類想一覧(選外)
雷やきよとんと泣き止める稚
奥田早苗
群読の声かき消すや雷響く
瞳子
教室の微睡み裂きしはたた神
篠川 翠
雷に「映える!」とスマホかざす子ら
六鬼威
迅雷や全身耳に夫を待つ
峰泉しょうこ
雷の御前にて皆おとなしく
ふみ
雷鳴にプラグ抜き差し大騒ぎ
田畑せーたん
遠雷や愚痴を打ち切る口実に
山水
遠雷や空暗くなり山煙る
大木典子
静寂を破って雷近づけり
午 勢至
鳴神の一家総出の打つ雷鼓
香壺
祖母の声腕に抱かれて震為雷
哲山(山田哲也)
雲の端のひかりて雷の轟ぬ
宮村土々
雷鳴や祖母に添寝のものがたり
ぶうびい
ブラウン管テレビじらじら雷の夜
ざうこ
雷鳴や一撃に耳劈けり
砂月みれい
回り道する遠雷のせいにして
佐々木ヨウジ
在宅の昼の雷膝に犬
亀田荒太
雷鳴や驚き抱きつき恋始め
雅蔵
天地裂き射竦めにけりはたた神
祖父江春翆
雷光や地獄へ辿る道しるべ
だけわらび
雷に遠吠えをするウチの猫
綿鍋雪
雷や物言ふ妻に耳痛き
佐藤のぶ子
雷よ何故に激しくのたうつや
せいしゅう
雷や間を数えつつ軒下へ
望月ぽん
停電のストロボのごとき雷
華風ルナ
雷鳴かすかプレー急がすキャディさん
かずポン
落雷に真つ二つかな大銀杏
菊池克己
お雷さま恵みの雨と言う人ぞ
はたやま こう
雷やジョンの尻尾は下を向く
白石美月
雷声の一喝宙の裂ける如
さぶり
ひとり居に尚更寂しはたた神
桜 萬山
雷鳴や補習終わりの帰り道
千葉睦女
雷の太き一撃心足る
富田健朗
雷の障子越しの光に触れる
はまお
ひたすらに夜の明くる待つはたた神
悪七兵衛
夜半の雷いまはひとりで見ています
大熊猫@四句八句
落雷に木の晒したる白き肌
佐久凡太郎
急雷やコースに伏せるプレイヤー
かとしん
雷や神速駆使し天地統べ
青柳修平
沖の雷竿かたづける波止の子ら
常盤あけび
雷雨去る舗道も木々も生き生きと
はなだんな
日雷ふと思い出す過去の厭
坂本宙海
雷の横に走るや剣岳
かりかり久助
迅雷やその魂に宿る神
山尾まり
はたた神へそを隠せと老いた母
鹿野善牛
雷の去って小庭のにはたづみ
てるきち
はたたがみ真夜の玻璃戸に貼り付きて
対馬清波
遠雷や戦禍に喘ぐ民のこゑ
小田龍聖
夕暮れの雷に急くパトロール
おかだ卯月
雷の去って膨らむ果実かな
戸井島はな
いかずちを落としたき彼の独裁者
小田慶喜
雷の遠ざかるまで休む夕げ
丘るみこ
夕空に時が止まりぬはたた神
蘇子
雷鳴にバンカーに伏す頰に砂
大阪駿馬
雷に慌てて納む箙かな
花仮面@ノエル
落雷や軒下にただ身を潜め
山川凛
雷や城跡の碑に強き雨
カバ先生
雷や雨連れ暴る次の地へ
kikuti-aya
雷に身をよせ合ひし日のいづこ
寿貢
雷や怯えた甥はもう二十歳
山本 マユミ
雷の苦手な父と好きな我
横山くみこ
雷鳴のとぎれて走る下校中
石岡女依
雷や犬のおへそを隠しけり
鈴木由花子
めらめらと燃ゆる恋文雷走る
夢堂
遠雷や旅立つ街はセピア色
坂口いちお
雷激し土蔵アトリエ閉館す
三泊みなと
雷や孫指定席爺の膝
後藤 方丈
落雷や「好きな人いる」と告げられ
Nakahara結月
