【並選】
祖母探す夜の公園蝸牛
森中ことり
蝸牛百言百雨に打たれけり
柳 春街
子育ては小さな進歩蝸牛
千葉睦女
まいまいや千人潜むシムクガマ
秋月
ででむしや新城址に研究所
君島笑夢
まひまひの裏庭明かし美容院
香壺
高札の英文字を這ふ蝸牛
小池令香
貸しスーツ式の窓這ふ蝸牛
弘友於泥
由緒ある家柄ですね蝸牛
モッツァレラえのくし
生涯の雨を見てゐる蝸牛
龍田山門
かたつむりあすミニよんくにのせてやる
のつり
公園の移動図書館かたつむり
もりたきみ
吾に見えぬものを見たるや蝸牛
ピアニシモ
午後休をフラペチーノ・グランデででむし
としなり
嘱託の退社見てゐる蝸牛
イエティ伊藤
鉄棒の錆てりてりと蝸牛
千暁
まいまいは渦まきなおす金曜日
酒井おかわり
まいまいや探る貝屋のビニル傘
長谷川ひろし
ででむしや見上ぐる空に避雷針
野口日記
人生は終はらせ方ぞ蝸牛
河本かおり
角振れば月までゆける蝸牛
祐
ででむしはどれも叱られている仕草
けーい〇
風を切るスケボーに蝸牛付け
玉野汐音
王宮の覗きの穴の蝸牛
中 兎波
靴の泥落として訪うや蝸牛
西村小市
自販機の下にまいまい午前四時
陽花天
蝸牛家解体にコンマイチ
やまだ童子
終ひの庭一人暮らしの蝸牛
長操(おさみさを)
雨樋の緑青しずか蝸牛
おたまじゃくし
自堕落な自称モデルや蝸牛
諸塚凡志
垂直に登れば天守蝸牛
柳絮
雨粒の仄かな甘み蝸牛
卓鐘
鋳型積む荷台に小雨蝸牛
ヤヒロ
問診票に三角はナシ蝸牛
清白真冬
蝸牛殻をセピアに透かし風
富佐野ほろよい
蝸牛窓の木枠を2時限目
小川さゆみ
諳んじるブラウニングよ蝸牛
高木音弥
かたつむりおもいなめくじよりおそい
さくら(6才)
寿命だけどんどん伸びて蝸牛
神谷たくみ
かたつむり耳から出てくる夢を見た
山田企鵝
投函は傘さしかけてかたつむり
にゃん
耳を塞ぐひめまひまひの虚ろもて
遠山比々き
舌打ちをなさいましたね蝸牛
シュリ
蝸牛希臘哲学愛読書
せいしゅう
終鈴に終はらぬ授業かたつむり
里すみか
蝸牛殻割れてをり生きてをり
青木豊実
かたつぶり万年床の雨の午後
芍薬
定年や蝸牛角上飽きもせず
哲山(山田 哲也)
電飾の蔓を選びし蝸牛
真下豆白熊
かたつむり踏み靴底に残る音
ひーたん@いつき組広ブロ俳句部
社畜てふ我蝸牛這い上がれ
地球人
徹します傾聴役に蝸牛
野山遊
候補者のポスター舐める蝸牛
安春
憂きことの記憶あいまい蝸牛
森一平
けんけんぱ二回の先にかたつむり
佐野 明世
引きこもり脱出記念日蝸牛
晴田そわか
哲学でもするかい雨だ蝸牛
ウロ
朴訥は褒め言葉かやかたつむり
一歩亭六案
敵の敵も敵とや蝸牛鳴く
幸久
蝸牛低血圧の朝を這う
木ぼこやしき
山積みの土嚢袋や蝸牛
丹下京子
かたつむり雨に引力ある話
すいよう
蝸牛月の出待ちて出陣す
堀隼人
蝸牛のぐるぐる巻きに有る規律
宇野聞明
石積みの闇の底よりかたつむり
仁山かえる
ででむしや風をとらへる羅針盤
坐花酔月
そろそろと点字ブロック蝸牛
田辺ふみ
蝸牛かすかに軋む肉の襞
林真紗湖
迷いなく水の匂いへかたつむり
ららら句らら
酒蔵を眠らす雨や蝸牛
玉響雷子
小豆茶を蒸らす土曜日蝸牛
姫川ひすい
蝸牛の螺旋フィボナッチの情熱
粋庵仁空
まいまいやカフェに運びし観葉花
渥美こぶこ
古代史の授業が眠いかたつむり
はんばぁぐ
蝸牛透かす曇り硝子やリモート日
多事
でで虫や駅のトイレの最後尾
夜音 友
かたつむり成長痛の膝鈍し
五月ふみ
生きるのがかたつむりよりへたくそで
広瀬 康
巣鴨プリズン蝸牛蝸牛
帝釈鴫
バイト時給10円アップかたつぶり
豆闌
走るに良き廊下なりけり蝸牛
山本先生
かたつむり這う四阿のランドセル
桃花@いつき組俳句迷子の会
リモートは便利で不便かたつむり
みやま千樹
蝸牛熊野古道の苔の青
28ヒロキチ
別室登校九九を聞くのはかたつむり
あまぐり
さめざめと長崎に居る蝸牛
望月朔
かたつむりやさしい嘘の多い夜
オーガストスガワラマサト
意思あらば道は拓けん蝸牛
ふくじん
教室の時計は白し蝸牛
千原 十吾
雨粒の魚眼レンズに蝸牛
砂楽梨
蝸牛垂れ幕は全面勝訴
也和
公式の理由を問ふ子でんでん虫
蓮花麻耶
校舎裏壁にどんどん蝸牛
種種番外
脆弱な家とは知らぬ蝸牛
