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中級者以上結果発表

2024年10月20日週の兼題

冬暖か

【曜日ごとに結果を公開中】

【類想】

選者コメント

夏井いつき

◆歳時記によっては、「冬暖か」と「暖冬」が別の季語とされていたり、「冬暖か」が「冬ぬくし」の傍題になっていたりと、編者の考え方に多少の揺れはあるようですが、本意は「冬の最中の暖かい日」のこと。冬は風が吹くと体感温度が下がりますので、風のない穏やかな日和でしょう。


◆「布団を重ねて冬あたたか」「鍋ものをして冬あたたか」的な、何かの行為の結果としてあたたかくなった、という使い方には問題があります。あくまでも時候の季語であることを踏まえて下さい。


◆「冬暖か」が六音の季語なので、使い方を迷った句もかなりありました。

上五に季語をおいて1音字余りとし、中七下五で調べを取り戻すのが、定石ではありますが、下五に置いても「ふゆあたたか」という響きが柔らかく、リズムがあるので、余り違和感がありません。

 なかには、六・五・六で足して十七音という破調の句も散見しましたが、破調の場合は一句の内容がその調べ・リズムに見合っていないと失敗します。単純に十七音にすれば良い、と考えるのではなく、「内容と調べ」は連動していなくてはならないことを肝に銘じて下さい。


◆今回、選外になった句には、以下のようなものがありました。

①内容がよいのに調べがギクシャクしている。

②フレーズは面白いが、別の季語のほうが生きる。=季語が動く。

③気持ちは分かるが、述べ方が散文になっている。


選外の句の中には、推敲次第で生き返るものも沢山あります。まずは、それらをしばし寝かせて、少し時間をおいてから、推敲の作業にかかってみましょう。人それぞれ、客観的に自作を観ることのできる時間は違います。更に、自分自身の俳筋力の付き方によっても、変わってきます。来年の「冬暖か」な頃に、再考してみるのも一手かもしれません。



※今回の兼題「冬暖か」中級者以上投句欄へのご投句は、投句数4344句、投句人数1749人となりました。以下、類想句の一覧です。

類想一覧(選外)

