【並選】

• 何処よりフルートのジャズ冬あたたか

  日暮ひぐらし

• おもたせのやうな冬暖かな昼

  松本こっこ

• すれ違ふ歩幅ゆるめて冬ぬくし

  仲 操

• 冬暖かベランダに夜干す魚

  髙田佳典

• コーヒーの礼の母国語冬あたたか

  かい　みきまる

• 産院の寄せ植え三種冬ぬくし

  広島　しずか80歳

• 保護犬の目玉黒ぐろ冬ぬくし

  伊藤順女

• 冬ぬくし長き影ひく眠り猫

  斉藤三藤斉

• 冬暖やうたた寝は茹でガエルめく

  黒田栗まんじゅう

• 友が来て単身の街冬ぬくし

  美濃仙人

• がりがりと歩行器の音冬ぬくし

  海峯企鵝

• 白樫に柔き鉋や冬暖か

  村崎　雫

• 「おいでんせえ」吉備路の茶屋の冬暖か

  高橋風香

• 暖冬の朝に一体行き倒れ

  メディックス千里

• 冬暖か祈りの時を伝へ合ふ

  蘭丸結動

• 冬ぬくし杜の梢の賑はしき

  浅乃み雪

• 冬暖かサドル叩いて蹴るペダル

  三河三可

• 冬暖か半分だけの甲羅干し

  高重安眠

• 冬暖か朝練の群れ坂上がる

  ニッシャン

• たゆたう夜ウッドウィック冬暖か

  中津川　聖翠

• 冬ぬくし鏡に此方拭く男

  火炎幸彦

• 目を細めテレビ見る猫冬あたたか

  花星壱和

• 弟はひとり暮らし冬あたたか

  三尺玉子

• バス降りて冬暖かな遅刻かな

  宮坂暢介

• カフェオレのまろき流縁冬ぬくし

  石原由女

• 龍神の髭の曲がりや冬あたたか

  森　日美香

• 紙箱のサンドウイッチ冬暖か

  内田こと

• さるだんごとけて猿山冬ぬくし

  国東町子

• 立ち読みは古書肆のワゴン冬ぬくし

  佐藤さらこ

• 点滴や冬暖かし母に添う

  林口竹

• 遠まはりすれば会ふ犬冬ぬくし

  えりべり

• 留園の亭に読書や冬ぬくし

  仁山かえる

• 筆談の文字の掠れや冬ぬくし

  久保田Ａ

• 声変はりしても犬来る冬ぬくし

  小里京子

• スパイスを小瓶へ移し冬ぬくし

  とはち李音

• 冬暖やしゃがんだままのリングボーイ

  芝歩愛美

• はつらつと老いのとば口冬ぬくし

  永想

• 冬暖か青谷弥生の交易路

  近藤マタネ

• 生徒らと交わす日本語冬ぬくし

  ひすい風香

• 川底の魚動きたり冬暖

  浩子赤城おろし

• 冬あたたかや配膳さんの外つ國訛り

  清島きゅうもんｄｅ木の芽

• やたら尻向けてくる河馬冬暖か

  みづちみわ

• 冬暖か蒸し器カタカタ音たてる

  笑姫天臼

• 清らかに一票播州冬ぬくし

  あたしは斜楽

• 独り言冬暖かに汁啜り

  ちゃるこ

• 冬暖かスリッパ放る上級生

  悪七兵衛

• 砂利道に軽き雨音冬ぬくし

  かつたろー。

• 冬暖かキャッチボールの薄着の子

  空流峰山

• 冬暖か集合無視の逆上がり

  若林くくな

• 冬暖か静か静かと猫の耳

  染野まさこ

• 冬ぬくき生命線の太さかな

  ふゆの都々逸

• 冬暖か命の芯を整へる

  時小町

• 冬ぬくし重力を吾のものとする

  いその松茸

• 毛の匂い鱗の匂い冬暖か

  橋本有太津

• 冬暖かスポットライトっぽい天日

  たかはし千百

• 車座の冬暖かに蘇生術

  佐藤知春

• 冬暖か老母の足よまた動け

  白眼　緑照

• 冬暖か少し膨らむ庭の土

  竜眼ジジ

• 冬あたたか壁に介護の注意書き

  砂山恵子

• 武蔵野の冬暖かしサバラなり

  西浦　貴浩

• こぶし解く円きたなうら冬ぬくし

  匹田小春花

• 冬暖か知らぬ子いるよけんけんぱ

  岩森春宇

• 鐘の音も冬暖かや子守唄

  川辺世界遺産の居候

• 冬暖か小さなオフィスに光満つ

  出水ゆみ

• 蔵王山冬あたたかに音楽フェス

  戸田　なお

• 冬暖かブランコ乗れば立って漕ぐ

  あらいゆう

• 鋏痕の残響抜けて冬暖か

  永嶋夜久

• 家計簿に肩たたき券冬暖か

  四條たんし

• 切株にここに座れと冬暖か

  しおやま句吟子

• 冬暖かポイント倍の売りだし日

  露崎一己句

• 冬暖か畑の母は時忘る

  たなべ早梅

• 冬ぬくし執行人もケーキ食う

  まつおえりか

• 老に道譲る人あり冬ぬくし

  加藤多作

• 冬暖か同じ絵本をもう一度

  西村小市

• 前撮りに付き添う母や冬暖か

  増本空ふね

• 冬暖か術後の目覚め待ち涙

  宇佐美ミズク

• 祠にて頭垂れおり冬暖か

  みしまちづる

• 冬暖かみちのく車中泊の旅

  真喜王

• 先日の出来事おもう冬暖か

  なか　かよ

• 冬暖か空の樟脳袋百

  ペトロア

• 冬暖か吾も確かめむ飛来数

  舟端玉

• 冬ぬくし障子の穴に貼るハート

  山くじら

• トンネルを越えて岬や冬ぬくし

  君島笑夢

• 冬暖かレジのあの娘は三日ぶり

  堀邦翔

• 冬暖を鎮座まします桜島

  卓鐘

• 冬暖や洗礼堂の八角形

  大熊寝子

• ドーナツを三つえらんで冬ぬくし

  大野美波

• 父の膝取り合う双子冬暖か

  一走人

• 窓辺には古びた詩集冬暖か

  青星ふみる

• 冬暖や風車の影も回る回る

  冬野とも

• 冬暖かナイフで鉛筆削る父

  大西秋桜

• 息を吹き冬暖かき窓磨き

  山本蓮子

• 山道や冬あたたかに祖母の歌

  季切少楽・いつき組広ブロ俳句部

• 敷石をずらす三寸冬暖か

  毛利尚人

• 朝からの人間違いや冬ぬくし

  無花果邪無

• マタニティーヨガは講師も冬ぬくし

  寺尾当卯

• 不自由な体運びて冬ぬくし

  OH典子

• 野積みたる担架の山や冬暖か

  坂土海夏

• ぬくき冬蹈鞴高きに踏み締めぬ

  灰色狼

• 落しもの拾はれし冬暖かく

  栗山おかか

• 冬暖か畳に丸い日の光り

  吉武茂る

• 牛乳の冷たき香り冬暖か

  山海動静

• 冬暖か両手に猫の砂とふん

  紗藍　愛

• 冬暖か今日はスムーズ町眼科

  松葉学而

• 百才の母と語るや冬ぬくし

  村上薫

• 持ち寄りのまち針の色冬ぬくし

  東田　一鮎　金カル

• 警告の文字美しく冬ぬくし

  佐藤志祐

• 石仏の周り三周冬ぬくし

  白山一花

• 極北の冬暖かし零度九分

  犬淵貉

• 信号の曲口ずさむ冬暖か

  しんしん

• パン屑の零れ鳥食う冬暖か

  絵夢衷子

• ソース匂うもんじゃの路地や冬温し

  虹岡思惟造

• 暖冬の陽射し喪服の我々に

  半ズボンおじいさん

• 知らぬ間に寝帽子はずれ冬暖か

  猪飼篤彦

• 身から出た錆をぬぐへば冬ぬくし

  田口大寒六

• ボサノバの流るる医院冬ぬくし

  おかえさき

• 冬暖の横断歩道鴉ぴょんぴょん

  満嶋ハト

• ドヤ街の主の哄笑冬ぬくし

  紗凡

• 冬暖かは母の最後の贈り物

  水きんくⅡ

• かどは八百屋かタバコ屋か冬暖か

  犬井山羊

• 満タンの空気のタイヤ冬ぬくし

  こうだ知沙

• 冬暖か仮設くらしの手アイロン

  中　兎波

• 恬淡の語り部逝くや冬ぬくし

  始の子

• 電動の自動車フォンと冬ぬくし

  一井かおり

• 待合の字幕のテレビ冬ぬくし

  渥美こぶこ

• ドア押さえ吾を待つ息子冬暖か

  平としまる

• 冬ぬくし奥歯の麻酔もったりと

  糸川ラッコ

• 冬ぬくし三連単の草競馬

  上津　力

• 足跡よ冬暖かに波さらふ

  haru_sumomo

• 冬ぬくし縁側できく祖母の愚痴

  春　あおい

• 問診に一つ嘘書く冬ぬくし

  仁志

• 冬ぬくし電線に雲ひっかかる

  まぐのりあ(蚊帳のなか)