羅美都
かたつむり売別荘のサンルーム
KII
教科書の偉人の虫歯蝸牛
ぱふりかまめ
かたつむり鎮痛剤の効かない日
青野遊飛@蚊帳のなか
蝸牛赤の広場をよぎりけり
ぐずみ
さつきみたゆめがかなしい蝸牛
渋谷晶
かたつぶりチョークの文字の消し残る
高尾里甫
忘却は生きてゆく術かたつむり
若井柳児
蝸牛洗車を終えし軽に雨
瀬央ありさ
性愛のなれの果て知る蝸牛
こいぬ
ベランダよどこから朝の蝸牛
水木合歓
金剛石の炭素の並び蝸牛
京野さち
回旋塔の滅びし跡や蝸牛
沢拓庵
人生は殻の軽さやかたつむり
有田みかん
板書する白墨折れて蝸牛
清水明美
かたつむりいじめの記憶喰んでをり
千歳みち乃
車椅子背の息荒しカタツムリ
花屋英利
弟に勝てば泣かれる蝸牛
ももたもも
叢雲を眼下にかたつむりと居る
山香ばし
月の錆び夜半に波打つ蝸牛
渡辺桃蓮
まっさらに洗われた地図かたつむり
駒水一生
貸出傘廃止の知らせ蝸牛
つつ井つつ
ででむしにあって吾にないものの数
金朋かいと
びっしりとサドル張り付く蝸牛
奈良の真
雨の日の百葉箱に蝸牛
甘泉
雨優し泣いてる子にも蝸牛にも
富山の露玉
蝸牛ぶっ飛べ、ボイジャーを追い越せ
田中耀
東京の空気汚し蝸牛
いくたドロップ
雨恋し水の恐ろしかたつむり
深山むらさき
宿題はまっしろ夜の蝸牛
月雨新
蝸牛パリには行っておりません
雅王
ひと匙の直感信じよ蝸牛
野井みこ
ガードレール蝸牛の道きれい
快晴ノセカイ
国会議員にかたつむりをぶつけよ
横縞
彗星の尻尾に濡れて蝸牛
西川由野
死してなを張り付く力蝸牛
如月ドロップ
孤独死の独居の蝸牛自宅の死
諧 真無子
ででむしと雲の流れとパンロール
千賀子
タンデムの後ろ漕ぐふりかたつむり
小だいふく
星の船丘に最後のかたつむり
三浦にゃじろう
じつくりと呪術は効いて蝸牛
加世堂魯幸
トンネルを抜けて憂鬱かたつむり
亀田かつおぶし
鬱の日のジレンマ蝸牛のジレンマ
大庭慈温
とりあへず教室にゐるかたつむり
くま鶉
蝸牛岬を回る貨物船
岡本 戎
彗星のみづの欠片や蝸牛
Vn 花のん
かたつむりスーツにヘルの視察団
石田将仁
一部屋で終える一日蝸牛
遥風
かたつむり眼下に青き千枚田
山野麓
堅物の蝸牛なら好きになる
海音寺ジョー
かたつむりだけが鏡に映らない
ぐでたまご
ででむし居て豊かな水の星でした
カオス
かたつむりの渦アオハルを駆け抜けた
八十六九
乾燥注意報蝸牛不動
上津 嘉子
どうせおれ雨男やき蝸牛
片岡六子
泡吹いてででむし虫に喰われゆく
キッカワテツヤ
右巻きのででむしにだけある虎斑
結壱隆月
蝸牛ぐにゃりと位相空間へ
閑々鶏
独り身の下宿恋しや蝸牛
ゆみづき
ででむしやオジサンだけの映画館
研知句詩@いつき組広ブロ俳句部
かたつむり雨に無音のありしこと
柚木みゆき
山風に満ちくる生気蝸牛
夕虹くすん
まひまひまひまひそのボタン押してはだめだ
大塚迷路
蝸牛心療内科雨匂い
谷町百合乃
休戦の砲に蝸牛の眠りけり
華胥醒子
晴天に白きカタツムリの骸
立部笑子
蝸牛小窓より見る指輪の値
蘭丸結動
触られて酸っぱい顔の蝸牛
沖原イヲ
石柱を刻のざらめく蝸牛
きのえのき
雨しとど質屋の軒の蝸牛
成瀬源三
蝸牛雨よりホルン響きけり
小島神泉
月曜が終われば火曜かたつむり
影山らてん
かたつむり時は平等なんて嘘
天野倖雪
戦場に蝸牛の角を撫でてゐる
小川野棕櫚
でで虫に憑かれて雨を遊びけり
百瀬一兎
スケッチの椅子は小さしかたつむり
碧西里
金かかる方に進むか蝸牛
背馬
極論で言えば蝸牛の血筋
虎八花乙
雨音は「ボレロ」の調べ蝸牛
花咲明日香
蝸牛螺旋は音を吸う形
谷山みつこ
渦巻きの果ては黒穴蝸牛
野々原ラピ
魂に形はあるか蝸牛
はるく
古板の釘の曲がりを蝸牛
音羽凜
鈍行で帰れる家出かたつむり
石井一草
かたつむりおまえはきつと銀河の子
とんぼ
ずるやすみした十一時かたつむり
佐藤香珠
でで虫や赤榕は岩を抱きたる
一港
るめるめとビン缶の夜のかたつむり
板柿せっか
角出した槍出した今蝸牛吠ゆ
蒼來応來
夜勤明けレッドバロンに蝸牛
早計層
縁の裏へ廻つてゐたる蝸牛
稲畑とりこ
リハビリのじりりカタツムリのじりり
小西天
飴色の廊下に匂ふ蝸牛
ぎんやんま
配給の列の寡黙や蝸牛
