俳句ポスト365 ロゴ

中級者以上結果発表

2022年5月20日週の兼題

蝸牛

【曜日ごとに結果を公開中】

【並選】

  • 祖母探す夜の公園蝸牛

    森中ことり

  • 蝸牛百言百雨に打たれけり

    柳 春街

  • 子育ては小さな進歩蝸牛

    千葉睦女

  • まいまいや千人潜むシムクガマ

    秋月

  • ででむしや新城址に研究所

    君島笑夢

  • まひまひの裏庭明かし美容院

    香壺

  • 高札の英文字を這ふ蝸牛

    小池令香

  • 貸しスーツ式の窓這ふ蝸牛

    弘友於泥

  • 由緒ある家柄ですね蝸牛

    モッツァレラえのくし

  • 生涯の雨を見てゐる蝸牛

    龍田山門

  • かたつむりあすミニよんくにのせてやる

    のつり

  • 公園の移動図書館かたつむり

    もりたきみ

  • 吾に見えぬものを見たるや蝸牛

    ピアニシモ

  • 午後休をフラペチーノ・グランデででむし

    としなり

  • 嘱託の退社見てゐる蝸牛

    イエティ伊藤

  • 鉄棒の錆てりてりと蝸牛

    千暁

  • まいまいは渦まきなおす金曜日

    酒井おかわり 

  • まいまいや探る貝屋のビニル傘

    長谷川ひろし

  • ででむしや見上ぐる空に避雷針

    野口日記

  • 人生は終はらせ方ぞ蝸牛

    河本かおり

  • 角振れば月までゆける蝸牛

  • ででむしはどれも叱られている仕草

    けーい〇

  • 風を切るスケボーに蝸牛付け

    玉野汐音

  • 王宮の覗きの穴の蝸牛

    中 兎波

  • 靴の泥落として訪うや蝸牛

    西村小市

  • 自販機の下にまいまい午前四時

    陽花天

  • 蝸牛家解体にコンマイチ

    やまだ童子

  • 終ひの庭一人暮らしの蝸牛

    長操(おさみさを)

  • 雨樋の緑青しずか蝸牛

    おたまじゃくし

  • 自堕落な自称モデルや蝸牛

    諸塚凡志

  • 垂直に登れば天守蝸牛

    柳絮

  • 雨粒の仄かな甘み蝸牛

    卓鐘

  • 鋳型積む荷台に小雨蝸牛

    ヤヒロ

  • 問診票に三角はナシ蝸牛

    清白真冬

  • 蝸牛殻をセピアに透かし風

    富佐野ほろよい

  • 蝸牛窓の木枠を2時限目

    小川さゆみ

  • 諳んじるブラウニングよ蝸牛

    高木音弥

  • かたつむりおもいなめくじよりおそい

    さくら(6才)

  • 寿命だけどんどん伸びて蝸牛

    神谷たくみ

  • かたつむり耳から出てくる夢を見た

    山田企鵝

  • 投函は傘さしかけてかたつむり

    にゃん

  • 耳を塞ぐひめまひまひの虚ろもて

    遠山比々き

  • 舌打ちをなさいましたね蝸牛

    シュリ

  • 蝸牛希臘哲学愛読書

    せいしゅう

  • 終鈴に終はらぬ授業かたつむり

    里すみか

  • 蝸牛殻割れてをり生きてをり

    青木豊実

  • かたつぶり万年床の雨の午後

    芍薬

  • 定年や蝸牛角上飽きもせず

    哲山(山田 哲也)

