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中級者以上結果発表

2023年10月20日週の兼題

【曜日ごとに結果を公開中】

特選

  • 駐禁の紙にも霜の降りにけり

    白猫のあくび

    選者コメント

    夏井いつき

     「駐禁の紙」という俗な素材を使い、「霜」のリアリティを描きました。「~にも」は散文的になりがちな措辞ですが、この場合は、「駐禁の紙」が貼られたフロントガラスにびっしりついた霜を映像化します。昨日からずっと駐禁の場所に置かれている車、「紙」にまで育っている霜。切字「けり」は、今朝ハッと気づいた詠嘆として十二分に機能しています。
  • 失職や霜の鉄扉に指の痕

    百瀬一兎

    選者コメント

    夏井いつき

     季語ではない名詞を「や」と詠嘆する上五は、中七下五とのバランスが難しい型ですが、巧く構成しました。「失職や」は大いなる溜息を含んだ詠嘆。ここから映像へきっぱりと切り替えた判断が的確です。「霜の鉄扉」は、自分の仕事場でなくなる場所の門扉でしょうか。「指の痕」という映像が作者の心情をも伝え、ドキュメンタリー映画のような味わいの一句です。
  • 鳥の死に清らな膜として霜は

    沖原イヲ

    選者コメント

    夏井いつき

     「鳥」としか書いていませんが、烏のような大きな鳥ではなく、雀や鵙、逃げたインコ等の小さい鳥を思いました。「鳥の死骸」と書けば即物的な意味になりますが、「鳥の死」には抽象的な意味も加わります。「清らな膜」は「霜」の実態でありつつ、死んだ鳥への祈りとも読めます。「清らな膜として霜は」の後の、しんしんと冷たく美しい余白に詩があります。

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