吉田竹織
蝸牛や生コンミキサー車の吐息
うた歌妙
教室や毎日増えるかたつむり
露草うづら
かたつむり生活感のないままに
むじーじ
かたつむり離檀の協議難く遅々
at花結い
ざらざらの日本列島かたつむり
まこちふる
海苔の瓶腹ばかり見せ蝸牛
加賀くちこ
返済は三十年後かたつむり
由づる
ででむしやホームの風の生温し
杏是りゐ菜
ででむしやボレロ流れる喫茶店
アントワネット@ノエル
人影消えて蝸牛夥し
世良日守
戦争の記事の食痕かたつむり
丸山隆子
納税は義務の二文字蝸牛
8の月
永眠のまえの過眠やかたつむり
白鳥古丹
さみしさの丸み爪もかたつむりも
阿部猪子
婚礼はしとしと雨やかたつむり
きべし
ででむしに葉はくゎんのんのたなごころ
堀口 房水
蝸牛刺し違ふ矢を恋と呼び
カラビンカ
一日は長い短い蝸牛
老人日記
かたつむり立志伝とは無縁なり
工藤悠久
優作の殉職語り蝸牛
つきのひと
ででむしの黙潮騒を聴きにけり
北山 烏兎
土くれの神葉へ戻す蝸牛
小豆白虎
蝸牛葉の真ん中に戻したり
阿波オードリー
ネットなら不死の勇者や蝸牛
杜まお実
かたつむり不確定性理論通
春風流士
水没のででむし石か蛟龍か
斎乃雪
蝸牛ひんやり俳人とはさびしん坊
字土街海
金糸雀のこゑ聴いてゐる蝸牛
橘鶫
かたつむり駅まで提げる社員証
田中木江
太古からこの形なるかたつむり
多可木@ノエル
雨しずか更地の杭の蝸牛
山吹なお
かたつむり窄まつてゆく空の果て
あいだほ
かたつむり電話の父の耳遠し
かりかり久助
たっぷりとオムツの膨れ蝸牛
山中 揚
余生とは与生と知りぬ蝸牛
水無月
かたつむり雫のなかの森を嗅ぐ
玉庭マサアキ
オルゴール一音残し蝸牛
落句言
円相の弧を描いてゐる蝸牛かな
真井とうか
墓仕舞い残り香土に蝸牛
オアズマン
蝸牛朝から計画運休
剣翔寺亜太琉
ああ低気圧でで虫は転がりぬ
柿司
止め石の跡昏みゆく蝸牛
詠頃
うまれでるひとつぶのうみかたつむり
安寿
雨だれと母のくりごと蝸牛
越智空子
永遠は意外と脆し蝸牛
はごろも856
雨歌うででむしの声ぬれる耳
まがりしっぽ
角打ちの口開けたるや蝸牛
富士桜花
掌の菩薩めきたる蝸牛
水野大雅
怠さうに迷惑さうに蝸牛
黒麴 糀
蝸牛からだ丸める欝の日も
風の鳥
往き還り違ふ蝸涎のひかりけり
銀 次郎
戦争は嫌と言ひたし蝸牛
後藤三梅
人らしく生きる困難蝸牛
工藤雨読
シャルドネとでんでんむしと巴里の夜
雪井苑生
あららららそこは手詰まりかたつぶり
秋吉孝治
てでむしと語らふ夫の背の丸み
しゃれこうべの妻
億年の足あと真直ぐ蝸牛
谷口詠美
シャッターに数多の施錠蝸牛
河野灰土
横恋慕の爪先縒れて蝸牛
遠音
かたつむり渇く時代の隔壁(エピフラム)
山内彩月
惑星の軌道は外れ蝸牛
妙
神の目の螺旋星雲蝸牛
ときめき人
雨上がり汚れた猫とかたつむり
福田かな子
留守電をいくつも消去かたつむり
古都 鈴
かたつむり雲の記憶と切り傷と
うしうし
這ふ音のくゞもつてゐる蝸牛
さくさく作物
速達の葉書は濡れて蝸牛
羊似妃
ででむしや履歴書の吾は吾にあらず
中田ひで
電線の途中思案のかたつぶり
余熱
腹足の始動るるるる蝸牛
冬のおこじょ
蝸牛秒速七メートルの雨
多々良海月
シャー芯のかちかちかちり蝸牛
でんでん琴女
パレットで乾いたグレイ蝸牛
足立智美
ここ曲がりゃ行けるはずだがかたつむり
斉藤百女
にはたづみつくばいの苔蝸牛
釋 北城
昼休み終わる蝸牛見つめて
めりっさ
夢殿を見てきたやうに蝸牛
梓弓
七十の半ばを覗き蝸牛
池 閑茶
畑売るのはやめようか蝸牛
Kかれん
しゅ算じゅくぼくは8級かたつむり
フージー
山伏に足跡は無し蝸牛
木寺 仙游
勝手口の青き匂ひやかたつむり
宗本智之
蝸牛郵便受けに良き便り
一富士リリー
全力の摩擦係数蝸牛
くずもち鹿之助
二回分終わりし恋や蝸牛
時まる
指先に角の湿りや蝸牛
かぬまっこ@木ノ芽
長く引く迴のしんにょう蝸牛
火炎幸彦
嫌なことがあると君は蝸牛になる
羅蒐
留年の幾何学負ふや蝸牛
かえるしろ
カタツムリ座右の銘は「真人間」
水鏡新
かたつむり渦は海とも宇宙とも
立ち漕ぎブランコじゅん
無知は悪耳はあるのか蝸牛
秋ひろ
飼育箱のででむし又も首を振る
三泊みなと