  • 電飾の蔓を選びし蝸牛

    真下豆白熊

  • かたつむり踏み靴底に残る音

    ひーたん@いつき組広ブロ俳句部

  • 社畜てふ我蝸牛這い上がれ

    地球人

  • 徹します傾聴役に蝸牛

    野山遊

  • 候補者のポスター舐める蝸牛

    安春

  • 憂きことの記憶あいまい蝸牛

    森一平

  • けんけんぱ二回の先にかたつむり

    佐野 明世

  • 引きこもり脱出記念日蝸牛

    晴田そわか

  • 哲学でもするかい雨だ蝸牛

    ウロ

  • 朴訥は褒め言葉かやかたつむり

    一歩亭六案

  • 敵の敵も敵とや蝸牛鳴く

    幸久

  • 蝸牛低血圧の朝を這う

    木ぼこやしき

  • 山積みの土嚢袋や蝸牛

    丹下京子

  • かたつむり雨に引力ある話

    すいよう

  • 蝸牛月の出待ちて出陣す

    堀隼人

  • 蝸牛のぐるぐる巻きに有る規律

    宇野聞明

  • 石積みの闇の底よりかたつむり

    仁山かえる

  • ででむしや風をとらへる羅針盤

    坐花酔月

  • そろそろと点字ブロック蝸牛

    田辺ふみ

  • 蝸牛かすかに軋む肉の襞

    林真紗湖

  • 迷いなく水の匂いへかたつむり

    ららら句らら

  • 酒蔵を眠らす雨や蝸牛

    玉響雷子

  • 小豆茶を蒸らす土曜日蝸牛

    姫川ひすい

  • 蝸牛の螺旋フィボナッチの情熱

    粋庵仁空

  • まいまいやカフェに運びし観葉花

    渥美こぶこ

  • 古代史の授業が眠いかたつむり

    はんばぁぐ

  • 蝸牛透かす曇り硝子やリモート日

    多事

  • でで虫や駅のトイレの最後尾

    夜音 友

  • かたつむり成長痛の膝鈍し

    五月ふみ

  • 生きるのがかたつむりよりへたくそで

    広瀬 康

  • 巣鴨プリズン蝸牛蝸牛

    帝釈鴫

  • バイト時給10円アップかたつぶり

    豆闌

  • 走るに良き廊下なりけり蝸牛

    山本先生

  • かたつむり這う四阿のランドセル

    桃花@いつき組俳句迷子の会

  • リモートは便利で不便かたつむり

    みやま千樹

  • 蝸牛熊野古道の苔の青

    28ヒロキチ

  • 別室登校九九を聞くのはかたつむり

    あまぐり

  • さめざめと長崎に居る蝸牛

    望月朔

  • かたつむりやさしい嘘の多い夜

    オーガストスガワラマサト

  • 意思あらば道は拓けん蝸牛

    ふくじん

  • 教室の時計は白し蝸牛

    千原 十吾

  • 雨粒の魚眼レンズに蝸牛

    砂楽梨

  • 蝸牛垂れ幕は全面勝訴

    也和

  • 公式の理由を問ふ子でんでん虫

    蓮花麻耶

  • 校舎裏壁にどんどん蝸牛

    種種番外

  • 脆弱な家とは知らぬ蝸牛

    羅美都

  • かたつむり売別荘のサンルーム

    KII

  • 教科書の偉人の虫歯蝸牛

    ぱふりかまめ

  • かたつむり鎮痛剤の効かない日

    青野遊飛@蚊帳のなか

  • 蝸牛赤の広場をよぎりけり

    ぐずみ

  • さつきみたゆめがかなしい蝸牛

    渋谷晶

  • かたつぶりチョークの文字の消し残る

    高尾里甫

  • 忘却は生きてゆく術かたつむり

    若井柳児

  • 蝸牛洗車を終えし軽に雨

    瀬央ありさ

  • 性愛のなれの果て知る蝸牛

    こいぬ

  • ベランダよどこから朝の蝸牛

    水木合歓

  • 金剛石の炭素の並び蝸牛

    京野さち

  • 回旋塔の滅びし跡や蝸牛

    沢拓庵

  • 人生は殻の軽さやかたつむり

    有田みかん

  • 板書する白墨折れて蝸牛

    清水明美

  • かたつむりいじめの記憶喰んでをり

    千歳みち乃

  • 車椅子背の息荒しカタツムリ

    花屋英利

  • 弟に勝てば泣かれる蝸牛

    ももたもも

  • 叢雲を眼下にかたつむりと居る

    山香ばし

  • 月の錆び夜半に波打つ蝸牛

    渡辺桃蓮

  • まっさらに洗われた地図かたつむり

    駒水一生

  • 貸出傘廃止の知らせ蝸牛

    つつ井つつ

  • ででむしにあって吾にないものの数

    金朋かいと

  • びっしりとサドル張り付く蝸牛

    奈良の真

  • 雨の日の百葉箱に蝸牛

    甘泉

  • 雨優し泣いてる子にも蝸牛にも

    富山の露玉

  • 蝸牛ぶっ飛べ、ボイジャーを追い越せ

    田中耀

  • 東京の空気汚し蝸牛

    いくたドロップ

  • 雨恋し水の恐ろしかたつむり

    深山むらさき

  • 宿題はまっしろ夜の蝸牛

    月雨新

  • 蝸牛パリには行っておりません

    雅王

  • ひと匙の直感信じよ蝸牛

    野井みこ

  • ガードレール蝸牛の道きれい

    快晴ノセカイ

  • 国会議員にかたつむりをぶつけよ

    横縞

  • 彗星の尻尾に濡れて蝸牛

    西川由野

  • 死してなを張り付く力蝸牛

    如月ドロップ

  • 孤独死の独居の蝸牛自宅の死

    諧 真無子

  • ででむしと雲の流れとパンロール

    千賀子

  • タンデムの後ろ漕ぐふりかたつむり

    小だいふく

  • 星の船丘に最後のかたつむり

    三浦にゃじろう

  • じつくりと呪術は効いて蝸牛

    加世堂魯幸

  • トンネルを抜けて憂鬱かたつむり

    亀田かつおぶし

  • 鬱の日のジレンマ蝸牛のジレンマ

    大庭慈温

  • とりあへず教室にゐるかたつむり

    くま鶉

  • 蝸牛岬を回る貨物船

    岡本 戎

  • 彗星のみづの欠片や蝸牛

    Vn 花のん

  • かたつむりスーツにヘルの視察団

    石田将仁

  • 一部屋で終える一日蝸牛

    遥風

  • かたつむり眼下に青き千枚田

    山野麓

  • 堅物の蝸牛なら好きになる

    海音寺ジョー

  • かたつむりだけが鏡に映らない

    ぐでたまご

  • ででむし居て豊かな水の星でした

    カオス

  • かたつむりの渦アオハルを駆け抜けた

    八十六九

  • 乾燥注意報蝸牛不動

    上津 嘉子

