【佳作】
終電は一両潮の香の遠雷
雨野理多
雷のあとの神樹に触れざりき
ぞんぬ
雷の夜をしずかに冷ますタルト生地
よしぴこ
非常用電池すつぱい夜の雷
げばげば
遠雷や鴨居に足されある遺影
RUSTY=HISOKA
アスファルトに張り付く翅や日雷
江良 中
骨拾う母のひとかけ日雷
コーノ凡士
逆さまの竜骨洗はるる雷雨
碧西里
龍角散舌に遠のく夜の雷
沢胡桃
雷近し滅びた国の詩をうたふ
クラウド坂の上
雄犬のちんちん赤しはたた神
世良日守
雷を吸うて雲母のうまれたり
比良田トルコ石
水晶の赤き仏眼はたた神
吉武茂る
大利根の輕雷銀の渇きあり
トラヴィス・ビックル
はたた神ひりり目薬でてこない
うた 歌妙
ニッケル焦げる臭い大木裂いて雷
津島野イリス
遠雷や風の死骸の溜まる場所
桃園ユキチ
降伏の許されぬ島真夜の雷
桜井教人@金カル
遠雷のカフェ蝦夷鹿の肉赤し
コンフィ
雷激しラーメン鉢の底に龍
樫の木
遠雷や胎内記憶すこしこはい
横縞
山の気がびりびり日雷が来るぞ
理酔蓮
雷轟くや恐竜の喉の骨
ぐでたまご
湾岸のコンビナートを雷奔る
とんぼ
ミジンコの心臓は背に日雷
中山月波
静脈はみづうみのあをはたゝがみ
稲畑とりこ
遠雷は遠雷のまま父の墓
みうらけんじ
雷の夜を灯り酸っぱいブックオフ
眩む凡
遠雷や闇を手回ししてラジオ
うに子
雷神の足あと埃匂ふ窓
あずお玲子
バリ島の仮面ぎらぎら日雷
久森ぎんう
雷の不発きよらな心電図
まこちふる
高野槙を火柱とせしはたた神
音羽凜
雷にサイフォンの火の揺れにけり
洒落神戸
雷の夜の珈琲が生ぬるい
ぜのふるうと
雷烈々空の凹みの跳ねあがる
千歳みち乃
きしきしとさえずる骨やはたた神
そまり
野つ原に小さき宮居日雷
さとうナッツ
雷のまだ喉を鳴らしてゐる夜明け
ぐ
遠雷や鰐の瞼は上へ閉づ
きのえのき
はたた神星滑らかに均されて
せり坊
雷や母の吐息は歎異抄
ペトロア
四コール目は雷と重なりぬ
えむさい
雷や千の全裸が野を踊る
へな☆けん
明けすがし一夜雷産みつくし
あまぶー
雷激し赤べこの首揺れやまず
さいたま水夢
モルヒネにわづかな波紋夜の雷
立部笑子
採血は五本目遠雷の処置室
はぐれ杤餅
雷や広島ドーム錆ゆきて
細木さちこ
翻車魚のくきと動く眼はたた神
川越羽流
浴槽に湯を張り終はるまでの雷
田村利平
迅雷や鱗きはだつ松の樹皮
このみ杏仁
たとえばジャミラ鎮魂の日雷
一斤染乃
雷激し都市はジグソーパズルのやう
足立智美
いかずちや飛鳥に謎の石多し
ちやこ
遠雷や埴輪の目尻垂れてをり
Early Bird
遠雷やとわの不在に立つ団地
靫草子
鳴神に渇きたる夜の水道水
イサク
雷すぎて都市みづいろの痣となる
千夏乃ありあり
七対の乳首に子豚雷の風
清水縞午
電柱の細くなりゆく日雷
磐田小
雷鳴や廃墟のごとく石油基地
辻野 花
遠雷やタルチョはためく山の村
海月のあさ
鳴神や母を呑み込む12号炉
千代 之人
地雷に型番ひたひたと遠雷
ギル
いかづちや蔵書四万冊匂ふ
西村青夏@金カル
いかづちを睨む金剛力士像
Q&A
バリウムが飲めない日雷近い
ほしの有紀
雷は太く庄内田は深く
麦のパパ
雷去るや機長のあまやかなバリトン
謙久
雲は錆含みしにほひはたた神
砂山 恵子
雷の八頭身でありにけり
大塚迷路
雷激し開け放つ救急車の扉
犬山裕之
不登校の鎧カタカタ鳴らす雷
みうら朱音
雷光る無敵の姉とバスの中
ねむり猫
雷や応天門の鴟尾の黙
中岡秀次
雷の隅を進学塾煌々
むらぴ
躓いて風か木霊か鳴神か
はれまふよう
雷を直下に輸送の編隊
ひでやん
プレパラートに挟める鼓動日雷
TAKO焼子
骨壷へシートベルトを遠き雷
仁和田永
ピクルスの原色ゆたか夜の雷
古賀
九尾狐の如く雷の尾走りけり
いさな歌鈴
雷や赤く爛るる耳の裏
みづちみわ
辞令発令日雷けたたまし
Dr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部
日雷高千穂峡の昏きみづ
細川鮪目
咆哮の一度目は獅子二度目は雷
さとけん
遠雷や鉤に枝肉揺るがざる
はせがわ水素
一閃の雷無精卵に胚
井納蒼求
日雷火葬番号九の部屋
ひなた和佳
烏歌いて遠雷はレクイエム
たーとるQ
遠雷と同じ高さの尾翼かな
常磐はぜ
遠雷や吐息に震ふ薬包紙
トポル
次回の兼題も
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