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中級者以上結果発表

2024年10月20日週の兼題

冬暖か

【曜日ごとに結果を公開中】

特選

  • お顔立ち冬暖かなこけしたち

    トウ甘藻

    選者コメント

    夏井いつき

     なんといっても、「冬暖かな」という季語を中七のこの位置に据えたのが一句の眼目です。「冬暖かな」は季語としての力を発揮しつつ、「こけし」たちの形容となります。読者の脳内には、ほっこりと愛らしい「こけしたち」の顔かたちが映像となって浮かんできます。「お顔立ち」の「お」とは、なんと愛らしくてゆかしい接頭語でしょうか。
  • 冬あたたか鳩に老衰死はあるか

    横縞

    選者コメント

    夏井いつき

     中七下五「鳩に老衰死はあるか」という呟きにハッとさせられます。野犬や凶暴な鴉、更にはもっと極悪非道な人間たちと共に生きる世の中で、穏やかな「老衰死」を迎えられる鳩はいるのでしょうか。人にとって「老衰死」の意味をも改めて考えさせられ、「冬あたたか」という季語に抱かれるように「鳩」の様々な死が浮かんでは消えていきます。
  • 冬あたたか鶏冠どうにも右に垂る

    葉村直

    選者コメント

    夏井いつき

     雄たちの立派な鶏冠は、雌へのアピールとして、また敵への威嚇としても使われます。そんな重要な働きをする鶏冠なのに、ピンと立ってくれず、右に垂れてしまう一羽がいることに気づいたのです。「どうにも右に垂る」は、雄鶏自身の呟きのようでもあって愉快。季語「冬あたたか」が、まるでイソップ物語のような世界を包み込んでいます。

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