かたつむり翁勧める実の甘し
神山やすこ
蝸牛傘寿の杖の鋼色
さくやこのはな
吾子の手に蝸牛あり参観日
西町彰子
考えの至りませんで蝸牛
じょいふるとしちゃん
叱られて蝸牛見ゆ雨の縁
岩橋春海
蝸牛さて老いらくの旅鞄
檜鼻ことは
蝸牛田舎暮らしはどうですか
吾亦紅
なほ濡ればまひまひの殻ほどけまし
小緑ふぇい
生前も死後も閑かに蝸牛
村上優貴
水槽の角直角となる蝸牛
空豆魚
灯りなきスナックみどり蝸牛
久蔵久蔵
かたつむり伸びては殻を引き寄する
仁和田永
蝸牛空の向こうに時計台
彩色絵具𓂃𓈒𓏸
ででむしはひとりぐらしや雨に死す
なしむらなし
雨雲の崩るる匂ひ蝸牛
山田蹴人
蝸牛溜め息ひとつふたつみつ
山川土時
かたつむりわれのこころもまだこども
はるぴょん
白色に崩れ蝸牛の放屁
磐田小
父の手はブリキのにほひ蝸牛
久森ぎんう
来世では蝸牛にて五年程
新城典午
合鍵や遣らずの雨の蝸牛
芦幸
色褪せた選挙ポスター蝸牛
たーとるQ
ででむしや二人の母の代は暗し
熊谷 温古
傘買ふと雨やむ人や蝸牛
田季たまき
かたつぶり地球はどんな味だらう
雁梛
引つ越しの荷のお仕舞ひの蝸牛
桜井教人@金カル
樹海へ蝸牛殻の渦廻し
半ズボンおじいさん
蝸牛あまた楽譜のような塀
夏立也
かたつぶり父の卒塔婆に縦にゐて
綱川羽音
かたつぶり泣くための曲エンドレス
花南天anne
蝸牛安吾の本は置いてきた
ダック
聖書抱く寄る辺の暗き蝸牛
真冬峰
でで虫の尻から縮む謝罪かな
宥光
でで虫の渦より夜の始まりぬ
八幡風花
駅止めの荷受け荷台に蝸牛
杵築きい
蝸牛ガードレールを舐めた線
笠井あさり
ででむしや補助輪なしの無重力
千風もふ
かたつむり恋成就まで十糎
満る
土砂降りにタイトロープの蝸牛
三休
蝸牛鎌倉殿の切通し
田畑 整
右へ巻けと主は仰せらるカタツムリ
中はじめ
一世を恋せぬままに蝸牛
河村静葩
ふるふると地震に揺れるかたつむり
桃園ユキチ
かたつむり仮想通貨は熱放ち
三水低オサム
出帆や沈黙あけの蝸牛
菜々の花畑
殻割ればむき身のこころかたつむり
じゃすみん
晒すてふ歌人の性よ蝸牛
幸田柝の音
文弱の外反母趾やかたつむり
中山月波
渦巻に透ける肉塊かたつむり
竹田むべ
くさかげのラルゴのうたの蝸牛
立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部
またしても開かずの踏切かたつむり
南風紫蘭@木ノ芽
かたつむり臨機応変とは何ぞ
宮村土々
見習え蝸牛のこのやる気なさ
赤馬福助
かたつぶり和平の方へ尖りだす
まんぷく
星一つなくなる光かたつむり
黒子
減速する思ひのゆくへ蝸牛
るびちゅ
蝸牛をんなの爪は逆剥けて
麻生ツナ子
蝸牛好きよ欅の幹が好き
山内 負乗
頭といふヒトの触角かたつむり
関津祐花
潮風の露西亜人墓地かたつむり
ラーラ・K
でで虫の肉攀じ登る硝子窓
樋口滑瓢
蝸牛まぶしき空の戦闘機
さざなみ葉
ビーカーは高きゆりかご蝸牛
ふわふわ研究所
二日目の朝に見つける蝸牛
はまゆう
アンテナの向きはそれぞれ蝸牛
岡田雅喜
蝸牛むずかしすぎるBプラン
絵十
干でる日は根方に憩ひ蝸牛
亀山酔田
地震やみて防潮壁を蝸牛
東京堕天使
ででむしや喉に光れる陽の湿度
克巳@夜のサングラス
片耳のやがて森閑かたつむり
霜田あゆ美
縦笛のエーデルワイス蝸牛
しみずこころ
蝸牛ぬりゃり窓辺の出納課
露口全速
来るべき時に備へよ蝸牛
えりいも
蝸牛ひとりがいいといえば嘘
大熊猫
蝸牛ベランダに出ただけの午後
西田武
ねばつこい恋は果てたり蝸牛
朱契
蝸牛とは小さき歯を思ふこと
優木ごまヲ
根廻りを昂然と行く蝸牛
季切少楽@いつき組広ブロ俳句部
点Pの呑気な移動かたつむり
かなえの
でで虫や気持ちは虚ろまして朝
ねむり猫
蝸牛やチェロを窓ガラス越しで
第一空港
ロレックス無いがまいまい這う長屋
司啓
でんでんむし引きこもりは夜うごく
白と玉
ででむしの伝言あめのつぶおちた
島田あんず
厄年や一歩も引かぬ蝸牛
一走人
靴結ぶ目の高さ這う蝸牛
新子熊耳
ダーウィンの鼻息かたつむり湿る
吉行直人
かたつむり失くした音はみづに帰す
ちゃうりん
蝸牛完全犯罪不可能説
星乃ぽっち
売れる田は今が売り時かたつむり