• 襟を剃り前をパッツン冬ぬくし

  案浦エミリー

• 冬暖か鳥かご開けて待つ庭に

  鳥乎

• 湖につどふＳとss冬あたたか

  さとう昌石

• 薄明に島影浮くや冬ぬくし

  案山子＜いつき組広ブロ俳句部

• 冬暖かぴいちやんの墓だつたよね

  ナノコタス

• 墓前酒冬暖かの石畳

  ヒロヒ

• 冬暖か乳白色の母の骨

  小島やよひ

• 冬暖か吊るしにカビがぷつぷつと

  卓司

• 誰ひとり殺していない冬ぬくし

  山崎なお

• 冬暖かや古書店の香をポチと嗅ぐ

  枯丸

• 冬ぬくし妣の連鶴折り繋ぐ

  竹村マイ（蚊帳のなか）

• 冬暖かぷくりと太し南洲の書

  空郷　阿房人

• 冬暖かパステルで描く今朝の君

  青野遊飛（蚊帳のなか）

• 冬ぬくし対席の二人は手話を

  大津美

• 冬暖かマイク使はぬ朗読会

  キートスばんじょうし

• 冬ぬくし肘に縫ひ締め畳縁

  くま鶉

• 隣家のシェイバー長め冬暖か

  京あられ

• 日めくりの指の鳴る朝冬暖

  くろけん

• 二杯目のチャイで割引冬あたたか

  テレシア

• 昼練の君のかさぶた冬ぬくし

  野点さわ

• 相棒の杖の柄丸し冬あたたか

  桐山はなもも

• 子供部屋のにおいの記憶冬暖か

  山下水音　

• 冬暖かピアノの漏るる散歩道

  そめいゆ

• うどん切る音が外にも冬ぬくし

  土佐藩俳句百姓豊哲

• 黒電話小さきゆびさき冬ぬくし

  在在空空

• 夫と見る墓園のチラシ冬あたたか

  木染湧水

• ミシン踏む冬暖かきリズムなり

  桂葉子

• 冬暖か走れば腹の笑ひ出す

  やまもと葉美

• 冬暖か指輪の妣と子の婚へ

  前田いろは

• 冬ぬくし運動靴を洗う音

  石川順天

• 冬暖か砂浴ぶ鶏や神の庭

  呆け鴉

• 深爪の下皮かなし冬暖かし

  ちくりん

• 冬暖か有休とっていいですか

  三水低オサム

• 似通いし家建ち並び冬ぬくし

  山川烏骨鶏

• 冬暖か休みに集うAEONかな

  渥美　謝蕗牛

• ポイントの万も貯まりて冬ぬくし

  吟　　梵

• 墓原の冬暖かやお弁当

  山もと　日月坊

• 文机に膝の切込み冬ぬくし

  黒澤墨青

• 冬暖かとろみを混ぜる介護食

  星詩乃すぴか

• あざらしの白き産毛や冬暖か

  椿泰文

• 暖冬の呼子笛鳴る終電車

  小林昇

• 飼育係に戯れるパンダや冬ぬくし

  かんこ鳥

• 冬暖か夫と父には同じ癖

  増山銀桜

• 冬暖かそれでも進むじょっぱり酒

  津軽まつ

• 冬暖か弘前城の待つ移転

  津軽ちゃう

• 冬あたたか子鯨の墓一か所に

  みやま千樹

• 冬暖か盲導犬の顔優し

  篠田ピンク

• 陰謀に嵌る老母や冬暖か

  野原茉莉

• 冬暖か入居施設に義父送り

  わたり　和

• 今が前世とは知らず冬暖か

  一の橋　世京

• 踞へば右膝の黙冬ぬくし

  山河穂香

• 冬暖か潮水甘き堤防に来て

  白井佐登志

• 転職の吾にくれし椅子冬ぬくし

  みしまはぐし

• 縁側の冬暖かや清拭す

  坂本雪桃

• 冬暖か時計は誕生日の数字

  仮名鶫

• 冬暖かどれポストまで杖を曵く

  日向浜

• 助手席にベビーシューズや冬暖か

  千和にの

• 冬暖かステージ降りた背にタトゥー

  U-KI from JuicyJam

• 老猫が雀に唸る冬ぬくし

  月見里ふく

• 冬暖かソファーカバーの森の色

  海月のあさ

• 冬暖か一乗谷の湯殿跡

  森一平

• 冬暖か明日は父の面会日

  伊藤てまり

• 遠江冬あたたかに登呂遺跡

  那須のお漬物

• 冬ぬくし正書法なき日本語

  遠山比々き

• 手術回避冬暖かしあたたかし

  大黒とむとむ

• カフェテラス冬暖かき空の端

  斗三木童

• 藻屑の打ちあげられて冬暖か

  相沢薫

• 冬暖かビデオ通話の九九の声

  やまだ童子

• 味噌蔵のこの家の香や冬暖か

  松沢ふじ

• 冬あたたか寝癖はいつも左側

  亜桜みかり

• 亀石の目を細めたり冬暖か

  森　佳月

• 右窓に信濃富士見え冬暖か

  丸山佳子

• 冬暖か細き手伸ばす太極拳

  小夏

• 図書館のため息深し冬ぬくし

  理酔蓮

• 冬暖か先ゆく夫の影を踏む

  宇のななみ

• 収集車は園児に応へ冬ぬくし

  田村ヒロミ

• 筆太の遺言の文字冬ぬくし

  桃香

• 城壁に差す陽は赫き冬ぬくし

  家古谷　硯翠

• 冬ぬくし旅に訛を拾ふ耳

  一久恵

• 弘法に選ばれし筆冬ぬくし

  明神おぼろ月

• 無住寺の冬暖かな鬼瓦

  秋野木吾

• 冬暖か餃子のひだは四つ五つ

  奈良岡歩

• 放送部冬あたたかにマイク打つ

  林省造

• 冬暖か背１ミリ伸びたかしらん

  羅美兎

• 冬ぬくし夢二をひらく木のベンチ

  麦のパパ

• スーパーで夫婦喧嘩を冬ぬくし

  浜 友輔

• 冬ぬくしテニスコートの親子猿

  康廣

• 蒼穹や冬暖かに出棺す

  鷹星

• 冬暖かレタリングの線太し

  高田 ちぐさ

• 花札の角擦りきれて冬暖か

  渡邉春生

• 冬暖か薄っぺらなる今朝の白湯

  八十六九

• 走る犬に添ふは補助輪冬ぬくし

  戸口のふっこ

• 洋酒香るフルーツケーキ冬ぬくし

  ナオコ タイラー

• 駅弁の玉子は黄色冬暖か

  古川一光

• 陽の道や海穏やかに冬ぬくし

  西風　心鏡

• 冬暖かや六波羅蜜寺の空也像

  猪子石ニンニン

• 母ちゃんの形見広げる冬ぬくし

  麗し

• すべり台繰り返す子ら冬ぬくし

  咲 まこ

• 冬暖かふゆあたたかと口々に

  星田羽沖

• 萩焼の湯のみの二つ冬ぬくし

  スモールちもこ

• 嬰児のぶぶぶと糞りて冬ぬくし

  満る

• なにかしら落ちてる公園冬あたたか

  千夏乃ありあり

• 陽曝しのサドル冬暖かな帰路

  瀬戸ゆらり

• 尊師への祈り冬暖の道場

  木公男8888

• 冬ぬくし血圧計は電池切れ

  玉響雷子

• 二寧坂産寧坂や冬ぬくし

  倉森愛華

• 子等狙う大盛りおこげ冬暖か

  オアズマン

• 冬ぬくし巡回路塞ぐ丸き猫

  むらぴ

• ムードメーカーの冬暖かき半ズボン

  元野おぺら

• お練り待つ最前列の冬暖か

  たけうち晴美

• 腰に袖巻き付け冬暖かかな

  平山仄海

• 冬暖かく私もとけてしまおうか

  一杯狸

• 脳トレを一冊クリア冬あたたか

  井田みち

• 階段にジャージの二人冬暖か

  木ぼこやしき

• 冬暖かや濠の鳥知る雲の嵩

  紫小寿々

• 指先に冬暖かを載せてふう

  小田慶喜

• のど飴の翡翠色して冬暖か

  玉家屋

• 冬暖か枕カバーの日の匂

  上村　風知草

• 店頭の蒸し器もくもく冬ぬくし

  宏楽

• 幼な子へ巡査敬礼冬ぬくし

  柳絮

• ポストへと冬暖かしウォーキング

  田畑せーたん

• 冬暖かぐわりふくらむパンケーキ

  千葉右白

• 供花の葉のわづかに反りて冬あたたか

  水須ぽっぽ

• 普段着で会える友達冬ぬくし

  桂　林子

• 冬暖か岩に浮き立つ潮の筋

  塩風しーたん

• 冬ぬくし舟屋から出るおんなをり

  秋星子

• 朝刊に母の投書や冬ぬくし

  原島ちび助

• 心臓の動ける不思議冬ぬくし

  錆田水遊

• 冬暖か飛び出してゆく鬼ごつこ

  沖庭乃剛也

• 冬暖かやズックと束子から雫

  一寸雄町

• ペディキュアを競ふ姉妹や冬ぬくし

  野州てんまり

• カメラ提ぐ冬暖かな街の景

  孔明

• 冬暖かふれあいのサロンに唱歌

  いごぼうら

• スーハーと思案するなり冬温し

  テラゴン

• 冬ぬくし朝練見てる若い母

  吉田春代

• 冬暖かや席を譲りし高校生

  中華風

• 片手上げハザード二回冬暖か

  あきちゃんはよーせい

• ドーナツに降らすお砂糖冬暖か

  小藤たみよ

• もう抜けぬ髪病床の冬暖か

  高尾里甫

• 冬暖か舫を解いて出航す

  八尾の正吉

• 冬暖か髪をざっくり結いあげる

  睦月くらげ

• 冬暖か癌の句友に寄せ書きす

  野ばら

• 答案に我の似顔絵冬暖か

  深草あやめ

• どの杭も雀載せたり冬ぬくし

  夏椿咲く

• 冬あたたか父なほ練習する弔辞

  戸部紅屑

• 冬暖か野仏肩を緩めけり

  田中一升

• 冬暖か目高の鉢にある波紋

  世良日守

• 冬暖は君がいるからてふ誤解

  風来坊健丸

• 鳩白き教会の庭冬あたたか

  ジン・ケンジ

• 冬暖か抱かれ上手の赤ん坊

  ほうちゃん

• 朝市のおまけの品や冬ぬくし

  上津　嘉子

• 冬暖かピザパーティーのチーズの香

  杞憂奏汰

• 冬暖か離婚届をポイと捨つ

  はまゆう

• 窓に寄り解く問題集冬ぬくし

  白倉黄鶺鴒

• 兄恋えば墓石のぬくし冬暖か

  高本蒼岑

• 冬ぬくし微かに動く壁の虫

  あおのめ

• 冬暖か古書の美女にも薄笑い

  梨山碧

• 冬ぬくし見廻り中の地域猫

  at花結い

• 冬ぬくしつっかけ隣りへ回覧板

  ゆかりん

• 土手沿いの応援席や冬ぬくし

  リコピン

• 冬暖か休耕田に生きる草

  一条春枕

• 冬あたたか岬の墓地へ風上る

  ヤヒロ

• もの忘れやうやう増えて冬暖か

  花咲めだ香

• 箸の丈それぞれ冬のあたたかし

  五味海秀魚

• コロッケをおまけで貰い冬ぬくし

  田中紺青

• 独り酔いのゴールデン街冬暖か

  天照昭光

• 冬暖か卵パックの特売日

  白石美月

• 冬暖か日の当たらない街路灯

  五十嵐　三連単

• コピー機の用紙吐き出す冬暖か

  千賀子

• 底石と鉢を洗いし冬あたたか

  小田ビオラ

• 冬暖か看取りの母の爪を切る

  内田ゆの

• 冬暖かはりぼての吾をぺろぺろと

  青水桃々（俳句迷子の会）

• 暖冬の小さき戸を押す猫の鼻

  主藤充子

• 雑巾がけ冬暖かに腰伸ばす

  花南天anne

• 福とつく舟みな黄色冬ぬくし

  津島野イリス

• 傾けて転がすボンベ冬暖か

  ちやあき

• 離乳食ひろげベンチの冬ぬくし

  羽奈あかり

• 鉢植を運ぶ女房冬暖か

  小公園噴水

• 踏む影と踏まれる影と冬暖か

  平岡梅

• 象の子の鼻で甘えて冬ぬくし

  深山むらさき

• 冬暖か照準器では見えぬ景

  十休

• 冬暖か我を飾るは空のみぞ

  山香ばし

• 平石に冬暖かし猫の臍

  山川土時

• 冬ぬくし漢操るシャベルカ－

  竜子deノエル

• 冬暖か悪女をちょっと一休み

  夏目あかり