  • 終活や冬暖かく過ごす日よ

    清鱒

  • 冬ぬくし米寿の揃ふ同期会

    夏目たんちゃん

  • 冬ぬくし暫し幸福味わえり

    佐藤 聰

  • 冬暖か二階の窓に猫が見え

    亀田荒太

  • 久しなる初孫重し冬暖か

    駄々

  • 冬ぬくし主の前に欠伸猫

    中野風鈴

  • 冬暖か保母と散歩の乳母車

    風間 燈華

  • 冬暖か竿に揺れるや薄きシャツ

    伊東まる

  • かしましき熟女の茶会冬ぬくし

    柊瞳子

  • 冬温し母はゆるりと大欠伸

    羽馬愚朗

  • 冬暖か優しき妻と父母のゐて

    月城龍二

  • 縁側にあくびする猫冬ぬくし

    KOMA

  • 出窓には目をつむる猫冬暖か

    南全星びぼ

  • 図書館の冬暖かな角テーブル

    中川青嵐

  • ペダルこぐ足も軽やか冬暖か

    香取扇公

  • 冬暖かや頬杖の校舎窓

    こきん

  • 小劇場を出れば冬暖かな帰路

    鬼殻

  • 影法師冬暖かく日向行く

    WEDA ASH

  • 初孫と冬暖かき観覧車

    さとう隆明

  • 冬暖か入籍済んだ子らの顔

    北の星

  • 公園も冬暖かや吾子はしゃぐ

    とんぶりっこ

  • 志望校決めた長女に冬ぬくし

    村上 継鳥

  • 単身の夫帰り来る冬ぬくし

    円美々

  • 後ろ手の冬暖かや立ち話

    吉野川

  • 釣竿を磨く祖父の手冬ぬくし

    千鳥城. いつき組広ブロ俳句部カナダ支部

  • ひとり居の冬暖かに詰将棋

    ぶうびい

  • 冬暖かこころもゆるみふわふわと

    甘泉

  • たい焼きで遠回り冬暖かし

    ナットク

  • 初孫の産声響き冬暖か

    和草雪月

  • 友人の結婚を聞き冬暖か

    本気のめんそ

  • 城下道冬暖かの鯉寄せて

    岡 草紅葉

  • 庭の果や冬暖かと待ちわびし

    蓮田初老

  • 猫も我も冬暖かな庭にいる

    入口弘德

  • 雨音に猫の喉音冬ぬくし

    とっきー

  • 冬あたたか電車一駅分あるく

    菅野まこ

  • 碧眼二人のでつかいスーツケース冬暖

    きゅうもんde木の芽

  • 老々の日々の茶柱冬ぬくし

    どゞこ

  • 冬暖か山肌明し午前中

    増田楽子

  • ほろ酔ひや冬暖かき帰り道

    於大純

  • 冬ぬくしお乳を求む吾子のいて

    聞岳

  • 冬ぬくし土は豊かに黒く濡れ

    中岡秀次

  • お散歩カーに四人の園児冬あたたか

    山崎 佳世

  • 保育所のバギーに五人冬暖か

    ももたもも

  • 野良猫の屋根に昼寝や冬暖か

    みやかわけい子

  • 夜勤明け冬暖かなオフィス街

    島田スパイス

  • 這い這いの部屋から廊下冬暖か

    鷹渡颯子

  • いざゆかむ冬暖かの日本海

    みのやん

  • 冬暖か車椅子押す孫の声

    野田遊水

  • 冬暖かその声探す亡き友よ

    榊裕江子

  • ミドリガメ冬暖かく甲羅干し

    小富古尾巣

  • 思い出し笑いこらえて冬ぬくし

    清水ぽっぽしゃん

  • 冬ぬくしキッチンカーの最後尾

    わおち

  • 上着脱ぐ半袖姿冬暖し

    太田看悟

  • 駄菓子屋を冬暖かや親も子も

    小室雅俊

  • 冬暖か「生きる」詩人は逝きにけり

    一井蝸牛

  • 冬暖か愛犬伸びす吾も伸びす

    平山千鶴

  • 水中の発根すすむ冬暖か

