【並選】
霜の朝国境フェンス何色か
吉田涼太@
霜夜書く介護施設の契約書
みらんだぶぅ
なけなしの情けのしみる霜夜かな
うに
ビル影の霜や飛び込み営業マン
ペトロア
星空のつもりてしづか今朝の霜
しゃれこうべの妻
精霊の羽の綻びや霜の花
千葉羅点
霜の朝火星の土を踏むように
秋野茜
霜おりて神話は親が子を殺す
すりいぴい
霜晴や欠席謝意のメール打つ
達坊
締め直す眼鏡の小螺子霜のこゑ
石上あまね
霜の夜やお前が愛を語るなよ
閑々鶏
生ごみの堆肥の蒸ける霜の朝
横山雑煮
人が尾を忘れたるころ髑髏に霜
登りびと
岩風呂へ渡り廊下の端に霜
おこそとの
霜凪にヘリの発つ遭難海岸
出来筆樹
霜降りし畑全体震えをり
滝美音
斎場を父の遺骨は右へ霜
無弦奏
先陣の投票箱へ霜日和
さ乙女龍チヨ
霜の朝結晶はりんの残響
大
鬼の棲む森しづもりぬ霜の朝
愛燦燦
枕もとのラジオ外から霜の声
釋愚拙
校長の話は長しはだれ霜
木村ひむか
芝の霜はしゃぐ子犬の踏み残す
はなだんな
霜の声帆布を照らすフィラメント
綱川羽音
深夜の溜いき朝の霜は厚し
相沢薫
庭下駄の母の指痕霜降りる
平野水麦
霜の朝新聞痩せて届きけり
与志魚
街ぢゆうの霜の下なる日曜日
碧 萃生
蔵元の香立ちそめぬ霜の声
すがりとおる
朝霜や鍵屋之辻の路標
よぶこどり
しんしんと息の流れる霜の声
那須のお漬物
三度目の寝覚め深々霜の声
伊江かつじ
朝霜や津軽訛りのミーティング
赤馬福助
滾々と湧水温し霜の朝
相模仙人
ひもじさに啼きて猿の子の霜夜
中原柊ニ
葉脈に沿ひてひらくや霜の花
まこ@いつき組広ブロ俳句部
クリーニング取りに走るや霜の声
雫
咲かせておけ戦車の窓の霜の花
上市まさ
特養へ母と向かうや霜日和
山川凛
強霜やインターホンの鳴らぬ朝
増山銀桜
切株の湿り確かむ今朝の霜
清瀬朱磨
気球多多高きは逆へ霜日和
関津祐花
きしきしと鉄鎖の匂ひ霜の朝
村岡花風
霜の夜髪一本の落ちるおと
澤田 紫
遺言を書き始めたり霜の朝
吉崎赤絲
霜晴れやカフェの香と朝市の声
吉永那夫子
朝霜や豊麗線の硬き口
栗山おかか
父親似のなみだ袋や霜の花
花和音
玄関に星の飾りや霜のこゑ
伊藤恵美
霜の声雲は静かに空を食む
とも子
転校は慣れた垣根の霜弾く
大山和水
遥かなる馬頭星雲霜ふらす
涼月橋
静かなる母屋かすかに鳴る霜や
暇禍
醤油屋の甍重なる霜の朝
宇田女@ノエル
まず霜の降りたるを見る安息日
ハンマーヘッド会釈
今を吾を忘れる母よ霜眩し
香羊
愛犬ムサシ捜すチラシに霜うっすら
井上鈴野
三輪車の霜を払ひて駅向かう
ぽんたちん
霜の道踏みしめ森のこだま聞く
峰 乱里
かなしびの三重奏や霜の声
六花
墓碑めきたり深霜のメガソーラー
秋津穂 実
飽和する瓦礫の街やはだれ霜
高永 摺墨
霜凪の出航深夜のクルーズ船
ゆすらご
虚ろなる実家の窓の霜の花
原 水仙
霜踏んでいた頃こわいものしらず
絵十
霜の墓ひかりへ鳥の飛び立てり
村瀬ふみや
佳き朝よ畑一面の霜の花
淡湖千優
竿に未だ洗濯ばさみ褪めて霜
福田みやき
朝霜や湯気くつきりと酒の蔵
ときめき人
大阿蘇の朝陽にたわむ草の霜
立石神流
三行の旅信霜の花に余白
羊似妃
遠征の猫の報告霜の朝
池 閑茶
夜の霜飲めば苦しき薬かな
深草あやめ
廃墟島草叢あせて霜あたらし
るびちゅ
強情な父の不眠に霜育つ
神谷たくみ
ロボットの足は錆びゆく霜の中
橋本有太津
しりしりと鼓膜の震へ霜の朝
でんでん琴女
羊水の子牛ひと鳴き霜の朝
清水縞午
残る月霜野に時はうつろはず
片山蒼心
けさの霜腹まで濡るる短足犬
白井百合子
霜を踏む音をアナタへ届けます
望月とおん
霜の粒ガラスの空の四方に角
北藤詩旦
どもりつつスキャットるるる霜光る
染野まさこ
僧の引く庭の砂紋や霜の朝
翡翠工房
霜の夜やコンクリートの街の銀色
笑酔
枝折戸に鳥の来てをり霜日和
岡山小鞠
追ひ切りの駿馬霜の香の蹄鉄
伏見丹耶
ビブラフォン奏でたような霜魅せて
織 紫子
強霜や出征写真皆真顔
渡辺香野
茶畑に霜降り波のうねりかな
中村 自在
延長保育霜の門扉の軋み
千代 之人
ソプラノのピアニッシシモ霜の声
正念亭若知古
霜降ればドストエフスキー読み始む
楽和音
霜降りて海の鳥居の不動なり
広島じょーかーず
朝霜や猛き心のままに踏む
庭野環石
朝霜や東の屋根に鳥集ふ
佐久凡太郎
減便の最寄りバス停霜の朝
ふくびきけん
暁にほの匂ひけり霜の花
紅 珊瑚
使はれぬ野外ステージ霜の声
中島走吟
霜の朝振り返る子のVサイン
柚明楽
放棄書の封筒開く霜夜かな
岐阜の鮎
踏まぬやう霜珍しや踏まぬやう
大阪駿馬
残月の去りし甍に残る霜
瀬戸ゆらり
伊那谷の霜の便りや一人住む
寺嶋杳杳
朝霜や金平糖に甘き棘
鶴小なみ
おむすびの味噌の焦げゆく霜の朝
内田こと
朝霜や単線の枕木は固し
くみくまマフラー
ニュースが嫌でトースト濃いめ霜の朝
野山遊
シーソーの傾く霜の重みかな
蜘蛛野澄香
薄荷味の飴ぢやねえかよ霜日和
丁鼻トゥエルブ
夜勤明け車に霜と陽の境
清瀬ハイジ
琴線を磨き給ふや霜の花
日々拓人
青空を花一面に玻璃の霜
陽光樹
見当たらぬ餌付けの猫や今朝の霜
比良山
霜降りぬ眠りに入りし多年草
じゅんこ
口悪き人の横顔霜の道
伊予吟会心嵐
木霊する霜に朝日の牧草地
山尾政弘
霜の朝痺れ覚ゆる学びの日
川辺世界遺産の居候
霜の花拒否権一つ行使せり
そまり
霜の夜や保線員吹く呼子笛
野々村澄夫
霜白き牛舎の屋根も又白き
鈴木由花子
霜厚く門へ足跡二往復
雅屋少将
霜の声模様ガラスの星々よ
四丁目
降り立ちて霜一面の無人駅
有田みかん
深霜や今日も睡眠導入剤
さくら悠日
青空の今日の光を草の霜
水木合歓
霜の声余命を覚悟して生きる
愛柑
悔い深し一足ごとに朝の霜
徳翁
磴を踏み朝霜をふむ山日和
東太
朝霜やまたひと眠りする母と
村上薫
影喰うてざつくり霜の実りかな
蜥蜴の尻尾
霜降りてタイヤ燃やすや北の国
鈴木古舟
バリバリと蟻の背丈の霜踏めり
ほしのあお
賄いを外のベンチでとって霜
城内幸江
せん妄の父の軍歌が泣く霜夜
花南天anne