• 冬暖か泣きじやくる子を抱く力士

  坐花酔月

• 冬暖かし鞄のものは皆大事

  クラウド坂の上

• 冬暖かに裾出しの二重線

  林　和寿

• 同郷といふそれだけで冬暖か

  九郎四郎

• 振り回す人と別れて冬暖か

  小園夢子

• 冬暖か満員通過ありしバス

  津軽わさお

• 発車ベル気にせぬ足湯冬あたたか

  佐藤烏有

• 点滴をゆっくり落とす冬暖か

  渡部　あつし

• 冬暖か理系科目は捨てました

  キッカワテツヤ

• ゆつくりと歩みなされと冬暖か

  　蔵原　貢次郎

• リーチと言ふ曾孫の手筋冬ぬくし

  杜まお実

• 結滞のやや鎮まつて冬暖か

  あねもねワンヲ

• 帽子とる水先人や冬ぬくし

  黒木九

• 縦長の絵を値切りけり冬暖か

  外鴨南菊

• 「快便」と今朝の日記や冬ぬくし

  まるちゃんにいさん

• 冬暖か前四輌は逗子止まり

  虎穴虎児

• 還暦の暖冬を逝くオランウータン

  華胥醒子

• 赤べこの小さきお辞儀や冬ぬくし

  山口葵生

• 寺の鳩餌欲しそうに冬ぬくし

  万里の森

• 冬暖踊り子号の一人旅

  どこにでもいる田中

• 冬暖かし阿蘇山は今朝スッピン

  田上南郷

• 冬ぬくし漬物石を直しけり

  バンブー

• 冬暖か北限猿ぞ笑いける

  野々原ラピ

• 鉄棒を握る手の錆び冬ぬくし

  谷　道悦

• 冬ぬくし玉砂利じやらじやら遊ぶ子ら

  さおきち

• 冬暖し脱走らしき猿がいる

  琵琶湖のおばさん

• 冬暖かさんで呼び合ふ老い二人

  はぐれ雲

• 冬暖か棋譜を片手の名人戦

  かこよし

• 冬ぬくし車中で寝れば首痛み

  中村笙平

• 冬ぬくし君の顔文字（笑）ばかり

  むい美縁

• 臍下のゴムあと痒し冬暖か

  立田鯊夢・いつき組広ブロ俳句部

• 野仏の頭に触れて冬暖か

  　銀　次郎

• 錆びついた背骨冬暖に伸ばす

  冬島　直

• 冬暖か喪服の一団賑やかに

  小池博美

• 冬ぬくしキリンの欠伸ゾウの糞

  アンサトウ

• 冬暖か無口な夫の卵粥

  淡湖千優

• 冬暖か部活帰りの肉饅頭

  荒木響

• 人づまの冬あたたかき坂くだる

  榊昭広

• 冬ぬくしジヤングルジムに尻嵌る

  神島六男

• 冬暖か転寝するは我が病魔

  彩桜里

• 角砂糖三つ溶かすや冬ぬくし

  新山晶花

• バブルガム膨らむはやさ冬ぬくし

  小川さゆみ

• ウクレレの弦は四本冬暖か

  旺上林加

• 冬暖かお釣り百萬円の声

  山崎千晶

• 冬ぬくしするする走るボールペン

  田辺ふみ

• 冬暖か出刃は砥石を滑らかに

  家守らびすけ

• 明日まで開かぬポスト冬ぬくし

  公木正

• 冬暖か近所寄り合いカレーの日

  夏の町子

• 劇団の解散決めた日冬あたたか

  陽花天

• 行く人の歩みゆつくり冬ぬくし

  砂月みれい

• 窓際の豆苗そだつ冬暖か

  やっちゃんち

• 注ぐ湯に踊るアッサム冬暖か

  茶素

• 冬ぬくし子はババ抜きでうそをつき

  羊似妃

• ムーミンのマグへ二煎目冬暖か

  満生あをね

• 冬暖か腹圧かける三秒間

  野井みこ

• 冬暖か片足で立つ阿国像

  戌の箸置

• 朗読や冬暖かな物語

  紅紫あやめ

• 地上絵のごとく寝そべる冬あたたか

  浦野紗知

• 冬ぬくし見合ふ鴉と鳩がゐて

  渡嘉敷五福

• 暖冬やピンクパンツの膝の穴

  彩川陽子

• 冬ぬくし残滓のごとき通り雨

  久留里61

• 冬暖かぞくぞく集う古なじみ

  笑松

• 植栽へ風のひと手間冬暖か

  はれまふよう

• 軽やかに開く子供食堂冬あたたか

  神無月みと

• 冬暖に片目を瞑る不動尊

  柿司 十六

• 終活の冬暖かやソファー捨つ

  水無月　八子

• 喪中見舞い届ける朝や冬暖か

  花野のはら

• 冬暖かスカジャン並ぶ浅草寺

  とも子

• 冬あたたか悪役は声低く追ふ

  菅井香永

• ホンダ来てヤマハ来て冬暖かや

  もりさわ

• 冬暖古書店亭主大曖

  佐川碧

• 冬暖か痺れたままの足緩む

  松本厚史

• ツインレイ待ちわびて冬暖かし

  たけろー

• まだ右折言い張るナビや冬暖か

  陽乃姫

• 暖冬や身籠もる土偶指のあと

  黛素らん

• 冬暖の筆伸びやかにチャイを飲む

  せいしゅう

• 自販機の灯やほのと冬暖かし

  正念亭若知古

• 冬暖か今朝産れたる犬七頭

  苺井千恵

• 江戸川の冬暖かな渡し船

  ゆぃ

• 出て行けば冬暖かなさてLet-it-go

  迫　久鯨

• 廃線の錆の匂いや冬ぬくし

  哲庵

• 旅人の水占ひや冬ぬくし

  とんぼ

• 終活に冬暖という落とし穴

  中島　真珠

• 診察室の物語冬暖かや

  一歩亭六案

• 冬あたたか父の手つなぐ母きれい

  つくも果音

• 冬暖か乳母車からパグの顔

  渡部克三度

• 冬暖か眠るかごとき涅槃仏

  玖良咲

• リハビリや冬あたたかく足かるく

  久保田凡

• はじまりは忘れた記憶冬あたたか

  haruwo

• 先延ばす足の爪切り冬ぬくし

  髙橋花紋

• 冬ぬくしエイトビートで庭掃除

  小野陽笑

• 島一つ冬暖かな波迎え

  石原しょう

• 竹編みの太めの目打ち冬ぬくし

  明惟久里

• 真ん中を歩く畦道冬ぬくし

  檜鼻ことは

• 冬暖かし釣堀の糞柔し

  佐藤茂之

• 冬あたたか暖流由来の磯臭さ

  多事

• 冬暖や夫に川友山の友

  岡田雅喜

• 冬暖かやっと娘と口をきく

  釋愚拙

• 冬暖か民家の塀に校歌の碑

  栗田すずさん

• 冬暖か靴下二足履いた椅子

  ふくじん

• 滑り台となり冬暖かな象

  龍田山門

• 冬暖か程よく歪むパンケーキ

  石上あまね

• 空爆のニュース冬暖かの居間

  松本笑月

• すれ違うラジオの残響冬ぬくし

  むねあかどり

• 冬暖かチャリのスポーク光りをり

  小島神泉

• 山寺へ冬暖かな三回忌

  どくだみ茶

• 冬暖か線路まっすぐ雲となる

  森きやつか

• ははのちちふくむくちびるふゆぬくし

  はなぶさあきら

• 冬暖か現場日誌の「特記なし」

  すずなき

• 冬暖か様子見に来る子らの顔

  蒼鳩　薫

• 冬暖か杭に止まりし紙飛行機

  夏　六葉

• 冬暖は石油のにほひ祖母の家

  夏風かをる

• 冬暖か三号棟に新生児

  みつれしづく

• 冬暖か見つかるようにかくれんぼ

  西町彰子

• 導入のルンバの名付け冬ぬくし

  凪ゆみこ

• 墓碑銘は平成七年冬暖か

  竹の子

• もっきりに能登の香満ちて冬ぬくし

  小川野雪兎

• 切り株に本読む人や冬ぬくし

  清仁

• 冬暖か蛇口捻れば錆びた水

  団栗あんパン

• 雲流る冬暖かにオフィス街

  遥風

• 冬暖か震えず巻けたシガレット

  諫鼓苔深

• 冬温し老夫婦食むハンバーガー

  畠山弓弦

• 冬暖か毛足の短い犬を抱く

  紅のジーナ

• 冬ぬくし妊娠検査薬に線

  せとみのこ

• 校庭へ続く杉山冬ぬくし

  峰泉しょうこ

• 冬暖かや靴中敷きの触感

  望月ぽん

• 冬暖の伊勢湾へ入る木曾三川

  むったん

• 犬の火葬へ冬暖かき夕べ

  宗平真実

• ピアノ弾く友の美し冬暖か

  でんだ浜千鳥

• 転車台を離れぬ子また冬ぬくし

  古乃池糸歩

• 一人ぼっち冬暖かな保健室

  富山湾

• じいちゃんのおひげがいたい冬あたたか

  高永　摺墨

• 冬暖か鏡の我の片えくぼ

  acorn

• 冬暖かビジネス書には綺麗事

  蜘蛛野澄香

• 冬暖か砂場に二個の泥団子

  ゴーマ

• 冬暖かパン屋開店五分前

  一港

• 冬暖か繋がなくなった手と手

  榎美紗

• 大盛の冬暖かの蕎麦ランチ

  チームニシキゴイ太刀盗人

• 手の甲のメモそのままに冬暖か

  中根由起子

• 冬温し退院を待つ子のごとく

  梅鶏

• 胎内を這ひずり登る冬暖か

  吽田のう

• 冬ぬくし墓の香煙まっすぐに

  北山　烏兔

• 冬暖かヘラで鉄板擦る夜

  空乃さゆり

• 釜鳴りを鎮むる水や冬ぬくし

  丸山隆子

• 冬暖か素潜り漁もあと三日

  小島ひまわり

• 冬ぬくし半年ぶりにＬＩＮＥする

  鶴富士

• 四肢柔し冬暖かなミシンがけ

  篠雪

• 冬暖か肩をぐりぐり散歩中　

  天王谷　一

• 麻酔覚め吾を見すぐ閉ず冬ぬくし

  大竹昭子

• 冬暖か納屋に獣の気配かな

  まこちふる

• 仕舞湯へ星空駆く冬暖か

  たつき

• 冬暖か半地下の霊安室

  ざうこ

• 腕相撲風組ら負け冬暖か

  鵬

• プロポーズめく面接や冬ぬくし

  阿山きし

• 冬ぬくしリフォームしたる友の家

  鷹見沢　幸

• 冬あたたかボール咥へて飛ぶ鴉

  谷川ふみ

• 箒目の海のうねりや冬暖か

  白猫のあくび

• ロボットの働く役所冬暖か

  立ち漕ぎブランコじゅん

• 甥つ子と叔父の対局冬ぬくし

  月石　幸

• 子供には子供の悩み冬ぬくし

  川屋水仙

• 冬暖かそれとなく知るけものみち

  池上　吟

• 冬温し雷門の異邦人

  川島欣也

• 特養の妻の揺り椅子冬ぬくし

  妄児

• 冬暖やケーキ屋前のキティ靴

  アニマル可秘跳

• ハミングと掃除機の音冬ぬくし

  みゆむうしば

• 置き去りのままごとシート冬ぬくし

  ゆきなごむ

• 七色の口上ありて冬ぬくし

  豆柴

• ちゃり習ふ児は赤ら顔冬ぬくし

  はれみちる

• 球根に全きひかり冬あたたか

  清水　三雲

• 冬暖か火の見櫓へ蔦の先

  山吹なお

• 鳶の急降下漁港は冬暖か

  春蘭素心

• 図書室の窓濡らす雨冬暖か

  つまりの

• 冬暖かゆるゆる廻る金の鯉

  奥田圭衣

• ペンギンの散歩わさわさ冬暖か

  おこそとの

• 復職や冬暖かき路地に声

  野々村澄夫

• 冬ぬくし猫の踏みゆくテレビ欄

  大岩摩利

• 冬暖かきつとがんばる深呼吸

  藤鷹圓哉

• 命日の冬暖かき旅支度

  麻生ツナ子

• ことばより祖父母のにほひ冬ぬくし

  正岡田治

• 暖冬や頭上でハウる市放送

  弥勒夕陽

• 冬暖か港ヨーコの陽子節

  池内ときこ

• 冬暖か子豚やうやく眠りけり

  今野佑紀

• あまやかに揃ふ前髪冬あたたか

  はんばぁぐ

• 道端は道の輪郭冬ぬくし

  恵勇

• イベントのトゥクトゥク黄色冬暖か

  小笹いのり

• 彼はもうアメリカの人冬暖か

  叶田屋

• 冬温し猫の抜け殻抱いて寝る

  坂本宙海(そおら)