    云々 美雲

  • あいさつも冬暖かや一人旅

    大久保一水

  • 冬暖か背伸びの猫の目は細し

    墨川杏太郎

  • 一人旅冬暖かや寺社の街

    森里綾里

  • 冬ぬくしテントの前に焦げるパン

    てつなお

  • 冬ぬくしテラスがいいと君の云ふ

    すかーてぃっしゅ

  • 君見ると頬染まる僕冬ぬくし

    矢澤恵

  • 猫あくび冬暖かの中心地

    江ノ島泰成

  • 冬暖か十年ぶりの再会

    雨李

  • 冬暖かマッサージ機でまた眠る

    ひろ志

  • 冬暖かファーストシューズの一歩二歩

    楽和音

  • 冬暖か陰日向の妙猫惑う

    なみは

  • 犬歩き冬暖かや昼下がり

    勘太郎

  • 冬暖か初の年金和菓子買ひ

    ぽんたちん

  • 愛犬の寝そべる午後や冬ぬくし

    森の真林

  • スーっと伸びた影は濃く冬暖か

    青空豆千代

  • 冬暖か乳飲む吾子の頬の赤

    杼 けいこ

  • 冬あたたか買物済ませ漫歩かな

    理真

  • 冬暖か会話の少ない老夫婦

    一雁低空

  • 故郷の縁に寝ころび冬ぬくし

    卑弥呼

  • 冬暖か遠回りする帰り道

    おおにしまこと

  • 吟行の仲間の意欲冬ぬくし

    春よ来い

  • 冬暖か毛布蹴る吾子夢の中

    衆土売尽

  • 冬暖の吾の娘率る佳き日かな

    落句言

  • 病室の冬暖かや空は青

     剛柔

  • 冬暖かささくれ包む君の息

    麦野 光・いつき組広ブロ俳句部

  • 車イス押せば笑顔の冬あたたか

    石内宏明

  • 孫連れて子らの帰郷や冬ぬくし

    立野音思

  • 犬は跳ぶ冬暖かき那須の庭

    藤井俊季

  • 縁側に蝿じつとゐる冬暖か

    はまお

  • 銭湯の湯気ののんびり冬暖か

    詠頃

  • 身軽なり冬暖かの待ちぼうけ

    どらまにあ

  • 冬ぬくしポニテらんらんけんけんぱ

    富良里旅人

  • おひさまの香り感じて冬暖か

    玉川緑風

  • 冬暖か主居ぬとも花は咲く

    橋本諒駿

  • 冬暖か二センチ君と縮む距離

    玉野 素人

  • 戯れ帰る児らに陽が差し冬ぬくし

    秋葉 翠

  • 冬暖かばあばに寄り添う孫娘

    瀬野広純

  • 冬暖かキーウよせめて斯くあれ

    須川えい

  • 母といて吾子も成人冬暖か

    武蔵野青空

  • 車窓越し冬暖かや眠り猫

    藤本 秋蝶

  • 冬暖かリフトの上でうとうとと

    玉川 徳兵衛

  • 冬ぬくし心も溶ろける箱根の湯

    福島 昇天

  • 雨上がり土匂う冬暖か

    花実人生

  • 吾を駄目にするヨギボーや冬ぬくし

    きいこ

  • コルセットはずし背伸びす冬ぬくし

    増田 昴

  • 冬暖かや汲みたる水もまろし

    明後日めぐみ

  • みどり児のあくびしており冬暖か

    はなだんな

  • 冬暖か純喫茶の窓辺座す

    ぐりぐら京子

  • 冬ぬくしご無沙汰手紙心こめ

    コイケキクエ

  • 旗当番おはようの列冬暖か

    小川テル子

  • 校門でおしくらまんじゅ冬暖か

  • 冬暖か待合席の一つ飛び

    丸山晴耕

  • へそ天を競う猫と吾冬暖か

    清白真冬

  • 冬ぬくしカレーパン待つ長き列

    清瀬朱磨

  • 冬暖か寝ぼけ眼の交差点

    夜風しんのす

  • 午餐後の猫の半眼冬ぬくし

    雨霧彦(木ノ芽)

