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中級者以上結果発表

2023年6月20日週の兼題

【曜日ごとに結果を公開中】

【類想】

選者コメント

夏井いつき

「いかずち・はたた神・鳴神・雷神・雷鳴・雷声・雷雨・雷火・雷響・激雷・遠雷・日雷・落雷・迅雷・はたたく」など多数の表現がある兼題「雷」。意欲のある方は、それぞれの表情やニュアンスを汲み取りつつ、作り分けてみるのも良いトレーニングになるのではないかと思います。


そんな今回の兼題「雷」ですが、「稲光」「稲妻」の投句が混じっていることには苦言を呈します。

歳時記を引けば分かることですが、「稲光」「稲妻」は秋の季語。夏の季語「雷」とは本意を異にします。なぜそう決められているのかについては、各々がきちんと調べて確認して下さい。これも大切な学びです。

さらに、 「春雷」「梅雨の雷」「冬の雷」なども寄せられましたが、これもまた論外。(念のためいいますが、季語ですらない「雷親父」は論外です。)兼題の季語の意味を調べてから句作に入る。それは、基本的な態度ですから、必ず実践して下さい。

 

【類想例】

◆ 雷が怖いので

・ 臍を隠す

・ 子供が怯えて親にしがみつく 泣き出す 布団や毛布にもぐりこむ

・ 蚊帳の中に入る(季重なり!)


・ 子供やペットと添い寝する


・ 犬や猫が驚く 小屋や部屋の隅に逃げ込む

・ 犬や猫が耳を伏せる 尻尾をまく


◆ 雷が鳴ったときの行動

・ 雷が鳴って光るまで何秒か数える

・ 「くわばら、くわばら」と唱える


・ 急いで帰る

・ 洗濯物をとりこむ

・ 近くの店などに駆け込む


・ コンセントを抜く パソコンの電源を切る 

・ しゃがむ 低い姿勢をとる


◆ 雷のせいで

・ 子供が起きてしまう

・ 停電してしまう

・ ラジオやテレビのノイズ

・ パソコン等のデータがとぶ 壊れる


・ 試合中断 ゴルフを途中でやめる 部活中止 イベント中止

・ やりかけていたことをやめる(喧嘩とか話とか)

・ 店も早じまい


・ 巨木が裂ける


◆ 雷のおかげで

・ 好きな人と接近(雨宿りする 彼女が怖がってくっついてくる)


◆ こんな場面の雷

・ ショッキングな事が起きた(失恋 失職など)

・ 検査の結果を待っている

・ 一人(独り)の夜


◆ 雷の音は

・ 太鼓 ドラム ティンパニー

・ 鼾

・ 咆哮

・ 神 自然の怒りのよう 


・ 雷の音にかき消される何かの声 音

    →雷の音にも負けない何かの声 音 


◆ 稲妻、稲光の様子

・ 龍のよう 蛇のよう ジグザグ

・ 一閃

・ 空 闇を裂く


◆ 雷が去ると

・ 去ったあとの静寂

・ 水たまり 草木の葉の雫

・ 緑が生き生き


◆ その他

・ 昔を思い出す

・ 恵みの雨をもたらす

・ ギリシャ神話のゼウス

・ スマホ →撮る 速報通知 灯る


以上、今後の参考にして下さい。


※今回の兼題「雷」中級者以上投句欄へのご投句は、投句数3939句、投句人数1598人となりました。以下、類想句の一覧です。


類想一覧(選外)

  • 教室の微睡み裂きしはたた神

    篠川 翠

  • 遠雷や愚痴を打ち切る口実に

    山水

  • 群読の声かき消すや雷響く

    瞳子

  • 雷やきよとんと泣き止める稚

    奥田早苗

  • 雷の御前にて皆おとなしく

    ふみ

  • 雷鳴にプラグ抜き差し大騒ぎ

    田畑せーたん

  • 迅雷や全身耳に夫を待つ

    峰泉しょうこ

  • 鳴神の一家総出の打つ雷鼓

    香壺

  • 静寂を破って雷近づけり

    午 勢至

  • 遠雷や空暗くなり山煙る

    大木典子

  • 雷鳴や祖母に添寝のものがたり

    ぶうびい

  • 祖母の声腕に抱かれて震為雷

    哲山(山田哲也)