登校の列を一喝朝の雷
愛燦燦
緩慢なこの国へ喝はたた神
きべし
遠雷に驚く犬や不穏なり
池田 凜
根を裂きて此れも落雷あれも又
ひろ志
雷鳴を待ちて飛び込む母の胸
斎藤文女
昼の風呂時差で距離みる雷や
北爪いく葉
迅雷に猫も怯えて身構えり
熊本 与志朗
雷も豪雨も聞かず手話続く
村田益次郎
遠雷や光も音も雲のなか
望月 円
雷の大樹貫く力かな
亀田かつおぶし
天地のうつぷん晴らすはたた神
リカ
雷や緊張走るグラウンド
平山千鶴
遠雷や友の安否がふとよぎる
福島 昇天
山頂は荒ぶる雷雨今下山
宮沢 韋駄天
雷に泣く子の内は懐へ
藤源卿
はたた神鳴神雷火の背比べ
堀ゆうき
三つまで数へぬ近さ真夜の雷
ひだ岩魚
雷は天の神様怒鳴る声
れんげ畑
遠雷やLINE既読の付かぬ夜
西川あきや
雷の午後ポテチ食いつつ本を読む
緑茶花
雷が落ちて想うは父の顔
中野京美
雷鳴やパニク・る犬の背中撫で
長操
雷に逐われ下校のランドセル
徳翁
雷近し耳塞ぐ手に重ねる手
からすちゃん
連太鼓打ち鳴らすかに頭上へ雷
たけぐち遊子
落雷やわずかの隙にゆきわかる
かぬまっこ
直走る稜線迫る霹靂神
駄々
分け隔てなく容赦なき雷や
岡根今日HEY
悪童の臍さがしゐるはたた神
たこぼうず
雷の遠く鳴ってる旅の宿
壱太
黒雲をギザと劈く雷の光
宮川武久
雷鳴にラジオの音をまた上げる
中里 蛙星
雷に森の洋館浮かびけり
俳句王
雷の予報サイレン置くクラブ
桃香
雷に心の乱れ呼応して
みしまちづる
雷で親父の膝に逃げる犬
梨山碧
雷神やラヂオに入るバリガガガ
ゆうじい
遠雷や臍盗られると子を寝かす
白井百合子
遠雷や昨日は眠れなかったわ
澄海まさと
雷の恵みの雨に肩寄せて
浪速の蟹造
雷や猫飛びあがる箪笥上
田中ようちゃん
雷落ちて遠く記憶の甦る
一茶お
雷や父の懐思い出す
山紗季茉悠海
雷の光走れば隠る猫
渥美こぶこ
雷様の落としていった太鼓どこ?
満る
雷の激しき夜を爺一人
飯沼比呂倫
雷鳴や君の手をとり駆け出した
詩ノ音
雷やしがみつく子にしがみつき
上村 風知草
雷の落ちて天地の繋がれり
田邉真舟
落雷の日常吹っ飛ぶ大爆音
堀居 外郎
洗ひたての地球の匂ひ雷のあと
小殿原 あきえ
雷に家事のスピード2倍速
岡崎ゆきこ
遠雷の追いかけて来る峠越え
森爺
雷鳴や龍哮り天を震はす
梨西瓜
雷や雨レ−ダ−はあと五分
小田ビオラ
雷の音に震えし吾子愛し
一碁一会
はたた神歌曲「魔王」のリズムで来
澤田 紫
伝承の神木雷で裂けた
ひと粒の種
ワイパー急く頭上をかける朝の雷
たなべ早梅
雷や父ちゃん早く帰ってきて
田中紺青
はたた神庭は太鼓の創生期
こいずみ泰志
遠雷やざあっと来るよじきにさあ
戸田なお
雷の砲撃続く眠れぬ夜
しろくも
雷鳴に負けずキャーキャー兄妹
松前 三月
雷鳴や昨日と違ふ空の色
ぎんやんま
雷にマウンド追われ背は丸く
鳥不驚
前触れの雷落ちて雨来たる
立野音思
落雷や平たく伏せる猫の耳
吉川花ほっぺ
靴あとと悲鳴かき消す雷の夜
竹村マイ@蚊帳のなか
雷や高層階で聞く太鼓
佐藤甘平
雷の聞こえる夜の帰り路か
帰宅部めんそ