  • 心ふる恩師のたより冬暖か

    本久優千

  • 冬暖か明日は明日の風が吹く

    だけわらび

  • 細き陽に仔のからだ伸ぶ冬暖か

    福井桔梗

  • 冬ぬくしイルミネーション出番待ち

    スズランチイコ

  • 冬暖に緑のすじの田んぼかな

    みたぞの鈍幹

  • 一心にミルク吸う孫冬暖か

    嵐菜

  • あぜ道に六地蔵あり冬暖か

    浅井カバ先生

  • 生き物が日向に集う冬暖か

    森野翔

  • カーポート冬暖かの欠伸りす

    まー坊

  • 畝立てて土は黒々冬暖か

    妹のりこ

  • コンビニへアナ雪ドレス冬ぬくし

    まろのり

  • 冬暖か来た道そっと杖になり

    黒木しるこう

  • 老犬の里親となる冬ぬくし

    恋瀬川三緒

  • 合掌の冬暖かや母も笑む

    小柳ジョージ

  • 旧跡を訪ねて冬の暖かや

    山乃尾乃道之翁

  • 物忘れ夫も同じ冬暖か

    りんごのほっぺ

  • バンクシーの真っ赤なハート冬ぬくし

    みなみはな

  • 冬ぬくしポニーテールのけんけんぱ

    陶笛有味音

  • 冬ぬくし郵便受けによき知らせ

    リカ

  • 誓ひ合ふ冬暖かき薔薇窓に

    青野すみれ

  • 冬暖かやほっぺたにご飯粒

    つーじい

  • 冬暖か赤い蕾の色ゆるむ

    葉るみ

  • 冬ぬくし握るラケット軽やかに

    黒山万牛

  • 自販機のHOTドリンク冬ぬくし

    黒蜜きな子

  • 冬暖か部屋干しやめ外に立つ

    伊藤辰弥

  • 退院日駅への小径冬暖か

    北 晴風

  • 冬暖か下校の子からこんにちは

    たていし 隆松

  • 頬よせて冬暖かやママの腹

    文月蘭子

  • 冬暖か一つ手前でバス降りる

    さとの 白

  • うっかりと上司にタメ口冬暖か

    は・な・み・ず・き

  • 冬暖か窓へ椅子寄せ膝に猫

    眠睡花

  • 冬ぬくし老夫婦の手もぬくし

    まるかじり

  • 園児乗せバギー賑やか冬ぬくし

    花彼岸

  • 広縁のちちははが呼ぶ冬暖か

    Kかれん

  • 手水舎も冬暖かし稚児の手や

    さぶろう

  • 冬暖か老夫婦のよく笑い

    太之方もり子

  • 路地裏の猫のあくびや冬ぬくし

    三天朱印

  • 車椅子の母と堤や冬暖か

    八一九

  • 冬暖か睡魔が追ふ寺の経

    久下 真一

  • 寝坊助の冬暖かな寝癖かな

    須磨ひろみ

  • 冬暖か年中着たるエアリズム

    たこぼうず

  • 冬暖か四月にばあばとなる知らせ

    三島千尋

  • 冬暖かホームの母は笑顔みせ

    田中ようちゃん

  • 冬あたたか園児のさんぽ腕の中

    町神

  • 飛び跳ねる冬暖かな庭に居り

    田中田田蟲

  • 老犬の寝息聞いたか冬暖か

    なつめモコ

  • 冬ぬくし着物の母の手も温し

    菅原ゆう

  • 冬暖か湯けむり立つる宿の坂

    影夢者亜

  • 狛犬も冬暖かの欠伸かな

    沙一

  • 冬暖か白髪編むいま母少女

    吉田竹織

  • 冬暖か猫はへそ出し伸びてをり

    石本新香

  • 冬暖か車上にぷかり眠り猫

    有骸蟲蜴

  • バスタオル冬暖かに陽の香る

    中島穂華

  • 冬ぬくし寄り道をする児らの声

    中防美津子

  • 冬温し独り撫でやる猫の腹

    押川紫宗

  • 冬暖か隣家の犬静かなり

    華風ルナ

  • 冬暖か飛行機雲はまっすぐ

    ミント・スチュワート

  • リズム良き夫の寝息や冬ぬくし

    若葉わかば

  • 腕まくり歩く老躯や冬暖か

    亀亀子

  • 冬暖か廻り道してペダル踏む

    大阪駿馬

  • 狛犬が居眠りをする冬暖か

    雅屋少将

  • 晴れ姿冬暖かな二十歳の日

    雅 寝子

  • 編み棒が跳ねる妻の手冬温し

    藤 無南

  • 冬暖かもてなす客の心地よく

    清水まちつぼ

  • 冬暖か吾子のボールが日溜まりに

    安曇野まりえ

  • 孫を抱く妻の微笑(ほほえみ)冬ぬくし

    中島尚之

  • 誘われて冬暖かやランチどき

    國本秀山

  • 冬暖か2時間待ちの観覧車

    深澤 健聖

  • 冬んぬくし猫は縁側姿なし

    余熱

  • 冬ぬくし稚児抱くママの頰赤し

    西野桃果

  • 冬暖か墓地に漂う線香香

    柴桜子

  • 寅さんの矢切の渡し冬暖か

    dragon

  • リハビリ日冬暖かや弾む足

    井上美月

  • 玻璃越しのソファふかふか冬ぬくし

    滝美音

  • 冬暖か心遊ぶヘヴンかな

    平松瑞藍

  • 受診日の伴侶の背に陽冬暖か

    ティアラ文緒

  • 犬抱いて駅でパパ待つ冬ぬくし

    松永恕淳

  • まどぎわに冬暖かく座りけり

    おのまい

  • 息災の妻子孫あり冬暖か

    達坊

  • 靴音のヌクヌクと冬暖かし

    高市青柘榴

  • バスを待つ列のふくらみ冬暖か

    円路

  • 懐に入れし猫ほどぬくき冬

    霜川このみ

  • 冬あたたか引率の児の赤帽子

    中田邦光

次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
お待ちしています!

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