• 冬暖か客三人の路線バス

  加賀くちこ

• のたのたと冬あたたかに水の音

  太田栗青

• 冬暖か陽の粒じわと溶ける頬

  シュリ

• あたらしいひとのなきごえふゆあたたか

  丹波らる

• 冬暖かインバウンドの長き列

  瀬戸ティーダ

• 水筒の蓋開かずとも冬暖か

  楊梅江風

• 冬暖か顔はめ並ぶ道の駅

  ひなた和佳

• 六人のソロ回しある冬ぬくし

  寺嶋杳杳

• 冬暖か32度の入射角

  種種番外

• 冬暖かふくよかな君の月丘

  はごろも856

• 病室の冬暖かや母の頬

  くぅ

• 冬暖かナポリタン屋の最後尾

  黒子

• 顔芸に耐ふる鏡や冬ぬくし

  てるきち

• 珈琲の纏ふ陶器や冬暖か

  嶋田奈緒

• 問診の椅子柔らかや冬暖か

  こま爺

• 冬暖か君はミルクもお砂糖も

  古都　鈴

• 冬暖か馬鹿にも脳に皺はある

  深町宏

• 修禅寺の沁み入る香や冬ぬくし

  松坂　コウ

• 冬暖か麻酔の抜けぬままうがい

  久米穂風

• 冬暖かやさしい君の手はつめたい

  森脩平

• 冬暖の押し入れ蟄虫の宝庫

  藤咲大地

• 冬暖か小鳥にへそを探す母

  いりこのにゃらつめ

• 冬暖かやっぱり蒸かすヤツにする

  綿鍋雪

• ×よりも△が多め冬暖か

  岡田道一

• 冬ぬくし電子レンジの音静か

  石神湖畔

• 順ぐりのひかり野の冬暖かか

  黒麹　糀

• 冬暖か押しボタン式押し忘れ

  熊のまさきち

• サンキューの笑い皺あり冬暖か

  霧　澄渡

• 町医者の長話また冬温し

  老人日記

• 冬暖か給水に友並走す

  彩　詩充

• 冬暖か鉄路の音の柔らかに

  菊池克己

• 冬ぬくしポカリパコパコ遊ぶパピー

  美月　舞桜

• 喃語との会話尽きせぬ冬ぬくし

  前田昂平

• 土のなか生ゆる石英冬温し

  細川鮪目

• うす青き瓶に牛の絵冬ぬくし

  曇ゆら

• 冬暖か肉はパン粉の海のなか

  すりいぴい

• 冬暖かワンコイン持ち牛丼屋

  青い空加納

• 壁に切り絵の小児病棟冬あたたか

  いずみ令香

• 冬ぬくし残り世になほある浮力

  熊谷 温古

• 犬の絵のパジャマださくて冬あたたか

  ツナ好

• ぬれ縁の雨かわきつつ冬暖か

  一型

• 光吸ふ猫の和毛や冬ぬくし

  黒蜜かりんとう

• 冬ぬくし諦めることを諦める

  清水小寸

• お見合ひのやうな民泊冬ぬくし

  うに子

• 飛行音ぶうおろろろん冬ぬくし

  水木合歓

• 道化師の顔に描く星冬あたたか

  松田てぃ

• フロントの色紙は棋聖冬ぬくし

  山城道霞

• 冬暖かトロリーバスのラストラン

  音羽凜

• 「普通です」医師のひと言冬ぬくし

  さぶり

• 冬ぬくし埴輪の目尻下がりけり

  杉柳才

• 冬ぬくし父のおむつの匂ふなり

  中嶋奈緒子

• 縫いぐるみリュックに跳ねて冬暖か

  山内彩月

• 野鳩の巣デデッポポーポー冬暖か

  しろくも

• まっさらな空はつるつる冬暖か

  さかえ八八六

• 叱らない育児わやわや冬ぬくし

  あさきまほろ

• 冬暖か快気祝の行書体

  幸田柝の音

• 冬暖か甥押す車椅子に母

  本郷ゆうき

• 冬あたたか運休を知る無人駅

  朗子

• 浜降よミユビシギらの冬暖か

  柑青夕理

• マシュマロの母の手頬に冬暖か

  小鳥コ

• 冬暖かシルバーカーにパグ乗せて

  林常住

• でたらめな柔軟体操冬あたたか

  柚木みゆき

• 性別は「回答しない」冬ぬくし

  しゃれこうべの妻

• 樹木葬といふ未来や冬暖か

  風蘭智子

• 冬暖か親父ゐたとの一報あり

  和泉攷

• 老猫の磨ぐマットレス冬暖か

  塩の司厨長

• 車座の愛妻弁当冬ぬくし

  みらんだぶぅ

• 葬送のズンドコ節や冬ぬくし

  空　ひろ

• 神鶏の木登り上手冬ぬくし

  よこいちやこ

• 冬暖かうなじ光てただ静

  衣笠　野波

• 冬温し三十三夜の祝い膳

  スマイリー

• 入居した部屋は真白冬暖か

  ichihoppe

• 冬暖かタルトタタンが生まれた日

  美織

• 絶食の後の重湯や冬あたたか

  播磨陽子

• 抱き抱え赤子の素足冬ぬくし

  玉響海月

• 冬暖か祖父立ちシャッとオムツ抜く

  青泉來花

• 花嫁の二の腕ゆたか冬暖か

  くさ

• 冬暖か手打ち蕎麦待つ昼の酒

  若井柳児

• 手相観の助言顧む冬暖か

  ふみ

• 冬あたたか移動スーパーのにぎわい

  飯沼深生

• 四年越しの夢開くとき冬ぬくし

  有野 安津

• 燐寸するリンの匂いや冬ぬくし

  新純子

• 久々におりんを叩く冬ぬくし

  四丁目

• 冬暖かや心の痂皮の剥げそうな

  木村ひむか

• 冬ぬくし何気に増ゆる洗ひ物

  喜田紫陽

• 肉まんの香りはただや冬ぬくし

  広木登一

• 冬暖か凹凸清きトンボ跡

  柳浦総師

• 水還る白山のこゑ冬暖か

  reion

• 冬暖かオフしたままのスマホと吾

  春那ぬくみ

• 冬あたたかネイルサロンのオルゴール

  秋白ネリネ

• 冬暖か物言いたげな地蔵さま

  坂口いちお

• 冬ぬくし郵便受けに子の手紙

  塩野谷慎吾

• 冬暖かヨガのポーズによろめけり

  是空

• 冬暖のひかり吸い上ぐガラスペン

  久えむ茜咲

• 触りたき地蔵の頭冬ぬくし

  市橋正俊

• ボサノヴァの蕎麦屋のランチ冬暖か

  みうらけんじ

• 冬暖か大樹の虚に眠るもの

  福原あさひ

• 冬暖か自律神経掻き乱れ

  江良　中

• からつぽのわたしてのひらふゆあたたか

  きのえのき

• 冬暖か癇癪持ちが家居ぬ日

  美津うつわ

• 冬暖か妣の絵筆に含む水

  おかだ卯月

• ピアノの鍵盤冬暖かの多時

  加納仁美

• 子規像の冬暖かや猫眠る

  蜥蜴の尻尾

• マリンバのトレモロ空へ冬ぬくし

  いこん

• 冬ぬくし天寿の父の顔優し

  小湊　八雲

• ずつしりと埴輪の馬や冬温し

  赤尾実果

• 冬暖か木目浮きたつ鶯張り

  島田ポン吉

• 冬暖かあんぽんたんは優しい

  藤源卿

• 大伯母はおかっぱ少女冬暖か

  佐藤香珠

• クレーンと冬暖かな八重洲かな

  武者小路敬妙洒脱篤

• 冬暖か父をちやん付けで呼ぶ母

  陽光樹

• 冬暖か十五万石の乱れ積み

  春海のたり

• トロッコのごとんがくん冬あたたか

  風慈音

• 冬暖か煌めく角の墓の列

  伊沢華純

• 癌治療冬暖かき通院日

  髙見艀舟

• 冬ぬくしクロスステッチ並ぶカフェ

  朶美子(えみこ)

