭の傘

納平 華帆


長谷寺に想う亡き妻牡丹かな

佐伯良吉


白牡丹闇に浮かぶや夢幻なり

素人


咲き誇る牡丹散り時我を知る

瀬戸薫風


糠雨に百重の牡丹揺れにけり

青井晴空


牡丹道あなたとしばし遠回り

高々ぼうし


ぼうたんの崩るる音や雨上がり

そら野なずな


明鏡の湖面にそよと赤牡丹

九宝斎ルミ夫


静かなる雨の古刹に白牡丹

芭琉


大根島高麗の香と牡丹の香

春めだか


風に揺れ薄絹に光る牡丹かな

新一歩


庭先のパッと目に入る牡丹かな

涼風 蘭


廃屋の一隅紅く牡丹ゆれ

はっとりじいじ


大雨や牡丹と我も傘をさす

こーがはるちゃん


公園の隅にぽつんと牡丹かな

清梅甘夏


この想い君の頬染め牡丹咲く

片岡龍乃助


薄暗き茶室の一花や白牡丹

ラッキー&クロ


嗚呼牡丹散リ際さえも気高くて

森田フー天いっき


床の間の花瓶に一輪牡丹かな

小林弥生


香りくる牡丹華さく雨あがり

広瀬和郎


幼子のスカートのごと白牡丹

音睦


亡き夫へ夜空に咲いた白牡丹

のぶ


くずれ牡丹川面に紅をさす如く

みなづき はるるん


静けさや牡丹に埋まる可睡斎

岩岳太郎


牡丹には添え木網代までもして

いちばほうすい


長柄傘花魁めくや八重牡丹

板橋とをし


ぱっと咲きはらと散りたし手本は牡丹

日向ね子


装いて季節を急ぐ牡丹かな

にえ茉莉花


今年もか雨に散りゆく紅牡丹

越山静山


花嫁のたたずまいかな白牡丹

稲垣はあと


ぼうたんや独居の母のさんぽ道

美佑紀まい


斑鳩の古刹の牡丹彩深し

山乃 草花


雨ひたる心潤す牡丹かな

一之輔一太郎 モンヌ組


大輪の色とりどりに咲く牡丹

いしかわ


凛として牡丹の白や背をただす

岡本みい


吾の顔と同じ大きさ牡丹かな

北の星


艶やかに揃えてみしょう牡丹なり

只野黙念


窓越しに眺る牡丹雨の中

道草散歩


幾重にも花びら纏う牡丹かな

moto髪結


あの人は牡丹の花に似ているわ

立川夏子


紅白の牡丹晴れやか子ら戯む

小林抹茶


初孫を抱く窓越しに咲く牡丹

如月 さら


黒牡丹よくよく見れば深い紅

飛島海道


出勤の憂鬱癒す牡丹かな

大家港一


今盛り輝く牡丹仁王立ち

葦の丸屋


留守番の牡丹二輪のそつぽ向き

甲斐杓子


またひとひら生惜しみつつ散る牡丹

英 凡水


子の手引き長谷寺夕辺牡丹散り

佐賀埼玉峯秀


溶け込んで池泉牡丹の圧巻さ

すずしず


花びらの妖艶なるかな牡丹咲く

野口立香


緋牡丹に蝙蝠傘をかざしけり

星見遊


菜園の隅に大輪牡丹かな

吾亦紅也


蜜恋う虫ふところに抱く牡丹かな

桐田桐子


緑背にいよよ華やぐ牡丹かな

和子


幾重もの恥じらい秘めて牡丹咲く

令和の和子


朝日さす庭木の間より笑むぼたん

荒田 光泉


雨上がり薄日に輝く牡丹かな

敷知遠州


廃校の庭に咲き初む大牡丹

里山まさを


暁や牡丹崩れてなお艶美

卯の花 京


一人居の庭の静かな牡丹かな

柚木 啓


牡丹の香高野の道は凛として

越乃杏


楊貴妃の愛でし牡丹や散り果つる

山彦 てっせん


大輪の牡丹に隠す赤き頬

伊呂八 久宇


白牡丹母を偲ぶや三回忌

きっちゃん 吉川


牡丹咲く支柱に傘に護られて

永田すずらん


長谷寺の登廊かこむ牡丹かな

中野むべ


牡丹咲く存在示す優雅さや

中川肱洲


雨露を和傘で凌ぐ牡丹かな

釋 北城


庭の隅母に学んだ白牡丹

きよえ


そよぐ風後追い香る牡丹かな