  • どうせおれ雨男やき蝸牛

    片岡六子

  • 泡吹いてででむし虫に喰われゆく

    キッカワテツヤ

  • 右巻きのででむしにだけある虎斑

    結壱隆月

  • 蝸牛ぐにゃりと位相空間へ

    閑々鶏

  • 独り身の下宿恋しや蝸牛

    ゆみづき

  • ででむしやオジサンだけの映画館

    研知句詩@いつき組広ブロ俳句部

  • かたつむり雨に無音のありしこと

    柚木みゆき

  • 山風に満ちくる生気蝸牛

    夕虹くすん

  • まひまひまひまひそのボタン押してはだめだ

    大塚迷路

  • 蝸牛心療内科雨匂い

    谷町百合乃 

  • 休戦の砲に蝸牛の眠りけり

    華胥醒子

  • 晴天に白きカタツムリの骸

    立部笑子

  • 蝸牛小窓より見る指輪の値

    蘭丸結動

  • 触られて酸っぱい顔の蝸牛

    沖原イヲ

  • 石柱を刻のざらめく蝸牛

    きのえのき

  • 雨しとど質屋の軒の蝸牛

    成瀬源三

  • 蝸牛雨よりホルン響きけり

    小島神泉

  • 月曜が終われば火曜かたつむり

    影山らてん

  • かたつむり時は平等なんて嘘

    天野倖雪

  • 戦場に蝸牛の角を撫でてゐる

    小川野棕櫚

  • でで虫に憑かれて雨を遊びけり

    百瀬一兎

  • スケッチの椅子は小さしかたつむり

    碧西里

  • 金かかる方に進むか蝸牛

    背馬

  • 極論で言えば蝸牛の血筋

    虎八花乙

  • 雨音は「ボレロ」の調べ蝸牛

    花咲明日香

  • 蝸牛螺旋は音を吸う形

    谷山みつこ

  • 渦巻きの果ては黒穴蝸牛

    野々原ラピ

  • 魂に形はあるか蝸牛

    はるく

  • 古板の釘の曲がりを蝸牛

    音羽凜

  • 鈍行で帰れる家出かたつむり

    石井一草

  • かたつむりおまえはきつと銀河の子

    とんぼ

  • ずるやすみした十一時かたつむり

    佐藤香珠

  • でで虫や赤榕は岩を抱きたる

    一港

  • るめるめとビン缶の夜のかたつむり

    板柿せっか

  • 角出した槍出した今蝸牛吠ゆ

    蒼來応來

  • 夜勤明けレッドバロンに蝸牛

    早計層

  • 縁の裏へ廻つてゐたる蝸牛

    稲畑とりこ

  • リハビリのじりりカタツムリのじりり

    小西天

  • 飴色の廊下に匂ふ蝸牛

    ぎんやんま

  • 配給の列の寡黙や蝸牛

    吉田竹織

  • 蝸牛や生コンミキサー車の吐息

    うた歌妙

  • 教室や毎日増えるかたつむり

    露草うづら

  • かたつむり生活感のないままに

    むじーじ

  • かたつむり離檀の協議難く遅々

    at花結い

  • ざらざらの日本列島かたつむり

    まこちふる

  • 海苔の瓶腹ばかり見せ蝸牛

    加賀くちこ

  • 返済は三十年後かたつむり

    由づる

  • ででむしやホームの風の生温し

    杏是りゐ菜

  • ででむしやボレロ流れる喫茶店

    アントワネット@ノエル

  • 人影消えて蝸牛夥し

    世良日守

  • 戦争の記事の食痕かたつむり

    丸山隆子

  • 納税は義務の二文字蝸牛

    8の月

  • 永眠のまえの過眠やかたつむり

    白鳥古丹

  • さみしさの丸み爪もかたつむりも

    阿部猪子

  • 婚礼はしとしと雨やかたつむり

    きべし

  • ででむしに葉はくゎんのんのたなごころ

    堀口 房水

  • 蝸牛刺し違ふ矢を恋と呼び

    カラビンカ

  • 一日は長い短い蝸牛

    老人日記

  • かたつむり立志伝とは無縁なり

    工藤悠久

  • 優作の殉職語り蝸牛

    つきのひと

  • ででむしの黙潮騒を聴きにけり

    北山 烏兎

  • 土くれの神葉へ戻す蝸牛

    小豆白虎

  • 蝸牛葉の真ん中に戻したり

    阿波オードリー

  • ネットなら不死の勇者や蝸牛

    杜まお実

  • かたつむり不確定性理論通

    春風流士

  • 水没のででむし石か蛟龍か

    斎乃雪

  • 蝸牛ひんやり俳人とはさびしん坊

    字土街海

  • 金糸雀のこゑ聴いてゐる蝸牛

    橘鶫

  • かたつむり駅まで提げる社員証

    田中木江

  • 太古からこの形なるかたつむり

    多可木@ノエル

  • 雨しずか更地の杭の蝸牛

    山吹なお

  • かたつむり窄まつてゆく空の果て

    あいだほ

  • かたつむり電話の父の耳遠し

    かりかり久助

  • たっぷりとオムツの膨れ蝸牛

    山中 揚

  • 余生とは与生と知りぬ蝸牛

    水無月

  • かたつむり雫のなかの森を嗅ぐ

    玉庭マサアキ

  • オルゴール一音残し蝸牛

    落句言

  • 円相の弧を描いてゐる蝸牛かな

    真井とうか

  • 墓仕舞い残り香土に蝸牛

    オアズマン

  • 蝸牛朝から計画運休

    剣翔寺亜太琉

  • ああ低気圧でで虫は転がりぬ

    柿司

  • 止め石の跡昏みゆく蝸牛

    詠頃

  • うまれでるひとつぶのうみかたつむり

    安寿

  • 雨だれと母のくりごと蝸牛

    越智空子

  • 永遠は意外と脆し蝸牛

    はごろも856

  • 雨歌うででむしの声ぬれる耳

    まがりしっぽ

  • 角打ちの口開けたるや蝸牛

    富士桜花

  • 掌の菩薩めきたる蝸牛

    水野大雅

  • 怠さうに迷惑さうに蝸牛

    黒麴 糀

  • 蝸牛からだ丸める欝の日も

    風の鳥

  • 往き還り違ふ蝸涎のひかりけり

    銀 次郎

  • 戦争は嫌と言ひたし蝸牛

    後藤三梅

  • 人らしく生きる困難蝸牛

    工藤雨読

  • シャルドネとでんでんむしと巴里の夜

    雪井苑生

  • あららららそこは手詰まりかたつぶり

    秋吉孝治

  • てでむしと語らふ夫の背の丸み

    しゃれこうべの妻

  • 億年の足あと真直ぐ蝸牛

    谷口詠美

  • シャッターに数多の施錠蝸牛

    河野灰土

  • 横恋慕の爪先縒れて蝸牛

    遠音

  • かたつむり渇く時代の隔壁(エピフラム)