• 冬暖か消防自動車甲羅干し

  花亭五味

• 赤き実の鉢を祝ひと冬ぬくし

  木寺　仙游

• ワープロのカギカッコ打つ冬ぬくし

  菜々の花畑

• 冬暖か住処はソファー有休日

  瀬名波　暫

• 独り居の父の手料理冬暖か

  まるにの子

• あたら時を隈なく過ごす冬ぬくし

  桐山榮路村

• 冬暖か洗面所の毛に怒る朝

  青みどり

• 縋り読む占い欄よ冬暖か

  蓮田つばき

• 冬暖か壊れ始めた夫の脳

  美年

• 焼き上がり二時までぶらり冬ぬくし

  那津

• 暖冬やタトゥー見せ合うコンビニ前

  花和音

• 冬温し道祖神には手を合わせ

  そめやまさみ

• サバンナを知らぬ鬣冬ぬくし

  鈴野蒼爽

• 三十五年ローン完済冬暖か

  定位置

• 借りた本リュックに詰めて冬ぬくし

  絵十

• パンダ見て古着市見て冬暖か

  空山プラネタリウム

• 節穴は覗きたくなり冬ぬくし

  辻󠄀勢

• カーテンに干し物の影冬暖か

  岡田瑛琳

• 冬暖か退職願出せぬまま

  日月見　大

• コンビニの冬暖かしレジを待つ

  中村　自在

• 冬暖か朝生けし花開く

  暇禍

• 冬暖か地図に朱を入れ街歩き

  たむらせつこ

• 発酵の生地ぷぷしゅんと冬ぬくし

  白沢ポピー

• 冬暖の日曜やりたいことだらけ

  夏湖乃

• 手を引けば冬暖かき母の影

  森 毬子

• 岸壁の冬暖かや鰯釣る

  宮沢　韋駄天

• 冬暖かファーストサーブオンライン

  ふじかつとび

• 冬暖か君の耳の産毛光る

  カリヨン

• 揺れ椅子の父の肘跡冬温し

  唯野音景楽

• 時差ぼけの冬あたたかや搭乗橋

  みたまん

• スーパーの割引シール冬暖か

  そぼろ

• 庭先のタイヤ交換冬あたたか

  たけぐち遊子

• 介護士の「い〜ちに〜いさん」冬ぬくし

  きべし

• 冬ぬくし健康遊具は九種類

  黎明

• どこからか鍵盤ハモニカ冬暖か

  濱本典々

• すれ違ふ香りの記憶冬ぬくし

  大

• バラードに寄り添ふサクス冬温し

  うはのそら

• 幼子の髪ととのえて冬暖か

  辻本四季鳥

• 再任用決定通知冬暖か

  有田みかん

• 乳呑児に乳やる埴輪冬暖か

  林りんりん。

• 冬暖の泥弾きたるポニーかな

  たーとるＱ

• はいはいの尻みぎひだり冬ぬくし

  岡山小鞠

• ちりぢりに草食む羊冬ぬくし

  喜寿の嵐

• 寛解のカルテの文字や冬ぬくし

  翡翠工房

• 冬暖か近江の海の外輪船

  なかの花梨

• はにわ展冬あたたかに踊る人々

  笹　靖子

• 冬ぬくしリフトは暇を持て余し

  岡崎秀惠

• チャイ香る相席や冬暖かし

  蓮井理久

• 昼休み馬跳びの背の冬ぬくし

  淺野紫桜

• 吹付の青ペンキ冬暖かに

  京野さち

• 冬暖か空堀に水遁の術

  花屋英利

• 冬暖かレンズで吾子の背を追えば

  木村弩凡

• 天井から味噌玉を冬暖か

  無弦奏

• 鼻しゃぶる仔象の眠り冬ぬくし

  ねこむらさきご

• 冬温し駅前足湯に君を待つ

  東　湘輝

• 冬ぬくし日溜りにいる占ひ師

  能研ショテカ

• 冬暖かやうやく買へし本を抱く

  河島　八々十

• 冬暖かおそうじロボットうぉんうぉん

  そまり

• ゆつたりと話すガイドや冬ぬくし

  伊藤恵美

• 冬暖か細胞動く心の音

  丘るみこ

• 看取るものなく父逝きぬ冬あたたか

  儚子

• 冬暖か珈琲の豆取り寄すも

  本宮豆奴

• 商談の光る革靴冬暖か

  寺尾向日葵

• 山が浮く向こう筑波や冬ぬくし

  杉と松

• 冬あたたかかみさまからのがんばって

  寺尾ロゼッタ

• 冬暖や西郷像の磨かるる

  坂　由美乃

• 冬ぬくし黄身が二つの卵かけ

  だっく

• 冬暖か終点までの聞き上手

  ゆすらご

• 年齢差五十の会話冬ぬくし

  竹内ユキ

• シルバーカー地蔵に溜まり冬暖か

  PONホンダ

• 冬暖の土のにほひを嗅ぐ仔犬

  広島じょーかーず

• 冬暖かあの奥様がにっこりと

  雨あめ

• 冬あたたか体操服に墨ぽぽぽ

  でんでん琴女

• Ｂ定食売り切れました冬あたたか

  坊　いち坊

• 窓辺なる冬暖かや単語溶け

  倉持くらもん

• ちゆぱちゆぱと乳すふ吾子や冬ぬくし

  愚老

• 居眠りと減税議論冬ぬくし

  けーい〇

• 子を忘れた父と目が合う冬暖か

  花とわこ

• 病むひとのけふも笑うて冬ぬくし

  花水木

• 魚捌く祖母は白寿の冬暖か

  清松藍

• 施無畏印受けて奈良路の冬ぬくし

  冬の土の子

• 冬あたたか牛乳瓶に紙の蓋

  一日一笑

• 冬ぬくし座敷わらしのござる部屋

  角田　球

• 軽々と冬暖かし登下校

  山本葉舟

• さする手の背骨こつこつ冬ぬくし

  夏　しのぶ

• 同室の退院支度ふゆ暖か

  竹原かよこ

• 駆け出しのパントマイムや冬ぬくし

  北村　崇雄

• 街路樹の黄色らんらん冬暖か

  津木百合

• 古着屋のウンチク尽きぬ冬暖か

  小山　晃

• この家の歳は米寿や冬あたたか

  豆村あつ

• 無芸の芸するペンギンや冬ぬくし

  小林土璃

• ありがとうと言われる日なり冬ぬくし

  田邉真舟

• 冬暖か引詰め髪を解く妻

  俳句ファイヤー立志

• 待ち人のできさうな朝冬暖か

  峰　乱里

• 千人の赤き玉留め冬ぬくし

  すがりとおる

• 横ずれの時間軸冬暖かし

  壱太

• 冬暖かやジャンケンの形見分け

  大　広秋

• ポぽポぽポ湾内スロー冬ぬくし

  阿部油

• 冬暖かミニSLを待つベンチ

  さく砂月

• 支給日のカルビ定食冬ぬくし

  天道虫

• 母追いし冬暖かの赤門や

  赤木ありこ

• 七体の六体地蔵冬温し

  せいち

• 冬暖か石なる母の爪伸ぶる

  刈屋まさを

• 冬暖か父の謡の間延びせり

  うみのひつじ

• 冬暖かマックのポテト揚がる音

  帝菜

• 手に馴染むボンボニエール冬ぬくし

  三上　栞

• 冬暖か電話ボックス閉ぢてより

  めしほん

• 冬暖かバイクの背に包まれて

  奏月 葉音

• 香りくる楠の彫像冬暖か

  加藤栗庵

• 祖母歌ふ冬あたたかな日のホーム

  青海也緒

• 冬ぬくし時を止めたるダリの絵よ

  島　白椿

• 乳飲み子の甘き匂ひよ冬ぬくし

  広島あーやあーや

• 冬温し神様は目を閉じている

  水蜜桃

• 釣銭にぴかぴか硬貨冬暖か

  中里　凜

• 冬暖か蓬莱橋のど真ん中

  空豆魚

• モノクロの映画割引冬ぬくし

  狩谷わぐう

• 歯科眼科通ひ了へたり冬暖か

  藤井赤童子

• 小さき手に木のスプン冬暖かく

  西瓜頭

• 冬暖か広げし父の道具箱

  畑中幸利

• からす啼く冬暖かく緩みをり

  空心菜

• 凄惨なニュースに慣れて冬暖か

  冬野志奈

• 裏木戸につづく縁側冬ぬくし

  髙橋弓女

• 子のやうに余所の子呵せり冬暖か

  片岡六子

• 冬暖か遺影の前のアーモンド

  中村雪之丞

• 猫の肺ゆっくり膨らむ冬暖か

  全美

• 冬ぬくし手でドア開けるローカル線

  森爺

• 冬ぬくし車検待つ間のハーブティー

  紅三季

• 冬あたたか今日の議題は嫁飢饉

  中村想吉

• 君の歌冬暖かな日こそ聞く

  立歩

• 冬暖かや歩道のゼブラやはらかき

  あが野みなも