ことまと
履歴なき叔母のガラケーかたつむり
みのる
ででむしは光合成の音拾う
下條ちりり
蝸牛何も持たざる吾の一歩
富山湾
まいまいの渦の先なるまいまいの
田中勲
週勤六日四十五年かたつむり
前田麺
かたつむり心渇けば転びたり
戸口のふっこ
かたつむり書架に逆立つ露語辞典
たま走哉
かたつむり借金減つてまた増えて
剣橋こじ
らふそくや墓の耳なる蝸牛
北藤詩旦
蝸牛おくびようかぜをだまらせろ
藤田ゆきまち
胴乱の大きな扉かたつむり
まどん
訃の記事にいのちの電話かたつむり
長谷機械児
小粒なるででむしの目に憤怒湧き
山河穂香
ため息の苦き明け方蝸牛
梨西瓜
あなどるなででむしじっとみつめおる
津軽ちゃう
蝸牛夕べのことはうろ覚え
三猿 八猿
ゆったりと漕ぐチェロの音や蝸牛
野地垂木
大陸の戦車の骸蝸牛
津軽まつ
でで虫や一千年を水の寺
久留里61
ねちねちと指導教諭や蝸牛
篠田ピンク
羽田空港第二展望デッキの蝸牛
灰色狼
重心は昏きへと振る蝸牛
福良ちどり
掘割の新地に巣食ふ蝸牛
誠馬ノマド
ゆうるりと海を捨てたる蝸牛
池内ときこ
くるくるとたたむ濡れ傘蝸牛
不二自然
引き返す勇気もありて蝸牛
聞岳
大器なら晩成しますかたつぶり
村瀬っち
縁石を落ちたら海ねかたつむり
夏椿咲く
手つかずの上巻下巻蝸牛
百瀬はな
しづかなる昼や漂う蝸牛
はっしー
消防の止まぬサイレンかたつむり
メレンゲたこ焼き
ぬうぬうと渡るででむしかずら橋
吟 梵
終活のぷらんC案蝸牛
篠原雨子
雨の日曜蝸牛の幸せ
林 水城
蝸牛雨のベトンを這い上がる
村上右佐
雨はドレミもう枝先の蝸牛
小川都
歳時記買うぞ雨もででむし連れて
藤鷹圓哉
育休のいとしき速度蝸牛
中島真珠
人はみな胸に渦巻かたつむり
川岡すえよし
忘却の色に透けゆく蝸牛
門田なぎさ@金カル
かたつむり礫は見えぬところより
錆田水遊
水かたく石匂ひたつ蝸牛
藤白真語
絶対の退屈はない蝸牛
加良太知
かたつむりチェーホフを読む窓辺かな
哲庵
かたつむり反戦うたふ声小さし
小殿原 あきえ
曼陀羅も宇宙も渦や蝸牛
ぼたにこ
蝸牛日記代わりの万歩計
葛谷猫日和
廃坑のレールを鈍き蝸牛
雨霧彦@木ノ芽
蝸牛ローマに着くまで視るつもり
新蕎麦句会・凪太
引きこもる子の窓を這ふ蝸牛
青柿
鉛筆とスケッチブック蝸牛
荘司彩舟
月わるる音のぱりんとかたつむり
浦野紗知
蝸牛どこに行きたいわけじゃない
葉月けゐ
でで虫よその先端は行止り
ひろ志
幾多郎の思索のベンチ蝸牛
伏見丹耶
古家の相続ばなし蝸牛
木村ひむか
くるくると鉛筆削り蝸牛
万寿果
教室の序列を横目かたつむり
陽光
モルヒネの許可なまぐさき蝸牛
山羊座の千賀子
かたつむりなみなみと番茶の薬缶
橋本こはく
ガジュマルに優しき雨や蝸牛
さいたま水夢
逆引きの眠りの先に蝸牛
吉野川
新規事業やめる勇気か蝸牛
川村記陽子
玉垣の祖父の名を這う蝸牛
星月さやか
タワマンに故郷はない蝸牛
細木さちこ
蝸牛すぐに剥がせるメモぺたぺた
絵夢衷子
蝸牛さわれし頃の雨合羽
ノアノア
家系図に打ち首とあり蝸牛
石塚彩楓
ニンゲンは進化だらうか蝸牛
くみくまマフラー
古寺のお経を聴くや蝸牛
山口朝子
復員の夫の眠りや蝸牛
伊奈川富真乃
かたつむり今日が終いの紙芝居
登りびと
蝸牛やつと病名つきにけり
海猫
晩祷の果てて蝸牛の透きとほる
アロイジオ
一戸建家紋渦巻蝸牛
吉田 無学
観覧車でんでんむしと登りをり
⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部
波音や樹からもぎとる蝸牛
卯年のふみ
きやうだいはちりにかたつむりはからに
南方日午
蝸牛配管工の昼休み
ふもふも
蛇行して挑む太陽かたつむり
小田和子
補聴器の拾ふ雨音かたつむり
西田月旦
金曜の鞄は軽し蝸牛
竹内一二
鈍色の墓石掴む蝸牛
卯月紫乃
うずくまる膝の赤チン蝸牛
ふわり子
真直ぐに螺旋を描く蝸牛
小田慶喜
石橋を叩かず渡る蝸牛
塩野谷慎吾
でで虫へのびてゆく手や乳母車
主藤充子
愛用のサドル占領かたつぶり
田口大寒六
生きてゐる詩を書いてゐる蝸牛
鈴木麗門
かたつむり扁平足の仏像
狩谷わぐう
望遠鏡の罅へかたつむりのとろり
鰯山陽大