  • 雷に「映える!」とスマホかざす子ら

    六鬼威

  • ブラウン管テレビじらじら雷の夜

    ざうこ

  • 雲の端のひかりて雷の轟ぬ

    宮村土々

  • 雷鳴や一撃に耳劈けり

    砂月みれい

  • 回り道する遠雷のせいにして

    佐々木ヨウジ

  • 在宅の昼の雷膝に犬

    亀田荒太

  • 雷鳴や驚き抱きつき恋始め

    雅蔵

  • 天地裂き射竦めにけりはたた神

    祖父江春翆

  • 雷光や地獄へ辿る道しるべ

    だけわらび

  • 雷鳴かすかプレー急がすキャディさん

    かずポン

  • 雷や物言ふ妻に耳痛き

    佐藤のぶ子

  • 雷に遠吠えをするウチの猫

    綿鍋雪

  • 雷よ何故に激しくのたうつや

    せいしゅう

  • ひとり居に尚更寂しはたた神

    桜 萬山

  • 停電のストロボのごとき雷

    華風ルナ

  • 落雷に真つ二つかな大銀杏

    菊池克己

  • 雷や間を数えつつ軒下へ

    望月ぽん

  • 雷やジョンの尻尾は下を向く

    白石美月

  • 雷鳴や補習終わりの帰り道

    千葉睦女

  • 雷声の一喝宙の裂ける如

    さぶり

  • 雷の太き一撃心足る

    富田健朗

  • お雷さま恵みの雨と言う人ぞ

    はたやま こう

  • 雷の障子越しの光に触れる

    はまお

  • 落雷に木の晒したる白き肌

    佐久凡太郎

  • 急雷やコースに伏せるプレイヤー

    かとしん

  • ひたすらに夜の明くる待つはたた神

    悪七兵衛

  • 夜半の雷いまはひとりで見ています

    大熊猫@四句八句

  • 雷や神速駆使し天地統べ

    青柳修平

  • 沖の雷竿かたづける波止の子ら

    常盤あけび

  • 雷雨去る舗道も木々も生き生きと

    はなだんな

  • 迅雷やその魂に宿る神

    山尾まり

  • 日雷ふと思い出す過去の厭

    坂本宙海

  • 雷の横に走るや剣岳

    かりかり久助

  • 雷の去って小庭のにはたづみ

    てるきち

  • はたたがみ真夜の玻璃戸に貼り付きて

    対馬清波

  • 夕暮れの雷に急くパトロール

    おかだ卯月

  • はたた神へそを隠せと老いた母

    鹿野善牛

  • 雷の遠ざかるまで休む夕げ

    丘るみこ

  • 遠雷や戦禍に喘ぐ民のこゑ

    小田龍聖

  • いかずちを落としたき彼の独裁者

    小田慶喜

  • 夕空に時が止まりぬはたた神

    蘇子

  • 雷の去って膨らむ果実かな

    戸井島はな

  • 雷鳴にバンカーに伏す頰に砂

    大阪駿馬

  • 雷に慌てて納む箙かな

    花仮面@ノエル

  • 落雷や軒下にただ身を潜め

    山川凛

  • 雷に身をよせ合ひし日のいづこ

    寿貢

  • 雷や城跡の碑に強き雨

    カバ先生

  • 雷の苦手な父と好きな我

    横山くみこ

  • 雷や雨連れ暴る次の地へ

    kikuti-aya

  • 雷激し土蔵アトリエ閉館す

    三泊みなと

  • 雷や怯えた甥はもう二十歳

    山本 マユミ

  • 雷や犬のおへそを隠しけり

    鈴木由花子

  • 雷鳴のとぎれて走る下校中

    石岡女依

  • 遠雷や旅立つ街はセピア色

    坂口いちお

  • 落雷や「好きな人いる」と告げられ

    Nakahara結月

  • 雷や孫指定席爺の膝

    後藤 方丈

  • めらめらと燃ゆる恋文雷走る

    夢堂

  • 根を裂きて此れも落雷あれも又

    ひろ志

  • 遠雷に驚く犬や不穏なり

    池田  凜

  • 登校の列を一喝朝の雷

    愛燦燦

  • 緩慢なこの国へ喝はたた神

    きべし

  • 遠雷や光も音も雲のなか

    望月 円

  • 雷鳴を待ちて飛び込む母の胸

    斎藤文女

  • 昼の風呂時差で距離みる雷や

    北爪いく葉

  • 迅雷に猫も怯えて身構えり

    熊本 与志朗

  • 雷も豪雨も聞かず手話続く

    村田益次郎

  • 天地のうつぷん晴らすはたた神

    リカ

  • 遠雷や友の安否がふとよぎる