• 冬あたたか刺繍糸選る手芸店

  石塚碧葉

• 六畳の隅まで日向冬温し

  堀雅一

• 暖冬やドン・キホーテの「ド」がでかい

  多喰身・デラックス

• 冬暖か家亀の屁は三発目

  豆はな

• 人生が見事に暮れ冬暖かし

  九頭龍　一鬼

• 陶芸のお弟子が出来て冬暖か

  タカ

• 飼い犬の朝の遠吠え冬ぬくし

  沢瀉

• さざ波の岩に寄せる冬暖か

  kikuti-aya

• 冬暖かふくらみ二つウェーデルン

  てつざん（山田哲也）

• 撫牛の冬暖かな鼻の穴

  卯月紫乃

• 冬暖かうどん生地踏む婆の息

  ふもふも

• 冬ぬくしSNSの友とゐる

  林真紗湖

• 瀬戸内の冬暖かに漁に出づ

  加藤水玉

• 冬ぬくし駅のダルマでスルメ酒

  立町力二

• 女高生席を譲りぬ冬暖か

  かとしん

• 冬暖かジャズと鼻うた気球フェス

  縞ふみ

• 冬ぬくし発酵中の吾と豆と

  椿　佳香

• 冬ぬくし巡る維新の策源地

  八幡風花

• 冬暖か彌勒の膝に綿ぼこり

  木村深夜

• ルービックキューブ教室冬暖か

  酔下弦

• 冬暖か裡よりこゑの転げ出る

  江口朔太郎

• 絵手紙の柚子はみ出しぬ冬ぬくし

  千・いつき組広ブロ俳句部

• 冬暖かブラジル人の福井弁

  中原柊ニ

• 手をつなぐ道祖神あり冬ぬくし

  羊飼いのメリー

• 冬暖かたまごサンドのたまご茹で

  夜之本紙処

• 冬ぬくしけふはやさしきひとたらむ

  たいらんど風人

• 爪切りに爪飛び散って冬ぬくし

  草夕感じ

• 有休の冬あたたかき埴輪展

  靫草子

• 棟上げの掛矢の打音冬ぬくし

  楽椿

• 波去りて波の碑の佇つ冬暖か

  なしむらなし

• 人偏に犬で伏す冬暖かよ

  ぐりえぶらん

• 葬儀いま冬暖かき同窓会

  古賀

• 宅配の受取へ印冬ぬくし

  川蜷

• 明王の目のはんなりと冬ぬくし

  Dr.でぶ・いつき組広ブロ俳句部

• 冬暖か肺炎のスカベンジャー

  はるく

• 洗い物みなみな愉し冬ぬくし

  ほんちゃん

• 引越しの近所挨拶冬温し

  酔蚊眼

• 冬暖か珍獣めきし猫にあう

  渡辺香野

• ザビエルの冬暖かに登場す

  平良嘉列乙

• 冬ぬくし荷風倣ひて昼あそび

  秋内　壱玖

• 冬ぬくし焼立てひとつお相伴

  登盛満

• 二回目の挨拶されて冬ぬくし

  山口絢子

• 天地ごとくるむ母いて冬暖か

  徹光よし季

• 抜け道はおばけ来そうな冬あたたか

  だいやま

• 冬暖か箒横切り畳の目

  斧　的部

• 大の字を百回書きて冬暖か

  中島走吟

• 冬温し大なわ回す姉のこゑ

  じゅんこ

• あやとりの東京タワー冬暖か

  綱川羽音

• 独り身の上司の祝辞冬暖か

  る・こんと

• 冬暖か名付けた「タロー」が五匹産み

  晴菜ひろ

• 太き腕の訪問看護師冬ぬくし

  赤坂みずか

• トルソーの冬ぬくければ窓の辺に

  西野誓光

• 冬暖か寝てたであろう顔で来た

  森２五歩

• ロボットのウーバーイーツ冬ぬくし

  比良山

• 冬暖かババのピアノがいっちゃった

  彩明

• 冬あたたか芭蕉に会いに伊賀の町

  藤川喜子

• 縁側の冬暖かし筆を干す

  須田爪黒

• 愛称でよんでよばれて冬ぬくし

  いつか

• 管楽器の冬暖かな中低音

  むらのたんぽぽ

• 冬暖かカシミール風カレー煮る

  豚々舎　休庵

• 冬ぬくしシーソーの音ゆたかなり

  ぎんやんま

• 冬暖か死児に乳やるガザの母

  佐東亜阿介改め境沢一千雄（富豪軍団）

• 冬暖か移住者集う午后の茶菓

  朝宮馨

• 冬ぬくし待合室は杖ばかり

  桃姫

• イヤホンを分けあふベンチ冬暖か

  三崎扁舟

• 冬ぬくし手作りジャムと姉訪ぬ

  花空木

• 冬暖か父の香残るハンチング

  小川しめじ

• 子規の街冬暖かな空の色

  みなづき光緒

• 屋根みえてカーブもどかし冬暖か

  小橋真梨子

• 冬暖かパン屋の列の曲がりをり

  槇原九月

• すれ違ふ灯油メロディ冬暖か

  瀬央ありさ

• 終鈴や冬暖かき保健室

  山羊座の千賀子

• 冬暖か尻尾の無きを悔やみけり

  碧萃生

• 冬暖か骨董市の皿選る音

  ゆりのいろ

• 前を行くベビーインカー冬ぬくし

  大谷　走郎

• 模造紙に冬暖かや絵描き歌

  星夢　光風

• 老いのいぼいじる縁側冬ぬくし

  えいぎょ

• 笑みためつ札繰る媼冬ぬくし

  くろべぇ

• 独り居の姉との通話冬ぬくし

  池田 　凜

• ふるさとへ冬あたたかに海渡る

  卯之町空

• 冬暖かドーナツ喉に閊へけり

  渡辺宵雨

• 顔洗うふわと手に乗り冬暖か

  雅由

• 国宝の光る顔立ち冬ぬくし

  渡邉花

• ソプラノは喉引き攣るや冬暖か

  坂野ひでこ

• 冬暖か弾む棟上げのリズム

  三無季生

• 冬ぬくし巫女の埴輪のうふふふふ

  石浜西夏

• 光明か冬暖かしチャリを漕ぐ

  平川一空

• 冬暖か首振る鶏のけたたまし

  佐藤 位相朗

• 冬暖かお茶が熱いとベンチの婆

  月枝いと

• アウェイの帰省存外冬暖か

  向日葵蜜柑

• 冬暖か全品買取二割増し

  小林番茶

• 仮住まい数多の荷物冬温し

  石岡女依

• 冬ぬくし半熟卵のやるせなさ

  まきうち祐

• 病室のカーテンゆれて冬ぬくし

  佐竹紫円

• 冬暖か辞職の決意揺らぎけり

  滝上 珠加

• 初めてのゲートボールや冬暖か

  中井無心

• 冬暖か多忙の遺失物係

  秋月

• 蔵巡り冬暖かな試飲会

  島名せりよさ

• 冬暖か肉付き豊かな観音

  林水城

• 転車台空を廻して冬暖か

  亀田かつおぶし

• 潮みちて膨らむ入江冬暖か

  香壷

• 翔子氏の揮毫冬暖かのまなか

  坂本梨帆

• 冬あたたかひらがなほどけ「の」はやさし

  橋本鳩子

• 冬暖かく浄蓮の滝柔らかく

  富士桜花

• 冬ぬくしパジャマのままの立話

  喜多丘一路

• 冬暖かぽつかり空きし優先席

  足立智美

• 冬暖か獄の中からはやり歌

  かん　かんし

• 鼻歌のかろき旅路の冬ぬくし

  Q&A

• 自販機に軍手片っぽ冬暖か

  もりたきみ

• 冬ぬくしメトロノームのゆっくりめ

  葉月庵郁斗

• 冬ぬくしふらっと入る古本屋

  もふ美

• お湯割りの胃の腐に染みて冬暖か

  気のまま風

• ロケットの軌跡ひとすじ冬暖か

  康寿

• 国道へ手毬追ふ子や冬暖か

  ふのんへん宗悟

• 冬暖しふたり袈裟取れ六地蔵

  伊江かつじ

• 八つ時は止む工事音冬ぬくし

  猪倉さえこ

• 冬あたたか風呂敷たたむあざやかに

  剣橋こじ

• 過疎なれど冬暖かき村の人

  あさぬま雅王

• 冬ぬくしコトコト進むシルバーカー

  木村となえーる

• 冬ぬくし外でヘルパー待つ夫

  小田毬藻

• 冬暖か今日も5番の検査室

  志きの香凛

• 戒名や冬あたたかな丸き墓碑

  田村利平

• 冬ぬくし松葉相撲は茶色勝つ

  ねむり猫

• 冬暖かベトナムの子の素足かな

  伊勢乃幸牛

• 冬暖か共に住まぬかあばら家に

  むじーじ

• 春日社の神の使ひや冬ぬくし

  T-彩香

• 冬暖かエントロピーも増大す

  近未来

• 正解はいくつもありぬ冬ぬくし

  如月ドロップ

• 縁側で木の香り嗅ぐ冬暖し

