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中級者以上結果発表

2021年8月20日週の兼題

花野

【曜日ごとに結果を公開中】

特選

  • 生前葬花野でやるから来いと言う

    神谷たくみ

    選者コメント

    夏井いつき

     生前葬に憧れます。しかも花野が会場だというのがいいなあ。秋の草花がきらきらとゆれ、そこに親しい人たちが集ってくれる。澄みわたる風の中での生前葬は、明るい笑い声に満ちているに違いありません。俳人とは、虚実の間を自由に行き来できる人間たち。花野とは、虚と実のはざまに広がる美しい時空なのかもしれません。
  • 澄みわたる花野へこぼす考の種

    中山月波

    選者コメント

    夏井いつき

     「考」は亡父ですが、敢えてこれを使う必要のある句に邂逅することは滅多にありません。この「種」は、父が育てた或いは愛していた植物の種と読むのが一般的解釈かと思います。が、比喩的意味を込めて鑑賞すると、「考の種」は重層的世界を孕む詩語。「澄みわたる花野」を歩きだす私たちは、次に生まれくる美しい種のような存在です。
  • ゲレンデの花野最大斜度をゆれ

    柳絮

    選者コメント

    夏井いつき

     雪がくるまでの秋のスキー場はまさに花野。そこに目をつけた点をまずは誉めましょう。ゲレンデの最も急な斜面を吹きわたっていく風。一斉にゆれる秋の草花。「最大斜度をゆれ」という簡潔な描写が、そのさまを映像化しています。切れのない下五も、ゆれつづける花野の広がりを見渡すかのような効果をもたらしています。

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