霜光る朝合格の知らせあり
みしまちづる
大霜やブラバンに弦バスの孤独
後藤三梅
老人の勝手に喋る霜の朝
小木さん
本鈴が終わっても枕木に霜
江口朔太郎
三千歩ノルマ引っ提げ霜の道
志古女
一睡もせずオペの朝霜の朝
壱太
霜の道記憶の層の潰れゆく
宮武濱女
夜気の声ひそと届きて霜の白
信木庸子
校庭の倉庫の陰の霜と我
坪山紘士
朝霜や精神科医の路地花壇
西田月旦
霜ししし畝の結球きゅうと鳴る
一斤染乃
寺瓦規則正しく霜置けり
洋々
考の沓うらがへりたり霜の花
時まる
朝霜の棺を送り鉢に水
小川都
吾は斯くも醜きかたち霜の朝
もりさわ
霜降りて樹々むらさきに沈黙す
綾竹あんどれ
覗き見る車窓の霜の削りあと
芍薬@独逸
霜日和けふ食べ頃の山羊チーズ
西村青夏@金カル
朝明けの畷の霜の燻銀
若林鄙げし
一つまた一つと霜の背丈かな
月岡方円
霜の夜や俵積みせし貯木場
Dr.でぶ
逞しき牛の反芻今朝の霜
佐藤志祐
引越しは二トンで足りる霜の朝
うみのすな
病名が欲しい青女の来る夜は
ノセミコ
首のなきマリア地蔵よ霜しづく
えりべり
味玉のサービス無くなりし霜夜
ちょくる
霜を踏む姉の子供に菓子を買う
なつめモコ
霜霜霜走つたところで遅刻
ひでやん
「苦海浄土」そろりと開く霜降れり
亀山酔田
頭蓋骨きしりきしりと霜の朝
祐
屋台ごと湯気に包まれゐる霜夜
酔下弦
霜の窓胸より痛い薬指
春風流士
朝霜の上行く始発列車かな
原島ちび助
縣境の小さき石碑や霜の花
灰色狼
霜晴の庭に頬張るチョコレート
紅三季
尻痛し火曜プラごみ霜睨む
馬門宗太
霜の声地雷の眠る野や畑
乃の
依代を求めあえかに霜おりぬ
まるにの子
母逝くと深夜の電話朝の霜
細木さちこ
瞬きの音の聞こゆる霜の朝
⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部
夜勤明け目に沁む霜の花綺麗
松風花純
霜の置く戦車肥沃の地にはぐれ
山 ゆり
霜は葉に静寂は街に鬱は身に
河野灰土
シから曲は始まってゆく霜の声
ほうちゃん
ランナーの集ふや霜の河川敷
日向こるり
霜晴や布教勤しむ人の列
小山 晃
ペンギンの姿勢良きこと霜の朝
空井美香
今朝の霜塩味の芯に染む重湯
三水低オサム
霜晴れや陽に預けたり子等の靴
きべし
超新星爆発白色矮星地上乃霜
杉岡ライカ
霜の夜や憲兵さんの靴の音
はるく
階段を踏む音響く霜夜かな
塩野谷慎吾
霜凪ぎの夜に留まる船尾灯
対馬清波
牛の尿のゆたかな湯気や畑の霜
ほしの有紀
急逝の一報受けて朝の霜
ツユマメ@いつき組広ブロ俳句部
薬盆だけの寝床や窓に霜
渡邉久晃
霜畳散らして歌ふ餌当番
おかげでさんぽ
霜キラリ夜の名残りを惜しみけり
鶴岡木の葉
開店の給油所霜の計量機
星月彩也華
霜の夜名前埋まらぬ当番表
関椿
霜降るといふ星々のしづかな詩
古賀
六弦の指や霜夜のハモニクス
さざなみ葉
路地裏に縦長の空霜降りぬ
坪田恭一
夜の吐露は黙となるらし霜の朝
文月蘭子
大霜の詩え詩えと降りにけり
空山プラネタリウム
欄干に手型二つや霜の朝
林真紗湖
庭に投げしコントローラに今朝の霜
ぐりえぶらん
ワセリンの白濁美しき霜夜かな
多々良海月
霜晴や始発電車のシャープ音
上山凡仁
アワと鳴く鴉ども来る霜の朝
山川腎茶
青女来ぬまづは珈琲淹れやうか
佐藤さらこ
やはらかき土やはらかき霜咲きぬ
佐藤レアレア
田の神の山に戻りて霜の降る
小林番茶
霜薄し貨物列車引き込み線
白石 美月
霜踏んで校庭奥の飼育小屋
喜多丘一路
小さく吹くとろみの汁や霜の朝
葉るみ
霜夜に吾を残す君の白きベッド
カリヨン
自転車の裸足の力士霜日和
華風ルナ
ドイツより来し雲水や霜の道
英子
鬼の子の夜泣きの止めば霜の声
足立智美
母寝かせ介護日誌を閉づ霜夜
芋 二郎
事故現場カーブミラーに霜の朝
横山 三水
千片のひかりの和して松の霜
あるる
霜の夜テラスで潰れられぬ酒
天照昭光
霜夜来しヤマタノオロチ尾は八つ
立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部
出産を待つ牛舎の灯り霜の声
いつか
人間はかざりの木葉霜日和
ほこ
窓に霜つくえの白湯は五十五度
坂口いちお
霜の朝二両列車のしんしんと
千の葉
微塵なき畑の霜踵を返す
久下 真一
頁繰る指先白く霜の声
河村静葩
朝霜が眩し両家の顔合わせ
土井あくび
ない震るの夜明けや霜の降りかかる
国東町子
横綱の四股はたくまし霜の朝
新濃 健
植物誌さがす古書店霜日和
渡辺十把
朝霜のローズマリーを摘みにけり
卯月紫乃
午前五時ワイパー痕に霜の花
小田毬藻
霜夜の厨鉄板焼きそばの香
まるかじり
朝霜の架線に放つ火花かな
永田千春
徹宵の頁捲らば霜の声
青木りんどう
深深と霜降る夜の乳臭し
亀田かつおぶし
霜白し荒ぶ心は鉛色
リカ
無人販売の菓子缶光る今朝の霜
ふのんへん宗悟
黒々とバジルはだかる霜の朝
夏湖乃
霜の戸を叩きつづくる人や誰そ
青柿
霜の朝ともかく朝餉靴磨く
藤鷹圓哉
手を取りて霜の先へと歩き出す
成瀬源三
霜というわくわくを次次壊す
ヤヒロ
飛火野は一面の霜鹿走る
茫々
霜光る黒く光るや斜陽館
橋本鳩子
徹マンはプラマイゼロか霜の帰路
村上継鳥
顔認証霜の重機を起動す
天雅
お隣へ裏から回る霜の朝
遊羽女
霜を踏む、水銀燈の砕け散る
haruwo
子が描く猫は硝子に今朝の霜
加藤水玉
霜の声立体交差の静止画像
鈍亀
朝霜や猫のふんほんの今しがた
鳥乎
裏山のほだ場に霜を踏む朝
竹田むべ
弱き歩へひかりを点す霜の花
熊谷 温古
失せし香の海風のこゑ霜の声
水鏡新
通夜明けて書割めくや霜の朝
虎穴虎児
読みとけぬ句集の余白霜あかり
つづきののんき
強霜の車の窓に猫の顔
猫ふぐ
霜晴や屋根の鳳凰飛ぶ構へ
木村隆夫
霜の花のらねこ集う赤字線
星野はいかい
深霜や最安米を抱く老女
北青山晋
霜の夜は星が一斉に落ちそうな
円美々
試験日の延びゆく白き霜鉄路
acari
熱帯の霜降る村に人棲みて
たいらんど風人
九十歳の母の長靴霜の声
越前俊水
霜の朝煙草を止めて十余年