古寺 憲子


薄紅の君の想いで牡丹かな

わだつみ


主変わる古民家の庭牡丹かな

トラマロ


客人をもてなす庭の牡丹かな

のりこうし


大輪に見惚れる母と牡丹園

可可夫豆


長谷寺の回廊にくし牡丹かな

佐藤恒治


人気ない植物園の紅牡丹

吉川星空


雨止んで牡丹の雫光る朝

大川夜心


病床の祖母窓越しに牡丹見る

湯河原熱海


訪ね来て牡丹一輪祇王寺

渋谷小石


夕暮れに牡丹ひらいて香のこる

フリージア


牡丹咲く王の風格隠せずに

熊坂たわ女


牡丹には美しき人重なりぬ

夏川涼


風渡り香りほのかなるや牡丹

黒住景雪


茅の家纏うが如く牡丹かな

万明


花弁ゆれ牡丹の焔あかあかと

竹内揚羽


一輪の牡丹で弾む立ち話

まさえ


牡丹の瓣風が無くともハラハラと

江梨子


名勝の牡丹誘う途中下車

佐藤 俊


白牡丹水琴窟にハラと落つ

今日女


荒れ庭に白牡丹咲く主無く

好老金


玄関に牡丹ひと鉢暮れ染むる

檸檬まかろん


木漏れ日や孫の小さき手に牡丹

阪坂 茶菓太郎


牡丹よ、ボタン。ようせいさんの、ドレス。

色鳥あきら


庭の隅ちーと色ずく牡丹かな

大石 真水


牡丹見よ散る覚悟ありたおやかぞ

たけひら鞍琵


贈りたいピンクの牡丹母は無し

滝沢 樹里


母と見た古刹の牡丹凛と咲き

北川茜月


牡丹一輪すっくと立ちて雲に入る

野風庵


大牡丹崩れつつ尚威厳あり

武 衛


亡き君の植えし牡丹とふたり酒

峯森梟


散り際の牡丹の花の潔さ

前田よもぎ 


双頭の牡丹や王のたたずまい

野上紫功


めぐりゆく世界ひとしれず牡丹燃ゆ

山村花月


美しく牡丹散るかな花後なり

牡丹雪 春


散る牡丹王の気品は変えぬまま

畠山そらまる


散り際の牡丹崩れや妖美かな

福田創風


恋破れ滲む夕暮れくずれ牡丹

まぼのすけ


主なき家の庭先牡丹かな

ますみんてぃー


さびれた庭気高い牡丹主となる

松 洋泉


絢爛の牡丹今朝には空に咲き

小路愛生


苔の上落ちて二度咲く牡丹かな

写雅句


雨の日は大輪牡丹うなだれる

浩子


凛と咲く寺の生け垣牡丹かな

森乃涼風


牡丹咲き母が残した植木鉢

浅井風蘭津


屋根付きの囲いをはずし咲く牡丹

中山雪うさぎ


落つる紅夜来の雨の牡丹かな

岩川三六九


夕暮れは特にゆかしい白牡丹

嶋  有賀


亡き父の手掛けし庭の牡丹かな

浅井ねむり


庭奥で今年も主役牡丹かな

集 真藍


牡丹咲く細道歩いて寺参り

草刈明峰


雨粒の重さがずしり牡丹かな

響楽境


傘をさす義母に寄り添う赤牡丹

藤谷さつき


白牡丹我が胸中に納めたし

松元春苑


牡丹咲く雨の時には傘を添へ

宮井ニゲラ


来ぬ人を牡丹一輪待ちわびて

九条麗子


大輪に支柱立てたり緋牡丹

磯貝あさり


おさな子の頭ほどある牡丹かな

野中 游


牡丹園かくれんぼする子の笑顔

おくら


雨天にぼうたん慌て傘をさす

月光一乙


牡丹花風と共にの舞踏会

神津歩地


赤子の頭牡丹と大きさ比べ

神戸 美優


閑庭に牡丹が秘める情の赤

河国老保忠


端正に人住まぬ家に牡丹咲き

武田鳥渡仁


ぼうたんの花繚乱に月明かり

キャタレント三雲


牡丹の白に心を洗われり

睦長月


亡き母の植えし牡丹の長寿かな

方寸


葉を覆ひ我が世とばかり牡丹花

撫子


一条の風に微笑む牡丹かな

孤句狸翁


花の王庭に居座る牡丹かな

石川明世


紅の牡丹の庭にて抹茶一服

青奈


