類想一覧(選外)
渋滞の車窓に映る流れ星
おかだよしお
流星を追ひて産声待ち居たる
上北沢くつき
この宙の静寂切るや流れ星
鵬
燃へ続け願い聞きたき流れ星
よかわもりお
流れ星あいつの記憶七回忌
ひぐちいちおう(一応)
流れ星涙の胸に優しけり
坂井 傑
手にしたいひとに捉われ流れ星
ナカムラロボ
流れ星見た子ら五人秘密基地
狩谷わぐう
山頂の一期一会の流れ星
秦 理露
流れ星手術成功願ひけり
紀和 やよい
流れ星君住む町へはしりだす
中冨木綿
夜遅し老いゆく日々の流れ星
藤川鴎叫
流れ星星満つ夜に慌て願う
丘 るみこ
ハレの日の誓いし永遠を流れ星
蕗野弥音
宇宙船ながむ眼下の流れ星。宇宙船縦横無尽流れ星
余熱
星流る千羽目の鶴折り終えて
万葉剣
流れ星一瞬に消える夜釣りかな
門屋定規(ジョウギ)
流れ星父の背中の観測会
豆窓子
里偲ぶビルの谷間に流れ星
芥川光正
此の先の事は願はず流れ星
のつり
コロナ禍の暗さ映えるは流れ星
おっちー
遠き日の恋の芽生えや流れ星
岩﨑しげる
流れ星次こそと研ぐ願いかな
北爪いく葉
一閃にコロナ願ひし流れ星
青修
こいねがい飛んで火に入る流れ星
羽織茶屋
バトンミス潰えた夢よ流れ星
きょんちゃん
夜空にあれが塵なのか流れ星
大阪駿馬
漆黒のキャンバス一閃流れ星
雅蔵
心刺す想ひ届けよ流れ星
林 和寿
流れ星高層ビル群てふ墓標
くさ
さつき見た流星犬の眼の中に
海峯企鵝
神社屋根越えて一筋流れ星
神田行雲
悲しみを一つ流して流れ星
瀬央ありさ
目を凝らし待つ流れ星いつの間に
空流峰山
今落ちた星はあなたね流れ星
愛燦燦
流れ星皆の願いを雫しつつ
あゆち汐美
流星に息止め願う幼き子
琴芭タクミ
流れ星寝袋の中待ちぼうけ
中野風鈴
九ちやんは空に消え去り流れ星
桃和
ジョバンニも旅する夜や流れ星
銀猫男爵
一文字闇疾走の流れ星
晴好 雨独
朝四時に流星群を寝ぼけ見る
佐藤壱伍
流れ星友と釣りした在りし日は
高林ダニ
高原や燃える命の星走る
上津嘉子
稜線に寝袋一つ流れ星
諏訪ヤス子
欲深き君の願ひや流れ星
杉柳才
一瞬の流れ星地球のしじま
亀亀子
流星や億光年の旅終わる
田畑 整
流星の儚さ宇宙の果てしなさ
壱太
子はおれど所詮は独り流れ星
八ちゃん
流れ星心はいつも欲張りで
松茶 巴@プレバト木ノ芽
中天を見上げ通しや流れ星
ひろ史
願いごと忘れてしまい流れ星
みたせつよ
見あぐれば名もなき星の流れたり
金太郎
流れ星今わの際のその刹那
黒澤墨青
流れ星となりて帰還の宇宙船
田邉真舟
流れ星走る閃光夢合せ
佐藤 啓蟄
寝袋で息子は寝落ち流れ星
長谷川ひろし
流れ星カムパネルラは帰れない
砂狐
糸杉のてっぺんかすめ流れ星
雅屋少将
流れ星この町に皆生まれ死ぬ
長谷川京水
一瞬に目開き願う流れ星
紀杏里
祈り中速に消えをり流れ星
柴田雅由
御巣鷹の峰にふたすじ星流る
新田 淑@狐狸山会
待侘びてついと消ゆるや流れ星
大谷如水
ため息の流星消えてひとつづつ
醒子
頑張り屋さん励ます流れ星ひとつ
水城
キャンプファイアー私だけ見た流れ星
いろはニホ
流れ星大谷君の願い事
哲山 (山田 哲也)
ながれ星刹那の生を愛おしむ
鳥羽蒼燃
三年の恋の残像流れ星
千曜 桜
億光年の旅ここに果つ流れ星
杏と優
友想う遠い空の流れ星
トムとジェリー
勝利祈願部活帰りの流れ星
青柳暁子
静寂の音を一閃流れ星
萬代草舟
流星をまばたきの間に見失ふ
塩野谷慎吾
流れ星八十路の恋も流れけり
小西 寒心
うたかたの秘めたる想い流れ星
みつみん
逆転満塁さよならホーマー流れ星
宮川武久
舷窓に張りつき流れ星を追ふ
江良 中
流れ星の先君恋しい
俊重佳奈
流れ星病室からの願い事
ゆぃ
流れ星悠久と刹那まといて
からすちゃん
夜更かしの口実にする流星群
香輪亭K1郎
一直線あっという間の夜這い星
小石 日和
星飛ぶや乙女の涙とどまらず
江戸川青風
我が子背に見上ぐかすかに流れ星
かずポン
母逝くや果てなき空に星流る
くるみ今日子
ソロキャンプ火を消して待つ流れ星
桃花
流れ星祈る東北の十年
大嶋メデ
歓声やまた見逃した流れ星
森山遊鳥
塵芥や生き様ひとつ星走る
大倉千古
願い事流れ星にて今日も又
京子
星の間を飛行機の灯や流れ星
杉森大介