堀雅一
錆びつきし鉄路の果てや霜雫
風の木原
霜晴や手洗器吊る外厠
一港
朝霜や今日の商談うまくゆけ
Kかれん
しみじみと月命日の霜降りぬ
小和布
採血の青あざ引かず霜の朝
永想
ビルの窓伝ふゴンドラ霜日和
安春
霜の夜音も寝ている楽器店
風の鳥
夜勤明け白衣のままに霜だたみ
余田酒梨
夢に会ふ犬に霜降る野原かな
さとうナッツ
霜の声聴きつ巡回常夜灯
池田 凜
霜の朝祝福されし鴉鳴く
釜眞手打ち蕎麦
ピアニカの音の平らや霜日和
月見柑
脈動にわりなき霜の鱗かな
翼つばさ
落葉松の金の絨毯霜の朝
奥田早苗
停電の解けてじじじと霜が鳴る
公木正
朝霜やアーミーメンの機関銃
アニマル可秘跳
かわらけの墓場の渓や霜ふるふる
林りんりん。
ガレージの霜溶かすまで素振りかな
あねもねワンヲ
大霜や咄嗟の雲の白きこと
つくも果音
霜崩す安全靴の傷だらけ
松田てぃ
降り残す霜彼方此方に藁人形
ま猿
霜の朝小屋へショベルの代執行
吟 梵
星雲の息吹きかけて草の霜
匹田小春花
霜の夜や千枚漬を削る音
吉 や
故郷の再生ポスター霜の駅
斗三木童
霜の声これで仕舞いと樽に塩
妙
鍵まわす音に輪郭霜の朝
阿部八富利
スーパーカブのハンドルへ朝四時の霜
夏雨ちや
配り終えさっきの吐息霜となる
田畑せーたん
コンクリのゴルフ御殿よ霜日和
ぉ村椅子(志村肇)
点滴のかすかな音や霜の夜
おかえさき
窓霜のアート太陽とのコラボ
塩風しーたん
つとめては霜や世界はオニキスに
男鹿中熊兎
深酒にぶるると小便今朝の霜
浪速の蟹造
霜や基礎体温に因るなら今夜
司啓
デフロスターに負けて悔しい霜だらう
福原あさひ
霜の畔蹴り班長の後ろゆく
久保田凡
全身ににじむ汽笛や霜の夜
三崎扁舟
クレーン車立ち上がる霜迸る
さとけん
金網のフェンスの霜や胸を刺す
そうま純香
出漁へ霜の榾木を焼べにけり
香壺
霜解を退院の日のスリッポン
仮名鶫
たましひの母と霜ふるひと夜かな
村木年子
約束を果たさん霜の消ゆる間に
dragon
農家へと霜注意報流れけり
もふ美
火葬場の煙は白し霜の凪
あさぬま雅王
嘶いて駸駸と鹿毛朝霜を
飛来 英
手を振られ霜のマイカーお出掛けす
山水
数独に挑む夜更けの霜の声
嵐菜
霜踏んでいつもと違う吾も犬も
平林政子
やな事をかみ砕くやう霜の道
夏 しのぶ
霜強し病棟採血当番日
植木彩由
一霜や君の置き行く駐車跡
野瀬藻石子
霜の朝計量器の塩ひんやりして
白井 佐登志
東京のわが六畳に降る夜霜
渡海灯子
明けて霜母の独言やっとやっと
紫水晶
お太鼓をきりりと結ぶ霜の朝
星影りこ
深山の深き眠りや霜の花
松元転石
霜の朝をんなは眉を描きにけり
樅ノ木・ライラック
野晒しをすべて縁取る霜の針
木村となえーる
郵便のカブ二度往けり畦の霜
犬山裕之
霜晴や難関校の鉄門扉
蒼空蒼子
鳴雪の髭に触れたる霜の声
亘航希
しんしんと世に在り霜の声しきり
桔梗
どんどんと霜夜の扉「ムラカミセンセー」
冬のおこじょ
霜の橋渡りはじめは乗合バス
木寺 仙游
ツアーバス乗り場は何処朝の霜
苺井千恵
入院の父せん妄は霜夜へと
松井くろ
霜へばりつくまま朽ちよ戦車砲
佐藤 位相朗
ドヴォジャーク川面かがよふ霜の朝
西浦 貴浩
片麻痺も半年経ちて今朝は霜
玖良咲
門川に野菜洗ふや今朝の霜
蒼鳩 薫
霜夜明け地球の色の薄まりぬ
かつたろー。
霜の残酷は木の葉の縁からさ
宇野翔月
霜晴や手をあてて樹の中の音
夏 六葉
朝一番霜ごと握る逆上がり
鈴白菜実
幾層の読経響ける霜の屋根
竜胆
霜晴や煙草の箱の中は空
ゐるす
終礼の白鍵すべる霜の朝
滝上 珠加
霜晴や目の前で空く駐車場
山田絢爛
自転車を弾ませて霜爆ぜて朝
西田武
霜すまん道普請あと三時間
岡根今日HEY
霜も詩も降りて覚醒する朝だ
島田あんず
寝ねかてに盗み酒する霜夜かな
ひだ岩魚
美しき擬宝珠の橋や霜日和
柿司 十六
明け方の牛舎へ霜の猫車
岸来夢
霜の夜を星の王子を友として
ピアニシモ@金カル
足裏のかなしみ霜の光る野に
ふじこ
はだれ霜避けて雀のついばめり
ルーミイ
霜満ちてなおも戦車の轍みゆ
藤 無南
青物をつちかふ人へ霜の声
山内順子
跳ぶがごとく吾子育つ霜の靴跡
反芻医
霜晴や土の匂ひの犬の鼻
刈屋まさを
越境の高校受験霜の朝
露崎一己句
霜の朝ユーロ散らばる販売機
野澤真澄
アクセル重し朝霜のカーブミラー
山羊座の千賀子
定年日擦れ靴の音行く霜路
松永恕淳
霜育つ昨夜の諍ひ知らずして
椋本望生
漁小屋の煙出しあり霜の屋根
君島笑夢
やつはまだか車止めポールに霜
月枝いと
朝霜や父の履くはずだつた靴
小西天
霜晴れや遥か連山黒々と
渡邉 花
日のひかり経緯にする霜だたみ
ふんちん
朝霜やインクの染みた古机
花はな
青女来て町が目覚める飯の湯気
高井大督
下駄の歯や汀の葦に霜冴えて
山口雀昭
営門の霜に不動の歩哨かな
星埜黴円
霜の夜の交番に引き取りし吾子
ジン・ケンジ
シーツ剥ぐ真珠色した窓の霜
山田蚯蚓
浅煎りの豆挽く朝や霜日和
姫川ひすい
唐寺の魚板のひびき朝の霜
入口弘徳
始発前まつばちらしの霜の花
明惟久里
霜晴や担任を待つ進路室
コーヒー博士
霜凪やポロンと掲揚ポール鳴く
中村一烏
をちこちの巣箱がら空き霜雫
月影 重郎
風神のカンバスとして霜の花
いその松茸
草の色霜の鎖は解けけり
鮫島しょうん
富士見ゆる薩埵峠(さったとうげ)や霜の朝
森一平
霜の降る暗夜の門を犬二匹
坂土海夏
軽トラの坂道発進霜の朝
縁穐律
衛星のエウロパからの旧き霜
青柳修平
野仏の霜掃いたる遍路かな
田中美蟲角
愛犬の墓ふくらみて霜の下
伊藤順女
一品の朝餉貧しや霜の朝
リーガル海苔助
お日様の舌あたたかし霜の花
空木眠兎
霜の夜やざくりざくりと過疎の村
酒井春棋
草の霜しだかる獣道と思ふ
靫草子
病窓を覗き降りゆく霜の声
み藻砂
霜の橋渡らば考の無精髭
森 日美香
大脳に虚子の声とも霜の声
田村利平
霜雫友をなじった夜が過ぐ
ふくろう悠々
霜どけの畑にぽつねん手馴れ鎌
佐藤これ凡
外科回る初日や霜の厚いこと
新樹番人
シャッターは幾日開かぬ明けの霜