花畑風に揺れおる牡丹かな

未生 漣


牡丹咲き目を奪われる初老かな

皆川ゴン


雨あがりちさき鉢に牡丹垂れ

加藤直瑶


行けぬ子や母の遺した牡丹咲く

モンガラハギ


牡丹満開かはたれの無人駅

森上はな


恥じらって口紅つける牡丹咲く

ぴょん吉 龍


恋偲ぶ汝が香を知らず牡丹かな

靭風


由志園の牡丹褒めつつ和食膳

西倉美紗子


主逝き寂しき庭に牡丹咲く

林一芳


パラパラと散りて牡丹の尚紅し

平香


牡丹咲く新居の窓に寄り添いて

昇牡


ランダムに色いろいろや牡丹園

松浦ののゑ


荒れ庭の牡丹密かに莢となり

春野ふう


門脇に夜目にもやさし白牡丹

藤原 迷月


裏庭は粛と亡母の牡丹咲く

雪乃冬


雨傘に守られて咲く牡丹かな

伊藤美詞


年老いた夫婦(めおと)は歩く牡丹道

於河吏玖


妻が言う牡丹の花よ今盛り

和泉暇人


雨粒に色鮮やかな牡丹かな

大薮薫子


竹の柵和傘が並ぶ牡丹園

三家端


牡丹紅雨しずく落つ陽のきらめき

月詠紅


見ぬ牡丹沸き立つ心長谷の道

丹羽 しらつかつ


牡丹や「咲いた咲いた」の母の声

温州みかん


昼下がり人目無き寺牡丹咲く

たがわぱてい


寺の庭主演務める牡丹かな

にいやのる


牡丹愛で老いゆく母とスローグッドバイ

ちあき あこ


雨の日は傘かけ愛でし牡丹かな

関戸 小町


突き刺さる牡丹の芯に白き雨

ひなた マオ


走りきて坊やのなでる牡丹かな

明日の鈴


デイケアでモデル気取りの牡丹かな

小春日和


牡丹崩れ蕊に一片の哀れなり

谷口 黎音


潔し散る時を知る牡丹かな

陶豪


傘さして牡丹優雅に寺の庭

飯島寛堂


深大寺赤白桃の牡丹かな

中川 鉄庵


束の間の夢から醒めし牡丹かな

桂 歩


散り落ちてなお満開の牡丹かな

越中 万葉


夢うつつまなこ射るなり牡丹かな

仁左衛門


参拝の色彩牡丹登廊

逢花菜子


白居易やあの洛陽に咲く牡丹

季川詩音


薄紙の重ね重ねて牡丹咲く

茶葉 紅子


団欒の弾む話と庭に牡丹

アボカドブロッコリー


手をとりて歩みゆるりと牡丹園

秋野明石


半開の蕊に雨粒牡丹かな

日の峰祥雲


荒れ庭に威風堂々の牡丹かな

内田ねこ


地蔵六つ和顔で迎える牡丹寺

伊能 幸穂


主待つ玄関先に紅牡丹

k幸女


公園で楽しむ牡丹赤と白

齋藤鉄模写


医師となる娘凛と咲く白牡丹

伊澤 ゆき抄


他の子を脇役にする牡丹様

笹椰かな


散ってなお薄絹のごとき白牡丹

スタイナー紀美子


母逝きて二年の庭に牡丹かな

かく たまき


家人なき庭に牡丹の華残りて

さくら沙月


牡丹より小さき顔のはしゃぐ子ら

夕暮派さわちゃん


壮麗に佇む姿牡丹かな

阿木沙良


凛凛と咲いて六日の牡丹散る

林雪


幾重にも花びらこぼれ咲く牡丹

笹本ミワコ


荒れ庭や特等席の牡丹かな

豆祭 くぐい


我こそは庭の王なり白牡丹

ポムポム茶碗蒸し


ありし日の父母と見し牡丹かな

好陽晃


横道の庭先一本牡丹かな

窓ひかる


朝日指す法要の庭牡丹かな

奈良塔子


帰り道風に吹かれて牡丹かな

ジャマ森人


掌を合す指先千の牡丹かな

左古澄子


ぼうたんの花びらはらりまたはらり

藤瑪瑙


牡丹かな古寺映える坂道に

皿田二次郎


雨続き一片欠けたる牡丹かな

横辺理


寺参り心ひかめく牡丹かな

野田 雅良


満開の牡丹が癒す気の病

料 善


白牡丹気高き園に生きてをり

石井紫


観音に懺悔牡丹の登廊

杉崎拙訓


