俳句ポスト365 ロゴ

中級者以上結果発表

2023年6月20日週の兼題

【曜日ごとに結果を公開中】

特選

  • 雷の全容銅板の匂ひ

    板柿せっか

    選者コメント

    夏井いつき

     この選評を書いている今、激しい雷が鳴り渡りました。空にはきっと「雷の全容」が、一瞬ありありと照らし出されたに違いありません。詳しい描写ではなく「全容」の一語で、読者の脳内に映像を再生させる手法は、後半「銅板の匂ひ」という比喩的嗅覚を添えることで成立しました。読者の脳内にて起こる言葉の化学反応を楽しませてくれる作品です。
  • 雷の悲しい自死のような時差

    二重格子

    選者コメント

    夏井いつき

     まずはピカッ! と雷光が走り、少し遅れて雷鳴が轟く。誰もが経験したことのある「時差」を、「悲しい自死のような」と比喩しました。雷光は自死の予告であり、雷鳴は雷の自死であるという詩的把握に驚きました。「時差」の一語は、それを読者に納得させるリアリティとして最後に置かれます。名詞止の余白もよく効いています。
  • 雷が善し神木の最期とは

    ふるてい

    選者コメント

    夏井いつき

     木への落雷という類想句は沢山寄せられました。が、いきなり「雷が善し」と言い切り「神木の最期とは」と着地する展開が巧い一句です。神木と呼ばれる何百年の大樹も、いつかは老衰や病気によって枯死します。いっそ、鳴る神とも呼ばれる「雷」によって焼かれるほうが、神の木らしい清々しい死ではないか。下五「~とは」の余韻も豊かです。

次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
お待ちしています!

投句はこちら