    福島 昇天

  • 雷の大樹貫く力かな

    亀田かつおぶし

  • 山頂は荒ぶる雷雨今下山

    宮沢 韋駄天

  • はたた神鳴神雷火の背比べ

    堀ゆうき

  • 雷や緊張走るグラウンド

    平山千鶴

  • 雷に泣く子の内は懐へ

    藤源卿

  • 三つまで数へぬ近さ真夜の雷

    ひだ岩魚

  • 雷が落ちて想うは父の顔

    中野京美

  • 雷に逐われ下校のランドセル

    徳翁

  • 雷は天の神様怒鳴る声

    れんげ畑

  • 遠雷やLINE既読の付かぬ夜

    西川あきや

  • 雷の午後ポテチ食いつつ本を読む

    緑茶花

  • 雷鳴にラジオの音をまた上げる

    中里 蛙星

  • 雷近し耳塞ぐ手に重ねる手

    からすちゃん

  • 黒雲をギザと劈く雷の光

    宮川武久

  • 雷鳴やパニク・る犬の背中撫で

    長操

  • 落雷やわずかの隙にゆきわかる

    かぬまっこ

  • 連太鼓打ち鳴らすかに頭上へ雷

    たけぐち遊子

  • 分け隔てなく容赦なき雷や

    岡根今日HEY

  • 悪童の臍さがしゐるはたた神

    たこぼうず

  • 雷の遠く鳴ってる旅の宿

    壱太

  • 直走る稜線迫る霹靂神

    駄々

  • 雷に森の洋館浮かびけり

    俳句王

  • 雷の予報サイレン置くクラブ

    桃香

  • 遠雷や昨日は眠れなかったわ

    澄海まさと

  • 雷神やラヂオに入るバリガガガ

    ゆうじい

  • 遠雷や臍盗られると子を寝かす

    白井百合子

  • 雷に心の乱れ呼応して

    みしまちづる

  • 雷で親父の膝に逃げる犬

    梨山碧

  • 雷の恵みの雨に肩寄せて

    浪速の蟹造

  • 雷の光走れば隠る猫

    渥美こぶこ

  • 雷や猫飛びあがる箪笥上

    田中ようちゃん

  • 雷様の落としていった太鼓どこ?

    満る

  • 雷落ちて遠く記憶の甦る

    一茶お

  • 雷や父の懐思い出す

    山紗季茉悠海

  • 雷の激しき夜を爺一人

    飯沼比呂倫

  • 雷の落ちて天地の繋がれり

    田邉真舟

  • 雷やしがみつく子にしがみつき

    上村 風知草

  • 遠雷の追いかけて来る峠越え

    森爺

  • 雷鳴や君の手をとり駆け出した

    詩ノ音

  • 落雷の日常吹っ飛ぶ大爆音

    堀居 外郎

  • 洗ひたての地球の匂ひ雷のあと

    小殿原 あきえ

  • ワイパー急く頭上をかける朝の雷

    たなべ早梅

  • 雷鳴や龍哮り天を震はす

    梨西瓜

  • 雷や雨レ−ダ−はあと五分

    小田ビオラ

  • 伝承の神木雷で裂けた

    ひと粒の種

  • 雷の音に震えし吾子愛し

    一碁一会

  • はたた神歌曲「魔王」のリズムで来

    澤田 紫

  • 雷や父ちゃん早く帰ってきて

    田中紺青

  • 雷に家事のスピード2倍速

    岡崎ゆきこ

  • 雷の砲撃続く眠れぬ夜

    しろくも

  • はたた神庭は太鼓の創生期

    こいずみ泰志

  • 雷鳴に負けずキャーキャー兄妹

    松前 三月

  • 遠雷やざあっと来るよじきにさあ

    戸田なお

  • 雷鳴や昨日と違ふ空の色

    ぎんやんま

  • 雷にマウンド追われ背は丸く

    鳥不驚

  • 落雷や平たく伏せる猫の耳

    吉川花ほっぺ

  • 前触れの雷落ちて雨来たる

    立野音思

  • 雷の聞こえる夜の帰り路か

    帰宅部めんそ

  • 雷や高層階で聞く太鼓

    佐藤甘平

  • 靴あとと悲鳴かき消す雷の夜

    竹村マイ@蚊帳のなか

  • 雷に力を入れて漕ぐペダル

    竹内ユキ

  • 雷やいじめやいくさ戒むる

    陶冶

  • 目一杯鈍色に駆ける雷

    永友ミィラ

  • 書き掛けのペン先止まる雷の音

    渡邉 花

次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
お待ちしています!

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