    山内彩月

  • 惑星の軌道は外れ蝸牛

  • 神の目の螺旋星雲蝸牛

    ときめき人

  • 雨上がり汚れた猫とかたつむり

    福田かな子

  • 留守電をいくつも消去かたつむり

    古都 鈴

  • かたつむり雲の記憶と切り傷と

    うしうし

  • 這ふ音のくゞもつてゐる蝸牛

    さくさく作物

  • 速達の葉書は濡れて蝸牛

    羊似妃

  • ででむしや履歴書の吾は吾にあらず

    中田ひで

  • 電線の途中思案のかたつぶり

    余熱

  • 腹足の始動るるるる蝸牛

    冬のおこじょ

  • 蝸牛秒速七メートルの雨

    多々良海月

  • シャー芯のかちかちかちり蝸牛

    でんでん琴女

  • パレットで乾いたグレイ蝸牛

    足立智美

  • ここ曲がりゃ行けるはずだがかたつむり

    斉藤百女

  • にはたづみつくばいの苔蝸牛

    釋 北城

  • 昼休み終わる蝸牛見つめて

    めりっさ

  • 夢殿を見てきたやうに蝸牛

    梓弓

  • 七十の半ばを覗き蝸牛

    池 閑茶

  • 畑売るのはやめようか蝸牛

    Kかれん

  • しゅ算じゅくぼくは8級かたつむり

    フージー

  • 山伏に足跡は無し蝸牛

    木寺 仙游

  • 勝手口の青き匂ひやかたつむり

    宗本智之

  • 蝸牛郵便受けに良き便り

    一富士リリー

  • 全力の摩擦係数蝸牛

    くずもち鹿之助

  • 二回分終わりし恋や蝸牛

    時まる

  • 指先に角の湿りや蝸牛

    かぬまっこ@木ノ芽

  • 長く引く迴のしんにょう蝸牛

    火炎幸彦

  • 嫌なことがあると君は蝸牛になる

    羅蒐

  • 留年の幾何学負ふや蝸牛

    かえるしろ

  • カタツムリ座右の銘は「真人間」

    水鏡新

  • かたつむり渦は海とも宇宙とも

    立ち漕ぎブランコじゅん

  • 無知は悪耳はあるのか蝸牛

    秋ひろ

  • 飼育箱のででむし又も首を振る

    三泊みなと

  • かたつむり翁勧める実の甘し

    神山やすこ

  • 蝸牛傘寿の杖の鋼色

    さくやこのはな

  • 吾子の手に蝸牛あり参観日

    西町彰子

  • 考えの至りませんで蝸牛

    じょいふるとしちゃん

  • 叱られて蝸牛見ゆ雨の縁

    岩橋春海

  • 蝸牛さて老いらくの旅鞄

    檜鼻ことは

  • 蝸牛田舎暮らしはどうですか

    吾亦紅

  • なほ濡ればまひまひの殻ほどけまし

    小緑ふぇい

  • 生前も死後も閑かに蝸牛

    村上優貴

  • 水槽の角直角となる蝸牛

    空豆魚

  • 灯りなきスナックみどり蝸牛

    久蔵久蔵

  • かたつむり伸びては殻を引き寄する

    仁和田永

  • 蝸牛空の向こうに時計台

    彩色絵具𓂃𓈒𓏸

  • ででむしはひとりぐらしや雨に死す

    なしむらなし

  • 雨雲の崩るる匂ひ蝸牛

    山田蹴人

  • 蝸牛溜め息ひとつふたつみつ

    山川土時

  • かたつむりわれのこころもまだこども

    はるぴょん

  • 白色に崩れ蝸牛の放屁

    磐田小

  • 父の手はブリキのにほひ蝸牛

    久森ぎんう

  • 来世では蝸牛にて五年程

    新城典午

  • 合鍵や遣らずの雨の蝸牛

    芦幸

  • 色褪せた選挙ポスター蝸牛

    たーとるQ

  • ででむしや二人の母の代は暗し

    熊谷 温古

  • 傘買ふと雨やむ人や蝸牛

    田季たまき

  • かたつぶり地球はどんな味だらう

    雁梛

  • 引つ越しの荷のお仕舞ひの蝸牛

    桜井教人@金カル

  • 樹海へ蝸牛殻の渦廻し

    半ズボンおじいさん

  • 蝸牛あまた楽譜のような塀

    夏立也

  • かたつぶり父の卒塔婆に縦にゐて

    綱川羽音

  • かたつぶり泣くための曲エンドレス

    花南天anne

  • 蝸牛安吾の本は置いてきた

    ダック

  • 聖書抱く寄る辺の暗き蝸牛

    真冬峰

  • でで虫の尻から縮む謝罪かな

    宥光

  • でで虫の渦より夜の始まりぬ

    八幡風花

  • 駅止めの荷受け荷台に蝸牛

    杵築きい

  • 蝸牛ガードレールを舐めた線

    笠井あさり

  • ででむしや補助輪なしの無重力

    千風もふ

  • かたつむり恋成就まで十糎

    満る

  • 土砂降りにタイトロープの蝸牛

    三休

  • 蝸牛鎌倉殿の切通し

    田畑 整

  • 右へ巻けと主は仰せらるカタツムリ

    中はじめ

  • 一世を恋せぬままに蝸牛

    河村静葩

  • ふるふると地震に揺れるかたつむり

    桃園ユキチ

  • かたつむり仮想通貨は熱放ち

    三水低オサム

  • 出帆や沈黙あけの蝸牛

    菜々の花畑

  • 殻割ればむき身のこころかたつむり

    じゃすみん

  • 晒すてふ歌人の性よ蝸牛

    幸田柝の音

  • 文弱の外反母趾やかたつむり

    中山月波

  • 渦巻に透ける肉塊かたつむり

    竹田むべ

  • くさかげのラルゴのうたの蝸牛

    立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部

  • またしても開かずの踏切かたつむり

    南風紫蘭@木ノ芽

  • かたつむり臨機応変とは何ぞ

    宮村土々

  • 見習え蝸牛のこのやる気なさ

    赤馬福助

  • かたつぶり和平の方へ尖りだす

    まんぷく

  • 星一つなくなる光かたつむり

    黒子

  • 減速する思ひのゆくへ蝸牛

    るびちゅ

  • 蝸牛をんなの爪は逆剥けて

    麻生ツナ子

  • 蝸牛好きよ欅の幹が好き

    山内 負乗

  • 頭といふヒトの触角かたつむり

    関津祐花

  • 潮風の露西亜人墓地かたつむり

    ラーラ・K

  • でで虫の肉攀じ登る硝子窓

    樋口滑瓢

  • 蝸牛まぶしき空の戦闘機

    さざなみ葉

  • ビーカーは高きゆりかご蝸牛

    ふわふわ研究所

  • 二日目の朝に見つける蝸牛