岩本じゅんじゅ
霜強し自己紹介の趣味は嘘
東山すいか
霜晴のス―ツケースのタイヤ跡
さんざし
米を研ぐ母の半纏霜の花
山本蓮子
霜の花急がぬバスを待つてをり
大和田美信
切株に日輪もやう霜日和
月石 幸
朝霜や職業「無職」と十九年
薄安
始発駅蔓延る霜のベンチかな
高岡春幸
靴裏にくるると響く草の霜
畑山六十二
ゐない娘が數式を編む霜の花
トラヴィス・ビックル
ここまでで終る舗装路冬日和
慢鱚
パッカー車の青は遠くへ霜だたみ
としなり
あたらしい一日にまっさらな霜
明後日めぐみ
生きるのか生かされるのか霜の声
蓮田 つばき
ふつつかな高二を連れ戻す夜霜
きゅうもん@木ノ芽
霜の夜の樹々の語らふ古戦場
村上優貴
切株の地平しらしら霜の森
仁和田永
朝霜や新聞紙が少し、硬し
秋田俳楽
丹念に一歩霜踏む母の杖
竹村マイ@蚊帳のなか
一兆の二乗分ほど三の花
コモドドラゴン
旅立ちは青空薄き霜の朝
鷹星
すかすかと口笛ふいて霜の朝
向原てつ
暁霜の包囲せしめる一斗缶
外鴨南菊
木々の名を記すテープの縁を霜
ノアノア
錫杖のしゃりんしゃりんと霜の声
HNKAGA
割れさうに鳥の羽ばたく霜の朝
久森ぎんう
尚更に母思ほゆる霜の夜
石塚彩楓
うかみ眠らむ霜のてがみの出来るまで
青水桃々@いつき組俳句迷子の会
夜勤明けの明星窓に霜の花
小川しめじ
霜の夜百円玉を拾いけり
大林檎畑
霜晴や鼻孔の奥のきゅんと鳴り
玉響雷子
霜や朝日にカーナビと紙の地図
京野さち
踏切の朝霜やペダル踏み待つ
名出 結希人
霜を歩く硝子の道を行くやうに
ふじかつとび
工事場の穴の中にも霜の花
いなほせどり
夫寝まる白湯飲みて聴く霜のこゑ
佐藤のぶ子
ソネットを囁きゐたる霜の声
晴田そわか
霜降るや挨拶太き駐屯地
安溶二
躓くは霜のひと針あゝ足よ
吉田竹織
沖待ちの青きラムプやはだれ霜
まるちゃんにいさん
休日の散歩の理由霜の花
宮坂暢介
朝霜やラジオ伝えるウクライナ
宝塚御殿子
霜残る街へ外出許可願
イサク
白山は神の欠片を霜とよび
在在空空
一枚の大霜街を黙らしむ
和泉攷
霜の声朝が産み落とされる声
土屋郷里
傾きし犬舎の霜を指で拭き
山蔦 周平
フロントの霜の符牒や今日は吉
宮村土々
着物縫ふ徹夜の影や霜の声
布村 柚子
霜の声デモ等準備罪施行
野点さわ
霜の朝退所の母のかろき羽
伊藤 柚良
霜の朝訃報一日だけもどれ
もぐ
霜の夜の二丁目までの家出かな
藍創千悠子
霜は人まぶしく意外としぶとい
英ルナ
霜の夜のココアに溶かす今日の澱
どいつ薔芭
霜の潔し6時のラブホテル
青井園蜩
「癌だとさ」霜溶けゆくをただ見たり
宮原渓秀
霜の夜波の近づく音すなり
田中恭司
畦道に靴跡残る明けの霜
星夢 光風
彗星の尾は伸びてそこここに霜
境沢一輝
日輪の光道連れ霜雫
一生のふさく
声硬き電話は庭師けさの霜
謙久
うす蒼き月のにほひや朝の霜
やまさきゆみ
肋骨のひびの疼きや霜の朝
青野遊飛@蚊帳のなか
ディーゼルに海苔弁食めば窓に霜
たけぐち遊子
青き葉のずるりと黒く霜の朝
落人家楽人
霜ついた愛はもうだめ腐ってる
Nakahara結月
霜踏んで夫の施設へ古木椅子
金森連蓮
十七回目の転校や霜の宿
空郷 阿房人
霜降って完成品の泥団子
美年
霜晴や二駅先の図書館へ
中井無心
日雇いの穴開き足袋や霜を踏む
岩瀬正人
霜の声アイロンしゅっと匂う夜
中村すじこ
孫十人金の成る木に霜の花
渥美こぶこ
モーツァルト酒に聴かせる霜夜かな
阿曽 遊有
鋭角の霜育つ夜君の黙
虹岡思惟造
蹠の水虫騒ぐ霜の夜
嶺乃森夜亜舎
霜晴や母と始めるフラダンス
沙那夏
霜警報遠吠えのごと夜を走る
一久恵
明滅の重し霜夜の誘導灯
白プロキオン
充電器壊れ霜夜のスマホかな
フージー
霜を掃く火の玉となり掃き尽くす
愚老
革ジャンで行く霜解の丸の内
Q&A
朝練の霜の具合を見る係
山本先生
朝日射す車窓に霜の孔雀かな
小島やよひ
夜間工事終盤土塊に霜
だっく
剥き出しの水道管に霜痛し
トポル
父親の新車の霜にドラえもん
季切少楽@いつき組広ブロ俳句部
朝市の霜の幟の靡きだす
岩本夏柿
見上げれど出て来ぬ星よ霜の声
立野音思
草の戸や枢の軋む霜の朝
森爺
霜晴や母のひよりを履いてみる
草間八千代
朝霜や鼻の痛みが空を突く
伊沢華純
朝霜や妻が差し出す老眼鏡
平としまる
宝くじ売場の陰の霜深し
海峯企鵝
食べられる緑は全て霜の下
戸井島はな
朝霜の白きを崩し野良の猫
三島ひめばしょう
霜の朝見知らぬ指に手を引かれ
ねむり猫
霜だたみ乱す二本のタイヤ痕
山本たか祥
真っ青な空の固めし霜の庭
富山の露玉
外窓を霜の樹形図覆ひけり
郡山の白圭
寿陵墓の朱ひとつ消ゆ霜の朝
北欧小町
無が八分欲が二分にて霜に発つ
一の橋 世京
朝霜の降りたる頃に背が伸ぶ子
風来坊健丸
多肉より多肉へ霜の繋がるる
川澄次男
出張で南へ向かう霜日和
清鱒
霜の夜や遺品は平和とふ煙草
山田不律
霜踏んで母の知ること知らぬこと
蔵原 貢次郎
葬送の轍を残す霜の朝
川島 欣也
霜を踏み猟友会が出動す
バンブー
霜踏みてセメント捏ねる父の背中
東原桜空
霜降りる爪が伸びたことに気付く
藤田味
糟糠の妻特養へ霜の夜
妄児
枕木の霜よ祖国崩壊せり
松本ひとり
朝霜に吊り橋少しやわらかい
木染湧水
走る走る霜が噛み付く箱根山
アンサトウ
一村は霜で連なり眠るなり
辻野 花
霜を灯して眠りの中の空母かな
卓鐘
火入れ式山の学び舎霜が降る
西風 心鏡
子育ての鼬に屋根裏かす霜夜
まぐのりあ@蚊帳のなか
わが街を端からまぶす霜の朝
田口大寒六
海凪いで旅の目覚めや霜の声
夏の町子
一人居に谷村新司聴いて霜
どすこい早川
乳母車暮らし忘るる霜の花
和泉穣
睫に霜僕の捨てたビスクドール
蘂六
ショベルカー更地の霜に眠りけり
鈴木来穂
発つ朝の鍵音かちり霜の道
紗羅ささら
霜の朝パズーのラッパ切り裂きて
巳智みちる
霜日和通勤の裾野をひとり
千鳥城@いつき組広ブロ俳句部カナダ支部
霜の夜や円相の書の謎めきて
しらが繁家
牛乳の味の濃くなる霜の朝
山路碧水
牛小屋へ運ぶ干し草朝の霜
