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中級者以上結果発表

2022年5月20日週の兼題

蝸牛

【曜日ごとに結果を公開中】

特選

  • でで虫や腐りきるにも水が要る

    さとけん

    選者コメント

    夏井いつき

     「でで虫や」の詠嘆の後、中七下五の詩的断定にハッとします。腐るとは、細菌によってものが分解し変質すること。「腐りきる」という複合動詞が、「でで虫」の濡れた臭いを追体験させます。彼らがぬめぬめしているのは、体内の水が「でで虫」自身を腐らせているからかもしれない。そんな虚のリアリティに慄然とします。
  • かたつむり雨は咲くとき多面体

    オペラ座の俳人

    選者コメント

    夏井いつき

     「かたつむり」と「雨」の取り合わせは、鉄板のベタ。なのに、こんな素敵な作品もあり得るのだと楽しくなりました。雨は降るのではなく「咲く」のだという詩的把握。一粒一粒の雨が花開くときは「多面体」に咲くという瑞々しい感覚。そんな光景を観たことがあるのは、ここにいる「かたつむり」だけなのかもしれませんね。
  • 吃音の舌のごと蝸牛は硬い

    あなぐまはる

    選者コメント

    夏井いつき

     話し言葉が流暢に出にくい吃音。巧く話さなければと思うと、かえって緊張して舌が動かなくなるのです。蝸牛を見つめていると思いの外、この肉は硬いのではないかと感じる。それは「吃音の舌」のような硬さではないかと、気づく。「吃音の・舌のごと・蝸牛(かぎゅう)は硬い」五五七の韻律が、硬くたどたどしい心情も表現しています。

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