路地裏の瓦花壇に座す牡丹

小鳥穂夏


大輪は風雨にたえた紅牡丹

翠善


ハラハラと散りゆく牡丹なみだ雨

松原なぎさ


日差し照る咲き誇るのは牡丹かな

砂糖菓子


主人なき実家の庭の牡丹かな

高瀬忠子


庭に咲き牡丹一輪恥じらいし

田頭西郷


坪庭に牡丹咲く夕俳句会

杜の声


牡丹咲く居間から愛でた主なし

伝説の晴れ女


風揺れて牡丹は庭の夢のよう

スギモトトオル


古寺の庭に凛たる白牡丹

三毛山タマ子


牡丹の朱に君重ね馳せる僕

青野原あを


境内に心清める牡丹かな

谷 佳


鎌倉に艶やかなりし牡丹かな

佐々木光風


白牡丹やさしく凛と母恋ふる

上田りゅうちゃん


喝采を浴びしスターのごとく牡丹

賀茂ももか


窓際にぼたん一輪笑みこぼれ

玉照


牡丹の香漂いひかれ足進め

植木照美


牡丹切る祖母の背中や凛として

川瀬怜人


牡丹の散れど拭えぬ恋慕の情

梅街 はるき


ぼうたんや雨に染まりて滴落ち

遠藤倫


牡丹一二三数えきれぬや長谷の寺

チョコの母


雨しのぎ傘をさしたる白牡丹

柿ノ木繁


我が庭の物干し脇に牡丹咲く

中山十七庵


雨に揺れ頭を垂れる牡丹かな

tokisan


祖母の家の牡丹支柱にもたれけり

蒼川社


古の趣残す牡丹かな

たった


雨降れば菅笠欲しい牡丹かな

平谷河女


薄桃の牡丹咲く庭犬走る

中矢しる子


祖母宅から我庭で継ぐ牡丹愛し

松山 桜子


ぼうたんや花びら幾重絹に似て

清見敏水子


須磨離宮純白競ふ牡丹かな

神戸の老寺士


髪飾り恥じらう素振り牡丹かな

茜浜 バード


休みボケ醒ます牡丹のあでやかさ

小巻小梅


読経はBGM大輪真白なる牡丹

仲村江子


塚如く並ぶ牡丹の武士の家

松尾 一司


一雨の毎の牡丹や父植えし

横堀 鯉桜


シルバーカー娘付き添い牡丹園

ほっほひまわり


白ボタン膨らむ蕾風含む

宇都宮千瑞子


とりどりの言語鎌倉牡丹園

志無尽おたか


夕闇になほ美しき牡丹かな

渡邉志づ


スケッチに牡丹は凛と華やかに

高崎孝雄


窓開けて庭を見下ろす紅牡丹

小野たまお


華やかに揺れて語るよ牡丹の香

泉亭園子


紅白の牡丹仲よく傘のなか

髙橋雀


白牡丹涅槃はここに長谷の寺

山岸かっち


緋色の牡丹一輪我傘寿

玉治美


薄牡丹主人なき家守りしか

満乃


野点傘下に座すは白牡丹

小箱 守


廃屋の藪に一輪八重牡丹

晴山喜作


おさな子が牡丹のつぼみにそっと触れ

未知女


麗しき大輪牡丹姫のごと

華花開く


快晴や牡丹に宿る高貴知る

音葉りんきょう


雨風に打たれてもなお牡丹也

竹内 喜和


雨上がり雨滴を纏う牡丹かな

鹿松君洋


そよ風に花弁振るわせ散る牡丹

茶子父


牡丹や今に咲くよと母の声

ただのごろちゃん


牡丹咲む忙し虫の至福どき

たなか ゆきの


足止めてどっしりとした牡丹見る

鈴木雪


牡丹の憧れてしまう鮮やかさ

和中彩葉


七千の牡丹の香や登廊

なにわの花子


白牡丹友の庭先ひっそりと

御簾紫音


賑やかに牡丹と並ぶ幼顔

中家茶漬


恥じらいを内に秘めたる牡丹哉

由凜


しゃんと立ち気高き牡丹ひとの様

松山石子


菩提寺の庭一面の牡丹かな

あさみ あさり


はらはらと崩れる牡丹地を染めて

濵乃すな


血の色の赤より赤し牡丹かな

ささちさち


●ピックアップコメント:

初級・中級に関わらず、類想は似通ったものが集まります。