唯果
霜かたし「ませ」は「命令」丁寧語
戌の箸置
飄々とグランド整備霜降りぬ
春野ぷりん
Closed高原は青霜日和
井上於莵
世界だけ動き始める霜の朝
さく砂月
なぜ出さぬ方向指示器霜の声
鳥田政宗
霜の朝もち米を蒸すかまどかな
卯之町空
実に草に葉に原に世に霜咲けり
千夏乃ありあり
霜の声カールコードをくると巻く
陽花天
霜凪の翳むかぎりを馬の息
風慈音
鳥眠る灯のなき郷や霜だたみ
KOMA
うどん屋の海老天細き霜夜かな
露草うづら
平等に霜の朝来て増税日
宥光
霜踏みて門の開くのを待つばかり
松高法彦
授乳終へ配達の音霜の声
小笹いのり
霜晴や土器の欠片と牡蠣の殻
剛海
うざってえ十七歳の霜の朝
はまゆう
朝霜や絹毛ふくらむ烏骨鶏
金子泰山
霜けぶる庭苔朝の乱反射
松本裕子
栄冠や霜に蹄と靴の跡
けーい〇
勝負めしかきこむ朝の霜の白
桂葉子
霜の花静かな夜の欠片かな
雪音
一時間歩く実家の坂を霜
ダンサーU-KI
強霜に牛の涎のけぶりをり
池弘庵翁
鉛筆の尖り確かむ霜の朝
暖井むゆき
霜降れりジャングルのよなベランダに
剣橋こじ
山影の容に残る村の霜
常磐はぜ
生き物が霜踏む音を聞いてをり
藤井勢津子
霜踏みて往きしままなり彼の日かな
聞岳
霜の道踏むやカントになりきつて
砂山恵子
缶コーヒーで終えし家出よ宵の霜
井田みち
庭の霜ふと口ずさむノクターン
川口 雅裕
霜晴の千日回峰四は阿呆
もふもふ
霜の夜や第九練習あと二回
野州てんまり
霜や降る余人の付け入る隙は無し
森無田
函数の解けし朝の霜雫
あさのとびら
右足の踵の重し靴に霜
星醒
太陽のカケラ霜夜となりにけり
高市青柘榴
額縁の捨てられてあり霜の花
磐田小
強霜やかつてこの地は合戦場
髙橋弓女
霜の花龍角散は舌の上
おぼろ月
朝刊を霜のポストは飲み込みぬ
万里の森
鶏鳴や波動に揺らぐ霜の華
紫鋼
霜雫しずかに心音へ沈む
よしぴこ
揚げパンに砂糖をまぶす霜の朝
信濃のあっくん
霜の声深夜ラジオにまぎれつつ
Early Bird
病窓に霜天使らの降るごとし
大久保加州
不審死の身元確認霜を踏み
たま走哉
霜の朝少女のやうに白を着る
海野青
路線バス廃止の報や霜降りる
柴桜子
霜溶けて発芽するまで豆を煮る
野原 華
つつかれて霜よりあらはなる毒餌
葉村直
ほの闇き祠や霜の花そつと
東田 一鮎@金カル
霜の声筆のまよひて置きにけり
淺野紫桜
霜を踏みしめる夜を握りしめる
高橋寅次
霜がある今日は草踏めないでゐる
水蜜桃
新しき人さし指にひかる霜
三隅 涙
霜の声やがてかなしき猫のこゑ
渋谷晶
富士迫る霜の頂三ツ垰
やまだ童子
白き嘘溜め息の名を霜の聲
三群梛乃
朝霜や松ぼっくりは針鼠
水越千里
この霜にダイヤ一粒ある噂
みつき 夏
コンクリの暗渠道強霜の朝
吽田のう
戦場の片付けられぬものに霜
高遠見上
白線にハンドルとられ今朝の霜
瞳子
白黒のテレビを叩く霜夜かな
駒村タクト
八百万の神の吐息や霜の花
夢雨似夜
朝霜の帰宅のヒール走ってた
仲 操
熟したる色味レトロ硝子の霜
山吹なお
チェックアウト大股になる霜日和
川鷹
霜夜かなクルドの人と飲む紅茶
武田ラーラ
霜の朝襲われたのか鴉にも
クロまま
霜の朝老師の読経磬一打
茶
霜強しみんな真顔でバスを待つ
タケザワサトシ
仔犬抱き上げて霜夜のダンボール
川越羽流
朝霜の消え入りさうで泣きさうで
中 兎波
霜清し人生百事不如意なり
八十六九
床で寝るバンド仲間や霜だたみ
半ズボンおじいさん
霜の朝チェーンの錆に鞭を入れ
広木登一
ぽのぽのと霜は甘くて孤独です
奈良の真
霜晴やナースは傷を「お傷」とす
むらぴ
行く道を教えられたり今朝の霜
井上美月
霜の風抜ける木の間に紙垂が鳴り
榊昭広
霜どさり解ければ頭痛再開す
沢井如伽
霜の朝退部届を握りしむ
じゃすみん
南京錠錆つくあはれ霜の朝
吉谷地由子
霜晴の社を巫女の緋の袴
三月兎
息吐くや富士五合目は霜畳
吉武茂る
嘶きを忘るる驢馬の歩む霜
秋野しら露
夜明けには優しき霜となりぬべし
月城龍二
龍神の吐く水透きて霜日和
前田いろは
巻き爪の食ひ込む指よ踏む霜よ
みやま千樹
霜降りて自販機の灯の温かく
富士桜花
駆落ちを諦めし夜や霜の花
小倉あんこ
雨の付く漢字の中で霜は地味
あたしは斜楽
ブロンズの鹿の背にゐる青女かな
主藤充子
ネイルした爪よ霜夜よ明日ふふふ
中嶋奈緒子
勢ひで買つた車に霜がいま
たけろー
霜とけて鉄琴の鳴る音楽会
くぼたみどらー
霜晴の駅にビラ貼る観光課
松本笑月
焼け跡の手押しポンプや朝の霜
一走人
霜の声ゆらゆら自在鉤の影
富佐野ほろよい
息吐けば息吐き返す霜の朝
笠山静香
霜の夜や祖父の名入りの手提灯
亜桜みかり@金カル
存問の電話つながらず霜の朝
防子
霜日和歌う雀ら欄干に
甘泉
霜は鋭し面接官吾を見抜かれよ
梵庸子
首ふりの人形ゆるる窓の霜
香田ちり
土の葉のあるとこ霜の残るとこ
ももたもも
霜の声微かなる夜の読み聞かせ
風花まゆみ
霜よ霜よ風はどうしてきこえない
たーとるQ
ワイパーの動きにギギッと霜の鳴る
kikuti-aya
この店をとまり木と呼ぶ霜夜かな
柳絮
摺切りに黒米量る霜日和
百瀬はな
猫の手をぎゆうと握つてゐる霜夜
源早苗
糠床の静かな呼吸夜の霜
森中ことり
霜日和ようちえんじのちどうせつ
新山晶花
霜の声スーパーにクリーニング屋
トンカツと天丼
古傷のケロイド淡し夜の霜
伊藤てまり
参道の地蔵の鼻の霜の花
蒼き鷹
同性と生くと吾子告ぐ霜の朝
大 広秋
うちな離婚したと従妹霜夜なり
秋内 壱玖
霜の夜音聴きながら眠りけり
松沢ふじ
ずんと身に沁み入る澱や霜の声
渥美 謝蕗牛
霜降りて赭色に明く操車場
まめばと
霜の声こわばる膝を撫でさする
登盛満
霜荒れて羽根散りし惨劇の跡
眠 睡花
教室の窓に朝霜参観日
太平楽太郎
朝霜に夫の杖跡門扉へと
ひぐちいちおう(一応)
フロントガラスの霜たぶん好の字
チームニシキゴイ太刀盗人
道端の犬の骸に霜の降り
秋星子
光と影日向の霜がカッター折る
上田ASH
霜の朝仔牛の乳を吸ふちから
桜鯛みわ