    はまゆう

  • アンテナの向きはそれぞれ蝸牛

    岡田雅喜

  • 蝸牛むずかしすぎるBプラン

    絵十

  • 干でる日は根方に憩ひ蝸牛

    亀山酔田

  • 地震やみて防潮壁を蝸牛

    東京堕天使

  • ででむしや喉に光れる陽の湿度

    克巳@夜のサングラス

  • 片耳のやがて森閑かたつむり

    霜田あゆ美

  • 縦笛のエーデルワイス蝸牛

    しみずこころ

  • 蝸牛ぬりゃり窓辺の出納課

    露口全速

  • 来るべき時に備へよ蝸牛

    えりいも

  • 蝸牛ひとりがいいといえば嘘

    大熊猫

  • 蝸牛ベランダに出ただけの午後

    西田武

  • ねばつこい恋は果てたり蝸牛

    朱契

  • 蝸牛とは小さき歯を思ふこと

    優木ごまヲ

  • 根廻りを昂然と行く蝸牛

    季切少楽@いつき組広ブロ俳句部

  • 点Pの呑気な移動かたつむり

    かなえの

  • でで虫や気持ちは虚ろまして朝

    ねむり猫

  • 蝸牛やチェロを窓ガラス越しで

    第一空港

  • ロレックス無いがまいまい這う長屋

    司啓

  • でんでんむし引きこもりは夜うごく

    白と玉

  • ででむしの伝言あめのつぶおちた

    島田あんず

  • 厄年や一歩も引かぬ蝸牛

    一走人

  • 靴結ぶ目の高さ這う蝸牛

    新子熊耳

  • ダーウィンの鼻息かたつむり湿る

    吉行直人

  • かたつむり失くした音はみづに帰す

    ちゃうりん

  • 蝸牛完全犯罪不可能説

    星乃ぽっち

  • 売れる田は今が売り時かたつむり

    ことまと

  • 履歴なき叔母のガラケーかたつむり

    みのる

  • ででむしは光合成の音拾う

    下條ちりり

  • 蝸牛何も持たざる吾の一歩

    富山湾

  • まいまいの渦の先なるまいまいの

    田中勲

  • 週勤六日四十五年かたつむり

    前田麺

  • かたつむり心渇けば転びたり

    戸口のふっこ

  • かたつむり書架に逆立つ露語辞典

    たま走哉

  • かたつむり借金減つてまた増えて

    剣橋こじ

  • らふそくや墓の耳なる蝸牛

    北藤詩旦

  • 蝸牛おくびようかぜをだまらせろ

    藤田ゆきまち

  • 胴乱の大きな扉かたつむり

    まどん

  • 訃の記事にいのちの電話かたつむり

    長谷機械児

  • 小粒なるででむしの目に憤怒湧き

    山河穂香

  • ため息の苦き明け方蝸牛

    梨西瓜

  • あなどるなででむしじっとみつめおる

    津軽ちゃう

  • 蝸牛夕べのことはうろ覚え

    三猿 八猿

  • ゆったりと漕ぐチェロの音や蝸牛

    野地垂木

  • 大陸の戦車の骸蝸牛

    津軽まつ

  • でで虫や一千年を水の寺

    久留里61

  • ねちねちと指導教諭や蝸牛

    篠田ピンク

  • 羽田空港第二展望デッキの蝸牛

    灰色狼

  • 重心は昏きへと振る蝸牛

    福良ちどり

  • 掘割の新地に巣食ふ蝸牛

    誠馬ノマド

  • ゆうるりと海を捨てたる蝸牛

    池内ときこ

  • くるくるとたたむ濡れ傘蝸牛

    不二自然

  • 引き返す勇気もありて蝸牛

    聞岳

  • 大器なら晩成しますかたつぶり

    村瀬っち

  • 縁石を落ちたら海ねかたつむり

    夏椿咲く

  • 手つかずの上巻下巻蝸牛

    百瀬はな

  • しづかなる昼や漂う蝸牛

    はっしー

  • 消防の止まぬサイレンかたつむり

    メレンゲたこ焼き

  • ぬうぬうと渡るででむしかずら橋

    吟  梵

  • 終活のぷらんC案蝸牛

    篠原雨子

  • 雨の日曜蝸牛の幸せ

    林 水城

  • 蝸牛雨のベトンを這い上がる

    村上右佐

  • 雨はドレミもう枝先の蝸牛

    小川都

  • 歳時記買うぞ雨もででむし連れて

    藤鷹圓哉

  • 育休のいとしき速度蝸牛

    中島真珠

  • 人はみな胸に渦巻かたつむり

    川岡すえよし

  • 忘却の色に透けゆく蝸牛

    門田なぎさ@金カル

  • かたつむり礫は見えぬところより

    錆田水遊

  • 水かたく石匂ひたつ蝸牛

    藤白真語

  • 絶対の退屈はない蝸牛

    加良太知

  • かたつむりチェーホフを読む窓辺かな

    哲庵

  • かたつむり反戦うたふ声小さし

    小殿原 あきえ

  • 曼陀羅も宇宙も渦や蝸牛

    ぼたにこ

  • 蝸牛日記代わりの万歩計

    葛谷猫日和

  • 廃坑のレールを鈍き蝸牛

    雨霧彦@木ノ芽

  • 蝸牛ローマに着くまで視るつもり

    新蕎麦句会・凪太

  • 引きこもる子の窓を這ふ蝸牛

    青柿

  • 鉛筆とスケッチブック蝸牛

    荘司彩舟

  • 月わるる音のぱりんとかたつむり

    浦野紗知

  • 蝸牛どこに行きたいわけじゃない

    葉月けゐ

  • でで虫よその先端は行止り

    ひろ志

  • 幾多郎の思索のベンチ蝸牛

    伏見丹耶

  • 古家の相続ばなし蝸牛

    木村ひむか

  • くるくると鉛筆削り蝸牛

    万寿果

  • 教室の序列を横目かたつむり

    陽光

  • モルヒネの許可なまぐさき蝸牛

    山羊座の千賀子

  • かたつむりなみなみと番茶の薬缶

    橋本こはく

  • ガジュマルに優しき雨や蝸牛

    さいたま水夢

  • 逆引きの眠りの先に蝸牛

    吉野川

  • 新規事業やめる勇気か蝸牛

    川村記陽子

  • 玉垣の祖父の名を這う蝸牛

    星月さやか

  • タワマンに故郷はない蝸牛

    細木さちこ

  • 蝸牛すぐに剥がせるメモぺたぺた

    絵夢衷子

  • 蝸牛さわれし頃の雨合羽

    ノアノア

  • 家系図に打ち首とあり蝸牛

    石塚彩楓

  • ニンゲンは進化だらうか蝸牛

    くみくまマフラー

  • 古寺のお経を聴くや蝸牛

    山口朝子

  • 復員の夫の眠りや蝸牛

    伊奈川富真乃

  • かたつむり今日が終いの紙芝居

    登りびと