蝸牛信心深きプロレスラー
嶋田奈緒
空間は連続なりや蝸牛
山田怠洋
石仏に螺髪ひとつは蝸牛
磯田省吾
一本の針の日時計蝸牛
そうり
励ましは命令形やかたつむれ
梵庸子
蝸牛うつそりと掃く銀の道
石浜西夏
真つ直ぐのつもりの斜め蝸牛
海峯企鵝
友垣や通夜の帰りの蝸牛
紫鋼
かたつむり伊賀と甲賀の峡の底
松田てぃ
蝸牛360度の世界
愛柑
仙人のきはめるところ蝸牛
あまぶー
蝸牛他人の殻は光ってる
ともかわすてむ
納骨をぢっと見ており蝸牛
さかえ八八六
樹木医の指睦まじき蝸牛
まこ@いつき組広ブロ俳句部
晩年てふ鈍き光を蝸牛
野ばら
上人の声を遠くに蝸牛
浜友輔
詐欺電話かたつむり行く歩道橋
川蜷
かたつむり胆汁びゆつと出たやうな
福本巴亜人
蝸牛余生は全て程々に
木村木霊
くれよんの長き目玉や蝸牛
くろけん
水色の雨をラルゴのかたつむり
ふじこ
蝸牛泊まっていくと言ったのに
あやっぺ
制癌剤QOLや蝸牛
福田みやき
蝸牛説明出来ぬ疲労かな
花伝
蝸牛転がる浜辺の廃車群
南風の記憶
縁石に車乗り上げ蝸牛
クロまま
終戦の朽ちた戦車にかたつむり
久米穂風
五時間目まいまい居なくなつてゐる
恵勇
バツイチの友に良い人かたつぶり
なつめモコ
かたつむり這つて義足に棲む疼き
久保田A
蝸牛端役ばかりで引退す
ダンサーU-KI
君のちと硬い手が好きかたつぶり
栗の坊楚材
ででむしや足掛け回りできたぞー
石塚碧葉
蝸牛ボルダリングの手の先に
慢鱚
凝り解す雨や蝸牛は伸びる
枯山日明萌
また便の減るバス停に蝸牛
高山佳風
まひまひはあひまひなままいきてはる
市橋正俊
蝸牛お前の星座ないってよ
みづちみわ
蝸牛重いペダルの通学路
ツユマメ末っ子10歳@いつき組広ブロ俳句部
消印は三日前かな蝸牛
恋瀬川三緒
雨音は誘惑のそれ蝸牛
そまり
電柱にあらたな供花やかたつむり
内田こと
競わぬと決めて孤独や蝸牛
杜乃しずか
蝸牛目で追ふ三日目の独房
へなけん
リュウグウや陵の時空に蝸牛
蜥蜴の尻尾
かたつぶりふつうのわたしつまらない
誉茂子@野の花
青空眩しででむしの肺呼吸
鈴白菜実
道端に此れも空き家か蝸牛
みまさか ゆうか
長崎の坂は20度かたつむり
沙那夏
夜立のバックパッカー蝸牛
比良山
身を伸ばし殻落しさう蝸牛
樹朋
蝸牛父の遺しし社員証
平野孤舟
蝸牛進むとオルゴールの音
港斗
薄玻璃の外は明るし蝸牛
秦 理露
戦争や葉陰にじっと蝸牛
栗田 もとえ
かたつむり雨にかしづく老農夫
酔下弦
かたつむり死んで貝殻明るくなり
白鳥国男
はなまるを貰ふ答案かたつむり
うぢ一樹
酸性雨二の足踏みし蝸牛
山くじら
午後三時動かぬ雲と蝸牛
Dr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部
かたつむり呆けぬようにと日記書く
小山 晃
病中の気持ちの歩幅かたつむり
清鱒
草龍の足跡出土蝸牛
よぶこどり
ででむしや図書館にのみ通う夫
登盛満
ででむしの角のびきって象牙色
嶋村らぴ
ででむしや明るき雨の天主堂
釜眞手打ち蕎麦
ででむしや心に止まる本を買ふ
夢見昼顔
かたつむり地球回つてゐて怖い
染井つぐみ
女子寮の階段の下カタツムリ
日々拓人
カタツムリ無色の膜を祖なるもの
ハチ項前広場
ででむしや森の匂いの旧校舎
万葉剣
蝸牛うずまきに入る風の音
石井瑩
砂時計落つる粒音蝸牛
佐伯仙明
カタツムリ捕まえてると掴まれる
木下常和
結願の寺にやうやうかたつむり
重夫
かたつむり疲労が溜まる金曜日
ゆぅあ
まいまいや狂つてしまふ銀時計
駒よういちろう
ひっそりと花束の中蝸牛
そうま純香
かたつむり水天のうた歌ひをり
うからうから
蝸牛あとでケイドロするつもり
伊予吟会 宵嵐
蝸牛眩暈は急にやって来る
星埜黴円
生家まであと十歩ほど蝸牛
ほしの有紀
不条理なこんな気持をかたつむり
かん かんし
組立はあとネジ一つかたつぶり
竜胆
蝸牛どぅうるり恋矢でょろぶにゅり
鈴村朝人
かたつむり槍のやうには持つな傘
千波佳山
虚空より縄文の声かたつむり
穂積 天玲
雨の湯の町駅窓の蝸牛
希布
装甲は哀し戦車もででむしも
利尻
倒木に柔らかな雨かたつむり
芋 二郎
蝸牛漢方堂のガラス瓶
辻野 花
蝸牛二匹百円で売られおり
石崎京子