珈琲を飲んでお別れ霜のドア
まっちゃこ良々
静寂を静寂とする霜の白
鶴富士
とび縄は各自持参の霜の朝
諏訪ヤス子
霜降りて今朝もあの子は不登校
花咲明日香
ベーゴマに成功令和の芝に霜
望月朔
ソロテント無音重なる霜の底
新子熊耳
グローブの忘れ物らし霜の朝
青木豊実
大仏の目の整形痕霜の花
ぱぷりかまめ
強霜や絶滅危惧種ひとつ死す
永井無々
霜日和号砲を待つ走者たち
えりいも
明星のうすき光や霜のこゑ
藤咲大地
窓霜を拭ふ切符の硬き角
小川野雪兎
午前四時遊具それぞれ霜を待つ
里見脩一
閉店のお詫び剥がれて霜の道
秋野木吾
霜晴を姉貴の背中追いかける
新城典午
黄身に血の少し絡める霜の朝
アロイジオ
「血縁なし」の結果濃霜の帰路を黙
仁山かえる
霜日和数年ぶりの本ぱらぱら
足立篠
阿蘇に喰む霜の光りて熱き息
山川土時
犬の足うっすら湿る朝の霜
入道 まりこ
丁字路のY字の歩道橋に霜
鳥羽南良
霜しづく生きてゐればと数へては
看做しみず
父に似た指の形や霜の声
丸山隆子
柔らかき犬の肛門霜の草
葉月庵郁斗
薔薇色の葉にして霜の棘生やす
遠山比々き
西郷像犬より霜の融け始む
宏楽
朝霜やファンの廻らぬ峡の畑
北山 烏兔
朝霜の駅前ロータリーに鳩
ふくじん
精神の錠剤溶けて光る霜
龍田山門
霜の朝竈ご飯の炊ける音
風の旅人
霜強し女子寮囲む高き塀
木ぼこやしき
東京の霜がこんなに白いとは
ヒマラヤで平謝り
ざらざらと強ばる白髪霜の朝
清水祥月
田の神さぁのほほ赤き霜の朝
海星葛
母転ぶヘルパーの報霜の朝
濃紫えみ
喧噪を避けし近道霜の花
立ち漕ぎブランコじゅん
細胞は死ぬときひかる霜の花
さるぼぼ@チーム天地夢遥
墓碑あらた幾度も踏みつけらるる霜
ナガ
草田男は霜に妖精見ただろか
笑姫天臼
日の色を刹那の色と霜の花
久留里61
父植えし高菜は霜に猛りたる
湯屋ゆうや
流木の肌つるつると霜日和
檜鼻ことは
霜の朝街路樹つんと尖りをり
黒蜜かりんとう
霜の朝堤に薄き轍かな
ほんちゃん
水分子動きを止めて霜の降る
森 佳月
野辺の霜ぎらりシェルターめく豚舎
小豆白虎
犬は用足して霜は毛さか立てて
北里有李
独り寝の耳を刺しけり霜の声
篠川 翠
霜纏う暖機運転しばし待つ
平山千鶴
体温に霜は溶く今日もパンを焼く
海乃一夏
あと書きに祖父の出自や霜の声
新多
霜積むや学徒の鑑だつた像
なしむらなしん
東京は明るき宿主霜の夜
眩む凡
包みこむ耳の産毛や霜のこゑ
菅井香永
旅支度霜まかせなる明日の靴
陽乃姫
ひと声の鴉を聞けり霜の夜
大岩摩利
地球てふみづの惑星霜を踏む
立部笑子
ガス灯の明りは青し明けの霜
虎堂吟雅
窓に霜おかかを米に乗せ二杯
深町宏
朝霜を踏み終われば朝礼終わる
坂野ひでこ
色街の存外清し霜の朝
カオス
霜日和石蹴って石に駆けよって
あたなごっち
釜の声霜の声聴く寝ずの番
いごぼうら
登校は一里無かった霜の道
うさぎ柚和
戦場へ霜の方舟溶かし征く
吉野川
青女の朝なれど青猫戻らず
鈴野蒼爽
バリトンの僧の講話や霜日和
健央介
モカマタリ滴る波紋霜の朝
せいしゅう
朝霜や雲水僧の声の張り
月待 小石
真理指すクラーク像の髭の霜
坐花酔月
銅の駿馬と手綱霜の声
土佐藩俳句百姓豊哲
番犬はくぉんとないて霜の朝
小藤たみよ
霜解けて小学校の門開く
山崎 かよ
卵から産まれたような霜の音
種種番外
大霜や下北猿の背の丸み
むったん@狐狸山会
天仰ぎ腹式呼吸霜日和
堀邦翔
海峡の波は唸りて霜夜かな
蘇子
霜蹴つてかたくなにもの言はぬなり
河島 八々十
負けてこそきれいに見えた霜の花
うた 歌妙
陰日向の霜や相対的幸福
千隼ゆき
手を握り霜夜看取りし母のこと
海猫
霜肥やす風神の息北通り
野々原ラピ
霜の声端から森と化す国土
金原雄陽
干乾びた蠅をティッシュで霜の朝
松山茜柑
朝霜や指びりびりとさかあがり
古乃池糸歩
捨て舟は棺の形霜の花
高田杏
猫の跡匂ひし犬の霜の道
さいとう歌月
飛ぶ水の一つ添うては霜の声
落句言
霜光る死体ごろごろあつたとこ
大岡秋
霜の華ガラスに描く瞳から涙
藤永桂月
霜の降る気配は鳥の息づかひ
橘鶫
都落ち言う奴は言え霜だだみ
小川テル子
朝霜やコンテナ船はゆるゆると
雨森 茂喜
目覚ましの透き通る音霜の朝
叶田屋
静寂に指す駒窓の霜の鳴
北爪いく葉
晴天の車の下の霜の跡
五十嵐 三連単
湯気ゆららと昨日のシチュー霜の朝
海月のあさ
一葉の霜に濃淡不登校
葦屋蛙城
両面を焼く目玉焼き霜日和
羽野あき
霜晴や野菜の白の甘き店
栗田すずさん
将軍の先陣静か霜降りぬ
希布
霜白しPETの中に点点と
杜まお実
清貧ニ甘ンズ読書の霜夜かな
須田 爪黒
ああうざってえな霜踏み尽くす帰路
きなこもち
吾の中の金属音する霜夜かな
旺上林加
霜をおく忠敬像の颯爽と
菫久
霜の声眠りをさそうアベマリア
コイケキクエ
霜降ってきらきらを嗅ぐ子犬かな
小川さゆみ
霜解けてげじゃげじゃを行く通学路
篠田ピンク
みっしりと離婚届よ霜日和
雪だるま
霜畳ざくっときついことをいふ
なかの花梨
亡き妻の名のスナックや霜の声
九萬太郎
霜晴に人探すポスター褪せて
空 ひろ
閉ざされし炭鉱の町霜の声
る・こんと
霜の朝ちゃりお奏でるフォルテシモ
長操
ワーカホリック全身で霜をゆく
池内ときこ
霜しとど郵便ポストがっしりと
麻生四里
朝霜や子の毛つくろう尾巻猿
碧西里
単語帳めくる死人や霜の声
鬼殻
胸を衝くことのは呼気は霜となり
オキザリス
学童の霜踏む音やヒーリング
佐藤浩章
罅入りし膝蓋骨や霜の花
青居 舞
外は霜病室のチョコはふにゃふにゃ
鳥不驚
深霜や外に獣の息遣い
八尾の正吉
勤行の白き結晶霜雫
葉子@金カル
霜の眼のまばたき虫のひとつ死す
太田栗青
足元から遥か彼方へ霜一面
石崎京子
空も地も硬き朝なり霜を踏む
円路
井戸水の手にほのぬくき霜の朝
樋口滑瓢
絶食で向かふ病院霜の朝
とき坊
非武装地帯地雷の上に霜の花
杼 けいこ
霜の朝肺胞痛いほど酸素
満嶋ハト
霜澄みて犬の毛並みと吾の気道
団栗あんパン
鉄の橋滑りし跡を記す霜
地白 吐素