  • 蝸牛やつと病名つきにけり

    海猫

  • 晩祷の果てて蝸牛の透きとほる

    アロイジオ

  • 一戸建家紋渦巻蝸牛

    吉田 無学

  • 観覧車でんでんむしと登りをり

    ⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部

  • 波音や樹からもぎとる蝸牛

    卯年のふみ

  • きやうだいはちりにかたつむりはからに

    南方日午

  • 蝸牛配管工の昼休み

    ふもふも

  • 蛇行して挑む太陽かたつむり

    小田和子

  • 補聴器の拾ふ雨音かたつむり

    西田月旦

  • 金曜の鞄は軽し蝸牛

    竹内一二

  • 鈍色の墓石掴む蝸牛

    卯月紫乃

  • うずくまる膝の赤チン蝸牛

    ふわり子

  • 真直ぐに螺旋を描く蝸牛

    小田慶喜

  • 石橋を叩かず渡る蝸牛

    塩野谷慎吾

  • でで虫へのびてゆく手や乳母車

    主藤充子

  • 愛用のサドル占領かたつぶり

    田口大寒六

  • 生きてゐる詩を書いてゐる蝸牛

    鈴木麗門

  • かたつむり扁平足の仏像

    狩谷わぐう

  • 望遠鏡の罅へかたつむりのとろり

    鰯山陽大

  • 蝸牛信心深きプロレスラー

    嶋田奈緒

  • 空間は連続なりや蝸牛

    山田怠洋

  • 石仏に螺髪ひとつは蝸牛

    磯田省吾

  • 一本の針の日時計蝸牛

    そうり

  • 励ましは命令形やかたつむれ

    梵庸子

  • 蝸牛うつそりと掃く銀の道

    石浜西夏

  • 真つ直ぐのつもりの斜め蝸牛

    海峯企鵝

  • 友垣や通夜の帰りの蝸牛

    紫鋼

  • かたつむり伊賀と甲賀の峡の底

    松田てぃ

  • 蝸牛360度の世界

    愛柑

  • 仙人のきはめるところ蝸牛

    あまぶー

  • 蝸牛他人の殻は光ってる

    ともかわすてむ

  • 納骨をぢっと見ており蝸牛

    さかえ八八六

  • 樹木医の指睦まじき蝸牛

    まこ@いつき組広ブロ俳句部

  • 晩年てふ鈍き光を蝸牛

    野ばら

  • 上人の声を遠くに蝸牛

    浜友輔

  • 詐欺電話かたつむり行く歩道橋

    川蜷

  • かたつむり胆汁びゆつと出たやうな

    福本巴亜人

  • 蝸牛余生は全て程々に

    木村木霊

  • くれよんの長き目玉や蝸牛

    くろけん

  • 水色の雨をラルゴのかたつむり

    ふじこ

  • 蝸牛泊まっていくと言ったのに

    あやっぺ

  • 制癌剤QOLや蝸牛

    福田みやき

  • 蝸牛説明出来ぬ疲労かな

    花伝

  • 蝸牛転がる浜辺の廃車群

    南風の記憶

  • 縁石に車乗り上げ蝸牛

    クロまま

  • 終戦の朽ちた戦車にかたつむり

    久米穂風

  • 五時間目まいまい居なくなつてゐる

    恵勇

  • バツイチの友に良い人かたつぶり

    なつめモコ

  • かたつむり這つて義足に棲む疼き

    久保田A

  • 蝸牛端役ばかりで引退す

    ダンサーU-KI

  • 君のちと硬い手が好きかたつぶり

    栗の坊楚材

  • ででむしや足掛け回りできたぞー

    石塚碧葉

  • 蝸牛ボルダリングの手の先に

    慢鱚

  • 凝り解す雨や蝸牛は伸びる

    枯山日明萌

  • また便の減るバス停に蝸牛

    高山佳風

  • まひまひはあひまひなままいきてはる

    市橋正俊

  • 蝸牛お前の星座ないってよ

    みづちみわ

  • 蝸牛重いペダルの通学路

    ツユマメ末っ子10歳@いつき組広ブロ俳句部

  • 消印は三日前かな蝸牛

    恋瀬川三緒

  • 雨音は誘惑のそれ蝸牛

    そまり

  • 電柱にあらたな供花やかたつむり

    内田こと

  • 競わぬと決めて孤独や蝸牛

    杜乃しずか

  • 蝸牛目で追ふ三日目の独房

    へなけん

  • リュウグウや陵の時空に蝸牛

    蜥蜴の尻尾

  • かたつぶりふつうのわたしつまらない

    誉茂子@野の花

  • 青空眩しででむしの肺呼吸

    鈴白菜実

  • 道端に此れも空き家か蝸牛

    みまさか ゆうか

  • 長崎の坂は20度かたつむり

    沙那夏

  • 夜立のバックパッカー蝸牛

    比良山

  • 身を伸ばし殻落しさう蝸牛

    樹朋

  • 蝸牛父の遺しし社員証

    平野孤舟

  • 蝸牛進むとオルゴールの音

    港斗

  • 薄玻璃の外は明るし蝸牛

    秦 理露

  • 戦争や葉陰にじっと蝸牛

    栗田 もとえ

  • かたつむり雨にかしづく老農夫

    酔下弦

  • かたつむり死んで貝殻明るくなり

    白鳥国男

  • はなまるを貰ふ答案かたつむり

    うぢ一樹

  • 酸性雨二の足踏みし蝸牛

    山くじら

  • 午後三時動かぬ雲と蝸牛

    Dr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部

  • かたつむり呆けぬようにと日記書く

    小山 晃

  • 病中の気持ちの歩幅かたつむり

    清鱒

  • 草龍の足跡出土蝸牛

    よぶこどり

  • ででむしや図書館にのみ通う夫

    登盛満

  • ででむしの角のびきって象牙色

    嶋村らぴ

  • ででむしや明るき雨の天主堂

    釜眞手打ち蕎麦

  • ででむしや心に止まる本を買ふ

    夢見昼顔

  • かたつむり地球回つてゐて怖い

    染井つぐみ

  • 女子寮の階段の下カタツムリ

    日々拓人

  • カタツムリ無色の膜を祖なるもの

    ハチ項前広場

  • ででむしや森の匂いの旧校舎

    万葉剣

  • 蝸牛うずまきに入る風の音

    石井瑩

  • 砂時計落つる粒音蝸牛

    佐伯仙明

  • カタツムリ捕まえてると掴まれる

    木下常和

  • 結願の寺にやうやうかたつむり

    重夫

  • かたつむり疲労が溜まる金曜日

    ゆぅあ

  • まいまいや狂つてしまふ銀時計

    駒よういちろう