豪華な大輪の牡丹は人目を惹きます。その華麗さ、気品といった花の印象や、風や雨による動き、またどんな場所に咲いているか、といった説明を述べようとする句も多かったです。


たくさんの類想を見ることによって、自分の中に類想のデータベースが構築されていきます。今回見かけた発想のおかげで、陥りがちな類想も避けられるようになるかもしれません。


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▼②【仮名遣い】

しゆうとめの牡丹にストックの添え木かな

いちの


時折に経の聞こゑし牡丹かな

大宝あすか


俳句を書く際には表記を自分で選ぶことができます。普段目にする書き方と同じ「現代仮名遣い」と、古典などに用いられる「歴史的仮名遣い」の二種類です。

いちのさんは歴史的仮名遣いにするのであれば「しうとめ」「添へ木」となります。

大宝あすかさんは、「聞こゆ」がヤ行下二段活用の動詞ですので、「聞こえ」が正解となります。

仮名遣いはうっかりミスをしやすいポイントですので、念のため辞書で表記を確認しながら使っていきましょう。


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▼③【二重切字】

在宅の庭なつかしや牡丹かな

純全


廃屋や栄華を偲ぶ牡丹かな

大西泉花


待ちわびた牡丹やはらと散りにけり

予束 友鹿


●ピックアップコメント:

俳句の世界でいわゆるタブーの一つに「二重切れ字」があります。「や」と「かな」、「や」と「けり」の重複ですね。

予束 友鹿さんは「牡丹や」の詠嘆なのか、「牡丹」が「やはらと」なのか、判断が微妙なところではあります。

切れ字はスポットライトのようなもの。一句の中に複数のスポットライトが存在すると、どちらを主役にしたいのかわかりにくくなってしまいます。

季重なり同様、複数切れ字が入った名句もあるので、絶対にダメ! というわけではありませんが、上級者コースのウルトラ技と考えて良いでしょう。まずは、切れ字は一つから!


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▼④【文法の問題】

孫の顔くらべし牡丹大きけり

神南山


●ピックアップコメント:

このままでは文法上間違いのある句をピックアップ。

問題になるのは「大きけり」の部分です。

お孫さんの顔と比べて牡丹が大きいということを表現したいと理解しました。その場合は「大きけり」ではなく「大きなりけり」となります。


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▼⑤【崩れる? 崩ゆ?】

白牡丹ほろほろくずゆ砂糖菓子

サントノレサクラ


●ピックアップコメント:

「くずゆ」は文意から「崩れる」の意味で使っていると推察します。

口語では「崩れる」、文語では「崩る(くづる)」となりますが、その他に古語の文語体で「崩ゆ(くゆ)」もあります。

もし、「崩ゆ」を使うならば、「砂糖菓子」へ意味を続けるのであれば、併せて活用形も変化し「くゆる」となります。



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明日から火曜日、水曜日、木曜日、と入選句を発表します。入選句の評価は火、水、木(ステップアップのためのヒントに掲載分も含む)ともに同じランクです。順不同での掲載です。

そして金曜日は、初級者投句欄の優秀句発表です。


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