朝霜は摘まむと水になりにけり
八光地蔵
霜の花きらり美術館へ急ぐ
acorn
街路樹の伐採痕や霜降りぬ
カバ先生
霜踏んで予鈴遠くに聞こえけり
嶋田奈緒
霜の夜の犬の見据える虚空かな
ナオコ タイラー
霜に朝日始発列車にひとりきり
西村柚紀
君の放つことば優しき朝の霜
松山めゐ
霜無垢の小橋近道してみるか
黒木水産
朝霜や氏神様に貰う塩
八幡風花
霜の上洗濯物に日が射して
哲山
大霜や雲外きっと過冷却
黄鶺鴒
これを坂とつぶやく母や霜の花
島田ポン吉
印泥に吾が名のしづむ霜の朝
春海のたり
無人駅流行りの菓子のごたる霜
丘上 すめる
宙を舞ふ魚鱗のごとし霜剥がる
常盤あけび
鬣を撫でくる騎手や霜日和
哲庵
足跡は一つになりて霜白し
桜月夜
メンタルの針は微動す霜日和
衣笠 野波
悪口を飲み込むたびに霜を踏む
澪那本気子
横滑りタイヤが軋む霜だたみ
誠馬ノマド
けものらの寝息ちりばめ霜の花
華胥醒子
院内の不満そのまま膨る霜
天野若花
霜雫の庭伽藍に満つる読経
望月ぽん
電球に張り付く蠅や霜の夜
渡部 あつし
霜を踏み行きたり復学のわたし
着流きるお
龍起きて南京町の霜を解く
モトミレイ
この霜を十六歳の墓標とす
比良田トルコ石
明日上陸につき函館の霜指数
里山子
寝間出でし爺に霜解く務めあり
本宮豆奴
憂き世なり反物質のこの霜も
百田信三郎
朝霜や派遣の駐車場は別
矢橋
AMは雑音まみれ霜の夜
たまのねこ
一針一針キルトに銀糸刺す霜夜
一寸雄町
朝霜やホットサンドの耳のこげ
佐川碧
朝霜や駅のホームの靴の跡
北川楠山
霜の夜をビニールハウス灯しけり
ろまねす子
霜は白黴なり死は白薔薇なり
丹波らる
朝まだき鳥の骸に霜の花
かなえの
霜の夜やかさとも鳴らぬ段ボール
キートスばんじょうし
ため息はスフレのかるさ霜の花
冬野とも
霜連夜ミルクレープが甘くない
堀口 房水
喪の家の明かり眩しき霜夜かな
中根由起子
朝霜は踏まれ穢され清らな死
世良日守
夫と来しロッヂにひとり霜夜かな
風民
霜熱き四十七士の墓の上
三重丸
宿坊の霜やはらかく石を食ふ
いたまき芯
人生を言い訳しては霜解けり
一型
役員に立候補の手霜の声
凪ゆみこ
難産に耐えて産声夜の霜
老人日記
霜晴のことにポストの輝きぬ
岡田雅喜
三度四度計算合はぬ霜夜かな
せいち
霜の夜の宿に流るる粉ひき唄
阿波オードリー
霜夜へと沈む臨海工業地
まこちふる
酔ひ覚めの乾ける闇や霜の声
キッカワテツヤ
霜の町スイッチバックで下りゆく
豆はな
霜踏めば母の叱言を聴く空き地
梨山碧
菜園の産毛ウフフフ朝の霜
鵬
国を捨て霜の馬の背越えにけり
山もと あき坊
チェスのよな神の裁量霜雫
小園夢子
霜晴や店主の戻るベーグル屋
瀬央ありさ
お砂場にきのうのシャベルけさの霜
岬ぷるうと
窓に霜レジュメの終の文に"。"
夏立也
霜の花仔犬の息の甘やかに
永井春蘭
じわりじわり草に取り憑く霜夜かな
菅原ゆう
受験票三度見て発つ霜の朝
祐凪
幸福な王子よ霜のぎんいろよ
高尾里甫
ぴちぴちと星喰う霜の舌打ちか
シュレディンガーの獏
愛犬跳ね遊ぶ踏まれし霜のさやか
緑茶花
校庭の整備ローラー霜日和
田畑 整
大霜の道を明るきランドセル
馬場めばる
伊達ちゃんちカレーだってよ明日は霜
坊いち坊
よそ行きの母に追いつく霜日和
玉野汐音
音の無き被災地小さき霜の声
ちょうさん
ディッパーを伝う蜂蜜霜日和
浦野紗知
吐く息で始まるヨーガ霜の朝
山野麓
季節工へと立つ父よ霜日和
石塚碧葉
キャタピラー土草まみれ霜まみれ
あまぐり
霜注意報なにもせぬけどできぬけど
花屋英利
口喧嘩しばし休戦霜の花
どくだみ茶
枕木の霜は闇夜の呼吸なり
くぅ
見送つた満員のバスはだれ霜
千歳みち乃
みみたぶをさすってごらん霜の声
トウ甘藻
霜凪や烏の喉の赤黒し
山河穂香
深霜で化粧ふ忌日の母の墓
みうら朱音
頑是なく母を泣かせて発つ霜夜
ららら句らら
金青の神の吐息やけさの霜
たかみたかみ@いつき組広ブロ俳句部
霜の朝もんたよしのり訃報聴く
定位置
霜の日の手のひら息を恋しがる
俳句ファイヤー立志
川沿いの犬の尾を追う霜の朝
鯛 風
登校のヘルメット揺れ霜解ける
倉持くらもん
ひとまずの休耕田となりて霜
ナタデココ
雑踏から秩父訛りや霜の夜
浩子赤城おろし
回文にならず溶けけり窓の霜
赤端独楽男
霜の畑打ち残されし鍬一丁
田中一升
霜の夜の吾を浮かぶる道後の湯
津軽まつ
強霜の地球をつつく烏どち
杉尾芭蕉
霜の朝徘徊す靴底の土
綿鍋雪
霜の夜や千人風呂に吾一人
津軽わさお
霜降れば不老不死の湯なお包む
津軽ちゃう
意のままに生きし館よ薔薇に霜
紫小寿々
霜の花こだまの車窓から岐阜城
憩 真七桜
今日を始めん霜てふ緞帳開けて
伊予素数
霜日和同訓異字を覚えけり
フィビキ I
ラジオからジャズの流るる今日の霜
辻本四季鳥
窓霜や翼は夜に育ちゆく
西川由野
強霜をゲートボールの勢いよく
絵夢衷子
タイヤ跡一本霜のとけはじむ
Vn 花のん
遠巻きに保護犬送る霜の朝
オアズマン
溶け残る霜のくすみや路地の角
くろべぇ
霜の朝地球の裏から妻のTEL
コーノ凡士
霜の日やはや足跡の震災地
そうり
地には霜満ちて天には薄き罅
ちゃうりん
初七日や縦に十字切る霜日和
テレシア
しゃがしゃがと鍬音おもし霜の朝
よみちとせ
リアガラス霜の解けゆく平行線
わおち
書き綴る霜降る夜の絶縁状
伊都
霜夜明るしあの野良どこへ行ったろう
横縞
霜明かりおにぎり十個伊吹山
栗田 もとえ
一段ずつ降りる階段霜のこゑ
古都 鈴
校門の鉄扉ごろりと霜の朝
高山佳風
「Therefore」を探すペン先窓に霜
四條たんし
朝霜へ置くゴム製のゴルフティー
織部なつめ
公園の置き去り霜の三輪車
杉柳才
キーンと霜の声稽古前の黙想
清松藍
ドーナツの穴ばかり見て霜の朝
曽我真理子
愛犬の降りて来さうな霜晴れだ
渡辺桃蓮
月のなき夜を霜降る象の塚
内藤羊皐
霜晴やジグザグに押す猫車
くま鶉
白毛の二歳馬霜晴のターフ
二十八
子を起こす前のコーヒー霜の朝
日永田陽光(陽光改め)
霜の浮く足場軽々父は行く
梅鶏