雨音のおとなふばかり蝸牛
峰泉しょうこ
ででむしや干す白帯のまだ固し
むらぴ
「我思ふ故に我あり」蝸牛あり
浪速の蟹造
右京さんぷるぷる蝸牛ぬむぬむ
あらい
かたつむり父より早く逝きし母
岡井風紋
まひまひに事情問ふなり国境
うはのそら
ででむしやたましいはうそつきですか
ひねもす
自転車に無賃乗車の蝸牛
宮川武久
図書館休館日マロニエの蝸牛
丹波らる
顔までも扁平足や蝸牛
和泉穣
ベーグルは月水金だけ蝸牛
泰山
蝸牛のろり相対性理論
中岡秀次
退院やによおんと伸びるかたつむり
剛海
重心を螺旋の芯へ蝸牛
戸部紅屑
蝸牛コインランドリーは廻る
素空
でで虫は死んだふり僕は生きたふり
空木眠兎
いにしへの波音を背に蝸牛
緒方朋子
土のみづ掴む爪先かたつむり
菅井香永
蝸牛ベートーヴェンの呪いから
高遠見上
かたつむり家裁へ到る道なりけり
る・こんと
ででむしや吾の悲しみのまだ小さし
ほんちゃん
ででむしの殻薄うして消えゆけり
栗田すずさん
べろべろに波打つてゐる蝸牛
大紀直家
蝸牛識字に鉛筆の重き
あたなごっち
蝸牛ぽろっと落ちて腐れ縁
花紋
観覧車うごかず朝の蝸牛
武者小路敬妙洒脱篤
方舟は満員なりき蝸牛
長谷川水素
水面にあるは曇天かたつむり
野村起葉
かたつむり一匹分の眠気かな
公木正
かたつむり動点Pの解示せ
青田奈央
まだ指に蝸牛居るやうな土
ベーグル
蝸牛タクシー二台停車中
向原かは
かたつむり昔戦争ありました
三重丸
丸ぢやない波紋の中を蝸牛
常磐 はぜ
蝸牛今日の眩暈は縦揺れか
大小田 忍
かたつむり蔓延る家はWi-Fi無い
ラガマフィン
青天とケッタにつぶれる蝸牛
リーい
海望む志波彦様と蝸牛
佐藤甘平
水の国目指して千里かたつむり
堀雅一
蝸牛塀の湿りを象りぬ
小沢史
悠々と避難通路のかたつむり
吉 や
蝸牛触れて生死を確かむる
永想
かたつむり学級会は多数決
日向こるり
大仏の広き手のひら蝸牛
ぼたんぴ
ひゅんひゅんと電波ででむし消えました
一斤染乃
空家あります蝸牛の不動産屋
岡田論子
半径の闇五メートル蝸牛
枯木 花
でで虫や庭一坪と二間がいい
柚和
核欲しい専守防衛蝸牛
三水
蝸牛や雨滲みゆく方丈記
新右衛門
虚をつかれ貝となり行くかたつぶり
円 美々
フェルマータの長さ蝸牛一匹分
あなうさぎ
でで虫のあとからついてくる時間
まるちゃんにいさん
保育園まで瓶詰めのかたつむり
苺井千恵
蝸牛かなしいときは雨舐める
澤田 紫
曖昧に生きてまいまい嘆くまい
かんこ鳥
蝸牛縄文土器の名残りあり
青木りんどう
ででむしの足曳くみづの重さかな
あずお玲子
ででむしにらいをん組のあつまり来
紺乃ひつじ
古井戸の母だけの家かたつむり
真宮マミ
蝸牛踏むに老農惑ふなし
ひだ岩魚
かたつぶり吾の半月板すりへりて
み藻砂
パラパラ漫画最速走る蝸牛
千曜 桜
でで虫をそつと地に置き花を伐る
宗平 圭司
ほぐれざる屈託ひとつ蝸牛
与志魚
待合室アクアリウムの蝸牛
髙橋弓女
月光の桟橋に棲む蝸牛
羽鳥藍坊
重力は渦かもしれぬ蝸牛
猫ふぐ
書き込みのある歳時記や蝸牛
鳥越暁
どしゃ降りの砦の木柵蝸牛
斗三木童
温厚で押し通したり蝸牛
杉尾芭蕉
蝸牛走り書きする伝言板
平としまる
平等は少し意地悪かたつむり
風慈音
蝸牛別れはキャリーケースのみ
太之方もり子
蝸牛鳴くや潮の香恋しさに
山もと あき坊
蝸牛死す霧吹きを怠りて
旺上林加
ガリ版の指の汚れをかたつぶり
石上あまね
墓地横のバーバーボール蝸牛
小笹いのり
プーチンの眉間に孤独カタツムリ
藤井舞月
蝸牛無限の入れ子開き消ゆ
法典
青い鳥文庫に手あかでんでん虫
雨野理多
不確かな不安は重し蝸牛
岸来夢
濡れ初むる大津波碑に蝸牛
水蜜桃
埋もれし門扉に時の蝸牛
村田かっこう
白杖の老婆の籠に蝸牛
蓼蟲
かたつむり星へ逆流する時間
あつちやん
日に何度起こされ畑の蝸牛@金カル
亜桜みかり
かたつむり口先だけの友ばかり
山川腎茶
バンガロー火起こす側に蝸牛
ぐりぐら京子
かたつむり金の螺旋となりきれず
平良嘉列乙
仮設の戸しめて眠るや蝸牛
糸川ラッコ
入墨の上を這はせる蝸牛
寺尾当卯
この家の売りは価格と蝸牛
あさのとびら
左目は父右目は母似蝸牛
小倉あんこ