雷に力を入れて漕ぐペダル
竹内ユキ
雷やいじめやいくさ戒むる
陶冶
目一杯鈍色に駆ける雷
永友ミィラ
書き掛けのペン先止まる雷の音
渡邉 花
次回の兼題も
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選者コメント
夏井いつき選
「いかずち・はたた神・鳴神・雷神・雷鳴・雷声・雷雨・雷火・雷響・激雷・遠雷・日雷・落雷・迅雷・はたたく」など多数の表現がある兼題「雷」。意欲のある方は、それぞれの表情やニュアンスを汲み取りつつ、作り分けてみるのも良いトレーニングになるのではないかと思います。
そんな今回の兼題「雷」ですが、「稲光」「稲妻」の投句が混じっていることには苦言を呈します。
歳時記を引けば分かることですが、「稲光」「稲妻」は秋の季語。夏の季語「雷」とは本意を異にします。なぜそう決められているのかについては、各々がきちんと調べて確認して下さい。これも大切な学びです。
さらに、 「春雷」「梅雨の雷」「冬の雷」なども寄せられましたが、これもまた論外。(念のためいいますが、季語ですらない「雷親父」は論外です。)兼題の季語の意味を調べてから句作に入る。それは、基本的な態度ですから、必ず実践して下さい。
【類想例】
◆ 雷が怖いので
・ 臍を隠す
・ 子供が怯えて親にしがみつく 泣き出す 布団や毛布にもぐりこむ
・ 蚊帳の中に入る(季重なり!)
・ 子供やペットと添い寝する
・ 犬や猫が驚く 小屋や部屋の隅に逃げ込む
・ 犬や猫が耳を伏せる 尻尾をまく
◆ 雷が鳴ったときの行動
・ 雷が鳴って光るまで何秒か数える
・ 「くわばら、くわばら」と唱える
・ 急いで帰る
・ 洗濯物をとりこむ
・ 近くの店などに駆け込む
・ コンセントを抜く パソコンの電源を切る
・ しゃがむ 低い姿勢をとる
◆ 雷のせいで
・ 子供が起きてしまう
・ 停電してしまう
・ ラジオやテレビのノイズ
・ パソコン等のデータがとぶ 壊れる
・ 試合中断 ゴルフを途中でやめる 部活中止 イベント中止
・ やりかけていたことをやめる(喧嘩とか話とか)
・ 店も早じまい
・ 巨木が裂ける
◆ 雷のおかげで
・ 好きな人と接近(雨宿りする 彼女が怖がってくっついてくる)
◆ こんな場面の雷
・ ショッキングな事が起きた(失恋 失職など)
・ 検査の結果を待っている
・ 一人(独り)の夜
◆ 雷の音は
・ 太鼓 ドラム ティンパニー
・ 鼾
・ 咆哮
・ 神 自然の怒りのよう
・ 雷の音にかき消される何かの声 音
→雷の音にも負けない何かの声 音
◆ 稲妻、稲光の様子
・ 龍のよう 蛇のよう ジグザグ
・ 一閃
・ 空 闇を裂く
◆ 雷が去ると
・ 去ったあとの静寂
・ 水たまり 草木の葉の雫
・ 緑が生き生き
◆ その他
・ 昔を思い出す
・ 恵みの雨をもたらす
・ ギリシャ神話のゼウス
・ スマホ →撮る 速報通知 灯る
以上、今後の参考にして下さい。
※今回の兼題「雷」中級者以上投句欄へのご投句は、投句数3939句、投句人数1598人となりました。以下、類想句の一覧です。