霜だたみ廃坑の名は歓喜抗
竜退治の騎士
採点の赤ペン尖る霜の夜
谷川ふみ
窓に霜面接官の額に皺
加良太知
寒冷紗の白きらきらと霜の朝
竹春エリザベス
朝霜や熱にほどける不協和音
美織
使わないクーポンもらひ霜だたみ
モリコリゴリ
朝靄を淋しき霜のこゑひらふ
小池令香
嘘ついた夜更け霜の白が痛い
雑魚寝
癒えし眼の霜野の風に吹かれおり
也和
霜の車に子ら詰め込んで園へ
越智空子
みちのくの霜の儚くうるはしく
そめいゆ
虚なるベランダ霜のコンポスト
うからうから
霜の朝バザーの聖書買はれけり
天風月日
朝霜のフェンス越しなる別れとは
夏埜さゆり女
産声や影立ち上げる霜の庭
中島 真珠
老犬の溢せぬ泪霜の花
恵勇
不意打ちの友死すの報霜の朝
麗し
しづかなる深手を沁みてくる霜夜
満る
霜の夜を言葉通じぬ人と居り
冬島 直
星ひとつ落ちてサドルへ今朝の霜
櫂野雫
霜の朝刃を研ぐ音のよく響く
北大路京介
ヘッドフォン外した耳に霜の音
齋藤方南
耳鳴りの夜は霜降る予兆かな
白山一花
霜あえかエル・クラシコに沸く屋根を
草臥れ男
霜の夜を十年ぶりの生家の灯
若井柳児
霜朝や墓碑の名なぞり樹木葬
桂子
霜降る夜再放送の歌謡ショー
長谷機械児
霜降るや珈琲豆を煎る匂ひ
荒一葉
緊張の床屋のトイレはだれ霜
ちびつぶぶどう
切石の隙間を隠す霜の花
香依蒼
霜夜伏すメールはマレーフォト明し
てるきち
霜の夜逃げる煮玉子追い回す
ゆぃ
霜夜震はすフォークソングは反戦歌
清白真冬
後を追ふ児童の呼吸霜の朝
立山穂高
しらしらと雀を埋めし土に霜
あなうさぎ
霜の草摘み摘み急ぐ鶏当番
津島野イリス
霜踏んでバス停や血管外科
戸口のふっこ
朝霜のしじま信号赤のまま
ぜのふるうと
朝稽古霜を踏みまた四股を踏む
秋谷 忍
霜降るや隣近所は留守のやう
小夏
しゃらしゃらと眠れぬ夜の霜の声
松坂コウ
霜ひかる生前墓地の黒き石
上津 力
火花散る始発の架線今朝の霜
仲村調息
マカロニの穴を覗いている霜夜
アストロ@夏銀河
霜晴や小さきチャペルに婚の鐘
さぶり
公園の機関車霜に覆はれて
ちゃあき
霜晴の車椅子積み海を見に
服部勝枝
残星の触れてスコリア丘は霜
海色のの
霜の花まだ耳打ちの恋心
ひなた和佳
逢いたいと口にした数霜の花
紅紫あやめ
怒声のち皆右向ける霜の朝
白玉みぞれ
きらきらと霜塗したる地球かな
井納蒼求
強霜や油断するなと置かれをり
朗子
朝霜や遊覧船に武田菱
蘭丸結動
霜を圧し轍をきざむキャタピラー
ふゆの都々逸
むき出しの膝を擦りむく霜日和
山口絢子
一発でかかるエンジン今朝の霜
ひろ志
インディオのポンチョひらりと霜払う
周防の兎
霜の窓かたし保健室の壁も
あずお玲子
自転車を降りて坂道霜の朝
あやっぺ
丸太小屋霜羊歯ごしの八ヶ岳
まー坊
また歌手の訃報流るる霜夜かな
鷹見沢 幸
僕だけがゐない教室霜の声
倉木はじめ
熊笹や霜降る古道途切れたる
周防の鼠
霜の夜やはめ殺されし窓ましろ
歯科衛生子
霜の夜のベートーベンの肖像画
山内 負乗
強霜や『戦』の文字ならそこいらに
富田健朗
胎動を包む両の手霜日和
西野桃果
霜の朝まづ一礼の査察官
緒方朋子
霜晴に吾の影だけ輝かず
みうらけんじ
見送りに出でてサドルの霜まばら
空豆魚
退院がまた嘘になる霜の窓
藤白真語
大霜の村美しき柩かな
苫野とまや
遅刻した理由は空欄三の花
虎八花乙
忘却を迫るやうなる車庫の霜
佐藤茂之
ひそひそと重なりあう葉霜の声
加賀くちこ
霜の声今朝の病躯を縁取りぬ
加座みつほ
霜の夜星の欠片は水となり
四季春茶子
小城羊羹しゃりり霜夜の虫養い
ざうこ
朝霜や煙絶やさぬ登り窯
洒落神戸
霜掃いていくらか遠き夫の耳
杏乃みずな
朝霜の街灯キャリーケース引く
いくたドロップ
霜の畑土器片に在る指の跡
雪さやか
声上げて霜触るタイ留学生
宗平圭司
吾を消し霜夜へ開く自動ドア
武井 超凡
折り合いのつかぬメールや霜雫
沢拓庵@いつき組カーリング部
賛美歌のソプラノきれい窓の霜
雨野理多
鱗めく大殿の瓦霜の朝
柚木みゆき
アーケード抜けて霜降る夜に出会う
駒野繭
蒲鉾のピンクさやけし霜の朝
草夕感じ
火の夢を見てゐる霜の花の明け
ツナ好
裏路地の霜三角に残りけり
森 毬子
浮かび出るニコちゃんマーク霜の朝
あみま
強霜の洗礼再起の出勤
山くじら
霜晴の海へ裾曳く富士の山
大庭慈温
枸橘の棘にささりし霜の花
とんぼ
東京やシーサーの目に霜の降る
多喰身・デラックス
霜拭ひしはずの指先乾きたる
みつれしづく
家捨てむ麓の駅へ霜を踏み
亀田荒太
霜雫受話器の向こう祖母の黙
門谷 洛水
霜の朝社務所の裸電球ぴかり
一井蝸牛
殴り書きに埋まりし日記霜のこゑ
錆田水遊
座りこみ期する若人霜の声
とはち 李音
霜多し芭蕉の句からせめぎ合う
藤 えま
石窟の五百羅漢や霜の声
糺ノ森柊
潜艦の音波澄みゆく霜の朝
山城道霞
シロの居たあたりも霜の豊かなる
夏草はむ
すれ違うヤクルトレディー霜の花
花蜜伊ゆ
牛乳の底の輪ふたつ朝の霜
黒麹 糀
大霜の街路樹芭蕉終焉地
清水 三雲
太陽の嚔のやうな霜降りぬ
はごろも856
霜を踏む音や何処かのジェノサイド
森脩平
鉄瓶のていねいな白湯霜の朝
梅朶こいぬ
霜の夜や外階段の話し声
谷本均
さりさりとジンの匂へる夜の霜
飯村祐知子
タイヤ炊くあの頃思う霜の声
水間澱凡
切りをりし電話掌のなか霜の声
福花
窓に霜あの脇役って誰だっけ
くさ
吸ふ息は尖りて痛し朝の霜
山内彩月
サイドミラーに少しの霜と来し方と
だいやま
霜やさし猫の睫毛に猫の腑に
黒子
職失し霜の時節となりにけり
ひすい風香
登園の吾子無音なり霜の声
塩の司厨長
レコードの擦り切れてゐる霜の声
はまお
不登校理由にしたき霜の原
松本俊彦
城壁の反りの嘯く霜の朝
はれまふよう
霜の朝庭の手入れは後回し
花咲めだ香
次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
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