  • ひっそりと花束の中蝸牛

    そうま純香

  • かたつむり水天のうた歌ひをり

    うからうから

  • 蝸牛あとでケイドロするつもり

    伊予吟会 宵嵐

  • 蝸牛眩暈は急にやって来る

    星埜黴円

  • 生家まであと十歩ほど蝸牛

    ほしの有紀

  • 不条理なこんな気持をかたつむり

    かん かんし

  • 組立はあとネジ一つかたつぶり

    竜胆

  • 蝸牛どぅうるり恋矢でょろぶにゅり

    鈴村朝人

  • かたつむり槍のやうには持つな傘

    千波佳山

  • 虚空より縄文の声かたつむり

    穂積 天玲

  • 雨の湯の町駅窓の蝸牛

    希布

  • 装甲は哀し戦車もででむしも

    利尻

  • 倒木に柔らかな雨かたつむり

    芋 二郎

  • 蝸牛漢方堂のガラス瓶

    辻野 花

  • 蝸牛二匹百円で売られおり

    石崎京子

  • 雨音のおとなふばかり蝸牛

    峰泉しょうこ

  • ででむしや干す白帯のまだ固し

    むらぴ

  • 「我思ふ故に我あり」蝸牛あり

    浪速の蟹造

  • 右京さんぷるぷる蝸牛ぬむぬむ

    あらい

  • かたつむり父より早く逝きし母

    岡井風紋

  • まひまひに事情問ふなり国境

    うはのそら

  • ででむしやたましいはうそつきですか

    ひねもす

  • 自転車に無賃乗車の蝸牛

    宮川武久

  • 図書館休館日マロニエの蝸牛

    丹波らる

  • 顔までも扁平足や蝸牛

    和泉穣

  • ベーグルは月水金だけ蝸牛

    泰山

  • 蝸牛のろり相対性理論

    中岡秀次

  • 退院やによおんと伸びるかたつむり

    剛海

  • 重心を螺旋の芯へ蝸牛

    戸部紅屑

  • 蝸牛コインランドリーは廻る

    素空

  • でで虫は死んだふり僕は生きたふり

    空木眠兎

  • いにしへの波音を背に蝸牛

    緒方朋子

  • 土のみづ掴む爪先かたつむり

    菅井香永

  • 蝸牛ベートーヴェンの呪いから

    高遠見上

  • かたつむり家裁へ到る道なりけり

    る・こんと

  • ででむしや吾の悲しみのまだ小さし

    ほんちゃん

  • ででむしの殻薄うして消えゆけり

    栗田すずさん

  • べろべろに波打つてゐる蝸牛

    大紀直家

  • 蝸牛識字に鉛筆の重き

    あたなごっち

  • 蝸牛ぽろっと落ちて腐れ縁

    花紋

  • 観覧車うごかず朝の蝸牛

    武者小路敬妙洒脱篤

  • 方舟は満員なりき蝸牛

    長谷川水素

  • 水面にあるは曇天かたつむり

    野村起葉

  • かたつむり一匹分の眠気かな

    公木正

  • かたつむり動点Pの解示せ

    青田奈央

  • まだ指に蝸牛居るやうな土

    ベーグル

  • 蝸牛タクシー二台停車中

    向原かは

  • かたつむり昔戦争ありました

    三重丸

  • 丸ぢやない波紋の中を蝸牛

    常磐 はぜ

  • 蝸牛今日の眩暈は縦揺れか

    大小田 忍

  • かたつむり蔓延る家はWi-Fi無い

    ラガマフィン

  • 青天とケッタにつぶれる蝸牛

    リーい

  • 海望む志波彦様と蝸牛

    佐藤甘平

  • 水の国目指して千里かたつむり

    堀雅一

  • 蝸牛塀の湿りを象りぬ

    小沢史

  • 悠々と避難通路のかたつむり

    吉 や

  • 蝸牛触れて生死を確かむる

    永想

  • かたつむり学級会は多数決

    日向こるり

  • 大仏の広き手のひら蝸牛

    ぼたんぴ

  • ひゅんひゅんと電波ででむし消えました

    一斤染乃

  • 空家あります蝸牛の不動産屋

    岡田論子

  • 半径の闇五メートル蝸牛

    枯木 花

  • でで虫や庭一坪と二間がいい

    柚和

  • 核欲しい専守防衛蝸牛

    三水

  • 蝸牛や雨滲みゆく方丈記

    新右衛門

  • 虚をつかれ貝となり行くかたつぶり

    円 美々

  • フェルマータの長さ蝸牛一匹分

    あなうさぎ

  • でで虫のあとからついてくる時間

    まるちゃんにいさん

  • 保育園まで瓶詰めのかたつむり

    苺井千恵

  • 蝸牛かなしいときは雨舐める

    澤田 紫

  • 曖昧に生きてまいまい嘆くまい

    かんこ鳥

  • 蝸牛縄文土器の名残りあり

    青木りんどう

  • ででむしの足曳くみづの重さかな

    あずお玲子

  • ででむしにらいをん組のあつまり来

    紺乃ひつじ

  • 古井戸の母だけの家かたつむり

    真宮マミ

  • 蝸牛踏むに老農惑ふなし

    ひだ岩魚

  • かたつぶり吾の半月板すりへりて

    み藻砂

  • パラパラ漫画最速走る蝸牛

    千曜 桜

  • でで虫をそつと地に置き花を伐る

    宗平 圭司

  • ほぐれざる屈託ひとつ蝸牛

    与志魚

  • 待合室アクアリウムの蝸牛

    髙橋弓女

  • 月光の桟橋に棲む蝸牛

    羽鳥藍坊

  • 重力は渦かもしれぬ蝸牛

    猫ふぐ

  • 書き込みのある歳時記や蝸牛

    鳥越暁

  • どしゃ降りの砦の木柵蝸牛

    斗三木童

  • 温厚で押し通したり蝸牛

    杉尾芭蕉

  • 蝸牛走り書きする伝言板

    平としまる

  • 平等は少し意地悪かたつむり

    風慈音

  • 蝸牛別れはキャリーケースのみ

    太之方もり子

  • 蝸牛鳴くや潮の香恋しさに

    山もと あき坊

  • 蝸牛死す霧吹きを怠りて

    旺上林加

  • ガリ版の指の汚れをかたつぶり

    石上あまね

  • 墓地横のバーバーボール蝸牛

    小笹いのり

  • プーチンの眉間に孤独カタツムリ

    藤井舞月

  • 蝸牛無限の入れ子開き消ゆ

    法典

  • 青い鳥文庫に手あかでんでん虫

    雨野理多

  • 不確かな不安は重し蝸牛

    岸来夢

  • 濡れ初むる大津波碑に蝸牛

    水蜜桃

  • 埋もれし門扉に時の蝸牛

    村田かっこう

  • 白杖の老婆の籠に蝸牛