  川口 里山

• 冬暖か街路樹の根にわざと乗る

  ツユマメ・広ブロ俳句部

• 冬暖やぼっち暮らしの茶粥さん

  吉　や

• 冬暖か南紀の旅の光かな

  まりい木ノ芽

• 冬暖か日差しを許す猫の腹

  田中かつら

• 冬ぬくし小銭をつまむ爪に土

  鱈　瑞々

• 冬暖かおむつの厚み旅じたく

  さがみ湧水

• 陣取って冬暖かに拭くレンズ

  亀山酔田

• みどり児のゆかしき放屁冬ぬくし

  細田裡子

• ホーローの浪花千栄子に冬暖か

  三重丸

• 冬ぬくし鳥の水浴びおほらかに

  佐久凡太郎

• 手土産はいきなり団子冬暖か

  ふじこ

• 返盃の妓の紅き眉冬暖か

  吉永那夫子

• ステージに幕寛解の冬暖か

  羽柳武助

• 冬ぬくしラジオ体操第2まで

  後藤三梅

• 懺悔して冬あたたかや日曜日

  月岡方円

• 冬暖か追試は午後に三科目

  伊予吟会　宵嵐

• 生チョコをふたつもらひて冬ぬくし

  ニリンギ

• ミニチュアの部屋にも灯り冬ぬくし

  春野ぷりん

• 冬暖かや愛犬の紐ゆるむ

  笑詠化

• ふくふくと多肉植物冬暖か

  月見柑

• 瘡蓋のすこし縮みて冬あたたか

  菫久

• 冬ぬくし終の施設の散髪日

  渡辺　小豆

• 冬暖か一滴を待つ目薬よ

  さ乙女龍チヨ

• 冬ぬくし廊下の奥に三面鏡

  鈍亀

• 冬暖か県名入りの段ボール

  伊ナイトあさか

• 冬ぬくし二次発酵の台所

  和住　緋弧

• 筆で書く退職願ひ冬ぬくし

  よみちとせ

• 粉山椒借りる友ゐて冬ぬくし

  美竹花蘭

• 冬暖かますます伸びてゆく産毛

  伊都

• 冬暖か頬は光の温度計

  まっちゃこ良々

• 冬暖かたん瘤できてなお楽し

  うた　歌妙

• 冬暖かグリコのおまけ交換す

  居並小

• 冬暖か母と分け合ふ阿闍梨餅

  高木音弥

• 冬暖か吾子の「く」と「し」の逆さ文字

  ちょうさん

• リハビリや冬暖かの母の五歩

  田辺富士雄

• 着れぬまま新調の服冬ぬくし

  さんざし

• 貼り紙の端がぴろぴろ冬暖か

  永田千春

• 冬暖か介護の女のシャワー風呂

  桔梗

• 砲弾の火映る冬暖かき日に

  草加古鈴

• 五年目の冬暖かや癌完治

  山尾政弘

• 冬暖や古書の頁に眠る花

  山路碧水

• 冬あたたか赤字消えたる注意書き

  うすい木蓮

• 眼の見えぬ犬吾を見上げ冬ぬくし

  ゆず柴

• 暖冬に遂げたる五十回忌かな

  みずくらげ

• 冬暖か新居のカーテン君と選る

  月石まちこ

• 缶蹴って業務終了冬ぬくし

  おおきどくん

• 震災の石碑拭きたり冬暖か

  真夏の雪だるま

• 十份を埋める天燈冬ぬくし

  高岡春雪

• 冬暖か螺子の緩みし五体かな

  夢見昼顔

• カーテンに風の体積冬ぬくし

  石井一草

• 冬暖か角丸三十二ピクセル

  安溶二

• パドックの馬は脱糞冬暖か

  信濃のあっくん

• 冬暖か隣家の窓の反射光

  風の木原

• 窓際に膨らむ会話冬暖か

  松元転石

• 魔女になる修業して冬暖かし

  升　丁茶

• 鳩集ふ精米所前冬ぬくし

  ひだ岩魚

• 冬ぬくし勝ち残りたる予選会

  山下こけ女

• 咲きのこり摘めば冬暖かなる香

  北藤詩旦

• 冬ぬくしこの音地蔵の鼾やらん

  万葉剣

• 乗継の上手くいく日や冬暖か

  豊岡重翁

• 懐中汁粉の皮ゆるゆると冬ぬくし

  つづきののんき

• 冬暖や歩かない人歩く人

  ウラッキー

• 万歩計を取りに戻らん冬ぬくし

  沙那夏

• 徘徊の爺の微笑み冬ぬくし

  鶴岡木の葉

• 冬あたたか背表紙色の移動図書

  剛海

• 環八の渋滞５キロ冬暖か

  どいつ薔芭

• 冬ぬくし月に一度の外食日

  フージー

• 冬暖か施設からくるお礼状

  小石日和

• 冬暖か修行の僧の声豊か

  二丁目

• 老犬の首輪のゆとり冬ぬくし

  坪田恭壱

• 丸ペンの紙になめらか冬ぬくし

  だがし菓子

• 冬暖か水槽の苔あと少し

  羽織茶屋

• 冬暖か全員そろふゲートボール

  タケザワサトシ

• 断崖に建つイワバ・カフェ冬ぬくし

  木村カズ

• 鈍行の新清水駅冬暖か

  小林共捺哉読

• 冬暖か寝てる歯おこすうがい水

  馬門宗太

• 陽もそだて冬暖かな生家跡

  まんぷく

• 冬あたたか鯉ゆるゆると餌を吸う

  たこ山焼之輔

• 冬暖か偕老畝に筋向かひ

  福田みやき

• 冬あたたか猫にあひづちうちながら

  香田ちり

• 祖父似なるポストマン来ぬ冬暖か

  うからうから

• 冬ぬくし終の棲家の木の香り

  我孫子もふもふ

• 冬ぬくし口笛で野良猫の背を撫で

  兵頭紫峰

• 冬ぬくし口を開けたる鬼瓦

  木村隆夫

• ワセリンの馴染む耳たぶ冬暖か

  空木花風

• マレットの影の丸みや冬ぬくし

  千代 之人

• 冬暖か煙のくゆる町の丘

  小川都

• 素通りに冬暖かを伝へたい

  鈴木裕公仁

• リハビリは今日でおしまい冬ぬくし

  さくら悠日

• 焼香は木漏れ日の庭冬ぬくし

  sekiいつき組広ブロ俳句部

• 補助輪と乳歯取れた子冬ぬくし

  白庵

• 真夜覚めて聞く雨の音冬ぬくし

  渡海灯子

• 冬あたたか兄名乗り出る墓仕舞い

  西田武

• 石仏の石にもどりて冬暖か

  空　遥翔

• 三角のポーズ冬暖の寺ヨガ

  源早苗

• 冬あたたか赤子の爪のさくらいろ

  やまさきゆみ

• 冬暖や水栽培の白き根よ

  み藻砂

• 冬暖か子供のいない団地かな

  藤井かすみそう

• 上野から北の実家へ冬暖か

  秋田俳楽

• 冬ぬくし父母の法事をどうじにす

  かじま木犀

• 暖冬の雨の匂ひの駐車場

  つちや郷里

• 冬暖か絵本のわきにぬいぐるみ

  星影りこ

• 冬暖か式部の歌碑に見入る背

  愛燦燦

• 冬暖か浅間をこゆる龍の雲

  朋部　琉

• 一汁に土の匂いや冬ぬくし

  男鹿中熊兎

• 問診に一つ嘘書き冬ぬくし

  藤本　仁士

• 冬暖か目薬頬を伝ひ落つ

  風の鳥

• 公園の鳩の啄み冬暖か

  祐　紀杏里

• 冬暖か海辺の道をあとニキロ

  黙々笛

• 冬暖か肺の手術は明後日

  釜眞手打ち蕎麦

• 年季明け奉行所前を冬暖か

  中指富士夫

• 冬暖か風を見てゐるコビトカバ

  村瀬ふみや

• JAのテラーはふたり冬あたたか

  赤尾双葉

• アラフォーと縁側談議冬暖か

  白井百合子

• 転院は荷物が多目冬暖か

  山本マユミ

• 斜光さす写真は笑顔冬暖か

  向井音彩

• 冬暖か要介護者に鳥の糞

  和泉穣

• らくがんのいはれ堅田か冬暖か

  弘法小子

• ソファに食ふつめたきカレー冬暖か

  謙久

• 切り返し五回で入庫冬暖か

  ＶｉＶｉ杏梨

• 注がるる紅茶に縞や冬ぬくし

  川澄 爽葉

• 火を止めてなお鳴くケトル冬温し

  佐野明世

• ヨーキーの匂ひ尾を引く冬ぬくし

  ほしのあお

• 冬暖を来て複製のユトリロを

  ほしの有紀

• わが村の初の女医さん冬ぬくし

  原洋一

• 冬暖か庭石のみな丸きこと

  幸田梓弓

• 塩むすびこげをまとうて冬暖し

  反芻医　時光

• 踏切の車列に入りて冬ぬくし

  岡井風紋

• 婆ちゃんに聴かすカリンカ冬暖か

  嶺乃森夜亜舎