流れ星どの子の口も開きをり
中里蛙星
夢語る視線の先に流れ星
田中ようちゃん
流れ星子のポッケへそっと糖花
居並小
いのち果つ虚しき願い流れ星
さくやこのはな
ジョバンニや流星と鉄道眩し
記廼
流れ星願い字余り欲張り吾子
一碁一会
流れ星目掛け夜空に猫ダイブ
龍丸
速すぎて願い届かぬ流れ星
宏峰
病窓に数多降らせよ流れ星
橘右近
弧を描く流れ星群ここ地球
坂 とき
流れ星闇から闇へ息詰まる
和泉与六
漆黒の海を裂くかの流れ星
羽衣
風流な不燃塵なる流れ星
堀隼人
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選者コメント
夏井いつき選
「流れ星」とつぶやいてみただけで、ロマンチックな思いに囚われる人たちも多いのではないですか。……となれば、そのような類想は当然でてくるのです。
■ 類想
〇 星に願いを……系
・ 明日へ、未来への希望 暗い世に希望の光
・ 恋の儚さ、切なさよ
・ 死者への祈り、鎮魂
・ 願い事を欲張ってしまう
〇 流れ星の行方
・ 山へ海へ湖へ砂漠へ
・ 街や村の灯へ
・ 死に場所へ 故郷へ 終の棲家へ
・ 〇〇の瞳へ、眼へ
・ 闇から闇へ、雲から雲へ
〇 流れ星とは
・ 私の人生、あなたの人生
・ 亡き人の化身 魂の化身
・ 流星が消え、新しい命が生まれる
・ 夢(は流星とともに消えた)
・ 涙
・ 刹那、一瞬 そして同時に永遠でもあり
・ 悠久、光年 →恐竜も見た流星
・ 孤独
〇 見なくちゃ!
・ 流星雨観測
・ 寝転んで見上げる(大の字になりがち)
・ でも私だけ見つけられない、(あるいは、私だけ見つけた)
・ イマドキはスマホの画面(やカメラ)で見る流れ星
・ 車窓や機窓、舷窓、病窓に見えたりもする
・ 吾子と一緒に見上げたりもする
〇 見つけたら
・ lineやメールで教える
・ 思わず「あっ」 思わず歓声
・ 口開けて見とれる
・ 欲しがる、掴もうとする 追いかける
・ 拾う
・ そしてポケットへ……
〇 ここで見ています
・ ウルル、エアーズロック
・ 御巣鷹山
・ 砂漠 →隊商、キャラバン
・ 山頂、浜辺 →キャンプ→コッヘル、寝袋、スキットル、飯盒などなど
〇 流星が空を……
・ 引き裂く 引っ掻く
・ 矢のように、槍のように 針のように
・ 袈裟懸けに
・ 他の星座の弓から流れ星が放たれる、という発想も
〇 その他
・ 宮沢賢治、『銀河鉄道の夜』 ジョバンニ、カムパネルラ
・ 幼き日、遠き日
・ 金平糖みたい
・ 実は昼間も星は飛んでいる
・ 流星入りの〇〇を飲む
・ 地球もいつか流星に
〇 それは流れ星の「説明」では?
・ 流星は宇宙の塵
・ やがて燃え尽きる
これらのリストを眺めていくと、自分もそのような句も投じていた! と気づく人たちもいるのではないでしょうか。類想句であっても、挫ける必要はありません。まずは、類想句が作れるようになっていることを成果であると自分を誉めてあげましょう。
いつもお伝えしていることですが、これらの類想が悪者なのではありません。優秀作品の中には、類想を土台とした秀句もありますので、ご自分の句とそれらの句のどこが違うのかを、是非、精査してみましょう。そして、その類想句の土台の上に、3音分5音分のオリジナリティをどうのせるか、そこを工夫すればよいだけのことなのです。ヒントは、優秀作品の中にありますよ。
■ 類句例 (火曜~木曜に掲載のものから、よく似た類想をpick up)
流れ星射手座の弓の速さかな まりい@木ノ芽
流れ星あれは射手座の矢筒から 火炎幸彦
黒夜には縫い針のごと流れ星 ゆかりん
流れ星闇にこぼした針のやう 克巳@夜のサングラス
天空にまち針ぬい針星流る 夏の町子
木綿針突き刺すやうに流れ星 金太郎
マッチ擦る火の消ゆるごと流れ星 中岡秀次
流れ星マッチ一本擦るごとく 清瀬 ぴあの
流れ星闇から闇へ息詰まる 和泉与六
おおかたは闇から闇へ流れ星 夢堂
流れ星闇から闇へ呑み込まれ 山河穂香
流星群闇に生れて闇に消え 森爺
軽トラの荷台に仰臥流れ星 燈穂
軽トラの荷台に仰ぐ流れ星 真崎正樹
※今回の兼題「流れ星」中級者以上投句欄へのご投句は、投句数3317句、投句人数1146人となりました。以下、類想句の一覧です。