    蓼蟲

  • かたつむり星へ逆流する時間

    あつちやん

  • 日に何度起こされ畑の蝸牛@金カル

    亜桜みかり

  • かたつむり口先だけの友ばかり

    山川腎茶

  • バンガロー火起こす側に蝸牛

    ぐりぐら京子

  • かたつむり金の螺旋となりきれず

    平良嘉列乙

  • 仮設の戸しめて眠るや蝸牛

    糸川ラッコ

  • 入墨の上を這はせる蝸牛

    寺尾当卯

  • この家の売りは価格と蝸牛

    あさのとびら

  • 左目は父右目は母似蝸牛

    小倉あんこ

  • かたつむり雨を唄ってきた経緯

    大野美波

  • 蝸牛使い終わった車椅子

    矢野 弾左衛門

  • 地図に這う指は北向き蝸牛

    葉るみ

  • でで虫やお前の耳石は何処にある

    安井コスモス

  • じゃんけんは不戦の誓い蝸牛

    清水縞午

  • かたつむり太陽系に暮らしけり

    山田知明

  • かたつむり歪な地学棟を這ふ

    白プロキオン

  • 見送りし数多の子等よ蝸牛

    まぐのりあ@蚊帳のなか

  • 漫喫のご常連なりかたつむり

    伊藤柚良

  • 殻といふ過去形を曳く蝸牛

    葉村直

  • 蝸牛ガウディを守るガーゴイル

    トウ甘藻

  • かたつむり光る海抜5m

    西村青夏@金カル

  • ずぐねりずぐねり蝸牛振り向かず

    蘂六

  • 遠征の列ぞろぞろと蝸牛

    濃厚エッグタルト

  • きっとそのめまいはかたつむりのせい

    正念亭若知古

  • 丁寧にでで虫の這ふ百度石

    大和田美信

  • 寡黙てふ芯の強さや蝸牛

    夏湖乃

  • ゴールデン・ドロップ翳りかたつむり

    松山めゐ

  • 講義あと45分蝸牛

    コンフィ

  • 蝸牛ステンレスにも葉にも飽く

    ぐりえぶらん

  • 蝸牛退職あとの十二年

    露崎一己句

  • 駅ビルはどこも似た味かたつむり

    立石神流

  • 蝸牛甥のなぞなぞ一日中

    いたまきし

  • 背に翅を生えることなき蝸牛

    田中ミノル

  • ででむしや不眠不休の登り窯

    安藝卯月

  • 太陽の塔見ゆる窓蝸牛

    清水 三雲

  • 蝸牛きゆぽんと鳴いて剥がさるる

    比良田トルコ石

  • にはたづみかたつむりの雨は音符

    たつき

  • 村営バス待つベンチに蝸牛

    原島ちび助

  • 窓に影裸電球蝸牛

    美月 舞桜

  • 蝸牛ありのままとは言うけれど

    おんちゃん。

  • ランドセルぶんぶんでんでんむしはぶじ

    いかちゃん

  • 蝸牛つぼみのやうに殻を出づ

    西村 棗

  • かさかさな指紋つやつや蝸牛

    宮坂暢介

  • 円周率に巻かれ蝸牛目を閉じる

    藤咲大地

  • 石塀の目地が標か蝸牛

    ひぐちいちおう(一応)

  • かたつむり臆病者は蓋をもつ

    石川聡

  • ラッパーの欠伸うつるや蝸牛

    東堂ナス

  • 木星の欠片色して蝸牛

    山城道霞

  • 独房は快適ですか蝸牛

    音のあ子

  • 重馬場を先読みしをる蝸牛

    清水祥月

  • かたつむり女々しいという褒め言葉

    清永裕子

  • 定年の朝やつがいの蝸牛

    クラウド坂の上

  • からだからしぼりだす目やかたつむり

    中鉢矢的

  • かたつむり図書委員なら立候補

    青居 舞

  • 断層の軋み出す夜かたつぶり

    南行ひかる

  • 蝸牛行く森のすべてのみづ負ひて

    海瀬安紀子

  • 焦げくさき雨の墓標や蝸牛

    いなだはまち

  • 狛犬とあめをかぎあふ蝸牛

    妹のりこ

  • 蝸牛引っ越し後の段ボール

    いちご大福

  • 蝸牛ハングル刻む鎮魂碑

    猫楽

  • 雨粒のリズムでで虫との孤食

    つづきののんき

  • 飴色やまだ一巻きのかたつむり

    雪音

  • 雨雲に動くししむら蝸牛

    対馬清波

  • 見かけより悪いやつなり蝸牛

    池田  凜

  • でで虫の後を尾ければ水神社

    平野水麦

  • 草の葉を動かぬ力蝸牛

    三崎扁舟

  • 蝸牛廃工場に棲まひけり

    鳴海沓子

  • 蝸牛名前付けられはや三日

    パッキンマン

  • でで虫に触はれぬ今日に至りけり

    北代晋一

  • 蝸牛殻ぬぎたくてぬぎたくて

    眠 睡花

  • カフカ読む靴先這いし蝸牛

    白髭

  • 貸出カードにまたこの名前かたつむり

    くさ

  • 蝸牛好きに時間を巻いている

    楽花生

  • モカ二杯目便箋広げ蝸牛

    東田 一鮎@金カル

  • 磐座に眠りはかたく蝸牛

    巴里乃嬬

  • 蝸牛波うつや右眼の痛き夜半

    笹野夕

  • かたつむり無声映画に雨の音

    木染湧水

  • 星に逆らい壁のぼる蝸牛

    野中泰風

  • かたつむり殻に詰めたる起爆剤

    吉川花ほっぺ

  • 風天の旅暮らしかな蝸牛

    宏峰

  • 点滴のしづくの無音蝸牛

    山田菫舎

  • 白きすじ賽銭箱にかたつむり

    どくだみ茶

  • 熱の子の吐息ゆらゆら蝸牛

    暖井むゆき

  • ゴンドワナを傍受してゐる蝸牛

    さるぼぼ@チーム天地夢遥

  • かたつむり武蔵野線は左巻き

    加藤栗庵

  • 蝸牛瞑想の足しびれけり

    大石紗子

  • 蝸牛見た朝からの偏頭痛

    雑魚寝

  • 蝸牛ちいさき夜や雨あがる

    桂葉子

  • 狛犬の巻き毛を這へる蝸牛

    むったん@狐狸山会

  • 渦巻に数式かたつむりの銀河

    天陽ゆう

  • 爆音はへりこぷた葉の蝸牛

    清水千種

  • 角出して計る線量蝸牛

    津軽わさお

  • 資材置場ぬれて木の香や蝸牛

    鶴屋桃福

  • 印象が北斎春画蝸牛

    正岡丹ん

  • さよならを聞きたくなくて蝸牛

    鮎川広田

  • そもそものジェンダー論や蝸牛

    乃の

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