かたつむり雨を唄ってきた経緯
大野美波
蝸牛使い終わった車椅子
矢野 弾左衛門
地図に這う指は北向き蝸牛
葉るみ
でで虫やお前の耳石は何処にある
安井コスモス
じゃんけんは不戦の誓い蝸牛
清水縞午
かたつむり太陽系に暮らしけり
山田知明
かたつむり歪な地学棟を這ふ
白プロキオン
見送りし数多の子等よ蝸牛
まぐのりあ@蚊帳のなか
漫喫のご常連なりかたつむり
伊藤柚良
殻といふ過去形を曳く蝸牛
葉村直
蝸牛ガウディを守るガーゴイル
トウ甘藻
かたつむり光る海抜5m
西村青夏@金カル
ずぐねりずぐねり蝸牛振り向かず
蘂六
遠征の列ぞろぞろと蝸牛
濃厚エッグタルト
きっとそのめまいはかたつむりのせい
正念亭若知古
丁寧にでで虫の這ふ百度石
大和田美信
寡黙てふ芯の強さや蝸牛
夏湖乃
ゴールデン・ドロップ翳りかたつむり
松山めゐ
講義あと45分蝸牛
コンフィ
蝸牛ステンレスにも葉にも飽く
ぐりえぶらん
蝸牛退職あとの十二年
露崎一己句
駅ビルはどこも似た味かたつむり
立石神流
蝸牛甥のなぞなぞ一日中
いたまきし
背に翅を生えることなき蝸牛
田中ミノル
ででむしや不眠不休の登り窯
安藝卯月
太陽の塔見ゆる窓蝸牛
清水 三雲
蝸牛きゆぽんと鳴いて剥がさるる
比良田トルコ石
にはたづみかたつむりの雨は音符
たつき
村営バス待つベンチに蝸牛
原島ちび助
窓に影裸電球蝸牛
美月 舞桜
蝸牛ありのままとは言うけれど
おんちゃん。
ランドセルぶんぶんでんでんむしはぶじ
いかちゃん
蝸牛つぼみのやうに殻を出づ
西村 棗
かさかさな指紋つやつや蝸牛
宮坂暢介
円周率に巻かれ蝸牛目を閉じる
藤咲大地
石塀の目地が標か蝸牛
ひぐちいちおう(一応)
かたつむり臆病者は蓋をもつ
石川聡
ラッパーの欠伸うつるや蝸牛
東堂ナス
木星の欠片色して蝸牛
山城道霞
独房は快適ですか蝸牛
音のあ子
重馬場を先読みしをる蝸牛
清水祥月
かたつむり女々しいという褒め言葉
清永裕子
定年の朝やつがいの蝸牛
クラウド坂の上
からだからしぼりだす目やかたつむり
中鉢矢的
かたつむり図書委員なら立候補
青居 舞
断層の軋み出す夜かたつぶり
南行ひかる
蝸牛行く森のすべてのみづ負ひて
海瀬安紀子
焦げくさき雨の墓標や蝸牛
いなだはまち
狛犬とあめをかぎあふ蝸牛
妹のりこ
蝸牛引っ越し後の段ボール
いちご大福
蝸牛ハングル刻む鎮魂碑
猫楽
雨粒のリズムでで虫との孤食
つづきののんき
飴色やまだ一巻きのかたつむり
雪音
雨雲に動くししむら蝸牛
対馬清波
見かけより悪いやつなり蝸牛
池田 凜
でで虫の後を尾ければ水神社
平野水麦
草の葉を動かぬ力蝸牛
三崎扁舟
蝸牛廃工場に棲まひけり
鳴海沓子
蝸牛名前付けられはや三日
パッキンマン
でで虫に触はれぬ今日に至りけり
北代晋一
蝸牛殻ぬぎたくてぬぎたくて
眠 睡花
カフカ読む靴先這いし蝸牛
白髭
貸出カードにまたこの名前かたつむり
くさ
蝸牛好きに時間を巻いている
楽花生
モカ二杯目便箋広げ蝸牛
東田 一鮎@金カル
磐座に眠りはかたく蝸牛
巴里乃嬬
蝸牛波うつや右眼の痛き夜半
笹野夕
かたつむり無声映画に雨の音
木染湧水
星に逆らい壁のぼる蝸牛
野中泰風
かたつむり殻に詰めたる起爆剤
吉川花ほっぺ
風天の旅暮らしかな蝸牛
宏峰
点滴のしづくの無音蝸牛
山田菫舎
白きすじ賽銭箱にかたつむり
どくだみ茶
熱の子の吐息ゆらゆら蝸牛
暖井むゆき
ゴンドワナを傍受してゐる蝸牛
さるぼぼ@チーム天地夢遥
かたつむり武蔵野線は左巻き
加藤栗庵
蝸牛瞑想の足しびれけり
大石紗子
蝸牛見た朝からの偏頭痛
雑魚寝
蝸牛ちいさき夜や雨あがる
桂葉子
狛犬の巻き毛を這へる蝸牛
むったん@狐狸山会
渦巻に数式かたつむりの銀河
天陽ゆう
爆音はへりこぷた葉の蝸牛
清水千種
角出して計る線量蝸牛
津軽わさお
資材置場ぬれて木の香や蝸牛
鶴屋桃福
印象が北斎春画蝸牛
正岡丹ん
さよならを聞きたくなくて蝸牛
鮎川広田
そもそものジェンダー論や蝸牛
乃の
次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
お待ちしています!
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