• あつ森のデバッグの夙冬暖か

  坪山紘士

• 冬ぬくきけふを選びて生まれし子

  白子ポン酢

• 買い食いする陸上部冬暖か

  火星ラジオ

• 原宿の飴はぐるぐる冬ぬくし

  愛柑

• 久万の里冬暖かし茅の屋根

  神谷篝火

• ちーちゃんの冬あたたかな大往生

  佐藤ゆま（歯科衛生子改め）

• 鬼コーチ引退の朝冬暖か

  田中ミノル

• 冬暖かひつかけ問題ひつかかり

  高田多寡太

• 老犬の鼻の湿りや冬ぬくし

  佐々木　一栗

• 船釣りや冬暖かし当たりなし

  神谷史記

• 冬暖か扁平気味の土踏まず

  宥光

• 冬暖か遠廻りの橋を渡る

  王朋亡

• アーメンのアー伸びやかに冬あたたか

  夏草はむ

• 冬暖か老夫の作る目玉焼き

  ことまと

• 冬あたたか褒美のジャムパン三つ

  清水美沙

• 耳順へて夢追ふ君や冬ぬくし

  夢雨似夜

• 冬ぬくし古都に生き抜く人のあり

  大和田美信

• 冬あたたか破れ障子に蜘蛛がゐる

  沼野大統領

• 冬暖かロゼット蔓延る土堤に立つ

  南波舟

• 太陽礼拝のポーズ冬あたたか

  福花

• 札入れのはみ出すお尻冬ぬくし

  久里尋太

• 冬ぬくし手相に舟の水脈はるか

  辻　麒麟子

• 冬暖か小川の光蹴る仔犬

  城内幸江

• いとこ会めくバスは焼き場へ冬ぬくし

  らん丸

• おくるみの中の破顔や冬ぬくし

  土井あくび

• 冬ぬくし子どもの影を追いかける

  くみくまマフラー

• 保育所のくつの乱れや冬ぬくし

  そうま純香

• 冬暖か指笛で呼ぶレトリバー

  大久保加州

• 冬暖かや文鳥の爪を切る

  新濃　健

• 触れるたび冬暖かな嬰児の手

  野中泰風

• 冬ぬくし祖母史上初の牛丼

  一ノ瀬なつめ

• 缶蓋の餌つつく音冬暖か

  るびちゅ

• 冬暖か歯茎の穴の柔らかし

  高知桃猫

• 冬あたたか子等の家には大事なく

  池　閑茶

• 大釜のお焦げお握り冬ぬくし

  高田杏

• 石棺の石ころ展示冬ぬくし

  いなほせどり

• 整体師の手は神の手や冬暖かし

  夜ノ森ムーミン

• 冬ぬくしコーヒータイムの宮大工

  横山山水

• 龍馬見し海坂の果て冬暖か

  地球人

• 授乳後の大げっぷ冬暖かし

  堀口房水

• ピザ窯の罅と火と人、冬温し

  岡根今日HEY

• 犀星のふる里の冬あたたかき

  ＨＮＫＡＧＡ

• 金継ぎす亡夫の湯呑み冬暖か

  岬りこ

• 寂光は未だ遠し冬暖かし

  虎堂吟雅

• 冬あたたか猫のおでこに陽の匂い

  中村すじこ

• D51と冬暖かな旅路ゆく

  北乃薫衣草

• 冬ぬくし廃墟団地の猫二匹

  ときめき人

• 冬暖か父に合わせるアンダンテ

  窪田ゆふ

• 冬暖か父と砂丘を歩く朝

  東原桜空

• 膝の上冬暖かに逝きぬ犬

  山中　あぎ

• 白内障の手術の告知ふゆあたたか

  じゃすみん

• 冬ぬくし黒白三毛虎猫の街

  栞虫かじり

• 冬ぬくし友のトイレにサザエさん

  伊藤なおじい

• 冬ぬくし生まれし牛の鼻ちやうちん

  清水縞午

• 古葉書の束をほどくや冬あたたか

  金子泰山

• 黒羽の杏子の句碑や冬ぬくし

  かぬまっこ木ノ芽

• 漬物の山椒はぴりり冬ぬくし

  今林快波

• 冬あたたか教えっこする逆上がり

  すがのあき

• 冬ぬくし左手法の子が駆ける

  羽野あき

• 冬暖か母お代わりの介護食

  越前俊水

• 冬暖かや病室の電子音

  玲風

• 畳目を数えて茶の湯冬ぬくし

  井口あき子

• 冬暖や立体駐車場ぐるぐる

  佐藤レアレア

• ラジオから岡山訛り冬ぬくし

  吉川花ほっぺ

• 冬ぬくし退院許可のメール来る

  千葉睦女

• 冬暖かズボンの尻の砂払ふ

  ＧＯＮＺＡ

• 折鶴の飛び出すかまへ冬ぬくし

  月影　重郎

• 冬ぬくしちさきイグルー屋根を欠く

  ぉ村椅子（志村肇）

• 冬ぬくし丸い伝家の漬物石

  紙谷杳子

• 昼呑みの冬暖かし屋台椅子

  大内ひろりん

• 大きめの歩幅を重ね冬ぬくし

  ルーミイ

• 特養の冬暖かき朝に逝く

  釈証真

• 友の句の折本届く冬暖か

  井上鈴野

• 浜散歩浮き玉プカリ冬暖か

  岸壁の龍崎爺

• 冬暖のイーゼル越しの山白き

  山尾歩

• 初蹴りのボール純白冬ぬくし

  杉岡ライカ

• 頚の奥嚢胞育ち冬ぬくし

  黒猫かずこ

• 冬ぬくし宿無しの幸ここにあり

  稲光虎介

• グラマーな土偶現る冬暖か

  sol

• ジグソーの空だけ集む冬ぬくし

  野瀬藻石子

• 樹木葬にと淡々と冬暖か

  富山の露玉

• 冬暖か二十センチの海老フライ

  梅田三五

• 靴下に糸で名前や冬ぬくし

  宮武濱女

• 冬あたたか友はどこかで友らしく

  関津祐花

• ひもすがら読みて詠みたる冬ぬくし

  原　水仙

• 冬ぬくし財布無傷で帰りけり

  一慎

• 神妙に見事に猫糞冬ぬくし

  猫またぎ　早弓

• 冬暖かモップ掛け終え投票へ

  ちびつぶぶどう

• 四つ這ひのペンキ屋が屋根冬暖

  杉尾芭蕉

• 書き置きの母さんの文字冬ぬくし

  花咲明日香

• 前置きのくそ長き愚痴冬暖か

  香壺

• 抱擁の勝者と敗者冬ぬくし

  余田酒梨

• 冬ぬくしちよきに勝つやつ負けるやつ

  沢井如伽

• 理不尽は炎の様よ冬ぬくし

  リーガル海苔助

• 新駅で記念写真や冬ぬくし

  れんげ畑

• こんばんは冬暖かな回覧板

  小林乏硯

• 落葉松のさらさらこぼる冬暖か

  細葉海蘭

• 冬暖か母の手紙が指を切り

  松田迷泉

• 垂れ幕の無罪は太しぬくき冬

  松本独り

• 鬱の友と飲茶頬張る冬暖か

  ムシ・ミカミ

• 暖冬の公園逆上り達成

  中村あつこ

• 冬暖かひとりのカフェを持て余す

  いたまき芯

• 一万と冬暖かに百一歩

  あさのとびら

• 大阪の冬暖かや槌の音

  宝塚御殿子

• 冬暖か大事なことは食べること

  空木眠兎

• 冬暖か足裏に沿う床の凸

  坂本 羊雲

• 戦過ぐ仏足跡に冬あたたか

  京有楽草

• 被災地の冬暖かと願ふ朝

  西郡うり

• 冬暖か箱の中身は泥だんご

  ナタデココ

• 午後に起き蜂蜜と冬暖かし

  うどん大明神

• 冬暖か青の絵具のやはらかさ

  群多亡羊

• 蹲踞に手を清め冬暖かや

  安曇　平

• 冬暖かや表彰状は母の手に

  藤野いく子

• 冬暖か雲は胃袋のかたち

  三隅　涙

• 冬暖かキャリーバッグへ入れる数珠

  向日葵姐、いつき組広ブロ俳句部

• 冬暖か茶店に車椅子五台

  三島ひめばしょう

• 冬暖か自転車乗りの手にインコ

  瀬尾白果

• 冬暖か生ききりしシロの背中

  雪さやか

• 飯場婦の子ども呼ぶ声冬ぬくし

  岩瀬正人

• 鈍色の歪んだ鍋や冬暖し

  ふくろう悠々

• 二歳児の冬暖かな旋毛の香

  東山すいか

• 冬暖か祖母の愛した智恵子抄

  サツキトラヲ

• 冬暖かサラブレッドの尻の艶

  健央介

• 窓ふきはコの字コの字と冬あたたか

  千の葉

• 冬ぬくし三毛猫の背のあんず色

  海野青

• 寛解の言葉をむねに冬暖か

  みづたま

• 空つぽの巣箱を洗ふ冬暖か

  日向こるり

• 赤子にも従順な犬冬ぬくし

  慢鱚

次回の兼題も
皆さまふるって投句してください。
お待ちしています！